JP4110431B2 - 難燃紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃紙に関し、さらに詳しくは高度な難燃性を有し、かつ波型形状賦形等の塑性加工性に優れた難燃紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各分野での難燃化要求が高まり、水酸化アルミニウム等の含水無機化合物を多量配合した難燃紙が広く用いられており、また、その用途としては、難燃性建築材料用ハニカムコア材、難燃ダンボール中芯原紙あるいは難燃性を要求される各種フィルター用のセパレータ用紙など、高度な難燃性と同時に波型形状賦形等の塑性加工性が要求される用途が少なくない。
【0003】
すなわち、かかる用途においては難燃紙に各種方法により、波型形状、折り形状等の賦形が行われる。たとえば図1のように断面V字状の歯形を設けた上ロールとこの歯形にかみ合う下ロールのかみ合い部に難燃紙を通すことにより波型形状を賦形する方法がよく行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、高度の難燃性を確保するためには、含水無機化合物の含有率を高くする必要があるが、含水無機化合物の含有率を高くすると、シートの諸強度が低下するとともに塑性加工性も悪化しやすい。
【0005】
そこで、含水無機化合物の含有率を極端に高くせずとも高度な難燃性を確保するために、スルファミン酸グアニジンやリン酸グアニジン等の難燃剤を併用するのが一般的である。
しかし、この場合、シートの諸強度の低下はある程度押えることができるものの、塑性加工性はさらに悪化してしまうといった問題がある。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、高度な難燃性を有し、かつ、波型形状賦形等の塑性加工性に優れた難燃紙を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の難燃紙は、含水無機化合物と炭酸塩を固形分で合計40〜75重量%と、セルロース繊維を固形分で20〜50重量%と、リン酸メラミン系難燃剤を固形分で1〜20重量%とを含有し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固形分重量比で100/0を含み、60/40より含水無機化合物過多側である抄紙シートである。
【0008】
また、本発明の難燃紙は含水無機化合物と炭酸塩を固形分で合計40〜75重量%と、セルロース繊維を固形分で20〜50重量%と、リン酸メラミン系難燃剤を固形分で1〜20重量%と、少量の直径4μm以下のガラス繊維とを含有し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固形分重量比で100/0を含み、60/40より含水無機化合物過多側である抄紙シートである。
【0009】
上記した含水無機化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、二水和石こう及びアルミン酸化カルシウム等を挙げることができる。これらの化合物は何れも分子内に結晶水をもち、化学的に類似した構造を有する。また、含水無機化合物は、その種類によって分解温度及び吸熱量に幾分差があるが、高温加熱時に分解して吸熱作用により不燃化効果を示すという点では全く共通している。
従って、基本的に前記した含水無機化合物のいずれを用いてもよいが入手価格等の経済性をも考慮すると水酸化アルミニウムが最適である。
【0010】
本発明で使用する炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸ベリリウム、炭酸亜鉛等の中から少なくとも1種類を選択して使用する。これらの炭酸塩はその種類により、分解温度等に幾分差があるが、高温加熱時に分解して吸熱作用により難燃化効果を示すという点では全く共通している。
従って、基本的に前記した炭酸塩のいずれを用いてもよいが、価格の面から炭酸カルシウムが最適である。
なお、炭酸塩配合によるもう1つの重要な効果として本発明者が特開平5−112659号公報で指摘したところの発煙量低減効果を挙げることができる。
【0011】
本発明の難燃紙中の含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の合計の含有率範囲は固形分で40〜75重量%、好ましくは50〜70重量%である。その含有率が40重量%未満では十分な難燃性が得られない。反対に、75重量%を超えた場合は、含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の合計量の過多により、十分な塑性加工性及び機械的強度等を得ることができず不適である。
なお、難燃紙中の含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の合計の含有率範囲は固形分で50〜70重量%の範囲とすることで、より十分な難燃性と塑性加工性及び機械的強度を確保しやすくなる。
【0012】
また、含水無機化合物/炭酸塩の含有固形分重量比は100/0を含み、60/40好ましくは70/30よりも含水無機化合物過多側としなければならない。60/40よりも含水無機化合物過少側とした場合、難燃性が低下することがあり不適である。なお、含水無機化合物/炭酸塩の含有固形分重量比を70/30よりも含水無機化合物過多側とすることでより十分な難燃性を確保しやすくなる。
【0013】
上記したセルロース繊維としては、針葉樹系あるいは広葉樹系の化学パルプ、機械パルプ、セミケミカルパルプ等の木材パルプあるいは木綿パルプ、麻パルプ、各種古紙などの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用すればよい。木材パルプは供給量および品質が安定しており価格も比較的安価であることから最も使いやすいセルロース繊維原料である。木綿パルプ及び麻パルプは供給量が不安定で価格も高価であるが、本発明におけるような含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩を多量に含有する抄紙シートにおいては必要に応じて該木綿パルプあるいは麻パルプを使用することにより抄紙シートの機械的強度及び塑性加工性等の低下を最小限にとどめることができる。
【0014】
本発明の難燃紙中のセルロース繊維の含有率範囲は、固形分で、20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%である。その含有率が20重量%未満では、十分な塑性加工性及び機械的強度等を得ることができず、反対に、50重量%を超えた場合は有機物質の過多により十分な難燃性を得ることができない。
なお、難燃紙中のセルロース繊維の含有率を25〜40重量%の範囲とすることで、より十分な難燃性と塑性加工性及び機械的強度等を確保しやすくなる。
【0015】
本発明の難燃紙中のリン酸メラミン系難燃剤の含有率範囲は、固形分で1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%である。その含有率が1重量%未満では十分な難燃性が得られない。一方、20重量%を超えてもそれ以上の難燃性の大幅な向上は見られず、紙質が脆くなり波型形状賦形等の屈曲加工がしにくくなる。
また、本発明の難燃紙中の難燃剤としては、リン酸メラミン系難燃剤の単独使用に限らず、高度な難燃性と優れた塑性加工性を両立せしめるという本発明の目的を阻害しない範囲において、リン酸メラミン系難燃剤と共に、スルファミン酸グアニジンやリン酸グアニジン等の他の難燃剤の少なくとも一種類を併用した場合も本発明に包含される。
【0016】
本発明の難燃紙中には、抄紙時の含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の歩留向上を図るために、直径4μm以下のガラス繊維を少量配合せしめるのが好ましい。
この場合、難燃紙中のかかる直径4μm以下のガラス繊維の含有率範囲は固形分で0.05〜8重量%とするのが望ましい。その含有率が0.05重量%未満では、抄紙段階において、本発明者が特公平4−50437号公報で指摘したところの原料スラリーの保水性の向上効果及び含水無機化合物の歩留向上効果が十分に発現されにくくなり、含水無機化合物が抄紙網を通り抜けて流失しやすくなるため、難燃性や地合に悪影響を及ぼす有機系歩留向上剤等を使用せずには含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の所定量を含有する抄紙シートを効率よく得ることが困難となることがある。また、8重量%を超えた場合には、原料スラリーの保水性が過多となり、抄紙段階において、抄紙網からの濾水性が悪化し、操業上のトラブルを招きやすくなることがある。この傾向は、使用するセルロース繊維に叩解処理を施すことにより、あるいはガラス繊維の直径が細くなるほど顕著になりやすい。
【0017】
本発明の難燃紙には、十分な機械的強度及び湿潤時の機械的強度等を確保するために必要に応じて、両性イオン重合体結合剤を含有せしめるのが好ましい。この場合、使用する両性イオン重合体結合剤は、粒子界面に高密度にカチオン性とアニオン性の官能基を併せもち、水中でゼータ電位が負の繊維や填料に良好に吸着される特性を有するものであり、シートの機械的強度及び湿潤時の機械的強度等を向上せしめる効果を有する。
【0018】
難燃紙中のかかる両性イオン重合体結合剤の含有率範囲は2〜10重量%とするのが好ましい。その含有率が2重量%未満では十分な機械的強度及び湿潤時の機械的強度が得られないことがあり、反対に10重量%を超えた場合は、有機物質の過多により難燃性が悪化することがあるとともに、原料スラリー中において、両性イオン重合体結合剤の過多に伴う凝集が発生しやすくなり、かかる原料を用いた抄紙シートは地合が悪化し、機械的強度及び湿潤時の機械的強度等が低下することがある。
【0019】
本発明の難燃紙は、必要に応じて撥水処理を施すのが好ましい。撥水処理は特に限定するものではなく、天然ワックス、石油系ワックス、塩素化パラフィン、ワックスエマルジョンなどの各種ワックス系撥水剤、高級脂肪酸誘導体、合成樹脂類、クロム酸塩、ジルコニウム塩、シリコン樹脂などの撥水性付与剤の適量を内添したり含浸もしくは塗布するなどすればよい。
【0020】
本発明の難燃紙の製造方法としては、湿式抄紙法が好適である。以下において、製造方法にも言及しながらさらに詳述する。
すなわち、本発明の難燃紙を製造するには、セルロース繊維と含水無機化合物あるいはセルロース繊維と含水無機化合物と炭酸塩の所定量及び必要に応じてさらに直径4μm以下のガラス繊維を含有する原料スラリーを調成し、通常の抄紙法により抄紙すればよい。そして、リン酸メラミン系難燃剤の所定量及び必要に応じて前記した両性イオン重合体結合剤並びに各種撥水性付与剤を原料スラリー中に内添するかシートを形成せしめてから含浸もしくは塗布するなどすればよい。
【0021】
抄紙については通常の長網、円網あるいは傾斜網等の抄紙網上に原料スラリーを供給し、濾過、脱水した後、圧搾、乾燥すればよい。また、必要に応じて各種コンビネーション網や多層円網あるいは各種ラミネーターなどにより紙層を2層以上重ね合わせてもよい。
【0022】
本発明の如き無機粉体を多量に含有した原料スラリーを抄紙網に供給する場合、通常は原料スラリーをチェストから抄紙網に流送する流送過程において、ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ソーダ系、ポリアミン系、ポリメタクリル酸エステル系、ジシアンジアミド系、ポリエチレンイミン系、キトサン系、カチオン化デンプンなどの凝集作用を発現する薬剤を添加し、かかる凝集作用により、無機粉体が抄紙網から流失するのを押え歩留の向上を図るのが一般的であるが、この場合、凝集作用により原料スラリーのフロック化が著しくなりシートの地合が悪化して機械的強度及び湿潤時の機械的強度の低下を来たしやすい。従って、本発明の空調フィルタ用セパレータ用紙を製造する際には、原料スラリーをチェストから抄紙網に流送する流送過程において、凝集作用を発現する薬剤を添加しない方が好ましい。ただし、この場合、抄紙過程において含水無機化合物が抄紙網から流失しやすくなり、歩留の低下を生じやすいので、好ましくは原料スラリー中に直径4μm以下のガラス繊維を含有せしめて原料スラリーの保水性の向上を図るのがよい。こうすれば、シートの地合は良好に保たれ、機械的強度及び湿潤時の機械的強度の低下なしに含水無機化合物の歩留向上を図ることができる。
【0023】
さらに、本発明の難燃紙には必要に応じてロックウール繊維、セラミック繊維などの無機繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン系繊維、ビニロン繊維などの各種合成繊維、着色のための合成染料、あるいは乾燥または湿潤紙力増強剤、サイズ剤、耐水化剤等を含有せしてもよい。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を以下の実施例に基づいて、さらに具体的に説明する。本実施例中、各項目の測定は次の方法によった。
(1)シートの米坪:JIS P−8124による。
(2)シートの厚さ:JIS P−8118による。
(3)シートの密度:JIS P−8118による。
(4)シートの難燃性:UL94規格V−0による。
(5)塑性加工性:図2に示すように20℃65RH%調湿下にて、幅15mm、長さ80mmのシート7を、開き角60度のV字状成形型である上型5と下型6にはさんで(上型自重1.4kgにて5秒間)賦形し、該賦形されたシート8を水平面上に凸となるように静置した直後、5時間後、24時間後及び72時間後における賦形高さh´を測定した。
【0025】
なお、図1に示すように、実際の波型形状賦形加工に用いられる上ロール1の歯型と下ロール2の歯型とのかみ合わせ部分はある程度のすき間があり、上ロール1と下ロース2のかみ合わせ部にシート3を通した際に波型形状賦形されたシート4に与えられる変形は折り目がはっきり付くほどの変形でないため、賦形適性を評価するには実際に波型形状賦形加工機に通してみる以外困難であったが、鋭意試行錯誤して検討した結果、前記した方法で測定した賦形高さh´と図1に示す実際の波型形状賦形加工機に通したときの波型形状賦形高さhとの間に相関係数0.95以上の正の相関があることをつきとめたものである。ちなみに、hとh´との相関を示す結果を例示すると、塑性加工性の異なる5種類の紙についての賦形直後の測定値で、前記した方法で測定した賦形高さh´がそれぞれ10.8mm、12.5mm、13.0mm、15.4mm及び18.5mmに対し、実際の波型形状賦形加工機に通したときの波型形状賦形高さhは、それぞれ1.25mm、1.48mm、1.55mm、1.83mm及び2.28mmとなり相関係数0.999という極めて良好な正の相関が得られた。
(6)シートの引張強度:JIS P−8113による。
(7)シートの湿潤引張強度:20℃蒸留水5分浸漬後にJIS P−8113によって測定した。
(8)シートの撥水性:JIS P−8137による。
【0026】
実施例1
市販の針葉樹系晒硫酸塩パルプをテストビーターにて離解及び叩解し、これに直径0.65μmのガラス繊維(以下、ガラス繊維αと略称する。)の分散液を加えて十分に撹拌混合し、さらに水酸化アルミニウム粉体(平均粒径5.7μmである。以下同じ。)、炭酸カルシウム粉体(平均粒径1.5μmである。以下同じ。)、リン酸メラミン系難燃剤(平均粒径2〜5μmである。以下同じ。)、ワックスエマルジョン系撥水剤、SBR系の両性イオン重合体結合剤を添加し十分に分散混合後、角型テスト抄紙機にて抄造し、圧搾、乾燥してシートAを得た。
シートAについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0027】
実施例2
実施例1において、炭酸カルシウムを配合しない以外は実施例1と同様にして、シートBを得た。
シートBについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0028】
実施例3
実施例1において、エマルジョン系撥水剤をを配合しない以外は実施例2と同様にして、シートCを得た。
シートCについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0029】
実施例4
実施例1において、ガラス繊維αに代えて直径3μmのガラス繊維(以下、ガラス繊維βと略称する。)を用い、水酸化アルミニウム粉体に代えて水酸化マグネシウム粉体(平均粒径10μmである。以下同じ)を用いた以外は実施例1と同様にして、シートDを得た。
シートDについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0030】
実施例5
実施例1において、各成分の配合量を変化させた以外は実施例1と同様にして、シートEを得た。
シートEについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0031】
実施例6
実施例2において、各成分の配合量を変化させた以外は実施例2と同様にして、シートFを得た。
シートFについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0032】
実施例7
実施例2において、各成分の配合量を変化させた以外は実施例2と同様にして、シートGを得た。
シートGについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0033】
実施例8
実施例1において、ガラス繊維αの分散液を加えない以外は実施例1と同様にして、シートHを得た。
シートHについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
ただし、ガラス繊維αを加えなかったため、水酸化アルミニウム粉体及び炭酸カルシウム粉体の抄紙網からの流失が増大し、水酸化アルミニウム粉体及び炭酸カルシウム粉体の配合量を約2倍にしなければならなかった。
【0034】
実施例9
市販の針葉樹系晒硫酸塩パルプをテストビータにて離解及び叩解し、これにガラス繊維αの分解液を加えて十分に撹拌混合し、さらに水酸化アルミニウム粉体、炭酸カルシウム粉体、SBR系の両性イオン重合体結合剤を添加し十分に分散混合後、角型テスト抄紙機にて抄造し、圧搾、乾燥後、リン酸メラミン系難燃剤の水系分散液を両面に塗布し乾燥してシートIを得た。
シートIについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0035】
比較例1
市販の針葉樹系晒硫酸塩パルプをテストビータにて離解及び叩解し、これにガラス繊維αの分散液を加えて十分に撹拌混合し、さらに水酸化アルミニウム粉体、炭酸カルシウム粉体、SBR系の両性イオン重合体結合剤を添加し十分に分散混合後、角型テスト抄紙機にて抄造し、圧搾、乾燥後、スルファミン酸グアニジン系難燃剤とワックスエマルジョン系撥水剤を両面に塗布し乾燥してシートJを得た。
シートJについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0036】
比較例2
比較例1において、炭酸カルシウムを配合しない以外は比較例1と同様にして、シートKを得た。
シートKについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0037】
比較例3
実施例2において、リン酸メラミン系難燃剤を配合しない以外は実施例2と同様にして、シートLを得た。
シートLについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0038】
比較例4
実施例1において、リン酸メラミン系難燃剤に代えて、硫酸メラミン系難燃剤(平均粒径11.4μmである。以下同じ。)を用いた以外は実施例1と同様にして、シートMを得た。
シートMについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、米坪、厚さ、密度、難燃性、塑性加工性、引張強度、湿潤引張強度及び撥水性をそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明の難燃紙は上記した実施例1〜9、比較例1〜4及び表1からわかるように、従来背反の関係にあり両立させることのできなかった高度な難燃性と波型形状賦形加工等を良好に行える優れた塑性加工性とを兼備している。
【0041】
すなわち、従来、シートの諸強度及び塑性加工性の悪化をできるだけ押えつつ高度な難燃性を確保するために、多量の含水無機化合物を配合し、かつスルファミン酸グアニジンやリン酸グアニジン等の難燃剤を併用する方法が行われているが、難燃剤を併用していない比較例3と、各成分配合が比較例3と近似しスルファミン酸グアニジン系難燃剤を併用した比較例2を比較すると、スルファミン酸グアニジン系難燃剤の併用により、UL規格V−O合格という高度な難燃性が得られるが、諸強度がやや低下するとともに、賦形高さh´は直後、5時間後、24時間後及び72時間後の各経過時点において、それぞれ、0.84倍、0.62倍、0.58倍及び0.51倍と大きく低下し、塑性加工性が悪化していることがわかる。
【0042】
これに対して、各成分配合が比較例2及び比較例3と近似し、リン酸メラミン系難燃剤を用いた本発明にかかる実施例2を比較例2及び比較例3と比較すると、リン酸メラミン系難燃剤を用いた実施例2ではUL94規格V−O合格という高度な難燃性を有するとともに、スルファミン酸グアニジン系難燃剤を併用した比較例2と比べ、賦形高さh´は直後、5時間後、24時間後及び72時間後の各経過時点において、それぞれ、1.36倍、2.20倍、2.43倍及び2.88倍であり、塑性加工性の格段の向上が認められる上、さらに諸強度も向上傾向を示している。
【0043】
さらに、難燃剤を併用していない比較例3と比べても、賦形高さh´は直後、5時間後、24時間後及び72時間後の各経過時点において、それぞれ、1.15倍、1.36倍、1.41倍及び1.47倍とむしろ向上していることがわかる。
【0044】
このように、本発明の難燃紙では、含水無機化合物あるいは含水無機化合物と炭酸塩の所定量配合下において、リン酸メラミン系難燃剤の所定量を含有せしめることにより、高度な難燃性を得るとともに、波型形状賦形性等の塑性加工性を低下させることなく逆に向上せしめることができた結果、従来背反の関係にあり、両立させることのできなかった高度な難燃性と優れた塑性加工性を併せ持つ難燃紙を得ることができたものである。
【0045】
本発明の難燃紙は、難燃性建築材料用ハニカムコア材、難燃ダンボール中芯原紙あるいは難燃性を要求される各種フィルター用のセパレータ用紙などの高度な難燃性と同時に波型形状賦形等を良好に行える優れた塑性加工性が要求される各種用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 波型形状賦形加工状況を示す概略説明図である。
【図2】 賦形高さh´の測定方法を示す説明図である。
【符合の説明】
1 上ロール
2 下ロール
3 シート
4 波型形状賦形されたシート
5 上型
6 下型
7 シート
8 賦形されたシート
Claims (11)
- 含水無機化合物と炭酸塩を固形分で合計40〜75重量%と、セルロース繊維を固形分で20〜50重量%と、リン酸メラミン系難燃剤を固形分で1〜20重量%とを含有し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固形分重量比で100/0を含み、60/40より含水無機化合物過多側である抄紙シートであることを特徴とする難燃紙。
- 含水無機化合物と炭酸塩を固形分で合計40〜75重量%と、セルロース繊維を固形分で20〜50重量%と、リン酸メラミン系難燃剤を固形分で1〜20重量%と、少量の直径4μm以下のガラス繊維とを含有し、かつ含水無機化合物/炭酸塩が固形分重量比で100/0を含み、60/40より含水無機化合物過多側である抄紙シートであることを特徴とする難燃紙。
- 請求項1記載の難燃紙であって、さらに両性イオン重合体結合剤を固形分で2〜10重量%含有することを特徴とする請求項1記載の難燃紙。
- 請求項2記載の難燃紙であって、さらに両性イオン重合体結合剤を固形分で2〜10重量%含有することを特徴とする請求項2記載の難燃紙。
- 請求項1または3記載の難燃紙であって、さらに撥水処理されたことを特徴とする請求項1または3記載の難燃紙。
- 請求項2または4記載の難燃紙であって、さらに撥水処理されたことを特徴とする請求項2または4記載の難燃紙。
- 含水無機化合物は水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、二水和石こう及びアルミン酸化カルシウムの中から選ばれた少なくとも1種類からなる請求項1、3または5記載の難燃紙。
- 含水無機化合物は水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、二水和石こう及びアルミン酸化カルシウムの中から選ばれた少なくとも1種類からなる請求項2、4または6記載の難燃紙。
- 炭酸塩は炭酸カルシウムである請求項1、3、5または7記載の難燃紙。
- 炭酸塩は炭酸カルシウムである請求項2、4、6または8記載の難燃紙。
- 直径4μm以下のガラス繊維の含有率が0.05〜8重量%である請求項2、4、6、8または10記載の難燃紙。
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