JP2024043481A - 樹脂組成物、光学素子、光学機器、撮像装置及び光学素子の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、光学素子、光学機器、撮像装置及び光学素子の製造方法 Download PDF

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【課題】 光学素子に適用した際に、透明基材との密着性に優れ、かつ、吸水膨張率が低い樹脂組成物を提供する。【解決手段】 樹脂組成物は、脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体と、脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第2の単量体、及び/又は、脂環骨格を有する2官能の(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第3の単量体と、重合開始剤と、を有する。重合体、第2の単量体及び第3の単量体の含有量の和が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲である。【選択図】 図1

Description

本開示は、樹脂組成物、光学素子、光学機器、撮像装置及び光学素子の製造方法に関する。
光学素子の一つとして、ガラスのような透明基材に樹脂組成物の硬化物が設けられたレンズが知られている。このようなレンズは、成形型を用い、基材と成形型との間に樹脂組成物を設けて重合又は共重合させ、所望形状の硬化物を基材表面に形成することによって製造される。このような製造方法で製造されたレンズはレプリカ素子と呼ばれる。レプリカ素子は所望の表面形状を容易に形成できるので、非球面レンズやフレネルレンズとして用いるのに有効である。非球面レンズとは、レンズ中心から周辺にかけて曲率が連続的に変化しているレンズの総称である。特許文献1及び2には、レプリカ素子に用いることが可能な樹脂組成物が開示されている。
特開平6-298886号公報 特開平8-157546号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示された樹脂組成物の硬化物は吸水膨張率が高いため、例えば、高湿の環境下では光学性能が変化しやすいという課題があった。また、吸水膨張率が低い材料は、透明基材との密着性が十分でないという課題があった。
上記課題を解決するための第一の態様は、下記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体と、前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第2の単量体、及び/又は、前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する2官能の(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第3の単量体と、重合開始剤と、を有し、前記重合体、前記第2の単量体及び前記第3の単量体の含有量の和が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲であることを特徴とする樹脂組成物である。
(一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアルキレン基である。)
上記課題を解決するための第二の態様は、透明基材と、前記透明基材の上に設けられた、下記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート化合物を有する硬化物と、を有し、前記硬化物中における前記(メタ)アクリレート化合物の含有量が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲であることを特徴とする光学素子である。
(一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアルキレン基である。)
上記態様によれば、光学素子に適用した際に、透明基材との密着性に優れ、かつ、吸水膨張率が低い樹脂組成物を提供することができる。また、その樹脂組成物を用いた光学素子を提供することができる。
本開示に係る光学素子の一実施態様を示す概略図。 本開示に係る光学素子の製造方法の一実施態様を示す概略図。 本開示に係る撮像装置の一実施態様を示す概略図。 実施例の光学素子における硬化物の厚みを示す概略図。
以下、本開示の実施形態について説明する。
[光学素子]
図1は第1実施形態に係る光学素子を示す概略図であり、光学素子10を光学素子の素子中心Oを通る直線で積層方向に切断した側面断面図である。
光学素子10は、透明基材1と硬化物2と、を有する。光学素子10は、透明基材1上に硬化物が設けられたレプリカレンズと呼ばれるタイプの光学素子である。
(透明基材)
透明基材1は、光学面である第1面1Aと第2面1Bを有する。透明基材の第1面1Aは光入射面又は光射出面の一方であり、透明基材の第2面1Bは光入射面又は光射出面の他方である。
透明基材1は、透明な樹脂や、透明なガラスを用いることができる。本明細書において、透明とは、波長が400nm以上780nm以下の範囲の光の透過率が10%以上であることを示す。透明基材1は、ガラスを用いることが好ましく、例えば、珪酸ガラスや硼珪酸ガラス、リン酸ガラスに代表される一般的な光学ガラスや、石英ガラス、ガラスセラミックスを用いることができる。
図1において、第1面1Aは凹球面状であり、第2面1Bは凸球面状であるが、透明基材1の形状は特に限定されない。透明基材1の硬化物2と接する面の形状は、凹球面、凸球面、軸対称非球面、平面などから所望の特性に合わせて選択することができる。透明基材1は図1の紙面上方向から上面視した際に円形であることが好ましい。光学素子10をレンズとして後述する光学系に用いる際に、組み付ける精度が向上するためである。
(硬化物)
硬化物2は、透明基材の第1面1A上に密着して設けられている。硬化物2は樹脂組成物2aを重合又は共重合させることによって得られる樹脂組成物の硬化物である。
樹脂組成物2aは、第1の材料と、第2の材料と、重合開始剤と、を有する。第1の材料は、下記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体を少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体である。
(一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアルキレン基である。)
一般式(1)で示される脂環骨格は、トリシクロデカン骨格である。一般式(2)で示される脂環骨格は、イソボニル骨格である。一般式(3)で示される脂環骨格は、ジシクロペンテニル骨格である。一般式(4)で示される脂環骨格は、アダマンタン骨格である。一般式(1)乃至(4)で示されるトリシクロデカン骨格、イソボニル骨格、ジシクロペンテニル骨格及びアダマンタン骨格を有する重合体は、吸水膨張率が低い。
第2の材料は、上記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能の(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第2の単量体、及び/又は、上記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する2官能の(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第3の単量体である。
本開示の樹脂組成物2aは、第1の材料及び第2の材料の含有量の和が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲である。本開示の樹脂組成物2aは、上述の組成比とすることにより、硬化して硬化物にした際に低い吸水膨張率でありながら、透明基材との密着性に優れる。上記含有量の和が99.5質量%を超えると、重合開始剤の含有量が相対的に少なくなり、硬化が困難になり、硬化物2の転写精度が十分でなくなるおそれがある。一方、70質量%未満であると、硬化物の吸水膨張率が高くなり、例えば、湿度が80%以上となるような高湿環境下では光学性能が変化しやすくなってしまう。
樹脂組成物2aを重合又は共重合させた硬化物2は、1官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート化合物を有する。硬化物2における1官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート化合物の含有量の和は、70質量%以上99.5質量%以下の範囲である。本開示の光学素子10は、硬化物2を上述の組成とすることにより、低い吸水膨張率でありながら、硬化物2と透明基材1との密着性が優れる。1官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート化合物の含有量の和が99.5質量%を超えると、硬化物2の転写精度が十分でなくなるおそれがある。一方、70質量%未満であると、吸水膨張率が高くなり、例えば、湿度が80%以上となるような高湿環境下では光学性能が変化しやすくなってしまう。
第1の材料である一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体は、樹脂組成物2aが硬化して硬化物2となる際の硬化収縮量を低減させる役割を担う。そのため、第1の材料は、硬化物の成形性を良好にする。また、第1の材料と第2の材料とを組み合わせることで、樹脂組成物2aは、第2の材料のみで構成される樹脂組成物よりも透明基材1への密着性が優れる。本願発明者は、密着性が優れるメカニズムを以下のように考えている。まず、樹脂組成物2aにおいて、単量体である第2の材料は、重合体である第1の材料の脂環骨格に対し積極的に相溶するものと考えている。そのため、脂環骨格比率の大きい重合体を有する樹脂組成物2aの内部は疎水性となり、かつ、親水性のあるアクリレート基やメタクリレート基が外部に偏ると考えられる。その樹脂組成物2aを透明基材1に設けると、透明基材であるガラス等との界面部分に親水性の高い部分が配されることになり、透明基材と樹脂組成物の界面での相互作用やカップリング剤との反応効率が向上するためと考えている。一方、第1の材料が存在しないと第2の材料の疎水部分が透明基材の界面に集まり密着性が十分でなくなる、と考えている。また、第1の材料及び第2の材料が有する脂環骨格は、硬化物2のアッベ数を高める効果を有する。また、脂環骨格の嵩高い構造は、樹脂組成物2a及び硬化物2のガラス転移温度Tgを高める効果を有する。さらに、その嵩高い構造に起因して、重合体である第1の材料は剛直な構造になっていると推測され、第2の材料のみで構成される樹脂組成物の硬化物よりも、脆性に優れ、かつ複屈折が小さい。
第1の材料である重合体の重量平均分子量は、35,000以上300,000以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、硬化物2は透明基材1との密着性に優れる。35,000未満であると密着性が十分でなくなるおそれがある。また、300,000を超えると第2の単量体及び第3の単量体との相溶性が十分でなくなるおそれがある。ここで、重量平均分子量とはポリメタクリル酸メチル換算での値であり、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することが可能である。より具体的には、まず、単分散の重量平均分子量が既知で試薬として入手可能なポリメタクリル酸メチル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成する。そして得られた検量線を基に、重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
樹脂組成物2aにおける第1の材料である重合体の含有割合は、5質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましい。すなわち、硬化物2における第1の材料である重合体の含有割合が、5質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましい。重合体の含有割合がこの範囲であると、硬化物として透明基材との密着性と、低い吸水膨張率を両立しやすくなる。
第1の材料である重合体において、一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能の(メタ)アクリレートの第1の単量体が重合された部分の含有割合は、60質量%以上100質量%以下の範囲であることが好ましい。すなわち、第1の材料である重合体は、脂環骨格を有しない(メタ)アクリレートの単量体が重合されていてもよいが、その脂環骨格を有しない(メタ)アクリレートの単量体が重合された部分は40質量%未満であることが好ましい。上記範囲を満たすと、硬化物2における脂環骨格部分を十分な量にすることができるため、吸水膨張率をより低くすることができる。
第1の単量体として、商業的に入手可能のものは、例えば、昭和電工マテリアルズ株式会社製のファンクリルシリーズのFA-513M(ジシクロペンタメタクリレート)、FA-512M(ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート)や新中村化学株式会社製のIB(イソボルニルメタクリレート)、A-IB(イソボルニルアクリレート)、共栄社化学株式会社製のIB-X(イソボルニルメタクリレート)、IB-AX(イソボルニルアクリレート)が挙げられる。また、試薬として東京化成工業よりアダマンタン-1-イル-アクリレートや2-イソプロピル-2-メタクリロイルオキシアダマンタンなど複数のアダマンタン骨格を有する化合物を入手し、用いることも可能である。第1の単量体は、1種類のみでもよいが、硬化物2の成形時の粘度、硬化収縮率、吸水膨張率や光学特性等に合わせて2種類以上を併用してもよい。
第2の材料は、第2の単量体及び/又は第3の単量体である。第2の単量体及び第3の単量体の重合性官能基が重合反応することにより、ネットワーク構造を形成する。また、第2の単量体及び第3の単量体ともに脂環骨格を有するため、重合反応時にネットワーク構造を形成しながら、第1の材料である重合体の脂環骨格に取り込まれる。そのため、硬化物2は透明基材1との密着性に優れる。また、脂環骨格の嵩高い構造は、脂環骨格を有しない単量体を用いる樹脂組成物及びその硬化物よりも、樹脂組成物2a及び硬化物2のガラス転移温度Tgを高める効果を有する。さらに、その嵩高い構造に起因して、硬化収縮量を低減し成形性を良好にする。
第2の材料は、第2の単量体及び第3の単量体と、を含む混合物であることが好ましい。また、樹脂組成物2aにおける第2の単量体及び第3の単量体の含有量の和は、40質量%以上93質量%以下での範囲であることが好ましい。硬化物として透明基材との密着性と、低い吸水膨張率を両立しやすくなるためである。
硬化物2における2官能の(メタ)アクリレート化合物の含有割合は、28質量%以上79質量%以下の範囲であることが好ましい。硬化物として透明基材との密着性と、低い吸水膨張率を両立しやすくなるためである。
第2の単量体として、商業的に入手可能なものは、例えば、昭和電工マテリアルズ株式会社製のファンクリルシリーズのFA-513M(ジシクロペンタメタクリレート)、FA-512M(ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート)や新中村化学株式会社製のIB(イソボルニルメタクリレート)、A-IB(イソボルニルアクリレート)、共栄社化学株式会社製のIB-X(イソボルニルメタクリレート)、IB-AX(イソボルニルアクリレート)が挙げられる。また、試薬として東京化成工業よりアダマンタン-1-イル-アクリレートや2-イソプロピル-2-メタクリロイルオキシアダマンタンなど複数のアダマンタン骨格を有する化合物を入手し、用いることも可能である。第2の単量体は、1種類のみでもよいが、硬化物2の成形時の粘度、硬化収縮率、吸水膨張率や光学特性等に合わせて2種類以上を併用してもよい。
第3の単量体として、商業的に入手可能なものは、例えば、新中村化学株式会社製のDCP(ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート)、A-DCP(ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート)、共栄社化学株式会社製のDCP-M(ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート)、DCP-A(ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート)が挙げられる。第3の単量体は、1種類のみでもよいが、硬化物2の成形時の粘度、硬化収縮率、吸水膨張率や光学特性等に合わせて2種類以上を併用してもよい。
樹脂組成物2aはチオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物を含有することが好ましい。硫黄含有化合物は、靭性を向上する役割を担う。そのため、硫黄含有化合物は、硬化物の耐衝撃性を良好にする。また、第1の材料と第2の材料と硫黄含有化合物を組み合わせることで、樹脂組成物2aは、第1の材料と第2の材料で構成させる樹脂組成物よりも靭性に優れる。
本願発明者は、硫黄含有化合物が靭性に優れるメカニズムを以下のように考えている。第1の材料により、第2の材料のみで構成される樹脂組成物よりも靭性が優れている。一方、硫黄含有化合物を含有することで、第2の単量体及び第3の単量体の重合性官能基が重合反応することにより形成したネットワーク構造に柔軟性を付与することができると考えている。第1の材料である重合体に柔軟性を付与したネットワーク構造が取り込まれることで、第1の材料の靭性向上効果と柔軟性があるネットワーク構造による相乗効果により靭性をより高めることができると考えている。また、硫黄含有化合物は柔軟性が付与できるため、透明基材1との密着性を良好にし、かつ硬化収縮量を低減し成形性を良好にすることができる。
硬化物2におけるチオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物の含有量は、1質量%以上15質量%以下の範囲である。上記範囲であると、硬化物として靭性に優れ、透明基材との密着性と低い吸水膨張率、を満足することできるためである。より好ましくは、2質量%以上10質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは2質量%以上6質量%以下の範囲である。硫黄含有化合物のチオール基は、靭性の観点から2官能基以上が好ましく、が、吸水膨張率を低くするという観点から2官能基であることが好ましい。
チオール基を分子内に少なくとも一つ有する硫黄含有化合物は、1種類のみでもよいが、硬化物の成形時の粘度、硬化収縮率、吸水膨張率や光学特性等に合わせて2種類以上を併用してもよい。商業的に入手可能な硫黄含有化合物としては、例えば、1-ドデカンチオール、tert-テトラデカンチオールビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)が挙げられる。
樹脂組成物2aは重合開始剤を含有する。重合開始剤は光重合開始剤でもよいし、熱重合開始剤であってもよく、選択する製造プロセスによって決定することができる。但し、非球面形状を製造するためのレプリカ成形を行う場合は、硬化速度が速いという観点において、光重合開始剤であることが好ましい。商業的に入手可能な光重合開始剤としては、例えば、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-フェニルベンゾフェノン、4-フェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジフェニルベンゾフェノン、4,4’-ジフェノキシベンゾフェノンが挙げられる。樹脂組成物2aにおける光重合開始剤の含有量は、0.01質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が0.01質量%より少なくなると十分な反応性が得られず、10質量%を超えると硬化物2の透過率が低下するおそれがある。なお、硬化物2には未反応の重合開始剤が残存する。
また、樹脂組成物2aは、必要に応じて、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤(HALS)、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、離型剤、顔料、染料等を添加してもよい。
硬化物2は透明性が高いことが好ましい。具体的には、厚み500μm換算における波長400nmに対する内部透過率が70%以上であることが好ましい。また、硬化物2のアッベ数は50以上60未満であることが好ましい。これらの範囲であれば、光学素子10をレンズとして光学系に用いる際に、様々な光学設計に対応可能である。
硬化物2は複屈折が小さいことが好ましく、具体的には0.0003以内であることが好ましい。硬化物2の複屈折とは、d線(587.6nm)の屈折率ndのS偏光(入射面の面内方向)の屈折率n とP偏光(厚み方向)の屈折率n の差のことである。
図1において、硬化物2の厚みは第1面1Aの面内において均一ではない。すなわち、硬化物2の透明基材1と接していない側の表面の形状は非球面である。本実施形態においては、素子の中心O付近で薄く最小厚みd1となり、素子の周縁部で最大厚みd2となる厚みの分布を有するが、必ずしもこの形状でなくてもよい。例えば、素子の中心O付近で最大厚みd2となり、素子の周縁部で最小厚みd1となるような厚みの分布を有していても良い。硬化物2の最小厚みd1に対する最大厚みd2の割合が、1より大きく、かつ30以下の範囲であることが好ましい。30より大きくなると、硬化物2の厚みの差が大きいため硬化収縮の際に面精度が高精度に保てなくなるおそれがある。より好ましくは8以上である。なお、最小厚みd1が300μm以下であることが好ましく、最大厚みd2が10μm以上1000μm以下の範囲であることが好ましい。
また、透明基材1上に設けられた硬化物2の吸水膨張率は0.30%未満であることが好ましい。吸水膨張による光学特性の変動が小さくできるためである。吸水膨張率が0.30%以上であると、吸水前後における硬化物2の表面形状の変化が大きく、光学系に用いた際の画質に変動を及ぼすことがある。そのため、好ましくは0.23%以下である。さらに好ましくは0.19%以下である。なお、吸水膨張率は、温度40℃、湿度90%の恒温恒湿槽に光学素子10を16時間載置し、室温環境下(23℃±2℃)に取り出した20分後に、硬化物2の表面形状を形状測定機によって評価することができる。
なお、本実施形態において光学素子10は透明基材1を有する態様であったが、光学素子10の光学特性によっては、透明基材1を有していなくてもよい。
[光学素子の製造方法]
第1実施形態の光学素子の製造方法は、特に限定されないが、好適な製造工程の一例を説明する。図2は第1実施形態に係る光学素子の製造方法を示す概略図である。
まず、透明基材1と樹脂組成物2aと、を用意する(用意工程)。透明基材1と硬化物2の密着性を向上させるために、透明基材の第1面1Aには前処理をしておくことが好ましい。透明基材1がガラスであれば、例えば、シランカップリング処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理、プラズマ処理を選択することができる。第1面1Aと硬化物2を直接化学結合することで密着性をより高めることができるという観点においては、シランカップリング剤を用いてカップリング処理をすることが好ましい。具体的なカップリング剤としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
樹脂組成物2aを得る方法は、特に限定されないが、例えば、まず第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて重合体を得る。このとき、前記材料は第1の単量体以外の脂環骨格を有しない単量体を含んでいても構わない。重合体を得る条件は特に限定されないが、重合の温度を高くすると重合体の分子量が小さくなるおそれがあるため、加熱温度は80℃以下であることが好ましい。下限の温度は特に限定されないが、プロセス時間を長くしすぎないという観点において、50℃以上であることが好ましい。続いて、その重合体と、第2の単量体と、第3単量体及び重合開始剤と、を混合することで樹脂組成物2aを得ることができる。混合する手段、時間は特に限定されず、均一になるように混合することが好ましい。
続いて、図2(a)に示すように、型4の上に樹脂組成物2aを滴下する。樹脂組成物2aは光重合開始剤を含む紫外線硬化型の組成物である。透明基材1をイジェクタ5に載せて型4と対向する位置に配置する。型4は、例えば、表面に所望の非球面形状の反転形状を有し、ステンレス材や鋼材などの金属母材上にNiPメッキや無酸素銅メッキしたものを精密加工機で切削して作製できる金型である。また、型4の表面は樹脂の離型性を制御するために離型剤を塗布してもよい。離型剤の種類は特に限定されないが、例えば、フッ素コーティング剤がある。
続いて、図2(b)に示すように、イジェクタ5を降下させ型4が透明基材1に近づくことにより、透明基材1に樹脂組成物2aが設けられる(設置工程)。イジェクタ5をさらに降下させて型4と透明基材1の間に未硬化の樹脂組成物2aが充填され、所望の形状に成形される(成形工程)。
そして、紫外線光源6を用いて透明基材1の第2面1B側から紫外線を光照射することにより、樹脂組成物2aの重合硬化物である硬化物2が得られる(硬化工程、光照射工程)。
その後、重合・硬化した硬化物2を型4から離型することにより、透明基材1上に非球面形状の硬化物2を有する光学素子10が得られる。なお、硬化物2を形成した後に、大気中もしくは無酸素雰囲気で紫外線の追加照射や熱処理を行ってもよい。
以上の製造方法により、本開示の光学素子を製造することができる。なお、設置工程では、樹脂組成物2aは型4と透明基材1の両方に滴下してもよいし、透明基材1のみに滴下してもよい。また、樹脂組成物2aが硬化開始剤として熱重合開始剤を含む場合は光照射工程を熱処理工程に変更してもよい。また、硬化工程の後に、光学素子10から透明基材1を剥離させて、硬化物2のみを光学素子10としてもよい。
[光学機器]
上述した実施形態の光学素子の具体的な適用例としては、カメラやビデオカメラ用の光学機器(撮影光学系)を構成するレンズや液晶プロジェクター用の光学機器(投影光学系)を構成するレンズ等が挙げられる。また、DVDレコーダー等のピックアップレンズに用いることもできる。これらの光学系は、筐体内に配置された少なくとも1つのレンズからなり、それらのレンズの少なくとも1つに上記の光学素子を用いることができる。
[撮像装置]
図3は、上述した実施形態の光学素子を用いた撮像装置の好適な実施形態の一例である、一眼レフデジタルカメラ100の構成を示す概略図である。図3において、カメラ本体602と光学機器であるレンズ鏡筒601とが結合されているが、レンズ鏡筒601はカメラ本体602に対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒601の筐体620内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を介して撮影される。上記の光学素子は、例えば、レンズ603、605に用いることができる。ここで、レンズ605は内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒601の外筒に対して可動支持されている。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610がレンズ鏡筒601から入射して撮影光学系を通過した光を受光して撮影光像を結像するようにする。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
尚、ここでは、一眼レフデジタルカメラを用いて撮像装置を説明したが、スマートフォンやコンパクトデジタルカメラ、ドローンなどにも同様に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて説明をする。まず、実施例及び比較例の評価方法について説明する。
(吸水性試験)
実施例及び比較例の光学素子の硬化物の吸水膨張率は、透明基材上に硬化物を設けた光学素子を用いて評価した。
まず、作製した光学素子を温度40℃、湿度90%の恒温恒湿槽に16時間載置した。続いて、室温環境下(23℃±2℃)に光学素子を取り出し、20分後に硬化物の表面形状を形状測定機(フォームタリサーフLaser、TAYLORHOBSON製)を用いて評価した。測定は光学素子端部から中心部を通過し反対側の端部までを直線で光走査し、その走査速度は0.5mm/secとした。吸水前の平均厚みD0と、吸水後の平均厚みD1から、以下の式を用い光学素子の吸水膨張率[%]を算出した。
吸水膨張率[%]=((D1-D0)/D0)×100
評価は、硬化物の剥がれがなく、吸水膨張率が0.20%未満のものをA、硬化物の剥がれがなく、吸水膨張率が0.30%未満のものをBとした。また、硬化物の剥がれがある、又は、吸水膨張率が0.30%以上のものをCとし、A,Bを良品とした。
(密着性試験)
エチルアルコールが90質量%、水が10質量%の混合液に酸を添加し、pHが3~4になるように調整した混合溶液に3質量%の3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを添加し樹脂とガラスのカップリング溶液とした。大きさ40mm×50mm、厚み2.5mmのガラス基材(BK7)と大きさ50mm×60mm、厚み1mmのガラス基材(BK7)の表面を洗浄した後、樹脂と接触させる面に上記、カップリング溶液を滴下し、乾燥した。その後、余剰についたカップリング剤を布で拭きとり、100℃で30~60分焼成し、室温に冷却させた。
カップリング処理した大きさ40mm×50mm、厚み2.5mmのガラス基材上に厚み500μmのスペーサーと測定対象である硬化物の前駆体である未硬化の樹脂組成物を配置した。スペーサーを介してその上に、カップリング処理した大きさ50mm×60mm、厚み1mmのガラス基材を中心が合う様に載せ、未硬化の樹脂組成物を押し広げた。次に、スペーサーを外し、ガラス基材の上から、高圧水銀ランプ(UL750、HOYA CANDEO OPTRONICS製)を用いて、20mW/cm(=ガラス基材を通した照度)で2500秒間(50J)、光を照射した。樹脂組成物を硬化させ、80℃16時間でアニールしたものを密着性評価用のサンプルとした。硬化した硬化物の形状は、厚さが500μm、ガラス面内の大きさは40mm×50mmであった。
大きさ40mm×50mm、厚み2.5mmのガラス基材を固定し、50mm×60mm、厚み1mmのガラス基材の長軸部分の端から2mmにイジェクタを押し当て、離型発生時の荷重を測定した。
評価は、250N以上をA、150N以上250N未満がB、150N未満をCとし、A,Bを良品とした。
(靭性試験)
実施例及び比較例の光学素子の硬化物の靭性は、光学素子から透明基材を剥がし、硬化物を取り出して評価した。硬化物を5mm×30mmの短冊状に加工して試験片を作製した。試験片の厚みは100μmとした。動的粘弾性測定機(E-4000、UBM製)を用いて、試験温度23℃、引張速度1.0mm/秒で試験片を測定し、応力ひずみ線図の面積を破断エネルギーとした。破断エネルギーが5.0MJ/m以上の場合をA、1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満をB、1.0MJ/mを下回った場合をCとし、A,Bを良品とした。
(d線の屈折率nd、アッベ数νd、複屈折)
実施例及び比較例の光学素子の硬化物の屈折率nd、アッベ数νd及び複屈折は、光学特性評価用のサンプルを作製して評価した。なお、光学特性評価用のサンプルを用いずとも、光学素子から透明基材を剥がし、硬化物を取り出して評価することも可能である。まず、光学特性評価用サンプルの作製方法について説明する。
厚さ1mmのガラス(S-TIH、オハラ社製)の上に、厚み500μmのスペーサーと測定対象である硬化物の前駆体である未硬化の樹脂組成物を配置した。スペーサーを介してその上に厚み1mmの石英ガラスを載せ、未硬化の樹脂組成物を押し広げた。次に、スペーサーを外し、石英ガラスの上から、高圧水銀ランプ(UL750、HOYA CANDEO OPTRONICS製)を用いて、20mW/cm(=石英ガラスを通した照度)で2500秒間(50J)、光を照射した。樹脂組成物を硬化させ、石英ガラスを剥がした後に、80℃16時間でアニールしたものを光学特性評価用のサンプルとした。硬化した硬化物の形状は、厚さが500μm、ガラス面内の大きさは5mm×20mmであった。
得られたサンプルに対し、屈折計(KPR-30、島津製作所製)を用いて、ガラス側から、それぞれP偏光(膜厚方向)とS偏光(面内方向)のf線(486.1nm)の屈折率nf、d線(587.6nm)の屈折率nd及びc線(656.3nm)の屈折率ncを測定した。
また、複屈折はd線(587.6nm)の屈折率ndのS偏光(面内方向)の屈折率n とP偏光(膜厚方向)の屈折率n の差
Δnd=n -n
とした。
また、測定した各屈折率からアッベ数を算出した。アッベ数νdは、以下の式により算出した。
アッベ数νd=(nd-1)/(nf-nc)
(内部透過率の評価)
実施例及び比較例の光学素子の硬化物の内部透過率は、光学特性評価用のサンプルを作製して評価した。なお、光学特性評価用のサンプルを用いずとも、光学素子から透明基材を剥がし、硬化物を取り出して評価することも可能である。まず、光学特性評価用サンプルの作製方法について説明する。
厚さ1mmのガラス(BSL7、オハラ社製)の上に、厚み500μmのスペーサーと測定対象である硬化物の前駆体である未硬化の樹脂組成物を配置した。スペーサーを介してその上に厚み1mmの石英ガラスを載せ、未硬化の樹脂組成物を押し広げた。次に、スペーサーを外し、石英ガラスの上から、高圧水銀ランプ(UL750、HOYA CANDEO OPTRONICS製)を用いて、20mW/cm(=石英ガラスを通した照度)で2500秒間(50J)、光を照射した。樹脂組成物を硬化させ、石英ガラスを剥がした後に、80℃32時間でアニールしたものを光学特性評価用のサンプルとした。硬化した硬化物の形状は、厚さが500μm、ガラス面内の大きさは5mm×20mmであった。
得られたサンプルに対し、分光光度計(UH4150、日立ハイテクサイエンス製)を用いて、可視域(λ400~700nm)透過率の測定を行い、ガラス基板及び樹脂の屈折率から内部透過率に換算した。
(最小厚みd1、最大厚みd2)
実施例及び比較例の光学素子の硬化物の最小厚みd1及び最大厚みd2は、透明基材上に硬化物を設けた光学素子を用いて評価した。
まず、作製した光学素子を80℃の恒温槽に16時間載置した。続いて、室温環境下(23℃±2℃)に光学素子を取り出し、20分後に硬化物の表面形状を形状測定機(フォームタリサーフLaser、TAYLORHOBSON製)を用いて評価した。測定は光学素子端部から中心部を通過し反対側の端部までを直線で光走査し、その走査速度は0.5mm/secとした。透明基材1と硬化物2の界面から、測定した硬化物2の表面形状までの垂直方向の距離を算出し、硬化物2の厚みDを得た。図4に厚みDを示した。さらに、得られた厚みの径方向の平均値をD0とし、最小厚みをd1、最大厚みをd2とした。
[光学素子の作製]
(実施例1)
まず、樹脂組成物2aの調整を行った。まず、脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体として、ジシクロペンタメタクリレート(A-1:1官能、FA-513M、昭和電工マテリアルズ社製)を用意した。このジシクロペンタメタクリレート100質量部とトルエン100質量部とを混合した後に、AIBN(2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル),東京化成工業製)1質量部を混合した。その後、窒素ガスでバブリングしながら、60℃6時間加熱した後、1000質量部のメタノールで再沈精製した後、濾過し、真空乾燥して第1の材料である重合体を得た。重合体の重量平均分子量(Mw)はポリメタクリル酸メチル換算で173,000であった。
次に、脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第2の単量体としてジシクロペンタメタクリレート(B-1:1官能、FA-513M、昭和電工マテリアルズ社製)を用意した。また、脂環骨格を有する2官能(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第3の単量体としてジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート(B-4:2官能、DCP、新中村化学社製)を用意した。また、重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(D-1:光重合開始剤、Omnirad184、IGM Resins社製)を用意した。そして、重合体が11.8質量部、第2の単量体B-1が27.4質量部、第3の単量体B-4が58.8質量部及び重合開始剤D-1が2質量部を瓶に入れ、均一になるよう混合し、実施例1の樹脂組成物2aを得た。実施例1の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。
次に、図2に示した製造方法を用いて、図1に示した光学素子を製造した。透明基材1として、直径32mmの光学ガラス(S-TIM8、オハラ社製)を用意した。形状は、一方の面(第1面1A)がR40mmの凹球面形状であり、他方の面(第2面1B)がR75mmの凸球面形状であった。型4は、金属母材上にメッキしたNiP層を精密加工機で切削加工し、成形対象である硬化物2の非球面形状を反転した形状を形成したものを用いた。
続いて、透明基材1と型4との間に実施例1の樹脂組成物2aを充填した。その後、樹脂組成物2aを硬化させるために、波長365nmの強度が10mW/cmの紫外線を200秒間全面に照射した。型4を離型した後に、80℃で24時間加熱することにより、透明基材1の第1面1Aの上に硬化物2を形成し、実施例1の光学素子10を得た。
実施例1の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.08%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例1の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00010で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.6%で良好であった。
実施例1の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例1の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例2)
実施例2は実施例1と樹脂組成物の組成が異なる。具体的には、第3の単量体として、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(B-3:2官能、A-DCP、新中村化学社製)を用意した点が実施例1と異なる。また、型4の形状が実施例1と異なる。それ以外の点は実施例1と同様の方法で実施例2の光学素子を作製した。
実施例2の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.12%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例2の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00008で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.1%で良好であった。
実施例2の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は30μm、最大厚みd2は380μmであり、d2/d1は12.7であった。実施例2の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例3)
実施例3は実施例1と樹脂組成物の組成が異なる。第1の材料は実施例1と同じ条件で作成、精製したが重合体の重量平均分子量は216,000であった点が実施例1と異なる。また、第2の材料として、第3の単量体であるジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(B-3:2官能、A-DCP、新中村化学社製)及び脂環骨格を有しない(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する単量体である1,9-ナノンジオールジメタクリレート(C-2:2官能、NOD-N、新中村化学社製)を用意した点が実施例1と異なる。実施例3の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例1と同様の方法で実施例3の光学素子を作製した。
実施例3の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.14%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例3の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは55であった。複屈折は-0.00012で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.7%で良好であった。
実施例3の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例3の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例4)
実施例4は実施例3と樹脂組成物の組成が異なる。脂環骨格を有しない(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する単量体として、トリメチロールプロパントリメタクリレート(C-3:3官能、TMPT、新中村化学社製)を用意した点が実施例3と異なる。それ以外の点は実施例3と同様の方法で実施例4の光学素子を作製した。
実施例4の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.17%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例4の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00009で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.4%で良好であった。
実施例4の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例4の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例5)
実施例5は実施例4と樹脂組成物の組成比が異なる。チオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物として、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)(E-1:2官能、東京化成工業社製)を用意した点が実施例4と異なる。それ以外の点は実施例4と同様の方法で実施例5の光学素子を作製した。
実施例5の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.19%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが5.0MJ/m以上であったため、評価をAとした。また、実施例5の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00013で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.5%で良好であった。
実施例5の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例5の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例6)
実施例6は実施例5と樹脂組成物の組成が異なる。チオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物として、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)(E-2:3官能、東京化成工業社製)を用意した点が実施例5と異なる。それ以外の点は実施例5と同様の方法で実施例6の光学素子を作製した。
実施例6の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.22%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが5.0MJ/m以上であっため、評価をAとした。また、実施例6の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは55であった。複屈折は-0.00013で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.9%で良好であった。
実施例6の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例6の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例7)
実施例7は実施例6と樹脂組成物の組成が異なる。チオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物として、1-ドデカンチオール(E-3:1官能、東京化成工業社製)を用意した点が実施例6と異なる。それ以外の点は実施例6と同様の方法で実施例7の光学素子を作製した。
実施例7の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.18%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例7の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは55であった。複屈折は-0.00010で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.6%で良好であった。
実施例7の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例7の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例8)
実施例8は実施例2と樹脂組成物の組成比が異なる。実施例8の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例2と同様の方法で実施例8の光学素子を作製した。
実施例8の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.18%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例8の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00005で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.8%で良好であった。
実施例8の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例8の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例9)
実施例9は実施例2と樹脂組成物の組成比が異なる。実施例9の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。ただし、重合体の重量平均分子量は219,000であった。それ以外の点は実施例2と同様の方法で実施例9の光学素子を作製した。
実施例9の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.17%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例9の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00009で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.2%で良好であった。
実施例9の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例9の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例10)
実施例10は実施例9と第1の材料である重合体の重合条件が異なる。重合条件は、65℃6時間とした。重合体の重量平均分子量は73,400であった。実施例10の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例9と同様の方法で実施例10の光学素子を作製した。
実施例10の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.20%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例10の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00007で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.0%で良好であった。
実施例10の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例10の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例11)
実施例11は実施例9と第1の材料である重合体の重合条件が異なる。重合条件は、70℃6時間とした。重合体の重量平均分子量は35,000であった。実施例11の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例9と同様の方法で実施例11の光学素子を作製した。
実施例11の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.21%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例11の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00009で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.8%で良好であった。
実施例11の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例11の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例12)
実施例12は実施例2と樹脂組成物の組成比が異なる。実施例12の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。ただし、重合体の重量平均分子量は219,000であった。それ以外の点は実施例2と同様の方法で実施例12の光学素子を作製した。
実施例12の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.19%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例12の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00007で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.0%で良好であった。
実施例12の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例12の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例13)
実施例13は実施例4と樹脂組成物の組成比が異なる。実施例13の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例4と同様の方法で実施例13の光学素子を作製した。
実施例13の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.23%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例13の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00012で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.0%で良好であった。
実施例13の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例13の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例14)
実施例14は実施例2と樹脂組成物の組成比が異なる。実施例14の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。ただし、重合体の平均分子量は219,000であった。それ以外の点は実施例2と同様の方法で実施例14の光学素子を作製した。
実施例14の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.19%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は170Nであり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をBとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、実施例14の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00008で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.0%で良好であった。
実施例14の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例14の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例15)
実施例15は実施例14と樹脂組成物の組成比が異なる。チオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物として、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)(E-1:2官能、東京化成工業社製)を用意した点が実施例14と異なる。それ以外の点は実施例14と同様の方法で実施例15の光学素子を作製した。
実施例15の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.19%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが5.0MJ/m以上であったため、評価をAとした。また、実施例15の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは55であった。複屈折は-0.00010で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は99.0%で良好であった。
実施例5の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例15の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例16)
実施例16は実施例15と樹脂組成物の組成が異なる。チオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物として、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)(E-2:3官能、東京化成工業社製)を用意した点が実施例15と異なる。それ以外の点は実施例15と同様の方法で実施例16の光学素子を作製した。
実施例16の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.25%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが5.0MJ/m以上であったため、評価をAとした。また、実施例16の硬化物2のd線の屈折率ndは1.51、アッベ数νdは55であった。複屈折は-0.00016で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.4%で良好であった。
実施例16の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例16の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例17)
実施例17は実施例3と樹脂組成物の組成が異なる。脂環骨格を有しない(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する単量体として、ラウリル酸メタクリレート(C-1:1官能、ライトエステルメタクリレートL、共栄社化学社製)を用意した点が実施例3と異なる。それ以外の点は実施例3と同様の方法で実施例17の光学素子を作製した。
実施例17の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.19%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であるため、評価をBとした。また、実施例17の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00012で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.0%で良好であった。
実施例17の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例17の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例18)
実施例18は実施例2と樹脂組成物の組成が異なる。具体的には、第2の単量体として、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(B-2:1官能、FA-512M、昭和電工マテリアルズ社製)を用意した点が実施例2と異なる。実施例18の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例2と同様の方法で実施例18の光学素子を作製した。
実施例18の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.19%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であるため、評価をBとした。また、実施例18の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00008で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.0%で良好であった。
実施例18の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例18の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例19)
実施例19は実施例18と樹脂組成物の組成が異なる。第1の単量体として、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(A-2:1官能、FA-512M、昭和電工マテリアルズ社製)を用意した点が実施例18と異なる。重合体の平均分子量は139,000であった。実施例19の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例18と同様の方法で実施例19の光学素子を作製した。
実施例19の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.17%であり、剥がれも確認されなかったため評価はAとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であるため、評価をBとした。また、実施例19の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは52であった。複屈折は-0.00011で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は99.2%で良好であった。
実施例19の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例19の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例20)
実施例20は実施例18と樹脂組成物の組成比が異なる。実施例20の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例18と同様の方法で実施例20の光学素子を作製した。
実施例20の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.20%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であるため、評価をBとした。また、実施例20の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは53であった。複屈折は-0.00007で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.0%で良好であった。
実施例20の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例20の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例21)
実施例21は実施例18と樹脂組成物の組成比が異なる。実施例21の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例18と同様の方法で実施例21の光学素子を作製した。
実施例21の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.23%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であるため、評価をBとした。また、実施例21の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00010で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.1%で良好であった。
実施例21の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例21の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(実施例22)
実施例22は実施例21と樹脂組成物の組成比が異なる。チオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物として、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)(E-1:2官能、東京化成工業社製)を用意した点が実施例21と異なる。それ以外の点は実施例21と同様の方法で実施例22の光学素子を作製した。
実施例22の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.25%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが5.0MJ/m以上であったため、評価をAとした。また、実施例22の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00016で十分小さいものであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.0%で良好であった。
実施例22の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。実施例22の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
(比較例1)
比較例1は実施例4と樹脂組成物の組成比が異なる。比較例1の樹脂組成物の特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例4と同様の方法で比較例1の光学素子を作製した。
比較例1の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.33%であったため評価はCとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であるため、評価をBとした。また、比較例1の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00040と大きかった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は96.6%と低かった。
比較例1の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。比較例1の硬化物の特徴を表2にまとめた。
(比較例2)
比較例2は実施例4と樹脂組成物の組成比が異なる。比較例2の樹脂組成物の特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例4と同様の方法で比較例2の光学素子を作製した。
比較例2の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.30%であったため評価はCとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は250N以上であり、ガラス界面での剥離は観察されなかった為、評価をAとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m以上5.0MJ/m未満であったため、評価をBとした。また、比較例2の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは55であった。複屈折は-0.0033と大きかった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は96.5%と低かった。
比較例2の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。比較例2の硬化物の特徴を表2にまとめた。
(比較例3)
比較例3は実施例2と樹脂組成物の組成が異なる。具体的には、第1の単量体を重合した重合体を含まない点が実施例2と異なる。比較例3の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例2と同様の方法で比較例2の光学素子を作製した。
比較例3の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.21%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は100N以上であった為、評価をCとした。また、靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m未満であったため、評価をCとした。また、比較例3の硬化物2のd線の屈折率ndは1.53、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00009でであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は97.9%で良好であった。
比較例3の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。比較例3の硬化物の特徴を表2にまとめた。
(比較例4)
比較例4は実施例2と樹脂組成物の組成が異なる。具体的には、第1の単量体を重合した重合体を含まない点、チオール基を少なくとも一つ有する硫黄含有化合物として、1-ドデカンチオール(E-3:1官能、東京化成工業社製)を用意した点、とが実施例2と異なる。比較例4の樹脂組成物2aの特徴を表1にまとめた。それ以外の点は実施例2と同様の方法で比較例4の光学素子を作製した。
比較例4の光学素子の硬化物の吸水膨張率は0.20%であり、剥がれも確認されなかったため評価はBとした。また、密着性試験では、離型発生時の荷重は150N未満であった為、評価をCとした。靭性試験では破断エネルギーが1.0MJ/m未満であっため、評価をCとした。また、比較例4の硬化物2のd線の屈折率ndは1.52、アッベ数νdは54であった。複屈折は-0.00011でであった。さらに、厚み500μm、波長400nmにおける内部透過率は98.3%で良好であった。
比較例4の光学素子における硬化物は、中心部で厚みが最小となり、周縁部で厚みが最大となる形状であった。最小厚みd1は50μm、最大厚みd2は400μmであり、d2/d1は8.0であった。比較例4の硬化物2の特徴を表2にまとめた。
Figure 2024043481000014
Figure 2024043481000015
なお、表1において、第1の単量体、第2の単量体、第3の単量体、脂環骨格を有しない単量体、開始剤及び硫黄含有化合物の種類は以下のとおりである。
(第1の単量体)
A-1:ジシクロペンタメタクリレート(1官能、FA-513M、昭和電工マテリアルズ社製)
A-2:ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(1官能、FA-512M、昭和電工マテリアルズ社製)
(第2の単量体)
B-1:ジシクロペンタメタクリレート(1官能、FA-513M、昭和電工マテリアルズ社製)
B-2:ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(1官能、FA-512M、昭和電工マテリアルズ社製)
(第3の単量体)
B-3:ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(2官能、A-DCP、新中村化学社製)
B-4:ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート(2官能、DCP、新中村化学社製)
(脂環骨格を有しない単量体)
C-1:ラウリル酸メタクリレート(1官能、ライトエステルメタクリレートL、共栄社化学社製)
C-2:1,9-ナノンジオールジメタクリレート(2官能、NOD-N、新中村化学社製)
C-3:トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能、TMPT、新中村化学社製)
(開始剤)
D-1:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤、Omnirad184、IGM Resins社製)
(硫黄含有化合物)
E-1:1,4-ブタンジオールビス(2官能、チオグリコラート(東京化成工業社製)
E-2:トリメチロールプロパントリス(3官能、3-メルカプトプロピオナート)(東京化成工業社製)
E-3:1-ドデカンチオール(1官能、東京化成工業社製)
表2より、樹脂組成物2aとして重合体、第2の単量体及び第3の単量体の含有量の和が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲であった実施例1~22はいずれも吸水膨張率が0.30%未満で、かつ、密着性も良好であった。また、硫黄含有化合物を含有する実施例5~7、15、16及び22は靭性も優れていた。
以上より、本開示の樹脂組成物によれば、透明基材との密着性に優れ、かつ、吸水膨張率が低い光学素子を提供できることが分かった。
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
下記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体と、
前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第2の単量体、及び/又は、前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する2官能の(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第3の単量体と、
重合開始剤と、を有し、
前記重合体、前記第2の単量体及び前記第3の単量体の含有量の和が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。
(一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアルキレン基である。)
(構成2)
前記重合体の重量平均分子量が、35,000以上300,000以下の範囲である構成1に記載の樹脂組成物。
(構成3)
前記樹脂組成物における前記重合体の含有割合が、5質量%以上30質量%以下の範囲である構成1又は2に記載の樹脂組成物。
(構成4)
前記重合体における前記第1の単量体が重合された部分の割合が、60質量%以上100質量%以下の範囲である構成3に記載の樹脂組成物。
(構成5)
前記樹脂組成物における前記第2の単量体及び前記第3の単量体の含有量の和が、40質量%以上93質量%以下の範囲である構成1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(構成6)
前記樹脂組成物は、前記第2の単量体及び前記第3の単量体と、を有する構成1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(構成7)
前記樹脂組成物が、チオール基を有する硫黄含有化合物を含有し、
前記樹脂組成物におけるチオール基を有する硫黄含有化合物の割合が、1質量%以上15質量%以下である構成1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(構成8)
前記チオール基を有する硫黄含有化合物のチオール基が、2官能のチオール基である構成7の樹脂組成物。
(構成9)
透明基材と、
前記透明基材の上に設けられた構成1乃至8のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物と、を備えることを特徴とする光学素子。
(構成10)
透明基材と、
前記透明基材の上に設けられた、下記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート化合物を有する硬化物と、を有し、
前記硬化物における前記(メタ)アクリレート化合物の含有量が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲であることを特徴とする光学素子。
(一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアルキレン基である。)
(構成11)
前記(メタ)アクリレート化合物が、前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体を含み、
前記重合体の重量平均分子量が、35,000以上300,000以下の範囲であることを特徴とする構成10に記載の光学素子。
(構成12)
前記硬化物における前記重合体の含有割合が、5質量%以上30質量%以下の範囲である構成11に記載の光学素子。
(構成13)
前記重合体における前記第1の単量体が重合された部分の割合が、60質量%以上100質量%以下の範囲である構成12に記載の光学素子。
(構成14)
前記硬化物が、前記2官能の(メタ)アクリレート化合物を含有し、
前記硬化物における前記2官能の(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、28質量%以上79質量%以下の範囲である構成10乃至13のいずれか1項に記載の光学素子。
(構成15)
前記硬化物が、さらに重合開始剤を有する構成10乃至14のいずれか1項に記載の光学素子。
(構成16)
厚み500μm換算における波長400nmに対する前記硬化物の内部透過率が、70%以上である構成10乃至15のいずれか1項に記載の光学素子。
(構成17)
前記硬化物のアッベ数が、50以上60未満である構成10乃至16のいずれかに記載の光学素子。
(構成18)
前記硬化物の吸水膨張率が、0.30%未満である構成10乃至17のいずれかに記載の光学素子。
(構成19)
前記硬化物におけるd線の屈折率ndの面内方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差が、0.0003以内である構成10乃至18のいずれかに記載の光学素子。
(構成20)
前記透明基材が、凹球面状の第1面を有し、
前記硬化物が、前記第1面に設けられている構成10乃至19のいずれかに記載の光学素子。
(構成21)
前記硬化物の最小厚みd1に対する最大厚みd2の割合が、1より大きく、かつ30以下の範囲である構成20に記載の光学素子。
(構成22)
前記最小厚みd1が300μm以下であり、
前記最大厚みd2が10μm以上1000μm以下の範囲である構成21に記載の光学素子。
(構成23)
前記硬化物が、チオール基を有する硫黄含有化合物を含有し、
前記硬化物におけるチオール基を有する硫黄含有化合物の割合が、1質量%以上15質量%以下である構成9乃至22のいずれか1項に記載の光学素子。
(構成24)
前記チオール基を有する硫黄含有化合物のチオール基が、2官能のチオール基である構成23に記載の光学素子。
(構成25)
筐体と、前記筐体内に配置された少なくとも1つのレンズを有する光学系と、を有する光学機器であって、
前記レンズの少なくとも一つが、構成9乃至24のいずれか1項に記載の光学素子であることを特徴とする光学機器。
(構成26)
筐体と、前記筐体内に配置された少なくとも1つのレンズを有する光学系と、前記光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を有する撮像装置であって、
前記レンズの少なくとも一つが、構成9乃至24のいずれか1項に記載の光学素子であることを特徴とする撮像装置。
(方法1)
透明基材と、構成1乃至8のいずれかに記載の樹脂組成物と、を用意する用意工程と、
前記透明基材に前記樹脂組成物を設ける設置工程と、
前記樹脂組成物を重合又は共重合し、硬化物を形成する硬化工程と、
を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
(方法2)
前記設置工程が、型を用いて前記樹脂組成物を成形する成形工程を含む方法1に記載の光学素子の製造方法。
(方法3)
前記重合開始剤が、光重合開始剤であり、
前記硬化工程が、光照射によって前記樹脂組成物を重合又は共重合する光照射工程を含む方法1又は2に記載の光学素子の製造方法。
1 透明基材
1A 第1面
1B 第2面
2 硬化物
2a 樹脂組成物
4 型
5 イジェクタ
10 光学素子
600 一眼レフデジタルカメラ(撮像装置)
601 レンズ鏡筒(交換レンズ、光学機器)
602 カメラ本体
603 レンズ(光学素子)
604 内筒
605 レンズ(光学素子)
606 絞り
607 主ミラー
608 サブミラー
609 シャッタ
610 撮像素子
611 プリズム
621 筐体

Claims (29)

  1. 下記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体と、
    前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第2の単量体、及び/又は、前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する2官能の(メタ)アクリレートの重合性官能基を有する第3の単量体と、
    重合開始剤と、を有し、
    前記重合体、前記第2の単量体及び前記第3の単量体の含有量の和が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。




    (一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアルキレン基である。)
  2. 前記重合体の重量平均分子量が、35,000以上300,000以下の範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物における前記重合体の含有割合が、5質量%以上30質量%以下の範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記重合体における前記第1の単量体が重合された部分の割合が、60質量%以上100質量%以下の範囲である請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物における前記第2の単量体及び前記第3の単量体の含有量の和が、40質量%以上93質量%以下の範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂組成物は、前記第2の単量体及び前記第3の単量体と、を有する請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂組成物が、チオール基を有する硫黄含有化合物を含有し、
    前記樹脂組成物におけるチオール基を有する硫黄含有化合物の割合が、1質量%以上15質量%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  8. 前記チオール基を有する硫黄含有化合物のチオール基が、2官能のチオール基である請求項7の樹脂組成物。
  9. 透明基材と、
    前記透明基材の上に設けられた請求項1に記載の樹脂組成物の硬化物と、を備えることを特徴とする光学素子。
  10. 透明基材と、
    前記透明基材の上に設けられた、下記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート化合物を有する硬化物と、を有し、
    前記硬化物における前記(メタ)アクリレート化合物の含有量が、70質量%以上99.5質量%以下の範囲であることを特徴とする光学素子。




    (一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアルキレン基である。)
  11. 前記(メタ)アクリレート化合物が、前記一般式(1)乃至(4)で示される脂環骨格を有する1官能(メタ)アクリレートの第1の単量体の少なくとも1つを含む材料を重合させて得られる重合体を含み、
    前記重合体の重量平均分子量が、35,000以上300,000以下の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記硬化物における前記重合体の含有割合が、5質量%以上30質量%以下の範囲である請求項11に記載の光学素子。
  13. 前記重合体における前記第1の単量体が重合された部分の割合が、60質量%以上100質量%以下の範囲である請求項12に記載の光学素子。
  14. 前記硬化物が、前記2官能の(メタ)アクリレート化合物を含有し、
    前記硬化物における前記2官能の(メタ)アクリレート化合物の含有割合が、28質量%以上79質量%以下の範囲である請求項10に記載の光学素子。
  15. 前記硬化物が、さらに重合開始剤を有する請求項9又は10に記載の光学素子。
  16. 厚み500μm換算における波長400nmに対する前記硬化物の内部透過率が、70%以上である請求項9又は10に記載の光学素子。
  17. 前記硬化物のアッベ数が、50以上60未満である請求項9又は10に記載の光学素子。
  18. 前記硬化物の吸水膨張率が、0.30%未満である請求項9又は10に記載の光学素子。
  19. 前記硬化物におけるd線の屈折率ndの面内方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差が、0.0003以内である請求項9又は10に記載の光学素子。
  20. 前記透明基材が、凹球面状の第1面を有し、
    前記硬化物が、前記第1面に設けられている請求項9又は10に記載の光学素子。
  21. 前記硬化物の最小厚みd1に対する最大厚みd2の割合が、1より大きく、かつ30以下の範囲である請求項20に記載の光学素子。
  22. 前記最小厚みd1が300μm以下であり、
    前記最大厚みd2が10μm以上1000μm以下の範囲である請求項21に記載の光学素子。
  23. 前記硬化物が、チオール基を有する硫黄含有化合物を含有し、
    前記硬化物におけるチオール基を有する硫黄含有化合物の割合が、1質量%以上15質量%以下である請求項9又は10に記載の光学素子。
  24. 前記チオール基を有する硫黄含有化合物のチオール基が、2官能のチオール基である請求項23に記載の光学素子。
  25. 筐体と、前記筐体内に配置された少なくとも1つのレンズを有する光学系と、を有する光学機器であって、
    前記レンズの少なくとも一つが、請求項9又は10に記載の光学素子であることを特徴とする光学機器。
  26. 筐体と、前記筐体内に配置された少なくとも1つのレンズを有する光学系と、前記光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を有する撮像装置であって、
    前記レンズの少なくとも一つが、請求項9又は10に記載の光学素子であることを特徴とする撮像装置。
  27. 透明基材と、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の樹脂組成物と、を用意する用意工程と、
    前記透明基材に前記樹脂組成物を設ける設置工程と、
    前記樹脂組成物を重合又は共重合し、硬化物を形成する硬化工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  28. 前記設置工程が、型を用いて前記樹脂組成物を成形する成形工程を含む請求項27に記載の光学素子の製造方法。
  29. 前記重合開始剤が、光重合開始剤であり、
    前記硬化工程が、光照射によって前記樹脂組成物を重合又は共重合する光照射工程を含む請求項27に記載の光学素子の製造方法。
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