JP3554222B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置に関し、特に電極に印加された電圧により液体中の帯電粒子を移動させて表示を行う電気泳動表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の発達に伴い、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、これらのニーズに合わせた表示装置の研究、開発が盛んに行われている。中でも液晶表示装置は、液晶分子の配列を電気的に制御することにより、液晶の光学的特性を変化させることができ、上記のニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われ、商品化されている。
【0003】
しかしながら、この液晶表示装置は、画面を見る角度や反射光による画面上の文字の見づらさや、光源のちらつき・低輝度等から生じる視覚への負担が未だ十分に解決されていない。この為、視覚への負担の少ない表示装置の研究が盛んに検討されている。
【0004】
そこで、このような低消費電力、眼への負担軽減等の観点から反射型表示装置が期待されており、その一つとして電気泳動表示装置が知られている。ここで、この電気泳動表示装置は、図8に示すように帯電した泳動粒子31と絶縁性液体32とからなる分散層と、この分散層を挟んで対峙する一組の電極33,34とを備えており、この電極33,34を介して分散層に電圧を印加することにより、泳動粒子31を粒子自身が持つ電荷と反対側に引き寄せるようにしている。
【0005】
また、この電気泳動表示装置は、泳動粒子31を着色すると共に絶縁性液体32を染色することによってカラー表示を行うことができる。つまり、同図の(b)に示すように着色帯電粒子である着色された泳動粒子31が観測者に近い第1の電極33表面に付着した場合は、泳動粒子31の色が表示され、逆に(a)に示すように観測者から遠い第2の電極表面34に付着した場合は、染色された絶縁性液体32の色が表示される。
【0006】
ところで、このような構成の電気泳動表示装置においては、長時間繰り返し使用すると泳動粒子31の濃度分布に偏りが生じ、結果的に表示ムラとなる恐れがある。そこで、このような濃度分布の偏りを防ぐ方法として、例えば特開昭59−34518号公報或は特開平2−284124号公報等で提案されているように、封入部に一定の間隔で隔壁を形成し、小区画に分割する方法がある。
【0007】
また、例えば特開平1−114828号公報で提案されているように、分散媒で膨潤する部材からなる有孔性スペーサーを用い、分散系を注入後、不連続な小区画に分割する方法がある。ここで、この提案は予め液体及び泳動粒子を充填した複数の光透過性の管を基板間に配置するものであり、管自体が隔壁となりうることから、隔壁を形成することは不要である。
【0008】
なお、光透過性の管を基板間に配置した構成の表示装置としては特開昭49−96694号公報で提案された液晶表示装置がある。これは内部に液晶材料を充填した管を平行に配置した構成を持ち、厚さが均一で、外部からの水分、気体などの混入を防ぐことのできる表示装置として提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の電気泳動表示装置において、既述したように泳動粒子の濃度分布の偏りによる表示ムラを防ぐ目的で、封入部に隔壁を形成した場合には、各小区画に均等に泳動粒子を分配しなければならず、その分配が困難であった。また、基板上への隔壁の形成、泳動粒子及び絶縁性液体の均一な分配、封入を必要とする一連の製造工程には多くの時間及びコストを要するという問題があった。
【0010】
さらにカラー表示を行う場合、複数の色の泳動粒子あるいは絶縁性液体を用いるため、隔壁により小区画に分割しても製造時、隣接した区画で互いに色の混入が起こり易く、所望の色の泳動粒子あるいは絶縁性液体のみを充填することは困難であった。したがって、カラー表示にはさらに困難が伴うという問題があった。
【0011】
そこで、本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、表示ムラを低減することができると共に、製造コスト削減が可能な(電気泳動)表示装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁性液体中に分散している着色帯電粒子と、該着色帯電粒子に電圧を印加する第1電極及び第2電極とを備え、前記第1電極及び第2電極に印加される電圧により前記着色帯電粒子を該第1電極又は第2電極の方向に移動させて表示を行う表示装置であって、前記絶縁性液体及び着色帯電粒子を光透過性を有する管に充填すると共に、管同士を、前記第1電極が形成された第1基板と、光透過性の前記第2電極が形成された光透過性の第2基板との間に密着して配置したことを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記第1電極及び第2電極に印加された電圧により前記着色帯電粒子を、前記第1及び第2基板に対して垂直に移動させることを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、前記管内の絶縁性液体及び着色帯電粒子は該管に同時に充填されたものであることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記管内の絶縁性液体及び着色帯電粒子は該管に別々に充填されたものであることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、前記管がポリマーにより形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明は、前記管に充填されている絶縁性液体は、前記着色帯電粒子とは異なる色に着色されていることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明は、前記絶縁性液体がイエロー、マゼンダ、シアンのいずれかに着色されていることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明は、前記異なる色の絶縁性液体を充填した管を、前記第1基板及び第2基板との間に規則的に配置したことを特徴とするものである。
【0020】
また本発明は、前記管に充填されている着色帯電粒子がイエロー、マゼンダ、シアンのいずれかに着色されていることを特徴とするものである。
【0021】
また本発明は、前記異なる色の着色帯電粒子を充填した管を、前記第1基板及び第2基板との間に規則的に配置したことを特徴とするものである。
【0022】
また本発明は、前記第1基板及び第2基板がポリマーフィルムであることを特徴とするものである。
【0023】
また本発明のように、絶縁性液体と、第1電極及び第2電極に印加される電圧により第1電極又は第2電極の方向に移動する着色帯電粒子とを光透過性を有する管に充填すると共に、これら絶縁性液体及び着色帯電粒子が充填された管同士を、第1電極が形成された第1基板と光透過性の第2電極が形成された光透過性の第2基板との間に密着して配置することにより、着色帯電粒子を均一に分散させるようにする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置である電気泳動表示装置の斜視図、図2はその断面の一部を示す図である。
【0026】
図1及び図2において、1は絶縁性液体、2は着色帯電粒子、3はこれら絶縁性液体1及び着色帯電粒子2を封入している光透過性の管、4は第1基板、6は光透過性の第2基板であり、管3は第1基板4と第2基板6の間に保持されている。また、第1基板4には第1電極8が、第2基板6には光透過性の第2電極7がそれぞれ形成されている。
【0027】
ここで、この電気泳動表示装置(以下、表示装置という)は、絶縁性液体中で帯電した泳動粒子である着色帯電粒子2を基板面と垂直に、第1電極面上、或は第2電極面上に移動させることにより表示を行うものであり、例えば、図2の(a)に示すように絶縁性液体中の着色帯電粒子2を第1電極8への電圧印加によって第1電極上に集めると、観測者(第2基板側)からは絶縁性液体1の色が観察(表示)される。一方、図2の(b)に示すように電圧の極性を変えて着色帯電粒子2を第2電極上に集めると、着色帯電粒子2の色が観察される。
【0028】
そして、このように構成することにより、例えば着色帯電粒子2を黒色にし、絶縁性液体1を白色とすれば、白黒表示が可能となる。
【0029】
ところで、このような表示装置おいては、複数の色の絶縁性液体1を用いることにより、また複数の色の着色帯電粒子2を用いることによりカラー表示を行うことができる。
【0030】
次に、このようなカラー表示可能な表示装置について説明する。
【0031】
図3は複数の色の絶縁性液体を用いてカラー表示を行う表示装置の断面図であり、この表示装置においては、同図に示すように着色帯電粒子2と、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)各色の絶縁性液体10,11,12とを封入した管3が規則的に配置されている。さらに、着色帯電粒子2を白色とすると共に第2基板6及び第2電極7を透光性材料にて形成する一方、表示の観測を第2基板側から行なうようにしている。
【0032】
ここで、例えばイエロー(Y)の表示は、イエロー(Y)の絶縁性液体10が封入された管内の着色帯電粒子2を第1電極上に集め、他のマゼンダ(M)、シアン(C)の絶縁性液体11,12が封入された管内の着色帯電粒子2を第2電極上に集めることにより可能となる。また、同図に示すようにイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の絶縁性液体10,11,12が封入された各管内の着色帯電粒子2を全て第1電極上に集めるようにすれば黒を表示でき、反対に着色帯電粒子2を全て第2電極上に集めるようにすれば白を表示することができる。
【0033】
図4は複数の色の着色帯電粒子を用いてカラー表示を行う表示装置の断面図であり、この表示装置においては、同図に示すように不透明白色の絶縁性液体1と、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)各色の着色帯電粒子13,14,15とを封入した管3が規則的に配置されている。なお、表示の観測を第2基板側から行なうようにしている。
【0034】
ここで、例えばイエロー(Y)の表示は、イエロー(Y)の着色帯電粒子13を第2電極上に集め、マゼンダ(M)、シアン(C)の着色帯電粒子14,15を第1電極上に集めることにより可能となる。また、同図に示すように着色帯電粒子13,14,15を全て第1電極上に集めるようにすれば白を表示でき、反対に着色帯電粒子13,14,15を全て第2電極上に集めるようにすれば黒を表示することができる。
【0035】
なお、以上のカラー表示において、着色帯電粒子2,13,14,15の色は、材料自身の色でもよく、それらの材料表面に他の材料を積層、混合したものでもよい。また、着色帯電粒2,13,14,15は1種類或いは2種類以上の材料で構成されていてもよい。
【0036】
次に、このような表示装置の製造プロセスについて説明する。
【0037】
まず、光透過性の管3の中に着色帯電粒子2及び絶縁性液体1を充填する。なお、本実施の形態においては、この管3は断面が円または楕円形状を有するものであり、また管3の材料としては可視光の透過率が高いアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)等のポリマー或いはガラス、石英等の無機材料を使用することができるが、柔軟性が高いポリマーが特に好ましく用いられる。なお、管3の径は表示画素の大きさに応じて適宜決定される。
【0038】
一方、絶縁性液体1としては、シリコーンオイル、トルエン、キシレン、高純度石油等の液体を使用するが、絶縁性液体1を着色してカラー表示を行う場合は、色材として染料等を上記絶縁性液体中に溶解または分散させて使用する。
【0039】
また着色帯電粒子2としては、絶縁性液体中で帯電しうる材料を用いる。例えば、酸化チタン(白)、酸化アルミニウム(白)や、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂に着色剤を混ぜたものを使用する。ここで、着色剤としてはカーボン(黒)を始め公知の染顔料、例えばフタロシアニンブルー、インダスレンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジンイエロー等広く使用することができる。なお、粒子の大きさとしては、通常は0.1μm〜50μm位のものを使用する。
【0040】
また、着色帯電粒子2及び絶縁性液体1を管3に充填する方法としては、例えば図5の(a)に示すように、絶縁性液体1と着色帯電粒子2を適当な容器21中で混合し、良く攪拌しながら管3の一端を液中に入れ、他の一端から吸引しながら同時に充填する方法や、(b)に示すように、予め管3の内壁に着色帯電粒子2を均一に付着させた後、管3に絶縁性液体1を入れるようにして着色帯電粒子2と絶縁性液体1とを別々に管3の中に充填する方法がある。
【0041】
そして、これらの方法により着色帯電粒子2及び絶縁性液体1を充填した後、管3の両端を加熱等により閉じて封止する。
【0042】
次に、この管3を図6に示すプロセスに従って基板間に配置する。即ち、まず同図の(a)に示すように第1基板4に第1電極8をパターニング形成する。なお、第1基板4の材料としては、耐熱性の高い材料、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)等のポリマーフィルム或いはガラス、石英等の無機材料を使用することができる。
【0043】
また、第1電極8は、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよく、第1電極8を透明電極とするならば、酸化インジウムすず(ITO)などを用いる。なお、必要に応じて第1電極上に絶縁層(不図示)を形成し、全面を平滑にするようにしても良い。
【0044】
次に、(b)に示すように第2電極6に第2電極7をパターニング形成する。なお、第2電極7の形成材料は、可視光の透過率が高く、且つ耐熱性の高い材料を使用する。また、第2電極7の形成材料としても、可視光の透過率が高い材料を使用する。さらに、第2電極形成後、第2電極6に絶縁層(不図示)を形成し、全面を平滑にするようにしても良い。
【0045】
次に、第1基板4の上に(c)に示すように着色帯電粒子2と絶縁性液体1を充填した管3を配置する。なお、カラー表示の場合は、異なる色の着色帯電粒子2あるいは絶縁性液体1を封入した管3を適宜規則的に、例えばイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の順で配置する。
【0046】
次に、(d)に示すように第2基板6を、第1及び第2電極7,8が直交する向きで管3の上方に配置した後、第1基板4との位置合わせを行い、この後、外周部分に外枠(不図示)を介し熱を加えて第1基板4及び第2基板6を接着する。この際、両基板4,6の間隔に応じて管3が変形し、これにより(e)に示すように管同士を隙間なく密着させて並べることができる。そして、最後に電圧印加手段(不図示)を設けて表示装置が作製される。
【0047】
このように、絶縁性液体1及び着色帯電粒子2を光透過性の管3に充填すると共に、この管3を複数並べて配置することにより、製造時における着色帯電粒子2の均一な分散を容易に行うことができる。また、既述した基板上への隔壁の形成、微小な領域への着色帯電粒子2及び絶縁性液体1の均一な分散等の時間及び手間のかかる工程を必要としないため、コストの低減が実現できる上に、歩留まりを向上させることができる。
【0048】
さらに、着色帯電粒子2は管内を移動するのみであるため表示装置を長時間使用した場合でも、着色帯電粒子2の偏りを低減することができ、表示ムラを防ぐことができる。またさらに、以上の方法によって作製された表示装置は、2色表示、カラー表示が可能であり、高視野角、高コントラストを実現できる。
【0049】
次に、本実施の形態の実施例について説明する。
【0050】
[実施例1]
本実施例1においては、以下のようにして表示装置を作製した。
【0051】
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる光透過性の管の中に着色帯電粒子及び絶縁性液体を充填した。ここで、光透過性の管としては断面が円で内径200μmのものを用いた。また、絶縁性液体としては親油性白色染料を溶解したシリコーンオイル、着色帯電粒子としては、ポリスチレンとカーボンの混合物で、粒子の大きさが1μm〜2μm位の黒色のものを使用した。
【0052】
さらに、着色帯電粒子及び絶縁性液体を管に充填する方法としては、既述した図5の(a)に示したように、絶縁性液体1と着色帯電粒子2を適当な容器9中で混合し、良く攪拌しながら管3の一端を液中に入れ、他の一端から吸引しながら充填する方法を用いた。そして、充填が終了した後、加熱により管3の両端を閉じて封止した。
【0053】
次に、厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板4に第1電極8としてITOを成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりライン状にパターニングした(図6(a)参照)。次に、厚さ200μmのPETフィルムからなる光透過性の第2基板6に第2電極7としてITOを成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりライン状にパターニングした(図6(b)参照)。
【0054】
次に、このように構成された第1基板4の上に着色帯電粒子2と絶縁性液体1を充填した管3を並べた(図6の(c)参照)。そして、この後、第2基板6を、第1及び第2電極7,8が直交するように管3の上方に配置し(図6の(d)参照)、さらにこの後第1基板4及び第2基板6の位置合わせを行った後、外周部分に外枠を介して熱を加えて第1及び第2基板4,6を接着した。
【0055】
これにより、管3の上下部分は基板4,6に接触して平滑となり、また管同士は隙間なく密着して配置された(図6の(e)参照)。そして最後に、電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0056】
次に、このようにして作製した表示装置を用いて表示を行った。なお、印加電圧は±50Vとした。ここで、本実施例1で用いた着色帯電粒子2はシリコーンオイル中で正に帯電していたため、負電圧が印加される電極上に移動した。これにより、負電圧が印加される電極を第1電極8とした場合、第1電極上に黒色の着色帯電粒子2が移動したため(図2の(a)参照)、表示面は白色表示となった。
【0057】
一方、負電圧が印加される電極を第2電極7とした場合、第2電極上に黒色の着色帯電粒子2が移動するため(図2の(b)参照)、表示面からは黒色が観察できた。なお、このときの応答速度は30msec以下であった。また、着色帯電粒子2の偏在による表示ムラも見られなかった。
【0058】
[実施例2]
本実施例2においては、以下のようにして表示装置を作製した。
【0059】
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる光透過性の管の中に着色帯電粒子及び絶縁性液体を充填した。ここで、光透過性の管としては断面が円で内径200μmのものを用いた。また、絶縁性液体としては、親油性青色染料を溶解したシリコーンオイルを用い、着色帯電粒子としては白色のTiO2 の粒子の大きさが1μm〜2μm位のものを使用した。
【0060】
さらに、着色帯電粒子及び絶縁性液体を管に充填する方法としては、実施例1と同様の方法を用いた。そして、充填が終了した後、加熱により管の両端を閉じて封止した。以下、実施例1と同様の方法で表示装置を作製した。
【0061】
次に、このようにして作製した表示装置を用いて表示を行った。なお、印加電圧は±50Vとした。ここで、本実施例2で用いた着色帯電粒子はシリコーンオイル中で負に帯電していたため、正電圧が印加される電極上に移動した。これにより、正電圧が印加される電極を第1電極8とした場合、第1電極上に白色の着色帯電粒子2が移動したため(図2の(a)参照)、表示面は青色表示となった。
【0062】
一方、正電圧が印加される電極を第2電極7とした場合、第2電極上に白色の着色帯電粒子2が移動するため(図2の(b)参照)、表示面からは白色が観察できた。なお、このときの応答速度は30msec以下であった。また、着色帯電粒子2の偏在による表示ムラも見られなかった。
【0063】
[実施例3]
本実施例3においては、以下のようにして表示装置を作製した。
【0064】
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる光透過性の管の中に着色帯電粒子及び絶縁性液体を充填した。ここで、光透過性の管としては断面が一辺200μmで、角部が丸くなった正方形状のものを用いた。また、絶縁性液体としては親油性白色染料を溶解したシリコーンオイル、着色帯電粒子としては、ポリスチレンとカーボンの混合物で、粒子の大きさが1μm〜2μm位の黒色のものを使用した。
【0065】
さらに、着色帯電粒子及び絶縁性液体を管3に充填する方法としては、実施例1と同様の方法を用いた。そして、充填が終了した後、加熱により管3の両端を閉じて封止した。
【0066】
次に、図7の(a)に示すように厚さ200μmのPETフィルムからなる第1基板4に第1電極8としてITOを成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりライン状にパターニングした。そして、この後、(b)に示すように厚さ200μmのPETフィルムからなる光透過性の第2基板6に第2電極7としてITOを成膜し、フォトリソグラフィー及びドライエッチングによりライン状にパターニングした。なお、この第1及び第2電極7,8の線幅を150μmとした。
【0067】
次に、(c)に示すように第2基板6の上に着色帯電粒子2と絶縁性液体1を充填した管3を、管3の中央と第2電極7の中央とが一致するように位置合わせして隙間なく並べた。そして、この後、(d)に示すように第1基板4を、第1及び第2電極7,8が直交するように管3の上方に配置し、更にこの後、第1基板4及び第2基板6の位置合わせを行った後、外周部分に外枠を介して熱を加えて第1及び第2基板4,6を接着した。これにより、(e)に示すように管同士は隙間なく密着して配置された。そして最後に、電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0068】
次に、このように作製した表示装置を用いて表示を行った。なお、このときの応答速度は30msee以下であり、着色帯電粒子の偏在による表示ムラも見られなかった。
【0069】
[実施例4]
本実施例4においては、以下のようにして表示装置を作製した。
【0070】
まず、ポリエーテルサルフォン(PES)からなる光透過性の管の中に着色帯電粒子及び絶縁性液体を充填した。ここで、光透過性の管としては断面が円で内径200μmのものを用いた。また、絶縁性液体としてはシリコーンオイルに親油性染料を溶解し、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の各色に着色した3種類の液体を用い、着色帯電粒子としては、酸化チタンの白色微粒子で、粒子の大きさが1μm〜2μm位のものを使用した。
【0071】
さらに、着色帯電粒子及び絶縁性液体を管に充填する方法としては、既述した図5の(b)に示したように、予め管3の内壁に着色帯電粒子2を均一に付着させた後、管3の一端を絶縁性液中に入れ他の一端から吸引しながら充填する方法を用いた。そして、充填が終了した後、加熱により管3の両端を閉じて封止し、3色のそれぞれ着色した管3を作製した。
【0072】
次に、実施例1と同様の方法により第1基板上に第1電極8を形成し(図6の(a)参照)、この後、第2基板6に第2電極7を形成した(図6の(b)参照)。
【0073】
次に、このように構成された第1基板4の上に3色のそれぞれ着色した管3を、順番に配置した(図6の(c)参照)。そして、この後、第2基板6を、第1及び第2電極7,8が直交するように管3の上方に配置し(図6の(d)参照)、さらにこの後第1及び第2基板4,6の位置合わせを行った後、外周部分に外枠を介し熱を加えて第1及び第2基板4,6を接着した。
【0074】
これにより、管3の上下部分は基板4,6に接触して平滑となり、また管同士は隙間なく密着して配置された(図6の(e)参照)。そして最後に、電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0075】
次に、このようにして作製した表示装置を用いて表示を行った。なお、印加電圧は±50Vとした。ここで、本実施例4で用いた着色帯電粒子2はシリコーンオイル中で負に帯電していたため、正電圧が印加される電極上に移動した。これにより、正電圧が印加される電極を第1電極8とした場合、第1電極上に白色着色帯電粒子2がそれぞれ移動したため(図3参照)、絶縁性液体10,11,12のそれぞれの色が観察できた。
【0076】
一方、正電圧が印加される電極を第2電極7とした場合、第2電極上に白色着色帯電粒子2が移動するため、表示面は白色表示となった。なお、このときの応答速度は30msec以下であり、着色帯電粒子の偏在による表示ムラも見られなかった。また、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)の各色を形成した素子を組み合わせて形成したところ、カラー表示を行うことができた。
【0077】
[実施例5]
本実施例5においては、以下のようにして表示装置を作製した。
【0078】
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる光透過性の管の中に着色帯電粒子及び絶縁性液体を充填した。ここで、光透過性の管としては断面が円で内径200μmのものを用いた。また、絶縁性液体としては親油性白色染料を溶解したシリコーンオイルを用い、着色帯電粒子としてはポリステレンと、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)各色の着色剤とを混合した3色の、粒子の大きさが1μm〜2μm位のものを使用した。
【0079】
さらに、着色帯電粒子及び絶縁性液体を管に充填する方法としては、図5の(b)に示したように、予め管3の内壁にある一色の着色帯電粒子2を均一に付着させた後、管3の一端を絶縁性液中に入れ他の一端から吸引しながら充填する方法を用いた。そして、充填が終了した後、加熱により管3の両端を閉じて封止した。また、他の2色の粒子についても同様の作業を行った。そして、このようにして3色の粒子を別々に封入した管3を作製した。
【0080】
次に、実施例1と同様の方法により第1基板上に第1電極8を形成し(図6の(a)参照)、この後、第2基板6に第2電極7を形成した(図6の(b)参照)。
【0081】
次に、このように構成された第1基板4の上に3色のそれぞれ着色した管3を、順番に配置した(図6の(c)参照)。そして、この後、第2基板6を、第1及び第2電極7,8が直交するように管3の上方に配置し(図6の(d)参照)、さらにこの後第1及び第2基板4,6の位置合わせを行った後、外周部分に外枠を介し熱を加えて第1及び第2基板4,6を接着した。
【0082】
これにより、管3の上下部分は基板4,6に接触して平滑となり、また管同士は隙間なく密着して配置された(図6の(e)参照)。そして最後に、電圧印加手段を設けて表示装置とした。
【0083】
次に、このように作製した表示装置を用いて表示を行った。なお、印加電圧は±50Vとした。ここで、本実施例4で用いた着色帯電粒子13,14,15はシリコーンオイル中で正に帯電していたため、負電圧が印加される電極上に移動した。これにより、負電圧が印加される電極を第1電極8とした場合、第1電極上に着色帯電粒子13,14,15がそれぞれ移動したため(図4参照)、表示面からは着色帯電粒子13,14,15の色が観測できた。
【0084】
一方、負電圧が印加される電極を第2電極7とした場合、第2電極上に着色帯電粒子13,14,15が移動するため、表示面からは絶縁性液体1の白色が観察できた。なお、このときの応答速度は30msee以下であり、着色帯電粒子の偏在による表示ムラも見られなかった。また、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)の各色を形成した素子を組み合わせて形成したところ、カラー表示を行うことができた。
【0085】
[実施例6]
本実施例6においては、管3の内径が30μmのものを用いると共に基板間の距離を25μmと短くし、さらに着色帯電粒子2として0.5μm〜1μm位のものを使用して実施例1と同様な工程で表示装置を作製した。
【0086】
そして、このようにして作製した表示装置を用いて実施例1と同様な方法で表示を行った。なお、印加電圧は±50Vとした。ここで、本実施例6においては基板間の距離を短くして泳動距離を短くしたため、応答速度が5msec以下となり高速応答が可能となった。また、着色帯電粒子2の偏在による表示ムラも見られなかった。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のように、絶縁性液体と着色帯電粒子とを光透過性を有する管に充填すると共に、これら絶縁性液体及び着色帯電粒子が充填された管同士を、第1電極が形成された第1基板と、光透過性の第2電極が形成された光透過性の第2基板との間に密着して配置することにより、着色帯電粒子を均一に分散させることができ、これにより表示ムラを低減することができる。また、基板上への隔壁の形成、微小な領域への着色帯電粒子及び絶縁性液体の均一な分散等の時間及び手間のかかる工程を必要としないため、製造コスト削減が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る表示装置である電気泳動表示装置の斜視図。
【図2】上記電気泳動表示装置の断面の一部を示す図。
【図3】複数の色の絶縁性液体を用いてカラー表示を行う上記電気泳動表示装置の断面図。
【図4】複数の色の着色帯電粒子を用いてカラー表示を行う上記電気泳動表示装置の断面図。
【図5】上記管に絶縁性液体と着色帯電粒子を充填する方法を示す図。
【図6】上記電気泳動表示装置の製造方法を示す図。
【図7】上記実施の形態の実施例3に係る電気泳動表示装置の製造方法を示す図。
【図8】従来の電気泳動型表示装置の構成を説明する図。
【符号の説明】
1,10,11,12 絶縁性液体
2,13,14,15 着色帯電粒子
3 管
4 第1基板
6 第2基板
7 第2電極
8 第1電極
31 泳動粒子
32 絶縁性液体
33 電極
34 電極
Claims (11)
- 絶縁性液体中に分散している着色帯電粒子と、該着色帯電粒子に電圧を印加する第1電極及び第2電極とを備え、前記第1電極及び第2電極に印加される電圧により前記着色帯電粒子を該第1電極又は第2電極の方向に移動させて表示を行う表示装置であって、
前記絶縁性液体及び着色帯電粒子を光透過性を有する管に充填すると共に、管同士を、前記第1電極が形成された第1基板と、光透過性の前記第2電極が形成された光透過性の第2基板との間に密着して配置したことを特徴とする表示装置。 - 前記第1電極及び第2電極に印加された電圧により前記着色帯電粒子を、前記第1及び第2基板に対して垂直に移動させることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記管内の絶縁性液体及び着色帯電粒子は該管に同時に充填されたものであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記管内の絶縁性液体及び着色帯電粒子は該管に別々に充填されたものであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記管がポリマーにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置。
- 前記管に充填されている絶縁性液体は、前記着色帯電粒子とは異なる色に着色されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記絶縁性液体がイエロー、マゼンダ、シアンのいずれかに着色されていることを特徴とする請求項6記載の表示装置。
- 前記異なる色の絶縁性液体を充填した管を、前記第1基板及び第2基板との間に規則的に配置したことを特徴とする請求項1、6又は7のいずれかに記載の表示装置。
- 前記管に充填されている着色帯電粒子がイエロー、マゼンダ、シアンのいずれかに着色されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
- 前記異なる色の着色帯電粒子を充填した管を、前記第1基板及び第2基板との間に規則的に配置したことを特徴とする請求項1又は9記載の表示装置。
- 前記第1基板及び第2基板がポリマーフィルムであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
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