JP4217032B2 - 光学素子 - Google Patents

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    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/16Halogen-containing compounds

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率波長分散特性が良好な光学特性を持つ材料を用い、成形手段により所定の形状に形成された光学素子に関し、例えば、レンズ、プリズム、フィルター、屈折光学素子、回折光学素子等の光学素子に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、屈折光学系ではその色収差を補正する方法として、屈折率波長分散特性の異なる光学材料を組み合わせる方法がある。光学設計上では、屈折率、屈折率波長分散特性の異なった多くの種類の光学材料から選択することによって、設計の自由度が高くなり、色収差のない高精度の光学系が設計しやすくなる。
このため、光学材料として用いられる光学ガラスには多くの種類があり、種々の屈折率および波長分散特性を有するものが開発されてきている。
【0003】
図1は、光学材料として提供されている光学ガラス、光学樹脂の屈折率と波長分散の関係を説明する図である。
光学ガラスについては、屈折率が1.43〜2程度、屈折率波長分散では分散特性を示すアッベ数νdが20〜95程度までのものがある。一方、光学材料として使用することができる合成樹脂は、図1に示すように種類が少なく、光学ガラスに比べて選択できる光学特性の幅が狭いため、合成樹脂を用いた光学設計は種々の制限を受けている。
【0004】
また、カメラなど撮影光学系の軽量、高精度化のために、光学素子の光学有効面の面形状が、従来の球面形状に代えて、非球面形状や自由曲面形状を有した光学素子が用いられるようになってきた。非球面光学素子の採用により、光学系でのレンズの使用枚数の減少による軽量化や球面収差の除去による高性能化が図られてきている。しかしながら、従来のガラスレンズ等の光学素子の加工方法である研削研磨方法では、非球面形状の形成が非常に困難であり、大量生産に適さない。このため、特開平6−32631号公報にみられるように、非球面など球面以外の形状形成は、成形面を鏡面に精密加工した型を用いて、光学ガラスについては精密プレス成形、合成樹脂については射出成形や注型成形等が採用されている。この場合でも、光学設計上、色収差などを補正する場合には、低分散すなわち可視域での波長低分散特性を表すアッベ数νdが大きなものを用いることが必要となり、特公平4−33740号公報、特開平7−172864号公報等にみられるように、種々の屈折率波長低分散性の光学ガラスが開発されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、市販されている屈折率波長低分散性の光学ガラスは、フツリン酸塩系などのガラスであり、これをガラスが軟化する高温で精密プレス成形した場合、ガラス成分の影響で、精密加工した型の成形面の劣化が起こり、型の成形面の面精度を維持することが困難となり、高品質のものを大量生産することは困難であった。
また、前述のフツリン酸塩系ガラスは、低屈折率のものであるため、光学設計上では光学素子の光学有効面の曲率半径を小さく設計することになり、レンズの偏肉度が非常に大きくなるなど、成形加工上の難易度が高い形状になってしまう。例えば、ガラス精密プレス成形では、軟化しているガラスに対して型の成形面により急激な変形を与えるとガラスに割れなどが発生する危惧があるため、あまり大きな偏肉度を持つレンズ等は、成形加工はより大きな困難を伴うという問題がある。
【0006】
これに対して、合成樹脂は成形性に優れ、射出成形や注型成形では偏肉度が大きくなっても成形できることから、レンズ等の製造は容易となるが、図1に示したように合成樹脂は、光学特性の幅が狭いことに加えて、成形された光学素子は熱膨張率が大きいとともに、組成によっては吸湿による変形をして、光学収差を生じる、など環境安定性に劣るため、高性能な光学素子には適さないという問題がある。
よって、本発明は、光学特性の幅を広げる波長低分散領域の光学特性を有し、合成樹脂のように成形形状の自由度が高く、大量生産に好適な成形性を有すると共に、従来の光学用途に用いる合成樹脂よりも環境安定性に優れた光学材料を用いて、成形されて高性能を維持できるレンズ等の光学素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、可視域での波長分散を示すアッベ数νdが80以上であり、大きさが400nmよりも小さい微粒子である第1の材料と、炭素−炭素結合を主鎖に有する有機高分子材料と無機成分とからなる有機無機複合材料である第2の材料を含有する組成物を成形してなる光学素子であって、前記第2の材料の有機高分子材料は、非晶質フッ素樹脂を含有する光学素子によって解決することができる。
第1の材料は、フッ化物である前記の光学素子である。
前記第2の材料の無機成分は、Si元素を含有する前記の光学素子である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機高分子材料と無機成分とからなる有機無機複合材料と、所望の光学的特性を有する微粒子とを含有する組成物を用いたことを特徴としている。
有機無機複合材料は、有機成分中に微細化された無機成分が均質に分散されて複合化されたものであり、有機成分と無機成分とが分散し、いわゆる分子レベルもしくはナノスケールレベルで混合されて複合化されたものであり、両者に作用する相互作用によって単に有機高分子中に無機粒子を分散した組成物には見られない性質を有している。
そして、従来の光学ガラスや光学用樹脂を用いた光学素子の欠点を鑑みて、種々の考察検討を行った結果、有機成分と無機成分とを複合化した有機無機複合材料と、所望の屈折率波長分散性を示す第1の材料とを用い、光学特性を調整することにより、所望の分散特性をもった成形可能な組成物からなる低分散材料によって、成形により光学素子を作製できることを見出したものである。
【0009】
図2に有機無機複合材料を説明する図を示すように、有機無機複合材料1は、有機高分子鎖2の存在下に金属アルコキシドのゾルゲル反応によって生成した無機成分鎖3が、有機高分子鎖2と相互に絡み合い、互いのマトリックスへ貫入した貫入型(IPN)のもの(図2(A))、有機高分子成分4中に、ナノスケールの無機微粒子5が分散したコンポジット構造のもの(図2(B))、有機成分のモノマーもしくはオリゴマーと、無機成分を形成する無機元素を有するモノマーもしくはオリゴマーとが共重合し、有機成分6と無機成分7の共重合体(図2(C))、およびこれらの複数成分を含有した複合材料を挙げることができる。
【0010】
以下に、貫入型(IPN)の有機無機複合材料とコンポジット型の有機無機複合材料について詳細に説明する。
貫入型(IPN)の有機無機複合材料に用いる有機高分子としては、主に炭素−炭素結合を主鎖に有する有機骨格からなり、鎖状もしくは架橋された高分子物質であり、メチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂およびこれらの共重合体からなる熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、不飽和エステル樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、アリール樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの官能基の一部が変性された樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
【0011】
無機成分としては、Si、Ti、Zr、Al、Ba、Ta、Ge、Ga、Cu、Sc、Bi、ランタノイドなどを含有する金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、あるいは金属カルボキシレートから選ばれる有機金属化合物のゾル−ゲル反応で得られたメタロキサン骨格をもつ無機高分子やZn、Sn、In、Ge、Pbなどの金属元素を骨格に有する無機高分子などが挙げられる。また、分子鎖中には、イオウ、ホウ素、セレン、テルルなどを含むものであっても良い。
【0012】
コンポジット構造型の有機無機複合材料で用いる有機高分子成分としては、貫入型(IPN)の有機無機複合材料で挙げた熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。無機成分としては、無機微粒子の大きさが可視光の波長より十分小さな100nm以下、より好ましくは数十nm程度の金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ハロゲン化物、あるいは金属単体などであり、これらに含有されている金属元素としては、Si、Ti、Zr、Al、Ba、Ta、Ge、ランタノイド、Zn、Sn、In、Y、Ni、Co、Cr、Au、Ag、Cu、Ca、Mg、Sc、Wなど各種金属元素を挙げることができ、具体的には、ケイ素酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、アルミニウム酸化物、硫化亜鉛、チタン酸バリウム、フッ化マグネシウム、酸化インジウム、酸化スズ、炭化ケイ素、c−BN等の微粒子を挙げることができる。また、これらの微粒子としては、金属元素の金属アルコキシドを加水分解後に縮合反応させたものからなる無機微粒子もしくは金属錯体を還元することで得られる金属単体からなる金属微粒子を無機成分として用いることもできる。
【0013】
これらの無機微粒子、金属微粒子は、分散性を向上させるために、カップリング剤、界面活性剤によって表面処理を施したものを用いても良い。
【0014】
また、有機無機複合材料を構成する無機成分としては、貫入型(IPN)構造の場合には、Si、Zr、Al、Tiを金属成分とする金属アルコキシドの加水分解物を用いることが好ましい。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセチキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、アルミニウムイソプロポキシド、チタニウムイソプロポキジド、ジルコニウムイソプロポキシド等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて、塩酸、硫酸、酢酸等の酸、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリを添加して撹拌することにより得られる金属アルコキシドの加水分解生成物を用いることができる。
物質は、分子や原子により構成されているので、原子、分子構造によって振動子特性、密度などが決まってくる。d線における屈折率ndと可視光域の波長分散を示すアッベ数νdの分布をみると、図1に示したように、物質の原子、分子構成によって種々の光学特性が得られている。
【0015】
ところで、媒質中を伝搬する光波の振る舞いは、電磁気学のマックスウェルの4つの微分方程式から導き出され、空間的に分布のある屈折率を有する不均一媒質中での光波の振る舞いを考えると、物質の屈折率nと物質の分極率χ' の関係は式(1)のように表せる。
2 =1+χ' 式(1)
本発明の光学素子では、大きさが可視光波長より小さい微粒子である第1の材料が第2の材料である有機無機複合材料の組成物に分散された構成の材料を用いていており、図3に示すような構造を有している。ここで、第1の材料である微粒子の大きさを2〜100nmとすると、微粒子は明確に有機無機複合材料に対し、界面を有しているので、その分極特性はバルク的な特性を示す。しかし、波長400〜750nmの可視光波長域の光への分極特性は図3のような構造を考えた場合、光学的に不均一性を無視できる大きさであるので、図3のような構造では式(2)のDrude理論により光学特性が示される。
2 =1+χ1=1+T(n1 2−1) 式(2)
(n1 :第1の材料の屈折率、T:第1の材料の含有率で 0<T<1、n:全体の屈折率、χ1:第1の材料の分極率)
ここで、アッベ数は、式(3)のように示される。
νd=(nd −1)/(nF−nc) 式(3)
(nd:波長587nmでの屈折率、nF:波長486nmでの屈折率、 nc:波長656nmでの屈折率)
式(2)、(3)より、低分散性、すなわちアッベ数が大きい物質を第1の材料として加えることにより、全体を低分散とすることができることがわかる。
【0016】
低分散性の物質としては、フッ化マグネシウム(nd=1.377、νd=105)、フッ化カルシウム(nd=1.434、νd=95)、フッ化バリウム(nd =1.474、νd=82)などのフッ化物があるが、これらは結晶性で脆いなどのため、研削、研磨により光学素子の形状へ加工することが難しく、融点も高いため、ガラスのように精密プレス成形により非球面形状を形成することは困難であるが、本発明では、有機無機複合材料中へこれらのアッベ数が80以上の微粒子を混合させることにより低分散性を図ることが可能となり、式(4)により、混合物の屈折率が与えられる。
Figure 0004217032
(n1:第1の材料の屈折率、n2:有機無機複合材料の屈折率、T:第1の材料の含有率で 0<T<1、χ2:有機無機複合材料の分散率)
ここで、第1の材料である微粒子の有機無機複合材料中への混合は、有機無機複合材料中で微粒子が可視光域の波長である400nmより十分に小さく、光散乱にほとんど寄与しない大きさで分散させられていれば、任意の方法で混合することができる。
【0017】
光散乱は、光の吸収によって光散乱が起こる微粒子の大きさが異なってくるため、光学素子で対象とされる光の波長域が400〜750nmの可視光域の範囲の場合、微粒子の大きさは2〜100nmが好ましい。また、800〜1600nm程度の赤外光は対象とした光学素子の場合には、微粒子の大きさが2〜400nmで光散乱は抑制できるので、微粒子の大きさは2〜400nmとすることができる。
低分散性を示す合成樹脂材料として、非晶質のフッ素樹脂(νd=90程度)があるが、フッ素樹脂は機械的特性として柔らかく(デュロメータ硬度 D45〜80程度)、線膨張係数も一般的な合成樹脂と同様の10-5オーダーである。したがって、このようなフッ素樹脂を単独で成形した光学素子とした場合、光学素子としては傷がつきやすく、熱膨張変化も大きいため、環境安定性に欠けてしまう。
本発明では、非晶質フッ素樹脂を有機無機複合材料の有機高分子材料、すなわち有機成分とした場合であっても、有機成分中に微細化された無機成分が均質に分散されて複合化された有機無機複合材料とすることにより、機械的特性を向上させ、熱膨張変化を小さくして環境安定性を得ている。
【0018】
有機無機複合材料における複合化の方法は光散乱を生じなければ、貫入型(IPN)、コンポジット型、共重合型のいずれの方法を採用することもできるが、本発明では、第1の材料として、微粒子を混合するので、第2の材料として、コンポジット型の有機無機複合材料を用いると、第1の材料である微粒子との干渉が起こり、配合量割合の範囲が小さくなる場合があるため、第2の材料は、貫入型(IPN)、もしくは共重合型の有機無機複合材料を用いることが好ましい。
【0019】
また、光学素子の形成用の組成物を屈折率波長低分散性とするには、式(3)、(4)に示すように、有機無機複合材料も屈折率波長低分散性であることが有利となる。屈折率波長低分散性の材料として、有機成分ではフッ素樹脂系の、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライド等を含有する共重合体や、
【0020】
【化1】
Figure 0004217032
【0021】
で示す、フッ素含有の繰り返し単位(1)または(2)の共重合体、あるいはこれらとテトラフルオロエチレンとの共重合体からなる非晶質フッ素樹脂(nd =1.28〜1.4、νd=85〜90)、アクリル系樹脂(nd =1.49、νd=58)、アモルファスポリオレフィン樹脂(nd =1.53、νd=57)等が挙げられる。
これらの成分に、アルキルトリアルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシルセスキオキサンなどの無機高分子成分を複合化させることで、貫入型(IPN)の有機無機複合材料を得ることができる。
【0022】
また、アッベ数80以上の第1の材料としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等のフッ化物が挙げられる。
これらの第1の材料の、大きさ100nm以下の微粒子を、第2の材料である有機無機複合材料に混合分散させることで、屈折率低分散性の光学材料を得ることができる。
【0023】
また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライド等の共重合により得られる非晶質フッ素樹脂、アクリル系樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂は熱可塑性を有しており、これらを無機材料と複合化した有機無機複合材料も同様に熱可塑性を示す。したがって、これらの材料からなる光学材料は、合成樹脂を単体で成形加工する場合と同じ成形方法、例えば圧縮成形、射出成形などにより、光学素子形状へ成形することができる。
また、アルキルトリアルコキシシランを加水分解重縮合させてゲル状態とし、これにアクリレートモノマーとラジカル重合開始剤を混合した重合性の粘稠液体を成形型へ流し込み、加熱もしくは光照射によりアクリレートモノマーをラジカル重合させることにより光学素子を成形することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例、比較例を示して本発明を説明する。
実施例1
有機成分として、低級ケトン、エステル系溶剤に可溶なテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロパン−ビニリデンフロライドを共重合させたフッ素樹脂(ダイニオン社製THV220 融点110〜130℃)を、メチルエチルケトンに溶解させ10質量%濃度の溶液を調製した。
無機成分としてメチルトリメトキシシランとメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを8:2(モル比)で混合した溶液55.8重量部をアセトン30重量部に溶解し、メトキシ基に対して等量の水18.9重量部を加え、室温で24時間撹拌し、無機高分子成分の溶液を得た。この溶液の不揮発分質量に対してフッ素樹脂を1:9(質量比)で、この溶液とフッ素樹脂のメチルエチルケトン溶液を十分混合、撹拌して均質な有機無機複合材料の溶液を調製した。
さらにこの溶液に、平均粒径が50nmであるフッ化マグネシウム(nd=1.37,νd=105.5)微粉末を加え、十分に混合、撹拌した。フッ化マグネシウムは微粉末の加える割合は、有機無機複合材料溶液を乾燥して得られる有機無機複合材料の質量に対し、3:7(質量比)になる割合とした。
【0025】
この溶液をエバポレーターにより減圧下で加熱して溶液を濃縮し、粘稠液体を得た。これをシート形成用の型へ流し込み、残留する揮発成分を40℃に加熱して除去し、厚さ4mmの透明な板を得た。
この透明体の屈折率ndおよびアッベ数を測定したところ、nd=1.360、νd=85であった。また、表面の硬度は、デュロメータ硬度でD95であった。
この透明体板を用い、230℃の加熱下で、凹面、凸面を有する金型に挟み圧力を加えて圧縮成形を行った結果、直径20mm、中心肉厚2mm、中心と外周の肉厚比(偏肉度)3の凹メニス形状のレンズを成形することができた。
【0026】
本実施例で得られた透明体は、市販の低分散性とされるフツリン酸塩系ガラスのアッベ数(νd=81〜95)と同等の低分散性を示している。また、表面硬度は、本発明の光学素子の製造に用いたフッ素樹脂がデュロメータ硬度D45であったのに対し、アクリル樹脂(デュロメータ硬度D92)と同等以上まで硬くなっている。
また、加熱下での圧縮成形法によるレンズ形状の成形も可能であったので、これにより比較的口径の大きな低分散非球面形状レンズを得ることができるようになった。
また、フッ化マグネシウム微粒子と有機無機複合体材料との質量比を変化させた場合に得られる屈折率、アッベ数を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0004217032
【0028】
表1に示したように、フッ化マグネシウム微粒子と有機無機複合材料との質量比を増減させることにより、屈折率、アッベ数が変化し、種々の光学特性のものが得られるため、光学設計上で、光学材料の選択幅を広げることができる。
【0029】
実施例2
実施例1におけるフッ化マグネシウムに代えて平均粒径70nmのフッ化カルシウム微粒子を用いた点以外は実施例1と同様にして厚さ4mmの透明板を得た。フッ化カルシウムの含有量を変化させた時の結果を下表に示した。
【0030】
【表2】
Figure 0004217032
【0031】
この場合でも、屈折率波長低分散性の特性が得られた。これらについて、実施例1の場合と同様にして、厚さ4mmの透明板を230℃の加熱下で、凹面、凸面の金型により挟み込んで圧縮成形した結果、同形状の凹メニス形状のレンズを光学素子として成形できた。
【0032】
参考例1
メチルトリエトキシシランおよびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを8:2(モル比)で混合した溶液55.8重量部に対し、アルコキシ基に対して等量の水18.9重量部を添加して、室温にて20時間攪拌して、アルコキシ基の重縮合を行った後、ヒドロキシエチルメタクリレートを5.7重量部添加し、エバポレーターにより40〜50℃で揮発分を除去して、無機成分溶液を調整した。次にメチルメタクリレートモノマーに光重合開始剤としてイルガキュア149を100:0.5(質量比)の割合で添加した溶液を作製し、これと同重量の無機成分溶液を混合し、有機無機複合体溶液を得た。
【0033】
この溶液50重量部に、平均粒径50nmのフッ化マグネシウム微粒子50重量部を加えて混合し、脱泡を行って透明な粘稠液体を得た。
この透明な粘稠液体を直角V字形を形成する簡易型へ流し込み、200W高圧水銀灯により紫外線を5分間照射して、光重合により硬化させた。この硬化物を用いて、屈折率およびアッベ数を測定した結果、nd=1.429、νd=70.7であった。
【0034】
次に、ホウケイ酸塩系光学ガラスにより作製された凹メニス形状のガラスレンズの凹面に調整した前記透明粘稠液体を供給し、その上から、非球面形状を有する金型を押し当てた。ガラスレンズ側より、200W高圧水銀灯により紫外線を5分間照射し、透明粘稠液体を光重合により硬化させて、金型をはずした。
これにより、ガラスレンズ面に低分散性の非球面形状を形成された。
また、フッ化マグネシウム微粒子の有機無機複合体中の含有量を変化させた結果を下記に示す。
【0035】
【表3】
Figure 0004217032
【0036】
参考例2
参考例1において、フッ化マグネシウム微粒子に代えて平均粒径70nmのフッ化カルシウム微粒子を用いた点を除き、参考例1と同様にして、紫外線照射により硬化物を作製した結果、表4に示す光学特性が得られた。
【0037】
【表4】
Figure 0004217032
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、アッベ数が59以上の屈折率波長低分散性で、成形により非球面など球面形状以外の光学面を形成できる光学素子を提供でき、光学系の高性能化や光学素子数を削減して軽量化や低コスト化が達成される。また、アッベ数が大きな微粒子の配合比率を調整することで、種々の光学特性を持つ材料が得られるようになるため、光学設計での材料選択の自由度を大幅に拡大することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、光学ガラス、および光学用合成樹脂の屈折率、アッベ数の分布を説明する図である。
【図2】図2は、有機無機複合材料を説明する図である。
【図3】図3は、微粒子を分散した光学材料を説明する図である。
【符号の説明】
1…有機無機複合材料、2…有機高分子鎖、3…無機成分鎖、4…有機高分子成分、5…無機微粒子、6…有機成分、7…無機成分、8…光学材料、9…第1の材料、10…第2の材料

Claims (3)

  1. 光学素子において、可視域での波長分散を示すアッベ数νdが80以上であり、大きさが400nmよりも小さい微粒子である第1の材料と、炭素−炭素結合を主鎖に有する有機高分子材料と無機成分とからなる有機無機複合材料である第2の材料を含有する組成物を成形してなる光学素子であって、前記第2の材料の有機高分子材料は、非晶質フッ素樹脂を含有することを特徴とする光学素子。
  2. 第1の材料は、フッ化物であることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 前記第2の材料の無機成分は、Si元素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
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