JP4861609B2 - 有機物質の除去方法および除去装置 - Google Patents
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Description
まず、エキシマレーザー光を真空中で照射して、アブレーション(削磨)作用でレジストを分解・除去する技術が提案されているが(特許文献1)、レーザー照射により気化・飛散した物質を迅速に基体表面から除去して再付着を防止するためにレーザー照射を高真空の環境下で行わなければならない。しかし、高真空環境下においてレーザー照射を制御することは極めて困難である。次に、剥離するレジストの表面に図形、模様等のけがきを施し、剥離液によりレジストを剥離する方法が提案されているが(特許文献2)、ミクロンオーダー乃至サブミクロンオーダーの無数のレジストパターンがある基板上で、それらすべてに対してけがきを施すことは困難であるという問題がある。
(1)前記有機物質にレーザー光を照射する工程と、
(2)上記工程(1)と並行して、または工程(1)の次に、基体上に存在する有機物質を、該基体に処理液を接触させて除去する工程と、
を有する前記有機物質の除去方法を提供する。
(a)前記基体を支持する手段と、
(b)前記基体を処理液と接触させる手段と、
(c)前記有機物質にレーザー光を照射する手段と、
を有する前記有機物質の除去装置を提供する。
〔有機物質の除去方法〕
本発明の方法は、上述のとおり、表面に有機物質が付着した基体から該有機物質を除去する方法であって、
(1)前記有機物質にレーザー光を照射する工程と、
(2)上記工程(1)と並行して、または工程(1)の次に、基体上に存在する有機物質を、該基体に処理液を接触させて除去する工程と、
を有する。
<工程(1)>
工程(1)では、表面に有機物質が付着した基体の該有機物質に対してレーザー光を照射するが、この照射の方法に関しては特に限定されるものではない。その照射方法の具体例としては、例えば、前記有機物質の上方から該有機物質に対してレーザー光を照射する方法、傾斜角度を保って照射する方法、レーザー光に対して透明性を有するガラスや石英ガラス等のレーザー透過性物質を貫通して照射する方法、また、フォトレジストやワックス等を接着剤として用いて、これらのレーザー透過性物質に固定された基体表面の有機物に対して該レーザー透過性物質および接着剤を貫通して照射する方法等が挙げられる。
前記基体としては、特に限定されず、例えば、電子デバイス用基板(例えば、シリコンウェーハ等の半導体用ウェーハ、液晶パネル用ガラス基板、ハイブリットIC用セラミック基板、プリント基板、TCP用フレキシブル配線基板、精密機械器具(時計、カメラ用等)、繊維、光・磁気記録媒体基板等)、大型看板、表示構造物板、建築材料、電線、食品や医療機器の殺菌用部材、医薬品や高純度薬品のクリーン化の必要な部材等が挙げられる。
前記有機物質の状態としては、特に限定されず、例えば、微粒子状、塊状、被膜状等が挙げられる。また、前記被膜状の有機物質としては、例えば、フォトレジスト、スクリーン印刷用レジストインキ等のレジスト膜;ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール系水溶性加工油、オリーブ油、ひまし油等の油膜;エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等の塗料膜;スタフオーラウス(Staph.aureus)等の菌(バクテリア)からなる有機膜;ワックス、フラックス(ロジン系)等の種々の有機膜等が挙げられる。
一般に、製造プロセス中でレジスト表面の損傷・変質が一定条件以上になると、フォトレジストの剥離性能は低下してくる。特に、フォトレジストに要求されるプロセス条件によっては、あるいはより低温度で処理する要求がある場合には、プロセス設計の観点から、ドライエッチング耐性向上のためにポストベーク温度の上昇、ドライエッチング等で表面変質硬化層が生成することによる剥離速度の低下が問題となる。
前記レーザー光としては、特に限定されず、短パルスレーザー、超短パルスレーザー(即ち、パルス幅がフェムト秒で表されるレーザー)、CW(連続出力)発振レーザー等が挙げられるが、半導体等の微細加工プロセスにも好ましく適用可能であることから短パルスレーザーであることが好ましい。そこで、以下、上記レーザー光照射に好適に用いられる短パルスレーザー光を一例として説明する。
工程(2)では、上記工程(1)と並行して、または工程(1)の次に、基体上に存在する有機物質を、該基体に処理液を接触させて除去する。
上述の短パルスレーザー光の照射により、変質を受けた層(有機物質)を剥離除去する場合には、変質を受けていない層は後述の処理液を用いて容易に剥離除去することができる。また、該レーザー光の照射条件を調整することにより、表面変質層だけでなく変質を受けていないフォトレジストまで同時に剥離除去し、さらに微量に残った残渣を該処理液で剥離除去することもできる。
・処理液の具体例
本発明で用いられる処理液は、表面に有機物質が付着した基体から該有機物質を除去するために用いられるものであって、通常、純水および/または有機溶媒である。純水を使用した場合には、有機物質が機械的に除去され、有機溶媒を使用した場合には、さらに溶解作用による除去が加わる。この有機溶媒としては、例えば、n−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アミン類、ジクロロメタン、低級脂肪酸、炭酸アルキレン等が挙げられる。これらの中でも、純水、ジクロロメタン、低級脂肪酸および炭酸アルキレンが好ましい。前記低級脂肪酸は、通常、炭素原子数1〜4、好ましくは2〜4の脂肪酸であり、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられる。前記炭酸アルキレンとは、炭酸エチレンおよび/または炭酸プロピレンである。前記有機溶媒の中でも、沸点・引火点が高く、毒性が小さいことから、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよびこれらの混合物がより好ましく、消防法における危険物にも指定されていないことから炭酸エチレンが特に好ましい。これらの処理液は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
基体に存在する有機物質を、該基体に前記処理液を接触させて除去する方法について、より詳細に説明する。
基体に存在する有機物質とは、前記工程(1)において短パルスレーザー光を照射することにより、変質を受けた(表面変質硬化された)有機被膜等の有機物質;液膜、塗料膜等の一般的な有機被膜等の有機物質等が、一部乃至全部剥離された後に基体上に存在している有機物質を意味する。例えば、有機物質がフォトレジストの場合には、基体に存在する有機物質とは、短パルスレーザー光の照射により場合によっては剥離されずに一部残った変質を受けた有機物質だけでなく、変質を受けた有機物質(表面変質硬化層)の下部に存在している変質を受けていないフォトレジストをも含むものである。これらは、前記処理液と接触させることにより容易に剥離除去される。
次に、本発明で用いられる前記処理液の好ましい実施形態について説明する。
・オゾン含有処理液
前記処理液が、純水、ジクロロメタン、低級脂肪酸および炭酸アルキレンからなる群から選ばれる少なくとも一種からなる場合には、後述する特徴があることから、処理液中にオゾンが含有されていてもよい。以下、代表的な処理液である炭酸アルキレンを用いた場合について説明する。
代表的なポジ型フォトレジストであるノボラック系レジストは、クレゾールの重合体と多環芳香族とで構成されている。したがって、前記処理液を適用すれば、加熱によって溶解性が高まり、またオゾンの溶解によって分解反応が起こるので、基体に付着した有機物質を効果的に剥離除去できる。オゾンを併用せずに加熱処理だけを行う場合に有効な温度範囲は30〜200℃(例えば、炭酸エチレン単独使用の場合は40〜200℃)であり、好ましくは引火点以下の60〜150℃である。処理条件が適切であれば20μm/分以上の剥離速度が容易に得られる。オゾンガスを通気した処理液で剥離を行う場合、液温は20〜60℃が望ましい。
前記処理液が純水からなる場合や水の割合が多い混合液の場合であって、かつ基体表面が疎水性である場合には、処理液が基体表面上で「むら状」になるので、それを防ぐと共に、有機物質への浸透力を増強する目的で界面活性剤を処理液に添加することが効果的である。この目的の界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル等が挙げられる。また、加熱によって殺菌力が高まる陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
・液膜貫通レーザー光照射
処理液と基体を接触させる際に、処理液に対して基体が相対的に回転しながら接触されると、上述のとおり、基体上に供給された処理液が、回転の遠心力により半径方向に薄膜状に延伸され、基体の所望の領域乃至全体に対してより均一に接触される。即ち、基体上に処理液からなる液膜を形成した状態である。
本発明の別の好ましい実施形態では、処理液および短パルスレーザー光による処理で基体上の有機物質を剥離除去する際に、通常、20kHz〜2MHz、好ましくは25kHz〜2MHz、より好ましくは0.7〜2MHz、特に好ましくは1MHz程度の高周波超音波(いわゆるメガソニック)を該処理液に、さらに並行して照射する。この方法は、該処理液に超音波振動効果(即ち、高加速度の分子振動によって処理液の化学作用が強化される効果)が重畳されるため、処理液の接触とレーザー光照射のみを行った場合に比べて、有機物質の剥離性能がより優れたものとなる点、およびキャビテーションによる基体へのダメージは生じ難い点で好ましい。炭酸アルキレンは100℃でも蒸気圧が10mmHg以下であって気泡が発生せず、この温度で高周波超音波の照射が可能である。この照射により、剥離性能は著しく強化される。上記のB+の1×1015/cm2のイオン注入レジスト膜は100℃の炭酸エチレンの浸漬処理により1分で剥離され、SP値のやや小さいアクリル樹脂系塗料の膜が80℃で剥離されるようになる。基体への炭酸アルキレン液の接触を該液のシャワーで行って、この液に高周波超音波を照射する方式でも同様の効果が得られる。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、処理液として純水を使用した場合であっても、その他の有機溶媒を用いた場合と同等の効果が得られる。これは、基体表面に接触させる処理液が純水である場合にも、調整されたレーザー光がアブレーションした有機物質の分解生成物を部分的に溶解し、その残渣は純水をキャリアとしてスピン力を用いることにより基体から流し去られるからである。この効果(洗浄効果)を得るに際して、該基体表面を親水性に保ち、全面を均一に覆うようにするために、純水中に上述した界面活性剤を添加することが好ましい。このように有機溶媒に代えて純水を用いた場合にも同等の効果が得られることは、金属配線(Al、Cu、Ti、Ni、Au、Pt等の一種単独からなる単体膜、または二種以上を組み合わせた多層膜)のパターニングに適用する場合に、局所電池効果によりエッチングされる等のダメージの影響を受けないばかりでなく、有機溶媒の廃液を排出しないことから環境に優しく、経済的にも優れるという利点がある。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、前記処理液の接触とレーザー光照射を並行して行う際に、機械的ブラシングをさらに並行して行うことができる。機械的ブラシングとしては、特に限定されないが、例えば、ブラシスクラビング、ジェットスプレー、アイスブラスト、ドライアイスブラスト等が挙げられる。前記機械的ブラシングの一例であるブラシスクラビングを用いた場合には、まず遠心移動する処理液膜の上からレーザー光を照射し、有機物質の表面変質硬化層をアブレーションする過程と、該有機物質を遠心処理する処理液膜が溶解剥離し放出する過程とが並行して進行する際に、さらにブラシスクラバーによってスクラビングを行うことにより後洗浄する。次いで、ブラシスクラバーから、通常、100〜1,000ml/分程度の処理液、好ましくは純水、炭酸エチレン等が放出され、基体上に存在する有機物質を剥離除去する。この方法は、処理液と機械的ブラシング力との相乗効果により、処理液の接触とレーザー光照射のみを行った場合に比べて、有機物質の剥離性能がより優れたものとなる点で好ましい。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、本発明の方法を、半導体等製造プロセスのフォトリソグラフの一つであるリフトオフ金属パターン形成法におけるレジスト剥離に適用する。より具体的には、基体の表面にフォトレジストのパターンが形成され、さらにその上に全面にわたり金属膜を被着させた基体に処理液を接触させて、該フォトレジストの端面での金属膜の段切れ部分から処理液を浸透させることにより、フォトレジスト、およびフォトレジスト上の金属膜を除去するものである。この際に、段切れを助長させ、処理液が金属膜下部のフォトレジストへの浸透を容易化する目的でレーザー光を基体上面に照射する場合に適用する。なお、処理液を接触させる前にレーザー光照射を行っても、あるいは処理液を接触させるのと並行してレーザー光照射を行ってもよい。この短パルスレーザー光は、最表面層の上記金属膜とその下地のフォトレジストとの段差部位(即ち、段切れ)に優先的に作用し、段切れを助長する。そのため、段切れ部分から処理液が浸透することがより容易になり、フォトレジストが剥離されることによって、該金属のパターニングがなされる。
次に、本発明の除去装置について詳述する。なお、以下の説明において、用語、数値限定、条件等について特記しない限りは、上述の〔有機物質の除去方法〕の項で定義したとおりである。
(a)前記基体を支持する手段と、
(b)前記基体を処理液と接触させる手段と、
(c)前記有機物質にレーザー光を照射する手段と、
を有する。
(d)前記手段(b)が、処理液をノズルによって基体に注ぐ手段を有すること、
(e)前記手段(a)が、基体を該基体面に垂直な軸の周りに回転させる手段を有すること、
(f)前記手段(b)が、前記軸の周りに回転する基体の表面に対して、処理液を供給するノズルを有し、さらに該処理液に冷風を当てるノズルが付設されていること、
(g)前記手段(b)が、前記軸の周りに回転する基体の表面に対して、処理液を供給するノズルを有し、さらに高濃度オゾンガスを当てるノズルが付設されていること、
(h)前記手段(c)が、前記手段(b)によって基体上に処理液が膜状に形成された液膜を貫通して、レーザー光を照射可能に配置されていること、
(i)前記処理液が前記基体と接触した状態にあるときに、該処理液に高周波超音波を照射する手段を有すること、および、
(j)処理液加熱手段が付設されていること、
のうちの少なくとも1個を満たすものであってもよい。これらの要件を満たす本発明の装置であって、枚葉式の処理方式の装置の一例を図1に示すが、これについては後述の実施例2において説明する。
(浸漬式逐次処理)
6インチシリコンウェーハにノボラック型フォトレジスト(商品名:PFR-3905 G)1.36μmを塗布したものに130℃で5分間のベーキングを行い、さらに、全面に31P+による70keVのイオン注入を1×1015/cm2施したものを用いた。上記イオン注入されたウェーハは、40℃の炭酸エチレン液ではレジストの剥離が困難であった。このウェーハを用いて、10mm×10mmの面積に対して直径100μm径のレーザー光スポットを100本照射した。これにより表面変質硬化層が0.5μm剥離した。残膜0.86μmを40℃の炭酸エチレン液に浸漬したところ、2.5秒で完全に剥離した。残膜の剥離速度は20μm/分であり、従来値とほぼ同じであった。なお、実施例1で用いたレーザーの条件は、下記レーザー条件に示した通りである。
・レーザー発生装置:LD励起Nd YVO4 SHGレーザー(Qスイッチ付)
・パルス幅 :15ナノ秒
・発信波長 :532nm
・周波数 :10kHz
・投入光エネルギー密度 :7,000mJ/cm2
・レーザー光の照射スポット径 :100μm
・照射ヘッドの相対線速度 :100mm/秒
(使用装置)
8インチシリコンウェーハ上に表面変質硬化層を持つフォトレジストを剥離に供するレーザー光照射の条件は、下記レーザー条件に示した通りである(以下、実施例6においてウェーハを回転させない以外は、実施例2〜6において同じ条件である)。
・レーザー発生装置:LD励起Nd YVO4 SHGレーザー(Qスイッチ付)
・パルス幅 :15ナノ秒
・発信波長 :532nm
・周波数 :10kHz
・投入光エネルギー密度 :7,000mJ/cm2
・レーザー光の照射スポット径 :500μm
・照射ヘッドの相対線速度 :2,500mm/秒
・ウェーハの回転速度 :240rpm
・レーザーダイオード電流値 :10〜50A
・焦点距離 :110〜300mm
(なお、レーザーダイオード電流値および焦点距離は、装置の設計仕様により決定される値・数値範囲である。)
(枚葉式逐次処理)
8インチウェーハに塗布されたフォトレジストの表面に変質硬化層がある場合の該レジストの剥離に関して、レーザー光をウェーハ表面に照射し、該変質硬化層を全面に渡ってアブレーション除去した後に、残膜レジスト膜に対して温度が調整された炭酸エチレン液がノズル15から供給される。残膜部位は極めて短時間にレジストを溶解し、その後の遠心移動する液膜が溶解物を効率よく除去する(逐次処理)。以下、このような逐次処理の一例を説明する。
(枚葉式並行処理)
本実施例はレーザー光のエネルギーによる表面変質硬化層のアブレーションの工程と、該表面変質硬化層を炭酸エチレン液により溶解する工程を並行して行うものである。即ち、ノズル15から供給される炭酸エチレン液がウェーハの回転作用によって表面に形成する液膜の上面から、レーザー光を、液膜を通して照射することによって、レーザー光による表面変質硬化層の除去と溶解作用とを並行して行う(並行処理)。この場合には、前記反応生成物(反応残渣)がその都度、液膜と共に遠心移動するので、反応残渣がウェーハ表面に残留することが少ないという利点がある。以下、このような並行処理の一例を説明する。
(枚葉式並行処理+超音波処理)
図3は、本発明を枚葉スピン処理で行う装置および処理液に超音波振動を付加する装置を一部縦断面で示した概念図である。図3において、処理液供給ノズル15の前方には超音波振動発振装置22が装備されている。処理液供給ノズル15から供給される炭酸エチレン液に対して、レーザー光の照射と同時に、超音波振動発振装置22により1MHzの超音波振動を与えること以外は実施例3と同じにして、上記除去処理を行う。超音波振動を炭酸エチレン液に付与したことにより、超音波振動効果が重畳される。
(枚葉式並行処理+ブラシスクラビング)
図4は、本発明を枚葉スピン処理で行うためにブラシスクラバーが付設された装置の一部の上面図である。より具体的には、枚葉スピン処理において、遠心移動する炭酸エチレン液膜の上からレーザー光を照射し、フォトレジストの表面変質硬化層をアブレーションする工程と、該表面変質硬化層を遠心移動する炭酸エチレン液膜が前記アブレーションにより生じた反応残渣を溶解剥離し放出する工程とが並行して進行する際に、さらにブラシスクラバーによるブラシスクラビングを並行して行うことにより後洗浄する機構を備えた装置である。
(枚葉式並行処理(リフトオフ))
図6は、枚葉式処理において、半導体製造プロセスのフォトリソグラフの一つであるリフトオフにおけるレジスト剥離に本発明を適用する場合の説明図であり、基体およびその上の積層物が縦断面図で示されている。図6の(A)において、支持具2上に置かれたシリコン基板26の上面にはフォトレジスト27が一定の間隔で形成され、フォトレジスト27同士の間隙および上面には、配線のために金属薄膜28が全面に被着されている。金属薄膜28にはフォトレジスト27の凹凸に応じて、段切れ部位29が形成されている。さらに金属薄膜28の上面は、遠心移動する炭酸エチレン液膜30により被覆されている。このように、シリコン基板26、フォトレジスト27、金属薄膜28および炭酸エチレン液膜30が積層一体化された基体の上方には、レーザー発信器11が配置され、そこから該基体に対してレーザー光13が照射される。前記全面に被着させた金属薄膜28は、蒸着法、スパッタ法等で被着させた金属薄膜であっても、例えば銅や貴金属を主成分とする金属ペーストからなり、スクリーン印刷等の印刷法により形成された金属薄膜であってもよい。
(枚葉式並行処理)
図7は、本発明を枚葉式処理で行うことにより大型ガラス基板上のレジスト剥離を行う装置の斜視図である。例えば、液晶表示パネルの生産プロセスにおけるフォトレジストの除去装置の斜視図である。ガラス基板31の表面には、表面変質硬化層を有するフォトレジスト32が被着している。これらの上方に配置された矩形レーザー光照射ヘッド33から、ガラス基板31のフォトレジスト32表面部位に、単位面積で調整された光エネルギーが焦点を結ぶように、レーザー光が照射される。矩形レーザー光は、ガラス基板31の表面を均一に照射するために、一定の速度で走査される。この際、ガラス基板31はその搬送方向34に対する垂直方向に対して一定の角度35(θ)で配置され、前記走査は、照射サイクル始点36から照射サイクル終点37に向けて行われる。レーザー光は、照射サイクル始点36から照射サイクル終点37へと、基板の搬送速度に同期して繰返し走査される。このレーザー光によって、フォトレジスト32の表面変質硬化層はアブレーションされる。ガラス基板31と、矩形レーザー光照射ヘッド33との間の高さに、噴射ノズル38が取り付けられた炭酸エチレン液を供給するパイプ39が配置されており、噴射ノズル38を通じてガラス基板31に炭酸エチレン液が散布される。ガラス基板の搬送方向34と相対的に反対方向に移動する炭酸エチレン液40により、フォトレジスト32が剥離される。フォトレジスト32の剥離が完了したガラス基板31は、次いで、純水スプレー洗浄、そしてエアーナイフによる液切りが行われる。なお、実施例7で用いたレーザーの条件は、下記レーザー条件に示した通りである(以下、実施例8〜10において同じ条件である)。
・レーザー発生装置 :LD励起Nd YVO4 SHGレーザー(Qスイッチ付)
・パルス幅 :15ナノ秒
・発振波長 :532nm
・周波数 :10kHz
・投入光エネルギー密度 :7,000mJ/cm2
・レーザー光の照射スポット面積 :200mm2(200mm×1mm)
・照射ヘッド相対速度 :1,000mm/秒
・搬送速度 :1,200mm/分
・ガラス板サイズ :960mm×1,100mm
(枚葉式並行処理)
実施例7において、ガラス基板上のレジスト剥離を行う装置を小型化し、該ガラス基板に代えてアクリル樹脂塗料の硬化した塗膜が形成されたステンレス基板を剥離試験用としてセットし、該ステンレス基板の全面に120℃の炭酸エチレン液を散布したこと以外は、実施例7と同様にしてレーザー光を全面に走査した。次いで、純水スプレー洗浄、乾燥を行った結果、試料板の重量差から塗膜の剥離が確認された。
(枚葉式並行処理)
実施例8で使用した試験装置に対して、剥離試験用基板として環化イソプレン系のネガ型レジストの塗布されたガラス基板をセットし、噴射ノズル38に代えてオゾン飽和酢酸(98%)の供給ノズルを設けた。このガラス基板の全面に室温の該酢酸液を供給するのと並行して、高濃度オゾンガスを通気すると、プロピオン酸、酪酸またはジクロロメタンの場合と同様に、数百ppmの極めて高濃度のオゾン含有液からなる膜が形成された。この膜に対して、実施例8と同様にしてレーザー走査を行うと数十秒で剥離が可能であった。
(枚葉式並行処理)
実施例8で使用した試験装置に対して、菌(スタフオーラウス(Staph.aureus))により表面が汚染された試験用ガラス基板をセットし、セチルトリメチルアンモニウム塩の0.05重量%を溶解した純水をガラス基板面に噴射した後、実施例8と同様にしてレーザー走査を行った。このガラス基板に対して30秒のレーザー走査をした後、純水スプレー洗浄・乾燥した。次いで、得られたガラス基板面を顕微鏡により観察し、微粒子がなく十分に清浄な面が得られることを確認した。処理直後の液については、試験対象である前記菌が完全に殺菌された。
3.スピン回転軸 4.スピン回転駆動部
5.容器 6.チャンバー
7.レーザー透過性カバー 8.レーザー発生装置電源
9.回転駆動機構 10.駆動アーム
11.レーザー発信器 12.照射レンズ
13.レーザー光 14.処理液供給用配管
15.処理液供給ノズル 16.排液用配管
17.排液冷却器 18.排気孔
19.冷風用ノズル 20.冷風供給管
21.冷風用バルブ 22.超音波発振装置
23.ブラシスクラバーアーム 24.回転ブラシ
24a.ブラシ植毛 24b.処理液供給用配管
24c.植毛支持体 25.高圧純水供給ノズル
26.シリコン基板 27.フォトレジスト
28.金属薄膜 29.段切れ部位
30.炭酸エチレン液膜 31.ガラス基板
32.フォトレジスト 33.矩形レーザー光照射ヘッド
34.搬送方向 35.搬送方向と基板配置のずらし角度(θ)
36.矩形レーザー光照射サイクル始点
37.矩形レーザー光照射サイクル終点
38.炭酸エチレン液噴射ノズル
39.炭酸エチレン液供給パイプ
40.炭酸エチレン液
Claims (14)
- 表面変質硬化したレジスト膜である有機物質が表面に付着した基体から該有機物質を除去する方法であって、
(1)前記有機物質にエネルギー密度が7,000〜20,000mJ/cm 2 であるレーザー光を照射する工程と、
(2)上記工程(1)と並行して、または工程(1)の次に、基体上に存在する有機物質を、該基体に炭酸アルキレンからなる処理液を接触させて除去する工程と、
を有する前記有機物質の除去方法。 - 前記レーザー光が、短パルスレーザー光である請求項1に記載の除去方法。
- 前記レーザー光が、前記工程(2)で前記基体上に処理液が膜状に形成された液膜を貫通して照射される請求項1または2に記載の除去方法。
- さらに、前記工程(2)で処理液を接触させる際に、前記処理液に20kHz〜1MHzの高周波超音波を照射する請求項1〜3のいずれか一項に記載の除去方法。
- さらに、前記工程(2)で処理液を接触させる際に、前記基体に機械的ブラシングを行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の除去方法。
- 前記基体が、表面にフォトレジストのパターンが形成され、さらにその上に全面にわたり金属膜を被着させた基体である請求項1〜5のいずれか一項に記載の除去方法。
- 表面変質硬化したレジスト膜である有機物質が付着した基体表面の有機物質の除去装置であって、
(a)前記基体を支持する手段と、
(b)前記有機物質にエネルギー密度が7,000〜20,000mJ/cm 2 であるレーザー光を照射する手段と、
(c)上記レーザー光の照射と並行して、または上記レーザー光の照射の次に、前記有機物質が除去されるように、前記基体を炭酸アルキレンからなる処理液と接触させる手段と、
を有する前記有機物質の除去装置。 - 前記手段(b)が、処理液をノズルによって基体に注ぐ手段を有する請求項7に記載の除去装置。
- 前記手段(a)が、基体を該基体面に垂直な軸の周りに回転させる手段を有する請求項7または8に記載の除去装置。
- 前記手段(b)が、前記軸の周りに回転する基体の表面に対して、処理液を供給するノズルを有し、さらに該処理液に冷風を当てるノズルが付設された請求項9に記載の除去装置。
- 前記手段(b)が、前記軸の周りに回転する基体の表面に対して、処理液を供給するノズルを有し、さらに高濃度オゾンガスを当てるノズルが付設された請求項9または10に記載の除去装置。
- 前記手段(c)が、前記手段(b)によって基体上に処理液が膜状に形成された液膜を貫通して、レーザー光を照射可能に配置された請求項7〜11のいずれか一項に記載の除去装置。
- 前記処理液が前記基体と接触した状態にあるときに、該処理液に高周波超音波を照射する手段を有する請求項7〜12のいずれか一項に記載の除去装置。
- さらに、処理液加熱手段が付設されている請求項7〜13のいずれか一項に記載の除去装置。
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