JP3642362B2 - フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂とその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、力学的特性、電気・電子特性などに優れたフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂組成物とその製造法に関するものであり、本発明のフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂は、IC封止材や、ガラス・エポキシ樹脂積層板、コーティング材等の電気・電子部品、また機械部品、精密機械部品、自動車部品、または土木建築用材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エポキシ樹脂はその優れた物性や作業性から幅広い分野で用いられている。その中で特に、フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂は硬化時のガスの発生が少なく、耐熱性、耐薬品性や電気特性に優れた硬化物を与えることより、特に電気・電子部品分野や機械部品分野などで広く用いられている。また、フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂にガラス繊維、ガラス粒子、マイカ等のフィラーを混合した複合材も同様に広く用いられている。
【0003】
しかしながら、より精密な電子部品産業や機械材料分野の進歩に伴い、更に優れた特性を有するエポキシ樹脂が求められてきている。具体的には、フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂は、電気・電子特性に優れるものの、その強度、弾性率、靱性などの力学特性の更なる向上や接着性、耐熱性、摺動性などの諸特性の兼備が求められている。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】
従って、本発明が解決しょうとする課題は、強度、弾性率、靱性、接着性、耐熱性、摺動性に優れるフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂及びその製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、エポキシ樹脂硬化剤としてフェノール樹脂を用い、該フェノール樹脂もしくは、それとエポキシ樹脂を混合したものの溶液中で、シリコンアルコキシドの加水分解・重縮合反応を進めることにより、フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂中に0.002〜2μm径の微細なシリカ微粒子を均質に複合化させることができること、及び該硬化物が力学物性や耐熱性に優れた特性を示すことを見いだして、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、フェノール樹脂溶液中でシリコンアルコキシドの加水分解・重縮合を行わせて得られたフェノール樹脂とシリカとの複合体を硬化剤として、エポキシ樹脂と混合し硬化させることを特徴とする、フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂の製造法である。
【0007】
本発明のフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂の製造法は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対するフェノール樹脂のOH当量比が、0.8〜1.25であることを特徴とするものであり、また、用いるフェノール樹脂が、特にノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、本発明の製造法によって得られる、樹脂内部にシリカが粒径が2nm〜2000nmで含有分散しており、且つそのシリカ含有量が1重量%〜20重量%であることを特徴とする、フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂である。
【0009】
更に、本発明は、フェノール樹脂と、シリコンアルコキシドと、水と、触媒とを含有し、且つ、フェノール樹脂100重量部に対して、シリコンアルコキシドを2.5〜60重量部含有し、水をシリコンアルコキシドに対して0〜8倍モル、触媒をシリコンアルコキシドに対して0〜0.5倍モル含有してなるエポキシ樹脂硬化用のフェノール樹脂組成物を含むものである。
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するものであり、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂を用いることが可能なエポキシ樹脂が使用できる。具体例を挙げれば、例えば、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、テトラブロモビスフェノール−Aなどのビスフェノール型、ターシャリブチルフェノール、ターシャリアミルフェノール、ターシャリヘキシルフェノールなどのアルキルフェノール型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型等を挙げることができる。これらは単独或いは2種以上を併用してもよい。
【0011】
本発明におけるシリコンアルコキシドは、一般式、Si(OR)4 (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表わす)で示されるシリコンアルコキシドモノマーの他、それらを、部分加水分解重縮合した低縮合物を利用することもできる。部分加水分解縮合物は平均分子量2000程度の市販の低縮合物を用いてもよいし、またシリコンアルコキシドモノマー又は市販の低縮合物に、水と溶媒と必要によって酸触媒を混合し、ゲル化する以前の所定の時間攪拌保持する方法などによって得ることができる。
【0012】
縮合の度合いは、用いるシリコンアルコキシドの種類や目的により異なるため、一概には規定されないが、用いたシリコンアルコキシド溶液のゲル化時間の80%以下の反応時間によって得られるものが好ましい。
【0013】
80%以上では以後の複合化において短時間で粘調となるため均質なゾル液を得難く好ましくない。また、シリコンアルコキシドとして、Siと結合しているアルコキシ基の1つ、もしくは2つがアルキル基となったシリコンアルキルアルコキシドをいずれも20モル%以下の割合でシリコンテトラアルコキシドと併用して用いることも可能である。
【0014】
シリコンアルコキシドのフェノール樹脂溶液への添加量は用いるシリコンアルコキシドの種類や使用目的によって一概には規程できないが、通常、最終的に組成物中に残存する酸化珪素として1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%が良好である。
【0015】
本発明では溶解性の十分高い有機溶媒を用いてフェノール樹脂とシリコンアルコキシド、もしくはフェノール樹脂とエポキシ樹脂とシリコンアルコキシドを含む均質なゾル溶液を作ることが好ましい。
【0016】
本発明に用いる有機溶媒としては、フェノール樹脂とエポキシ樹脂とシリコンアルコキシドを均質に溶解しうる各種有機溶媒が用いられ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)などのエーテル系、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド系、アセトンや2−ブタノン(MEK)などのケトン系、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、或いはメチルエチルセルソルブやヘキサンやシクロヘキサンなどのハイドロカーボン系、トルエン、キシレン、m−クレゾール、ベンゼン、ニトロベンゼンなどのアロマティック系、クロロホルムやジクロロエタンなどのハロゲン系などの有機溶媒が使用される。
【0017】
本発明において、使用する有機溶媒量については特に限定されないが、通常、全有機溶媒量はゾル溶液全体の10〜95重量%の範囲で用いられる。
本発明においては、エポキシ樹脂硬化剤としてフェノール樹脂硬化剤を用いることが必要であり、好ましくはノボラック型フェノール樹脂硬化剤が用いられる。即ち、該フェノール樹脂を用いることによりシリコンアルコキシドの in-situでの均質な加水分解重縮合反応が可能となり、それにより得られる酸化珪素をエポキシ樹脂中に均質に微細分散させることが可能となる。
【0018】
本発明に用いるノボラック型フェノール樹脂としては、例えばOH当量が100〜160のものであり、添加量は必ずしも限定されないが、好ましくはエポキシ当量に対するフェノール樹脂のOH当量として0.8〜1.25の範囲が用いられる。
【0019】
本発明においては、シリコンアルコキシドの加水分解重縮合反応の為に水を、通常、アルコキシド1モル当たりに対して、0〜8倍モルの範囲で添加される。8モルを越える場合、複合体にクラック等が発生し易くなり好ましくない。また、水を添加しない時は、空気中の湿気により加水分解重縮合が行われる。また、加水分解・重縮合促進のために塩酸、ルイス酸などの酸触媒やアンモニア、その他アミンなどのアルカリ触媒を本発明が目的とする効果を損なわない範囲内で使用することが可能である。
【0020】
また、本発明では、本発明の組成物に加えて、フェノール樹脂系硬化剤として通常知られているエポキシ樹脂の硬化促進剤を、通常エポキシ樹脂に対して0.1〜0.5重量部用いることも可能である。かかる硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾル、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられる。
【0021】
本発明におけるノボラック型フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂の製造法の概略を示すと、ノボラック型フェノール樹脂を溶媒中に溶解し、必要に応じて水及び/または触媒を含むシリコンアルコキシドの溶液を所定量添加し均質混合ゾル溶液を調製する。当該ゾル溶液がゲル化する前に、更にエポキシ樹脂、硬化促進剤や溶媒を加え混合均質溶液を得る。
【0022】
また、別の方法としては、ノボラック型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを予め均一液とした後に、必要に応じて水及び/または触媒を含むシリコンアルコキシドの溶液を所定量添加し混合均質溶液とする。その後、いずれの方法においても該混合均質溶液を用いて塗布、注入等の操作を行った後、通風、加熱、減圧、或いは密封等の状態で更なるシリコンアルコキシドの加水分解・重縮合反応及び樹脂の硬化反応、溶媒除去などを進めることで、マクロに相分離を生じない均質なフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂を得る。
【0023】
最終的に100〜250℃、好ましくは150〜200℃で高温熱処理を行うことにより、優れた特性を持つ硬化物を得ることが可能である。
本発明により得られるフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂は、含まれる酸化珪素が数ミクロン径以上に大きかったり、またはマクロ的に凝集することなく、樹脂マトリックス中に均質に微細分散したものであり、優れた耐熱性、耐溶剤性、力学的特性等が出現する。
【0024】
本発明のフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂中に分散含有される微細粒子の大きさは、0.002〜5μm、好ましくは0.002〜2μmである。5μmを越える場合、伸び、強度等の力学強度の特性が低下するため好ましくない。また、0.002μm未満については測定限界を越える為に特に規定できなかったが、0.005μm未満のシリカが本発明のフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂中に含まれていても何等、問題はない。
【0025】
本発明により得られるフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂において、酸化珪素粒子が0.4μm未満、好ましくは0.2μm未満の大きさで微細分散したものは、市販の金属酸化物(例えば、シリカ、チタニア等)の微細粒子を混合・分散させたものに比べて、非常に透明性に優れる。
【0026】
なお、透明性は下記の式1による光透過率で評価した。
(式1)
光透過率(%)(膜厚100μm)=exp{(0.1/d)・ln(x/100)}×100
(式中、dは膜厚(mm)、xは膜厚dの状態での光透過率(%)である。)
【0027】
本発明により得られる樹脂は耐熱性、耐溶剤性の他、引張・曲げなどの力学的特性に優れ、特に、強度、弾性率に優れた複合体を提供する。また本発明により得られるフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂はバインダーとして、更に市販のガラス繊維やガラス粒子等と複合化して用いることができ、それら充填剤と良好な界面を有し良好な複合体となる。
【0028】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例だけに限定されるべきものでない。
【0029】
(実施例1及び2)
ノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、バーカムTD2090)4.8gを2−ブタノン(MEK)(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)15gに溶解したフェノール樹脂溶液に、実施例1ではテトラメトキシシランの低縮合物(平均分子量=800)1.05gと水0.15gを5gのMEKに溶解させた溶液を23℃で混合攪拌し均質ゾル溶液とした。
【0030】
実施例2では3.10gのテトラメトキシシランの低縮合物(平均分子量=800)と0.44gの水を7gのMEKに溶解させた溶液を23℃で混合攪拌し均質ゾル溶液とした。これらの均質ゾル溶液を23℃/40RH%にて14日間保持しテトラメトキシシランの低縮合物の加水分解反応・重縮合を更に進めた。
【0031】
その後、実施例1ではビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 850)8.7gと硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)0.04gを、実施例2ではビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 850)8.9gと硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)0.044gを各々上記均質ゾル液に加え2時間攪拌後、室温(25℃、35RH%)でキャストした。
【0032】
これを150℃にて3時間熱処理を行う事によりフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂を得た。セイコー電子工業株式会社製のTG/DTA 220型を用いて、空気気流下、約10mgのサンプルを10℃/分の速度で1000℃まで加熱し、更に、1000℃で30分保温した後の灰分重量からTGA残量測定を行ったところ、実施例1では約3.7重量%のシリカ残存量が、実施例2では約9.9重量%シリカ残存量が確認された。
【0033】
日立製作所株式会社製のS−800型光走査型電子顕微鏡(SEM)により、複合体の断面観測を行った結果、実施例1では200〜300nmの微細粒子が均質分散しているのが観測され、複合体はやや白濁化しており、日立製作所株式会社製のU−3500を用いた膜厚100μmでの可視光域での光透過率は83%であった。
【0034】
実施例2では300〜500nmの微細粒子が均質分散しているのが観測され、複合体は白濁化しており、膜厚100μmでの可視光域での光透過率は55%であった。複合体の引張試験(サンプル形状=8mm×45mm×厚み0.25mm:スパン距離20mm)により得られた力学物性は、実施例1では弾性率=129kgf/mm2,強度=5.27kgf/mm2、伸び=6.34%であり、実施例2では弾性率=180kgf/mm2,強度=3.43kgf/mm2、伸び=2.89%であり、シリカを含まないフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂での値(弾性率=119kgf/mm2,強度=2.87kgf/mm2、伸び=2.17%)をいづれも上回った。
【0035】
(実施例3)
ノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、バーカムTD2090)4.8gを2−ブタノン(MEK)(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)18gに溶解したフェノール樹脂溶液に、テトラメトキシシラン(TMOS、東京化成株式会社製)1.37gと水0.65gを2gのMEKに溶解させ、この溶液を30℃で8時間攪拌し保持した(本溶液は30℃で80時間攪拌保持することで溶液がゲル化する。
【0036】
従って、ここではその10%の時間反応を進ませたことになる。)。その後、ビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン850)8.8gと硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)0.04gを上記均質ゾル液に加え2時間攪拌後、25℃、35RH%にて1日キャストした。
【0037】
これを150℃にて3時間熱処理を行う事によりフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂を得た。実施例1と同様な熱重量測定(TGA)を行ったところ、約9.65重量%のシリカ残存量が確認された。フィルムの引張試験(サンプル形状=8mm×45mm×厚み0.25mm:スパン距離20mm)により得られた力学物性は、弾性率=126kgf/mm2,強度=4.12kgf/mm2、伸び=3.86%であり、シリカを含まないフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂での値(弾性率=119kgf/mm2,強度=2.87kgf/mm2、伸び=2.17%)を上回った。
【0038】
(比較例1)
ノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、バーカム TD2090)4.8gを2−ブタノン(MEK)(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)15gに溶解したフェノール樹脂溶液に、ビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 850)9.0gと硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)0.04gを、上記均質ゾル液に加え2時間攪拌後、25℃、35RH%でキャストした。
【0039】
これを150℃にて3時間熱処理を行う事によりフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂を得た。フィルムの引張試験(サンプル形状=8mm×45mm×厚み0.25mm:スパン距離20mm)により得られた力学物性は、弾性率=119kgf/mm2,強度=2.87kgf/mm2、伸び=2.17%であった。
【0040】
(比較例2)
シリカ微粒子(商品名MKCシリカ:粒径1.7μm:三菱化成株式会社製)3.8gをノボラック型フェノール樹脂(TD2090)4.8gを溶解させたMEK中に均質になるように攪拌混合した。混合液は放置しておくとガラスと樹脂溶液の比重差により不均質となった。
【0041】
混合液を調製後すぐにエポキシ樹脂(エピクロン 850)8.7g及び硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.04gを加え十分攪拌した後室温にてキャストしその後150℃にて3時間熱処理を行った。得られたフィルムは、白濁不透明でガラスが不均質に凝集、分布したものになった。その力学物性はシリカ粒子の不均質な凝集があるために樹脂単体の値よりも低く、しかも値にはばらつきが大きかった。
【0042】
(比較例3)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 850)10gと硬化剤として脂肪族ポリアミン(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン B−053)2gをテトラヒドロフラン(THF、東京化成工業株式会社製、特級試薬)5gに溶解し混合溶液とした。次いで本混合溶液中に、3gのエタノールにテトラメトキシシラン(TMOS:和光純薬工業株式会社製、特級試薬)3.7g、水1.78gを混合した均一溶液を滴下した。TMOS滴下と同時にゾル液が白濁・沈澱してハイブリットを得ることができなかった。
【0043】
(比較例4)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 850)8.8gと硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)0.04gを2−ブタノン(MEK)(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)3.8gに溶解した混合液中に、テトラメトキシシランの低縮合物(商品名:MS51)1.05gと水0.15gとを0.5gのMEKに溶解させた溶液を室温状態で混合攪拌し均質ゾル溶液とし、素早くキャストした。これを150℃にて3時間熱処理を行う事によりシリカを含むエポキシ樹脂を得た。得られたフィルムには、不均質な凝集が起こり良好なフィルムを得る事ができなかった。
【0044】
(比較例5)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロン 850)10gとノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、バーカム TD2093)5.5gをテトラヒドロフラン(THF)(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)15gに溶解し混合溶液とした。次いで本混合溶液中に、3gのTHFにテトラエチルオルトチタネート(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)2.2gを混合した均一溶液を添加したところ、テトラエチルオルトチタネートの滴下時にゲル化が生ずると共に沈澱が起こり、均質なサンプルが得られなかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、強度、弾性率、靱性、接着性、耐熱性、摺動特性等に優れるフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂及びその製造法を提供することができる。
Claims (5)
- フェノール樹脂溶液中でシリコンアルコキシドの加水分解・重縮合を行わせて得られたフェノール樹脂とシリカとの複合体を硬化剤として、エポキシ樹脂と混合し硬化させることを特徴とする、フェノール樹脂硬化エポキシ樹脂の製造法。
- エポキシ樹脂のエポキシ当量に対するフェノール樹脂のOH当量比が、0.8〜1.25であることを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂の製造法。
- フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂の製造法。
- シリカの粒径が2nm〜2000nmであり、シリカ含有量が1重量%〜20重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の製造法により得られるフェノール樹脂硬化エポキシ樹脂。
- フェノール樹脂と、シリコンアルコキシドと、水と、触媒とを含有し、且つ、フェノール樹脂100重量部に対して、シリコンアルコキシドを2.5〜60重量部含有し、水をシリコンアルコキシドに対して0〜8倍モル、触媒をシリコンアルコキシドに対して0〜0.5倍モル含有する組成物中で、シリコンアルコキシドの加水分解・重縮合を行わせて得られる複合体からなるエポキシ樹脂硬化剤。
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