JP2011153185A - 材料組成物およびそれを用いた光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来にない低い異常分散性に加えて透明性を有する材料組成物と前記組成物からなる光学レンズ等の光学素子を提供する。
【解決手段】 リンをドープした酸化スズ粒子(A)0.5質量%以上20質量%以下と、
1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)80質量%以上、99質量%以下を含む材料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学素子を形成するのに適した光学用の材料組成物およびその組成物を用いた光学素子に関するものであり、特に従来の光学材料であるガラスや樹脂にないような低い異常分散性に加えて透明性を有する材料組成物と前記組成物からなる光学レンズ等の光学素子に関するものである。
撮像モジュールとして、カメラ、ビデオカメラ、カメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどが知られている。近年、この撮像モジュールなどに用いられる光学系の小型軽量、低コスト化が大きな課題となっている。そこでこれらの光学系では収差をなくすため、非球面レンズや異常分散ガラスからなるレンズを多用するようになってきた。特に光学系の小型には異常分散ガラスによる色収差の低減は非常に有用である。
また、ガラス以外に樹脂や有機無機複合材料を光学系のレンズ材料として用いることも行なわれている。
このうち、有機無機複合材料としては、例えば樹脂中に粒径数nm〜100nmの微粒子を均一に分散させた微粒子分散型が知られている。このような有機無機複合材料は、ガラス材料と違って加工が容易であるとともに、異常分散性を持たせることも可能である。
例えば、インジウムと酸化スズの複合酸化物であるITO微粒子を樹脂に分散させることで、従来の光学材料であるガラスや樹脂にはない低い異常分散性を有した有機無機複合材料、及びそれを用いた回折素子がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、ITO微粒子は、通常と異なる異常分散性を示し、可視域の長波長側端での屈折率変化も大きい一方、紫外域の吸収に加え、赤外域での吸収・反射特性をもつ。すなわち、ITO微粒子は異常分散性を低くする効果はあるが、紫外域・赤外域の吸収によって着色をするため、透明性の維持が非常に大きな問題となってくる。
特開2006−276195号公報 特開2004−145273号公報
本発明は、従来の光学材料である光学ガラスや合成樹脂では得られない低い異常分散性を有しつつ、光学素子、特に複合素子として加工が容易で、実用上の透明性を備えた光学用の材料組成物およびそれを用いた光学素子を提供することを課題とする。
本発明は、リンをドープした酸化スズ粒子(A)0.5質量%以上20質量%以下と、
1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)80質量%以上、99質量%以下を含む材料組成物を含む材料組成物である。
また、本発明は、重合開始剤(C)を含む前記の材料組成物である。
また、リンをドープした酸化スズ粒子において、リンのスズに対する原子比が0.001〜0.3であることを特徴とする前記の材料組成物である。
また、有機化合物(B)は、芳香環、ナフタレン環やアントラセン環から選ばれる縮合多環、フルオレン骨格、ビフェニル骨格から選ばれる骨格を少なくとも1つ有する化合物を1種以上含んだ有機化合物群である前記の材料組成物である。
また、前記(A)、(B)成分に加えて、さらにリン酸エステル型(メタ)アクリレート(D)を含む前記の材料組成物である。
また、リンをドープした酸化スズ粒子(A)、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)との材料組成物の硬化物において、d線での屈折率nd、アッベ数νdとしたとき、18≦νd≦55 かつ 1.50≦nd≦1.73である前記の材料組成物である。
また、本発明は、前記の材料組成物の硬化物からなる光学素子である。
また、本発明は、光学基材と、光学基材の表面に積層された前記の材料組成物の硬化物とを備えた複合光学素子である。
本発明によれば、透明性が高く、低い異常分散を有する材料組成物を得ることができる。また、この材料組成物の硬化物を光学素子に用いた場合、加工性、透明性を有した光学素子を得ることが可能となる。
本発明の組成物を重合させた硬化物のみから構成される光学素子を成形に用いる成形装置の一例を示す図である。 複合型光学素子の一例を示す図である。 複合型光学素子の製造装置の一例を示す図である。 本発明の光学用組成物の展延状態を示す図である。 異常分散性ΔθgFを示す図である。 ITO、リンドープ酸化スズ粒子の分散体の可視域における透過率を示す図である。
本発明は、リンをドープした酸化スズが、可視光に対する透明性を保ちつつ、赤外線に対する反射特性を有することに着目し、リンをドープした酸化スズが異常分散性を発現する可能性があるものと考えて、リンをドープした酸化スズ粒子と、重合性官能基を有する有機化合物及び重合開始剤とを配合して材料組成物を調製し、この材料組成物の硬化物を作製したところ、低い異常分散性を有する光学素子が製造可能であることを見出したものである。
すなわち、本実施形態の材料組成物は、リンをドープした酸化スズ粒子(A)0.5質量%以上20質量%以下と、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)80質量%以上、99質量%以下を含むものである。
リンをドープした酸化スズ(A)は、低い異常分散特性を発現するとともに、導電性酸化物として知られているインジウムスズ酸化物であるITOに比べて赤外域の吸収が小さいので、可視域全体で透明な材料組成物を得ることが可能であるという特徴を有している。
図6に、同じ樹脂に対して、ITO、リンドープ酸化スズ粒子を20質量%分散したそれぞれの分散体の可視域における光路長100μmでの透過率を示した。
リンをドープした酸化スズの粒径は100nm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは、10nm以下である。
粒径が100nm以下であると散乱がおこらず硬化物の透明性が保たれて好ましい。
また、本発明において粒径は動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製LB−550)を用いて動的光散乱法によって求めたもので、ここでは粒径分布の中心値を平均粒径とする。
本実施形態の材料組成物に使用するリンをドープした酸化スズ粒子の調製方法の一例を次に述べる。この方法として例えば、酸化スズ水性ゾルにリン化合物を混合した後、高温高圧下で水熱処理してリンイオンを酸化スズに固溶させることでリンをドープした酸化スズ粒子を調製する方法や、水溶性スズ化合物の加水分解反応中、あるいは反応の前後にリン化合物を添加することによりリン含有水酸化スズ沈澱を生成させた後に、沈澱を洗浄および乾燥後酸素欠乏雰囲気中で焼成する方法によって調製する方法等を挙げることができる。
また、リンをドープした酸化スズの含有量は、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。0.5質量%未満では色収差補正に効果がでるような低い異常分散性を有する組成物を得ることができず、20質量%を超えて含有すると、着色により透明性が低下し、光学素子として用いるには適さない。
重合性官能基を有する有機化合物の含有量は80質量%以上、99質量%以下が好ましい。99質量%を超えて含有すると、色収差補正に効果を発揮するような低い異常分散性を有する組成物を得ることができず、80質量%未満では重合を行う樹脂成分が少ないため、硬化物として加工がし難くなってしまう。
具体的には、メタクリレート、アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルロールトリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシナネート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、N−(β−アクリロイルオキシエチル)カルバゾール、N−(β−メタクリロイルオキシエチル)カルバゾール、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、フルオニルメチル(メタ)クリレート、1−アクリロキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジアクリロキシナフタレン、N−ビニルカルバゾール、N−アリルカルバゾール、カルバゾイルエチルアクリレート、カルバゾイルエチルメタクリレート、カルバゾイル(1−メチルエチル)アクリレート、カルバゾイル(2−メチルエチル)アクリレート、カルバゾイル(1−メチルエチル)メタクリレート、カルバゾイル(2−メチルエチル)メタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジフェン酸ジアリル、p−クミルフェノキシメチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィド等のアクリレート、メタクリレート系モノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ハロゲン化オレフィン系モノマー、スチレン系モノマー、ビニル化合物系モノマー、含硫黄化合物モノマー、環状モノマーなどをあげることができる。
ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレートの少なくともいずれか一方を含有するものを意味する。
また、本発明は、重合開始剤(C)を含む前記の材料組成物である。
本発明の材料組成物は、重合開始剤(C)をさらに含んでも良い。重合開始剤(C)を含むことにより、樹脂の硬化をより容易にすることができる。また、重合開始剤(C)としては、熱重合開始剤と光重合開始剤のいずれも用いることができる。このうち光重合開始剤を用いると、比較的短時間の紫外光照射によって樹脂の硬化ができる上、樹脂の面精度を確保しやすいため好ましい。
重合開始剤の含有量は、リンをドープした酸化スズ成分(A)と、前記重合性官能基を有する有機化合物成分(B)の100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下が好ましい。0.05質量部未満では十分な硬化性を有する組成物が得られず硬化度の低い硬化物になってしまう。一方、5質量部を超えると、硬化物の透明性が低下したり、太陽光により黄変が大きくなったりという問題がある。
光重合開始剤としては、例えば4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種のみで用いても、2種以上を併用しても良い。
また、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などを用いると、十分な硬化性および硬化物の透明性が得られるので特に好ましい。
熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスカルボアミド、イソプロピルヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビスヘキサンなどが挙げられる。
本実施形態の材料組成物には、上記の成分の他に、さらに紫外線吸収剤を添加して耐久性を向上させても良い。具体例としては、フェニルサリシレート、p−ターシャリーブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどサリチル酸エステル系のもの、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5,5’−ジスルホベンゾフェノン・2ナトリウム塩などベンゾフェノン系のもの、2(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’− ジターシャリーアミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−ターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−5’−ターシャリーオクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどベンゾトリアゾール系のもの、2’,4’−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどベンゾエート系のもの、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどシアノアクリレート系のもの、p−アミノ安息香酸ブチル様なアミノ安息香酸系などをあげることができる。これらの中から一種ないし複数選択し混合して用いることができる。
更に、本実施形態の材料組成物には、上記の成分の他に、さらにヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン酸エステル系、あるいは硫黄系などの酸化防止剤を添加してもよい。このようにして、材料組成物を硬化させた硬化物において耐久性を向上させても良い。
また、本実施形態の材料組成物において、ドープしたリンの含有量が、酸化スズ化合物中のスズに対して、原子比で0.001〜0.3であることが好ましい。リンの含有量は、EDS、EPMA、ICP、XPS、XRFなど各種分析装置を用いて測定することができる。
リンの含有量が、スズに対して原子比で0.001未満では、光学特性はドープされていない酸化スズとの変化が小さいために色収差低減の効果を得られるような低い異常分散性を発現することができない。
一方、リンの含有量が、スズに対して、原子比が0.3を超えると、赤外域での反射が大きくなり光学素子に用いるための透過率が維持できなくなってしまう。リンの含有量より好ましくは、0.01〜0.2である。
本実施形態の材料組成物では、重合性官能基を有する有機化合物(B)は、芳香環、ナフタレン環やアントラセン環から選ばれる縮合多環、フルオレン骨格、ビフェニル骨格から選ばれる骨格を少なくても1つを有する化合物を少なくても1種含んでいる。
これらの化学構造を含むことによって、有機化合物自体の光学特性を高屈折率、低アッベ数でありながら低異常分散性とすることが可能となる。通常の有機化合物は高屈折率化、低アッベ数化にともない異常分散性が高くなる傾向にあるが、上記の有機化合物(B)は、低異常分散の領域に近い光学特性を有した有機化合物であるため、リンをドープした酸化スズ粒子の添加量を抑えることができる。これにより、低異常分散性を保ちつつも、粒子添加に伴う加工性低下が抑えられる。
これらの中でもフルオレン骨格、芳香環、ビフェニル骨格を有する化合物は透過率の点で好ましい。有機化合物には通常、屈折率が高くなると紫外域での吸収があり、透過率が低下する傾向にあるが、フルオレン環、芳香環は、紫外域での吸収が少ないため、高屈折率でありながらも着色が小さい。
また、重合性官能基を有する有機化合物(B)は、その骨格内にケイ素原子やフッ素原子を含んでいないことが好ましい。これらの元素を含んでいると、低屈折率になりやすく、光学素子として用いる際の収差補正能力が低下してしまう。
また、有機化合物(B)の重合性官能基はビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基から選ばれる官能基であると好ましい。これら重合性官能基を有していると、エネルギー硬化型のモノマーは硬化性が良く、実用性が高い。又、種類も豊富で入手も容易である。特に、硬化性の点からエポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。具体的には、上記した重合性官能基を有する化合物が挙げられる。また、モノマーを用いても良いし、オリゴマーを用いても良い。オリゴマーとした場合には、硬化時の収縮量がへるため、レンズ内部の応力を低減することができる。
本実施形態の材料組成物では、前記(A)、(B)成分に加えて、さらにリン酸エステル型(メタ)アクリレート(D)を含むことが好ましい。リン酸エステル型(メタ)アクリレートは、屈折率は低いが、分子中のリン酸骨格により低異常分散性を有しているため、リン酸エステル型(メタ)アクリレートを混合することにより、低い異常分散性を発現することができる。
また、本実施形態の材料組成物は、リンをドープした酸化スズ粒子(A)、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)と、重合開始剤(C)を硬化して硬化物を得た場合、その硬化物のd線での屈折率ndとアッベ数νdが15≦νd≦55 かつ 1.50≦nd≦1.73となる材料組成物であることが好ましい。
リンをドープした酸化スズによって、樹脂成分のみを硬化した場合とは異なる屈折率とアッベ数の関係を実現することが可能となる。
ここで、異常分散性の度合いを表す異常分散性ΔθgFの値は、以下の方法により算出したものである。すなわち、下記の式1により、それぞれの材料組成物の部分分散比θgFを求め、横軸にアッベ数(νd)、縦軸に部分分散比θgFをとり、異常分散性を示さない正常な光学ガラスのうちF7(νd=60.5、θgF=0.547)およびK2(νd=36.3、θgF=0.583)を基準分散ガラスとして選び、これら2種類の光学ガラスの座標(νd、θgF)を直線で結び、この直線と、比較するガラスのθgFおよびνdを示す座標との縦座標の差(ΔθgF)を異常分散性を示す度合い、すなわち異常分散性とした。
θgF=(ng−nF)/(nF−nc) 式1
(ng:g線に対する屈折率、nF:F線に対する屈折率、nc:C線に対する屈折率である)
図5に、異常分散性ΔθgFを示した。
アッベ数νdが18未満の場合は、C線からF線までの波長範囲において、色収差低減の効果が過大になり好ましくない。アッベ数νdが55より大きい場合は、C線からF線までの波長範囲において、色収差低減の効果が小さく好ましくない。色収差低減の効果を高めるためには、18≦νd≦55が好ましい。
また、異常分散性ΔθgFが上記記載の上限値をこえると、低い異常分散性を利用した色収差低減の効果が得られなくなる。
また、下限値未満となる量の上記リンをドープした酸化スズ粒子を添加すると着色が大きく好ましくない。
また、本実施形態の材料組成物は、リンをドープした酸化スズ粒子(A)、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)と、重合開始剤(C)を硬化して硬化物を得た場合、その硬化物のアッベ数νd、F線とg線の異常分散度ΔθgFが(vd,ΔθgF)=(55,0.00)、(30,0.00)、(30,−0.05)、(55,−0.08)もしくは、(30,0.00)、(18,0.09)、(18,0.04)、(30,−0.05)で囲まれた範囲内の光学恒数を有するような材料組成物であることが好ましい。
この範囲でC線からg線までの広い可視光の範囲において、色収差の低減が効果的に行うことができる。
硬化物のアッベ数νd、F線とg線の異常分散度ΔθgFが(vd,ΔθgF)=(55,0.00)、(30,0.00)、(30,−0.05)、(55,−0.08)の範囲にある場合は、その硬化物(例えば、レンズ)は、C線からg線全域での色収差補正が重視される高精度な光学系において有効である。
一方、硬化物のアッベ数νd、F線とg線の異常分散度ΔθgFが(vd,ΔθgF)=(30,0.00)、(18,0.09)、(18,0.04)、(30,−0.05)の範囲にある場合は、その硬化物(例えば、レンズ)は、C線からF線の色収差補正が重視されるものの、F線からg線までの収差が悪くならなければいいような光学系において有効である。
また、本実施形態の材料組成物は、硬化物のアッベ数νd、F線とg線の異常分散度ΔθgFが(vd,ΔθgF)=(55,−0.01)、(30,−0.01)、(30,−0.04)、(55,−0.04)もしくは、(30,0.00)、(18,0.06)、(18,0.03)、(30,−0.03)で囲まれた範囲内の光学恒数を有するような材料組成物であることが好ましい。これにより、透明性とより良い色収差低減効果を両立した硬化物を得ることができる。
また、本実施形態の材料組成物においては、散乱による透明性低下を防ぐために、有機化合物中にリンをドープした酸化スズ粒子が凝集することなく存在していることが好ましい。この様な状態にするために、上記成分の他に分散剤を添加してもよい。
また、リンをドープした酸化スズ粒子を、粒子表面の水酸基と加水分解反応するような有機金属化合物や、水素結合するような官能基を構造内にもつ有機化合物によって表面修飾理したものを有機化合物中に導入することが好ましい。
分散剤を用いると、有機化合物中に粒子を分散させる際に、粒子を表面修飾する工程を必要としない点で好ましい。また、粒子を修飾した場合、有機金属化合物や水酸基を構造内にもつ有機化合物を用いると粒子と結合をもつため、これらの成分が溶出することがあるが、分散剤を使った場合はそれがない点で好ましい。
分散剤や表面修飾剤としては、添加しても本実施形態の材料組成物の低異常分散性を保てるような低異常分散性を有したものを用いることが好ましい。具体的には、水酸基や下記式で表されるような、リン酸エステル、スルホン酸等が挙げられる。
0=P(OR)n (OH)m ただしn+m=3
RSO3
ここで、Rは有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基などである。
また、分散剤や表面修飾剤として、芳香環、ナフタレン環やアントラセン環から選ばれる縮合多環、フルオレン骨格、ビフェニル骨格から選ばれる骨格を少なくても1つを有する化合物を用いると良い。重合性官能基を有する化合物において説明したものと同様にこれらの構造を化学構造中に有する分散剤や表面修飾剤を用いることで、分散剤を添加しても低い異常分散性を保つことが可能となる。更に、重合性官能基を有する化合物と同様の構造あるいは、同様の元素を有することで、重合性官能基を有する化合物への分散性を高めることができるという効果も得ることができる。
以下に図面を参照して複合光学素子の製造方法について説明する。
図1は、本発明の光学素子を成形する成形装置の一例を示す図である。
なお、本発明の光学素子は、上述のように、本発明の光学用組成物を重合させた硬化物のみから構成される素子である。光学素子成形装置1は、筒状の金属製胴型2、所望の光学面3aを有する金属製の上型3、所望の光学面4aを有する紫外線を透過するガラスからなる下型4、上型3を上下に駆動するための駆動ロッド5、下型4から硬化した光学素子を離型するための離型筒6を備えている。筒状の金属製胴型2には、光学用組成物を注入するための注入口7と、過剰の光学組成物を排出するための排出口8が設けられている。駆動ロッド4は図示しない駆動源によって、金属製胴型2内で上型3を上下に摺動する。
また離型リング6は金属製胴型2の内周面に接して上下に摺動する。上型3および下型4の各光学面と、金属製胴型2の内周面とで光学素子成形用の成形室9が形成されている。
光学素子の成形は以下の手順で行う。金属製の上型3とガラス製の下型4を、光学面3a、4aが対向するように金属製胴型2内に載置する。この時、上型3を、駆動ロッド5によって第一段階の所定高さに保持する。この第一段階の所定高さは、上型3が排出口8より上部に位置する高さである。上型3をこの高さに保持することによって、成形室9を形成する。
次に光重合開始剤を含有させた本発明の組成物を、注入口7より注入して成形室9内に充填していく。この時、成形室9内を負圧にしておくと、組成物の注入時における気泡の巻き込みや、成形室内の空気残りを防ぐことができる。排出口8から組成物があふれ出てきた時点で成形室9内が充填されたものと判断して、組成物の注入を停止する。
注入口7を塞ぎ、上型3を下方に押圧して第二段階の高さにする。このとき、さらに過剰の組成物が排出口8から流出する。次に下型4の下方より、紫外線を照射し組成物を硬化させる。なお、紫外線照射装置は離型リング6の下方に配置されているが、図示を省略している。組成物の硬化にともなう収縮にあわせて、上型3を下方にゆっくりと移動させる。収縮に連動させて上型3を下降させることで、硬化後の光学素子の内部応力を低減できる。組成物が十分に硬化した後、駆動ロッド5を上昇させて上型3を離型させる。次に離型リング6を上に移動させて、下型4から硬化物を離型させる。このようにして組成物からなる硬化物を、所望の形状を有する光学素子として取り出すことができる。
なお、図1において、光学面3a、4aがいずれも球面であれば球面レンズが、光学面3a、4aのいずれかあるいは両方が非球面であれば非球面レンズが、光学面3a、4aのいずれかあるいは両方が回折面であれば回折レンズがそれぞれ、光学素子として製造できる。
また、本発明の複合型光学素子は、上記の光学用組成物を光学基材の表面に載置した状態で硬化させて、光学基材と当該組成物の硬化物とを積層させることによって製造することができる。
この複合型光学素子は、光学基材と組成物の硬化物の界面が、球面、非球面、自由曲面あるいは回折面である複合型光学素子となる。
複合型光学素子に用いる光学基材としては、所望の形状に加工するときに欠け、表面変色、失透やあるいは濁り等の問題が起きない通常の光学用ガラス、光学用樹脂あるいは透明セラミックスを用いることができる。光学用ガラスとしては、石英、BK7(SCHOOT)、BACD11(HOYA)、BAL42、LAH53(オハラ社)等を挙げることができる。光学用樹脂としては非晶質ポリオレフィンであるゼオネックス(日本ゼオン)、ARTON(JSR)、アペル(三井化学)等、アクリル樹脂であるアクリペット(三菱レイヨン)、デルペット(旭化成)等を挙げることができる。
光学基材の表面に本発明の材料組成物を塗布等により載置し、所望の形になるようにその上面に型を接触させる。この際に用いる型は、金属製でもガラス製でも良いが、光学基材の反対面から紫外線を照射して当該組成物を硬化させる場合は、ガラス製の型を用いる。また、金属製の型を用いた場合は、光学基材の側から紫外線を照射して組成物を硬化させる。
このような方法により、例えば、図2のような複合型光学素子を製造することができる。図2で示す複合型光学素子10は、光学基材11の表面に組成物の硬化物13が一体に形成されている。
以下、複合型光学素子の製造方法について説明する。
図3は、複合型光学素子の製造装置の一例を説明する図であり、光軸から左側は断面を示す。複合型光学素子の製造装置20は、支持枠(図示しない)、支持台21、受け部22および保持筒23を備えている。支持台21は、支持枠により支持されている。受け部22は筒状の形状であって、支持台21に取り付けられている。受け部22には、軸受け24が設けられている。
保持筒23は、この軸受24を介して受け部22に取り付けられており、保持筒23は、この軸受24の作用によって受け部22に対して回転自在になっている。また、保持筒23には、その内周上部に、光学基材11の外縁部を受ける環状の係合縁25が設けられている。また、保持筒23の下部には、プーリ26が一体に形成されている。
一方、支持台21の下側には、モータ27が固定されている。モータ27の駆動軸28には、プーリ29が取り付けられている。そして、プーリ29とプーリ26の間にベルト30が巻き掛けられている。これらにより、保持筒23を回転する回転機構を構成している。
なお、軸受24は、それぞれ押さえリング31、32によって固定されている。すなわち、押さえリング31は受け部22のねじ部22aに、また押さえリング32は、保持筒23のねじ部23aにそれぞれ螺合している。これにより、受け部22と保持筒23の間に、軸受24を固定することができる。
また、前記支持台21の上方には、支持手段35が設けられている。支持手段35は、上部金型3を上下動して、上部金型3を所望の位置に支持する支持手段35の支持柱36は支持台21の上面に固定されており、支持柱36にはシリンダ37が設けられている。
そして、シリンダ37にはシリンダロッド38が取り付けられている。さらに、シリンダロッド38の先端には、上部金型3が取り付けられている。
また、保持筒23の係合縁25に光学基材11を載置した状態で、光学基材11の光軸39と上部金型3の軸が一致するように、上部金型3が支持されている。
以上に説明した複合型光学素子の製造装置を使用した複合型光学素子の製造方法を説明する。
所望の光学特性を有するレンズからなる光学基材11を、保持筒23の係合縁25によって位置決めされるように載置する。なお、光学基材11の表面11aの組成物形成面には、組成物とガラス製の光学基材との密着性を向上させるためのカップリング処理を施しても良い。次いで、光学基材11の表面11aに、組成物12を吐出手段(図示しない)によって所要量吐出する。
次に、シリンダ35を作動させて、上型3を下降させて、上型3の光学面3aを、光学基材11の表面11aに吐出された光学用組成物12に当接させる。さらに下降を続けることで、組成物12は所定の形状に展延される。
所定の形状まで展延する前に、上型3の下降を停止させる。この状態で、モータ27を作動させて保持筒23を回転させることによって、光学基材11を少なくとも1回転させる。
図4は、組成物12の展延状態を示す図である。光学基材11の表面11aに載せられた組成物12に、光学基材11の光軸39と上型3の軸が一致するように上型3を押し当てて、光学基材11側を少なくとも1回転させる。このようにするとで、組成物12は光学基材11の表面11aと上型3との間の空間を均一に延びて組成物層が形成される。
その後、再びシリンダ37を作動させて、再び上型3を下降させる。そして、組成物12の層が所望の厚みと直径に達したところで(所定の形状となったところで)、上型3の下降を停止し、光学基材11の下側から紫外線照射装置(図示しない)にて紫外線を照射する。
その結果、上型3と光学基材11の間にある組成物が硬化し、組成物の硬化物13を光学基材11の表面11aに一体に形成することができる。このとき、組成物の硬化物13の表面には、上型3の光学面3aが転写された光学面が形成される。そして、組成物の硬化物13の表面から上型3の光学面3aから硬化物を離型することにより、所望の形状を有する複合型光学素子を得ることができる。
以下に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1
(材料組成物の調製)
重合性官能基を有する成分(B)メチルメタクリレート500g、重合開始剤である成分(C)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド10gを混合して30分間攪拌し、樹脂溶液を調製した。
次いで、表1に示すように、成分(B)との合計質量に対して、5,10,20質量%となるように平均粒径20nmのリンドープ酸化スズ粒子成分(A)を秤量し、先に調製した樹脂溶液にそれぞれ添加して、湿式ビーズミルを用いて溶液内に分散させ、濃度が異なる3種の組成物を調製した。
得られた3種の組成物に超音波を加えて分散状態を保持した。リンドープ酸化スズ粒子中のリンのスズに対する原子の比率は、0.09であった。
(硬化物の作製)
組成物を直径20mmで厚さ1mmの大きさに成形し、波長405nmにおける紫外線を照度100mW/cm2 で100秒間照射し、更に80℃で1時間加熱し、硬化物を作製した。
得られた硬化物について、屈折率、透過率を測定し、アッベ数νd、部分分散比θgFおよび異常分散性ΔθgFを以下の方法により求めた。その結果を表2に示す。
(1)屈折率の測定
上記1mm厚の硬化物のd線、C線、F線、g線における屈折率を精密屈折率計KPR−200(島津デバイス製造製)を用いて測定した。測定環境は20℃60%RHであった。
(2)アッベ数νdの算出
測定して得られたd線、C線、F線、g線に対する屈折率をそれぞれ、nd、nC、nF、ngとするとき、アッベ数νdは以下の式2から計算した。
νd=(nd−1)/(nF−nC)……式2
(3)部分分散比θgFの算出
測定して得られたd線、C線、F線、g線に対する屈折率をそれぞれ、nd、nC、nF、ngとするとき、部分分散比θgFは以下の式3から計算した。
θgF=(ng−nF)/(nF−nC)……式3
(4)異常分散性ΔθgFの算出
上記式2および式3により、それぞれの硬化物のアッベ数νd、部分分散比θgFをもとめ、横軸にアッベ数νd、縦軸に部分分散比θgFをとり、異常分散性を示さない正常な光学ガラスのうちF7(νd=60.5、θgF=0.547)およびK2(νd=36.3、θgF=0.583)を基準分散ガラスとして選び、これら2種類の光学ガラスの座標(νd、θgF)を直線で結び、この直線と比較する硬化物のθgFおよびνdを示す座標との縦座標の差(ΔθgF)を異常分散性とした。
すなわち、基準分散ガラス2種を結ぶ直線の関係は、アッベ数νd0と部分分散比θgF0とすると式4で示される。式2から求めた硬化物のアッベ数をνd、式3から求めた硬化物の部分分散比をθgFとすると、異常分散性ΔθgFは式5から計算した。
θgF0=−0.0149×νd0+0.637……式4
ΔθgF=θgF−θgF0
=θgF−(−0.0149×νd+0.637)……式5
(5)透明性の評価
上記1mm厚の硬化物の300nm〜800nmの透過率を分光光度計(日立ハイテクノロジーズ製 U−4100)を用いて測定した。500nmにおける透過率が70%以上であれば「良好」、それ未満の場合は「不良」とした。
(複合型光学素子の作製)
本発明の組成物とBK7(SCHOOT製)ガラスからなる基材を図3に示した成形装置を用いて、図2に示すような形状の複合型光学素子を作製した。いずれの場合でも波長400nmの紫外線を照度100mW/cm2の強度で100秒間照射し、硬化を行った。
本発明の組成物の粘度が高い場合、若しくは固体の場合、適宜50〜80℃の加温を行った。硬化後、80℃で1時間加熱して、図2に示す形状の複合型光学素子を作製した。
図2において、基材のガラスレンズは曲率半径R1=16mm、曲率半径R2=16mm、L1=10mm、L3=2.5mmである。この基材上に曲率半径R3=26mm、口径L2=7.5mm 、L4=1mmとなるように複合型光学素子を作製した。作製した複合型光学素子について、加工性を以下の方法で評価し、その結果を表2に示す。
実施例2
実施例1の重合性官能基を有する成分(B)を、下記構造式で示されるビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジメタクリレートとし、重合開始剤である成分(C)量を5gとした点を除き実施例1と同様にして光学用組成物の調製、及び複合型光学素子の作製を行った。また、これに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2011153185
実施例3
実施例1のリンドープ酸化スズ粒子成分(A)を平均粒径10nm、リンのスズに対して原子比で0.07のリンドープ酸化スズ粒子とし、重合開始剤である成分(C)量を2.5gとし、重合性官能基を有する成分(B)をアクリロイルオキシエチルカルバゾール417gとジメチロールトリシクロデカンジアクリレート83gとし、更に、ここにメチルエチルケトン500gを加えてビーズミルを用いて分散を行った後に減圧下にてメチルエチルケトンを除去し、硬化前に80℃で加熱攪拌した後、80℃に保ったまま硬化した以外は実施例1と同様にして光学用組成物の調製、及び複合型光学素子の作製を行った。また、これに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例4
実施例3の重合性官能基を有する成分(B)を1−アクリロキシ−4−メトキシナフタレン495gとジメチロールトリシクロデカンジアクリレート5gとした以外は実施例3と同様にして光学用組成物の調製、及び複合型光学素子の作製を行った。また、これに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例5
実施例3の重合開始剤である成分(C)量を5gとし、重合性官能基を有する成分(B)をメチルメタクリレート45gと9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン455gとし、加熱温度を60℃とした以外は実施例3と同様にして光学用組成物の調製、及び複合型光学素子の作製を行った。また、これに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例6
実施例3の重合開始剤である成分(C)量を25gとし、重合性官能基を有する成分(B)をN−アリルカルバゾール476gと2−フェニルフェニルアクリレート234gとし、加熱温度を60℃とした以外は実施例3と同様にして光学用組成物の調製、及び複合型光学素子の作製を行った。また、これに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
比較例1
実勢例5のリンドープ酸化スズ粒子成分(A)を平均粒径10nmの酸化スズ粒子とした以外は実施例5の(A)成分が10質量%の場合と同様にして1種の光学用組成物の調製、及び複合型光学素子の作製を行った。また、これに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
比較例2
実施例1のリンドープ酸化スズ粒子成分(A)を、成分(B)との合計質量に対して、30質量%となるようにした以外は実施例1と同様にして1種の光学用組成物の調製、及び複合型光学素子の作製を行った。また、これに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
表2に示すように本発明の各実施例の光学用組成物の硬化物の屈折率nd、アッベ数νdおよび異常分散性ΔθgFは、いずれも好ましい範囲に入っており、効果的に色収差の低減ができる異常分散性を有していることがわかった。
また、本発明の有機成分を配合した光学用組成物を用いた光学素子は、加工性、透明性も良好であった。一方、比較例1は色収差低減に効果があるだけの異常分散性が得られておらず、比較例2は着色及び加工性に問題がありレンズ材料としては実用性が悪いことがわかった。又、透明性が悪く屈折率を評価することができなかった。
Figure 2011153185
Figure 2011153185
本発明によれば、低い異常分散性を有しつつ、光学素子、特に複合素子として加工が容易で、実用上の透明性を備えた光学用の材料組成物を提供することができる。また、この材料組成物の硬化物を光学素子に用いた場合、加工性、耐性、透明性を有した光学素子を得ることが可能となる。
1…複合光学素子成形装置、2…金属製胴型、3A…上型、3B…下型、3A1…光学面、3B1…光学面、4…加熱手段、5…駆動棒、6…離型筒、7…注入口、8…排出口、9…成形室、10…複合光学素子、11…光学素子、11A…表面、12…材料組成物、13…硬化物、21…支持台、23…保持筒、25…係合縁、27…モータ、35…支持手段、36…支持柱、37…シリンダ

Claims (8)

  1. リンをドープした酸化スズ粒子(A)0.5質量%以上20質量%以下と、
    1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)80質量%以上、99質量%以下を含む材料組成物。
  2. 重合開始剤(C)を含む請求項1記載の材料組成物。
  3. 前記リンをドープした酸化スズ粒子(A)において、リンのスズに対する原子比が0.001〜0.3である請求項1または2に記載の材料組成物。
  4. 有機化合物(B)は、芳香環、ナフタレン環やアントラセン環から選ばれる縮合多環、フルオレン骨格、ビフェニル骨格から選ばれる骨格のうち少なくとも1つを有する化合物を1種以上含む有機化合物群である請求項1から3のいずれか1項に記載の材料組成物。
  5. 前記成分に加えて、さらにリン酸エステル型(メタ)アクリレート(D)を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の材料組成物。
  6. リンをドープした酸化スズ粒子(A)、1分子中に1個以上の重合性官能基を有する有機化合物(B)との材料組成物の硬化物において、d線での屈折率nd、アッベ数νdとしたとき、18≦νd≦55 かつ 1.50≦nd≦1.73である請求項1から5のいずれか1項に記載の材料組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の材料組成物の硬化物からなる光学素子。
  8. 光学基材と、前記光学基材の表面に積層された請求項1から6のいずれか1項に記載の材料組成物の硬化物と、を備えた複合光学素子。
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