JP7327979B2 - 硬化物、硬化物を用いた光学素子、回折光学素子、光学機器および撮像装置 - Google Patents

硬化物、硬化物を用いた光学素子、回折光学素子、光学機器および撮像装置 Download PDF

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本発明は、カメラやビデオ等の撮像装置に用いるレンズ等の光学素子に関し、特にその光学素子に用いられる樹脂組成物の硬化物に関する。
近年、有機材料と無機材料の両方の特徴を兼ね備えた有機無機複合材料は、従来の有機材料・無機材料のいずれにも無い物性を実現できることから、幅広い分野に応用されている。特に、光学分野では、有機材料と無機材料をナノメートルのオーダーで複合化したナノコンポジット材料が光学材料として期待されている。有機材料である樹脂中にナノメートルオーダーの粒子径である無機粒子を分散させることで、従来、有機材料のみでは達成し得ない物性(屈折率や波長分散性等)を実現できることが知られている。
中でも酸化ジルコニウムや酸化チタンといった高屈折率の無機粒子を硬化性樹脂中に分散させた樹脂組成物の硬化物を光学素子に用いることで、従来の硬化性樹脂の良加工性に加え、光の屈折を利用した光学素子の小型化や高性能化が期待できる。
例えば、特許文献1には、樹脂中における無機粒子の凝集を回避するために、無機粒子表面を分散剤で表面処理し、表面処理を行った無機粒子を樹脂組成物に分散し、該樹脂組成物の硬化物(樹脂層)を形成し、光学素子に適用することが開示されている。
特開2009-46658号公報
しかしながら、発明者は、特許文献1に開示された樹脂組成物の硬化物を光学素子に適用して高温高湿環境に長時間放置したところ、光学素子の光学特性が劣化するという課題を見出した。この課題が発生するメカニズムを以下のように考える。
樹脂組成物に含まれる分散剤は親水基(例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基等)を有するため、無機粒子に吸着しなかった分散剤は、空気中の水分と結合される。分散剤が水分と結合することにより、樹脂組成物の硬化物は吸湿した結果、体積が膨張する。樹脂組成物の硬化物の体積が膨張することにより、光学素子の設計波長に対する光路長が設計値と乖離し、光学素子の集光特性等の特性が変化したためである。
上記課題を解決するための硬化物は、分散剤と、無機粒子と、硬化性樹脂が重合または共重合された樹脂と、を含有する硬化物であって、前記分散剤が、式(1)で表わされる化合物を含有し、前記分散剤の含有量が、前記硬化物100体積部に対して10体積部以上20体積部以下であり、前記硬化性樹脂が、重合性反応基をN個(Nは2以上の整数)有する単量体を含有し、前記単量体の含有量が、前記硬化物100体積部に対して25体積部以上76体積部以下であり、前記硬化物の厚みが100μm以上であることを特徴とす
R-X (1)
(式中、Rは分子構造の末端にアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を有し、Xはカルボキシル基である。)
本発明の硬化物は、無機粒子が好適に分散された硬化性樹脂が重合または共重合された樹脂を含有する硬化物であって、その硬化性樹脂に2個以上の重合性反応基を有する単量体が適量含有されている。この硬化物を光学素子に適用すると、その単量体が硬化した架橋成分により、吸湿による膨張を抑制できる。そのため、高温高湿環境においても高い光学特性を維持できる光学素子を提供することができる。
本発明の光学素子の一実施態様を示す概略図である。 本発明の光学素子の製造方法の一実施態様を示す概略図である。 本発明の回折光学素子の一実施態様を示す概略図である。 本発明の回折光学素子の製造方法の一実施態様を示す概略図である。 本発明の硬化物の屈折率・光散乱特性を測定する光学素子の製造方法を示す概略図である。 本発明の硬化物の吸湿膨張特性を測定する光学素子の製造方法を示す概略図である。 本発明の光学機器の一実施態様を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
(硬化物)
第1実施形態の硬化物は高温高湿環境においても体積変動が少ない光学用途に適した硬化物である。本実施形態の硬化物は、分散剤と、無機粒子と、硬化性樹脂と、を含有する樹脂組成物を重合または共重合させることにより得られる。本明細書において、樹脂組成物とは、硬化物を硬化させる前の原材料のことである。
<硬化性樹脂>
硬化性樹脂は室温で液体である樹脂であり、光重合開始剤または熱重合開始剤といった重合開始剤を利用したラジカル生成機構により硬化する。
本実施形態に用いることができる硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。硬化性樹脂は、1種類のみを使用することもでき、2種類以上を併用することもできる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂は光学特性に優れるという観点において好ましい。(メタ)アクリル系樹脂としては、アクリレート基、メタアクリレート基といった重合性反応基を含む化合物の単量体、又はそのオリゴマーを用いることができる。単量体又はそのオリゴマーは、無機粒子が分散している溶媒、分散剤に良好に相溶するものが好ましい。単量体としては、分子内に1個以上の2重結合や3重結合を有する不飽和基含有化合物であれば、その種類は特に限定はされない。不飽和基含有化合物の単量体又はオリゴマーの具体的な例としては、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4,4-ジメチル-ヘプタ-1-エン-6-イン、ジビニルベンゼン、1,6-ジビニルナフタレン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、エトキシ化ビスフェノールAジビニルエーテル、プロポキシ化ビスフェノールAジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本実施形態に用いる硬化性樹脂は、重合性反応基をN個(Nは2以上の整数)有する単量体(複数の重合性反応基を有する単量体)を含有する。
ここで、単量体の含有量は硬化物100体積部に対して25体積部以上76体積部以下である。本発明の硬化物は、後述する分散剤の含有量の範囲を満たしたうえで、単量体の含有量が前記範囲を満たすことにより、光散乱が生じにくくでき、かつ、吸湿による体積膨張を小さくすることができる。分散剤により無機粒子が好適に分散したうえで、単量体の硬化物が架橋成分として作用し、体積膨張を抑制することが可能となるためである。
一方、単量体の含有量が、硬化物100体積部に対して25体積部未満であると成形性が悪化する。また、単量体の含有量が76体積部より多いと、無機粒子の含有量が相対的に減少し、十分な光学特性が得られない。より好ましくは25体積部以上30体積部以下である。
単量体の分子量は、71×N以上160×N以下の範囲であることが好ましい。ここで、Nは単量体の重合性反応器の数であり、2以上の整数である。分子量が前記範囲である単量体を用いると、硬化物の吸湿による体積膨張をより小さくすることができる。一方、単量体の分子量が160×Nより大きいと単量体中の架橋成分の割合が少なくなり、硬化物の吸湿による体積膨張を抑制する効果が十分でなくなるおそれがある。また、71×Nはアクリレートの最小単位であるため、これより小さいアクリレートは存在しない。
上記分子量の範囲を満たす単量体としては、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート(重合性反応基:N=3、分子量:375(71×N~160×Nを満たす))が挙げられる。また、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(重合性反応基:N=6、分子量:578(71×N~160×Nを満たす))が挙げられる。また、テトラエチレングリコールジアクリレート(重合性反応基:N=2、分子量302(71×N~160×Nを満たす))が挙げられる。また、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(重合性反応基:N=3、分子量:298(71×N~160×Nを満たす))が挙げられる。また、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクレート(重合性反応基:N=2、分子量241(71×N~160×Nを満たす))等も挙げられる。
さらに、単量体には水酸基(-OH基)を含有する単量体が含有されていることが好ましい。水酸基を含有する単量体は樹脂組成物中で、分散剤による無機粒子の分散を助長する役割を担う。そのため、樹脂組成物の硬化物において光散乱を低減させる効果がある。ここで、分散効果を十分に助長させるという観点において、水酸基を含有する単量体の含有量は硬化物100体積部に対して4.0体積部以上76体積部以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは4.0体積部以上12体積部以下である。水酸基を含有する単量体としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクレート等が挙げられる。
<無機粒子>
本実施形態の硬化物において、無機粒子は硬化物の屈折率の波長分散特性を調整する役割を担う。
無機粒子の粒子径は、光散乱や透過性能を満足する程度に小さくする必要がある。光散乱、透過性能に影響を及ぼさないという観点において、好ましい無機粒子の平均粒子径は、3nm以上20nm以下である。凝集物も含め粒子径が20nmを超えると、光散乱が顕著に増大するおそれがある。一方、粒子径が3nmよりも小さい場合には、粒子の表面エネルギーが大きくなるため再凝集が進行し、分散が困難になるおそれがある。なお、硬化物の原材料である樹脂組成物中に粒子径が20nmを超える粒子が存在する場合、遠心処理や限外濾過などの工程により、そのような粒径の粒子を除去することができる。そのような粒径の粒子の除去は、溶媒に粒子を分散させた状態(粒子分散液)で、溶媒を除去することによって行うことが好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、一次粒子の個数平均粒子径のことをさす。無機粒子の平均粒子径を測定する方法は、例えば動的光散乱方式がある。測定できる装置としては粒度分布計があり、例えばELSZ-2000ZS(大塚電子社製)などが挙げられる。
無機粒子の含有量は、硬化物100体積部に対して5体積部以上25体積部以下の範囲であることが好ましい。無機粒子の含有量が前記範囲である場合、硬化物の原材料である樹脂組成物は粘度が低く加工性に優れる。また、硬化物としては高屈折率かつ高透明な光学特性を有する。一方、無機粒子の含有量が、硬化物に対して5体積部未満であると、硬化物は散乱率が高くなり透明性が不十分となるおそれがある。また、無機粒子の含有量が25体積部より多いと、硬化物の原材料である樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が悪化するおそれがある。
無機粒子は、所望の光学特性により、様々な金属酸化物を使用することが可能である。使用可能な粒子としては、例えば、酸化珪素(SiO)、酸化チタン(TiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)が挙げられる。また、酸化アルミニウム(Al)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、インジウム錫酸化物(ITO)、アンチモンドーピング錫酸化物(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられる。高屈折率かつ低分散(高アッベ数)の材料としては、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムが好ましい。コストが安く、少量で高屈折率に出来るという観点においては、酸化ジルコニウムが特に好ましい。一方、波長分散を大きくしたい場合(高分散)は、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム錫酸化物、アンチモンドーピング錫酸化物および酸化亜鉛が好ましい。
<分散剤>
本実施形態に用いられる分散剤は、無機粒子の表面を表面処理し、硬化物中に無機粒子を均一に分散させる役割を担う。
本実施形態に用いる分散剤は、式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする。
R-X (1)
(式中、Rは分子構造の末端基にアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を有し、Xはカルボキシル基である。)
本実施形態に用いる分散剤は、分子構造の末端基にアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を有し、その対となる位置にカルボキシル基(-COOH)がある化合物を含むため、無機粒子を均一に分散させることができる。これはカルボキシル基が親水性を有し、無機粒子の表面との親和性に優れるためである。Rは分子構造の末端基にアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を有する炭化水素基もしくはその一部の水素原子を置換基で置換したものである。RはXと結合するまでに、例えば、-(CH2)-や-(CH2-CH2-O)-,-(CH2-CH2-COO)-といった構造を有していてよい。分散剤として好ましいのは、式(2)で表わされるω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート(n=2)もしくはβ-カルボキシエチルアクリレートである。
CH=CH-(COO-C10-COOH (2)
中でも、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレートは、その分子鎖がアクリルもしくはメタクリル等の樹脂成分と親和性が高いため、光散乱が生じにくいという利点がある。また、親和性が高いため、硬化物の原材料である樹脂組成物において低い粘度を維持できるという利点もある。
分散剤の含有量は、硬化物100体積部に対して10体積部以上20体積部以下である。分散剤の含有量が前記範囲である場合、硬化物は光散乱が生じにくく、かつ、吸湿による体積膨張を小さくすることができる。一方、分散剤の含有量が、硬化物に対して10体積部未満であると、無機粒子が凝集し、散乱率が高くなる。また、分散剤の含有量が20体積部より多いと、吸水による体積膨張が大きくなり屈折率が大きく変動する。また、分散剤の含有量は、無機粒子100体積部に対しては、80体積部以上130体積部以下あることが好ましい。
<分散溶媒>
分散溶媒は、未硬化の樹脂組成物である単量体および/又はそのオリゴマー等を溶解するため、若しくは、無機粒子を分散剤で表面処理するために用いる。
分散溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類が挙げられる。また、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、DMF、DMAc、NMP等のアミド系、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。また、ジエチルエーテル、ブチルカルビトール等のエーテル類、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等も挙げられるが、これらに限定されるものではない。用いる無機粒子の親和性、分散剤の親和性に合わせて分散溶媒を選択することができる。また分散溶媒は1種類のみで使用することもできるし、分散性を損なわない範囲において2種類以上を併用して使用することもできる。
<重合開始剤>
重合開始剤は、硬化性樹脂の硬化条件(照射波長、照射量)に応じて適宜選択することができる。例えば、光重合開始剤としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-フェニルベンゾフェノン、4-フェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジフェニルベンゾフェノン、4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン等を好適なものとして挙げることができる。硬化物の透明性が優れるという観点においては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを用いるのが好ましい。光重合開始剤の含有量は、可視光に吸収を有する微粒子の含有量によっても異なるが、硬化物の原材料である樹脂組成物100質量部に対して0.01質量部以上10.00質量部以下の範囲であることが好ましい。光重合開始剤の含有量をこの範囲とすることで、硬化物の原材料である樹脂組成物を良好に成形でき、また着色による外観不良や透明性の悪化を避けることができる。なお、光重合開始剤は単量体および/又はそのオリゴマー等との反応性、光照射の波長によって1種類のみで使用することもできるし、2種類以上を併用して使用することもできる。
<樹脂組成物の製造方法>
硬化物の原材料である樹脂組成物の製造方法について以下に述べる。
まず、表面処理されていない無機粒子の分散溶液に分散剤に加え、分散剤を無機粒子の表面に吸着させる処理を行う。
無機粒子としては、酸化ジルコニウムや酸化珪素等の上述した粒子と用いることができる。分散溶液の溶媒としては、例えば、メタノールを用いることができる。また、表面に吸着させる処理としては、超音波処理を用いることができる。超音波処理を行うことにより、粒子表面に吸着しているメタノールや安定化剤と分散剤と置換される。
次に、溶媒(メタノール)や安定化剤と分散剤と置換されるのに十分な時間が経過した後に、分散溶液中の粒子濃度から所望量を計算して、光重合可能な単量体および/又はそのオリゴマー及び光重合開始剤を溶解させる。
また、必要に応じてフィルタリング処理を行い、凝集した粒子を除去することができる。粒子が沈殿等なく好適に分散していることを確認した後、例えば、エバポレーターを用いて溶媒を除去する。この際、溶媒の沸点、残留溶媒量等に応じて減圧度を適宜調整することが好ましい。急激な溶媒の蒸発、除去により粒子の凝集の程度を悪化させ、分散性を損なうことがある。また減圧による溶媒除去の際、必要に応じて分散性を損なわない程度に加熱することも可能である。
以上の工程により、樹脂組成物を得ることができる。
なお、得られた樹脂組成物には除去し切れなかった残留溶剤を含有することがある。その含有量が樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部よりも大きいと光硬化時に粒子移動を助長する作用により、屈折率勾配(GI)や光散乱が大きくなるおそれがある。そのため残留溶媒の含有量は0.1質量部以下であることが好ましい。
<光学素子>
図1は本発明の光学素子の一実施態様を示す概略図である。
図1において、光学素子である接合レンズ100は、第一の基材70と、樹脂層90と、第二の基材80とが光軸方向に順に積層されている。ここで樹脂層90が本発明の硬化物である。
第一の基材70および第二の基材80の表面は、平面形状であっても球面形状であっても非球面形状であっても構わないが、図1では平面形状である。また、第一の基材70および第二の基材80としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる透明部材を用いることができる。
続いて、上記光学素子の製造方法について述べる。ただし、製造方法は以下に述べる方法に限られない。
図2は本発明の光学素子の製造方法の一実施態様を示す概略図である。以下に、接合レンズ100を製造する工程を、図2を参照して説明する。
まず、第一の基材70と第二の基材80との間に未硬化の樹脂組成物90aを適量設ける。未硬化の樹脂組成物90aは、例えば、不図示のディスペンサー等によって滴下することができる。
次に、未硬化の樹脂組成物90aを第一の基材70と第二の基材80との間に挟んで所望の厚みになるまで、かつ、光学有効内を覆うまで押し広げる(図2(a)、(b))。なお、充填の際には、必要に応じて第一の基材70または第二の基材80に対し加圧または加熱を行ってもよい。
そして、未硬化の樹脂組成物90aに対して光や熱エネルギーを与えて硬化させ、樹脂組成物の硬化物よりなる樹脂層90を形成する。図2(b)においては、紫外線光源60によって光エネルギーを与えている。このとき未硬化の樹脂層90aの硬化反応を進めるために、光のみならず熱を加えても良い。以上で、図2(c)のような接合レンズ100を得ることができる。
<回折光学素子>
図3は本発明の回折光学素子の一実施態様を示す概略図である。
図3において、回折光学素子1000は、第一の基材700と、回折格子形状を有する第一の樹脂層900と、第二の樹脂層910と、第二の基材800とが光軸方向に順に積層されている。そして第二の樹脂層910が本発明の硬化物である。
第一の基材700および第二の基材800の表面形状は、平面形状であっても球面形状であっても非球面形状であっても構わないが、図3では平面形状である。また、第一の基材700および第二の基材800としては、例えば、ガラスやプラスチックからなる透明部材を用いることができる。
第一の樹脂層900は、第一の無機粒子を含有する第一の樹脂の硬化物である。また、第二の樹脂層910は、第二の無機粒子を含有する第二の樹脂の硬化物である。第二の樹脂層910は第一の樹脂層900の回折格子形状に応じた回折格子形状を有しており、第一の樹脂層900と第二の樹脂層910とは隙間なく積層されている。
ここで、第一の樹脂層900の屈折率をnd1、アッベ数をν1、第二の樹脂層910の屈折率をnd2、アッベ数をν2とすると、nd1<nd2及びν1<ν2の関係を満たす。これは第一の樹脂層900が第二の樹脂層910に対して低屈折高分散であることを示している。また、第二の樹脂層910が第一の樹脂層900に対して高屈折低分散であることを示している。第一の樹脂層900と第二の樹脂層910がこのような関係を満たすことにより、本発明の回折光学素子は優れた反射特性と、色収差補正機能を有する。
続いて、上記回折光学素子の製造方法について述べる。ただし、製造方法は以下に述べる方法に限られない。
図4は本発明の回折光学素子の製造方法の一実施態様を示す概略である。以下に、回折光学素子1000を製造する工程を、図4を参照して説明する。
まず、任意の形状である金型12と第一の基材700の間に、未硬化の樹脂組成物900aを適量設ける。樹脂組成物900aは、第二の樹脂層910に対して、低屈折高分散になるよう設計されている。ここで、第一の基材700および金型12は離型治具15に保持されている。次に、金型12と第一の基材700を動かし、未硬化の樹脂組成物900aを所望の厚みになるまで光学有効内外を覆うまで押し広げる。なお、充填の際には、必要に応じて型および/または第一の基材700に対し加圧または加熱を行ってもよい。続いて、充填された未硬化の樹脂組成物900aに対して光や熱エネルギーを与えて硬化させる。図4(a)においては、紫外線光源60によって光エネルギーを与えている。このとき未硬化の樹脂層900aの硬化反応を進めるために、光のみならず熱を加えても良い。
続いて、図4(b)のように離型治具15を動かし、金型12を離型して、樹脂組成物900aの硬化物よりなる第一の樹脂層900を得る。
さらに、図4(c)のように、第一の樹脂層900が形成された第一の基材700を成形治具16で保持する。続いて、第一の樹脂層900の回折格子形状と、第二の基材800の間に未硬化の樹脂組成物910aを適量設ける。
そして、図4(d)のように、未硬化の樹脂組成物910aを所望の厚みになるまで光学有効内外を覆うまで押し広げる。さらに、充填された未硬化の樹脂組成物910aに対して、光源60により光や熱エネルギーを与えて硬化させ、樹脂組成物910aの硬化物よりなる第二の樹脂層910を形成する。
なお、第二の樹脂層910を形成した後、第二の基材800を分離しても構わない。
<撮像装置>
図7は、本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例である、一眼レフデジタルカメラの構成を示している。図7において、カメラ本体602と光学機器であるレンズ鏡筒601とが結合されているが、レンズ鏡筒601はカメラ本体602に対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒601の筐体内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を通過して撮像素子610に到達して撮影される。本発明の(回折)光学素子は例えば、レンズ603、605に用いることができる。
ここで、レンズ605は内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒601の外筒に対して可動支持されている。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610にレンズ鏡筒601から入射した撮影光像を結像させる。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
以下に本発明の硬化物を用いた光学素子について具体的に説明する。
<樹脂組成物の製造>
まず、本発明の硬化物の原材料である樹脂組成物を製造した。
(実施例1)
メタノール溶媒に酸化ジルコニウムを分散した分散液(堺化学工業製:無機粒子の平均粒子径5nm、酸化ジルコニウム濃度31.422質量部)を30.893g用意した。また、分散剤としてω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成製:M-5300)1.691gを用意した。また、紫外線硬化型の硬化性樹脂として、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート2.952g、ペンタエリスリトールトリアクリレート0.510gおよびジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレート4.154gを用意した。さらに、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.236gを用意し、それぞれを瓶に入れ混合した。
混合液は、超音波洗浄器(日本エマソン製:BRANSON 1210)で30分処理した後、シリンジフィルター(PTFE0.8μmと0.2μm)を用いて凝集物を取り除いた。その後、混合液を41℃のオイルバスで加熱しながら、エバポレーターにより減圧濃縮を行い、溶媒であるメタノールを除去し、実施例1の硬化物を作成するための樹脂組成物を得た。
表1には、分散液、分散剤、硬化性樹脂および重合開始剤の混合量をそれぞれまとめた。
Figure 0007327979000001
ここで、表1の種類の欄に示した英数字は以下の材料を示す。
(分散液)
A1:溶媒:メタノール/無機粒子:酸化ジルコニウム(平均粒子径5nm)
A2:溶媒:メタノール/無機粒子:酸化珪素(平均粒子径12nm)
(分散剤)
B1:ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート
B2:β-カルボキシエチルアクリレート
(硬化性樹脂)
C1:トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(重合性反応基:N=3、分子量:375(213=71×N~160×N=480)、水酸基数:0)
C2:ペンタエリスリトールトリアクリレート(重合性反応基:N=3、分子量:298(213=71×N~160×N=480)、水酸基数:1)
C3:ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレート(重合性反応基:N=1、分子量:298(71=71×1~160×1=160)、水酸基数:0)
C4:2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクレート(重合性反応基:N=2、分子量:241(142=71×N~160×N=320)、水酸基数:1)
C5:EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(3)(重合性反応基:N=3、分子量:692(213=71×N~160×N=480)、水酸基数:0)
(重合開始剤)
D1:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(実施例2)
硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート2.120g、ペンタエリスリトールトリアクリレートを1.335g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートを4.162gとした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
(実施例3)
分散液を30.776g、分散剤を1.267gとした。また、硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートを2.245g、ペンタエリスリトールトリアクリレートを1.414g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートを4.407gとした。また、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの混合量を0.249gとした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
(実施例4)
分散液を31.011g、分散剤を2.118gとした。また、硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートを1.994g、ペンタエリスリトールトリアクリレートを1.256g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートを3.915gとした。また、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.222gとした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
(実施例5)
分散液としてメタノール溶媒に酸化珪素を分散した分散液(日産化学製:無機粒子の平均粒子径12nm、酸化珪素濃度29.529質量部)を15.996g、分散剤を2.551gとした。また、硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートを3.398g、ペンタエリスリトールトリアクリレートを2.139g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートを6.669gとした。また、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの混合量を0.378gとした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
(実施例6)
硬化性樹脂として、ペンタエリスリトールトリアクリレートの代わりに2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクレートを用いて、その含有量を1.335gとした点以外は実施例2と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
(実施例7)
分散剤として、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレートの代わりにβ-カルボキシエチルアクリレートを用いて、その含有量を1.691gとした点以外は実施例2と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
(実施例8)
硬化性樹脂として、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの代わりにEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(3)を用いた。また、その混合量を3.455gとした点以外は、実施例2と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
なお、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(3)は、分子量が692、N=3であり、分子量が71×N以上160×Nの範囲を満たさない。
(実施例9)
分散液を31.422gとした。また、硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート6.203g、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.413gとした。これらの点以外は実施例1の樹脂組成物と同様の条件で樹脂組成物を得た。
(実施例10)
分散液を23.778g、分散剤を1.302gとした。また、硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート8.627g、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.704gとした。また、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.320gとした。これらの点以外は実施例1の樹脂組成物と同様の条件で樹脂組成物を得た。
(比較例1)
分散液を31.287g、分散剤を3.120gとした。また、硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートを1.698g、ペンタエリスリトールトリアクリレートを1.069g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートを3.334gとした。また、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの混合量を0.189gとした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
(比較例2)
分散液を30.669g、分散剤を0.877gとした。また、硬化性樹脂の混合量を、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートを2.360g、ペンタエリスリトールトリアクリレートを1.486g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートを4.633gとした。また、光重合開始剤である1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの混合量を0.362gとした。これらの点以外は、実施例1と同様の条件で、樹脂組成物を得た。
<樹脂組成物および硬化物の評価>
(硬化物の組成)
硬化物100体積部に対する無機粒子、分散剤、単量体および水酸基を有する単量体の体積分率は硬化物を作成し、以下の手順で計算した。硬化物は、後述する屈折率・散乱測定用光学素子と同様の方法で作成した。なお、回折光学素子の状態から硬化物を切り出して測定することも可能である。
計算に際し、まず、硬化物の比重と体積を、密度勾配管法直読式比重測定装置を用いて測定した。次に、TGA(TAインスツルメント社製:TGA Q500)を用いて600℃まで硬化物を昇温し、その残量から無機粒子の比重値を用いて無機粒子の体積分率を計算した。無機粒子の比重は、酸化ジルコニウムは6.02、酸化珪素は2.00とした。
続いて、1から無機粒子の体積分率を引いた残部の値に対し、分散剤の比重1.05、硬化後の硬化性樹脂の比重1.28を用いて、分散剤及び各樹脂の体積分率を計算した。なお、比重から各樹脂の体積分率を求める際には、GC-Mass等の分析を行うことにより、その精度を高くすることができる。
硬化物中の無機粒子、分散剤、単量体および水酸基を有する単量体の体積分率をそれぞれ表2にまとめた。
(残留溶剤)
実施例1~10及び比較例1、2の樹脂組成物の残留溶剤は、ガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製:5890seriesII)によって評価した。その結果を表3に示す。
(屈折率・散乱測定用光学素子の作成)
屈折率・散乱測定用光学素子は下記の要領で作成した。
図5(a)に示すように、厚さ1mmのガラス4(BK7)の上に、厚さ500μmのスペーサー7と実施例もしくは比較例の未硬化の樹脂組成物5aを配置した。その上に厚みが1mmの石英ガラス6を、スペーサー7を介して載せ、未硬化の樹脂組成物5aを押し広げた。次に図5(b)のようにスペーサー7を外した。その後、図5(c)のように石英ガラス6の上から、20mW/cm(=石英ガラスを通した照度)で2500秒の条件(50J)で光源18である高圧水銀ランプ(HOYA CANDEO OPTRONICS製:UL750)を照射した。樹脂組成物5aを硬化させ、石英ガラスをはがして、その後、温度80℃で72時間アニールしたものを屈折率・散乱測定用光学素子とした。
図5(d)に屈折率・散乱測定用光学素子200を示す。
(屈折率・波長分散の評価)
屈折率と波長分散は、屈折率・散乱測定用光学素子を用いてng,n,nd,nの屈折率を測定する事により求めた。その結果は表3に示す。
(散乱率の評価)
散乱率は、屈折率・散乱測定用光学素子を用いて、分光光度計(日立製作所製:U4000)によって、波長400nmにおける散乱率を求めた。サンプルの樹脂部分の膜厚を測定し、500μmの膜厚に換算した値を算出した。結果を表3に示す。
<吸湿膨張率測定サンプルの作成>
散乱測定用光学素子は下記の様にして作成した。
図6(a)に示すように、厚さ1mmの石英ガラス8の上に、厚さ100μmのスペーサー9と実施例もしくは比較例の未硬化の樹脂組成物10aを配置した。その上に厚みが1mmの石英ガラス11を、スペーサー9を介して載せ、未硬化の樹脂組成物10aを押し広げた。次に図6(b)のようにスペーサー9を外した。その後、図6(c)のようにこれを、20mW/cm(=石英ガラスを通した照度)で2500秒の条件(50J)で光源18である高圧水銀ランプ(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製:UL750)を照射した。樹脂組成物10aを硬化させ、両面の石英ガラスをはがして、5mm×20mmの短冊状に加工した後、温度80℃で72時間アニールしたものを吸湿膨張測定サンプルとした。
図6(d)に吸湿膨張測定サンプル300を示す。
<吸湿膨張測定サンプルの吸湿線膨張の測定の評価>
吸湿膨張率は、吸湿膨張測定サンプルを用いて、水蒸気雰囲気熱機械分析装置:HUM-TMA(リガク社製:Thermo Plus EVO)によって評価した。温度60℃湿度70%と温度60湿度℃0%における長さの変化を測定し、変化した長さに対する元の長さの割合を吸湿膨張率とした。その結果を表3に示す。
Figure 0007327979000002
Figure 0007327979000003
表2および3から、分散剤の含有量が10体積部以上20体積部以下であった実施例1から10は、散乱率が1.5%以下であり、かつ、吸湿膨張率が0.42%以下であった。
しかし、比較例1は、分散剤の含有量が28.4体積部と実施例1~10と比べて多かったため、吸湿膨張率が0.47%と大きかった。また、比較例2は、分散剤の含有量が8.1体積部と実施例1~10と比べて少なかったため、散乱率が1.8%と大きかった。
なお、実施例8は実施例1~7、9および10と比べると、吸湿膨張率が若干高かった。これは、実施例8に用いた単量体:EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(3)の分子量が692(N=3)であり、分子量が71×N以上160×Nの範囲を満たさなかったことに起因すると考えられる。
(回折光学素子)
図4に示した製造方法で、図3のような回折光学素子を製造した。
まず、第一の樹脂層に用いる樹脂組成物を製造した。
キシレン溶媒にインジウム錫酸化物(ITO)を分散した分散液(CIKナノテック製:無機粒子の平均粒子径20nm、インジウム錫酸化物濃度9.96質量部、分散剤量2.19質量部、分散剤:高分子量分散剤)を51.63g用意した。また、硬化性樹脂として、トリ(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートが20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートが25質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートが40質量部、ウレタン変性ポリエステルアクリレートが13質量部、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが2質量部である混合物3.72gを用意した。そして分散液と硬化性樹脂とを混合した。
この混合液をエバポレーターに入れ、41℃のオイルバスで加熱しながら、気圧を300hPaから2hPaまで徐々に圧力を下げ、最終的には4hPaまで減圧した。このような圧力変化を行い、40時間かけて、第一の樹脂層に用いる樹脂組成物を製造した。
続いて、第一の樹脂組成物の残留溶剤の含有量と、屈折率を本発明の硬化物と同様の方法で評価した。結果、残留溶剤の量は0.002質量部であり、屈折率および波長分散は(nd,νd,θgF)はそれぞれ(1.567,19.0,0.41)であった。これは第一の樹脂層が第二の樹脂層に対し、低屈折高分散であることを意味している。
次に、第一の樹脂層に用いる樹脂組成物と実施例1~4、6~10、比較例1の樹脂組成物を用いて、回折光学素子を製造した。
まず、図4(a)に示す様に、回折格子形状を有する金型12の上に第一の樹脂層に用いる樹脂組成物900aを設け、該樹脂組成物900aの上に2mm厚のガラス基板である第一の基材700を配置した。続いて、光源である不図示の高圧水銀ランプ(HOYACANDEO OPTRONICS社製、EXECURE250)を用いて、14.2mW/cm~20mW/cmの強度で、600秒~850秒照射した。樹脂組成物900aが硬化した後、図4(b)に示す様に金型12を離型し、大気中にて温度80℃で72時間アニールし、回折格子形状を有する第一の樹脂層900を形成した。
次に、図4(c)のように、第一の樹脂層900が形成された第一の基材700を成形治具16で保持する。続いて、不図示のディスペンサーを用いて、実施例1~4、6~10および比較例1の樹脂組成物910aを第一の樹脂層900の回折格子形状に滴下した。
そして、図4(d)のように、平板ガラスである第二の基材800を樹脂組成物910aの上にのせ、図4(e)に示す様な第二の樹脂層910の長さが、第一の樹脂層の径方向の端部から300μmとなるように、樹脂組成物910aを押し広げた。このサンプルに、20mW/cm(=石英ガラスを通した照度)で2500秒の条件(50J)で光源18である高圧水銀ランプ(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製:UL750)を照射した。樹脂組成物910aを硬化した後、温度80℃で72時間アニールし、回折光学素子1000を得た。
(評価方法)
<回折効率の評価>
回折効率は、スポット光を回折光学素子1000にあて、受光部を密着して、すべての透過光の光量を測定した後、設計次数(1次の回折光)の光量を測定し、その光量比(設計次数の光量/全透過光光量)を回折効率と定義した。
<高温高湿試験>
回折光学素子1000を温度60℃、湿度70%の環境に設定した恒温槽に入れた。2000時間経過後に取り出し、透過波面を計測した。
透過波面の計測は、フィゾー干渉計(Zygo社 GPI)を用いて行った。透過波面には、回折光学素子の曲率等の光学形状や屈折率等の光学特性の情報が含まれる。得られた透過波面をフィッティングして、レンズ中心を通る透過波面の位相断面より、そのPV値を読み取った。そして、その端部の変化量は接合レンズの耐久前後の透過波面の変化を解析した。
高温高湿試験の前後で、透過波面の変化が200nm以上であったものをB、200nm以下であったものをAとした。
また、高温高湿試験の前後で撮像画像の変化が大きかったものをB、小さかったものをAとした。
Figure 0007327979000004
吸湿膨張率が大きかった比較例1の樹脂組成物は、高温高湿試験前後の透過波面の変化が205nmと大きかったため、撮像画像の劣化が大きかった。また、比較例1の回折光学素子の樹脂層910の端部を顕微鏡で観察したところ、径方向に膨張していることが確認された。
本実施形態の硬化物は、無機粒子が分散剤により好適に分散され、重合又は共重合された硬化性樹脂に2個以上の重合性反応基を有する単量体が適量含有されている。この硬化物を光学素子に適用すると、その単量体が硬化した架橋成分により、吸湿による膨張を抑制できる。そのため、高温高湿環境においても高い光学特性を維持できる。
(第2実施形態)
第2実施形態の硬化物は光散乱が少ない光学用途に適した硬化物である。第2実施形態の硬化物は、第1実施形態と同様に、分散剤と、無機粒子と、硬化性樹脂が重合または共重合された樹脂と、を含有し、さらに酢酸を含有することを特徴とする。
第2実施形態の硬化物は、<硬化性樹脂>、<無機粒子>、<分散剤>、<分散溶媒>および<重合性開始剤>は第1実施形態の硬化物と同じである。そのため、第1実施形態と異なる個所についてのみ説明する。なお、第1実施形態の硬化物が酢酸を含有してもよい。
<酢酸>
本発明の硬化物において、酢酸は無機粒子の表面の一部に吸着することにより、無機粒子の表面を化学的に安定にさせる安定化剤として役割を担う。そのため、分散剤による無機粒子の凝集抑制効果を助長する。
酢酸の含有量は硬化物100体積部に対して3.5体積部以上15.0体積部以下であることが好ましい。酢酸の含有量が前記範囲である場合、分散剤による無機粒子の凝集抑制効果を効果的に発揮することができる。一方、酢酸の含有量が3.5体積部未満であると、無機粒子の凝集抑制効果が不十分であり、一部の無機粒子が凝集し、光散乱が生じやすい。また、酢酸の含有量が15.0体積部より多いと、酸の影響により加水分解や熱の発生が生じ、時間が経過すると、硬化性樹脂が変質してしまうおそれがある。
酢酸を硬化物の原材料である樹脂組成物中に含有させる手段は特に限定されない。製造工程中に添加しても良いし、酢酸が含有されている原料を用いても良い。また、酢酸の含有量は、精製や濃縮等の工程を経ることで、任意の濃度に調整することもできる。樹脂組成物中もしくは硬化物に含まれる酢酸の濃度は例えば、ガスクロマトグラフィーを使用することで、定量することができる。
(第2実施形態の実施例)
以下に本発明の硬化物、光学素子および回折光学素子について具体的に説明する。
<樹脂組成物の製造>
(実施例11)
酸化ジルコニウム粒子(個数平均粒子径3nm)100質量部に対し、メタノール233質量部、分散剤としてω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート17.4質量部、安定化剤として酢酸11.2質量部を加え、分散処理を行った。硬化性樹脂として、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを20.3質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを39.6質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを13.0質量部、並びに光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.4質量部、分散液に溶解させた。その後、オイルバスで加熱しながらエバポレーターにより40℃で減圧濃縮を行い、メタノールを除去し、実施例11の樹脂組成物を得た。
(実施例12)
実施例11の酢酸の含有量を8.2質量部、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを21.1質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを41.2質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを13.5部、並びに光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.5質量部に示すように変更した以外は、実施例11と同様の条件で実施例12の樹脂組成物を得た。
(実施例13)
実施例11の酢酸の含有量を4.2質量部、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを22.2質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを43.6質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを14.0質量部、並びに光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.5質量部に示すように変更した以外は、実施例11と同様の条件で実施例13の樹脂組成物を得た。
(実施例14)
実施例11の酢酸の含有量を15.1質量部、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを19.3質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを37.8質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを12.1質量部、並びに光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.1質量部に示すように変更した以外は、実施例11と同様の条件で実施例14の樹脂組成物を得た。
(比較例3)
実施例11の酢酸の添加量を3.7質量部、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを22.3質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを43.6質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを14.3部、並びに光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.7質量部に示すように変更した以外は、実施例11と同様の条件で比較例3の樹脂組成物を得た。
(比較例4)
実施例11の酢酸の添加量を17質量部、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを18.8質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートを36.8質量部、およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートを11.8部、並びに光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2.1質量部に示すように変更した以外は、実施例11と同様の条件で比較例4の樹脂組成物を得た。
<樹脂組成物および硬化物の評価>
(硬化物の組成)
実施例1~10と同様の方法で組成を計算した。なお、酢酸の比重は1.09とした。
実施例11は、硬化物100体積部に対して、酸化ジルコニウムが16.3体積部、分散剤(ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)が15.7体積部、酢酸が10.5体積部であった。
実施例12は、硬化物100体積部に対して、酸化ジルコニウムが16.4体積部、分散剤(ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)が15.8体積部、酢酸が7.7体積部であった。
実施例13は、硬化物100体積部に対して、酸化ジルコニウムが16.5体積部、分散剤(ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)が15.9体積部、酢酸が4.0体積部であった。
実施例14は、硬化物100体積部に対して、酸化ジルコニウムが16.2体積部、分散剤(ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)が15.6体積部、酢酸が14.0体積部であった。
比較例3は、硬化物100体積部に対して、酸化ジルコニウムが16.5体積部、分散剤(ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)が15.9体積部、酢酸が3.5体積部であった。
比較例4は、硬化物100体積部に対して、酸化ジルコニウムが16.1体積部、分散剤(ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート)が15.6体積部、酢酸が15.7体積部であった。
(散乱率)
散乱率測定用の素子を以下の要領で作製した。
厚さ1mmのガラス基材の上に、厚さ500μmのスペーサーを配置し、実施例11~14および比較例3の樹脂組成物を充填した。その上に厚みが1mmのガラス基材を載せ、樹脂組成物を押し広げ、15mW/cm、3000秒の条件で高圧水銀ランプにより紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化し、散乱率測定用の素子を得た。
硬化物の散乱率は、分光光度計(U4000、日立製作所)にてサンプルの全透過光量、拡散光量を測定し、全透過光量に対する拡散光量の比から散乱率を算出した。測定結果を表5に示す。
なお、比較例4の硬化物は酢酸の含有量が15.2体積部と多かったため、温度23℃の環境で静置し、作製から170時間が経過したところで、変質してしまったため、散乱率測定用の素子の作成は行わなかった。
Figure 0007327979000005
<回折光学素子の製造>
図4に示した製造方法で、図3のような回折光学素子を製造した。
まず、第一の樹脂層に用いる樹脂組成物を製造した。
キシレン126.3gに分散剤としてω―カルボキシ―ポリカプロラクトンモノアクリレート2.9gを溶解させ、続いて無機粒子として平均粒子径15nmのインジウム錫酸化物(ITO)粒子14.4gを添加し、分散剤とITO粒子の混合液を得た。得られた混合液をビーズミルで分散処理後、細孔が100nmのフィルターで濾過処理して、キシレンにITO粒子が10質量部分散したスラリーを得た。
続いて前記スラリーに、光重合開始剤が混合された紫外線硬化樹脂HV153(株式会社アーデル製)6.1gを溶解した。この混合液をエバポレーターで、45℃、100ヘクトパスカルから徐々に圧力を下げ、最終的には3ヘクトパスカルへと減圧した。キシレンを12時間かけて十分に除去し、第一の樹脂層に用いる樹脂組成物を製造した。
第一の樹脂層に用いる樹脂組成物について、実施例1と同様の散乱率測定用の素子を作成し、硬化物の屈折率と波長分散を、ng,n,nd,nの屈折率を測定する事により求めた。結果、屈折率および波長分散は(nd,νd,θgF)はそれぞれ(1.57,19.0,0.41)であった。
次に、第一の樹脂層に用いる樹脂組成物と実施例11~14および比較例3の樹脂組成物を用いて、回折光学素子を製造した。
まず、図4(a)に示す様に、回折格子形状を有する金型12の上に第一の樹脂層に用いる樹脂組成物900aを設けた。そして、該樹脂組成物900aの上に第一の基材700であるガラス基板(オハラ株式会社製、商品名;S-FSL5)を載せて樹脂組成物900aを押し広げた。
続いて、光源である不図示の高圧水銀ランプ(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、EXECURE250)を用いて、20mW/cmの強度で、1000秒の条件で照射し、樹脂組成物900aを硬化させた。
樹脂組成物900aが硬化した後、図4(b)に示す様に金型12を離型し、大気中にて温度80℃で72時間アニールし、回折格子形状を有する第一の樹脂層900を形成した。
次に、図4(c)のように、第一の樹脂層900が形成された第一の基材700を成形治具16で保持する。続いて、不図示のディスペンサーを用いて、実施例11、12および比較例3の樹脂組成物910aを第一の樹脂層900の回折格子形状に滴下した。
そして、図4(d)のように、第二の基材800として平板ガラス(オハラ株式会社製、商品名:S-LAH55V)を樹脂組成物910aの上にのせ、樹脂組成物910aを押し広げた。
さらに、光源18である高圧水銀ランプ(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製:EXECURE250)を用いて、第二の基材を介して20mW/cmの強度で1000秒照射し、樹脂組成物910aを硬化させ、回折光学素子1000を得た。
なお、第二の樹脂層に用いた硬化物の屈折率および波長分散は(nd,νd,θgF)は、それぞれ(1.62,45.0,0.57)であった。これは第二の樹脂層が第一の樹脂層に対し、高屈折低分散であることを意味している。
<回折光学素子のフレア率評価>
フレア率は、フレア測定機を用いて測定した。フレア測定機は、光源とフレア評価用チャートとレンズを組み込む光学系と撮像センサから構成される。フレア評価用チャートは黒体を含み、その背景に光源を配置する。フレア評価用チャートは、被測定レンズを組み込む光学系を通して撮像センサで撮影される。フレア評価用チャートの黒体の写真が、黒く写るほどフレア率は低くなり、白く明るく写るほどフレア率は高くなる。これは、フレア光(散乱光)が黒体の像域にどれほど広がっているかを評価した。フレア率は、任意の基準レンズのフレア量と被測定レンズのフレア量の比から計算した。
Figure 0007327979000006
表6によれば、酢酸が硬化物100体積部に対して3.5体積部以上15.0体積部以下の光学素子は、低散乱率を有する。このことから、前記光学素子は高透明な光学特性を有し、カメラのレンズなどに用いられた場合には、良好な画像を得ることができることが分かる。
600 デジタルカメラ(撮像装置)
601 レンズ鏡筒(光学機器)
602 カメラ本体
70 第一の基材
700 第一の基材
80 第二の基材
800 第二の基材
90 樹脂層
90a 樹脂組成物
900 第一の樹脂層
910 第二の樹脂層
910a 樹脂組成物
100 接合レンズ(光学素子)
1000 回折光学素子

Claims (20)

  1. 分散剤と、無機粒子と、硬化性樹脂が重合または共重合された樹脂と、を含有する硬化物であって、
    前記分散剤が、式(1)で表わされる化合物を含有し、
    前記分散剤の含有量が、前記硬化物100体積部に対して10体積部以上20体積部以下であり、
    前記硬化性樹脂が、重合性反応基をN個(Nは2以上の整数)有する単量体を含有し、
    前記単量体の含有量が、前記硬化物100体積部に対して25体積部以上76体積部以下であり、
    前記硬化物の厚みが100μm以上であることを特徴とする硬化物。
    R-X (1)
    (式中、Rは分子構造の末端にアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を有し、Xはカルボキシル基である。)
  2. 前記硬化性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂である請求項1に記載の硬化物。
  3. 前記重合性反応基が(メタ)アクリレート基である請求項1または2に記載の硬化物。
  4. 前記単量体の分子量が、71×N以上160×N以下(Nは単量体の重合性反応の数であり、2以上の整数)である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化物。
  5. 前記単量体の含有量が、前記硬化物100体積部に対して25体積部以上30体積部以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化物。
  6. 前記単量体が、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクレートからなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化物
  7. 前記無機粒子が、酸化珪素、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム錫酸化物、アンチモンドーピング錫酸化物及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬化物
  8. 前記無機粒子が、酸化ジルコニウムである請求項7に記載の硬化物。
  9. 前記硬化性樹脂が、水酸基を有する単量体を含有し、
    前記水酸基を有する単量体の含有量が、前記硬化物100体積部に対して4.0体積部以上12体積部以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載の硬化物。
  10. 前記式(1)で表わされる化合物が、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレートもしくはβ-カルボキシエチルアクリレートである請求項1乃至のいずれか1項に記載の硬化物。
  11. 前記無機粒子の平均粒子径が、3nm以上20nm以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の硬化物。
  12. 前記無機粒子の含有量が、前記硬化物100体積部に対して5体積部以上25体積部以下である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の硬化物。
  13. 分散剤と、無機粒子と、硬化性樹脂が重合または共重合された樹脂と、酢酸と、を含有する硬化物であって、
    前記分散剤が、式(1)で表わされる化合物を含有し、
    前記分散剤の含有量が、前記硬化物100体積部に対して10体積部以上20体積部以下であり、
    前記硬化性樹脂が、重合性反応基をN個(Nは2以上の整数)有する単量体を含有し、
    前記単量体の含有量が、前記硬化物100体積部に対して25体積部以上76体積部以下であり、
    前記酢酸の含有量が、前記硬化物100体積部に対して4.0体積部以上15.0体積部以下であることを特徴とする硬化物
    R-X (1)
    (式中、Rは分子構造の末端にアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を有し、Xはカルボキシル基である。)
  14. 分散剤と、無機粒子と、硬化性樹脂が重合または共重合された樹脂と、を含有する硬化物であって、
    前記分散剤が、式(1)で表わされる化合物を含有し、
    前記分散剤の含有量が、前記硬化物100体積部に対して10体積部以上20体積部以下であり、
    前記硬化性樹脂が、重合性反応基をN個(Nは2以上の整数)有する単量体を含有し、
    前記単量体の含有量が、前記硬化物100体積部に対して25体積部以上76体積部以下であり、
    前記硬化性樹脂が、水酸基を有する単量体を含有し、
    前記水酸基を有する単量体の含有量が、前記硬化物100体積部に対して4.0体積部以上12体積部以下であることを特徴とする硬化物。
    R-X (1)
    (式中、Rは分子構造の末端にアクリロイルオキシ基もしくはメタクリロイルオキシ基を有し、Xはカルボキシル基である。)
  15. 第一の基材と、硬化物と、第二の基材とが順に積層された光学素子であって、
    前記硬化物が、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の硬化物であることを特徴とする光学素子。
  16. 基材と、回折格子形状を有する第一の硬化物と、回折格子形状を有する第二の硬化物とが順に積層された回折光学素子であって、
    前記第一の硬化物もしくは前記第二の硬化物が、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の硬化物であることを特徴とする回折光学素子。
  17. 前記第二の硬化物が、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の硬化物であり、
    前記第一の硬化物の屈折率をnd1、前記第一の硬化物のアッベ数をν1、前記第二の硬化物の屈折率をnd2、前記第二の硬化物のアッベ数をν2としたときに、nd1<nd2及びν1<ν2を満たす請求項16に記載の回折光学素子。
  18. 筐体と、該筐体内に複数のレンズからなる光学系を備える光学機器であって、
    前記複数のレンズの少なくとも1つが、請求項15に記載の光学素子または請求項16または17に記載の回折光学素子であることを特徴とする光学機器。
  19. 筐体と、該筐体内に複数のレンズからなる光学系と、該光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を備える撮像装置であって、
    前記複数のレンズの少なくとも1つが、請求項15に記載の光学素子または請求項16または17に記載の回折光学素子であることを特徴とする撮像装置。
  20. 前記撮像装置がカメラである請求項19に記載の撮像装置。
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