JP2002338787A - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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JP2002338787A
JP2002338787A JP2001144669A JP2001144669A JP2002338787A JP 2002338787 A JP2002338787 A JP 2002338787A JP 2001144669 A JP2001144669 A JP 2001144669A JP 2001144669 A JP2001144669 A JP 2001144669A JP 2002338787 A JP2002338787 A JP 2002338787A
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epoxy resin
cured product
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Kazutoshi Haraguchi
和敏 原口
Akira Obayashi
明 王林
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子・電気材料、成形材料、塗料、接着剤等
に有用な、透明性や均一性を保持しつつ、耐熱性や力学
物性を大きく改良したエポキシ樹脂組成物及びその硬化
物を提供すること。 【解決手段】 {[(C)+(D)]のB換算
量}×100/{(A)+(B)+[(C)+(D)]
のB換算量}で表されるB換算ホウ素含有
量(X)が2〜30重量%であることを特徴とする、エ
ポキシ樹脂(A)と、エポキシ樹脂硬化剤(B)とホウ
酸(C)及び/又はホウ酸エステル(D)とを必須成分
とするエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物
を硬化させて得られる、含まれるホウ素酸化物が100
nm以下の大きさで均一に微分散しているエポキシ樹脂
硬化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエポキシ樹脂と、エ
ポキシ樹脂硬化剤とホウ酸及び/又はホウ酸エステルと
を含むエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物
を硬化させた、大きさ100nm以下のホウ素酸化物が
均一にエポキシ樹脂中に微分散した、優れた耐熱性、力
学物性、及び透明性を有する、硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、その高い反応性、優れ
た樹脂特性を生かして、積層板、封止材量、塗料、防食
プライマー、接着材料、成形材料、及び土木材料など広
い分野で用いられている。近年、特に電子、情報、医
療、建築、環境分野などの諸産業の発展と共に、エポキ
シ樹脂の諸物性を改良し、高性能化したものが幅広く要
求されるようになってきている。特に、耐熱性(高いガ
ラス転移温度や弾性率維持温度、低い熱膨張率)や力学
物性(高弾性率、高強度、タフネス)などにおける改良
が求められている。
【0003】エポキシ樹脂の改質としては、主に樹脂骨
格や硬化剤の種類を変えたり、側鎖構造を変性したりす
ることが最も広く行われているが、無機成分と複合化す
ることも改良方法の一つとして古くから検討されてい
る。無機成分との複合化においては、既存の無機質粒子
を混合する方法と、無機成分の原料や変性物をエポキシ
樹脂に混合したのち無機化や微細分散化する方法が知ら
れている。
【0004】特に近年、かかる無機成分の原料や変性物
を利用してエポキシ樹脂と無機成分との複合体を調製す
る方法が注目されており、代表例として以下の二つがあ
げられる。 一つはエポキシ樹脂中に層状粘土を単層に
近いレベルで分散させるもので、予めモンモリロナイ
ト、ヘクトライトなどの粘土鉱物層間に有機物を含ませ
た層間化合物とし、これをエポキシ樹脂と複合化するこ
とで、エポキシ樹脂中に層状粘土鉱物が微細分散した複
合体が調製されている(例えば、T. Lanら, Cem.Mate
r., l巻.6号, 2216頁、1994年、Z.Wang 及びT.J.Pinnav
aia, Chem. Mater., 10巻, 1820頁、1998年、D. C. Lee
ら, J. Appl. Polym. Sci., 68巻, 1997頁、1998年, T.
Engelhardtら, Kunstst. Plast. Eur., 88巻, 10号, 6
5頁、1998年)。
【0005】他の一つは金属アルコキシド又は有機変性
金属アルコキシドをエポキシ樹脂及び/又は硬化剤と混
合し、金属アルコキシド類の加水分解重縮合を行うもの
である。金属アルコキシドとしてはシリコンアルコキシ
ド、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、
ジルコニウムアルコキシド、ホウ素アルコキシド(ホウ
酸エステル)などが主に用いられている。
【0006】この内、シリコンアルコキシド、チタンア
ルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウム
アルコキシドを用いた例としては、例えば、特開昭63
−90576号公報や特開昭63−90577号公報に
おいて、ビスフェノール型エポキシ樹脂にシリコンアル
コキシドもしくはその低縮合物に、アルキルアルミニウ
ム、アルキルジルコネート、アルキルチタネートの一つ
又は複数を含有してなる組成物を調製し、エポキシ樹脂
とこれらの金属酸化物との複合体を調製した場合、最終
複合体中の金属酸化物の割合が30重量%以上、金属酸
化物中のシリカの割合が50〜98重量%であるものは
乾燥性、造膜性、密着性に優れたものとなることが報告
されている。
【0007】その他、シリコンアルコキシドとエポキシ
樹脂との複合体に関しては、L. Masciaらのトリメトキ
シシランで官能化したエポキシ樹脂とテトラアルコキシ
シラン(TEOS)を用いて複合体を合成した例がある
が、エポキシネットワークのガラス転移温度(Tg)は
複合化により低下すると報告されている(L. Masciaら,
J. Mater. Chem., 8巻, 11号,2417頁、1998年、L. Masc
iaら, J. Sol-Gel Sci.Technol., 13巻, 1/3, 405頁、1
998年)。
【0008】またL. Matejkaらは、長鎖脂肪族ジアミン
の両末端をエポキシシランでキャップしたものを、TE
OSと共にエポキシ樹脂に添加して、複合体を得てお
り、粒径が10〜300nmのシリカ粒子の分散した複
合体を得られることを報告している(L. Matejkaら, Po
lymer, 40巻, 1号, 171頁、1999年)。
【0009】また本発明者の一人は、これまでに、エポ
キシ樹脂と金属酸化物の複合体及びその製造方法につい
て検討し、金属アルコキシド、特にチタンアルコキシド
及び/又はシリコンアルコキシドとエポキシ樹脂から得
られるエポキシ樹脂/金属酸化物複合体が透明均一な複
合体となり、耐熱性や力学物性などにおいて優れた物性
改良を達成できることを見出している(特開平8−10
0107号公報)。
【0010】しかし、エポキシ樹脂/シリカ複合体にお
いては耐熱性の向上は十分とはいえず、またエポキシ樹
脂/チタニア複合体においては、チタンアルコキシドの
反応性が高いことにより、均一複合体を安定して得るた
めの製造上の課題がある。
【0011】一方、ホウ素アルコキシド(ホウ酸エステ
ル)を用いた例も古くから検討されている。例えばホウ
酸エステルをイミダゾール化合物、金属キレート化合
物、ノボラック型エポキシ樹脂硬化剤、酸無水物系・ジ
ヒドラジド系硬化剤などと共に用いてエポキシ樹脂の硬
化促進剤として利用する例(特公昭49−48357号
公報、特公昭58−17491号公報、特公昭62−1
9069号公報、特開昭63−20322号公報、特開
平9−296024号公報、特開平11−100563
号公報)、硬化剤の表面処理剤として用いる例(特開平
6−73156号公報、特開平6−172495号公
報、特開平8−27402号公報、特開平9−1574
98号公報、及び特開平9−268224号公報)があ
る。
【0012】いずれも用いるホウ酸エステルの最適量
は、酸化ホウ素(B)換算で樹脂硬化物全体に対
して少量(0.5重量%未満)である。ホウ酸エステル
を加えることによる特性改良例として、電気特性、耐火
性、難燃性、耐湿性、吸水率などが報告されている(特
公昭60−50371号公報、特公昭62−19070
号公報、特開平3−20065号公報、特開平5−59
261号公報、特開平6−107914号公報、特開平
10−182793号公報)。
【0013】またホウ酸エステルの添加により保存安定
性、硬化性、硬化抑制、及びゲル化時間調節などの改良
が可能であることも報告されている(特公昭52−13
999号公報、特開平10−101773号公報、特表
平10−507481号公報、特開2000−1362
88号公報、特開2000−309626号公報)。
【0014】また、主にホウ酸を用いたエポキシ樹脂改
質例としては、金属腐食防止、硬化促進、中性子吸収遮
蔽などの性質改良が報告されている(特開昭56−72
045号公報、特開昭60−233154号公報、特開
昭63−295628号公報、特開平2−133946
号公報、特開平4−284652号公報)。
【0015】上述のホウ酸、ホウ酸エステルの使用例の
いずれにおいても、使用する適正量は樹脂硬化物に対し
て(B換算で)0.01重量%から0.5重量%
未満の場合が殆どであり、2重量%を超えるような用い
方は実際上、行われず、またそのような量のホウ酸やホ
ウ酸エステルを加えることにより、硬化物物性が改良さ
れることを示した例もない。
【0016】以上のように、種々の金属アルコキシド類
を用いてエポキシ樹脂硬化物の物性を改質することは古
くから広く行われてきたが、耐熱性及び力学物性を大幅
に改良するエポキシ樹脂組成物を得ることは出来ていな
かった。耐熱性を最も大きく改良するものとしては、本
発明者らによるチタンアルコキシドを用いる方法がある
(特開平8−100107号公報)。しかし、チタンア
ルコキシドは反応速度が速く、使用方法が制限される課
題がある他、力学物性の改良についても、未だ十分では
なかった。
【0017】他の金属アルコキシドを用いた場合も、い
ずれも耐熱性、力学物性共に不十分であった。また古く
から行われているホウ酸やホウ酸エステルをエポキシ樹
脂組成物中に添加した場合においても、本発明で目的と
している耐熱性や力学物性の大幅な向上が得られた例
や、得られることを示唆したものはなかった。僅かに耐
熱性については、ガラス転移温度が向上する傾向である
ことを述べた例はあるものの、得られた耐熱温度のアッ
プは小さく、最大2℃〜10℃強であり、変わらない
か、逆に低下した例も多い(特公昭49−48357号
公報、特表平10−507481号公報、特開平10−
101773号公報、特開2000−136288号公
報)。また強度や弾性率など力学物性の大きな向上を示
した例もなかった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、電子・電気材料、成形材料、塗料、接着剤
等に有用な、透明性や均一性を保持しつつ、耐熱性や力
学物性を大きく改良したエポキシ樹脂組成物及びその硬
化物を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の成分組成
からなるエポキシ樹脂、硬化剤、ホウ酸及び/又はホウ
酸エステルからなる樹脂組成物及びその硬化物が、エポ
キシ樹脂とホウ素化合物の微細で均一な複合化を達成
し、且つ耐熱性や力学物性を始めとする諸物性の向上に
極めて効果的であることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0020】即ち、本発明は、{[(C)+(D)]の
換算量}×100/{(A)+(B)+
[(C)+(D)]のB換算量}で表されるB
換算ホウ素含有量(X)が2〜30重量%であるこ
とを特徴とする、エポキシ樹脂(A)と、エポキシ樹脂
硬化剤(B)とホウ酸(C)及び/又はホウ酸エステル
(D)とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物である。
【0021】また本発明は、本発明のエポキシ樹脂組成
物を硬化させて得られる、B換算のホウ素含有量
が2〜30重量%であるエポキシ樹脂硬化物であり、且
つ含まれるホウ素酸化物が100nm以下の大きさで均
一に微分散していることを特徴とするエポキシ樹脂硬化
物である。
【0022】本発明のエポキシ樹脂硬化物には、{ホウ
酸(C)及び/又はホウ酸エステル(D)}を含まない
以外は同一の成分を有するエポキシ樹脂組成物の硬化物
のガラス転移温度に比べて、50℃以上高いガラス転移
温度を有するエポキシ樹脂硬化物や、10MPa以上高
い引っ張り強度を有するエポキシ樹脂硬化物、300M
Pa以上高い弾性率を有するエポキシ樹脂硬化物、及び
厚さ100μmの硬化物の波長600nmでの透過率が
80%以上である透明なエポキシ樹脂硬化物などが含ま
れる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、エポキシ樹脂と、エポ
キシ樹脂硬化剤と、水酸基及び/又はアルコキシド基を
有するホウ素化合物を必須成分として配合してなるエポ
キシ樹脂組成物と、この組成物を硬化して得られる、耐
熱性や力学物性に優れた硬化物に関する。
【0024】本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、1
分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するものであ
り、その種類は特に限定されない。これらの具体例とし
ては、ビスフェノール-A、ビスフェノール−F、テト
ラブロモビスフェノール−A、テトラフェニロールエタ
ン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど
のフェノール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
ポリプロピレングリコール、
【0025】水添ビスフェノール−Aなどのアルコール
系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロ
無水フタル酸やダイマー酸などを原料としたグリシジル
エステル型エポキシ樹脂、ヒダントイン、イソシアヌル
酸、ジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン
型エポキシ樹脂、アミノフェノールやオキシ安息香酸を
原料とする混合型エポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹
脂、臭素化エポキシ樹脂などを挙げることができる。こ
れらは単独あるいは2種以上を併用しても良い。
【0026】本発明で用いるエポキシ樹脂硬化剤(B)
としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ジヒド
ラジド系硬化剤などが用いられるが、特に好ましくはア
ミン系硬化剤が用いられる。アミン系硬化剤としては、
エポキシ樹脂の硬化剤として市販されているアミン化合
物が用いられる。
【0027】具体例としては、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、
ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペ
ラジン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−
メチルシクロヘキシル)メタン、メタンジアミンなどの
脂肪族ポリアミン、植物油脂肪酸と脂肪族ポリアミンの
縮合物であるアミドアミン系やポリアミド系、フェンレ
ンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェ
ニルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの芳香族アミ
ン、シリコン系アミン、メチレンアミン系などが挙げら
れる。
【0028】また、アミン系硬化剤と共に、イミダゾー
ル化合物や有機ホスフィン化合物などの通常のエポキシ
樹脂の硬化促進剤を用いることができる。硬化剤の使用
量は、使用目的や併用するホウ酸やホウ酸エステルの添
加量によって異なり、一括には規定できないが、エポキ
シ当量比5〜150%、好ましくは10〜100%の範
囲が用いられる。
【0029】本発明においては、通常用いられる硬化剤
の量より広範囲な硬化剤量範囲が優れた硬化物を与える
ものとして使用可能である。例えば、硬化剤量が30%
以下の場合、通常、硬化が不十分となり、低いガラス転
移温度を有することが多いが、本発明においては、これ
らのエポキシ樹脂及び硬化剤に対応した所定量のホウ酸
又はホウ酸エステルと複合化することによって、高いガ
ラス転移温度、優れた機械的性質などの優れた物性を有
するエポキシ樹脂硬化物が得られ、硬化剤と樹脂との使
用比率選択幅が広がった。
【0030】本発明に用いるホウ酸(C)としては、オ
ルトホウ酸、メタホウ酸及び四ホウ酸等が用いられる。
また、本発明に用いるホウ酸エステル(D)としては、
加水分解性のホウ素アルコキシド又はその部分加水分解
物であり、具体的には一般式(1)で表される水酸基及
び/又はアルコキシド基を有する加水分解性のホウ素ア
ルコキシド又はその部分加水分解物が用いられる。
【0031】一般式(1)
【化2】
【0032】B−(OR)(OH)3−n
【0033】(式中、nは1〜3までの整数、RはCm
H2m+1のアルキル基、mは1以上の整数を表す)
【0034】これらを具体的に例示すれば、ホウ酸トリ
メチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸
トリブチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリオクチ
ル、ホウ酸トリステアリル、ホウ酸トリフェニル、ホウ
酸トリトリル、ホウ酸トリキシリル、ホウ酸トリベンジ
ル等である。
【0035】本発明においては、ホウ酸又はホウ酸エス
テルの一種類を用いても、二種類以上のものを組み合わ
せて用いても良い。また本発明では、ホウ酸エステルと
ホウ酸を併用して用いても良い。また一般式(1)の中
のm値としては好ましくは1〜8である。更に、一般式
(1)で表されるものの部分重縮合物を用いることもで
きる。部分縮合物は一般式(1)で表されるホウ素化合
物と水、溶媒、必要によっては酸又は塩基触媒を混合攪
拌する方法などによって得ることができる。
【0036】本発明においてホウ酸(C)及び/又はホ
ウ酸エステル(D)の使用量は非常に重要であり、エポ
キシ樹脂硬化物全体(即ち、エポキシ樹脂(A)とエポ
キシ樹脂硬化剤(B)とホウ酸(C)及び/又はホウ酸
エステル(D)のB換算量の総和)に対して一定
比率で含まれている必要がある。
【0037】また本発明においては、ホウ酸(C)及び
/又はホウ酸エステル(D)の使用量はB換算の
値で表すことが必要である。これは本発明の効果を十分
発揮させる範囲が、ホウ酸又はホウ酸エステルの重量で
は規定されず、B換算での値で表すことが必要で
あることによる。即ち、ホウ酸やホウ酸エステルはその
種類によりB換算値が異なることから、エポキシ
樹脂組成物中のホウ酸やホウ酸エステルの重量割合を示
しても本発明の有効な範囲を示すことにはならない為で
ある。
【0038】例えば、B(OH)の100重量部は、
換算では56.3重量部となり、B(OC
の100重量部はB換算では33.5重
量部、B(OCの100重量部はB
算では23.9重量部となり、またB(OC13
の100重量部はB換算ではわずか11.1重
量部となることから、ホウ酸又はホウ酸エステルをエポ
キシ樹脂硬化物に対する重量比で示しても、用いるホウ
酸やホウ酸エステル種によってB換算量が異な
り、本発明の効果が損なわれる場合がある。
【0039】本発明では、かかるB換算の量をエ
ポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂硬化剤(B)の和に対
する割合(X重量%)で表す。即ち、X(重量%)=
{[(C)+(D)]のB換算量}×100/
{(A)+(B)+[(C)+(D)]のB換算
量}である。
【0040】本発明におけるB換算ホウ素含有量
Xの値としては、2重量%〜30重量%、好ましくは3
重量%〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%で
ある。2重量%未満では本発明における効果が少なくな
り、特に0.5重量%以下では殆どその効果が見られな
くなる。また30重量%を越えては、均一性、透明性に
優れる硬化物を得ることが困難となる傾向がある。
【0041】また20重量%以上では、組成物の安定性
や成形性、硬化物の強度、透明性、均一性などの内の少
なくとも一つの性質が低下する場合が多い。例えば、耐
熱性は良好だが力学物性の一部の性質(例えば強度又は
タフネス)が低下したりするなどの問題が生じることが
ある。
【0042】更に本発明においては、かかるXの適切な
値が、用いるエポキシ樹脂硬化剤の使用量に応じても変
化することを見出しており、エポキシ樹脂硬化剤の使用
量に応じて適正なX量を規定することが重要である。一
般的傾向として適切なXの値は、使用する硬化剤の量が
少ないほど大きくなり、逆に使用硬化剤量が多いほど小
さくなる傾向にある。
【0043】具体的なエポキシ樹脂組成物の組成比率と
して下記のXとYの範囲が例示される。ここでエポキシ
樹脂硬化剤(B)の量は使用するエポキシ樹脂との当量
比によって表すことが有効である。即ち、エポキシ樹脂
(A)のエポキシ当量をa、エポキシ樹脂硬化剤(B)
の活性水素当量をbとした場合、下式による当量比
(Y)によって(B)の使用量を表す。
【0044】Y={(B)/(A)}の当量比=
{(B)の重量/b}/{(A)の重量/a} 本発明におけるXのより適切な範囲はY<0.4の場
合、X=2〜30重量%、特に好ましくは、4〜30重
量%、Y=0.4〜0.7の場合、X=2〜25重量
%、特に好ましくは、3〜20重量%、Y>0.7の場
合、X=2〜20重量%、特に好ましくは、2〜15重
量%である。
【0045】本発明におけるエポキシ樹脂組成物及び硬
化物の調製方法としては、特に限定されないが、例えば
以下に例示する方法で均一なエポキシ樹脂組成物及びそ
の硬化物を調製することが可能である。
【0046】即ち、エポキシ樹脂と有機溶媒を混合し、
次いで、エポキシ樹脂硬化剤及び必要に応じて硬化促進
剤を加え、均一溶液を調製する。これを30℃にて1〜
20時間攪拌した後、予め有機溶媒に溶解させたホウ酸
及び/又はホウ酸エステルを攪拌しながら添加する。更
に必要に応じてホウ酸エステルの0.3〜3倍モルの水
を添加する。次いで得られた溶液から、溶媒を除去し、
更に、最終的に150〜200℃まで昇温・加熱してそ
の硬化物を得る。
【0047】ここでホウ酸及び/又はホウ酸エステルを
加える前に、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を比較
的低温で一定時間、予め攪拌しておくことは、透明で優
れた特性を有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を
調製するのに有効である。特にホウ素源としてホウ酸を
用い、硬化剤としてアミン系硬化剤を用いた場合は、ホ
ウ酸を添加する前の予めの攪拌保持により、透明性が大
きく改良される場合がある。攪拌保持の温度、時間とし
ては、例えば30℃で0.5〜50時間が用いられる。
【0048】本発明におけるエポキシ樹脂組成物、又は
それに至る製造過程で有機溶媒を用いることは有効であ
る。特に高粘性のエポキシ樹脂及び硬化剤などその種類
によっては必須となる場合がある。一般に均一性、透明
性のエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を得るのには少
なくとも少量の有機溶媒を製造過程で用いることが有効
である。
【0049】本発明で用いる有機溶媒としては、エポキ
シ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤と、ホウ酸又はホウ酸エス
テルを含む均一溶液を調製できる有機溶媒であれば良
く、特に制限なく用いられる。例えば、メタノール、エ
タノール、プロパノールなどの炭素数1〜6程度の低級
アルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエ
チルケトン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトア
ミド、メチルエチルセルソルブなどが挙げられ、これら
は単独又は二種以上を混合して用いられる。
【0050】また本発明において有機溶媒として特に低
級アルコールを含むものを用いることは有効であり、ホ
ウ素化合物としてホウ酸を含む場合に特に有効である。
ここで低級アルコールとしては炭素数1〜6程度のもの
で、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノールである。また、これらの低級アル
コールとそれ以外の溶媒を混合して用いることも、ホウ
酸を含む透明均一なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物
を得るのに有効である。
【0051】また上記の製造法において、水を添加する
場合はホウ素アルコキシド基に対して0.1〜1当量の
範囲(例えば、ホウ酸トリメチルの場合、ホウ酸トリメ
チルの0.3〜3倍モル)で用いられるが、水添加無し
や大気中の水分吸湿を利用して調製することも可能であ
る。
【0052】本発明により得られるエポキシ樹脂組成物
は、ホウ酸やホウ酸エステル由来のホウ素酸化物がミク
ロンレベルで、凝集することなく、エポキシ樹脂の中に
均質に微細分散したものであり、含有されるホウ素酸化
物が微小である故に、それから得られる硬化物において
も、かかるホウ酸やホウ酸エステルを含ませなかったエ
ポキシ樹脂硬化物とほぼ同等の透明性を有する。
【0053】本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて
得られる硬化物の透明性は、用いるエポキシ樹脂やエポ
キシ樹脂硬化剤の種類によっても異なるが、厚さ100
μmの硬化物のフィルムを用いての、測定波長600n
mでの透過率測定において、硬化物の透過率が80%以
上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上
である。
【0054】本発明において、ホウ酸やホウ酸エステル
は最終硬化物中でB、及び/又はB−OHやB−
OR(Rはアルキル基)を一部含む酸化ホウ素、及び/
又はエポキシ樹脂やエポキシ樹脂硬化剤とB−O−C等
により結合した状態などを含んでいると推定される。こ
れらホウ酸やホウ酸エステル由来の硬化物中の化合物を
ここではホウ素酸化物と総称する。
【0055】硬化物に含まれたホウ素酸化物の量は酸化
雰囲気中、900〜1000℃に硬化物を加熱すること
により、B量として測定することができるが、必
ずしも仕込んだホウ酸やホウ酸エステルの全量がB
として定量的には計測されない場合もある。従って、
本発明におけるホウ酸やホウ酸エステルの量は、エポキ
シ樹脂組成物中への仕込み量により規定するものとす
る。
【0056】一方、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化
させて得られる硬化物に含まれるホウ素酸化物粒子の大
きさは100nm以下であり、好ましくは30nm以
下、より好ましくは10nm以下、特に好ましくは5n
m以下である。本発明における硬化物中に含まれるホウ
素酸化物粒子の大きさは走査型電子顕微鏡でも透過型電
子顕微鏡でも明確に観測されない場合がある。
【0057】例えば、実施例1において、硬化物の超薄
切片を作成し、25万倍の透過型電子顕微鏡にて観察し
た場合も、ホウ素酸化物由来の微粒子は明確に観測され
ず、少なくとも5nm以下の微小な大きさであると推定
された。一方、かかる透過型電子顕微鏡観察や硬化物破
断面の走査型電子顕微鏡観察によって、100nmを越
える大きさのホウ素酸化物由来の粒子が観測される場合
は、透明性や耐熱性、力学物性などの性質の少なくとも
一部の物性が不十分となる。
【0058】本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、
優れた耐熱性、力学特性、透明性、樹脂表面平滑性、低
熱膨張などの性質を有する。特に均一性、透明性に加え
て、耐熱性(例えばガラス転移温度が高いこと)及び優
れた力学特性(例えば高い強度、弾性率)を併せ持った
特徴を有する硬化物が含まれる。具体的には、硬化物の
ガラス転移温度(1Hzでの固体動的粘弾性測定のtan
δmaxのピーク温度で定義)が、ホウ酸及び/又はホウ
酸エステルを含まない以外は同組成のエポキシ樹脂硬化
物のガラス転移温度と比べて50℃以上高く、より好ま
しくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上高い
エポキシ樹脂硬化物が含まれる。
【0059】また、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化
物は、従来にない優れた耐熱性を有するエポキシ樹脂硬
化物であり、ガラス転移温度が150℃以上であり、よ
り好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以
上であるものが含まれる。また熱膨張に関しても、ガラ
ス転移温度より低温側及び/又は高温側の熱膨張係数の
絶対値が小さくなったり、ガラス転移温度が上昇するこ
とで、広い温度領域における熱膨張が実質的に抑えられ
る利点を有する。
【0060】更に、力学物性においても優れた物性を示
すものが含まれる。具体的には、エポキシ樹脂組成物の
硬化物の引っ張り試験(標点間サンプル長15mm、厚
み0.35mm、引っ張り速度2mm、測定温度25
℃)において、引っ張り強度がホウ酸及び/又はホウ酸
エステルを含まない以外は同一組成のエポキシ樹脂組成
物の硬化物の値より、10MPa以上大きく、好ましく
は15MPa以上、より好ましくは20MPa以上大き
いものが含まれる。
【0061】またエポキシ樹脂組成物の硬化物の引っ張
り弾性率がホウ酸及び/又はホウ酸エステルを含まない
以外は同一組成のエポキシ樹脂組成物の硬化物の値よ
り、300MPa以上大きく、好ましくは500MPa
以上、より好ましくは1000MPa(=1GPa)以
上大きくなっているものが含まれる。
【0062】また、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化
物は、従来にない優れた弾性率を有するエポキシ樹脂硬
化物であって、引っ張り弾性率が1.4GPa以上であ
り、好ましくは1.7GPa以上、より好ましくは2.
0GPa以上であるものが含まれる。
【0063】また、本発明におけるエポキシ樹脂硬化物
は、ホウ酸及び/又はホウ酸エステルを含まない以外は
同一組成のエポキシ樹脂組成物の硬化物の値より耐熱
性、強度、弾性率の全てが共に増加しているものが可能
であり、具体的にはガラス転移温度、引っ張り強度、引
っ張り弾性率の全てが20%以上増加しているもの、好
ましくは全てが25%以上、より好ましくは全てが30
%以上増加しているものが含まれる。
【0064】更に、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化
物は、耐熱性、強度、弾性率が共に優れ、具体的にはガ
ラス転移温度、引っ張り強度、引っ張り弾性率が各々1
50℃以上、50MPa以上、1.4GPa以上のもの
が、好ましくは各々200℃以上、55MPa以上、
1.7GPa以上のものが、より好ましくは各々250
℃以上、60MPa以上、2GPa以上のものが含ま
れ、かかる力学物性及び/又は耐熱性の向上は、前記し
た透明性と共に発現させることができる。
【0065】本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、
これら多くの優れた物理化学的特性を有し、電子・電気
材料、成形材料、塗料、接着剤などの広い技術分野にお
ける各種の素材として有用である。
【0066】
【実施例】次いで本発明を実施例によって更に説明す
る。尚、例中の%は特に断りの無い限り、重量基準であ
る。また、以下の実施例において、光透過率は日本電色
工業株式会社製NDH−300Aを用いて平行透過率に
て測定した。透過型電子顕微鏡観察は日本電子株式会社
製JEM−200CXを用いた。固体動的粘弾性測定装
置はセイコー電子工業株式会社製DMA−200を、熱
膨張測定はセイコー電子工業株式会社社製のTMA/S
S120を用い、いずれも測定周波数1Hz、昇温速度
2℃/分で測定した。更に引っ張り力学試験は島津製作
所株式会社製のオートグラフAGS−Hを用いて、標点
間サンプル長15mm、幅7mm、厚み約0.35mm
として、引っ張り速度2mm/分、試験温度25℃で測
定した。
【0067】(実施例1)ビスフェノール型エポキシ樹
脂エピクロン850(大日本インキ化学工業株式会社
製、エポキシ当量=190g/eq)100gと、脂肪
族ポリアミン系硬化剤エピクロンB−053(大日本イ
ンキ化学工業株式会社製、活性水素当量=77g/e
q)32.4g(エポキシ当量比=80%)と、80g
のテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製、試薬
特級)とを混合し、30℃にて8時間攪拌した。
【0068】次いで、ホウ素エトキサイド(ゲレスト社
(米国)製)29.2g(エポキシ樹脂+エポキシ樹脂硬
化剤+酸化ホウ素換算からなるエポキシ樹脂硬化物全量
に対して、酸化ホウ素、B換算で5重量%)をエ
ポキシ樹脂溶液に滴下し、10分間攪拌して均質透明な
溶液を得た。続いて24℃、空気中(湿度50%)にて
ゾル溶液を清浄なアルミ箔上にキャストし、12時間、
溶媒キャストを行い、エポキシ樹脂組成物を得た。引き
続き、150℃で2時間、更に180℃で2時間の熱処
理を行い、該エポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
【0069】得られた硬化物は透明性に優れ、可視光域
での光透過率は91.1%(100μm厚み換算)であ
った。また、クラックやしわ、気泡なども無く、良好な
表面形態を示した。硬化物の超薄切片を作成し、透過型
電子顕微鏡(25万倍)で観察したところ、全体均一で
酸化ホウ素などのホウ素化合物の凝集は観測されなかっ
た。硬化物を酸化雰囲気中、1000℃にて5時間焼成
した所、重量残は4.2重量%であった。
【0070】厚み260μmの硬化物を用いて動的粘弾
性測定(周波数1Hz)を行った。貯蔵弾性率(E’)
とtanδの温度分散を図1に示す。図1には比較例1の
結果も併せて示す。ホウ素化合物を含まないエポキシ樹
脂硬化物である比較例1では、tanδのピーク温度(T
g)が92℃であるのに対し、実施例1のB換算
5重量%を含む硬化物では280℃であった。少量のホ
ウ素化合物との複合化によりエポキシ樹脂硬化物の耐熱
性が大きく向上しているのがわかる。
【0071】引っ張り試験を行った結果、強度=71.
4MPa、弾性率=1.82GPa、破断伸び=6.7
8%であり、ホウ酸エステルを用いないエポキシ樹脂硬
化物(比較例1)の結果と比較して高い力学物性を示し
た。
【0072】(実施例2)エポキシ樹脂(エピクロン8
50)が100g、エポキシ樹脂硬化剤(エピクロンB
−053)が20g(エポキシ当量比50%)、テトラ
ヒドロフランが140g、ホウ素エトキサイドが56g
(B換算でエポキシ樹脂硬化物全量の10重量
%)であること及び30℃での攪拌時間を14時間とし
たこと以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組
成物及びその硬化物を調製した。
【0073】得られた硬化物はクラック、しわ、気泡等
のない良好な形態を有しており、優れた耐熱性を示し
た。動的粘弾性測定によるTg(tanδmax)は277℃
であった。また30℃〜230℃の範囲での熱膨張係数
は6.9×10−5−1であった。比較例1での熱膨
張結果と比較して、広い温度範囲において低い熱膨張を
示しているのがわかる。
【0074】(実施例3)エポキシ樹脂(エピクロン8
50)が100g、エポキシ樹脂硬化剤(エピクロンB
−053)が12.2g(エポキシ当量比30%)、メ
チルエチルケトンが80g、ホウ素エトキサイドが5
2.2g(B換算でエポキシ硬化物全量の10重
量%)であること、及び水9.7gをテトラヒドロフラ
ン溶液に加えたこと以外は、実施例1と同様にして、エ
ポキシ樹脂組成物及びその硬化物を調製した。得られた
硬化物は透明で、クラック、しわ、気泡等のない良好な
形態を有しており、エポキシ樹脂硬化物と比較して高い
Tg、優れた力学物性を示した。物性測定の結果をまと
めて表1に示す。
【0075】(実施例4と5)エポキシ樹脂(エピクロ
ン850)が100g、エポキシ樹脂硬化剤(エピクロ
ンB−053)が実施例4では12.2g(エポキシ当
量比30%)、実施例5では20g(エポキシ当量比5
0%)、テトラヒドロフランが100g、ホウ酸を実施
例4では19.8g(B換算でエポキシ樹脂硬化
物全量の9重量%)、実施例5ではホウ酸を16.1g
(B換算でエポキシ樹脂硬化物全量の7重量%)
としたこと以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹
脂組成物及びその硬化物を調製した。
【0076】キャスト前の溶液は少し濁っていた。しか
し得られた硬化物は透明で、クラック、しわ、気泡等の
ない良好な形態を有しており、エポキシ樹脂硬化物と比
較して高いTg、優れた力学物性を示した。物性測定の
結果をまとめて表2に示す。また、透過型電子顕微鏡
(10万倍)で観察したところ、全体均一で酸化ホウ素
等のホウ素化合物の凝集は観測されなかった。
【0077】(実施例6)エポキシ樹脂(エピクロン8
50)が100g、エポキシ樹脂硬化剤(エピクロンB
−053)20.5g(エポキシ当量比50%)、テト
ラヒドロフランが100g、メタノールが50g、ホウ
酸を9.0g(B換算でエポキシ樹脂硬化物全量
の4重量%)であること以外は、実施例1と同様にし
て、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物を調製した。キ
ャスト前の溶液は均一透明溶液であった。得られた硬化
物は透明で、クラック、しわ、気泡等のない良好な形態
を有しており、エポキシ樹脂硬化物と比較して高いT
g、優れた力学物性を示した。物性測定の結果をまとめ
て表2に示す。
【0078】(実施例7と8)エポキシ樹脂(エピクロ
ン850)が100g、エポキシ樹脂硬化剤(エピクロ
ンB−053)が20g(エポキシ当量比50%)、テ
トラヒドロフランが100g、ホウ素エトキサイドが実
施例7で15.5g(B換算でエポキシ樹脂硬化
物全量の3重量%)、実施例8で10.3g(B
換算でエポキシ樹脂硬化物全量の2重量%)であること
及び30℃での攪拌時間を10時間としたこと以外は、
実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物及びその硬
化物を調製した。得られた硬化物はいずれもクラック、
しわ、気泡等のない良好な形態を有しており、動的粘弾
性測定によるTg(tanδmax)は実施例7で196℃で
あり、実施例8で138℃であり、耐熱性の向上が見ら
れた。
【0079】(比較例1〜3)エポキシ樹脂(エピクロ
ン850)100gに対して、エポキシ樹脂硬化剤(エ
ピクロンB−053)を32.4g(比較例1)、20
g(比較例2)、12.2g(比較例3)を用いたこ
と、及びホウ素化合物を用いなかったこと以外は、実施
例1と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を調製した。得
られた硬化物はいずれも透明で、クラック、しわ、気泡
等のない良好な形態を有していた。物性測定の結果をま
とめて表1に示す。比較例1について熱膨張を測定した
結果、30℃〜80℃の範囲で、11.1×10−5
−1、80℃〜230℃の範囲で20.4×10−5
−1であった。
【0080】(比較例4)エポキシ樹脂(エピクロン8
50)が100g、エポキシ樹脂硬化剤(エピクロンB
−053)が20g(エポキシ当量比50%)、テトラ
ヒドロフランが100g、ホウ素エトキサイドが5.1
g(B換算でエポキシ樹脂硬化物全量の1重量
%)であること及び30℃での攪拌時間を10時間とし
たこと以外は、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組
成物及びその硬化物を調製した。得られた硬化物はクラ
ック、しわ、気泡等のない良好な形態を有していたが、
動的粘弾性測定によるTg(tanδmax)は115℃であ
り、耐熱性の向上は不十分であった。
【0081】(比較例5)ホウ酸を115g(B
換算でエポキシ樹脂硬化物全量の35重量%)用いたこ
と、メタノールを160g用いたこと以外は、実施例6
と同様にして、エポキシ樹脂組成物及び硬化物の調製実
験を行った。しかし、ホウ酸を含む均一透明な溶液は得
られず、溶液は白濁し、一部沈殿物があり、また硬化物
も白濁、不均一であり、良好な硬化物フィルムは得られ
なかった。
【0082】(比較例6)エポキシ樹脂(エピクロン8
50)100g、エポキシ樹脂硬化剤(エピクロンB−
053)20g、酸化ホウ素粉末(関東化学株式会社製
試薬特級)9.1g(エポキシ樹脂硬化物全量に対して
7重量%)、THF70gを用いた以外は、実施例1と
同様にしてエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を調製し
た。調製中に酸化ホウ素粉末が沈殿凝集しやすく、得ら
れたエポキシ樹脂硬化物は半透明であり、硬化物の動的
粘弾性測定によるtanδmaxの温度は89℃であっ
た。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【発明の効果】本発明は、電子・電気材料、成形材料、
塗料、接着剤などに有用な、耐熱性、高ガラス転移温
度、低熱膨張などの熱物性、強度・弾性率などの力学物
性、透明性・均一性などに優れた特性を有する、エポキ
シ樹脂組成物及びその硬化物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1で得られたエポキシ樹脂
硬化物の貯蔵弾性率(E’)とtanδの温度分散を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/55 C08K 5/55 Fターム(参考) 4J002 CD001 CD011 CD021 CD051 CD061 CD071 CD091 CD101 CD121 CD131 DE029 DK007 EC038 ED028 EE038 EL068 EN026 EN036 EN046 EN066 EN076 EP016 EP018 EU028 EY017 FD146 FD150 GH01 GJ01 GQ00 4J036 AA01 DC02 FA06 FA10 FA14 JA01 JA06 JA07

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 {[(C)+(D)]のB換算
    量}×100/{(A)+(B)+[(C)+(D)]
    のB換算量}で表されるB換算ホウ素含有
    量(X)が2〜30重量%であることを特徴とする、エ
    ポキシ樹脂(A)と、エポキシ樹脂硬化剤(B)とホウ
    酸(C)及び/又はホウ酸エステル(D)とを必須成分
    とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ホウ酸エステル(D)が、一般式(1)
    で表される加水分解性のホウ素アルコキシド又はその部
    分加水分解物であることを特徴とする請求項1に記載の
    エポキシ樹脂組成物。 一般式(1) 【化1】B−(OR)(OH)3−n (式中、nは1〜3までの整数、RはCmH2m+1の
    アルキル基、mは1以上の整数を表す)
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂硬化剤(B)が、アミン系
    硬化剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    エポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 更に有機溶剤(E)を含む請求項1〜3
    のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 有機溶剤(E)が低級アルコールである
    ことを特徴とする請求項4に記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 ホウ酸エステル(D)に対して0.5〜
    3倍モルの水(F)を含むことを特徴とする、請求項1
    〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 含まれるホウ素酸化物が100nm以下
    の大きさで均一に微分散していることを特徴とする、請
    求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物
    を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物。
  8. 【請求項8】 {ホウ酸(C)及び/又はホウ酸エステ
    ル(D)}を含まない以外は同一の成分を有するエポキ
    シ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度に比べて、50
    ℃以上高いガラス転移温度を有することを特徴とする、
    請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得ら
    れるエポキシ樹脂硬化物。
  9. 【請求項9】 ガラス転移温度が150℃以上であるこ
    とを特徴とする、請求項8に記載のエポキシ樹脂硬化
    物。
  10. 【請求項10】 {ホウ酸(C)及び/又はホウ酸エス
    テル(D)}を含まない以外は同一の成分を有するエポ
    キシ樹脂組成物の硬化物の引っ張り強度に比べて、10
    MPa以上高い引っ張り強度を有することを特徴とす
    る、請求項7〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂
    組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物。
  11. 【請求項11】 {ホウ酸(C)及び/又はホウ酸エス
    テル(D)}を含まない以外は同一の成分を有するエポ
    キシ樹脂組成物の硬化物の弾性率に比べて、300MP
    a以上高い弾性率を有することを特徴とする、請求項7
    〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化
    させて得られるエポキシ樹脂硬化物。
  12. 【請求項12】 {ホウ酸(C)及び/又はホウ酸エス
    テル(D)}を含まない以外は同一の成分を有するエポ
    キシ樹脂組成物の硬化物に比べて、ガラス転移温度と引
    っ張り強度と弾性率のいずれもが20%以上増加してい
    ることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記
    載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られるエポキシ
    樹脂硬化物。
  13. 【請求項13】 大きさ100nm以下のホウ素酸化物
    が均一に微分散しており、引っ張り強度が50MPa以
    上、且つ弾性率が1.4GPa以上であることを特徴と
    する、請求項7〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹
    脂組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物。
  14. 【請求項14】 厚さ100μmの硬化物の波長600
    nmでの透過率が80%以上であることを特徴とする、
    請求項7〜9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成
    物を硬化させて得られる、透明なエポキシ樹脂硬化物。
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