JP4866758B2 - 不燃シート又は不燃成形体 - Google Patents
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Description
更に珪酸カルシウムの他に含水無機化合物を使用する場合には、含水無機化合物の量に特に制限はないが、用途に応じて特に低密度および軽量性に着目する場合には、珪酸カルシウムの量を多くしそして含水無機化合物の量を比較的に少なくする方が、製造される不燃シート又は不燃成形体の低密度および軽量性が卓越していることが判っている。従って、珪酸カルシウムの他に含水無機化合物を併用する場合、特に低密度および軽量性を重要とする用途分野のためには、含水無機化合物の量が60質量%(固形分)以下、なかでも55質量%(固形分)以下であるのが有利である。
本発明の不燃シートまたは不燃成形体の坪量は特に限定するものではないが、本発明の不燃シートまたは不燃成形体を壁材あるいは天井材等の主構成材として適用する場合、坪量は500g/m2以上が好ましく、800g/m2以上がより好ましく、1000g/m2以上であるとさらに好ましい。坪量を500g/m2以上とすることで、十分な機械的強度を確保しやすくなり、800g/m2以上とすることで、さらに十分な機械的強度を確保しやすくなり、1000g/m2以上とすることで、一際、十分な機械的強度を確保しやすくなる。
実施例:
次に、本発明を以下の実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)原料スラリーの凝集状態:抄造時に、角型テスト抄紙機の筒内あるいは巻取板紙抄紙機のストックインレット内の原料スラリーを目視観察し、凝集状態を呈している場合を○、凝集状態を呈していない場合を×とした。
(2)抄網脱水後含水率:抄網脱水後の抄網上の湿潤シートを採取し、絶乾法にて、該湿潤シートの含水率を、採取直後に測定した湿潤シートの質量と該湿潤シートを110℃熱風乾燥機にて十分に恒量となるまで乾燥して測定した絶乾質量から、
((湿潤シートの質量−絶乾質量)/絶乾質量)×100 %
で求めた。
(3)抄造性:角型テスト抄紙機による抄造の場合、抄網での脱水及び圧搾の過程で、抄網での脱水不足、抄網脱水後の抄網上の湿潤シートの含水率過多による網上からの湿潤シートの分離困難(含水率過多のため湿潤シートが弱過ぎて崩れる)、湿潤シートの含水率過多による圧搾時の湿潤シートの崩れ等の不具合が何れも発生しないときを○とし、抄網での脱水不足、抄網脱水後の抄網上の湿潤シートの含水率過多による網上からの湿潤シートの分離困難(含水率過多のため湿潤シートが弱過ぎて崩れる)、湿潤シートの含水率過多による圧搾時の湿潤シートの崩れ等の不具合の少なくとも1つの不具合が発生したときを×とした。また、巻取板紙抄紙機による抄造の場合、抄網での脱水、ワインドアップロールへの巻付・積層・剥がし及び圧搾の過程で、抄網での脱水不足、抄網脱水後の抄網上の湿潤シートの含水率過多による網上からの湿潤シートの分離困難、ワインドアップロールへの巻付・積層・剥がし時の不良(含水率過多のための巻付困難あるいは湿潤シートが弱過ぎて崩れる)、圧搾時の湿潤シートの崩れ等の不具合が何れも発生しないときを○とし、抄網での脱水不足、抄網脱水後の抄網上の湿潤シートの含水率過多による網上からの湿潤シートの分離困難、ワインドアップロールへの巻付・積層・剥がし時の不良(含水率過多のための巻付困難あるいは湿潤シートが弱過ぎて崩れる)、圧搾時の湿潤シートの崩れ等の不具合の少なくとも1つの不具合が発生したときを×とした。
(4)厚さ及び密度:JIS P 8118:1998に準拠した。
(5)坪量:JIS P 8124:1998に準拠した。
(6)曲げ強度:JIS A 5905:1994による。繊維配向性がある場合、繊維配向方向とこれに直角をなす方向について測定し両者の平均を求めた。
(7)セピオライトの粘度:内筒回転型粘度計を使用して、液温25℃、内筒回転速度6回転/分、内筒回転時間1分にて測定した。被測定液はJIS P 8220:1998に規定される標準離解機にて、20℃の水道水を用いて、液量1500ml、濃度3質量%、軸回転数30000回にて処理して調製した。なお、使用した内筒回転型粘度計は東機産業(株)製のB型粘度計(型式:BM型)であり、内径56mm、深さ110mmのガラスビーカーに被測定液230mLを入れ、内筒に相当するNo.1ローター(径19mm、高さ65mm)を用い、ローター用ガードを使用せずに測定した。本測定による粘度の測定値は、被測定液が無限に拡がっている場合の真値と比べ誤差が10%未満である。
(8)不燃性1:ISO 5660 part 1に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱性試験(加熱強度;50kW/m2、過熱時間;20分)の総発熱量で評価した。
(9)不燃性2:建築基準法第2条第九号及び同法施行令第108条の2の不燃材料の要件に対する合否で評価した。すなわち、
総発熱量:不燃性1の発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m2を超えない場合が適合。
亀裂及び穴:不燃性1の発熱性試験において、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がない場合が適合。
最高発熱速度:不燃性1の発熱性試験において、最高発熱速度が10秒を超えて継続して200kW/m2を超えない場合が適合。
不燃材料合否:総発熱量、亀裂及び穴、及び最高発熱速度が何れも適合の場合が合格。一つでも不適合の場合は不合格。
[比較例1]
実施例1において、セピオライトaを配合しない以外は実施例1と同様にして、シートIを得た。
[比較例2]
実施例7において、セピオライトaを配合しない以外は実施例7と同様にして、シートJを得た。
[比較例3]
比較例1と同様にして得た23℃、相対湿度50%にて十分に調湿したシート(シートIに相当)を熱プレスにて加熱処理(温度175℃、圧力2.0MPa、時間3分)し、成形体Iを得た。
[比較例4]
比較例2と同様にして得た23℃、相対湿度50%にて十分に調湿したシート(シートJに相当)を熱プレスにて加熱処理(温度175℃、圧力2.0MPa、時間3分)し、成形体Jを得た。
以下の比較例は請求項2の発明の理解に利用できる:
[比較例5]
実施例1において、セピオライトaに代えて、セピオライトbを用い、ポリアクリルアミド系凝集剤の添加量を0.01質量部に代えて、0.03質量部とした以外は実施例1と同様にして、角型テスト抄紙機にて抄造したところ、抄網での脱水が不足で、抄網脱水後の抄網上の湿潤シートの含水率が過多となり、網上から湿潤シートを剥がし取る際に湿潤シートが弱過ぎて崩れてしまい、所望のシートを得ることができなかった。
[比較例6]
実施例1において、セピオライトaに代えて、上述の粘度測定方法による粘度が686mPa・sであるセピオライト(分散処理前に乾式レーザー回折法による平均粒径75μmの粉体;以下、セピオライトdと略称する。)を用い、ポリアクリルアミド系凝集剤の添加量を0.01質量部に代えて、0.05質量部とした以外は実施例1と同様にして、角型テスト抄紙機にて抄造したところ、抄網での脱水が不足で、抄網脱水後の抄網上の湿潤シートの含水率が過多となり、網上から湿潤シートを剥がし取る際に湿潤シートが弱過ぎて崩れてしまい、所望のシートを得ることができなかった。
[比較例7]
実施例7において、セピオライトaに代えて、セピオライトbを用い、ポリアクリルアミド系凝集剤の添加量を0.1質量部に代えて、0.2質量部とした以外は実施例7と同様にして、長網/ワインドアップロール構成の巻取板紙抄紙機にて抄造したところ、抄網での脱水が不足で、抄網脱水後の抄網上の湿潤シートの含水率が過多となり、湿潤シートをワインドアップロールへ巻付・積層せしめる際に湿潤シートが弱過ぎて崩れてしまい、所望のシートを得ることができなかった。
Claims (7)
- 原料スラリーに凝集剤を添加し凝集状態にて湿式抄造して得た抄造シート又は該抄造シートの熱圧成形体であって、珪酸カルシウム、又は珪酸カルシウム及び含水無機化合物を30〜90質量%(固形分)、セルロース繊維を0.4〜20質量%(固形分)、セルロース繊維と無機繊維を合計で3〜40質量%(固形分)、セピオライトを5〜40質量%(固形分)及び合成高分子を1〜20質量%(固形分)を含有すること、前記セピオライトが、JIS P 8220:1998に規定される標準離解機にて、20℃の水道水を用いて、液量1500ml、濃度3質量%、軸回転数30000回にて処理した後、内筒回転型粘度計を用いて、液温25℃、内筒回転速度6回転/分、内筒回転時間1分にて測定した粘度が200mPa・s以下であるものであること、前記含水無機化合物が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、二水和石こう及びアルミン酸カルシウムの群から選ばれた少なくとも1種類からなること及び前記合成高分子が、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ダップ樹脂の熱硬化性樹脂(繊維状のものを含む)、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂の熱可塑性樹脂(繊維状のものを含む)及びSBR、NBR、MBRの合成ゴムの中から選ばれる少なくとも1種類であること特徴とする不燃シート又は不燃成形体。
- セルロース繊維を3〜20質量%(固形分)含有し、無機繊維を含有しない請求項1に記載の不燃シート又は不燃成形体。
- 上記珪酸カルシウムがウォラストナイト、ゾノトライト及びトバモライトの中から選ばれた少なくとも1種類からなる請求項1または2に記載の不燃シート又は不燃成形体。
- 上記無機繊維がロックウール繊維及びガラス繊維の中から選ばれた少なくとも1種類からなる請求項1または3に記載の不燃シート又は不燃成形体。
- 2層以上のシート層の積層体からなる請求項1〜4のいずれか一つに記載の不燃シート又は不燃成形体。
- 坪量が500g/m2以上である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の不燃シート又は不燃成形体。
- 巻取板紙抄紙機にて2層以上のシート層の積層体とせしめた請求項1〜6のいずれか一つに記載の不燃シート又は不燃成形体。
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