JP4868185B2 - ダストカバー用固定金具 - Google Patents

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Description

本発明は、ダストカバーを装着箇所に固定すべくダストカバーに埋設される固定金具に関するものである。
図6に示すように、従来からボールジョイント51の揺動作動部を保護するためにダストカバー52が利用されており、このダストカバー52の一端固定部53には、このダストカバー52を装着の相手部品であるジョイントソケット54に固定するための固定金具55が埋設されている。
図7(A)に拡大して示すように、この固定金具55は、金属板のプレス加工により成形されたものであって、外径筒部56の軸方向一方(図では下方)の端部に曲げ部57を介して、ジョイントソケット54に対する嵌合代を設定するための円錐面状の内径歯58が一体成形されている(特許文献1参照)。
また図7(B)に示すように、この固定金具55は、ゴム状弾性体よりなるダストカバー52を成形型59により成形するときに成形型59内に挿入され、ダストカバー52の成形と同時にダストカバー52内に埋設される(インサート成形)。
また図7(A)に示したように、この固定金具55は、ダストカバー52に埋設された状態において外気露出面積を可及的に小さくすべくダストカバー52の端面52aよりも所定距離d軸方向に後退した位置に埋設されるので、図7(B)に示したように、当該固定金具55を成形型59内に挿入したときに当該固定金具55が所定の高さ位置に定置されるよう成形型59の内面には、固定金具高さ位置規定用のピン60が複数立設されている。したがって、固定金具55はこのピン60の上に載った状態でダストカバー52が成形されるので、成形後ダストカバー52を成形型59から取り出すと、ダストカバー52の端面52aにはピン60の抜け痕である凹み61が複数形成される。
しかしながら、上記従来技術には、以下の不都合がある。
すなわち、成形型59を使い込むことで、ピン60の先端は固定金具55と接触を繰り返して徐々に摩耗してゆき、出来上がる製品に固定金具埋設位置のバラツキを生じることになる。したがって、これを防止すべく成形型59のメンテナンスに多くの手間と時間と費用がかかる。成形型59にはピン60を立設する必要があることから、成形型59の製作費が増大する。
また、成形型59にピン60を立設してその上に固定金具55を載せる構造であると、ピン60の高さ分、ダストカバー固定部53の軸方向寸法Lが増大する。したがって、固定部53が取付スペースの制約を受けた際に軸方向寸法Lを調整する余裕がない。
特開平8−303447号公報(図1)
更にまた、他の従来技術として、下記特許文献2に、ダストカバーの固定金具の底面部を円周方向に波打つ形状としたものが開示されている。しかしながらこのような形状の固定金具をその底面部がダストカバーの軸方向一方の端面と軸方向同一位置になるようにダストカバー内に埋設すると、上記波打ち形状に伴う多数の放射状の直線が金属露出部としてダストカバーの軸方向一方の端面に表われる。したがってこの従来技術によると、ゴム表面に対する金属露出面積が大きくならざるを得ないことから、固定金具が腐食しやすい不都合がある。
実開昭54−118553号公報(図2)
本発明は以上の点に鑑みて、ダストカバーを成形する成形型から固定金具高さ位置規定手段であるピンを省略してその摩耗による製品形状のバラツキを抑えることができ、型メンテナンスを容易化することができ、型製作費を低減することができ、しかもダストカバー固定部の軸方向寸法を縮小することもできるダストカバー用固定金具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による固定金具は、ダストカバーを装着箇所に固定すべく前記ダストカバーに埋設される環状の固定金具であって、外径筒部の軸方向一方の端部に曲げ部を介して内径歯を一体成形してなる固定金具において、当該固定金具は、前記曲げ部の軸方向一方の端部が前記ダストカバーの軸方向一方の端面と軸方向同一位置になるように前記ダストカバーに埋設されるものであり、かつ前記曲げ部の軸方向一方の端部には、前記曲げ部を径方向に貫通する溝状の連通部が放射状に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項2による固定金具は、上記した請求項1記載のダストカバー用固定金具において、曲げ部の軸方向一方の端部に径方向に貫通するよう設けられた溝状の連通部は、前記曲げ部を厚み方向に貫通して前記曲げ部の内側端面にも開口していることを特徴とする。
本発明の固定金具は、外径筒部の軸方向一方の端部に曲げ部を介して内径歯を一体成形したものであって、更に、曲げ部の軸方向一方の端部がダストカバーの軸方向一方の端面と軸方向同一位置になるようにダストカバーに埋設されるものである。したがって、当該固定金具を埋設するダストカバーを成形する成形型からは、固定金具高さ位置規定用のピンが省略されることになる。
また、本発明の固定金具では、曲げ部の軸方向一方の端部に、曲げ部を径方向に貫通する溝状の連通部が放射状に設けられているために、この溝状の連通部を介してダストカバー成形時に固定金具の外径側のゴム(ダストカバー成形材料)と内径側のゴムとが互いに連結される。したがって、成形型からピンが省略されても、固定金具の軸方向一方の端面側にゴムが回り込む構造が実現される。
また、このゴムの回り込みについては、請求項2に記載したように、曲げ部の軸方向一方の端部に設けられた溝状の連通部が径方向に貫通するほか、曲げ部を厚み方向に貫通して曲げ部の内側端面にも開口するように設定されると、固定金具周辺のゴムが3方向から連結される。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の請求項1による固定金具においては上記したように、当該固定金具が外径筒部の軸方向一方の端部に曲げ部を介して内径歯を一体成形したものであって、更に曲げ部の軸方向一方の端部がダストカバーの軸方向一方の端面と軸方向同一位置になるようにダストカバーに埋設されるために、当該固定金具を埋設するダストカバーを成形する成形型からは固定金具高さ位置規定用のピンが省略される。したがって、ピンの摩耗による製品形状のバラツキを抑えることができ、型メンテナンスを容易化することができ、型製作費を低減することができ、更にダストカバー固定部の軸方向寸法が縮小することができる。ダストカバー固定部の軸方向寸法が縮小すると、取付スペースの制約を受けた際の軸方向寸法の調整が容易化される。
また、曲げ部の軸方向一方の端部に、曲げ部を径方向に貫通する溝状の連通部が放射状に設けられているために、この溝状の連通部を介してダストカバー成形時に固定金具の外径側のゴムと内径側のゴムとが連結される。したがって、成形型からピンが省略されても、固定金具の軸方向一方の端面側にゴムが回り込む構造が実現されるために、ゴム(ダストカバー)と固定金具とが剥がれにくい。
また、固定金具の曲げ部に設けられる溝状の連通部は、金具曲げ加工時または金具の相手ハウジングへの圧入時におけるひずみの逃げ口として作用することが可能である。したがって、曲げ加工時または圧入時に金属素材に亀裂等が発生しにくいものとなる。圧入時については、締め代の自由度が広がることにもなる。
また、固定金具の曲げ部の軸方向一方の端部がダストカバーの軸方向一方の端面と軸方向同一位置になるようにダストカバーに埋設されることにより、曲げ部の軸方向一方の端部はダストカバーの軸方向一方の端面に表面露出することになる。この場合、曲げ部の軸方向一方の端部に上記溝状の連通部が設けられていなければ、固定金具は円形の線状に表面露出するが、本発明では、曲げ部の軸方向一方の端部に上記溝状の連通部が複数設けられていることから、固定金具は円周方向に断続的な円形の線状に表面露出することになる。したがってゴム表面に対する金属露出面積が小さくて済むことから、固定金具が腐食しにくい。
更にまた、請求項2に記載したように、曲げ部の軸方向一方の端部に径方向に貫通するよう設けられた溝状の連通部が曲げ部を厚み方向に貫通して曲げ部の内側端面にも開口するように設定されると、固定金具周辺のゴムが3方向、すなわち固定金具の外径側、内径側および内側端面側から互いに連結される。したがって、ゴムの連結強度が一層高められる。
本発明の実施例に係る固定金具の正面図 同固定金具の平面図 同固定金具の底面図 同固定金具の要部断面図であって、(A)は図2におけるA−A線拡大断面図、(B)は図2におけるB−B線拡大断面図 同固定金具をダストカバーに埋設した状態の断面図であって、(A)は図4(A)に対応する断面図、(B)は図4(B)に対応する断面図 従来例に係る固定金具の使用状態を示すボールジョイントの断面図 (A)は同固定金具をダストカバーに埋設した状態の断面図、(B)はダストカバーの成形工程を示す成形型の要部断面図
符号の説明
1 固定金具
2 ダストカバー
2a 端面
2b 内径面
3 固定部
4 外径筒部
5 曲げ部
5a 端部
5b 内側端面
6 内径歯
6a 内径縁
7 切欠部
8 連通部
8a 開口
尚、本発明には、以下の実施形態が含まれる。
構成・・・・
上記の課題の解決手段として、金属環(固定金具)の底部(折り曲げ部)に貫通孔(連通部)を等配に設ける。金属環は、板バネ作用によってソケットに対する嵌合代を持たせるため、その内周端が大径固定部の内周面に位置するが、成形の際にゴムの流動を阻止してしまわないように、金属環の内周には等配の切欠部を設けてゴムの流路を確保している。後記実施例では、貫通孔の位置・数が切欠部と一致しているが、必ずしも一致させる必要はなく、ゴム結合強度と金属環強度とのバランスを考えながら、貫通孔の大きさや数が適宜決定される。
効果・・・・
成形型のピンを廃止でき、型費用やメンテナンスにかかるコストを低減でき、バラツキのない安定した製品を供給することができる。従来の寸法d分を削減できるので、軸方向寸法の調整が容易となる。貫通孔を通してゴムが連結されているので、剥がれ等の問題が生じにくい。貫通孔を金属環曲げ部に設けることで、金属環曲げ加工時のひずみの逃げ口となり、曲げによる金属素材の亀裂等の防止の効果が期待できる。
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の実施例に係る固定金具1の正面図、図2は平面図、図3は底面図をそれぞれ示している。図4(A)は図2におけるA−A線拡大断面図、図4(B)はB−B線拡大断面図、図5(A)(B)は固定金具1をダストカバー2に埋設した状態の断面図をそれぞれ示している。
当該実施例に係る固定金具1は、ボールジョイント用ダストカバー2の一端固定部(大径固定部)3(いずれも図5)に、このダストカバー2を装着の相手部品であるジョイントソケット(図示せず、図6参照)に固定すべく埋設されるものであって、以下のように構成されている。
すなわち図1ないし図3に示すように、当該固定金具1は、金属板(環状平鋼板)のプレス加工によって成形されており、全体として環状を呈し、図4に示すように、外径筒部4を有し、この外径筒部4の軸方向一方(図では下方)の端部に曲げ部5を介して、ジョイントソケットに対する嵌合代を設定するための円錐面状の内径歯6が一体成形されている。したがって、固定金具1は全体としてその半裁断面を略「し」(shi)の字形もしくは「レ」(re)の字形に成形されており、図では曲げ部5が断面円弧形に形成されているので、固定金具1は全体として断面「し」(shi)の字形に成形されている。
また図5に示すように、固定金具1は、曲げ部5の軸方向一方の端部5aがダストカバー2の固定部3の軸方向一方の端面2aと軸方向に同一の位置になるようにダストカバー2の固定部3に埋設されるものである。したがって、当該固定金具1を埋設するダストカバーを成形する成形型(図示せず、図7参照)には固定金具高さ位置規定用のピンは設けられておらず、ピンは省略されている。
また、固定金具1は、内径歯6の内径縁6aがダストカバー2の固定部3の内径面2bと径方向に同一の位置になるようにダストカバー2の固定部3に埋設されるものである。したがって、固定金具1をダストカバー成形用の成形型内に配置してインサート成形を実施するときに内径歯6の内径縁6aが成形型のキャビティ内面に接触してダストカバー2成形材料であるゴムの流れを堰き止めてしまうことから、このゴムの流れを堰き止めることがないよう内径歯6の内径縁6aには、成形時にゴムの流路として作用する切欠部7が円周上に複数設けられている(図では16等配)。尚、この切欠部7には、ダストカバー2をジョイントソケットに嵌合するときに内径歯6を弾性変形し易くする作用もある。
曲げ部5の軸方向一方の端部5aには、この曲げ部5を径方向に貫通する溝状の連通部8が放射状に設けられており、すなわちこの連通部8は円周上に複数が設けられている(図では16等配)。
また、この連通部8をなす溝の深さは、曲げ部5における固定金具1の厚みよりも大きく設定されており、よって連通部8はそれぞれ、曲げ部5を厚み方向に貫通して曲げ部5の内側端面5bにも開口している。図ではこの開口を符号8aで示している。
上記構成の固定金具1は、図5に示したように、ダストカバー2の一端固定部3にインサート成形によって埋設され、ダストカバー2の装着時、内径歯6に設定される嵌合代によってダストカバー2の一端固定部3をジョイントソケットの外周段差部に固定するものであって、上記構成により以下の作用効果を奏する点に特徴を有している。
すなわち先ず、上記構成の固定金具1は、外径筒部4の軸方向一方の端部に曲げ部5を介して内径歯6を一体成形したものであって、更に曲げ部5の軸方向一方の端部5aがダストカバー2の軸方向一方の端面2aと軸方向同一位置になるようにダストカバー2に埋設されるものであり、よって当該固定金具1を埋設するダストカバー2を成形する成形型からは、固定金具高さ位置規定用のピンが省略されている。したがって、ピンの立設に伴う不都合をすべて未然に解消することができ、具体的には、ピンの摩耗による製品形状のバラツキを抑え、型メンテナンスを容易化し、型製作費を低減し、更にダストカバー固定部3の軸方向寸法Lを縮小することができる。ダストカバー固定部3の軸方向寸法Lが縮小されると、取付スペースの制約を受けた際にその増減の自由度が拡かることから、軸方向寸法Lの調整が容易化されることになる。
また、曲げ部5の軸方向一方の端部5aに、この曲げ部5を径方向に貫通する溝状の連通部8が放射状に設けられているために、この溝状の連通部8を介してダストカバー成形時に固定金具1の外径側のゴムと内径側のゴムとが互いに連結される。したがって、成形型からピンが省略されても、固定金具1の軸方向一方の端面側にゴムが回り込む構造が実現されるために、ゴム(ダストカバー)と固定金具とが剥がれにくい。ゴムは溝状の連通部8内に隙間なく充填されることになる。
また、固定金具1の曲げ部5に設けられる溝状の連通部8は、金具曲げ加工時におけるひずみの逃げ口として作用することが可能である。したがって、曲げ加工時に金属素材に亀裂等が発生しにくいものとなる。
また、固定金具1の曲げ部5の軸方向一方の端部5aがダストカバー2の軸方向一方の端面2aと軸方向同一位置になるようにダストカバー2に埋設されることにより、曲げ部5の軸方向一方の端部5aはダストカバー2の軸方向一方の端面2aに表面露出することになる。この場合、曲げ部5の軸方向一方の端部5aに上記溝状の連通部8が設けられていなければ、固定金具1は円形の線状に表面露出するが、当該実施例では、曲げ部5の軸方向一方の端部5aに上記溝状の連通部8が複数設けられていることから、固定金具1は円周方向に断続的な円形の線状に表面露出する。したがってゴム表面に対する金属露出面積が小さくて済むことから、固定金具1が腐食しにくいものとなる。
更にまた、曲げ部5の軸方向一方の端部5aに設けられた溝状の連通部8が径方向に貫通するほか、曲げ部5を厚み方向に貫通して曲げ部5の内側端面5bにも開口するよう設定されているために、固定金具1周辺のゴムは3方向(固定金具1の外径側、内径側および内側端面5b側)から互いに連結される。したがって、固定金具1を埋設保持するゴム連結構造の強度を一層高めることができる。
尚、上記実施例では、溝状の連通部8(開口8aを含む)は切欠部7と同じ数が設けられ、また切欠部7と円周上の位置を揃えるようにして設けられているが、連通部8の形成数や円周上の配置は必ずしも切欠部7と同じでなくても良い。これらの連通部8の形成数や円周上の配置はゴムの結合強度と固定金具1の強度とのバランスに考慮しながら、適宜決定されることになる。但し、連通部8と切欠部7の円周上の位置を揃えて配置した場合には、相手ハウジング(ジョイントソケット)への圧入時に固定金具1の内径歯6が拡径されても、連通部8がひずみの逃げ口として作用することから、曲げ部5が塑性変形しにくくなると云う作用効果がある。
また、切欠部7の有無にかかわらず、曲げ部5に溝状の連通部8(開口8aを含む)を設けることにより、相手ハウジング(ジョイントソケット)への圧入時に固定金具1の内径歯6が拡径されても連通部8がひずみの逃げ口として作用することから、曲げ部5が塑性変形しにくくなると云う作用効果がある。また、相手ハウジングの寸法精度が悪く、締め代が過大となるような場合であっても、曲げ部5が塑性変形することなく固定金具1を嵌合することができる(締め代の自由度が広がる)。

Claims (2)

  1. ダストカバー(2)を装着箇所に固定すべく前記ダストカバー(2)に埋設される環状の固定金具(1)であって、外径筒部(4)の軸方向一方の端部に曲げ部(5)を介して内径歯(6)を一体成形してなる固定金具(1)において、
    当該固定金具(1)は、前記曲げ部(5)の軸方向一方の端部(5a)が前記ダストカバー(2)の軸方向一方の端面(2a)と軸方向同一位置になるように前記ダストカバー(2)に埋設されるものであり、かつ前記曲げ部(5)の軸方向一方の端部(5a)には、前記曲げ部(5)を径方向に貫通する溝状の連通部(8)が放射状に設けられていることを特徴とするダストカバー用固定金具。
  2. 請求項1記載のダストカバー用固定金具において、
    曲げ部(5)の軸方向一方の端部(5a)に径方向に貫通するよう設けられた溝状の連通部(8)は、前記曲げ部(5)を厚み方向に貫通して前記曲げ部(5)の内側端面(5b)にも開口していることを特徴とするダストカバー用固定金具。
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