JP4877093B2 - コンデンサ用リード端子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、コンデンサ素子に接続されるアルミニウム線に、錫を主体とした金属めっき層を形成した金属線をアーク溶接して構成されるコンデンサ用リード端子に関する。
従来、電子部品のリード端子においては、鉛めっき層を形成した銅被覆鋼線を、アルミニウム線にアーク溶接にて接合したものを用いている。しかしながら、鉛を含む銅被覆鋼線では、鉛は人体に有害であるばかりか自然環境に悪影響を与える物質であり、近年、環境保護の観点から、鉛を一切使用しない電子部品の開発が進められている。例えば、特許文献1に示すアルミ電解コンデンサのように、錫100%からなる錫めっきを施した銅被覆鋼線を、アルミニウム線の一端に設けた凹部に挿入してアーク溶接により接合している。このアルミ電解コンデンサでは、銅被覆鋼線とアルミニウム線との接合部に、銅被覆と錫めっきとアルミニウム線とが加熱されることで生成される銅と錫とアルミの合金層が形成されている。
しかしながら、この鉛を使用しない引き出しリード端子を用いたアルミ電解コンデンサにおいては、アルミニウム線と錫めっき銅被覆鋼線との接続部に生成された合金部から錫のウィスカが発生し、このウィスカの発生によって、最悪の場合には一対の引き出しリード端子間が短絡する恐れがあるという課題を有したものであった。このウィスカは直径が1μmに対して1mm以上の長さに達することがあり、このウィスカがコンデンサの電子部品を短絡させる虞があった。
そこで、本願発明者等は、上記の問題点を解決するため鋭意研究した結果、特許文献2に示すように、金属線の金属めっき層を機械的に除去し、この金属線の除去部とアルミニウム線とを当接させ、前記金属線とアルミニウム線との両者間に溶接電流を流すことにより溶接させることで、鉛を含まないコンデンサ用リード端子を製造でき、かつウィスカの発生を防ぐことができるコンデンサ用リード端子を発明した。
特開2000−124073号公報(第3頁、第1図) 特願2007−93957号公報
しかしながら、金属線の金属めっき層を除去することで、溶接部に錫が存在しないため、ウィスカの発生は低減されたものの、金属線とアルミニウム線との当接抵抗が高くなり、溶接不良が発生する場合があり、リード端子の信頼性を満足できるものではなかった。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、鉛を含まないコンデンサ用リード端子を製造でき、かつウィスカの発生を防ぐことができるとともに、信頼性の高いコンデンサ用リード端子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のコンデンサ用リード端子の製造方法は、
錫を主体とした金属めっき層を形成した金属線とアルミニウム線とを当接させ、前記金属線とアルミニウム線とをアーク溶接するコンデンサ用リード端子の製造方法において、前記金属線の一端より金属めっき層及び金属めっき層の無い非金属めっき層を連続して設け、前記金属線の金属めっき層とアルミニウム線とを当接させて溶接電流を流すとともに、前記非金属めっき層にてアーク溶接することを特徴としている。
この特徴によれば、金属線のアルミニウム線との当接部には、少なくともその一部に金属めっき層が存在するため、溶接時の金属線とアルミニウム線との接触抵抗が低く安定して電流を流すことができ、溶接不良を低減できる。また、金属線は、その一端より金属めっき層が無い非金属めっき層が連続して形成されているため、金属線とアルミニウム線との溶接部には、アルミニウムと錫を主体とした金属めっき層との混合層の割合は低く、ウィスカの発生が抑制されることとなる。金属線に金属めっき層を形成する際にマスキング等によって金属めっき層の無い非金属めっき層を設けてもよいし、金属線の全面に金属めっき層を形成し、機械的除去等の手段によって、金属めっき層の無い非金属めっき層を設けてもよい。特に機械的除去により、金属線は、その表面の金属めっき層が確実に除去されるため、溶接部における金属めっき層とアルミニウムとの混合層は形成されず、ウィスカの抑制に極めて効果的である。
また、前記金属線の一端に設けられた金属めっき層は、金属線の外周面に形成されていることを特徴としている。これによると、金属線の金属めっき層を容易に形成できる。
また、前記金属線とアルミニウム線との溶接部は、金属線の非金属めっき層を越えて形成されないことを特徴としている。これによると、溶接部の表面近傍には、金属線の金属めっき層との混合層が形成されず、ウィスカの抑制が可能となる。
また、前記金属線は、その先端に向かってテーパ面を形成したことを特徴としている。これによると、金属線をアルミニウム線へ圧入しやすい。
また、前記アルミニウム線の一端面に凹部を設け、該凹部内に金属線を当接させたことを特徴としている。これによると、凹部によって金属線をアルミニウム線に精度よく案内させることができ、溶接の安定化が図れる。
本発明に係るコンデンサ用リード端子を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1(a)は、金属線の表面に形成された錫めっき層の除去工程を示す断面図であり、図1(b)は、錫めっき層が除去された金属線を示す断面図であり、図2(a)及び(b)は、金属線とアルミニウム線との溶接工程を示す断面図である。
本実施例のコンデンサは、アルミニウムで形成された複数の電極箔をセパレータを介して積層したコンデンサ素子を、有低筒状の外装ケースに収納し、この外装ケースに形成された開口を封口体で密封するとともに、コンデンサ素子から導いたリード端子を封口体に貫通させて外部に導出させている。
リード端子は、コンデンサ素子に接続されるアルミニウム線5と、軟鋼線4を心材とする金属線1(CP線)とにより構成されている。図1(a)に示すように、金属線1は、軟鋼線4を心材としてその外周に金属材料としての銅を厚くめっきした銅覆層3を形成し、更にその外周に金属材料としての錫100%からなる錫めっき層2を形成したものである。この金属線1を構成する材質には、鉛が一切使用されていないとともに、アルミニウム線5やコンデンサ素子などを構成する材質にも、鉛が一切使用されておらず、本実施例におけるアルミ電解コンデンサは、鉛を含まずに自然環境に対する悪影響を与えない鉛フリーの電子部品となっている。
図1(a)に示すように、金属線1の先端部(一端)は、カッター8等の機械的手段によって、金属線1の表面の錫めっき層2が除去される。本実施例では、カッター8を錫めっき層2から銅覆層3の一部に達する深さまで押し込み、矢印方向にカッター8を移動させ、金属線1の先端近傍で止めることで、図1(b)に示すように、金属線1の先端近傍の外周面に錫めっき層2’を残して、金属線1の錫めっき層2及び銅覆層3を除去し、錫めっき層の無い非金属めっき層9を形成している。ここで銅覆層3も含めて除去し、表面に軟鋼線4を露出させることもできるが、銅覆線3を残すことで、後述のアルミニウム線5とのアーク溶接を精度良く行うことができる。このほか、研磨や研削等の手段で錫めっき層2を除去することもできる。この錫めっき層2の無い非金属めっき層9の範囲は、後述のアルミニウム線5との溶接部10に含まれないように、錫めっき層2を除去することが好ましい。なお、前記金属線1の錫めっき層2’は、先端近傍の外周面を残して除去しているがこれに限らず、一端の錫めっき層2を除去し、次工程にて錫めっき層2’を新たに設けることもできる。ここで、前記コンデンサ用リード端子におけるウィスカの発生部位は、金属線1とアルミニウム線5との溶接部10の表面付近であり、これは金属めっき層として用いられる錫とアルミニウムとが溶接時に混合し、溶接部10の表面付近の錫へ加わる応力によってウィスカが発生すると考えられる。このため、金属線1の先端部の錫めっき層2は確実に除去する必要があり、そのため機械的手段を用いているが、さらには、錫めっき層2に加えて銅覆層3の一部を含めて除去するとより効果的である。
次に、リード端子を製造する際のアルミニウム線5と金属線1との接続方法について説明する。まず、図2(a)に示すように、アルミニウム線5は、その一端に略円柱形状をなす丸棒部6が形成され、この丸棒部6が封口体から導出されて金属線1に接続されている。また、アルミニウム線5の他端には、略扁平形状をなす扁平部7が形成され、この扁平部7がコンデンサ素子の電極箔に接続されている。このアルミニウム線5をチャック固定し、金属線1を可動チャックに把持させてその錫めっき層2’を部分的に残した先端部を一定間隔で対向配置する。この場合、金属線1とアルミニウム線5との間には、アーク溶接装置が接続される。なお、固定チャックにてアルミニウム線5を保持し、可動チャックにて金属線1を保持しているが、固定チャックにて金属線1を保持し、可動チャックにてアルミニウム線5を保持することもできる。
次に、金属線1を可動チャックによってアルミニウム線5方向に移動させ、その先端部をアルミニウム線5の端面の所定位置に衝突させて端面と当接させる。ここで、金属線1の外周面に残された錫めっき層2’がアルミニウム線に当接され、この状態において、溶接装置を動作させると、金属線1とアルミニウム線5との間に溶接電流が流れ、特に前記外周面に残された錫めっき層2’を介して金属線1とアルミニウム線5が導通状態となり、アーク溶接電流が流れ始める。
このような溶接電流の通流開始から、金属線1の先端部をアルミニウム線5の端面から離し、両者間に間隔を設定すると、金属線1の先端部とアルミニウム線5の端面との間にアークが生じ、対向する金属線1及びアルミニウム線5の双方が部分的に溶融する。
この状態で、金属線1をアルミニウム線5の端面側に移動させて当接すると、溶融した金属間の融合が生じ、金属線1とアルミニウム線5の端面とが溶着する。溶融金属は表面張力によって球形化し、半球状の溶接部10が形成され、図2(b)に示すように、金属線1とアルミニウム線5とが一体化されたリード端子が形成される。この場合、溶接部10は、金属線1を構成する金属とアルミニウム線5を構成する金属との融合により合金層を形成している。この溶接部10には、金属線1の外周面に部分的に残された箇所を除き錫めっき層2は予め除去されているため、この溶接部10にはほとんど錫めっき層2が混在されないことになる。しかも、前記金属線1の外周面に部分的に残された錫めっき層2’は、溶接時にアルミニウム線5の内部に分散されるため、溶接部の表面近傍には錫めっき層2はなく、従って錫めっき層2とアルミニウムの混合層によるウィスカの発生は抑制される。
次に本実施例の変形例について図面に基づき説明する。図3(a)及び(b)は、本実施例の変形例に関する金属線1とアルミニウム線5との溶接工程を示す断面図である。
図3(a)に示すように、金属線1は、先端部(一端)に向かってテーパ面11が形成されている。このテーパ面11は、金属線1に形成された金属めっき層2及び銅覆層3を除去して非金属めっき層9を形成した後に金型等にて圧縮されて形成されるとともに、前記テーパ面11の先端には、錫めっき層2’が形成されている。これに対して、アルミニウム線5には、その金属線1との当接側の端面には、前記金属線1のテーパ面11に適合する収納空間を有する凹部12が設けられている。アルミニウム線5をチャック固定し、金属線1を可動チャックに把持させて錫めっき層2’を部分的に残した先端部を一定間隔で対向配置する。この場合、金属線1とアルミニウム線5との間には、アーク溶接装置が接続される。
次に、金属線1を可動チャックによってアルミニウム線5方向に移動させ、テーパ面11の先端部をアルミニウム線5に衝突させ、この際にアルミニウム線5の凹部12によって金属線1は所定位置に案内されて移動して金属線1とアルミニウム線5とが当接する。ここで、金属線1の外周面に残された錫めっき層2’がアルミニウム線に当接され、この状態において、溶接装置を動作させると、金属線1とアルミニウム線5との間に溶接電流が流れ、特に前記外周面に残された錫めっき層2’を介して金属線1とアルミニウム線5が導通状態となり、アーク溶接電流が流れ始める。その後、金属線1の先端部をアルミニウム線5の端面から離し、両者間に間隔を設定すると、金属線1の先端部とアルミニウム線5の端面との間にアークが生じ、対向する金属線1及びアルミニウム線5の双方が部分的に溶融する。
この状態で、金属線1をアルミニウム線5の端面側に移動させて当接すると、溶融した金属間の融合が生じ、金属線1とアルミニウム線5の端面とが溶着する。溶融金属は表面張力によって球形化し、半球状の溶接部10が形成され、図3(b)に示すように、金属線1とアルミニウム線5とが一体化されたリード端子が形成される。実施例と同様に、この溶接部10には、金属線1の外周面に部分的に残された箇所を除き、錫めっき層2は予め除去されているため、この溶接部10にはほとんど錫めっき層2が混在されないことになる。しかも、前記金属線1の外周面に部分的に残された錫めっき層2’は、溶接時にアルミニウム線5の内部に分散されるため、溶接部の表面近傍には錫めっき層2はなく、従って錫めっき層2とアルミニウムの混合層によるウィスカの発生は抑制される。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例では、金属線1の外周に錫100%からなる錫めっき層2が形成されているが、必ずしも100%の金属材料でめっき層を形成する必要はなく、例えば、錫にビスマス等の金属を添加した合金でめっき層を形成してもよい。
また、実施例では、金属線1の心材として、軟鋼線を用いているが、これ以外にも銅線を用いることができる。この場合は、この銅線(心材)からなる金属線1に錫めっき層2を直接形成することができる。
また、実施例では、金属線1の錫めっき層2をカッターにて部分的に残すように除去しているが、これに限らず、金属線1の錫めっき層2を除去した後、後から金属線1の先端側に(アルミニウム線5との当接側)に錫めっき層2’を形成してもよい。また錫めっき層2の除去手段として機械的手段を例示したが、これに限らず、溶剤による除去や、レーザ照射による除去等を用いることもできる。
(a)実施例の金属線の表面に形成された錫めっき層の除去工程を示す断面図であり、(b)は、錫めっき層が除去された金属線を示す断面図である。 (a)(b)実施例の金属線とアルミニウム線との溶接工程を示す断面図である。 (a)(b)変形例の金属線とアルミニウム線との溶接工程を示す断面図である。
符号の説明
1 金属線
2 錫めっき層
2’ 錫めっき層
3 銅被覆層
4 鋼線
5 アルミニウム線
6 丸棒部
7 扁平部
8 カッター
9 非金属めっき層
10 溶接部
11 テーパ面
12 凹部

Claims (5)

  1. 錫を主体とした金属めっき層を形成した金属線とアルミニウム線とを当接させ、前記金属線とアルミニウム線とをアーク溶接するコンデンサ用リード端子の製造方法において、
    前記金属線の一端より金属めっき層及び金属めっき層の無い非金属めっき層を連続して設け、前記金属線の金属めっき層とアルミニウム線とを当接させて溶接電流を流すとともに、前記非金属めっき層にてアーク溶接するコンデンサ用リード端子の製造方法。
  2. 前記金属線の一端に設けられた金属めっき層は、金属線の外周面に形成されている請求項1に記載のコンデンサ用リード端子の製造方法。
  3. 前記金属線とアルミニウム線との溶接部は、金属線の非金属めっき層を越えて形成されない請求項1又は2に記載のコンデンサ用リード端子の製造方法。
  4. 前記金属線は、その先端に向かってテーパ面を形成した請求項1ないし3いずれかに記載のコンデンサ用リード端子の製造方法。
  5. 前記アルミニウム線の一端面に凹部を設け、該凹部内に金属線を当接させた請求項1ないし4いずれかに記載のコンデンサ用リード端子の製造方法。

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