JP2006503155A - 硬化材料の増強された耐摩耗性及び耐候性のためのエポキシ樹脂硬化剤 - Google Patents
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Abstract
Description
市販のエポキシ樹脂と市販の硬化剤とを組み合わせて、防食のためのコーティング、複合材料の成分及び成形プラスチックとして広い用途を有する材料を製造する。出発原料は、エポキシ樹脂及び硬化剤の基本成分に加えて、染料、顔料、充填剤、反応性及び非反応性の希釈剤、揮発性溶媒、安定剤ならびに添加剤を含有することができる。
本発明の目的は、高い耐摩耗性及び光安定性を有する硬化エポキシ材料を提供する、エポキシ樹脂用硬化剤を提供することである。
本発明の第一の態様は、請求項1の特徴部分で開示される特徴によって定義されるエポキシ樹脂用硬化剤に関する。
(X−B−)nSi(−Y)4-n (III)
(式中、n=1又は2であり、X=SH、−N=C=O又はNR1R2である)
に包含される化合物である。NR1R2は、水素、飽和又は不飽和C1〜C18アルキル、置換又は非置換のアリール、ホルミル、脂肪族又は芳香族カルボニル、カルバモイル、スルホニル、スルホキシル、ホスホニル、スルフィニル、ホスフィニルから選択され、前記化合物中の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含有することができ、及び/又は、場合によっては、1個以上の加水分解性シラン単位を含有し、あるいは、R1、R2は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択される。
a)適当な原子又は原子群X、及び
b)基R
で構成される化合物R−Xである(式中、R−Xは、原子又は原子群Xがアミノ基によって置き換えられる置換反応で、いくつかの遊離アミノ基と反応することができ(Endere Berner, “Laerebok i organisk kjemi”, Aschehoug & Co., Oslo (1964), p. 144-147)、基Rは、非置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルから選択され、前記化合物の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物もしくは付加物から選択される群を含むことができ、
原子又は原子群Xは、好ましくは、ハロゲン、置換又は非置換のアルコキシ、フェノキシ、アミン、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート又はホスフィネートから選択される)。
カルボン酸の誘導体
Xは、適当な脱離可能な基、たとえばハロゲン、置換又は非置換のアルコキシ、フェノキシ、アミン、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート又はホスフィネートである)。
本発明の好ましい実施態様は、X=NR1R2であり、R1が水素であり、R2がH−(HN−CH2−CH2−)m(ここで、m=0〜6である)であり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、式(III)で示される硬化剤である。
粒子形成性縮合物の調製
1.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APS、米国Crompton社)250gを、凝縮器及びマグネチックスターラーを備えた1,000ml丸底フラスコに入れた。ブチルジグリコール(BDG)73.5gと水28.5gとの混合物を加えた。この混合物を油浴中110℃で還流させながら、45分間加熱した。凝縮器を蒸留カラムで置き換え、110℃の油浴温度及び1,000mbar〜20mbarの真空勾配で揮発性反応生成物を留去した。丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経たところで、蒸留を停止した。留出物約175mlを捕集した。この反応生成物は、ガードナー色数<1(ガードナーカラースケール/ASTM D1544に準ずる)及び粘度<400mPa・sの、明澄で無色の液体であった。エタノール/水(エタノール96容量%)中の4−ドデシルベンゼンスルホン酸による滴定は、元のγ−APS中のアミノ基の約75%が、4−ドデシルベンゼンスルホン酸によってプロトン化可能であることを示した。
6.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(実験1からのゾルとスイスVantico社のHY 5160との容量比1:1の混合物)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
8.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(例1で調製したゾル)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
12.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(HY 5160、スイスVantico社)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
13.11からの反応生成物100gを70℃に加熱して、明澄な液体を得た。次いで、グリシジル−2−メチルフェニルエーテル(CAS[2210-79-9]、Araldite DY-K、スイスVantico社)100gを加え、反応混合物を70℃で1時間保持した。10℃では粘稠なゲルであり、80℃では低粘度の液体である明澄な黄色の生成物が得られた。この生成物は、硬化過程で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の生成物と、11からの反応生成物よりも有意に遅く反応した。
ゾル粒度
光散乱の原理を利用して、ゾルの粒度を計測した。粒度分布の測定には、市販の計器、英国Malvernの「Zetasizer 3」を使用した。粒度分布はシャープであり、例1〜3にしたがって調製したゾルの場合、平均粒度は5nm未満であった。
Eyre/Bicere-apparatusの万能摩耗試験機を使用して、耐摩耗性を試験した。恒量は588g(3×負荷)であった。例9にしたがって製造したプレートには、比較的多数の掻ききずが付いた。例4にしたがって製造したプレート上には、掻ききずはほとんど見えなかった。
耐引掻き/耐摩耗性試験を、Erichsenタイプの硬さペン(Erichsen、ドイツ)によって測定した。方法は、硬さペンで掻ききずを付けることに基づくものであった。試験中に加えられる力を、ばねによって制御した。力に対応する硬さの値を、硬さペンからニュートン[N]単位で読み取った。試料ごとに少なくとも3回の平行計測を実施した。どの場合に力が目に見える掻ききずを付けないか、どの強さで目に見える掻ききずが最初に付いたかを記録した。例8によって記載したように調製した一連のプレートに対して試験を実施した。変性された硬化剤を用いて製造されたプレートに対して掻ききずを付けるのに要する力は、市販のアミン系硬化剤を用いて製造されたプレートに対して掻ききずを付けるのに要する力の、少なくとも40倍の大きさであることが示された。結果を表3に示す。
例14にしたがって製造したエポキシプレートを、426時間、ISO 4892-3に準ずる加速エージングに付した。試験計器は、UVA-340蛍光灯を備えたATLAS UVCONウェザーメータ(米国Atlas社)であった。試験のサイクルは、45℃に乾燥加熱しながら4時間のUV照射、10〜12℃で30分間の散水及び40℃で3時間30分間の凝縮からなるものであった。
参照標準 白色(33112035N)
CIE-Labにおける色差 DL、Da、Db及びDE
全色変化 DE
色座標 DL(白/黒)、Da(赤/緑)及びDb(黄/青)
Claims (21)
- 高い耐摩耗性、光安定性及び耐薬品性を有する材料を製造するエポキシ樹脂硬化用硬化剤であって、タイプ
(X−B−)nSi(−Y)4-n
の化合物
(式中、
n=1又は2であり、
X=SH、−N=C=O又はNR1R2であり、
R1、R2は、水素、飽和又は不飽和C1〜C18アルキル、置換又は非置換のアリール、ホルミル、脂肪族又は芳香族カルボニル、カルバモイル、スルホニル、スルホキシル、ホスホニル、スルフィニル、ホスフィニルから選択され、
前記化合物の炭素鎖は、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含むことができ、及び/又は、1個以上の加水分解性シラン単位を含むことができ、あるいは、R1、R2は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択され、
Bは、飽和又は不飽和C1〜C18アルキレン、置換又は非置換のアリーレンから選択されるスペーサ基であり、
前記化合物の炭素鎖は、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含むことができ、
Yは、アルコキシ、カルボキシル及びハロゲンのような加水分解性基から選択される)
の制御された加水分解及び縮合によって調製されたゾルを含むことを特徴とする硬化剤。 - 少なくとも1種のUV吸収剤をさらに含む、請求項1記載の硬化剤。
- 少なくとも1種のラジカルスカベンジャーをさらに含む、請求項1又は2記載の硬化剤。
- 少なくとも1種の酸化防止剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化剤。
- 少なくとも1種の染料及び/又は顔料をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化剤。
- 少なくとも1種の充填剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の硬化剤。
- 少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化剤。
- X=NR1R2であり、R1が水素であり、R2がH−(HN−CH2−CH2−)m(ここで、m=0〜6である)であり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化剤。
- X=NR1R2であり、R1が水素であり、R2がフェニルであり、Bがプロピレンであり、nが1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化剤。
- X=NR1R2であり、R1が水素であり、R2がカルバモイルであり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化剤。
- X=SHであり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化剤。
- X=N=C=Oであり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化剤。
- ビス(γ−トリアルコキシシリルプロピル)アミンの制御された加水分解及び縮合によって、ゾルが完全に又は部分的に調製される、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化剤。
- トリス[3−(トリアルコキシシリル)プロピル]イソシアヌレートの制御された加水分解及び縮合によって、ゾルが完全に又は部分的に調製される、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化剤。
- ゾル中の粒子形成性縮合物の表面の遊離アミノ基のいくつかが、エポキシド、酸誘導体、ブロックされた、及びブロックされていないイソシアネート、ならびにタイプR−Xの化合物(式中、Xは、置き換えられていてもよい原子又は原子群であり、Rは、有機残基又はそのような残基の一部である)のような反応性化合物によって完全に又は部分的に転換されている、請求項1記載の硬化剤。
- Xが、ハロゲン、置換又は非置換のアルコキシ、フェノキシ、アミン、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート又はホスフィネートから選択される、請求項15記載の硬化剤。
- Rが、非置換の飽和及び不飽和C1〜C24アルキル、置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルから選択され、前記化合物の炭素鎖が、場合によっては、元素窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素、ならびに酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド及びエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物から選択される群を含むことができる、請求項15記載の硬化剤。
- エポキシ樹脂、及び請求項1記載の硬化剤から製造されることを特徴とする硬化エポキシ材料。
- エポキシ樹脂を硬化させる方法であって、
i)式
(X−B−)nSi(−Y)4-n
のシラン化合物
(式中、
n=1又は2であり、
X=SH、−N=C=O又はNR1R2であり、
R1、R2は、水素、飽和又は不飽和C1〜C18アルキル、置換又は非置換のアリール、ホルミル、脂肪族又は芳香族カルボニル、カルバモイル、スルホニル、スルホキシル、ホスホニル、スルフィニル及びホスフィニルであり、
前記化合物中の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含むことができ、及び/又は、1個以上の加水分解性シラン単位を含むことができ、あるいは、R1、R2は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択され、前記シラン化合物は、場合によっては変性された化合物である)
の制御された加水分解及び縮合によって安定なゾルを製造すること、及び
ii)前記ゾルを、場合によっては貯蔵の後、エポキシ樹脂と混合してそのエポキシ樹脂を硬化させること、を特徴とする方法。 - 工程i)からの望まれない反応生成物、たとえばアルコール類及び水を、工程ii)の前にゾルから除去する、請求項19記載の方法。
- エポキシ系又はイソシアネート系の樹脂の硬化のための、請求項1〜17のいずれか1項記載の硬化剤の使用。
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