JP2004196946A - 有機無機複合光学材料および光学素子 - Google Patents

有機無機複合光学材料および光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】有機成分と無機成分との良好な分散状態が得られた光学的特性に優れた有機無機複合光学材料および光学素子を提供する。
【解決手段】有機高分子物質と金属アルコキシド化合物の重縮合によって得られる無機重合体からなる有機無機複合材料において、金属アルコキシドが有機高分子物質もしくは該有機高分子物質を生成するモノマーあるいはオリゴマーとの間で化学結合を形成可能な官能基を含む有機無機複合光学材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機高分子物質と金属アルコキシド化合物を重縮合して得られる無機重合体とからなる有機無機複合光学材料、およびこれを用いた光学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学用の合成樹脂材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、アモルファスポリオレフィン(APO)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂やジエチレングリコールビスアリルカーボネート重合体などの熱硬化性樹脂が使用されており、これらを用いて、レンズ、プリズムなどの光学素子が作られている。これらの合成樹脂は、線膨張係数が10-5オーダー以上であり、光学ガラスに比較すると、1桁以上熱膨係数が大きく、また屈折率についても同様に大きな温度依存性を持っている。
また、これらの合成樹脂は、比較的低いガラス転移温度(Tg)を示し、この温度を境に熱的な物性の直線性が変化し、また、ガラス転移温度以上の温度では、力学的特性も劣化するという問題点を有していた。
【0003】
これらの有機高分子物質を高精度に光学設計された光学部品、例えば非球面レンズや回折光学素子、自由曲面を持つ光学素子などに用いると、温度変化により寸法精度が変化して、光学的な精度が許容幅に抑えられなくなるといった問題がある。
そこで、有機高分子物質を用いた光学材料の熱膨張を抑制するために、合成樹脂中に無機微粒子を分散させた有機無機複合材料からなる光学材料が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、金属アルコキシド化合物を合成樹脂モノマー存在下で加水分解重縮合させたのち、合成樹脂モノマーを重合させることによって、合成樹脂の熱膨張を抑制した有機無機複合材料を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
また、エポキシ樹脂に対して、アルコキシチタン、硬化剤を混合して耐熱性の優れた有機無機複合材料を製造することが提案されている(例えば、特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−254406号公報
【特許文献2】
特開平8−157735号公報
【特許文献3】
特開2000−319362号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、合成樹脂中に無機微粒子を分散した場合には、粒径が小さな無機微粒子が凝集を起こし、無機微粒子の分散が不十分な部分が発生する可能性が高く、光学素子に適用した場合、大きな光散乱が発生してしまう問題がある。
また、重合性有機化合物のモノマー存在下で金属アルコキシド化合物を重縮合させた場合には、有機成分と無機成分との良好な分散状態が得られるので、光散乱の抑制が可能となるが、合成樹脂は分子量が大きくなると溶媒への溶解特性が悪くなって相溶し難くなるので、重合性有機化合物のモノマー存在下で金属アルコキシド化合物の無機重合体を得た際に均質な状態が得られていても、モノマーを重合させて高分子量化したときに、合成樹脂成分と無機重合体成分との相溶性が低下して、無機重合体成分が光学的に悪影響を及ぼす程度の分散状態が生じることがあった。
【0007】
このため、光学素子に適用した場合には、合成樹脂中に無機微粒子を分散した場合と同様に光散乱が生じて、設計された光学性能が発揮できないという問題があった。
本発明は、このような有機無機複合光学材料における光散乱を抑制し、光学特性が優れた光学素子に適用できる有機無機複合光学材料を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、有機高分子物質と金属アルコキシド化合物の重縮合によって得られる無機重合体からなる有機無機複合材料において、金属アルコキシド化合物が有機高分子物質もしくは該有機高分子物質を生成するモノマーあるいはオリゴマーとの間で化学結合を形成可能な官能基を含む有機無機複合光学材料によって解決することができる。
このように、本発明の有機無機複合光学材料においては、その構成成分である有機高分子物質と無機重合体との間で、相互に結合する官能基を持たせることにより、無機重合体と有機高分子物質とを複合させる過程において、有機高分子物質と無機重合体との間で化学結合を形成し、有機高分子物質と無機重合体を一体化させることで有機高分子物質と無機重合体とがより均質に一体化させたものである。
【0009】
また、本発明の有機無機複合材料においては、有機高分子物質と金属アルコキシド化合物が有機高分子物質もしくは該有機高分子物質を生成するモノマーあるいはオリゴマーとの間で化学結合を形成可能な官能基を含むとともに、有機高分子物質、あるいは有機高分子物質を形成するモノマー、オリゴマーとは化学反応によって結合する官能基を有さない金属アルコキシド化合物であっても、相互作用によって結合状態を形成するような基を有するものであってもよい。
例えば、有機高分子物質がフェニル基を有する場合には、フェニル基を有する金属アルコキシド化合物を用いる場合には、π電子雲の重なりによって結合状態が生じるものと考えられる。
【0010】
また、金属アルコキシド化合物の重縮合によって得られる無機重合体の分子量に対する有機官能基の分子量比率が60%以上である前記の有機無機複合光学材料である。
無機重合体中における有機官能基の存在する比率が小さいと、無機的な性質が強くなり有機成分との相溶性が低下し、光散乱等の光学的な特性が劣化したものとなるので、無機重合体の分子量に対する有機官能基の比率を60%以上とすることが好ましい。
【0011】
また、有機高分子物質がビスフェノールA型のエポキシ樹脂であり、無機重合体中の有機基は、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、チオシジル基、ビニル基、フェニル基、アルキル基の少なくとも一種を含む前記の有機無機複合光学材料である。
有機無機複合光学材料の製造に用いる有機高分子物質としては、各種の有機高分子物質を用いることが可能であるが、有機高分子物質として、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を用いた場合には、機械的、熱的な強度が大きな有機無機複合光学材料を製造することができる。また、無機重合体中の有機基は、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、チオシジル基、ビニル基等の反応性官能基、あるいはフェニル基、アルキル基等を用いることによって、有機高分子物質との化学結合、あるいは相互的な作用によって、有機高分子物質と無機高分子物質との相溶性が高まり、光学的な特性が良好な有機無機複合光学材料を得ることができる。その結果、有機無機複合光学材料を広範な分野で使用することが可能となる。
【0012】
また、有機無機複合光学材料を用いた光学素子において、有機無機複合光学材料として、前記の有機無機複合光学材料を用いた光学素子である。
本発明の有機無機複合光学材料は、有機高分子物質と無機重合体とがそれぞれの官能基が結合して一体化しているので、得られる有機無機複合光学材料を光学材料とした光学素子においては、光学的に良好な光学素子を提供することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の有機無機複合光学材料においては、無機重合体として有機高分子物質と共有結合等の化学結合を形成し得る官能基を有するものを用いることにより、無機重合体と有機高分子物質とを複合させる過程において、有機高分子物質と無機重合体との間で共有結合を形成し、分子を一体化させることで有機高分子物質と無機重合体の一体性が高められている。
【0014】
また、無機重合体には、有機高分子物質を構成する官能基とは化学結合を形成しない官能基であっても、有機高分子物質と相互作用によって両者を一体化して相溶性を高めることが可能な官能基を含む無機重合体であっても良い。
【0015】
本発明に用いる無機重合体としてはSi、Ti、Zr、A1、Ba、Ta、Ge、Ga、Cu、Sc、Bi、ランタノイドなどの各種金属アルコキシド、金属アルコキシドを加水分解、ゾル−ゲル反応等によって重縮合させたメタロキサン骨格をもつ無機重合体が挙げられる。
【0016】
金属アルコキシドとしては、Si(OR)4 、R1Si(OR)3等のケイ素アルコキシド、Ti(OR)4、R1Ti(OR)3 等のチタンアルコキシド、Zr(OR)4、R1Zr(OR)3 等のジルコニウムアルコキシド、Al(OR)3、R1Al(OR)2 等のアルミニウムアルコキシド、Ge(OR)4 、R1Ge(OR)3 等のゲルマニウムアルコキシド、Ba(OR)2 等のバリウムアルコキシド、Cu(OR)2 等の銅アルコキシド、La(OR)3 等のランタンアルコキシド、Ta(OR)5 等のタンタルアルコキシドが挙げられる。ここで、R、はアルキル基、R1 は、アルキル基、フェニル基、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、チオシジル基、ビニル基等を含有した官能基を示している。
【0017】
これらの金属アルコキシド化合物を酸もしくは塩基を触媒として加水分解、重縮合させることで、式1に示される無機重合体が得られる。ここで、ケイ素アルコキシドなどの無機重合体としたときに屈折率が低くなるものとチタンアルコキシドやジルコニウムアルコキシドなどの屈折率が高くなるものを適宜組み合わせて無機重合体を得た場合には、それらの配合比率により有機無機複合光学材料の屈折率や波長分散特性を任意に調整することが可能であり、これを用いて光学素子を作製することで、光学設計に自由に対応した光学素子を得ることができる。
【0018】
【化1】
Figure 2004196946
【0019】
ここで、R:有機基、M1,M2:少なくとも1種の同一または異なる金属原子、x:金属原子M1の価数、z:金属原子M2 の価数、k:2以上の整数、m:1以上の整数、n:正の整数
【0020】
本発明では、有機高分子物質と無機重合体とを結合させるため、有機高分子物質を生成するモノマー、オリゴマーの種類に対応して、無機重合体が有する反応性官能基を選択し、有機高分子物質の生成反応を行わせるとともに、この反応で得られる有機高分子物質と無機重合体との間で共有結合をさせることができる。
【0021】
ここで、本発明に用いられる有機高分子物質を生成するモノマー、オリゴマーと無機重合体が有する反応性官能基の組み合わせとしては、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、エピスルフィド樹脂を形成する場合は、グリシジル基、オキセタニル基、チオシジル基、アミノ基、イソシアネート基等があり、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、不飽和エステル樹脂およびこれらの共重合樹脂の場合には、ビニル基、メタクリロイル基、チオール基等があり、ウレタン樹脂の場合にはイソシアネート基、水酸基等が挙げられる。
【0022】
また、有機高分子物質中の高分子生成反応に直接関わらない官能基と反応して共有結合を形成できるように無機重合体の官能基を選択してもよい。例えば、エポキシ樹脂では主鎖に水酸基を有しており、これと反応可能なイソシアネート基やTi−OR(Rはアルキル基などの有機基)を有する無機重合体との組合せが挙げられる。
あるいは、有機高分子物質との間の分子間の相互作用によって化学結合と同様に一体化することが可能なフェニル基同士のπ電子雲による相互作用を形成する化学構造を挙げることができる。
【0023】
本発明の有機無機複合光学材料は、有機高分子物質、もしくは有機高分子物質を生成するモノマー、オリゴマーに金属アルコキシド化合物を添加混合して、更に高分子生成反応に関わる触媒、金属アルコキシド化合物の加水分解に関わる水、金属アルコキシド化合物の加水分解と重縮合反応に関わる触媒等を、添加、混合して、所定の硬化条件下で高分子生成反応と金属アルコキシド化合物の加水分解と重縮合反応を進めて、透明な固体物を得ることができる。
【0024】
金属アルコキシド化合物の加水分解と重縮合前の金属アルコキシド化合物を添加することに代えて、あらかじめ金属アルコキシド化合物を加水分解と重縮合反応をさせた無機重合体を、有機高分子物質もしくは有機高分子物質を生成するモノマー、オリゴマー等に混合しても良い。
これにより、無機重合体と有機高分子物質との間で共有結合された有機無機複合光学材料が得られる。
【0025】
しかしながら、無機重合体が有している有機基の種類により有機高分子物質との相溶性が悪くなる場合があり、得られた固体物の透明度の低下が起こる場合がある。
したがって、無機重合体が有する有機基の比率を、すなわち無機重合体の分子量に対する有機基の分子量比率を60%以上とすることで無機重合体と有機高分子物質との相溶性を向上させ、常に良好な透明性をもつ固体物を得ることができる。
【0026】
これは、無機重合体の主鎖骨格を成すメタロキサン骨格(M−O−M:Mは金属原子)は、有機高分子物質とは元来相溶性が良くないが、無機重合体のメタロキサン骨格中に、所定の比率以上の有機高分子物質中の化学構造と類似の構造を有する有機基、または水素結合のような分子間相互作用を生じる有機基を含有させることで有機高分子物質との相溶性を向上させることができたものと考えられる。
ここで、無機重合体の単位分子量あたりの有機基の分子量比率とは、式1で表される分子構造を単位分子量(M)とし、これに含まれる有機基Rの合計の分子量をRmとすると、分子量比率は、Rm/Mとして表される。
【0027】
【化2】
Figure 2004196946
【0028】
ここで、R:有機基、M1,M2:少なくとも1種の同一または異なる金属原子、x:金属原子M1の価数、z:金属原子M2 の価数、k:2以上の整数、m:1以上の整数、n:正の整数
【0029】
例えば、式2で示されるフェニルトリメトキシシランから生成される無機重合体の場合には、無機重合体の単位分子量M=137、有機基の分子量Rm=77となり、分子量比率は77/137=0.562となり、無機重合体の単位分子量あたりの有機基の分子量比率は56.2%と表される。
【0030】
【化3】
Figure 2004196946
【0031】
ここで、有機高分子物質にアミンを硬化剤として用いるエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、エピスルフィド樹脂およびこれらの混合樹脂を用いた場合、硬化剤としてアミンを使用すると、アミンがエポキシ樹脂のグリシジル基等と反応して有機高分子物質の分子骨格に取り込まれるとともに、塩基性であるアミンが金属アルコキシド化合物の加水分解と重縮合反応の触媒としても働き、効率的に有機高分子生成反応と無機重合体の加水分解と重縮合反応の両方を進めることが可能であることを見出した。これによりアミンは有機無機複合光学材料に結合して取り込まれるため、経時的にブリードすることがなくなり、非常に安定で耐久性に優れた有機無機複合光学材料を得ることができる。
【0032】
なお、無機重合体が有機高分子物質と共有結合を形成可能な反応性官能基を有機基に数多く有しているとこれらの官能基は分子量が比較的大きいため、無機重合体におけるメタロキサン骨格が少なくなって有機無機複合光学材料に含まれるメタロキサン骨格の比率が小さくなり、有機無機複合光学材料におけるメタロキサン骨格が寄与する熱膨張抑制効果などが低下する。
【0033】
一方、有機無機複合光学材料に含まれるメタロキサン骨格の比率が低くならないよう有機無機複合光学材料における無機重合体の比率を高めて、メタロキサン骨格を多くすると、無機重合体の比率を高めたことにより反応性官能基も多くなり、この状態で有機高分子物質と無機重合体が結合して固化し有機無機複合光学材料となる際には、反応性官能基が多いことに起因して固化反応に伴う内部応力発生により、クラック等が生じやすくなってしまう。
【0034】
このような不具合に対し、無機重合体の大量の反応性官能基による有機高分子物質との結合を抑制するため、無機重合体の有機基に比較的分子量の小さいメチル基、フェニル基を有機高分子物質と反応せず結合をしない基として導入することで、有機無機複合光学材料中のメタロキサン骨格の比率の低下を抑制し、有機高分子物質と無機重合体の相溶性を向上させ、クラックの発生を抑制できるようになる。
【0035】
このようにして得られた有機無機複合光学材料は、透明性が高く、光散乱を生じさせることがないため、光学素子の素材として好適である。
また、この有機無機複合光学材料を、固化する前に注型成形用の型に入れて、固化させることによりレンズ、プリズム等の光学素子が形成できる。また、あらかじめ、研削研磨加工やプレス成形加工で形成された光学ガラス製のレンズ、プリズム等の光学素子表面へ固化する前の有機無機複合光学材料を塗布した後、この塗布した光学素子表面側を型を押しつけて固化させることにより、光学素子表面に非球面形状や回折格子などを形成する事ができる。
【0036】
【実施例】
以下に本発明の実施例と比較例を示して、本発明を説明する。
実施例1
以下の式3で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂9重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン13.67重量部を混合した後、テトラエチレンペンタミン2.84重量部を加えて、0℃にて撹拌し、水1.56重量部を添加して、さらに1時間撹拌し、均質な透明液体を得た。
【0037】
【化4】
Figure 2004196946
式3
nは、0または1であり、平均分子量380
【0038】
これを真空脱泡した後、レンズ形状を持ったモールド型に注型し、25±5℃の環境に24時間放置し、得られた透明固体を離型して80℃で2時間加熱した。このようにして有機無機複合光学材料からなるレンズを得た。
このレンズはモールド型の面、形状を正確に転写しており、成形性は良好であった。
【0039】
また、得られた無機重合体の分子量に対する有機基の分子量比率は69%であった。
また、同様にして直径20mm、厚さ3mmの平行平板をモールド注型にて成型したものを用いて分光光度計(日立製作所製 U4000)により透過率を測定したところ、図1に示す分光透過率曲線が得られ、良好な透明性を有していた。
また、直径20mm、厚さ3mmの平行平板の外周の一部を切断研磨し、D形状の試料を作製し、外周の切断研磨面へ20mWのHe−Neレーザー(波長632.8nm)を照射し、この試料内でのレーザー光の軌跡を実体顕微鏡(オリンパス光学工業製 SZX12)により20倍の拡大率で観察したところ、図2で示すように、レーザー光の軌跡はほとんど観察されず、試料中にはレーザー光が当たって光散乱する形成されていなかった。
また、評価結果を表1に示した。
【0040】
実施例2
実施例1の式3で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂9重量部と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン6.94重量部、フェニルトリメトキシシラン2.91重量部、メチルトリメトキシシラン0.97重量部を混合した後、テトラエチレンペンタミン2.08重量部を加えて、0℃にて撹拌し、水1.32重量部を添加して、さらに1時間撹拌して、均質な透明液体を得た。
これを真空脱泡した後、レンズ形状を持ったモールド型に注型し、25±5℃の環境で24時間静置して、得られた透明固体を離型して80℃で2時間加熱して有機無機複合光学材料からなるレンズを得た。
【0041】
得られたレンズは、実施例1と同様、モールド型の形状を正確に転写しており、成形性は良好であった。また、実施例1と同様に、モールド型にて成形した平行平板について、分光透過率およびレーザー光照射による光散乱特性を観察したところ、良好な透明性を有し、光散乱がなかった。また、得られた無機重合体の単位分子量当たりの有機基の分子量比率は64%であった。
また、評価結果を表1に示した。
【0042】
実施例3ないし13
実施例1の成分を表1に記載の成分に変えた点を除き実施例1と同様にして、有機無機複合光学材料を作製して実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示す。
【0043】
比較例1
表1に記載の成分に変えた点を除き、実施例1と同様にして有機無機複合光学材料を作製し、実施例1と同様にして、透過率を測定したところ、図3に示す分光透過率曲線が得られた。また、その他の評価結果を表に示した。
【0044】
比較例2ないし3
表1に記載の成分に変えた点を除き、実施例1と同様にして有機無機複合光学材料を作製し、実施例1と同様にしその他の評価結果を表に示した。
【0045】
比較例4
実施例1で使用したエポキシ樹脂14重量部に対して、オルトケイ酸テトラメチル7.8重量部を加え、更に水1.84重量部を加え、さらにエポキシ樹脂に対し、190:27の質量比のテトラメチルペンタミンを加えて混合撹拌して重縮合反応をさせて、無機成分が二酸化ケイ素換算で14質量%の組成物を得た。
得られた組成物を成形型に流し込み、25℃において24時間放置後、80℃において2時間加熱して、有機無機複合光学材料を得た。
得られた有機無機複合光学材料を実施例1と同様にして、測定用試料を作製し、外周の切断研磨面へ20mWのHe−Neレーザー(波長632.8nm)を照射し、この試料内でのレーザー光の軌跡を実体顕微鏡により20倍の拡大率で観察したところ、図4に示すように、レーザー光の軌跡が明確に観察され、光散乱が生じた。
【0046】
【表1】
Figure 2004196946
【0047】
ただし、表1において、
EPOXY:実施例1に示したビスフェノールA型エポキシ樹脂
TEPA:テトラエチレンペンタミン
GPシラン:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
Phシラン:フェニルトリメトキシシラン
Meシラン:メチルトリメトキシシラン
Tシラン:オルトケイ酸テトラメチル
【0048】
実施例13および比較例1に見られるように、メチルトリメトキシシランの一部をフェニルトリメトキシシランに変えると、レーザー光による光散乱評価において、光散乱性が大きく改善されるが、これは、フェニル基と有機高分子物質中の基との相互作用による効果と共に、無機重合体の分子量に対する有機基の分子量比率が、60%以上の場合には59%の比べて大きく影響を与えていることを示している。
【0049】
【発明の効果】
本発明で得られた有機無機複合光学材料は、エポキシ樹脂のような耐熱性、機械的強度が大きな有機高分子物質の官能基と化学的に結合する官能基を有する無機重合体を用いて調製したものであるので、耐熱性、機械的強度とともに、透明性に優れ、特に光散乱の発生が少なく、成形性にも優れているため、レンズ、プリズム、フィルター基材、回折光学素子などの各種光学素子に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例の有機無機複合光学材料の透過率曲線である。
【図2】図2は、実施例の有機無機複合光学材料のレーザー光照射による光散乱の実体顕微鏡による観察結果を説明する図である。
【図3】図3は、比較例の有機無機複合光学材料の透過率曲線である。
【図4】図4は、比較例の有機無機複合光学材料のレーザー光照射による光散乱の実体顕微鏡による観察結果を説明する図である。

Claims (4)

  1. 有機高分子物質と金属アルコキシド化合物の重縮合によって得られる無機重合体からなる有機無機複合材料において、金属アルコキシド化合物が有機高分子物質もしくは該有機高分子物質を生成するモノマーあるいはオリゴマーとの間で化学結合を形成可能な官能基を含むことを特徴とする有機無機複合光学材料。
  2. 金属アルコキシド化合物の重縮合によって得られる無機重合体の分子量に対する有機官能基の分子量比率が60%以上であることを特徴とする請求項1記載の有機無機複合光学材料。
  3. 有機高分子物質がビスフェノールA型のエポキシ樹脂であり、無機重合体中の有機基は、グリシジル基、オキセタニル基、アミノ基、チオシジル基、ビニル基、フェニル基、アルキル基の少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の有機無機光学材料。
  4. 有機無機複合光学材料を用いた光学素子において、有機無機複合光学材料が請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学素子。
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