JP4865172B2 - 表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動表示用マイクロカプセル含有ファイバ、それを用いた表示装置およびその製造方法に関し、特に電極に印加された電圧により液体中の着色帯電粒子を移動させて表示を行う電気泳動表示装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の発達に伴い、各種情報のデータ量は拡大の一途をたどり、情報の出力も様々な形態を用いてなされている。一般に、情報の出力は、ブラウン管や液晶などを用いたディスプレイ表示とプリンタなどによる紙へのハードコピー表示とに大別できる。ディスプレイ表示においては、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、中でも液晶表示装置は、こうしたニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われ商品化されている。
【0003】
しかしながら、現在の液晶表示装置には、画面を見る角度や、反射光により、画面上の文字が見づらく、また光源のちらつき・低輝度等から生じる視覚への負担が、未だ十分に解決されていない。またブラウン管を用いたディスプレイ表示では、コントラストや輝度は液晶表示と比較して十分あるものの、ちらつきが発生するなど後述するハードコピー表示と比較して十分な表示品位があるとはいえない。また装置が大きく重いため携帯性が極めて低い。
【0004】
一方、ハードコピー表示は情報の電子化により不要になるものと考えられていたが、実際には依然膨大な量のハードコピー出力が行われている。その理由として、情報をディスプレイ表示した場合、前述した表示品位に係わる問題点に加えて、その解像度も一般的には最大でも120dpi程度と紙へのプリント・アウト(通常300dpi以上)と比較して相当に低い。従って、ディスプレイ表示ではハードコピー表示と比較して視覚への負担が大きくなる。その結果、ディスプレイ上で確認可能であっても、一旦ハードコピー出力することがしばしば行われることになる。
【0005】
また、ハードコピーされた情報は、ディスプレイ表示のように表示領域がディスプレイのサイズに制限されることなく多数並べたり、また複雑な機器操作を行わずに並べ替えたり、順に確認していくことができることも、ディスプレイ表示可能であってもハードコピー表示が併用される大きな理由である。さらには、ハードコピー表示は、表示を保持するためのエネルギーは不要であり、情報量が極端に大きくない限り、何時でもどこでも情報を確認することが可能であるという優れた携帯性を有する。
【0006】
このように動画表示や頻繁な書き換えなどが要求されない限り、ハードコピー表示はディスプレイ表示と異なる様々な利点を有するが、紙を大量に消費するという欠点がある。そこで、近年においては、リライタブル記録媒体(視認性の高い画像の記録・消去サイクルが多数回可能で、表示の保持にエネルギーを必要としない記録媒体)の開発が盛んに進められている。こうしたハードコピーの持つ特性を継承した書き換え可能な第3の表示方式をペーパーライクディスプレイと呼ぶことにする。
【0007】
ペーパーライクディスプレイの必要条件は、書き換え可能であること、表示の保持にエネルギーを要さないか若しくは十分に小さいこと(メモリー性)、携帯性に優れること、表示品位が優れていることなどである。現在、ペーパーライクディスプレイとみなせる表示方式としては、例えば、サーマルプリンターヘッドで記録・消去する有機低分子・高分子樹脂マトリックス系(例えば、特開昭55−154198号公報、特開昭57−82086号公報)を用いた可逆表示媒体を挙げることができる。この系は一部プリペイドカードの表示部分として利用されているが、コントラストが余り高くないことや、記録・消去の繰り返し回数が150〜500回程度と比較的少ないなどの課題を有している。
【0008】
また、別のペーパーライクディスプレイとして利用可能な表示方式として、Harold D.Lees等により発明された電気泳動表示装置(米国特許第3612758号明細書)が知られている。他にも、特開平9−185087号公報に電気泳動表示装置が開示されている。図7は、それらの電気泳動表示装置の構造及び動作原理を示す図である。該表示装置は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板1、2を備えており、各基板には電極3、4がそれぞれ形成されている。表示面は矢印Bのある側で、表示面側の電極4は透明である。また基板間隙には、この場合正電荷に帯電されると共に着色された多数の着色帯電粒子5と、色素が溶解されて着色帯電粒子とは別の色に着色された絶縁性液体6とが配置されており、さらに隔壁13が配置されて、該間隙を基板の面方向に沿った多数の区画に分割して着色帯電粒子のへ偏在を防止すると共に基板間隙を規定するように構成されている。
【0009】
このような表示装置において、同図7(a)に示すように、図示下側の電極3に負極性の電圧を印加すると共に図示上側の電極4に正極性の電圧を印加すると、正極性に帯電されている着色帯電粒子5は下側の電極3を覆うように集まり、図示B方向から表示装置を眺めると、絶縁性液体6と同じ色の表示が行われる。
【0010】
反対に同図7(b)に示すように、図示下側の電極3に正極性の電圧を印加すると共に図示上側の電極4に負極性の電圧を印加すると、正極性に帯電されている着色帯電粒子5は上側の電極4を覆うように集まり、図示B方向から表示装置を眺めると、着色帯電粒子5と同じ色の表示が行われる。このような駆動を画素単位で行うことにより、多数の画素によって任意の画像が表示される。
【0011】
図7の表示装置は、対向する一対の基板にそれぞれ配置した電極間に電圧を印加し、着色帯電粒子を基板と垂直の方向に移動させて表示を行うものであるが、これに対して、第1表示電極及び第2表示電極からなる電極対を同一基板上に配置し、観察者から見て着色帯電泳動粒子を水平に移動させる表示装置が、特開昭49−5598号公報及び特開平11−202804号公報において提案された。電気泳動特性を利用して、透明な絶縁性液体中で着色帯電泳動粒子を電圧印加により、第1表示電極面及び第2電極面間を、基板面と水平に移動させることによって表示を行うものである。
【0012】
水平移動型電気泳動表示装置においては、絶縁性液体は透明である場合が多く、観察者側から見て、第1表示電極と第2表示電極が異なる着色を呈し、いずれか一方の色を泳動粒子の色と一致させてある。例えば第1表示電極の色を黒色、第2表示電極の色を白色、泳動粒子の色を黒色とすると、泳動粒子が第1電極上に分布する場合には、第2表示電極が露出し白色を呈し、泳動粒子が第2表示電極上に分布する場合には泳動粒子の色である黒色を呈す。
【0013】
また、最近マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置が提案されている(特許2551783号)。図6にそのマイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置の断面図を示す。着色された着色帯電粒子5と着色帯電粒子とは異なる色に着色された絶縁性液体6を直径50μm程度の透明な容器8に閉じ込め、これを基板1上に塗布して作製される。画像の表示は、このマイクロカプセル8の上下を電極3、4で挟み、従来の電気泳動表示方法と同様に、電極に電圧を印加することにより、着色帯電粒子5の色あるいは絶縁性液体6の色を表示することができる。
【0014】
マイクロカプセル型電気泳動表示装置の特徴としては、マイクロカプセルを基板に塗布するだけで着色帯電粒子及び絶縁性液体を配置できるため、従来の電気泳動表示装置に比ベて、着色帯電粒子及び絶縁性液体の注入工程が必要なく作製が容易である、また隔壁を特別に必要としないため基板の曲げによる隔壁の位置ずれや破損がなくフレキシブル性を高くできる、などが挙げられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のマイクロカプセル型電気泳動表示装置は、バインダーにマイクロカプセルを混合し基板上に一括して塗布していたため、マイクロカプセルが重なって配置されたり、電極のない場所に配置されたりして、表示に寄与しないマイクロカプセルが一部生じていた.
また、カラー表示を行うには、異なる色のマイクロカプセルを規則的に配置する必要があるが、この場合は、バインダーに混合したマイクロカプセルを所定の形状に印刷するための印刷版が必要となり、製造コストが高くなると言う困難を生じていた.
マイクロカプセルを電極位置に配置する方法としては、上記の印刷のほかに、特開2000−35769号公報に提案されているような、マイクロカプセルが1つずつ通過する程度のノズルを有するインクジェット方式の撃ち出しヘッドをもちいて、マイクロカプセルを、基板上の所望の位置に順次撃ち出し、所定位置に配置する方法もある。しかし、この方法は、マイクロカプセルを1個ずつ打ち出すことの困難のほかに、打ち出されたマイクロカプセルが基板上に着地する際、すでに配置された隣のマイクロカプセルと接触して、互いの位置を乱してしまい、隣接して正確な位置に定着することが難しいという問題を有している。
【0016】
このように、従来はマイクロカプセルを単層かつ規則的に精度よく配置することが困難であったため、作製したマイクロカプセルを効率的に使用することができないばかりでなく、表示装置のカラー化に対しても大きな障害となっていた。
【0017】
また、マイクロカプセルは球形なので、単層に配置すると隣接するカプセル間に隙間が生じ、有効表示面積がその分少なくなリ、コントラストを低下させる。これを回避する方法として、カプセルを押圧して扁平な形状にし、隙間を埋めることが考えられる。扁平にすることで、駆動電圧も低くできる。
【0018】
ところが、電極端部は隣接するマイクロカプセルがないので、押圧するとマイクロカプセルの一部が電極からはみ出し、隣接電極の影響を受けるようになり、これもコントラスト低下の要因になる。電極からはみ出すことなく扁平にするには、あらかじめマイクロカプセルを正確に電極の中央部に配列させる必要があり、高精度のポジショニングが要求される。これは、水平移動型の表示をマイクロカプセルを用いて行う場合のように、画素サイズと同程度の大きさのマイクロカプセルを用いる場合に特に問題となる。
【0019】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、マイクロカプセル型電気泳動表示装置において、マイクロカプセルを基板上に単層かつ規則的に配列することが可能で、したがって作製したマイクロカプセルを効率的に使用することが可能な表示装置およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0020】
またカラー化を可能とし、さらにポジショニングが容易で、その結果コントラストの向上した表示装置およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、基板と、前記基板上に配置された、絶縁性液体と着色帯電粒子とを含む複数のマイクロカプセルと、前記着色帯電粒子を移動させるための一対の電極と、を有する表示装置の製造方法であって、複数のマイクロカプセルと、光透過性樹脂と、を含む複数の樹脂ファイバを基板上に並列に配置する工程を有し、各樹脂ファイバに含まれるマイクロカプセルは、樹脂ファイバ中に1列で配列されていることを特徴とする表示装置の製造方法である。
【0024】
また、本発明は、基板と、前記基板上に配置された、絶縁性液体と着色帯電粒子とを含む複数のマイクロカプセルと、前記着色帯電粒子を移動させるための一対の電極と、を有する表示装置であって、複数のマイクロカプセルと、光透過性樹脂と、を含む樹脂ファイバを複数有し、各樹脂ファイバに含まれるマイクロカプセルは、樹脂ファイバ中に1列で配列され、前記複数の樹脂ファイバは、前記基板上に並列に配置されていることを特徴とする表示装置である。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の表示装置の実施の形態を図1ないし図3を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の態様に係る表示装置である電気泳動表示装置の一例を示す平面図である。図2は図1のAA’線に沿って切断した断面図である。図3は図1のAA’線に沿って切断した他の例を示す断面図である。
【0029】
図1ないし図3において、6は絶縁性液体、5は着色帯電粒子、8はこれら絶縁性液体6及び着色帯電粒子5を封入している、光透過性の絶縁性材料の壁材14からなる光透過性のマイクロカプセル、7はバインダーである光透過性樹脂、1、2は第一、第二基板で、マイクロカプセル8は光透過性樹脂7で一列に配列した状態で固定された樹脂ファイバ9となっており、電極3または4と接着されている。なお、図1においては、第1基板1と第2基板2、第1電極3と第2電極4は省略されている。図3においても第2基板2が省略されているが、実際にはなくてもよい。15はマイクロカプセル含有ファイバを示す。
【0030】
図1ないし図3に示されるように、本発明の表示装置においては、着色帯電粒子を絶縁性液体に分散してなる分散系が、カプセル内に封入され、さらにそのカプセルが1列に配列して、光透過性の樹脂ファイバ中に埋め込まれている。後述する製造方法により、樹脂ファイバ中のマイクロカプセルはつながって、または所定の間隔を置いて1列に配列されている。この樹脂ファイバを基板上に電極に沿って配置することにより、マイクロカプセルの規則的配列が得られる。樹脂ファイバを1本ずつ配列するので、マイクロカプセルを1個ずつ配置するよりも簡単で短時間ででき、高いポジショニング精度が得られると言う利点がある。
【0031】
後述する製造方法では、図5に示すように、マイクロカプセルをバインダ樹脂中に混練したものを、ノズルから射出してファイバ状に成形するので、ファイバ径はノズル径でほぼ決まる。ノズル径をマイクロカプセルが1列で通過するように選ぶと、マイクロカプセルが1列で配列した樹脂ファイバを作ることができる。このとき、ファイバの径はマイクロカプセルの直径にほぼ等しい。樹脂ファイバはマイクロカプセルを配列させるためのものであるから、余分な太さを有する必要はなく、マイクロカプセルの直径程度であるのが望ましい。また、ノズルの断面形状を長方形に選ぶと、複数列のマイクロカプセルが封入された樹脂ファイバを形成できる。
【0032】
樹脂ファイバ中のマイクロカプセルの間隔は、マイクロカプセルのバインダ混練濃度、ノズルからの射出速度などをコントロールすることによって所望値に設定される。後述のマトリクス表示装置に応用する場合は、画素ピッチに応じて間隔が設定されることもある。一般には、マイクロカプセルの間隔があきすぎると有効な表示に寄与しない面積が増えることになり、コントラストを低下させるので好ましくない。本発明では、マイクロカプセルのバインダ混練濃度、ノズル内のマイクロカプセル密度、射出速度、樹脂硬化速度を調節することで、任意の間隔で配列させることができ、特に、隣接マイクロカプセルを接して配列させることもできる。
【0033】
また、樹脂ファイバは、基板上に配列するために適度の剛直性または柔軟性を有する。その度合いは、基板に配列する方法によって違う。硬化した後、適当な長さにカットされ、ストライプ電極上に配置する場合はできるだけ剛直に作られ、図5に示すように、ノズルから射出しながら半硬化状態で基板上に配置するときは柔軟に作られる。樹脂の材質を選択することによりこれらの性質をコントロールすることができる。
【0034】
マイクロカプセルが球状であると、上で説明したように、表示に寄与しないマイクロカプセル間の隙間が生じ、コントラストの低下を招く。マイクロカプセル間の部分の減少と、駆動電圧の低減の両方を実現するために、押圧あるいは自重で変形させ、表示装置の厚みを低減させることが望まれる。つまり、マイクロカプセルの形状は、基板に対して水平方向の長さが、垂直方向の高さよりも大きいほうがよく、例えば図3に示すような扁平な楕円体や第4図に示すような半球形状が挙げられる。
【0035】
本発明においては、着色帯電粒子を第一電極3と第二電極4との間に移動させることにより表示を行うが、上で述べたとおり、着色帯電粒子の泳動方向として基板に対して垂直方向(垂直移動型)と水平方向(水平移動型)の二方向が考えられる。
【0036】
以下、この2つの表示装置について、本発明の実施態様を説明する。
垂直移動型の場合においては、図2に示すように、第一電極3と第二電極4を対向配置し、第二電極側から観察した場合、第一電極3と第二電極4間への電圧印加によって絶縁性液体中の着色帯電粒子を第一電極3上に集めると、観察者からは絶縁性液体の色が観察される。逆に絶縁性液体中の着色帯電粒子を第二電極4上に集めると観察者からは着色帯電粒子の色が観察される。このように構成することにより、例えば着色帯電粒子を黒色に、絶縁性液体を白色とすれば、白黒の二値表示が可能となる。
【0037】
水平移動型の場合においては、第一電極3と第二電極4が図3に示すように一方の基板上に配置し、図示C方向から観察すると、第一電極3と第二電極4間への電圧印加によって透明な絶縁性液体中に黒色帯電粒子を第一電極3上にあつめた場合、公知(特開平11−202804号公報)のように、観察者からは黒色が観察される。逆に、第二電極4上にあつめた場合、観察者からは白色が観察される。このように構成することにより、前記同様白黒の二値表示が可能となる。
【0038】
上記いずれかの表示を行う素子を1画素として、これをマトリクス状に配列することにより、表示装置を得る。上記マイクロカプセルが埋め込まれたファイバはマトリクスの行方向または列方向に並列配置されており、画素部では図2および図3に示すように第1電極3と第2電極4に接している。ファイバの径が画素幅より小さいときは、1画素の幅に複数本のマイクロカプセルファイバを配置する。図3の水平移動型表示装置の場合は、マイクロカプセル径が画素幅とほぼ同一であることが望ましいので、この場合は、図3に示すように、1画素幅に1本のファイバが配置される。
【0039】
多くのカラー表示装置では、1画素が3色の副画素から構成され、各々の副画素は列方向に連続した色のストライプになっている。本発明のマイクロカプセル表示装置は、カラー表示に容易に拡張できる。すなわち、着色されたマイクロカプセルを含有するファイバを図5のように規則的に配置することで、カラー表示が可能となる。例えば、ファイバ中のマイクロカプセルをイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)に着色することが挙げられる。
【0040】
カラー表示としては、3色を並置して表示し視覚上で混色させる方法と、3色を積層して 表示し混色の透過光を作る方法とがあるが、本願のカラー表示装置は、このいずれにも適用できる。前者の方法では、同一基板上にカラーファイバをYCMYCM・・・と規則的に並列配置する。後者の方法では、各色のファイバ層を3層重ねる。
【0041】
上記のマイクロカプセルを封入したファイバを配列させてなるマトリクス表示装置には、以下のような特徴がある。
第1に、単層のマイクロカプセル配列になるので重なりによる無駄なマイクロカプセルがなく、使用効率がよい。
第2に、インクジェット方式などの従来方式に比べて、マイクロカプセルの間隔を狭くできるので、高密度の配置が実現でき、コントラストを高くすることができる。
第3に、ファイバ内で1列に配列して封入されているので、押圧でマイクロカプセルを扁平にする際に、均一な変形が得られ、電極幅からはみ出すことがない。したがって隣接画素の影響がなく、高コントラストになる。
【0042】
次に、本発明の表示装置の製造方法について説明する。
本発明の表示装置の実施態様の製造方法の一例を図2および図5を用いて説明する。まず、絶縁性材料からなる光透過性のマイクロカプセル内に、着色帯電粒子を分散させた絶縁性液体を封入する。マイクロカプセルの形成方法は、公知の技術によって作製することができる。例えば、特開平10−149118号公報、特開平11−119264号公報などに記載されている界面重合法などが好適である。
【0043】
また、ここでは、ゼラチンを壁材として用いた例を示すが、該カプセル壁材はこれに限ったものではない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネー、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダなど各種化合物や各種共重合体を用いることができる。
【0044】
マイクロカプセル中の絶縁性液体にはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ノルマルパラフィン、イソパラフィンなどの脂肪族炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素などを使用することができる。中でも、イソパラフィンやシリコーンオイルが好ましく用いられる。また、低粘度の液体が好ましい。また、絶縁性液体は、着色帯電粒子との比重を合わせるために、比重の異なった絶縁性液体を添加することもある。絶縁性液体に着色を施す場合は、油溶性の染料、顔料などを添加する。
【0045】
着色帯電粒子は、絶縁性液体中で電界により泳動可能で着色した有機、無機材料であり、微粒子であれば使用できる。その色は、材料自身の色でも着色材を添加したものでもよい。また、着色帯電粒子は一種類の材料で構成されても、複数の材料で構成されていてもよい。具体的には、白色粒子であれば、酸化チタン、酸化アルミニウム、黒色あるいはその他の色の粒子であれば、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂等の樹脂に着色材を混合したものが好ましく用いられる。また、着色剤としては、カーボンを始め、公知の染料、顔料、例えば、フタロシアニンブルー、レーキレッド、ハンザイエロー等幅広く使用することができる。また、必要に応じて荷電制御剤を添加することもある。なお、着色帯電粒子の大きさとしては、粒径が0.1μm以上50μm以下のものが好ましく用いられ、さらに好ましくは0.1μm以上10μm以下である。
【0046】
マイクロカプセルの直径は、変形した場合も含めて、長径で30μm以上700μm以下、好ましくは50μm以上400μm以下、短径で30μm以上350μm以下、好ましくは50μm以上200μm以下の範囲が望ましい。
また、樹脂ファイバの径は、30μm以上500μm以下、好ましくは50μm以上300μm以下の範囲が望ましい。
【0047】
作製したマイクロカプセルは水溶性のシリコーン樹脂やアクリル樹脂などのバインダーに混練し、図5に示すように、カプセル径程度の内径(30μm以上500μm以下が好ましい)を持つノズル10の付いた射出器11を用いて押し出すことによってファイバ状に成形する。このとき、カプセルの間隔はバインダーの粘性、バインダー材中のマイクロカプセルの濃度を制御することによって制御することができる。バインダー材はエステル樹脂、ウレタン系樹脂でもよい。ノズル内径は50μm以上300μm以下が更に好ましい。
【0048】
樹脂ファイバの形状は、特に制限はなく、その断面の形状が四角形、三角形、円形、楕円形、それらの組み合わせ等が挙げられる。
【0049】
次に、前記のように作製したマイクロカプセル含有ファイバを、以下に示す工程で基板に配置する。
まず、垂直移動型の表示装置の場合について、図2を用いて説明する。
【0050】
第一基板1上には第一電極3が形成されている。基板材料としては、ガラスやプラスチックフィルムを使用する。観察者側の基板としては光透過性であるガラス、石英等でよいが、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)等の樹脂フィルムが使用される。
【0051】
第一電極3の材料には特に制限はないが、通常Alなどの金属電極を使用する。前記第一基板1上に、第1電極に沿って前記マイクロカプセルを含有するファイバを単層になるように配置する。このとき、ファイバは、ノズルから射出した直後の半硬化状態で、ノズルを基板に対して動かしながら電極上に配置してもよく、あらかじめ硬化し切断された、直線性を持ったファイバを電極上に配列してもよい。バインダー自身が接着性を有する場合には接着剤の働きをするため、接着剤は必要がないが、光透過性の樹脂のような接着剤を補助的に使用してもよい。
第二電極4の材料にはITO膜あるいは有機導電膜などの透明電極を使用する。
【0052】
次に、水平移動型の表示装置の場合について、図3を用いて説明する。第一基板1上には第一電極3が形成されている。基板材料は、垂直移動型と同様である。第一電極3の材料には、通常Alなどの光反射性の金属電極を使用する。第一電極3上には、光散乱性の絶縁層を設ける。例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン等の光を散乱させるための微粒子を透明の絶縁性樹脂に混合した層を形成する。
【0053】
また、微粒子を用いずに金属電極表面の凹凸を利用して光を散乱させる方法を用いてもよい。
次に、絶縁層上に第二電極4を形成する。第二電極4には表示装置の観察者側からみて暗黒色に見える導電性材料、例えば炭化チタンや黒色化処理したCr、黒色層を表面に形成したAl、Tiなどを用いる。
【0054】
次に、第二電極4上に、前記マイクロカプセルを含有するファイバを層状に形成する。ファイバは第二電極4上に配置した後、上面から圧力を加えてマイクロカプセルを偏平化させ、偏平させた状態でバインダーを硬化させることが好ましいが、バインダーの粘度が十分に低く、柔軟な壁を持つカプセルの場合は、上面からの圧力を加えること無しに、カプセルの自重で変形させることも可能である。
【0055】
あるいは、あらかじめ扁平形に硬化させたファイバを、基板上に1本ずつ電極に沿って配置してもよい。
第一、第二電極3、4に電圧印加回路を接続して表示装置を得ることができる。表示装置 の上部(観察者側)に基板はあってもなくてもよい。
【0056】
以上に説明した本発明のマイクロカプセル表示装置の製造方法には以下の長所がある。
第1に、剛直なファイバを配置するか、ノズルを移動させながら配置するので、カプセルを直線状に精度よく配置することが容易である。
第2に、少なくとも一方の基板には、電極、または信号線がパタンニングされているので、その基板上に、電極位置にあわせてファイバを配置すればよく、電極との位置精度が高い。
第3に、押圧、または自重で扁平に変形させる際に、マイクロカプセルが樹脂内に固定されているので、位置がずれることがなく、したがって、電極からマイクロカプセルがはみ出すことがない。
【0057】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0058】
実施例1
図2に示す表示装置を作製した。
絶縁性液体として親油性青色染料で着色したイソパラフィンを用い、着色帯電粒子として黄色に着色したポリスチレンからなる粒径1μmないし2μmの黄色粒子を3重量%となるように混合し分散させた。ゼラチンを壁材とし、この分散溶液を含有する柔軟な壁をもつマイクロカプセルを通常のコアセルベーション法で作製した。
【0059】
上記マイクロカプセルは、壁の厚さは2μmないし4μm、直径が100μmないし120μm程度であった。このマイクロカプセルを、30重量%ポリビニルアルコール水溶液に混合し、内径100μmのノズル付き射出器に入れ、押し出すことによってマイクロカプセル含有樹脂ファイバを作製し、基板上にこの樹脂ファイバを並べた。その基板には、厚さ200μmのPETフィルムからなる第一基板1上に第一電極3としてAlをパターン形成したものである。この基板に樹脂ファイバを並べ、乾燥し、熱をかけて接着した。
【0060】
ポリビニルアルコール水溶液のバインダー層が乾燥した後、ファイバ層上面にPETフィルムからなる第二基板2上に第二電極4としてITOを成膜した基板を、光透過性の接着剤で接着し、ファイバと基板を密着させ、電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0061】
得られた表示装置を用いて表示を行った。印加電圧は±50Vとした。本実施例で用いた着色帯電粒子はイソパラフィン中において正に帯電しており、負に印加された電極側に泳動した。応答速度は30msec以下であり、その際表示ムラは観察されなかった。
【0062】
実施例2
図3に示す表示装置を作製した。
絶縁性液体としてシリコーンオイルを用い、着色帯電粒子としてポリスチレンとカーボンからなる粒径1μmないし2μmの黒色粒子を3重量%となるように混合し分散させた。実施例1と同様の方法で作製したマイクロカプセルを、30重量%のスチルバゾリウム基を導入したポリビニルアルコール水溶液に混合し、内径100μmのノズル付き射出器に入れ、押し出すことによってマイクロカプセル含有ファイバを作製した。
【0063】
PESフィルムからなる第一基板1上に第一電極3としてAl層を形成した。第一電極3上に光散乱性の絶縁層を設けた。次に、絶縁層上に第二電極4として暗黒色の炭化チタ ンを成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、ストライプ状にパターニングした。線幅は25μm、ビッチ100μmとした。
【0064】
前記マイクロカプセル含有ファイバを第二電極4上にのせ、乾燥し、接着した。ファイバが乾燥した後、ファイバと基板を密着させ、電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0065】
PET基板をマイクロカプセル含有ファイバ側の上面にのせ、ローラーで圧力をかけることによって、ファイバのなかのカプセルを偏平形に変形させ、紫外線を照射することでファイバを硬化させた。前記カプセル含有ファイバの上面に保護膜として光透過性のフィルムを形成した。電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0066】
得られた表示装置を用いて表示を行った。着色帯電粒子はシリコーンオイル中において正に帯電しており、負に印加された電極側に泳動した。その際表示ムラは観察されなかった。
【0067】
実施例3
絶縁性液体としてイソパラフィンを用い、その他は実施例1と同様にマイクロカプセルを作製した。
【0068】
上記マイクロカプセルは、隔壁の厚さは5μm、直径が約200μm程度である。このマイクロカプセルを、20重量%ポリビニルアルコール水溶液に混合し、内径200μmのノズル付き射出器に入れ、押し出すことによってマイクロカプセル含有ファイバを作製した。前記作製したファイバを前記第一基板1上に並べ接着し、ファイバを硬化させた。基板は実施例2と同様のものを用いた。ファイバが硬化する前に、カプセルは自重によって半球型に変形した。前記カプセル含有ファイバの上面に保護膜として光透過性のフィルムを形成させた。電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0069】
得られた表示装置を用いて表示を行った。着色帯電粒子はシリコーンオイル中において正に帯電しており、負に印加された電極側に泳動した。その際表示ムラは観察されなかった。
【0070】
実施例4
絶縁性液体としてシリコーンオイルを用い、着色帯電粒子としてポリスチレンとイエロー、シアン、マゼンダの着色染料からなる粒径1μmないし2μmの各着色粒子を3重量%となるようにそれぞれ混合し分散させた。
【0071】
実施例1と同様の方法でマイクロカプセルファイバを作製し、前記第二電極4上に各色が順番に並ぶように並べ接着し、ファイバを硬化させた。前記カプセル含有ファイバの上面に保護膜として光透過性のフィルムを形成させた。電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0072】
得られた表示装置を用いて表示を行った。着色帯電粒子はシリコーンオイル中において正に帯電しており、負に印加された電極側に泳動した。その際表示ムラは観察されず、カラー表示を行うことができた。
【0073】
実施例5
絶縁性液体としてシリコーンオイルを用い、着色帯電粒子としてポリスチレンとイエロー、シアン、マゼンダの着色染料からなる粒径1μmないし2μmの各着色粒子を3重量%となるようにそれぞれ混合し分散させた。
【0074】
実施例1と同様の方法でマイクロカプセルファイバを作製し、前記第二電極4上に並べて接着し、PET基板を上面にのせ、ローラーで圧力をかけることによって、ファイバのなかのカプセルを偏平形に変形させ、ファイバを硬化させ、PET基板を剥離した。前記カプセル含有ファイバの上面に保護膜として光透過性のフィルムを形成した後、電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0075】
得られた表示装置を用いて表示を行った。着色帯電粒子はシリコーンオイル中において正に帯電しており、負に印加された電極側に泳動した。その際表示ムラは観察されず、カラー表示を行うことができた。
【0076】
実施例6
絶縁性液体としてイソパラフィンを用い、着色帯電粒子としてポリスチレンとイエロー、シアン、マゼンダの着色染料からなる粒径1μmないし2μmの各着色粒子を3重量%となるように混合し分散させた。実施例3と同様の方法によってマイクロカプセル含有ファイバを作製し、第一基板1上に並べ接着し、ファイバを硬化させた。ファイバが硬化する前に、カプセルは自重によって半球型に変形した。前記カプセル含有ファイバの上面に保護膜として光透過性のフィルムを形成させた。電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0077】
得られた表示装置を用いて表示を行った。着色帯電粒子はシリコーンオイル中において正に帯電しており、負に印加された電極側に泳動した。その際表示ムラは観察されず、カラー表示を行うことができた。
【0078】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、マイクロカプセル型電気泳動表示装置において、バインダーにマイクロカプセルを混合し基板上に単層かつ規則的に配列することができ、また作製したマイクロカプセルを効率的に使用することが可能となった。さらに、そのマイクロカプセルを用いた表示装置のカラー化が可能となった。
【0079】
また、マイクロカプセルの形状も球形から基板に対して水平方向の長さが、垂直方向よりも大きい形状に変形可能となった。このことから、表示に寄与しないマイクロカプセルの隙間の部分が低減されたことにより、コントラストの向上が可能となり、表示装置部を薄くすることによって駆動電圧の低減が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置である電気泳動表示装置の一例を示す平面図である。
【図2】図1のAA’線に沿って切断した断面図である。
【図3】図1のAA’線に沿って切断した他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の表示装置の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明におけるマイクロカプセルを含有するファイバを作製する装置を示す概略図である。
【図6】従来の表示装置を示す概略断面図である。
【図7】従来の表示装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 第一基板
2 第二基板
3 第一電極
4 第二電極
5 着色帯電粒子
6 絶縁性液体
7 光透過性樹脂
8 マイクロカプセル
9 樹脂ファイバ
10 ノズル
11 射出器
12 絶縁層
13 隔壁
14 壁材
15 マイクロカプセル含有ファイバ
Y イエロー
C シアン
M マゼンダ

Claims (7)

  1. 基板と、前記基板上に配置された、絶縁性液体と着色帯電粒子とを含む複数のマイクロカプセルと、前記着色帯電粒子を移動させるための一対の電極と、を有する表示装置の製造方法であって、
    複数のマイクロカプセルと、光透過性樹脂と、を含む複数の樹脂ファイバを基板上に並列に配置する工程を有し、
    各樹脂ファイバに含まれるマイクロカプセルは、樹脂ファイバ中に1列で配列されていることを特徴とする表示装置の製造方法。
  2. 複数のマイクロカプセル光透過性樹脂とノズルから射出して樹脂ファイバを形成する工程を有することを特徴とする請求項に記載の表示装置の製造方法。
  3. 前記複数の樹脂ファイバを基板上に並列に配置する工程、ノズルを移動させながら、ノズルから射出した半硬化状態の前記複数の樹脂ファイバを前記基板上に並列に配置する工程であることを特徴とする請求項に記載の表示装置の製造方法。
  4. 前記複数の樹脂ファイバを基板上に並列に配置する工程は、前記光透過性樹脂を硬化させ後に所定の長さに切断した前記複数の樹脂ファイバを前記基板上に並列に配置する工程であることを特徴とする請求項に記載の表示装置の製造方法。
  5. 前記複数の樹脂ファイバを基板上に並列に配置する工程は、複数色の樹脂ファイバを前記基板上に並列に配置する工程であることを特徴とする請求項に記載の表示装置の製造方法。
  6. 基板と、前記基板上に配置された、絶縁性液体と着色帯電粒子とを含む複数のマイクロカプセルと、前記着色帯電粒子を移動させるための一対の電極と、を有する表示装置であって、
    複数のマイクロカプセルと、光透過性樹脂と、を含む樹脂ファイバを複数有し、
    各樹脂ファイバに含まれるマイクロカプセルは、樹脂ファイバ中に1列で配列され、
    前記複数の樹脂ファイバは、前記基板上に並列に配置されていることを特徴とする表示装置。
  7. 前記複数の樹脂ファイバは、複数色の樹脂ファイバを有することを特徴とする請求項に記載の表示装置。
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