JP4852290B2 - 建材用シート状不燃成形体 - Google Patents
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Description
上記したセルロース繊維としては、針葉樹系あるいは広葉樹系の化学パルプ、機械パルプ、セミケミカルパルプ等の木材パルプあるいは木綿パルプ、麻パルプ、各種古紙などの中から選ばれる1種類あるいは2種類以上を併用して使用すればよい。木材パルプは供給量及び品質が安定しており価格も比較的安価であることから最も使いやすいセルロース繊維原料である。木綿パルプ及び麻パルプは供給量が不安定であり価格も高価であるが、本発明におけるような吸熱分解性を有する無機化合物を多量に含有するシート状成形体においては、必要に応じて該木綿パルプあるいは麻パルプを使用することによりシート状成形体の機械的強度の低下を最小限にとどめることができる。
本発明の建材用シート状不燃成形体中のセルロース繊維と無機繊維の合計含有率範囲は固形分で3〜25質量%、好ましくは3〜22質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。その合計含有率が3質量%未満では十分な抄紙性が得られないとともに、無機繊維も過少となり十分な不燃性も得られにくくなる。また、合計含有率が25質量%を超えた場合は無機繊維が過多となり十分な抄紙性が得られない。なお、建材用シート状不燃成形体中のセルロース繊維と無機繊維の合計含有率を固形分で3〜22質量%の範囲とすることで、十分な不燃性及び抄紙性を確保しやすくなり、3〜20質量%の範囲とすることで、一際、十分な不燃性及び抄紙性を確保しやすくなる。
含水無機化合物または炭酸塩を含有せしめる方法としては、含水無機化合物または炭酸塩を含有する塗料を基材に塗布あるいは含浸せしめるなどの方法も考えられるが、所定の含有量を確保し、あるいは厚さ方向での品質の均一化を図るためには、原料スラリー中に含水無機化合物または炭酸塩を粉体状あるいはスラリー状にて内添する方法が最も好ましい。
この場合、含水無機化合物、炭酸塩、セルロース繊維、無機繊維及びフェノール樹脂の添加方法及び添加順序等は任意であり、必要に応じて叩解処理等を施してもよい。
熱圧成形については、従来慣用の熱圧プレス成形、予熱―コールドプレス成形、高周波加熱成形などを単独であるいは2種以上組み合せて適用すればよい。
さらに、用途によっては、得られた建材用シート状不燃成形体に各種塗料の吹付けもしくは塗布あるいは印刷などの表面処理を施したり、化粧紙、レザー、合成樹脂膜、突板、金属板もしくは金属箔等の面材を貼り合わせるなどして固着せしめ、該建材用シート状不燃成形体の付加価値を一段と高めることができることは言うまでもない。
フェノール樹脂は比較的少量の配合で機械的強度を発現でき、かつフェノール樹脂そのものも比較的耐熱性に優れているため、高度な不燃性を必要とする材料には好適であると言えよう。しかし、フェノール樹脂といえども有機物質であるため、たとえ少量配合であっても、ある程度の不燃性の悪化は避けられない。また、優れた機械的強度を得るためには、ある程度の量のフェノール樹脂を配合する必要がある。
従って、優れた機械的強度と高度な不燃性の両立、特に、曲げ強度と剥離強度の両方において優れた性能を保持するとともに、高度な不燃性を確保することは、きわめて困難であった。
次に、本発明を以下の実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本実施例中の各項目の測定は次の方法によった。
(1)厚さ及び密度:JIS P―8118:1998による。
(2)曲げ強度:JIS A―5905:1994による。繊維配向性がある場合、繊維配向方向とこれに直角をなす方向について測定し両者の平均を求めた。
(3)剥離強度:JIS K―6853:1994の割裂接着強さ試験による。繊維配向性がある場合、繊維配向方向とこれに直角をなす方向について測定し両者の平均を求めた。
(4)不燃性1:ISO 5660 part 1:1993に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱性試験(加熱強度;50kW/m2、過熱時間;20分)の総発熱量で評価した。
(5)不燃性2:JIS A―1321:1994の表面試験で亀裂等の防火上有害な変形の有無で評価した。
(6)不燃性3:JIS A―1321:1994の発煙係数で評価した。
(7)不燃性4:JIS A―1321:1994の表面試験の1級の合否で評価した。
シート状成形体Aについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Bについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Cについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Dについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Eについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Fについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Gについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Hについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Iについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
シート状成形体Jについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
実施例1において、フェノール樹脂aに代えて、レゾール樹脂/ノボラック樹脂が固形分重量比で20/80であるフェノール樹脂(以下、フェノール樹脂dと略称する。)を用いた以外は実施例1と同様にして、シート状成形体Kを得た。
シート状成形体Kについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
実施例1において、フェノール樹脂aに代えて、レゾール樹脂/ノボラック樹脂が固形分重量比で80/20であるフェノール樹脂(以下、フェノール樹脂eと略称する。)を用いた以外は実施例1と同様にして、シート状成形体Lを得た。
シート状成形体Lについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
実施例1において、各成分の配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、シート状成形体Mを得た。
シート状成形体Mについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
実施例9において、フェノール樹脂aに代えて、フェノール樹脂dを用いた以外は実施例9と同様にして、シート状成形体Nを得た。
シート状成形体Nについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
実施例9において、フェノール樹脂aに代えて、フェノール樹脂eを用いた以外は実施例9と同様にして、シート状成形体Oを得た。
シート状成形体Oについて、各成分の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、曲げ強度、剥離強度、不燃性1、不燃性2、不燃性3及び不燃性4をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
実施例1〜10および比較例1〜4に係るシート状成形体は、含水無機化合物および炭酸塩をその合計で考えた時に、互いにほとんど同一の組成を有している。そして、用いたフェノール樹脂のレゾール樹脂/ノボラック樹脂の固形分質量比は、実施例1および9が65/35、実施例2、4〜7および10が55/45、実施例3および8が45/55、比較例1および3が20/80、比較例2および4が80/20である。曲げ強度は、実施例1〜10では10.2〜17.0MPaであり優れているのに対し、比較例2および4ではそれぞれ12.9MPaおよび13.0MPaであり実施例1〜10と同等であるが、比較例1および3ではそれぞれ6.9MPaおよび6.7MPaであり実施例1〜10の値の約40〜約70%に低下している。剥離強度(割裂接着強さ)は、実施例1〜10では7680〜13800N/mであり優れているのに対し、比較例2および比較例4ではそれぞれ9810N/mおよび9780N/mであり実施例1〜10と同等であるが、比較例1および3ではそれぞれ3830N/mおよび3950N/mであり実施例1〜10の値の約30〜約50%に低下している。次に不燃性について見てみると、実施例1〜10ではJIS A―1321:1994の表面試験で亀裂を発生しないのに対し、比較例1および3でも亀裂を発生しないが、比較例2および4では亀裂を発生した。一方、JIS A―1321:1994の表面試験の発煙係数を見ると、実施例1〜10では9.3〜16.0であり発煙量が少ないのに対し、比較例2および4ではそれぞれ10.7および9.5であり実施例1〜10と同等であるが、比較例1および3ではそれぞれ31.5および32.2であり実施例1〜10に比べ約2〜約3.4倍も発煙量が多くなっている。
Claims (5)
- 含水無機化合物、または含水無機化合物及び炭酸塩60〜92質量%(固形分)、セルロース繊維0.4質量%(固形分)以上2質量%(固形分)未満、セルロース繊維と無機繊維の合計3〜25質量%(固形分)およびフェノール樹脂3〜11質量%(固形分)より成り、レゾール樹脂とノボラック樹脂との固形分質量比が40/60〜65/35である該フェノール樹脂を芯部においても含有するシート状熱圧成形体であることを特徴とする建材用シート状不燃成形体。
- 上記含水無機化合物と炭酸塩との固形分質量比が100/0〜50/50である請求項1記載の建材用シート状不燃成形体。
- 上記含水無機化合物が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、二水和石こう及びアルミン酸カルシウムの中から選ばれた少なくとも1種類からなる請求項1または2記載の建材用シート状不燃成形体。
- 上記炭酸塩が炭酸カルシウムである請求項1〜3のいずれか一つに記載の建材用シート状不燃成形体。
- 2層以上のシート層の積層体からなる請求項1〜4のいずれか一つに記載の建材用シート状不燃成形体。
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