JP4867104B2 - 変速機のシフトアシスト装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された変速機の変速操作におけるシフト操作力を軽減するためのシフトアシスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
変速操作におけるシフト操作力が大きい大型のトラックやバスにおいては、シフト操作力を軽減するためのシフトアシスト装置を備えている。このような大型車両に装備するシフトアシスト装置は、その作動源として一般に圧縮空気が用いられている。作動源として圧縮空気を用いるシフトアシスト装置は、変速レバーに連結された変速操作機構を変速レバーのシフト動作と同方向に作動せしめる空気圧シリンダからなるシフトアクチュエータを具備している。しかるに、大型車両は一般にブレーキの作動源として圧縮空気を使用しているのでシフトアシスト装置にこの圧縮空気を利用することができるが、小型および中型車両のように圧縮空気源としてのコンプレッサーを具備していない車両においては空気圧シリンダからなるシフトアクチュエータを用いたシフトアシスト装置を装備することはできない。しかしながら、近年小型および中型車両にもシフトアシスト装置を装備する要望が高まり、電動モータからなるシフトアクチュエータを用いたシフトアシスト装置が提案されており、例えば特開平5ー87237号公報および特許第2987121号公報等に開示されている。このようなシフトアシスト装置は、変速レバーの第1のシフト方向および第2のシフト方向への作動に対応した信号を出力するシフト方向検出スイッチと、変速機とエンジンとの間に配設されたクラッチの断・接状態を検出するクラッチ状態検出手段と、シフト方向検出スイッチおよびクラッチ状態検出手段からの信号に基づいてシフトアクチュエータを変速レバーのシフト方向と同方向に作動制御するコントローラとを具備している。そして、オートクラッチ搭載車においては、コントローラはシフト方向検出スイッチにより変速レバーのシフト方向への作動を検出したらクラッチを断操作し、クラッチ状態検出手段がクラッチの断を確認してから変速レバーのシフト方向に対応してシフトアクチュエータを所定のアシスト力が得られるように作動する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上記従来のシフトアシスト制御は、クラッチの断を確認してから変速レバーのシフト方向に対応してシフトアクチュエータを作動するので、クラッチが断するまでの間はアシスト力が作用しないため、運転者には変速レバーによるシフト操作力が重く感じられる。
【0004】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、変速レバーによる変速操作を開始してからクラッチが断するまでの間においてもアシスト力を作用せしめることにより、クラッチが断するまでの間重く感じる操作力を軽減することができる変速機のシフトアシスト装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するために、
「変速レバーに連結され変速機の同期装置を作動せしめるシフト機構を、該変速レバーのシフト動作方向と同方向に作動せしめるためのシフトアクチュエータを備えた変速機のシフトアシスト装置において、
該変速レバーの第1のシフト方向および第2のシフト方向への作動に対応した信号を出力するシフト方向検出手段と、
該変速機とエンジンとの間に配設されたクラッチの断・接状態を検出するクラッチ状態検出手段と、
該シフト方向検出手段および該クラッチ状態検出手段からの信号に基づいて該シフトアクチュエータを制御するコントローラと、を具備し、
該コントローラは、該シフト方向検出手段が該変速レバーの第1のシフト方向または第2のシフト方向への作動を検出した場合には、該クラッチの断操作を実行し、さらに、
該クラッチ状態検出手段が該クラッチの断を検出したときは、第1のアシスト力で該シフトアクチュエータを作動させるとともに、該シフト方向検出手段が該変速レバーのシフト方向への作動を検出してから該クラッチ状態検出手段が該クラッチの断を検出するまでは、第1のアシスト力より小さい第2のアシスト力で該シフトアクチュエータを作動させる」
ことを特徴とする変速機のシフトアシスト装置が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された変速機のシフトアシスト装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0007】
図1には、本発明に従って構成された変速機のシフトアシスト装置を備えた変速機構の概略構成図が示されている。
図1に示す変速機構は、同期装置を備えた変速機2の変速操作を行う変速レバー3と、該変速レバー3に連結されたシフト機構6と、該シフト機構6を変速レバー3のシフト動作方向と同方向に作動せしめるためのシフトアシスト装置8を具備している。
【0008】
変速レバー3は、図1において紙面に垂直な方向(セレクト方向)および左右方向(シフト方向)に図示しない軸を中心として傾動可能に構成されている。この変速レバー3は、変速機2の同期装置を作動するために周知のH型変速パターンに沿って操作される。変速レバー3のノブ31にはシフトノブスイッチ4が配設されている。シフトノブスイッチ4は、変速レバー3のノブ31をシフト方向に傾動する際にその作動方向を検出するために第1のスイッチ41(SWI)と第2のスイッチ42(SW2)を備えている。このシフトノブスイッチ4は、例えば変速レバー3のノブ31を図1において左方(第1のシフト方向)に傾動すると第1のスイッチ41(SWI)がONし、変速レバー3を図1において右方(第2のシフト方向)に傾動すると第2のスイッチ42(SW2)がONするように構成されている。また、シフトノブスイッチ4は、変速レバー3のノブ31から手を放すと第1のスイッチ41(SW1)および第2のスイッチ42(SW2)ともOFFするように構成されており、このON・OFF信号を後述するコントローラに送る。このようにシフトノブスイッチ4は、変速レバー3の第1のシフト方向および第2のシフト方向への作動に対応した信号を出力するシフト方向検出手段として機能する。このようなシフトノブスイッチは、例えば実開昭56ー97133号公報に開示されているように周知技術であるため、更に詳細な説明については省略する。なお、シフト方向検出手段としては、変速レバー3に装着され変速レバー3に作用するシフト操作力を検出する歪みゲージ等からなるシフト操作力検出センサを用いてもよい。
【0009】
上記シフト機構6は、変速レバー3に一端が連結されたプッシュプルケーブル61と、該プッシュプルケーブル61の他端と一端部が連結されたコントロールレバー62と、該コントロールレバー62の他端部に連結されたコントロールロッド63とを具備し、該コントロールロッド63に図示しないシフトレバーが装着されている。なお、図示しないシフトレバーは、その先端部が変速機2の図示しない同期装置のクラッチスリーブと係合するシフトフォークを取り付けたシフトロッドに装着されたシフトブロックと選択的に係合するようになっている。
【0010】
図示の実施形態においては、上述したシフト機構6を変速レバー3のシフト動作方向と同方向に作動せしめるためのシフトアシスト装置8を具備している。シフトアシスト装置8は、シフトアクチュエータの動力源としての正転および逆転駆動可能な電動モータ81(M1)を備えている。この電動モータ81(M1)には減速機82が連結されており、減速機82の出力軸821に作動レバー83の一端部が装着されている。作動レバー83の他端部と上記コントロールレバー62が連結ロッド84によって連結されている。このように構成されたシフトアシスト装置8は、シフトアクチュエータを構成する電動モータ81(M1)を正転駆動すると作動レバー83を矢印83aで示す方向に作動し、連結ロッド84を介してコントロールレバー62を矢印62aで示す方向に作動してアシストする。一方、シフトアシスト装置8は、シフトアクチュエータを構成する電動モータ81(M1)を逆転駆動すると作動レバー83を矢印83bで示す方向に作動し、連結ロッド84を介してコントロールレバー62を矢印62bで示す方向に作動してアシストする。
【0011】
図示の実施形態におけるシフトアシスト装置8は、シフト機構のシフトストローク位置を検出するためのシフトストロークセンサー85(SS)を備えている。このシフトストロークセンサー85は上記コントロールレバー62とロッド86およびレバー87を介して連結され、コントロールレバー62の作動角によってシフトストローク位置を検出するポテンショメータからなっており、その検出信号をコントローラ10に送る。このシフトストロークセンサー85は、上記コントロールレバー62に装着された図示しないシフトレバーの作動位置、即ち該シフトレバーによって作動せしめられる変速機2の同期装置を構成するクラッチスリーブの作動位置を検出する。
【0012】
また、図示の実施形態におけるシフトアシスト装置8は、図示しないエンジンと変速機2との間に配設されるクラッチ9(CLT)を作動するクラッチアクチュエータ91の作動位置を検出するクラッチストロークセンサ92(CS)を備えている。このクラッチストロークセンサ92(CS)は、クラッチ9(CLT)の係合状態を検出するもので、従って、クラッチ9(CLT)の断・接状態を検出するクラッチ状態検出手段としても機能する。
【0013】
コントローラ10は、マイクロコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)101と、制御プログラムや後述するクラッチ接続速度制御マップ等を格納するリードオンリメモリ(ROM)102と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)103と、タイマー(T)104と、入力インターフェース105および出力インターフェース106とを備えている。このように構成されたコントローラ10の入力インターフェース105には、上記シフトノブスイッチ4を構成する第1のスイッチ41(SWI)と第2のスイッチ42(SW2)とシフトストロークセンサー85(SS)およびクラッチストロークセンサ92(CS)等の検出信号が入力される。一方、出力インターフェース106からは上記電動モータ81(M1)やクラッチアクチュエータ91等に制御信号を出力する。
【0014】
次に、変速操作時における上記コントローラ10のシフトアシスト制御について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、コントローラ10はステップS1において、上記シフトノブスイッチ4を構成する第1のスイッチ41(SW1)または第2のスイッチ42(SW2)がONされたか否か、即ち上記変速レバー3による変速操作が行われているか否かをチェックする。ステップS1において第1のスイッチ41(SW1)と第2のスイッチ42(SW2)がいずれもONされていない場合は、コントローラ10は変速レバー3による変速操作が行われていないので変速意思がないものと判断し、ステップS2に進んで電動モータ81(M1)を停止して終了する。
【0015】
ステップS1において第1のスイッチ41(SW1)または第2のスイッチ42(SW2)がONされているならば、コントローラ10は変速レバー3による変速操作が行われていると判断し、ステップS3に進んでクラッチ9(CLT)が断されたか否かをチェックする。なお、変速レバー3による変速操作が開始されると、コントローラ10はクラッチアクチュエータ91を作動してクラッチ9(CLT)の断操作を実行する。そして、コントローラ10はクラッチストロークセンサ92(CS)からの信号に基づいて、クラッチ9(CLT)の係合量が半クラッチより断側か否かをチェックする。ステップS3においてクラッチ9(CLT)が断されている場合には、コントローラ10はステップS4に進んで通常のシフトアシスト制御を実行する。
【0016】
ここで、通常のシフトアシスト制御について、簡単に説明する。
コントローラ10は第1のスイッチ41(SW1)と第2のスイッチ42(SW2)のどちらがONしているかを確認して、第1のスイッチ41(SW1)がONしている場合は電動モータ81(M1)の回転方向を正転に設定し、第2のスイッチ42(SW2)がONしている場合は電動モータ81(M1)の回転方向を逆転に設定する。そして、コントローラ10はシフトストロークセンサー85(SS)からのシフトストローク位置と上記第1のスイッチ41(SW1)と第2のスイッチ42(SW2)からの信号に基づいてギヤ抜き時かギヤイン時かを判定して、ギヤ抜き時には電動モータ81(M1)を例えば所定の電圧V2で駆動し、ギヤイン時には電動モータ81(M1)を例えば上記電圧V2より高い所定の電圧V3で駆動する。なお、電動モータ81(M1)に印加する電圧は、シフトストローク位置に対応して例えばギヤイン時における同期範囲を上記電圧V3より更に高い値に設定してもよい。また、変速レバー3に作用するシフト操作力を検出するシフト操作力検出センサを装備している場合には、シフト操作力に対応して電動モータ81(M1)に印加する電圧を設定してもよい。
【0017】
上記ステップS3においてクラッチ9(CLT)が断されていない場合、即ちクラッチ9(CLT)が接状態の場合には、コントローラ10はステップS5に進んで上記第1のスイッチ41(SW1)がONしているか否かをチェックする。第1のスイッチ41(SW1)がONしている場合には、コントローラ10はステップS6に進んで電動モータ81(M1)を上記電圧V2より低い所定の電圧V1で正転駆動する。一方、ステップS5において第1のスイッチ41(SW1)がONしていない場合には、コントローラ10は第2のスイッチ42(SW2)がONしていると判断し、ステップS7に進んで電動モータ81(M1)を所定の電圧V1で逆転駆動する。
このように、クラッチ9(CLT)が断されていない場合には変速レバー3のシフト方向に対応してシフトアクチュエータを構成する電動モータ81(M1)を通常のシフトアシスト制御時の上記電圧V2、V3より低い所定の電圧V1で駆動し、通常のシフトアシスト制御時のシフトアシスト力(第1のアシスト力)より小さいアシスト力(第2のアシスト力)でシフトアシストする。従って、変速レバーによる変速操作を開始してからクラッチが断するまでの間においても電動モータ81(M1)の駆動により軽くアシスト力を作用させることができるので、クラッチが断するまでの間重く感じる操作力が軽減される。
【0018】
以上、本発明を図示の実施形態の基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではない。例えば、図示の実施形態においてはシフトアクチュエータの駆動源として電動モータを用いた例を示したが、駆動源として電磁ソレノイドや流体シリンダを用いたシフトアクチュエータを備えたシフトアシスト装置に本発明を適用してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明による変速機のシフトアシスト装置は以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0020】
即ち、本発明によれば、変速レバーによる変速操作を開始してからクラッチが断するまでの間においてもシフトアクチュエータを通常のシフトアシスト制御におけるアシスト力より小さいアシスト力となるように作動するので、クラッチが断するまでの間重く感じる操作力が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された変速機のシフトアシスト装置を備えた変速機構の概略構成図。
【図2】本発明に従って構成された変速機のシフトアシスト装置を構成するコントローラのシフトアシスト制御の動作手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
2:変速機
3:変速レバー
31:変速レバーのノブ
4:シフトノブスイッチ
41:第1のスイッチ(SWI)
42:第2のスイッチ(SW2)
6:シフト機構
61:プッシュプルケーブル
62:コントロールレバー
63:コントロールロッド
8:シフトアシスト装置
81:電動モータ(M1)
82:減速機
83:作動レバー
84:連結ロッド
85:シフトストロークセンサー(SS)
9:クラッチ(CLT)
91:クラッチアクチュエータ
92:クラッチストロークセンサ(CS)
10:コントローラ

Claims (1)

  1. 変速レバーに連結され変速機の同期装置を作動せしめるシフト機構を、該変速レバーのシフト動作方向と同方向に作動せしめるためのシフトアクチュエータを備えた変速機のシフトアシスト装置において、
    該変速レバーの第1のシフト方向および第2のシフト方向への作動に対応した信号を出力するシフト方向検出手段と、
    該変速機とエンジンとの間に配設されたクラッチの断・接状態を検出するクラッチ状態検出手段と、
    該シフト方向検出手段および該クラッチ状態検出手段からの信号に基づいて該シフトアクチュエータを制御するコントローラと、を具備し、
    該コントローラは、該シフト方向検出手段が該変速レバーの第1のシフト方向または第2のシフト方向への作動を検出した場合には、該クラッチの断操作を実行し、さらに、
    該クラッチ状態検出手段が該クラッチの断を検出したときは、第1のアシスト力で該シフトアクチュエータを作動させるとともに、該シフト方向検出手段が該変速レバーのシフト方向への作動を検出してから該クラッチ状態検出手段が該クラッチの断を検出するまでは、第1のアシスト力より小さい第2のアシスト力で該シフトアクチュエータを作動させることを特徴とする変速機のシフトアシスト装置。
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