JP2011006536A - 材料組成物およびそれを用いた複合光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学系において色収差およびその他の収差の低減に効果がある樹脂のみからなる光学素子を提供する。
【解決手段】 アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)1〜30質量%と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)65質量%以上、98質量%未満と、重合開始剤(C)0.1〜5質量%を含む材料組成物およびそれを用いた光学素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学素子を形成するのに適した光学用の材料組成物およびそれを用いた光学素子に関するものであり、特に従来の光学材料であるガラスや樹脂にないような加工性と、異常分散性を有する材料組成物と前記材料組成物の硬化生成物からなる光学レンズ等の光学素子に関するものである。
カメラ、ビデオカメラ、カメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどには撮像モジュールが用いられている。近年、この撮像モジュールに用いられる光学系の小型軽量、低コスト化が大きな課題となっている。そこでこれらの光学系では収差をなくすため、非球面レンズや異常分散ガラスからなるレンズを多用するようになってきた。特に光学系の小型には異常分散ガラスによる色収差の低減は非常に有用である。
従来、異常分散ガラスとしては、弗燐酸系、B23―Al23―PbO系、SiO2―B23―ZrO2―Nb25系などの光学ガラスが知られている。これらの異常分散ガラスをレンズなどの光学素子として用いるには、研削および研磨加工が必要である。ところが、従来の異常分散ガラスでは、加工に時間を要するので量産には不適であった。また、加工工程においてガラスが柔らかいため、欠けたり表面が変色したりするなど加工性が悪いという欠点がある。
一方で、低融点な異常分散ガラスも開発されていることから、高温で押圧成形することによって光学素子を得ることは可能であった。しかしながら、高温で押圧成形可能な低融点な異常分散ガラスでは、高温での成形中に失透やにごりを生じることがあった。
そこで、ガラスの代わりに合成樹脂を使用することが考えられている。ところが、従来は合成樹脂のみでは実現可能な光学特性に限りがあるため、少なくとも複合素子の一方の光学材料としてガラスを用いていた。しかしながら、合成樹脂製の光学材料は加工性が良く、軽量であるという特徴を持つことから、合成樹脂製の光学材料をガラスの代わりに使用することが求められていきてる。
一方、低い異常分散性を有する材料としては、ITO粒子を分散させた材料組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、基体上に回折素子を形成した光学系が提案されている。ここで、回折素子には、ITO粒子を分散させた紫外線硬化性材料組成物が用いられている。
回折格子のように厚みが比較的薄いものでは、ITO粒子による着色は大きな問題とはならない。しかしながら、レンズのように光を曲げるパワーが必要なものでは、レンズ径によって異なるが、最低でも数百μmの厚みが必要となる。この場合、ITO粒子による着色によって透明性が損なわれるので、透明性が大きな問題となってくる。これらの問題は、厚みのある素子を作製する場合にはより顕著となり、また無機粒子の添加量の増加とともにこの問題は大きくなる。
特開2005−352266号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、低い異常分散性を有しつつ、光学素子、特に複合素子として加工が容易で、ガラスと遜色がない耐性や透明性を備えた光学用の材料組成物およびそれを用いた光学素子を提供することを課題とする。
本発明は、アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)1〜30質量%と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)65〜98質量%と、(C)重合開始剤0.1〜5質量%を含む材料組成物である。
また、アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)と、重合開始剤(C)を含む材料組成物の硬化物(硬化生成物)において、d線での硬化物の屈折率nd、アッベ数νd、F線とg線の異常分散性をΔθgFとしたとき、
15≦νd≦40 かつ −0.090≦ΔθgF≦0.073 である材料組成物である。
また、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)は、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基から選ばれる官能基の少なくとも1つを有することが好ましい。
また、重合性官能基を有する有機化合物(B)は、1分子中に1個の重合性官能基を有する有機化合物(B1)と1分子中に2個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B2)からなり、質量比(B1)/(B2)が0.1以上100以下であることが好ましい。
また、重合性官能基を有する有機化合物(B)は、芳香環、縮合多環、カルバゾール環、フルオレン環から選ばれる官能基の少なくとも1つを有する化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。
また、別の本発明は、紫外線硬化型樹脂を構成する成分とその含有率が、アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)1〜30質量%と、重合性官能基を有する有機化合物(B)65〜98質量%と、重合開始剤(C)0.1〜5質量%を有する組成物の硬化物からなる光学素子である。
材料組成物を構成するアンチモンドープ酸化スズにおける元素構成比Sn/Sbは、原子比で 3≦Sn/Sb≦15 であることが好ましい。
また、更に別の発明は、アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)と、重合開始剤(C)を含む材料組成物の硬化物からなり、d線での硬化物の屈折率nd、アッベ数νd、F線とg線の異常分散性をΔθgFとしたとき、
15≦νd≦40 かつ −0.090≦ΔθgF≦0.073
である光学素子である。
また、前記光学素子は、光学基材の表面に、光硬化反応によって光学用の材料組成物の硬化物を積層した複合型光学素子であることが好ましい。
本発明によれば低い異常分散性を有しつつ、光学素子、特に複合素子として加工が容易で、ガラスと遜色がない耐性や透明性を備えた光学用の組成物およびそれを用いた光学素子を提供することが可能となる。
本発明の材料組成物を重合させた硬化物のみから構成される光学素子を成形に用いる成形装置の一例を説明する図である。 本発明の複合型光学素子の一例を説明する図である。 本発明の複合型光学素子の製造装置の一例を説明する図である。 本発明の光学用組成物の展延状態を説明する図である。 異常分散性ΔθgFを説明する図である。 本発明の光学素子の温度サイクル試験を説明する図である。
本発明は、アンチモンドープ酸化スズ粒子とともに、1個以上の重合性官能基を有する有機化合物および重合開始剤とを特定の混合比で配合した材料組成物、及びこの材料組成物を硬化させることによって得られる硬化物(硬化生成物)、例えば光学素子が適当な異常分散性を有し、透明性、および熱的な耐性が良好であることを見出したものである。
アンチモンドープ酸化錫スズ粒子を光学材料に用いることは提案されているが、いずれも帯電防止特性、近赤外線の遮蔽特性を利用したものであった。
本実施形態の材料組成物は、アンチモンドープ酸化スズ粒子と、1個以上の重合性官能基を有する有機化合物および重合開始剤とを特定の混合比で配合したものである。この材料組成物の硬化物を作製したところ、適当な異常分散性を有するとともに透明性、および耐性が良好な光学素子が実現可能となったが、このようなことは予期し得ないことであった。
本実施形態の材料組成物において、アンチモンドープ酸化スズ粒子の粒子径は100nm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは9nm以下の粒子を用いることが、硬化物の透明性を保つうえで好ましい。粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製LB−550)を用いて測定した平均粒子径である。
アンチモンドープ酸化スズ粒子の材料組成物中への導入量は、材料組成物の総量の1〜30質量%であることが好ましい。アンチモンドープ酸化スズの導入量が1質量%より少ない場合では、有効な光学特性をもつ材料組成物を得ることができない。また、30質量%より多い場合には、材料組成物中におけるアンチモンドープ酸化スズ粒子の凝集によるヘイズの発生や着色の増大が起こり好ましくない。
また、1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)における重合性官能基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基を挙げることができる。なかでも、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基は、可視光域に大きな着色がないために好ましい。
また、上記重合性官能基を有するだけでなく、分子内に芳香環、ナフタレン環やアントラセン環などの縮合多環、カルバゾール環、フルオレン環を有するものが特に好ましい。
重合性官能基を有する有機化合物の含有量は65質量%以上、98質量%以下が好ましい。98質量%を超えて含有すると、低い異常分散性を有する組成物を得ることができない。また、硬化物(光学素子)において、色収差補正に効果を発揮するような性能を得ることができない。含有量が65質量%未満では樹脂成分が少ないため、硬化物として加工がし難くなってしまう。
具体的には、メタクリレート、アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルロールトリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシナネート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、N−(β−アクリロイルオキシエチル)カルバゾール、N−(β−メタクリロイルオキシエチル)カルバゾール、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、1−アクリロキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジアクリロキシナフタレン、ビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィド等の、アクリレート、メタクリレート系モノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ハロゲン化オレフィン系モノマー、スチレン系モノマー、N−ビニルカルバゾール、N−アリルカルバゾール等のビニル化合物系モノマー、含硫黄化合物モノマー、環状モノマーなどをあげることができる。
ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレートの少なくともいずれか一方を含有するものを意味する。
また、本実施形態の材料組成物には、上記の重合性官能基を有する有機化合物を硬化するための重合性開始剤(C)を配合している。
重合開始剤の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。0.1質量%未満では十分な硬化性を有する材料組成物が得られない。この場合、材料組成物を硬化させても、硬化度の低い硬化物になってしまう。一方、5質量%を超えて含有すると硬化物の透明性が低下したり、太陽光による黄変が大きくなるという問題がある。
重合開始剤としては、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤は熱重合開始剤と比較して短時間で組成物を硬化させることが可能なので、生産性が求められる光学素子の製造には好適である。
一方、熱重合開始剤は、所定の温度まで加熱することが必要であるために、光重合工程に比べて重合工程に時間を要するが、硬化収縮による応力が残りにくい。複合光学素子では、異なる材質の部材と接触した状態で硬化を行うため、硬化収縮による応力が大きくなりやすい。よって、熱重合開始剤は、このような複合光学素子を製造する場合に適している。
光重合開始剤としては、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種のみで用いても、2種以上を併用することもできる。
また、これらの光重合開始剤の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物を用いると、十分な硬化性および硬化物における透明性が得られるので特に好ましい。
特に、これらの光重合開始剤の中でも、380〜420nmの波長に吸収を有するものを用いるのが望ましい。380nmよりも短波長側に吸収を有するものでは、アンチモンドープ酸化スズ粒子による紫外線の吸収が大きくなり紫外線の硬化反応が不充分なものとなる。また、420nmよりも長波長側に吸収を有するものは可視域での着色原因となり好ましくない。
また、光重合開始剤が吸収を有するか否かは、光重合開始剤を溶解することが可能なクロロホルムやアセトニトリルなどの溶媒に組成物中と同様の濃度で溶解した溶液の光路長10mmの透過率が、溶媒のみでの光路長10mmの透過率を100%とした時に、99%以下か否かで判断することができる。
また、重合性官能基を有する有機化合物(B)の含有量は65質量%以上98質量%未満が好ましい。65質量%より少ない場合は、アンチモンドープ酸化スズの含有率が高くなるので、光学素子としての加工が難しくなる。一方、98質量%を超える場合には、これら複合酸化物の含有量が少なくなるので異常分散性を有する材料組成物を得ることが難しくなる。その結果、光学素子(硬化物)において、色収差を補正できる十分な性能を発揮させることが困難となる。
また、重合性官能基の数によって重合反応の速度を調整し、硬化度や強度、耐熱性が所定の硬化物を得ることができる。
硬化物は、光学素子として適当な硬化度、強度、耐熱性、耐久性を有する必要がある。硬化度や耐熱性が低すぎると、硬化物において十分な強度が得られない。また硬化物が光学素子の場合は、温湿度の変化により変形して光学面の形状を保てなくなるなどの問題が生じる。また、硬化度が必要以上に高すぎると、温湿度変化により応力によって硬化物(レンズ)が割れるなどの現象や微小なクラックが発生し、ヘイズの原因となる。そのため、このような硬化物は光学素子として好ましくない。
所望の硬化度や耐熱性を有し、耐久性の良い硬化生成物を得るには、重合性官能基の数が異なる複数種の有機化合物を配合することが好ましい。
複合光学素子では、光学基材上に材料組成物を積層して硬化させる。このような複合光学素子を得る場合、特に、本実施形態の材料組成物を用いるのが好ましい。このようにすると、硬化物と光学基材との間で強度、耐熱性、耐久性を確保することができる。
1分子中に2個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B2)は、その硬化物における高分子鎖は3次元構造を有している。そのため、硬化物の硬化度や強度、耐熱性を高めることができるので、温度変化による変形も小さくなる。したがって、レンズ材料としての実用性が得られる。
また、重合性官能基を有する有機化合物(B)は、1分子中に1個の重合性官能基を有する有機化合物(B1)と1分子中に2個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B2)からなり、質量比(B1)/(B2)が0.1以上100以下であることが好ましい。
100より大きい場合は、硬化物の硬化度や強度、耐熱性が低くなる。一方、0.1より小さい場合は、硬化による応力が大きくなりすぎたり、温湿度変化による耐久性が悪化したりする。そのため、硬化物において光学特性の劣化が起こる。より好ましくは、質量比(B1)/(B2)が0.1以上10以下である。
アンチモンドープ酸化スズ中のアンチモンに対するスズの割合は、原子比で、3<Sn/Sb<15 とすることが好ましい、これによって、所望の低異常分散性を得ることができる。
Sn/Sbが3よりも小さいと低異常分散性を得ることができず、一方、15よりも大きい場合には、得られる硬化物において着色が生じる。
アンチモンドープ酸化スズにおける構成比は、X線マイクロアナライザ(EPMA)により測定することができる。
本実施形態発明の材料組成物の調製方法としては、有機化合物(B)および重合開始剤(C)にアンチモンドープ酸化スズ(A)を添加して、ビーズミルやボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー等の分散装置によって全成分を均一に分散させる方法が挙げられる。また、分散に用いるビーズやボールなどのメディアの材質や大きさ、分散装置の条件設定で材料組成物の分散状態を調整することが可能となる。
また、材料組成物の分散状態によっては、分散剤を添加しても良い。添加する分量は、異常分散性や加工性を損なわない程度であれば良い。また、分散時に溶媒も加えた場合には、材料組成物の硬化時には溶剤を蒸発等の方法によって除去する必要がある。
更に、本実施形態の材料組成物には、上記の成分の他に、さらにヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン酸エステル系、あるいは硫黄系などの酸化防止剤を添加して耐久性を向上させても良い。
また、光重合開始剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種のみで用いても、2種以上を併用することもできる。
また、これらの光重合開始剤の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物を用いると、十分な硬化性および硬化物の透明性が得られるので特に好ましい。
本実施形態において、異常分散性の度合いを表す異常分散度ΔθgFの値は、以下の方法により算出したものである。すなわち、下記の式1により、それぞれの部分分散比θgFを求め、横軸にアッベ数(νd)、縦軸に部分分散比θgFをとり、異常分散性を示さない正常な光学ガラスのうちNSL7(νd=60.5、θgF=0.5346:オハラ)およびPBM2(νd=36.3、θgF=0.5828:オハラ)を基準分散ガラスとして選び、これら2種類の光学ガラスの座標(νd、θgF)を直線で結び、この直線と、比較するガラスのθgFおよびνdを示す座標との縦座標の差(ΔθgF)を、異常分散性を示す度合い、すなわち異常分散度とした。
θgF=(ng−nF)/(nF−nC) 式1
(ng:g線に対する屈折率、nF:F線に対する屈折率、nC:C線に対する屈折率である。)
そして、アッベ数をνd、F線とg線における異常分散度をΔθgFとしたとき、本実施形態の材料組成物は、その硬化生成物において
15≦νd≦40 かつ −0.090≦ΔθgF≦0.073
であるのが好ましい。
このようにすると、C線からg線までの広い可視光の範囲において、色収差の低減を効果的に行うことができる。
既存の有機化合物の硬化生成物や光学ガラスはいずれも、部分分散比θgFを縦軸、アッベ数νdを横軸にとるグラフにおいて、アッベ数νdが40以下の領域では、一様に異常分散度が大きくなる傾向にある。光学系を設計する際に光学材料として選択できる異常分散度の範囲が狭くなるので、色収差の補正が効果的に行なえず、小型軽量化あるいは高性能化を制限してしまっていた。
本実施形態の材料組成物では、アッベ数や異常分散度の異なるアンチモンドープ酸化スズ(A)と重合性官能基を有する有機化合物の含有率を調整することが好ましい。このようにすると、硬化物におけるアッベ数と異常分散度を、光学系の色収差の補正を効果的に行うことができる値に調整することが可能となる。
また、硬化物において、従来の重合性官能基を有する有機化合物単独および光学ガラスでは有していないアッベ数と異常分散度を実現することも可能である。その結果、これまでにない小型軽量あるいは高性能な光学系を実現できる。アッベ数νdが15未満では、C線からF線までの波長範囲で色収差低減の効果が過大になり好ましくない。アッベ数νdが40より大きい場合は、C線からF線までの波長範囲で色収差低減の効果が小さく好ましくない。
また、異常分散度ΔθgFが0.073より大きい場合では、既存の材料組成物と大きな差がなくアンチモンドープ酸化スズを含有する効果が小さいので好ましくない。異常分散度ΔθgFが−0.090より小さい場合は、前記複合酸化物の添加量が30質量%より多く必要になりアンチモンドープ酸化スズ微粒子の凝集によるヘイズの発生や着色の増大が起こるため好ましくない。
以下に図面を参照して、本発明の材料組成物の硬化物を材料とした光学素子、および複合型光学素子について説明する。
図1は、本発明の材料組成物を用いて光学素子を成形する成形装置の一例を説明する図である。
光学素子成形装置1は、筒状の金属製胴型2、所望の光学面3aを有する金属製の上型3、所望の光学面4aを有する紫外線を透過するガラスからなる下型4、上型3を上下に駆動するための駆動ロッド5、下型4から硬化した光学素子を離型するための離型筒6を備えている。
筒状の金属製胴型2には、材料組成物を注入するための注入口7と、過剰の材料組成物を排出するための排出口8が設けられている。駆動ロッド4は図示しない駆動源によって、金属製胴型2内で上型3を上下に摺動する。また離型リング6は金属製胴型2の内周面に接して上下に摺動する。上型3および下型4の各光学面と、金属製胴型2の内周面とで光学素子成形用の成形室9が形成されている。
光学素子の成形は以下の手順で行う。金属製の上型3とガラス製の下型4を、光学面3a、4aが対向するように金属製胴型2内に載置する。この時、上型3を、駆動ロッド5によって第一段階の所定高さに保持する。この第一段階の所定高さは、上型3が排出口8より上部に位置する高さである。上型3をこの高さに保持することによって、成形室9を形成する。
次に光重合開始剤を含有させた本発明の材料組成物を、注入口7より注入して成形室9内に充填していく。この時、成形室9内を負圧にしておくと、材料組成物の注入時における気泡の巻き込みや、成形室内の空気残りを防ぐことができる。また材料組成物を注入しやすい粘度になるように温度調整すると良い。排出口8から材料組成物があふれ出てきた時点で成形室9内が充填されたものと判断して、材料組成物の注入を停止する。
次いで、注入口7を塞ぎ、上型3を下方に押圧して第二段階の高さにする。このとき、さらに過剰の材料組成物が排出口8から流出する。次に下型4の下方より、紫外線を照射し材料組成物を硬化させる。なお、紫外線照射装置は離型リング6の下方に配置されているが、図示を省略している。材料組成物の硬化に伴う収縮にあわせて、上型3を下方に徐々に移動させる。このように、収縮に連動させて上型3を下降させることで、硬化後の光学素子の内部応力を低減することが可能となる。
また、材料組成物が十分に硬化した後、駆動ロッド5を上昇させて上型3を離型させる。次に離型リング6を上に移動させて、下型4から硬化物を離型させる。このようにして材料組成物の硬化物を、所望の形状を有する光学素子として取り出すことができる。
なお、図1において、光学面3a、4aがいずれも球面であれば球面レンズが、光学面3a、4aのいずれかあるいは両方が非球面であれば非球面レンズが、光学面3a、4aのいずれかあるいは両方が回折面であれば回折レンズがそれぞれ、光学素子として製造できる。
また、複合型光学素子を製造する場合には、上記の材料組成物を光学基材の表面に載置した状態で硬化させて、光学基材と当該材料組成物の硬化物とを積層させることによって製造することができる。この複合型光学素子は、光学基材と材料組成物の硬化物の界面が、球面、非球面、自由曲面あるいは回折面である複合型光学素子となる。
複合型光学素子に用いる光学基材としては、所望の形状に加工するときに欠け、表面変色、失透やあるいは濁り等の問題が起きない通常の光学用ガラス、光学用樹脂あるいは透明セラミックスを用いることができる。光学用ガラスとしては、石英、BK7(SCHOOT)、BACD11(HOYA)、BAL42、LAH53(オハラ)等を挙げることができる。光学用樹脂としては非晶質ポリオレフィンであるゼオネックス(日本ゼオン)、ARTON(JSR)、アペル(三井化学)等、アクリル樹脂であるアクリペット(三菱レイヨン)、デルペット(旭化成)等を挙げることができる。
光学基材の表面に本実施形態の材料組成物を塗布等の方法によって載置し、所望の形になるようにその上面に型を接触させる。この際に用いる型は、金属製でもガラス,石英等の透明なもののいずれでも良いが、光学基材の反対面から紫外線を照射して当該材料組成物を硬化させる場合は、ガラス、石英等の型を用いる。また、金属製の型を用いた場合は、光学基材の側から紫外線を照射して材料組成物を硬化させる。
以上で説明した方法により、例えば、図2のような複合型光学素子を製造することができる。図2で示す複合型光学素子10は、光学基材11の表面に材料組成物の硬化物13が一体に形成されている。
以下、複合型光学素子の製造方法について説明する。
図3は、複合型光学素子の製造装置の一例を説明する図であり、光軸から左側は断面を示す。複合型光学素子の製造装置20は、支持枠(図示しない)、支持台21、受け部22および保持筒23を備えている。支持台21は、支持枠により支持されている。受け部22は筒状の形状であって、支持台21に取り付けられている。受け部22には軸受け24が設けられている。
保持筒23は、軸受24を介して受け部22に取り付けられており、保持筒23は、軸受24の作用によって受け部22に対して回転自在になっている。また、保持筒23には、その内周上部に、光学基材11の外縁部を受ける環状の係合縁25が設けられている。また、保持筒23の下部には、プーリ26が−体に形成されている。
一方、支持台21の下側には、モータ27が固定されている。モータ27の駆動軸28には、プーリ29が取り付けられている。そして、プーリ29とプーリ26の間にベルト30が巻き掛けられている。これらにより、保持筒23を回転する回転機構を構成している。
なお、軸受24は、それぞれ押さえリング31、32によって固定されている。すなわち、押さえリング31は受け部22のねじ部22aに、また押さえリング32は、保持筒23のねじ部23aにそれぞれ螺合している。これにより、受け部22と保持筒23の間に、軸受24を固定することができる。
また、前記支持台21の上方には、支持手段35が設けられている。支持手段35は、上部金型3を上下動して、上部金型3を所望の位置に支持する支持手段35の支持柱36は支持台21の上面に固定されており、支持柱36にはシリンダ37が設けられている。 また、シリンダ37にはシリンダロッド38が取り付けられている。さらに、シリンダロッド38の先端には、上部金型3が取り付けられている。また、保持筒23の係合縁25に光学基材11を載置した状態で、光学基材11の光軸39と上部金型3の軸が一致するように、上部金型3が支持されている。
以上に説明した複合型光学素子の製造装置を使用した複合型光学素子の製造方法を説明する。
所望の光学特性を有するレンズからなる光学基材11を、保持筒23の係合縁25によって位置決めされるように載置する。なお、光学基材11の表面11aの材料組成物形成面には、材料組成物とガラス製の光学基材との密着性を向上させるためのカップリング処理を施しても良い。次いで、光学基材11の表面11aに、材料組成物12を吐出手段(図示しない)によって所要量を吐出する。この時、材料組成物12を吐出しやすい粘度になるように温度調整しておくと良い。
次に、シリンダ35を作動させて、上型3を下降させて、上型3の光学面3aを、光学基材11の表面11aに吐出された材料組成物12に当接させる。さらに下降を続けることで、材料組成物12は所定の形状に展延される。なお、所定の形状まで展延する前に、上型3の下降を停止させる。この状態で、モータ27を作動させて保持筒23を回転させることによって、光学基材11を少なくとも1回転させる。
図4は、材料組成物の展延状態を説明する図である。
光学基材11の表面11aに載せられた材料組成物12に、光学基材11の光軸39と上型3の軸が一致するように上型3を押し当てて、光学基材11側を少なくとも1回転させる。このようにすることで、材料組成物12は光学基材11の表面11aと上型3との間の空間を均一に延びて材料組成物層が形成される。
その後、再びシリンダ37を作動させて、再び上型3を下降させる。そして、材料組成物12の層が所望の厚みと直径に達して所定の形状となったところで、上型3の下降を停止し、光学基材11の下側から紫外線照射装置(図示しない)にて紫外線を照射する。
その結果、上型3と光学基材11の間にある材料組成物が硬化し、材料組成物の硬化物13を光学基材11の表面11aに−体に形成することができる。このとき、材料組成物の硬化物13の表面には、上型3の光学面3aが転写された光学面が形成される。そして、材料組成物の硬化物13の表面から上型3の光学面3aから硬化生成物を離型することにより、所望の形状を有する複合型光学素子を得ることができる。
る。
以下に,実施例、比較例を示して本発明を説明する。
実施例1−1および実施例1−2,1−3
(材料組成物の調製)
表1に示すように、重合性官能基を有する有機化合物(B)として、(B1):1−アクリロキシ−4−メトキシナフタレン95g、(B2):9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン380g、重合開始剤(C)としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド1g、溶剤としてメチルエチルケトン500gを混合して30分間攪拌して樹脂溶液を調整した。
更に、この樹脂溶液に、Sn/Sbの原子比が10である平均粒径8nmのアンチモンドープ酸化スズを添加量を変えて混合し、湿式ビーズミル(アシザワ・ファインテック製スターミル・ミニツェア)を用いて分散させた。この後、減圧下にて溶剤を除去して材料組成物1−1を調製した。
同様にして、アンチモンドープ酸化スズ粒子の配合量を表1に記載のように変えた材料組成物1−2,1−3を調製した。
(硬化物の作製)
50℃に保持して硬化直前に材料組成物を超音波(20kHz10分)を加え、直径20mmで厚さ500um及び1mmの大きさに保持し、照射装置(住田光学ガラス製LS−165UV)を用いて、波長405nmにおける紫外線を照度100mW/cm2 で100秒間照射し、さらに80℃で1時間加熱して、硬化物を作製した。得られた硬化物について、屈折率、透過率を測定し、アッベ数νd、部分分散比θgFおよび異常分散性ΔθgFを以下の方法により求めた。その結果を表2に示す。
(1)屈折率の測定
作製した厚さ1mmの硬化物のd線、C線、F線、g線における屈折率を精密屈折率計(島津デバイス製造製 KPR−200)を用いて測定した。測定環境は20℃60%RHであった。
(2)アッベ数νdの算出
測定したd線、C線、F線、g線に対する屈折率をそれぞれ、nd、nC、nF、ngとするとき、アッベ数νdは以下の式2から計算した。
νd=(nd−1)/(nF−nC)……式2
(3)部分分散比θgFの算出
測定したd線、C線、F線、g線に対する屈折率をそれぞれ、nd、nC、nF、ngとするとき、部分分散比θgFは以下の式3から計算した。
θgF=(ng−nF)/(nF−nC)……式3
(4)異常分散性ΔθgFの算出
異常分散性の度合いを表す異常分散度ΔθgFの値は、以下の方法により算出したものである。すなわち、下記の式1により、それぞれの部分分散比θgFを求め、横軸にアッベ数(νd)、縦軸に部分分散比θgFをとり、異常分散性を示さない正常な光学ガラスのうちNSL7(νd=60.5、θgF=0.5346:オハラ)およびPBM2(νd=36.3、θgF=0.5828:オハラ)を基準分散ガラスとして選び、これら2種類の光学ガラスの座標(νd、θgF)を直線で結び、この直線と、比較するガラスのθgFおよびνdを示す座標との縦座標の差(ΔθgF)を、異常分散性を示す度合、すなわち異常分散度とした。
また、基準分散ガラス2種を結ぶ直線の関係は、アッベ数νd0と部分分散比θgF0とすると式4で示される。式2から求めた硬化物のアッベ数をνd、式3から求めた硬化物の部分分散比をθgFとすると、異常分散性ΔθgFは式5から計算した。
θgF0=−0.0016×νd0+0.6415 … 式4
ΔθgF=θgF−θgF0
=θgF−(−0.0016×νd+0.6415)… 式5
(5)透明性の評価
厚さ500μmの硬化物の300nm〜800nmの透過率を分光光度計(日立ハイテクノロジーズ製U−4100)を用いて測定した。500nmにおける透過率が50%以上であれば、「良好」、それ未満の場合は「不良」とした。また、70%以上の透過率を有しているとより好ましい。
(複合型光学素子の作製)
組成物とBK7(SCH00T製)ガラスからなる基材を図3に示した成形装置を用いて、図2に示すような形状の複合型光学素子を作製した。いずれの場合でも波長400nmでの紫外線を照度100mW/cm2 の強度で100秒間照射し、硬化を行った。1個以上の重合性官能基を有する成分(B)の粘度が高い場合、若しくは固体の場合、適宜50〜70℃の加温を行った。硬化後、80℃で1時間加熱して、図2に示す形状の複合型光学素子を作製した。
また、図2において、基材のガラスレンズは曲率半径R1=16mm、曲率半径R2=16mm、L1=10mm、L3=2.5mmである。この基材上に曲率半径R3=26mm、口径L2=7.5mm 、L4=1mmとなるように複合型光学素子を作製した。作製した複合型光学素子について、加工性と耐性を以下の方法で評価した。
(6)加工性の評価
作製した複合型光学素子のうち、光学用組成物が硬化した面について測定を行った。測定は接触式の表面形状測定器(テイラーホブソン社製 フォームタリサーフ PGIプラス)を用い、硬化面の曲率半径を測定し、目標とした曲率半径R3に対しての変形量を求めた。変形量が±2μm以内であれば「良好」、それ以上の場合は「不良」とした。
(7)耐性の評価
作製した複合型光学素子に、1周期の時間が3時間で、その間の温度変化が−40℃から+80℃となる温度サイクルを10周期分加えた。温度サイクルは図6に示すように、1周期における温度と時間は、+20℃で30分、−40℃で60分、+20℃で30分、+80℃で60分と変化する。温度サイクル後の組成物の硬化物にクラックや変形が起きていなければ「良好」、クラックや変形が起きていれば「不良」とした。
実施例2−1〜2−3
実施例1−1ないし1−3において用いた重合性官能基を1個有する有機化合物(B1)、重合性官能基を2個有する有機化合物(B2)、および光重合開始剤(C)の配合を表1に記載の配合比に変えた点を除き、実施例1−1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
実施例3−1〜3−3
実施例1−1ないし1−3の材料組成物の成分(B)の1−アクリロキシ−4−メトキシナフタレン(B1)をN−アリルカルバゾール(B1)とするとともに、N−(β−アクリロイルオキシエチル)カルバゾールとし、成分(B)および光重合開始剤(C)の配合比を表1に記載のようにした点を除き、実施例1−1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
実施例4−1〜4−3
実施例3−1〜3−3の材料組成物の成分(B)における重合性官能基を有する成分、および、表2に記載のように変えた点を除き実施例3−1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
実施例5−1ないし5−3
実施例1−1の材料組成物の成分(B)の成分を、1−アクリロキシ−4−メトキシナフタレンとジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(B2)とし、配合比を表1に記載のように変えた以外は実施例1−1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
実施例6−1ないし6−3
実施例5−1ないし5−3の材料組成物の成分(B)の配合比を表1に記載のように変えた点を除き実施例1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
実施例7
実施例1−3における成分(A)であるアンチモンドープ酸化スズを、Sn/Sbの原子比が3のものに変えた点を除き、実施例1−3と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−3と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
実施例8
実施例1−3における成分(A)であるアンチモンドープ酸化スズを、Sn/Sbの原子比が15のものに変えた点を除き、実施例1−3と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−3と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
比較例1
実施例1−1における成分(A)、成分(B)および成分(C)の配合比を表1に記載のように変えた点を除き実施例1−1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
比較例2
実施例1−1における成分(A)、成分(B)および成分(C)の配合比を表1に記載のように変えるとともに、アンチモンドープ酸化スズの原子比Sn/Sbを2のものに変えた点を除き実施例1−1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
比較例3
実施例3−1における成分(A)、成分(B)および成分(C)の配合比を表1に記載のように変えるとともに、アンチモンドープ酸化スズの原子比Sn/Sbを20のものに変えた点を除き実施例1−1と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例3−1と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
比較例4
実施例1−3における材料組成物の成分(B)を構成する(B1)と(B2)成分比、および重合開始剤(C)の成分比を表1に記載のように変えた点を除き実施例1−3と同様にして材料組成物を調製した。
次いで、実施例1−3と同様にして硬化を行って作製した硬化物と複合型光学素子の特性を評価し、その結果を表2に示す。
表2に示すように、各実施例の光学用組成物の硬化物の屈折率nd、アッベ数νdおよび異常分散性ΔθgFは、いずれも好ましい範囲に入っており、色収差の効果的に低減ができる異常分散性を有していることがわかった。
また、本実施形態の光学用組成物を用いた光学素子は、加工性、透明性も良好であった。
更に、実施例4〜9に示すように、有機化合物成分として2種の成分を配合して両者の配合比を調製することによって良好な特性を有するものを得ることが可能であった。
一方、比較例1、2は、着色に問題がありレンズ材料としては実用性が悪いことがわかった。
また、比較例3は、着色と加工性に問題がありレンズ材料としては実用性が悪いことがわかった。比較例4は、色収差低減に効果があるような異常分散性が得られていないことがわかった。
Figure 2011006536
Figure 2011006536
本発明の材料組成物は、紫外線等の照射により容易に硬化物とすることができるので生産性が高く、その硬化生成物は十分な異常分散性を有するため、光学素子に用いることで色収差の少ない光学素子を得ることができる。また得られた光学用材料組成物は加工性、および温度変化に対する耐性が優れており、さらに着色やヘイズの低減した、透明性に優れる材料組成物である。この硬化生成物からなる光学素子は、各種の光学機器に好適であり、光学系の色収差を小さくすることができ、また小型軽量化も図ることができる。
1…複合光学素子成形装置、2…金属製胴型、3A…上型、3B…下型、3A1…光学面、3B1…光学面、4…加熱手段、5…駆動棒、6…離型筒、7…注入口、8…排出口、9…成形室、10…複合光学素子、11…光学素子、11A…表面、12…重合性組成物、13…硬化物、21…支持台、23…保持筒、25…係合縁、27…モータ、35…支持手段、36…支持柱、37…シリンダ

Claims (9)

  1. アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)1〜30質量%と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)65質量%以上、98質量%未満と、重合開始剤(C)0.1〜5質量%を含むことを特徴とする材料組成物。
  2. アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)と、重合開始剤(C)を含む材料組成物の硬化物において、d線での硬化物の屈折率nd、アッベ数νd、F線とg線の異常分散性をΔθgFとしたとき、
    15≦νd≦40 かつ −0.090≦ΔθgF≦0.073
    であることを特徴とする材料組成物。
  3. 1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)は、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基から選ばれる官能基の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1または2記載の材料組成物。
  4. 重合性官能基を有する有機化合物(B)は、1分子中に1個の重合性官能基を有する有機化合物(B1)と1分子中に2個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B2)からなり、質量比(B1)/(B2)が0.1以上100以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の材料組成物。
  5. 重合性官能基を有する有機化合物(B)は芳香環、縮合多環、カルバゾール環、フルオレン環から選ばれる官能基の少なくとも1つを有する化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の材料組成物。
  6. 紫外線硬化型樹脂を構成する成分とその含有率が、アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)1〜30質量%と、重合性官能基を有する有機化合物(B)65質量%以上、98質量%未満と、重合開始剤(C)0.1〜5質量%を有する材料組成物の硬化物からなることを特徴とする光学素子。
  7. 前記材料組成物を構成するアンチモンドープ酸化スズにおける元素構成比Sn/Sbが、原子比で 3≦Sn/Sb≦15 であることを特徴とする請求項6記載の光学素子。
  8. アンチモンドープ酸化スズ粒子(A)と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)と、重合開始剤(C)を含む材料組成物の硬化物からなり、d線での硬化物の屈折率nd、アッベ数νd、F線とg線の異常分散性をΔθgFとしたとき、
    15≦νd≦40 かつ −0.090≦ΔθgF≦0.073
    であることを特徴とする光学素子。
  9. 前記光学素子が光学基材の表面に、光硬化反応によって光学用の材料組成物の硬化物を積層した複合型光学素子であることを特徴とする請求項7または8記載の光学素子。
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