JP4464310B2 - 投射型自動車用前照灯 - Google Patents

投射型自動車用前照灯 Download PDF

Info

Publication number
JP4464310B2
JP4464310B2 JP2005120679A JP2005120679A JP4464310B2 JP 4464310 B2 JP4464310 B2 JP 4464310B2 JP 2005120679 A JP2005120679 A JP 2005120679A JP 2005120679 A JP2005120679 A JP 2005120679A JP 4464310 B2 JP4464310 B2 JP 4464310B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica
lens
projection
resin
projection lens
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005120679A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006302596A (ja
Inventor
大介 望月
英任 安間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koito Manufacturing Co Ltd
Asahi Rubber Inc
Original Assignee
Koito Manufacturing Co Ltd
Asahi Rubber Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Koito Manufacturing Co Ltd, Asahi Rubber Inc filed Critical Koito Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2005120679A priority Critical patent/JP4464310B2/ja
Publication of JP2006302596A publication Critical patent/JP2006302596A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4464310B2 publication Critical patent/JP4464310B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Non-Portable Lighting Devices Or Systems Thereof (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、リフレクターで反射された光源光を投射レンズによって投射配光する投射型自動車用前照灯に係り、特に、合成樹脂製の投射レンズを備えた投射型自動車用前照灯に関する。
投射型自動車用前照灯は、ランプボディと前面カバーで画成された灯室内に、略楕円体形状のリフレクターと、前記リフレクターの第1焦点近傍に配置された光源と、前記光源の前方に配置された投射レンズとを備え、リフレクターで反射された光源光を投射レンズによって投射配光されるように構成されている。また、投射レンズの焦点近傍には配光形成用シェードが設けられて、所定の配光パターン(例えば、すれ違いビームの配光パターン)が形成されるようになっている。
投射型自動車用前照灯は、小型で明るい配光が得られることから、車体のデザインに対する自由度が高く、近年ではますます採用される傾向にある。特にオートレベリングシステム(車両の姿勢に拘わらずヘッドランプの光軸が車軸に対し一定の傾斜に保持されるシステム)やAFS(Adaptive Front Lighting System:ハンドル操舵に連係してヘッドランプの光軸が水平方向に回動するシステム)のように、光源を挿着したリフレクターに投射レンズを一体化した光源ユニットを灯室内で傾動させる場合には、光源ユニットの軽量化、即ち、今までの主流であるガラス製投射レンズの軽量化(樹脂化)が不可欠である。
なお、下記特許文献1には、合成樹脂製投射レンズを用いた投射型自動車用前照灯が開示されている。
実開平4−136801(図2)
しかし、上記特許文献1では、合成樹脂製投射レンズを用いると説明されているものの、その具体的な樹脂材等の詳細については一切開示されておらず、さらに発明者の知る限りにおいて、合成樹脂製投射レンズを用いた投射型自動車用前照灯は今まで実現されていない。
即ち、この種の前照灯は、集束された光が投射レンズを介して前方に投射配光される構造で、投射レンズを透過する際の光の熱エネルギーが大きく、熱伝導率がガラスに比べて著しく劣る樹脂製レンズでは、耐熱性に難があり、しかも熱変形によりクリアカットラインがボケて所定の配光を形成できないため、投射レンズはガラス製に限られていた。
そこで、発明者は、樹脂に比べて熱伝導率の高い無機ナノ粒子を樹脂製レンズ中に分散させることを思いついた。即ち、レンズからの放熱性を高めればレンズに熱がこもらず、耐熱性が向上するとともに、レンズの熱変形も小さくなって、クリアカットラインがボケることもないと考えて、無機ナノ粒子を添加した樹脂材料で投射レンズを成形したところ、非常に有効であることが確認されたので、本発明を提案するに至ったものである。
本発明は前記従来技術の問題点に鑑み、また発明者の前記した知見に基づきなされたもので、その目的は、耐熱性に優れ熱変形が小さい樹脂製投射レンズを備えた投射型自動車用前照灯を提供することにある。
前記目的を達成するために、請求項1に係る投射型自動車用前照灯においては、灯室内に、略楕円体形状のリフレクターと、前記リフレクターの第1焦点近傍に配置された光源と、前記光源の前方に配置された合成樹脂製の投射レンズと、前記投射レンズの焦点近傍に配置された配光形成用シェードとを備えた投射型自動車用前照灯であって、
前記投射レンズを構成する合成樹脂中に無機ナノ粒子を分散させるように構成した。
なお、ここで無機ナノ粒子とは、粒子径が80×10−9m以下に調整されたSiO(シリカ),ZnO,TiO,MgO,Al,Ta,ZrOのうちのいずれか1種以上の無機物をいう。
(作用)熱伝導率の低い合成樹脂中に分散している熱伝導率の高い無機ナノ粒子は、投射レンズ全体の熱伝導率を上げて、投射レンズの放熱性を高めるべく作用する。熱変形量の大きい合成樹脂中に分散している熱変形量の小さい無機ナノ粒子は、投射レンズ全体の熱変形量を下げて、配光がボケるのを抑制(配光のクリアカットラインを鮮明化)するベく作用する。
また、請求項1においては、前記無機ナノ粒子はシリカで、前記投射レンズは、その線膨張率(単位:K−1)が1.0×10−4以下で、その熱伝導率(単位:Wm−1−1)が0.25以上となるように構成した。
(作用)無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂の成形品の線膨張率については、図4(a),(b)に示すように、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と成形品の線膨張率に相関(A1,B1)があることがわかった。そして、無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂製の投射レンズについては、投射レンズ(を構成する樹脂)の線膨張率(単位:K−1)が常温で1.0×10−4以下(図4(b)の斜線で示す領域)の場合に、クリアカットラインの鮮明度がほぼ満足できるものであることが確認された。
また、無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂の成形品の熱伝導率についても、図5(a),(b)に示すように、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と成形品の熱伝導率に相関(A2,B2)があることがわかった。そして、成形品について耐熱試験によれば、熱伝導率(単位:Wm−1−1)が常温で0.25以上(図5(b)の斜線で示す領域)の場合に、樹脂の発泡や変色(黄変)がなく耐熱性をほぼ満足できることが確認された。
このため、投射レンズ(を構成する樹脂)の線膨張率が1.0×10−4以下(配光のクリアカットラインの鮮明度をほぼ満足する条件)で、かつ熱伝導率が0.25以上(投射レンズの耐熱性をほぼ満足する条件)となるには、図4(b),図5(b)の斜線の範囲に示すように、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量がシリコーン樹脂に対し40〜70重量%(アクリル樹脂に対し10〜50重量%)であることが望ましい。即ち、無機ナノ粒子(シリカ)がシリコーン樹脂に対し40重量%未満(アクリル樹脂に対し10重量%未満)では、線膨張率が1.0×10−4を超えて配光がボケる(配光のカットラインが不鮮明となる)ため、配光特性が満足したものにならず、特にシリコーン樹脂がベースの場合は、シリカの添加量40が重量%未満で熱伝導率が0.25未満となって樹脂の発泡や変色(黄変)が起こって、投射レンズの耐熱性が不足する。一方、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量がシリコーン樹脂に対し70重量%(アクリル樹脂に対しては50重量%)を超えると、配光特性および耐熱性は満足するものの、添加無機物(シリカ)自体の色の影響が出てレンズの透明性が損なわれるとともに、樹脂成分が少ない分、成形し難くなるし、軽量化のメリットも低下する。
また、請求項2においては、請求項1に記載の投射型自動車用前照灯において、前記投射レンズを40〜70重量%のシリカを添加したシリコーン樹脂で構成するようにした。
(作用)無機ナノ粒子(シリカ)を添加したシリコーン樹脂の成形品の線膨張率は、図4(a),(b)に示されており、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と成形品の線膨張率に相関A1がある。そして、投射レンズ(を構成する樹脂)の線膨張率が常温で1.0×10−4以下であれば、カットラインの鮮明度はほぼ満足したものとなる。
また、無機ナノ粒子(シリカ)を添加したシリコーン樹脂の成形品の熱伝導率は、図5(a),(b)に示されており、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と熱伝導率にも相関A2がある。そして、熱伝導率が常温で0.25以上であれば、樹脂の発泡や変色(黄変)がなく、耐熱性をほぼ満足できる。
このため、投射レンズの主成分であるシリコーン樹脂に対しシリカの添加量を40〜70重量%とすることで、その線膨張率が1.0×10−4以下(配光のカットラインの鮮明度をほぼ満足する条件)となるとともに、熱伝導率が0.25以上(投射レンズの耐熱性をほぼ満足する条件)となる。
また、シリコーン樹脂はもともとアクリル樹脂よりも透明度が高く、シリカを40〜70重量%添加したシリコーン樹脂は、無機ナノ粒子(シリカ)を同量だけ添加したアクリル樹脂に比べて、投射レンズの透明性がより確保されて白色の配光を形成する上で有効である。
請求項3においては、請求項1に記載の投射型自動車用前照灯において、前記投射レンズを10〜50重量%のシリカを添加したアクリル樹脂で構成するようにした。
(作用)無機ナノ粒子(シリカ)を添加したアクリル樹脂の成形品の線膨張率は、図4(a),(b)に示されており、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と成形品の線膨張率に相関B1がある。そして、投射レンズ(を構成する樹脂)の線膨張率が常温で1.0×10−4以下であれば、カットラインの鮮明度はほぼ満足したものとなる。
また、無機ナノ粒子(シリカ)を添加したアクリル樹脂の成形品の熱伝導率は、図5(a),(b)に示されており、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と熱伝導率にも相関B2がある。そして、熱伝導率が常温で0.25以上であれば、樹脂の発泡や変色(黄変)がなく、耐熱性をほぼ満足できる。
このため、投射レンズの主成分であるアクリル樹脂に対しシリカの添加量を10〜50重量%とすることで、その線膨張率が1.0×10−4以下(配光のカットラインの鮮明度をほぼ満足する条件)となるとともに、熱伝導率が0.25以上(投射レンズの耐熱性をほぼ満足する条件)となる。
また、図5(a),(b)に示すように、アクリル樹脂はもともとシリコーン樹脂よりも熱伝導率が高い分、無機ナノ粒子(シリカ)を10〜50重量%添加したアクリル樹脂は、無機ナノ粒子(シリカ)を同量だけ添加したシリコーン樹脂に比べて、熱伝導率が一段と高く、それだけ投射レンズ全体の放熱性に優れ(樹脂の黄変や熱分解がより抑制され)て、投射レンズの耐熱性の改善が顕著である。
また、アクリル樹脂はもともとシリコーン樹脂よりも線膨張率が低い分、無機ナノ粒子(シリカ)を10〜50重量%添加したアクリル樹脂は、無機ナノ粒子(シリカ)を同量だけ添加したシリコーン樹脂に比べて、線膨張率が一段と低く、それだけ投射レンズ全体の熱変形量は小さく、配光のクリアカットラインの鮮明化(配光特性の改善)も顕著である。
以上の説明から明らかなように、請求項1に係わる投射型自動車用前照灯によれば、投射レンズの放熱性が上がり樹脂の黄変や熱分解が抑制されて、投射レンズの耐熱性が改善されるとともに、配光がボケることが抑制(配光のクリアカットラインが鮮明化)されて前照灯の配光特性も改善されるので、現在まで実現できなかった合成樹脂製投射レンズを備えた投射型自動車用前照灯を提供できる。
また、レンズ構成材料として一般に広く知られている合成樹脂(シリコーン樹脂やアクリル樹脂等)に無機ナノ粒子(シリカ)を所定量添加することで、投射レンズを今まで実現できなかった任意の形状に成形することができる。この結果、合成樹脂製投射レンズを備えた投射型自動車用前照灯を車体形状に倣う種々の形状にすることで、従来の投射型自動車用前照灯との差別化を図ることができる。
請求項2によれば、投射レンズの透明度が確保されるので、光源として放電バルブを用いて白色光を形成する投射型自動車用前照灯において特に有効である。
請求項3によれば、投射レンズの耐熱性および配光特性のより一層改善された投射型自動車用前照灯を提供できる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
図1〜3は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明の一実施例であるヘッドランプの縦断面図、図2は同ヘッドランプの水平断面図、図3は同ヘッドランプの要部である投射型光源ユニットの分解斜視図である。
これらの図において、符号10は、前方から斜め側方に開口する容器状のランプボディで、ランプボディ10の前面開口部には、側面側が後方に湾曲する透明な前面カバー11が組付けられて、前面側から側方に湾曲する灯室Sが形成され、灯室S内には、すれ違いビーム形成用の投射型光源ユニットUが収容されている。
光源ユニットUは、内側にアルミ蒸着処理(鏡面処理)が施されたアルミダイキャスト製の略楕円体形状リフレクター20と、リフレクター20のバルブ挿着孔22に挿着された光源である放電バルブ30と、リフレクター20の前方にアルミダイキャスト製の円筒型レンズホルダ40を介し一体化された正面視円形の投射凸レンズ50とから主として構成されている。
そして、リフレクター20の第1焦点近傍に放電バルブ30の放電中心が位置し、リフレクター20の第2焦点位置であって凸レンズ50の後方焦点位置にクリアカットライン形成用シェード80の上縁が位置することで、すれ違いビーム形成用の光源ユニットUが構成されている。
また、凸レンズ50とレンズホルダ40とリフレクター20は、それぞれの突合せ部においてほぼ面一となる曲面形状とされて、光源ユニットUの外形全体がシンプルな1個の卵型に形成されている。
レンズホルダ40の前縁部の内側には、後方から凸レンズ50のフランジ状の周縁部が係合できるレンズ係合部42が周設され、レンズホルダ40内側の上下に対向する位置には、雌ねじ46を形成した一対のボス44が設けられている。そして、レンズ係合部42に係合した凸レンズ50のフランジ状の周縁部は、ボス44にねじ固定された円環状の金属製レンズフィッティング60により固定保持されている。
即ち、レンズフィッティング60は、横断面くの字型の円環状押さえ枠61に屈曲された一対の脚62が延出形成されて、図1に示すように、レンズホルダ40の内周面に密着できる形状に構成されている。脚62の途中には、ねじ挿通孔63が設けられており、締結ねじ64を雌ねじ46に螺着し脚62をボス44に固定することで、凸レンズ50の周縁部52はレンズ係合部42に係合した状態に固定保持される。なお、レンズフィッティング60は、切断工程を伴う板金のプレス加工によって、簡単に製造できる。
また、下方側のボス44には、レンズフィッティング60の脚62とともに、クリアカットライン形成用シェード80の下端側が共締めされており、凸レンズ50とクリアカットライン形成用シェード80をレンズホルダー40に同時に固定できるので、光源ユニットUの組み立て作業が簡単かつ迅速となる。なお、クリアカットライン形成用シェード80の左右には、それぞれ脚82が設けられており、リフレクター20とレンズホルダー40のそれぞれの付き合わせ部に設けたブラケット26,46間に脚82が挟持されることで、シェード80がレンズホルダー40に対しがたつきなく固定される。
また、レンズホルダー40の内側に沿って設けられたレンズ固定手段であるフィッティング60,ボス44,締結ねじ64は、リフレクター20で反射されて凸レンズに向かう光の光路側には一切突出していないので、配光に寄与する光はレンズ固定手段(フィッティング60,ボス44,締結ねじ64)で遮光されないし、レンズ固定手段(フィッティング60,ボス44,締結ねじ64)で反射した配光上好ましくない光はレンズホルダー40の前縁部(レンズ係合部42)で遮光されて凸レンズ50から出射しないので、適正な配光を形成する上で問題はない。
また、光源ユニットUは、ハンドル操舵に連係して水平方向に回動できるように構成されている。即ち、光源ユニットUの上面および下面には鉛直軸48A,48Bが突設され、これらの鉛直軸48A,48Bがランプボディ10の上面内側および底面内側に支持されたブラケット100A,100Bに軸受102を介してそれぞれ支承されて、光源ユニットU全体が鉛直軸48A,48B周りに水平方向に回動できるように構成されている。
また、図2に示すように、光源ユニットU(リフレクター20)の側面後部には、アーム24が突設され、一方、ランプボディ10に固定支持された駆動モータMの上方を向く出力軸にもアーム23が突設され、両アーム23,24間にリンク25がピン連結されてリンク機構22が構成されており、モータMの駆動がリンク機構22を介して光源ユニットU側に伝達されることで、光源ユニットUが鉛直軸48A(48B)周りに揺動できる。
そして、モータMの駆動は、図示しないモータ駆動制御回路によってハンドル操舵角に対応するように制御されており、ハンドル操舵に連係して光源ユニットU(すれ違いビームの光軸L)が水平方向θの範囲で向きを変えるように構成されており、曲進時の視認性が良好となっている。
符号90は、光源ユニットUに対応する円形開口部92が形成され、ランプボディ10と前面カバー11間に挟持されることで灯室S内に配置されたエクステンションリフレクターで、その表側には、リフレクター20と同様のアルミ蒸着処理(鏡面処理)が施されており、光源ユニットUの周辺領域を隠すとともに、灯室S内全体を単一の鏡面色に見せてヘッドランプの見栄えを良好ならしめるという働きがある。
そして、光源ユニットUの凸レンズ50からレンズホルダー40にかけての領域がエクステンションリフレクター90よりも前方に突出しているため、非点灯時には、この光源ユニットUの前端部領域が前面カバー11を通して透けて見える。しかし、光源ユニットUの前端部領域は、スマートな卵型で、しかもその外周面には、レンズ固定手段(フィッティング60,ボス44,締結ねじ64)が一切露出していないので、前面カバー11を通してスマートな卵型の光源ユニットU前端部領域が見えるにとどまって、見栄えが良好となる。
また、投射凸レンズ50は、主成分であるシリコーン樹脂に対し40〜70重量%の無機ナノ粒子であるシリカが分散された合成樹脂で構成されて、その線膨張率(単位:K−1)が1.0×10−4以下で、その熱伝導率(単位:Wm−1−1)が0.25以上であって、配光特性および耐熱性の双方を満足するように構成されている。
図4(a),(b)は、無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂の成形品の線膨張率を示す図で、この図に示すように、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量とそれぞれの成形品の線膨張率に一定の相関がある。
即ち、シリコーン樹脂については、シリカの添加量(重量%)が0%,10%,45%という3種類の実験例があって、図4(b)における実線で示す相関関係A1があることは明らかである。一方、アクリル樹脂については、添加量(重量%)が0%と10%の2種類の実験例だけではあるが、シリカ(ガラス)の線膨張率はアクリル樹脂の線膨張率に比べて著しく小さく(図4(a)参照)、シリカの添加量が増えれば成形品の線膨張率が低下することは明らかで、アクリル樹脂についても、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と成形品の線膨張率に図4(b)における一点鎖線で示す相関関係B1があることが予測できる。
そして、無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂製の凸レンズをそれぞれ用いたヘッドランプについて配光検査を行い、クリアカットラインの鮮明度を調べたところ、凸レンズ50の線膨張率が常温で約1.0×10−4以下(図4(b)における斜線領域)であれば、クリアカットラインの鮮明度がほぼ満足できるものであることが確認された。
また、図5(a),(b)は、無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂の成形品の熱伝導率を示す図で、この図に示すように、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量とそれぞれの成形品の熱伝導率にも一定の相関がある。
即ち、シリコーン樹脂については、シリカの添加量(重量%)が0%,10%,45%という3種類の実験例があって、図5(b)符号A2に示す相関関係があることは明らかである。一方、アクリル樹脂については、これらの添加量(重量%)が0%と10%の2種類の実験例だけではあるが、シリカ(ガラス)の熱伝導率はアクリル樹脂の熱伝導率に比べて著しく大きく(図5(a)参照)、シリカの添加量が増えれば成形品の熱伝導率が増加することは明らかで、アクリル樹脂についても、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と成形品の熱伝導率に図5(b)符号B2に示す相関関係があることが予測できる。
そして、成形品について耐熱試験を行ったところ、熱伝導率(単位:Wn−1−1)が常温で0.25以上(図5(b)における斜線領域)であれば、樹脂の発泡や変色(黄変)がなく、耐熱性をほぼ満足できることが確認された。
以上のことから、凸レンズ50の熱伝導率を0.25以上とするには、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量をシリコーン樹脂に対しては40〜70重量%(アクリル樹脂に対しては10〜50重量%)とすることが望ましいことがわかる。即ち、無機ナノ粒子(シリカ)の添加量がシリコーン樹脂に対し40重量%未満(アクリル樹脂に対し10重量%未満)では、線膨張率が1.0×10−4を超えて配光のカットラインの鮮明度(配光特性)が満足したものにならず、特にシリコーン樹脂がベースの場合は、シリカの添加量が40重量%未満では、熱伝導率が0.25未満となって樹脂の発泡や変色(黄変)が起こって凸レンズの耐熱性が足りないものとなる。一方、シリカの添加量がシリコーン樹脂に対し70重量%(アクリル樹脂に対しては50重量%)を超えると、配光特性および耐熱性は満足するものの、シリカ自体の色の影響が出てレンズの透明性が損なわれるとともに、樹脂成分が少ない分、成形し難くなるし、軽量化のメリットも低下する。
そして、本実施例では、凸レンズ50は、レンズの主成分であるシリコーン樹脂に対し40〜70重量%(例えば45重量%)のシリカを添加した合成樹脂を注型成形することで構成されたもので、その線膨張率(単位:Wn−1)は例えば0.8×10−4で、配光のクリアカットラインが鮮明となる適正な配光特性が得られるとともに、その熱伝導率(単位:Wn−1−1)は例えば0.37で、樹脂の発泡や変色(黄変)が見られない耐熱性に優れた凸レンズ50となっている。
また、本実施例では、凸レンズ50の主成分が透明性の顕著なシリコーン樹脂で構成されているため、凸レンズ50の主成分を他の合成樹脂(例えば、アクリル樹脂)で構成した場合に比べて、凸レンズ50の透明性がより確保されて白色の配光を形成する上で有効である。
図6は、本発明の第2の実施例であるヘッドランプの縦断面図である。
前記した実施例では、レンズホルダー40を介してリフレクター20と凸レンズ50が一体化されているが、この第2の実施例では、レンズホルダー40Aが凸レンズ50に一体成形されている。
即ち、レンズホルダー40Aおよび凸レンズ50は、合成樹脂(シリコーン樹脂)に無機ナノ粒子(シリカ)を40〜70重量%添加(例えば、45重量%添加)した樹脂材料を注型成形することで形成されている。そして、レンズホルダー40Aの内周面には、リフレクター30の内周面に施されていると同様のアルミ蒸着処理が施されており、レンズホルダー40Aから光が漏れることがないように、またレンズホルダー40Aが金属色に見えることで灯室S内全体に単一の金属色の統一感が出るように構成されている。
その他は、前記した第1の実施例と同一であるので、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
なお、前記した第1,第2の実施例では、投射凸レンズ50や投射凸レンズ50・レンズホルダ40A一体化ユニットが、40〜70重量%のシリカを添加したシリコーン樹脂で構成されて、その線膨張率が1.0×10−4以下で、その熱伝導率が0.25以上に設定されていたが、投射凸レンズ50や投射凸レンズ50・レンズホルダ40A一体化ユニットを、10〜50重量%のシリカを添加したアクリル樹脂で構成して、その線膨張率1.0×10−4以下、かつその熱伝導率0.25以上に設定することで、配光特性および耐熱性の双方を満足するように構成してもよい。
また、前記した実施例では、光源ユニットUがハンドル操舵に連係して水平方向に回動するAFS構造として説明されているが、オートレベリングシステムが適用された構造や、単にエイミング機構により光源ユニットUがランプボディ10に対し傾動調整可能な構造であってもよい。
また、前記した実施例では、光源が放電バルブで構成されているが、ハロゲンバルブやその他の白熱バルブで構成されていてもよい。
また、前記した実施例では、無機ナノ粒子の一例としてシリカ(SiO)を説明したが、SiO,ZnO,TiO,MgO,Al,Ta,ZrOのうちのいずれか1種以上の無機物を用いてもよい。
本発明の第1の実施例である自動車用ヘッドランプの縦断面図である。 同ヘッドランプの水平縦断面図である。 同ヘッドランプの要部である光源ユニットの分解斜視図である。 (a)無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂の成形品の熱伝導率を示す図である。 (b)無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と樹脂成形品の熱伝導率の相関関係を示す図である。 (a)無機ナノ粒子(シリカ)をそれぞれ添加したシリコーン樹脂およびアクリル樹脂の成形品の線膨張率を示す図である。 (b)無機ナノ粒子(シリカ)の添加量と樹脂成形品の線膨張率の相関関係を示す図である。 本発明の第2の実施例である自動車用ヘッドランプの縦断面図である。
符号の説明
10 ランプボディ
11 前面カバー
S 灯室
U 投射型光源ユニット
20 略楕円体形状のリフレクター
30 光源である放電バルブ
40,40A レンズホルダー
50 合成樹脂製投射凸レンズ
80 クリアカットライン形成用のシェード(配光形成用シェード)
90 エクステンションリフレクター

Claims (3)

  1. 灯室内に、略楕円体形状のリフレクターと、前記リフレクターの第1焦点近傍に配置された光源と、前記光源の前方に配置された合成樹脂製の投射レンズと、前記投射レンズの焦点近傍に配置された配光形成用シェードとを備えた投射型自動車用前照灯であって、
    前記投射レンズを構成する合成樹脂中には、無機ナノ粒子であるシリカが分散されて、
    前記投射レンズは、その線膨張率(単位:K −1 )が1.0×10 −4 以下で、その熱伝導率(単位:Wm −1 −1 )が0.25以上とされたことを特徴とする投射型自動車用前照灯。
  2. 前記投射レンズは、40〜70重量%のシリカを添加したシリコーン樹脂で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の投射型自動車用前照灯。
  3. 前記投射レンズは、10〜50重量%のシリカを添加したアクリル樹脂で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の投射型自動車用前照灯。
JP2005120679A 2005-04-19 2005-04-19 投射型自動車用前照灯 Active JP4464310B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005120679A JP4464310B2 (ja) 2005-04-19 2005-04-19 投射型自動車用前照灯

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005120679A JP4464310B2 (ja) 2005-04-19 2005-04-19 投射型自動車用前照灯

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006302596A JP2006302596A (ja) 2006-11-02
JP4464310B2 true JP4464310B2 (ja) 2010-05-19

Family

ID=37470660

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005120679A Active JP4464310B2 (ja) 2005-04-19 2005-04-19 投射型自動車用前照灯

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4464310B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101743445B1 (ko) 2010-04-30 2017-06-05 현대모비스 주식회사 자동차용 헤드램프
JP6896367B2 (ja) * 2016-03-04 2021-06-30 株式会社小糸製作所 車両用灯具
CN116906844A (zh) 2023-02-10 2023-10-20 上海久科通用配件有限公司 一种交通通用大灯

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2529087Y2 (ja) * 1991-06-14 1997-03-12 日産自動車株式会社 プロジェクタ型前照灯
JP3439227B2 (ja) * 1992-09-24 2003-08-25 オリンパス光学工業株式会社 合成樹脂製光学部材およびその接着方法
JP4099870B2 (ja) * 1998-07-30 2008-06-11 日本ゼオン株式会社 車両灯具用レンズ
JP2000231002A (ja) * 1999-02-10 2000-08-22 Konica Corp 光学用レンズ
JP4217032B2 (ja) * 2002-06-17 2009-01-28 オリンパス株式会社 光学素子
JP2004224919A (ja) * 2003-01-23 2004-08-12 Mitsubishi Rayon Co Ltd 車両用部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006302596A (ja) 2006-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5570705B2 (ja) プロジェクタ型車両用前照灯
US5117335A (en) Headlight for vehicle
JP5042093B2 (ja) 車両用前照灯
EP1739346B1 (fr) Dispositif projecteur antibrouillard avec lentille de projection
JP2008204903A (ja) 車両用前照灯の灯具ユニット
JP2008077889A (ja) 車両用前照灯
JPH03203112A (ja) 車輌用前照灯
JPH01255101A (ja) 自動車用前照灯
US7273303B2 (en) Headlamp for two-wheel vehicle
JP2013258059A (ja) 灯具ユニットおよび投影レンズ
JP4464310B2 (ja) 投射型自動車用前照灯
KR100220786B1 (ko) 차량용 램프
JP4070190B2 (ja) 車両用ヘッドランプ
JP4998678B2 (ja) 車両前照灯
JP3998970B2 (ja) 車両用灯具
JP2013246888A (ja) 車両用灯具
US6709139B2 (en) Projection-type vehicular headlamp having reduced dazzling effect
JP4592006B2 (ja) 車両用灯火器
JP2000285722A (ja) 車両用ランプ構造
JPH03201301A (ja) 車輌用前照灯
JPH0945107A (ja) 車輌用灯具
JPH10321010A (ja) 車輌用前照灯
JP6726091B2 (ja) 車両用ヘッドライト装置
JPH11111007A (ja) 車両用前照灯
WO2021033746A1 (ja) 車両用前照灯のレンズ及び車両用前照灯

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20061101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061101

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100218

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4464310

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140226

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250