JP2008274013A - 硬化性エポキシ樹脂組成物およびその製造法 - Google Patents

硬化性エポキシ樹脂組成物およびその製造法 Download PDF

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Hiroharu Oda
弘治 小田
Koichi Ochi
光一 越智
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Abstract

【課題】金属アルコキシドをエポキシ樹脂中に導入して均一に複合化することにより、エポキシ樹脂の透明性を維持しつつ、耐熱性、機械特性、高屈折率が付与された硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂(A)及び下記の(b−1)と(b−2)の縮合反応生成物(B)を含有する硬化性エポキシ樹脂組成物。
(b−1)チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属アルコキシドの加水分解部分縮合物、
(b−2)1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基またはエポキシ基と反応する基と、少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基とを同時に有するシラン化合物。
【選択図】なし

Description

本発明はエポキシ樹脂および金属アルコキシドからなる硬化性エポキシ樹脂組成物、およびその製造法に関し、さらにはかかる硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる透明性、耐熱性に優れ、高屈折率を有する硬化物に関するものである。
エポキシ樹脂は、電気的特性、機械的特性、熱的特性に優れており、電気・電子材料、塗料、接着材料、成形材料、および土木材料など多岐に渡って用いられている。またエポキシ樹脂は透明性にも優れており、光半導体用の封止樹脂などの光学用途にも幅広く用いられてきた。しかしながら、エポキシ樹脂に要求される諸特性は、近年ますます厳しいものとなっており、エポキシ樹脂単独でそれらの要求物性を満足することは困難なものとなってきている。そこでエポキシ樹脂にシリカやシルセスキオキサンなどの無機材料を複合化した、いわゆる有機−無機ハイブリッド材料が提案され、耐熱性、強度、寸法安定性などの物性の改善が図られている(例えば特許文献1参照)。
一方、封止材やレンズ材などの光学用途においては、近年、光取り出し効率の向上や、成型品の薄肉化(軽量化)がますます求められるようになり、屈折率の高い材料が志向されている。樹脂材料の屈折率を高くする方法の一つとして、酸化チタンなどの高屈折率の金属酸化物微粒子を複合化する方法が検討されている(例えば特許文献2参照)。エポキシ樹脂についても酸化チタンなどの金属酸化物との複合化の例は多く知られている。
特許文献3および4には、エポキシ樹脂中で金属アルコキシドを加水分解、縮合することにより得られるエポキシ樹脂−金属酸化物複合体が開示されている。本材料は透明性に優れ、LED封止材料に好適に使用できるとされている。しかし、金属アルコキシドの加水分解、縮合反応の触媒として用いられるアミン化合物や有機金属化合物は、エポキシ基の開環反応をも促進するため、エポキシ樹脂中で金属アルコキシドを加水分解、縮合する際エポキシ樹脂の硬化反応が同時に進行してしまい、均一な硬化体を作業性良く得ることは難しい。またこれらの特許文献の実施例においては、金属アルコキシドとしてアルコキシシランの使用例しか示されていない。ケイ素に比べてチタンやジルコニウムのアルコキシドは反応性が極めて高く、また得られる酸化チタンや酸化ジルコニウムは表面の電位が低いため、生成した微粒子が急激に生長して凝集を起こしやすい。そのためこれらの金属酸化物を微粒子のままエポキシ樹脂中に均一に分散することはケイ素の場合と比べて格段に困難となる。
特許文献5においても、エポキシ樹脂、硬化剤、アルコキシチタンを含有するエポキシ樹脂組成物が開示されているが、このように単にアルコキシチタンを加えるだけで何ら工夫を施さない組成物においては、チタンアルコキシドから得られる酸化チタンが凝集により比較的大きな粒子を形成してしまい、透明な材料を得ることは困難である。特に酸化チタンの添加量を増やすほどその傾向は顕著となる。
特許文献6にはチタネート系カップリング剤を併用してチタンアルコキシドとエポキシ樹脂を複合化した硬化性樹脂組成物が開示されている。しかし、一般にチタネート系カップリング剤は黄色〜褐色に着色しており、光学材料を目的とした樹脂組成物の調製に用いるには適さない。
特許文献7および8においては、アミン系硬化剤を用いた場合のエポキシ樹脂と金属アルコキシドの複合化法が記載されている。しかし、アミン系硬化剤は硬化物の着色を引き起こしやすく、硬化物を光学材料として使用する場合の硬化剤としては適していない。
以上の特許文献3〜8に開示されたすべてのエポキシ樹脂組成物については、金属酸化物との複合化により強度、耐湿性、耐熱性、抗菌性等の物性が付与されているが、屈折率などの光学特性については何ら記載がない。
特許文献9には、エポキシ樹脂組成物中に平均粒子径が5〜30μmとなるように粉砕されたシリカ−チタニアガラス粒子を添加することにより、硬化物の線膨張係数を低減する技術が開示されている。一般に充填剤の粒径がこのように大きくエポキシ樹脂中に微分散しない場合、エポキシ樹脂との界面での光の散乱や反射が大きくなり、光透過性の高い材料は得られなくなる。本技術においては、シリカ−チタニアガラスの使用は、充填剤の屈折率をエポキシ樹脂の屈折率に可能な限り近づけることにより高い光透過性を得ることが目的であり、高屈折率を有する材料を得ることがその目的ではない。
特開平10 −298405号公報 特開2003−073559号公報 特開平06 −239964号公報 特開2006−070266号公報 特開2000−319362号公報 特開2002−187935号公報 特開平08 −100107号公報 特開2005−036080号公報 特開平03 −259948号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、金属アルコキシドをエポキシ樹脂中に導入して均一に複合化することにより、エポキシ樹脂の透明性を維持しつつ、耐熱性、高屈折率を付与することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、金属アルコキシドの加水分解部分縮合物に対し特定の官能基を有するシラン化合物を縮合させて得られる反応生成物が、エポキシ樹脂との複合化に好適であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に記載するとおりの硬化性エポキシ樹脂組成物、その硬化物及びその製造方法を提供するものである。
(1)エポキシ樹脂(A)、および下記の(b−1)と(b−2)との縮合反応生成物(B)を含有する硬化性エポキシ樹脂組成物。
(b−1)チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びアルミニウムアルコキシドよりなる群から選ばれた少なくとも1つの金属アルコキシドの加水分解部分縮合物、
(b−2)1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基またはエポキシ基と反応する基と、少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基とを同時に有するシラン化合物、
(2)さらにエポキシ樹脂硬化剤(C)を含むことを特徴とする(1)の硬化性エポキシ樹脂組成物。
(3)(b−2)におけるエポキシ基と反応する基がアミノ基、メルカプト基、酸無水物基よりなる群から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする(1)又は(2)の硬化性エポキシ樹脂組成物。
(4)チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びアルミニウムアルコキシドよりなる群から選ばれた少なくとも1つの金属アルコキシドを水の共存下に加水分解部分縮合反応させて加水分解部分縮合物(b−1)を得る第1工程、第1工程で得られた(b−1)に対し、1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基またはエポキシ基と反応する基と、少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基とを同時に有するシラン化合物(b−2)を縮合反応させる第2工程及び第2工程で得られた縮合反応生成物(B)をエポキシ樹脂(A)に添加する第3工程からなることを特徴とする(1)記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の製造法。
(5)(1)〜(3)の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物であって、金属アルコキシド由来の金属の含有量が、金属酸化物に換算して5〜50質量%であることを特徴とする硬化物。
(6)波長589.3nmにおける屈折率が1.56以上であることを特徴とする(5)の硬化物。
(7)(6)の硬化物からなる光学部材。
本発明によれば、透明性、耐熱性に優れ高屈折率を有する硬化性エポキシ樹脂組成物、およびその硬化体が提供される。本材料は、封止材料や各種レンズ材料、反射防止膜などのコーティング材料、光導波路、光学用接着剤、ディスプレイ基板、光ディスク基板などの光学部材として好適に使用できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の(A)成分として用いられるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであり、公知のエポキシ樹脂が使用できる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テトラフェニロールエタン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらフェノール系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の芳香環を水添して得られる水添エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールなどのアルコール系のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロ無水フタル酸やダイマー酸などを原料としたグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントイン、イソシアヌル酸、ジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂;3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物などの脂環式エポキシ樹脂;1,3−ビス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラキス[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどのエポキシシリコーン化合物等を挙げることができ、これらは単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中で特にビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好適に使用される。
本発明の(B)成分は以下の(b−1)と(b−2)の縮合反応により得られる反応生成物である。
(b−1)チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属アルコキシドの加水分解部分縮合物
(b−2)1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基またはエポキシ基と反応する基と、少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基を同時に有するシラン化合物
本発明の(B)成分は(A)成分に対し耐熱性や高い屈折率を付与する成分であり、(A)成分であるエポキシ樹脂に対し、その透明性を損なわずに均一に複合化できることが必要であると同時に、少量の添加で効率よく屈折率を向上できることが好ましい。そのためにはまず(B)成分の前駆体である(b−1)成分を有機溶媒に可溶なオリゴマーとして得る。予めオリゴマー化しておくことにより、金属アルコキシドを直接モノマーのまま使用するよりも高屈折率が達成でき、しかも有機溶媒に可溶であることから(A)成分に対する溶解性に優れる。一方(A)成分に添加した(b−1)成分は、その硬化の過程で金属酸化物に転換されると考えられるが、生成する金属酸化物のドメインサイズが大きくなると硬化物の透明性が損なわれるという問題を有する。そこで(b−1)成分を(b−2)成分で処理することにより金属酸化物のドメインサイズの生長を抑制し高い添加量でも透明性を損なわずに均一な分散を達成することができる。このように本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、(b−1)成分を調製する第1工程、(b−1)成分と(b−2)成分から(B)成分を調製する第2工程、そして(B)成分を(A)成分に添加する第3工程を経て製造されるものである。
(b−1)成分について詳細に説明すると、(b−1)成分の調製に用いられる金属アルコキシドの具体例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンt−ブトキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリs−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの中でも特にチタンテトライソプロポキシドとチタンテトラn−ブトキシドが適度な反応性を有し、かつ高屈折率化に有利であることから良好に使用できる。
(b−1)成分は、これらの金属アルコキシドの1種または2種以上を加水分解と同時に部分縮合することにより調製される。加水分解部分縮合反応の条件は特に限定されるものではないが、代表的な条件として以下が挙げられる。加水分解に使用される水の量は、金属アルコキシド1モルに対し1〜2モルとすることが好ましく、1〜1.7モルがより好ましい。また反応温度は−20〜90℃、より好ましくは−5〜50℃、さらに好ましくは0〜20℃の範囲である。加水分解部分縮合反応は好ましくは有機溶媒中で行われる。
かかる有機溶媒としては、(b−1)成分から調製される(B)成分と、(A)成分のエポキシ樹脂を共に均一に溶解するものであることが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン系極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒から選ばれる1種または2種以上を混合して使用する。特に好ましい溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒やテトラヒドロフランである。
また加水分解部分縮合反応には塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸などから選ばれる酸触媒や、アンモニアやアミンなどの塩基触媒を併用することができる。触媒の使用量は、金属アルコキシド1モルに対し0.001〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.2モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モルの範囲である。加水分解部分縮合に要する反応時間は、触媒の種類や使用量にもよるが0.1〜30時間、より好ましくは0.2〜10時間、さらに好ましくは0.2〜5時間の範囲である。(b−1)成分あるいは(b−1)成分の原料として、金属アルコキシドオリゴマーあるいはポリマーとして市販されている化合物を使用することもできる。例えば、日本曹達(株)よりチタンポリマーとして市販されているチタンテトライソプロポキシドやチタンテトラn−ブトキシドの重合体が好適に使用される。
(b−2)成分は1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基またはエポキシ基と反応する基と、少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基を同時に有するシラン化合物であり、エポキシ基と反応する基として特に反応性に優れたアミノ基、メルカプト基、酸無水物基が選択される。(b−2)成分に用いられるシラン化合物の具体例としては、エポキシ基を有するものとして3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられ、エポキシ基と反応する基を有するものとして3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)メチルジメトキシシラン、N−[N’−(2−アミノエチル)(2−アミノエチル)](3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(2−アミノエチル)チオエチルトリエトキシシラン、2−(2−アミノエチル)チオエチルメチルジエトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、ピペラジノメチルトリメトキシシラン、ピペラジノメチルトリエトキシシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペラジノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物などが挙げられる。
本発明の(B)成分は、上記(b−1)成分に対し(b−2)成分を縮合させることにより得られる。かかる縮合反応の方法としては、下記(I)又は(II)のいずれかの方法によることが好ましい。
(I)上記有機溶媒中で調製した(b−1)成分に(b−2)成分を直接加える方法
(II)(b−2)成分のアルコキシ基の一部または全部を予め加水分解しシラノール基に変換してから(b−1)成分に添加する方法
(b−1)成分と(b−2)成分は、(b−1)成分中の金属原子に結合したアルコキシ基および/または水酸基と、(b−2)成分中のケイ素原子に結合したアルコキシ基および/または水酸基との間で、脱アルコール反応および/または脱水反応することにより縮合する。
(II)の方法を採用する場合、加水分解に使用する水の量は(b−2)1モルに対して1〜3モルの範囲で選ばれ、より好ましくは1モルである。加水分解を行う際に使用する溶媒としては(b−1)成分の調製に用いた溶媒と同一の溶媒を用いるか、無溶媒で行うことが好ましい。反応温度は−20〜90℃、より好ましくは−5〜50℃、さらに好ましくは0〜20℃の範囲で選ばれる。加水分解反応には(b−1)成分の調製時と同様に塩酸、硫酸、硝酸、ギ酸などから選ばれる酸触媒や、アンモニアやアミンなどの塩基触媒を併用することができるが、好ましくは(b−1)成分の調製に用いた触媒と同種の触媒を用いるか、無触媒で行う。触媒を使用する場合その使用量は(b−2)1モルに対し0.001〜0.5モル、より好ましくは0.01〜0.2モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モルの範囲である。加水分解に要する反応時間は、触媒の種類や使用量にもよるが0.1〜30時間、より好ましくは0.2〜10時間、さらに好ましくは0.2〜5時間の範囲である。
続いて(b−1)成分と(b−2)成分の縮合反応を行う。(b−1)成分と(b−2)成分の比は、(b−1)成分中の金属原子のモル数/(b−2)成分中のケイ素原子のモル数=1/4〜5/1、より好ましくは1/3〜4/1、さらに好ましくは1/2〜2/1の範囲で選ばれる。(b−2)成分の使用量がこの範囲よりも多くなると相対的に(b−1)成分の量が少なくなり屈折率の向上効果が得られにくくなる。逆に(b−2)成分の使用量がこの範囲よりも少なくなると、硬化物を調製した際に生成する金属酸化物のドメインが大きくなり透明性が失われるため好ましくない。(b−1)成分と(b−2)成分の縮合反応を行う条件としては、反応温度は−20〜90℃、より好ましくは−5〜50℃、さらに好ましくは0〜20℃の範囲で選ばれ、反応時間は、0.1〜30時間、より好ましくは0.2〜10時間、さらに好ましくは0.2〜5時間の範囲である。縮合反応の触媒として(b−1)成分の調製の際と同様の触媒を使用することができる。(b−1)成分の調製に使用した触媒が系中に残存している場合は、新たに触媒を添加せず縮合反応を行うことも可能である。
以上述べた(b−1)成分の調製、(b−2)成分の加水分解、(b−1)と(b−2)の縮合反応は核磁気共鳴分析法(H−NMR法)により追跡することができる。
(b−1)成分に(b−2)成分を反応させるに当たり、その他のシラン類として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、メチルシクロペンチルジメトキシシラン、メチルシクロペンチルジエトキシシラン、およびこれらの部分縮合物を併用することができる。特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびその部分縮合物が好適に使用できる。
(b−1)成分と(b−2)成分の縮合により得られた(B)成分は(A)成分であるエポキシ樹脂に添加される。(B)成分が有機溶媒に溶解している場合には、かかる溶液を(A)成分と均一に混合した後有機溶媒を例えば減圧下に除去するか、予め有機溶媒を減圧下に除去した後(A)成分と混合すればよい。
(b−2)成分としてエポキシ基を有するシラン化合物を使用した場合には、本硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させるに際し硬化剤(C)を使用する。一方、(b−2)成分としてエポキシ基と反応する基を有するシラン化合物を使用した場合には、(B)成分がエポキシ樹脂の硬化剤として作用しうる。しかしその機能を補助するため硬化剤(C)を併用することも可能である。
硬化剤(C)は通常エポキシ樹脂に対して使用されるものであればよく限定されない。また硬化剤(C)は一般に硬化促進剤として硬化剤と併せて用いられるものも含む。この硬化促進剤は触媒量の添加で硬化剤の反応を加速する役割を果たすものである。硬化剤(C)として用いられる化合物の具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、ジシアンジアミドなどのアミン系硬化剤;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシメチルナフタレン、ジヒドロキシジメチルナフタレン、トリスヒロドキシフェニルメタン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール系硬化剤;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸などの酸無水物系硬化剤;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール化合物及びそれらの塩;1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの三級アミンおよびそれらの塩;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物;スルホニウム、ヨードニウム、ジアゾニウム、アンモニウムなどから選ばれる少なくとも1種のカチオンと、BF 、PF 、SbF から選ばれる少なくとも1種のアニオンとから構成されるオニウム塩系のエポキシ基開環重合触媒等を挙げることができ、これらは単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中で特に酸無水物系硬化剤は透明性に優れたエポキシ樹脂硬化物を得るのに適しており、好適に使用できる。また、2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのカチオン系重合触媒も良好に使用できる。
(A)成分〜(C)成分の混合割合は以下のように決められる。まず(A)成分および(b−2)成分に由来するエポキシ基の合計量1モルに対し、(b−2)成分および(C)成分に由来するエポキシ基と反応する基の合計量が0.5〜2.0モル、より好適には0.7〜1.2モルとなるように決めることが好ましい。さらに(A)成分と(B)成分の混合割合は、(C)成分を含めた硬化物の質量を基準として、(b−1)成分に使用した金属アルコキシドから由来する金属の含有量が、金属酸化物に換算して5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%となるようにする必要がある。金属酸化物の量が5質量%未満では耐熱性や屈折率の向上が不充分である。また50質量%を超えると、機械物性が低下したり、透明性が損なわれる。(C)成分として触媒量で作用する化合物を使用する場合には、その使用量は(A)成分、(B)成分の合計の質量を基準にして0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%となる範囲で選ばれる。
(A)、(B)成分に対し(C)成分を混合する方法としては、共通の溶剤を使用する溶液混合法や、押出機、ミキサー、ニーダー、ロールを用いる方法が利用できる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、上記の(A)〜(C)以外に必要に応じ本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤、安定剤、反応性ないし非反応性の希釈剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、顔料、着色剤、蛍光体などを添加することができる。また熱膨張率、硬度、チキソ性などの諸物性の改良を目的として、シリカ(ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降性シリカなど)やガラスなどのフィラーを添加することができる。ガラスは、短繊維、長繊維、織布、不織布など形状に限定されず使用できる。種類もEガラス、Tガラス、Dガラス、NEガラスなど限定されない。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化方法には特に制限はなく、オーブンや熱プレスを用いる方法、トランスファー成形機を用いる方法など種々の方法が利用できる。硬化条件は、用いる硬化剤の種類にもよるが、20〜200℃、0.5〜10時間の範囲で適宜選択される。本発明の硬化物中には(B)成分に由来する金属酸化物が極めて小さなドメインを形成して分散していると考えられる。そのドメインの大きさは透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することができ、透明性の観点から1〜500nm、好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは5〜20nmの範囲にあることが望ましい。また本発明の硬化物の屈折率は、波長589.3nmにおいて1.56以上、好ましくは1.58以上、さらに好ましくは1.60以上であることが望ましい。
本発明の硬化物は、その耐熱性や高い屈折率を活かして、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、CDやDVDのピックアップ用レンズ、自動車ヘッドランプ用レンズ、プロジェクター用レンズなどのレンズ材料、LEDなどの封止材、光ファイバー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基板、ディスプレイ基板、反射防止膜などのコーティング材等、各種光学部材に好適に使用される。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
物性の測定は以下に述べる方法により行った。
(1)加水分解縮合反応の追跡
フーリエ変換核磁気共鳴分析装置(日本電子(株)製、JNM−GSX)を用いてH−NMRスペクトルを測定することにより行った。磁場強度は400MHz、積算回数は32回である。測定溶媒には重クロロホルム(CDCl)を、内部標準物質にはテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
(2)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ(株)製、NAR−2T)を用いて測定を行った。光源としてNa線単色光(589.3nm)、試験片とプリズム間の中間液としてイオウヨウ化メチレン(n=1.78)を用いた。試験片は硬化物を8×20×3mmの直方体状片に切り出し、耐水研磨紙2000番で研磨後、さらにアルミナで研磨したものを用いた。
(3)動的粘弾性測定
非共振強制振動型粘弾性測定解析装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用い、引っ張りモードで測定を行った。測定周波数は10Hz、振幅は5.0μm、昇温速度は2.0℃/min、測定温度範囲は−150〜250℃とした。試験片は30×4×0.3mmの帯状直方体のものを用いた。
(4)熱重量測定
示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイナノテクノロジー(株)製、TG/DTA6200)を用い室温から800℃までの重量変化を測定した。試料の初期重量は約10mgとし、白金パンを用いて空気流量250ml/min、昇温速度20℃/minで測定を行った。
[実施例1]
(1)まずチタンテトライソプロポキシドオリゴマーを以下の操作により調製した。
窒素ガスを充填したグローブボックス内でセパラブルフラスコにチタンテトライソプロポキシドを加え氷冷下で窒素ガスをパージしながら撹拌した。ここにイソプロパノール、蒸留水、塩酸の混合溶液を、モル比でTi(i−PrO):HO:HCl:i−PrOH=1.0:1.0:0.1:7.4となるように30分かけて滴下し、その後0℃、10℃、20℃で各2時間ずつ撹拌した。H−NMRを測定したところ、チタンテトライソプロポキシドでは4.5ppm付近にイソプロピル基のα位の水素に起因する鋭いピークが観測された。これに対し上記反応後は、4.5ppm付近のピークは消失し、4.6〜5.4ppm付近にブロードなピークが観察され、チタンテトライソプロポキシドが縮合反応を起こしオリゴマー化したことが示唆された。
(2)別のフラスコを用い、窒素下で3−アミノプロピルトリエトキシシランと1/3当量の蒸留水を混合し、20℃で3時間撹拌した。H−NMRを測定したところ、エトキシ基のα位のプロトンとプロピル基のα位のプロトンの積分比が2:1となり、1分子中の3個のエトキシ基のうち1個が加水分解されていることが確認できた。
(3)(1)で得られた溶液に(2)で得られた溶液を、モル比でTi/Si=1/2となるように添加し、窒素下20℃で3時間反応させ、無色透明な溶液を得た。この溶液のH−NMRを測定したところ、反応前の(1)で確認された4.6〜5.4ppmのピークはほぼ完全に消失しており、アミノシランが縮合していることが示唆された。
(4)グローブボックス内でビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、MW=380)に(3)で得られたアミノシラン変性チタンテトライソプロポキシドオリゴマーの溶液を、エポキシ基とアミノ基が化学当量になるように加え、均一に撹拌した。得られた溶液をグローブボックスから取り出し、アルミカップに注型し、減圧下に20℃、40℃、60℃でそれぞれ2時間ずつ加熱し溶媒を除去した。続いて常圧において100℃で4時間、150℃で4時間加熱し硬化させた。最後に減圧下に190℃で4時間加熱することにより後硬化を行い、透明な硬化物を得た。
[実施例2]
実施例1における(3)の操作においてTi/Siのモル比を1/1とした以外は実施例1と全く同様の操作を行い、透明な硬化物を得た。
[実施例3]
実施例1における(3)の操作においてTi/Siのモル比を3/2とした以外は実施例1と全く同様の操作を行い、透明な硬化物を得た。
[比較例1]
チタンテトライソプロポキシドオリゴマーは使用せず、3−アミノプロピルトリエトキシシランと化学当量のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、MW=380)のみから硬化物を調製した。硬化方法は実施例1の(4)の操作に従った。
実施例1〜3および比較例1で得られた硬化物の物性を表1にまとめた。
酸化チタン(TiO)の含有量は、熱重量測定で得られた800℃での残留成分の重量からSiとTiの仕込み比を用いて計算により求めた。耐熱性は、動的粘弾性測定で求めたガラス転移温度を尺度として用いた。実施例1〜3で得られた硬化物は良好な透明性と高い屈折率を有していた。また比較例1と比べ50℃以上のガラス転移温度の上昇が見られた。
[比較例2]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、MW=380)に化学当量のテトラエチレンペンタミンを添加し減圧下70℃で均一になるまで撹拌した。得られた混合物を厚さ3.2mmのスペーサーを挟んだガラス板の間に流し込み、減圧下70℃で4時間、常圧100℃で4時間、150℃で4時間硬化させた。その後さらに減圧下190℃で4時間後硬化を行い硬化物を得た。
[比較例3]
チタンテトライソプロポキシドモノマーの添加効果を以下の方法により確認した。窒素を充填したグローブボックス内においてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、MW=380)に化学当量のテトラエチレンペンタミンと、チタンテトライソプロポキシドを酸化チタン(TiO)換算で15質量%になるように添加し、減圧下70℃で均一になるまで撹拌した。得られた混合物を厚さ3.2mmのスペーサーを挟んだガラス板の間に流し込み、減圧下70℃で4時間、常圧100℃で4時間、150℃で4時間硬化させた。その後さらに減圧下190℃で4時間後硬化を行い硬化物を得た。
[比較例4、5]
チタンテトライソプロポキシドオリゴマーの添加効果を以下の方法により確認した。窒素を充填したグローブボックス内においてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、MW=380)に化学当量のテトラエチレンペンタミンと、実施例1の(1)の操作で得たチタンテトライソプロポキシドオリゴマーを酸化チタン(TiO)換算で6質量%および10質量%になるように添加し、均一になるまで撹拌した。得られた溶液をグローブボックスから取り出し、アルミカップに注型し、減圧下に20℃、40℃、60℃でそれぞれ2時間ずつ加熱し溶媒を除去した。続いて常圧において100℃で4時間、150℃で4時間加熱し硬化させた。最後に減圧下に190℃で4時間加熱することにより後硬化を行い、硬化物を得た。
チタンアルコキシドのモノマーを用いた比較例3では透明性の良好な硬化物が得られた。比較例3で得られた硬化物(TiO含有量15質量%)の屈折率を比較例2の硬化物(TiO含有量0質量%)と比べたところ、屈折率の上昇は0.02であった。これに対し実施例2で得られた硬化物(TiO含有量14.1質量%)の屈折率の上昇は比較例1(TiO含有量0質量%)に対して0.033であり、チタンアルコキシドオリゴマーを用いた方がチタンアルコキシドモノマーを用いた場合よりも屈折率の向上効果が高いことが判った。一方、比較例4、5では硬化物は白濁していた。これはチタンアルコキシドオリゴマーに対しシラン処理を施さないため、酸化チタンのドメインが硬化過程で生長して凝集を起こし、相分離したことが原因と考えられる。
以上の実施例および比較例から明らかなように、チタンアルコキシドの部分縮合物(オリゴマー)をまず調製し、それをシラン処理してからエポキシ樹脂と複合化することにより、透明性、屈折率、耐熱性に優れた硬化物が得られることが判った。
[実施例4]
3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりに3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いた以外はまったく同様にして実施例1の操作を繰り返し、透明な硬化物を得た。熱重量測定から求めたTiOの含有量は7.5質量%であり、屈折率は1.589であった。また動的粘弾性測定において、200℃までガラス転移温度は観測されなかった。
[実施例5]
3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりに3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物を用いた以外はまったく同様にして実施例1の操作を繰り返し、透明な硬化物を得た。熱重量測定から求めたTiOの含有量は7.9質量%であり、屈折率は1.561であった。また動的粘弾性測定において、200℃までガラス転移温度は観測されなかった。
[実施例6]
3−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりに2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを用い実施例1の(1)〜(3)の操作を繰り返し、エポキシシラン変性チタンテトライソプロポキシドオリゴマーの溶液を得た。グローブボックス内で、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダイセル化学工業(株)製、セロキサイド2021P)に、このエポキシシラン変性チタンテトライソプロポキシドオリゴマーの溶液を固形分で等質量になるように加え、さらに2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを含む硬化触媒((株)ADEKA製アデカオプトンCP−66)を固形分の全質量を基準にして0.5質量%加え、均一に攪拌した。得られた溶液をグローブボックスから取り出し、アルミカップに注型し、減圧下に20℃、40℃、60℃でそれぞれ2時間ずつ加熱し溶媒を除去した。続いて常圧において120℃で1時間、150℃で2時間加熱硬化させ、透明な硬化物を得た。熱重量測定から求めたTiOの含有量は8.5質量%であり、屈折率は1.572であった。また動的粘弾性測定において、200℃までガラス転移温度は観測されなかった。
実施例4〜6から明らかなように、チタンアルコキシドの部分縮合物(オリゴマー)を様々なシランで処理した後、エポキシ樹脂と複合化することにより、透明性、屈折率、耐熱性に優れた硬化物が得られることが判った。
Figure 2008274013
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化物は、その耐熱性や高い屈折率を活かして、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、CDやDVDのピックアップ用レンズ、自動車ヘッドランプ用レンズ、プロジェクター用レンズなどのレンズ材料、LEDなどの封止材、光ファイバー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基板、ディスプレイ基板、反射防止膜などのコーティング材等、各種光学部材に好適に使用される。

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂(A)、および下記の(b−1)と(b−2)との縮合反応生成物(B)を含有する硬化性エポキシ樹脂組成物。
    (b−1)チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びアルミニウムアルコキシドよりなる群から選ばれた少なくとも1つの金属アルコキシドの加水分解部分縮合物
    (b−2)1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基またはエポキシ基と反応する基と、少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基とを同時に有するシラン化合物
  2. さらにエポキシ樹脂硬化剤(C)を含むことを特徴とする請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
  3. (b−2)におけるエポキシ基と反応する基がアミノ基、メルカプト基及び酸無水物基よりなる群から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
  4. チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びアルミニウムアルコキシドよりなる群から選ばれた少なくとも1つの金属アルコキシドを水の共存下に加水分解部分縮合反応させて加水分解部分縮合物(b−1)を得る第1工程、第1工程で得られた(b−1)に対し、1分子中に、少なくとも1個のエポキシ基またはエポキシ基と反応する基と、少なくとも1個のケイ素原子に結合したアルコキシ基とを同時に有するシラン化合物(b−2)を縮合反応させる第2工程及び第2工程で得られた縮合反応性生成物(B)をエポキシ樹脂(A)に添加する第3工程からなることを特徴とする請求項1記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の製造法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物であって、金属アルコキシド由来の金属の含有量が、金属酸化物に換算して5〜50質量%であることを特徴とする硬化物。
  6. 波長589.3nmにおける屈折率が1.56以上であることを特徴とする請求項5記載の硬化物。
  7. 請求項6記載の硬化物からなる光学部材。
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