JP4868834B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
また、このような画像形成プロセスにおいては、トナー像を記録紙に転写する際に、感光体表面の帯電極性とは逆の極性を印加して転写する反転現像方式が採用されている。
この反転現像方式を用いた場合には、転写後の感光体表面に、帯電極性と逆極性の電位が感光体表面に残留する、いわゆる転写メモリが発生する場合が見られる。
この転写メモリは、後の除電手段において消去されるが、繰り返し使用したような場合には、除電手段で十分除去しきれなかった僅かな転写メモリが感光体内部に蓄積され、画像特性を低下させるという問題が生じていた。
また、帯電手段に接触帯電方式を採用した場合には、非接触帯電方式に比べて全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、対環境性に優れてはいるものの、帯電飽和領域が十分得られないといった理由から、生産性に優れた単層型電子写真感光体に適用することが難しいという問題も見られた。
また、転写メモリを消去するために、前帯電ローラから感光体表面に流れる電流量を増やしたような場合には、前帯電ローラと感光体表面との不均一な接触等に起因する異常放電が発生し、画像特性が低下するといった問題が見られた。特に、前帯電ローラとして導電性ブラシを用いた場合には、この導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維と、感光体表面との接触状態が安定せずに、グレー画像を印刷した際に、画像上にシロ筋が発生するといった問題が見られた。
すなわち、本発明の目的は、正帯電の単層型電子写真感光体において、前帯電部材として導電性ブラシを用いた場合であっても、導電性ブラシ繊維における感光体表面へのくい込み比を所定範囲内に規定することで、導電性ブラシ繊維の先端部の湾曲状態を規制して、グレー画像におけるシロ筋の発生を抑制できる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
また、図1において、実際のグレー画像にシロ筋が発生している様子を示す。このように観察されるシロ筋は、導電性ブラシを感光体軸方向にスラスト(往復運動)させた場合には、その動きに対応して波状に変化することから、導電性ブラシに起因して発生したものであることが理解できる。
また、導電性ブラシ繊維の毛足長さb(mm)と、最近接距離a(mm)と、の差(b−a)を所定の範囲内の値とすることにより、導電性ブラシと感光体表面との距離を絶対値として規定することができ、相対値として規定する場合と比べて、ブラシ繊維の毛先の湾曲状態を一様に制御することができる。
また、導電性ブラシ繊維における材料物質を、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とすることにより、導電性ブラシ繊維が適度な柔軟性を備えるため、感光体表面との接触を、より均一な状態とすることができるとともに、感光体表面の磨耗を少なくして、長寿命化に資することもできる。
また、導電性ブラシ繊維における原糸抵抗を所定の値とすることにより、導電性ブラシに印加する帯電電圧を所定範囲内に抑えることができ、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍での異常放電をさらに効果的に防止しつつ、転写メモリの消去を効果的に行うことができる。
このように構成することにより、各導電性ブラシ繊維における繊維方向を均一な状態に保持することが容易となり、導電性ブラシ繊維間の不均一な接触を抑制することができる。
したがって、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍における異常放電をより効果的に防止することができる。
このように構成することにより、優れた導電性、及び機械的強度を備えた導電性ブラシとすることができる。また、ステンレス板のように所定の強度を備えた材料であれば、導電性基材と感光体表面との最近接距離a(mm)を精度良く規定することができ、シロ筋の発生を効果的に抑制することができる。
このように構成することにより、より簡易な構成で、かつ対環境性にも優れた画像形成装置とすることができる。
このように構成することにより、所望の画像特性を維持したまま、前帯電手段が転写メモリを消去して、優れた除電効果を発揮することができる。
以下、本発明の画像形成装置に関する第1の実施形態を、適宜図面を参照しながら具体的に説明する。
図2に、本発明における画像形成装置の基本構成を示す。かかる画像形成装置10は、ドラム型の単層型電子写真感光体(以下、感光体と称する場合がある。)11を備えており、この感光体11の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、帯電手段12と、感光体表面に潜像を形成するための露光手段13と、この感光体表面に対してトナーを付着させて潜像現像する現像手段14と、このトナーを記録紙20上に転写するための転写手段15と、感光体表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置17と、転写手段により生じた転写メモリを消去するための前帯電手段2と、感光体表面の残留電位を除去するための除電手段18と、が順次配置されている。
また、帯電手段12には、帯電印加電圧を印加するための電源19が接続されている。この電源19は、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧とすることもできる。このとき、電源19の極性を帯電手段12側が正極になるように接続することで、かかる画像形成装置を正帯電型とすることができる。
また、転写手段15には、電源22が接続されている。この電源22は、直流成分(DC)を印加することができる電源であって、その極性は転写手段側が負極になるように接続されている。このように接続することで、かかる画像形成装置を反転現像式の画像形成装置とすることができる。
また、この反転現像方式を採用した場合には、正極に帯電した感光体表面が逆チャージすることで、その表面に負電位の転写メモリが発生する。この転写メモリは、後の除電手段18により消去されることとなるが、この除電手段により十分消去しきれなかった場合には、帯電手段12による帯電均一性に影響を与え、帯電ムラとして画像特性を低下させる要因となる。
(1)基本的構成
次いで、転写メモリを消去する手段としての前帯電手段2について説明する。図2に示すように、前帯電手段2は、感光体11表面と直接接触する導電性ブラシ4と、この導電性ブラシに所定の電圧を印加する電源6とから構成されている。このとき、電源6は、導電性ブラシ4側が正極になるように接続してあり、転写手段15と逆極性が印加される構成となっている。
また、電源6は、その前帯電手段2の態様に合わせて、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、帯電飽和領域を広げて安定的な帯電特性を得るために、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧とすることもできる。
また、導電性ブラシ4は、主に、電源6と電気的に接続される導電性基材34と、この導電性基材34に固定される導電性ブラシ繊維31と、から構成される。すなわち、この導電性基材34は、導電性ブラシ4における板状電極として機能し、導電性ブラシ繊維31は、導電性基材34と感光体11表面とを電気的に接続するための導線として機能する。
次いで、本発明に用いられる導電性ブラシ4の、感光体11との位置関係について説明する。
図3は、導電性ブラシ4と感光体11との接触部分近傍の拡大断面図である。この図から理解できるように、導電性ブラシ4は、導電性ブラシ繊維31を介して感光体表面11と接触しており、導電性ブラシ繊維31の先端部分は、感光体11の回転方向に追従するように湾曲している。このような形状とすることにより、導電性ブラシ繊維31と感光体11とが、所定の接触抵抗を維持して電気的に接続され、帯電手段として機能することができる。
このように配置された導電性ブラシ4において、導電性ブラシ繊維31の先端部分の湾曲状態を規定する方法として、導電性基材34と感光体11との最近接距離をa(mm)、導電性ブラシ繊維の毛足長さをb(mm)とした場合に、導電性ブラシ繊維における感光体表面へのくい込み比(K)を関係式(1)のように定義することができる。
この関係式(1)において、(b−a)は、図4に示すように、感光体11表面に導電性ブラシ繊維31の先端部分がくい込んだ状態を仮想した場合、感光体11表面内部にくい込んでいる量(以下くい込み量という)と理解することができる。
したがって、関係式(1)は、導電性ブラシ繊維31の毛足長さb(mm)に対する、くい込み量(b−a)(mm)の割合を示す値であると理解できる。
この理由は、くい込み比(K)を所定範囲内の値に規定することで、図3にしめすように、感光体11表面近傍における導電性ブラシ繊維31の湾曲状態を規定することができ、導電性ブラシ繊維31と感光体11との間に発生する異常放電を抑制することができるためである。
ここで、図5を参照して、くい込み比(K)と、画像特性と、の関係について説明する。
図5は、導電性ブラシ繊維におけるくい込み比(K)と、そのような導電性ブラシ繊維を用いて画像形成した際に得られた画質と、の関係を示す特性図である。
この特性図は、横軸に、くい込み比(K)を採り、縦軸に、画像特性の指標であるグレー画像におけるシロ筋の発生本数を採って示してある。また、図中の白丸及び黒丸は、それぞれ、毛足長さ5(mm)及び3(mm)の導電性ブラシ繊維を用いたときの結果を示してある。
かかる特性図から理解できるように、くい込み比(K)の値が小さくなるほど、シロ筋
の発生本数が減少して、画像特性が向上していると言える。
これは、くい込み比(K)が大きくなると、図6(a)に示すように、導電性ブラシ繊維31の湾曲部分において、感光体11と直接接触していない湾曲部分31a´が増加し、導電性ブラシ繊維31と感光体11との間の異常放電の発生確率を高めているためと考えられる。
また、逆に図6(b)に示すように、くい込み比(K)を小さくしすぎると、導電性ブラシ繊維の加工精度によっては、先端部分において、部分的に接触していない領域が形成される場合があり、十分な帯電効果を得ることができない場合がある。
したがって、かかるくい込み比(K)の値としては、0.05〜0.25の範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜0.2の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、上述したように、くい込み量としての(b−a)(mm)を、所定範囲内の値とすることにより、図3における湾曲部分31aの湾曲状態を、一様に規定することができ、異常放電の発生を効果的に抑制することができるためである。
したがって、かかる湾曲状態を規定するにあたり、上述したくい込み比による規定に加えて、絶対量としてくい込み量を規定することにより、例えば、導電性ブラシ繊維の毛足長さが過度に長くなったような場合であっても、湾曲状態を所定範囲内に制御することができる。
この理由は、かかる毛足長さを2〜7(mm)の範囲内の値とすることによって、感光体表面と接触した際の導電性ブラシ繊維の湾曲状態を所定範囲内に規定することができ、導電性ブラシと感光体との間の異常放電を効果的に防止することができるためである。
また、かかる毛足長さが2(mm)未満となった場合には、感光体のドラム径によっては、導電性ブラシの端部において、非接触領域が形成され、異常放電の発生原因となり得る。また逆に、7(mm)を超えたような場合には、導電性ブラシ繊維の湾曲部分が過度に長くなり、やはり異常放電の発生原因となり得る。
したがって、導電性ブラシ繊維における毛足長さとしては、3〜6(mm)の範囲内の値とすることがより好ましく、4〜5(mm)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明に用いられる導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維の材料を、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とすることを特徴とする。
この理由は、かかる組成の導電性ブラシ繊維であれば、適度な柔軟性を備えるため、感光体表面との接触を、より均一な状態とすることができるとともに、感光体表面の磨耗を少なくし、長寿命化に資することもできるためである。
また、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を調整するにあたり、カーボン等の導電性粒子の添加量を調整することにより、容易にその導電性を制御することができるためである。
この理由は、このような範囲内の値とすることにより、導電性ブラシ繊維と感光体との接触面積を所定値以上とすることができ、異常放電の発生を効果的に防止することができるためである。また、ブラシ繊維の原糸抵抗の値を、かかる単糸繊度の値を用いて制御することができ、より精度良くブラシ繊維の抵抗値を制御することができるためである。
この理由は、このような範囲内の値とすることにより、導電性ブラシ繊維相互の接触状態を規定することができ、導電性ブラシ繊維間における不均一な接触から生じる異常放電を防止できるためである。
また、図3に示すように、導電性ブラシ繊維31は、導電性繊維からなる導電性織布32に対して縫い込んであることが好ましい。
この理由は、かかる導電性織布32に対して導電性ブラシ繊維31を縫い込んで導電性ブラシ4を形成することで、導電性ブラシ繊維31の密度、繊維方向等が均一となり、導電性ブラシ繊維間における不均一な接触から生じる異常放電を、更に効果的に防止することができるためである。
また、本発明に係る導電性基材としては、導電性、及び十分な機械的強度を有するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ステンレス、銅、及びアルミニウム等の金属板を用いることが好ましく、特にステンレス板が好ましい。
この理由は、ステンレス板であれば、導電性、及び機械的強度において特に優れるため、導電性ブラシの変形を防止するとともに、均一で効率的な前帯電を可能とするためである。
また、導電性基材と導電性ブラシ繊維間での固定方法は、相互間における導電性を保持しつつ、相互を強固に固定できる方法であれば特に制限されるものではないが、例えば、図3に示すように、導電性樹脂組成物を含む導電性両面テープ、及び導電性接着剤等33を使用することが好ましい。
この理由は、かかる導電性樹脂組成物を含んだ導電性両面テープ、及び導電性接着剤等33を用いることによって、優れた導電性を発揮しつつ、導電性基材34と導電性ブラシ繊維31間において、実用上問題ない程度に強固な接着が可能となるからである。また、導電性基材34と導電性ブラシ繊維31とを相互に固定する作業が、非常に容易になり、製造効率が向上するためである。
また、導電性ブラシの形状を棒状とすることを特徴とする。
また、この導電性ブラシは、可動式であることが好ましい。この理由は、例えば、電子写真感光体の動径方向に移動させた場合には、導電性部材と感光体表面との押圧力を調整することができ、帯電特性の制御が容易となるためである。
このとき、導電性部材の感光体表面に対する押圧力としては、0.1〜100(kgf/cm2)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、この導電性ブラシを、着脱式とすることも好ましい。
この理由は、部材交換を容易にするためである。更に、転写手段での印加電圧が小さい場合や、感光体として積層型感光体を用いた場合など、比較的転写メモリの発生が少ない構成へと仕様変更するような場合に、容易に対応できるためである。
また、前帯電手段2において、電源6を用いて導電性部材4に所定の電圧を印加することにより、転写手段によって発生した転写メモリを消去することができる。
このとき、前帯電手段2に適用される印加条件としては、導電性部材4から感光体11に流れる電流の電流密度(Ib)を700(μA/m2)以上の値とすることができる。
ここで、図7に、感光体として正帯電の単層型電子写真感光体を用いた場合の、導電性部材から注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を表す特性図を示す。
この図7において、横軸は、導電性部材から注入される電流の電流密度(Ib)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、縦軸においては、上側にいく程、前帯電手段により転写メモリが消去されていることを意味し、下側にいく程、前帯電手段による転写メモリの消去が不十分であることを意味している。
また、図7中の曲線(A)〜(D)は、導電性部材として、それぞれ原糸抵抗の異なる導電性ブラシを用いたときの特性曲線である。より具体的には、順に1×1012.5(Ω・cm)、1×1010.5(Ω・cm)、1×108.5(Ω・cm)、1×106.5(Ω・cm)の時の曲線を表している。
また、本発明において、転写メモリ電位(Vt)とは、連続印刷を実施した場合の、現像位置における感光体表面の表面電位の変化量として定義される。
より具体的には、感光体を連続的に回転させて白紙画像を印刷した場合に、第1周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V1)とし、第3周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V3)とした場合に、(V1)−(V3)で表される値として定義される。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、かかる電流密度(Ib)の範囲としては、700〜2000(μA/m2)の範囲内の値とすることが好ましく、1000〜1500(μA/m2)の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明において電流密度とは、電流値を1秒間当たりの印加面積で割ったものを意味している。すなわち、電流値I(A)の電流が、軸長L(mm)、外周速度D(mm/sec)で回転している感光体へ流れている場合、電流密度は、I/(L×D)(μA/m2)で表すことができる。
この特性図において、横軸は、導電性部材への印加電圧(Vb)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、図8は、図7における電流密度(Ib)を、特性曲線(A)〜(D)のそれぞれの原糸抵抗の値を用いて電圧に換算したものに相当する。
この図8から理解できるように、導電性ブラシの原糸抵抗の値が高いほど、転写メモリを消去するために高い電圧を印加する必要があると言える。特に、同じ印加電圧で比較した場合には、導電性ブラシの原糸抵抗が1×1011(Ω・cm)を超えると、転写メモリ電位の消去が著しく不十分になることが分かる。
したがって、本発明ではこの導電性ブラシの原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下とすることを特徴とする。その一方で、導電性ブラシの原糸抵抗が過度に低くなった場合には、摩擦帯電が十分に為されずに、転写メモリを十分消去しきれない場合が生じるため、原糸抵抗の値の範囲としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましく、1×105〜1×109(Ω・cm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
その一方で、かかる印加電圧(Vb)を過度に上げた場合には、導電性ブラシと感光体との間で異常放電が発生し、帯電特性に悪影響を与える場合がある。
したがって、かかる印加電圧(Vb)を、1100〜3000(V)の範囲内の値とすることが好ましく、1100〜2000(V)の範囲内の値とすることがより好ましい。
ここで、図9に、導電性部材として所定の原糸抵抗を有する導電性ブラシを用いたときの、導電性部材から注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を、転写手段15から注入される電流の電流密度(It)毎に表した特性図を示す。また、図9中の曲線(E)〜(G)は、転写手段から注入される電流の電流密度(It)が、順に、−395(μA/m2)、−316(μA/m2)、−237(μA/m2)のときの特性曲線を表している。
また、図10には、図9における横軸を、|Ib/It|に換算した特性図を示す。
これらの特性図から理解できるように、転写手段から注入される電流の電流密度(It)の絶対値が大きいほど、転写メモリ電位(Vt)は高く、更にいえば、|Ib/It|で表される値を2以上とした場合に、転写メモリ電位(Vt)は十分下がることが分かる。
すなわち、特性曲線(E)においては、導電性部材から注入される電流の電流密度(Ib)の絶対値が790以上のときに、転写メモリ電位が下がっている。また、特性曲線(F)においてはIbの絶対値が632以上、特性曲線(G)においてはIbの絶対値が474以上で、それぞれ転写メモリが十分消去されていることが分かる。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、|Ib/It|で表される値を2.5〜8.0の範囲内の値とすることが好ましく、3.0〜6.0の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明において、感光体表面を所定電位に帯電させるための帯電手段を、接触帯電式の帯電手段とすることが好ましい。
この理由は、帯電手段として、コロナ帯電のような非接触帯電式を採用した場合に比べて、小型であるとともに、コロナ帯電の際に発生するオゾン等の有害物質を発生させることもなく、対環境性に優れているためである。
その一方で、感光体表面の摩耗や帯電均一性などの点で、非接触帯電式に及ばない点はあるが、本発明においては、前帯電手段を所定条件下で動作させるとともに、接触部材として所定の導電性部材を用いることにより、画像特性を低下させることなく、用いることができる。
また、この帯電手段による単層型電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることが好ましい。
この理由は、初期帯電電位を所定値以上に上げることで、転写手段において発生する転写メモリ電位は上昇するものの、本発明における除電効果に優れた画像形成装置に適用することにより、画像ムラを抑制したまま、所望の画像濃度を得ることができる。
より具体的には、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)等の半導電性を有する極性ゴム(イオン導電系ゴム)や、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等にイオン導電剤を添加して半導電性を付与したイオン導電系ゴム等を用いる事ができる。このとき、体積固有抵抗としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、前帯電手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、単層型電子写真感光体は、帯電手段によりプラス極性に帯電され、前帯電手段が、転写手段により生じた転写メモリを消去するための前帯電手段であって、導電性基材と、導電性ブラシ繊維と、から構成される導電性ブラシを備え、導電性基材と単層型電子写真感光体表面との距離をa(mm)とし、導電性ブラシ繊維の毛足長さをb(mm)とした場合に、導電性ブラシ繊維における感光体表面へのくい込み比(K)が、下記関係式(1)を満足し、かつ、導電性ブラシ繊維の毛足長さb(mm)と、最近接距離a(mm)と、の差(b−a)を0.01〜0.90(mm)の範囲内の値とし、導電性ブラシ繊維における材料物質を、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とし、単糸繊度を6(デニール)以上の値とし、繊維密度を180(kF/inch 2 )以下の値とし、原糸抵抗を1×10 11 (Ω・cm)以下の値とし、導電性ブラシの形状を、棒状とし、前帯電手段への印加電圧を直流電圧で1000〜2000(V)の範囲内の値とし、前帯電手段および帯電手段に対し電圧を印加するための電源が、それぞれ別個に設けられており、かつ、定着器によって、記録材上に転写されたトナー像を加熱および加圧処理することを特徴とする画像形成方法である。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ここで、図2は、画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、以下、その動作について、順を追って説明する。
まず、画像形成装置10の感光体11を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段12によって所定電位に帯電させる。
次いで、露光手段13により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体11の表面を露光する。この露光により、感光体11の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段14により潜像現像が行われる。この現像手段14の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体11表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙20は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体11と転写手段15との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材20上にトナー像を転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体11はそのまま回転を続け、転写時に記録紙20に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、本発明のクリーニング装置17によって除去される。また、感光体11の表面に残留した電荷は、前帯電手段2により消去されるとともに、除電器18からの除電光の照射によって完全に消去され、次の画像形成に供されることになる。
従って、本発明の画像形成装置を用いることで、前帯電手段から感光体表面に流れる電流の電流密度を所定範囲内に規定することにより、転写メモリを消去して、優れた除電効果を発揮することができる。
1.電子写真感光体の作成
電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニン2.7重量部と、正孔輸送剤としてスチルベンアミン化合物50重量部と、電子輸送剤としてアゾキノン系化合物35重量部と、結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂100重量部と、テトラヒドロフラン700重量部と、を攪拌容器内に収容した後、ボールミルで50時間混合分散し、塗布液を作成した。次いで、得られた塗布液を、アルマイト処理されたアルミニウム素管からなる導電性支持体上にディップコート法にて塗布した後、130℃、45分間の条件で熱風乾燥し、膜厚30μm、直径30mmの単層型電子写真感光体を得た。
また、導電性部材として、導電性ナイロンブラシ(単糸繊度6.2(デニール)、毛足長さ3mm、原糸抵抗1×108.5(Ω・cm))を用いた。
(1)シロ筋発生評価
得られた感光体を、京セラミタ(株)製プリンタKM1500改造機に搭載するとともに、導電性部材を感光体表面に対してニップ幅5mm、くい込み比0.06[くい込み量(導電性ブラシ繊維の毛足長さb(mm)と感光体表面との最近接距離a(mm)との差(b−a):0.18(mm)]となるように圧接固定させた。
次いで、感光体を外周速度110(mm/sec)の周速で回転させた。更に、この感光体表面と導電性部材との間に1200(V)の直流電圧を印加して、感光体表面を約400(V)に帯電させた。
次いで、転写手段と感光体表面との間に直流電圧を印加させて、転写手段から注入される電流の電流密度(It)を、−237(μA/m2)(電流値換算:−6(μA))、となるように調整した。
次いで、前帯電手段に1000(V)の電圧を印加して、記録紙を通紙してグレー画像を印刷し、得られたグレー画像に対して、ドラム軸方向10(cm)あたりのシロ筋の発生本数を計測し、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
○:シロ筋は全く発生していない。
△:シロ筋の発生本数が1(本)以下の値である。
×:シロ筋の発生本数が2(本)以上の値である。
また、上述したシロ筋発生評価における実施条件と同条件でグレー画像を印刷した際の転写メモリ電位を測定し、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
○:転写メモリ電位(V)の絶対値が5未満の値である。
△:転写メモリ電位(V)の絶対値が5以上8未満の値である。
×:転写メモリ電位(V)の絶対値が8以上の値である。
実施例2〜5では、くい込み比を0.12〜0.30に変更した以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例1、2では、くい込み比を0.36及び0.42に変更した以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性部ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例6、実施例7〜10および参考例11〜13では、毛足長さを5(mm)とするとともに、くい込み比を0.032〜0.284に変更した以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例3〜5では、毛足長さを5(mm)とするとともに、くい込み比を0.320〜0.428に変更した以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性部材を作成して評価した。得られた結果を表2に示す。
また、比較例1〜5においては、くい込み比の値が高すぎることから、導電性ブラシ繊維と感光体表面との間で異常放電が発生し、シロ筋が発生するとともに、転写メモリ電位も高く、画像特性が低下していた。
したがって、本発明の画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法は、画像形成装置の高画質化、低消費電力化及び小型化等に寄与することが期待される。
Claims (6)
- 単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、前帯電手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置において、
前記帯電手段は、前記単層型電子写真感光体表面をプラス極性に帯電させる帯電手段であり、
前記前帯電手段が、前記転写手段により生じた転写メモリを消去するための前帯電手段であって、導電性基材と、導電性ブラシ繊維と、から構成される導電性ブラシを備えるとともに、
前記導電性基材と前記単層型電子写真感光体表面との最近接距離をa(mm)とし、前記導電性ブラシ繊維の毛足長さをb(mm)とした場合に、前記導電性ブラシ繊維における感光体表面へのくい込み比(K)が、下記関係式(1)を満足し、
前記導電性ブラシ繊維の毛足長さb(mm)と、前記最近接距離a(mm)と、の差(b−a)を0.01〜0.90(mm)の範囲内の値とし、
前記導電性ブラシ繊維における材料物質を、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とし、単糸繊度を6(デニール)以上の値とし、繊維密度を180(kF/inch 2 )以下の値とし、原糸抵抗を1×10 11 (Ω・cm)以下の値とし、
前記導電性ブラシの形状を、棒状とし、
前記前帯電手段への印加電圧を直流電圧で1000〜2000(V)の範囲内の値とし、
前記前帯電手段および前記帯電手段に対し電圧を印加するための電源が、それぞれ別個に設けられており、かつ、
定着器によって、記録材上に転写されたトナー像を加熱および加圧処理することを特徴とする画像形成装置。
- 前記導電性ブラシ繊維が、導電性織布に縫い込まれており、かつ、当該ブラシ繊維が縫い込まれた導電性織布が導電性基材に固定されていることを特徴する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記導電性基材としてステンレス板を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段を、接触帯電式の帯電手段とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段による前記単層型電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 単層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、前帯電手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、
前記単層型電子写真感光体は、前記帯電手段によりプラス極性に帯電され、
前記前帯電手段が、前記転写手段により生じた転写メモリを消去するための前帯電手段であって、導電性基材と、導電性ブラシ繊維と、から構成される導電性ブラシを備え、
前記導電性基材と前記単層型電子写真感光体表面との距離をa(mm)とし、前記導電性ブラシ繊維の毛足長さをb(mm)とした場合に、導電性ブラシ繊維における感光体表面へのくい込み比(K)が、下記関係式(1)を満足し、かつ、
前記導電性ブラシ繊維の毛足長さb(mm)と、前記最近接距離a(mm)と、の差(b−a)を0.01〜0.90(mm)の範囲内の値とし、
前記導電性ブラシ繊維における材料物質を、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とし、単糸繊度を6(デニール)以上の値とし、繊維密度を180(kF/inch 2 )以下の値とし、原糸抵抗を1×10 11 (Ω・cm)以下の値とし、
前記導電性ブラシの形状を、棒状とし、
前記前帯電手段への印加電圧を直流電圧で1000〜2000(V)の範囲内の値とし、
前記前帯電手段および前記帯電手段に対し電圧を印加するための電源が、それぞれ別個に設けられており、かつ、
定着器によって、記録材上に転写されたトナー像を加熱および加圧処理することを特徴とする画像形成方法。
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