JP4858248B2 - 誘電体磁器組成物および電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物および電子部品 Download PDF

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Description

本発明は、誘電体磁器組成物、およびこの誘電体磁器組成物を誘電体層に有する電子部品に係り、さらに詳しくは、定格電圧の高い(たとえば100V以上)中高圧用途に好適に用いられる誘電体磁器組成物および電子部品に関する。

近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、積層セラミックコンデンサの小型・大容量化が急速に進むとともに、用途も拡大し、要求される特性は様々である。

たとえば、高い定格電圧(たとえば、100V以上)で使用される中高圧用コンデンサは、ECM(エンジンエレクトリックコンピュータモジュール)、燃料噴射装置、電子制御スロットル、インバータ、コンバータ、HIDヘッドランプユニット、ハイブリッドエンジンのバッテリコントロールユニット、デジタルスチールカメラ等の機器に好適に用いられる。

したがって、上記の機器に中高圧用コンデンサを用いる場合、電子部品の高密度の実装により生じる発熱や、自動車用電子部品に代表される過酷な使用環境が問題となるため、高電圧下で使用できることだけでなく、特に、100℃以上の高温度下においても容量温度変化率が小さいことが望まれている。

このような要求に対して、たとえば、特許文献1には、結晶粒子中のMg、Mnおよび希土類元素の濃度が、結晶粒子の中心から結晶粒界に向かうにつれ徐々に大きくなる構成を有する誘電体層を有する積層セラミックコンデンサが提案されている。

また、特許文献2には、コアシェル構造を有する誘電体粒子からなる誘電体層を有する積層セラミックコンデンサであって、シェル部にMn等のアクセプタ型元素、Mg、希土類元素が含まれており、シェル部に含まれるアクセプタ型元素および希土類元素の濃度が、コア部とシェル部の境界から結晶粒界に向かうにつれ徐々に大きくなる構成を有するものが提案されている。

さらに、特許文献3には、固溶体である誘電体粒子からなる誘電体層を有する積層セラミックコンデンサであって、誘電体粒子に含まれるMn等のアクセプタ型元素およびHo等の希土類元素の濃度が、該粒子の中心から結晶粒界に向かうにつれ徐々に大きくなる構成を有するものが提案されている。

しかしながら、特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサにおいては、IR(絶縁抵抗)寿命の試験電圧が4.75V/μmと低く、高電圧における使用を目的とするものではない。一方、特許文献2に開示された積層セラミックコンデンサは、容量温度特性としてB特性を満足することが好ましいと記載されているのみであり、高温における使用を目的とするものではない。また、特許文献3に開示された積層セラミックコンデンサは、容量温度特性としてF特性を満足するのみであり、特許文献2と同様に、高温における使用を目的とするものではない。

また、強誘電性を示すチタン酸バリウムを主成分とする誘電体磁器組成物を使用した積層セラミックコンデンサにおいては、電界を印加した際に、機械的歪みが発生するという電歪現象を伴う。この電歪現象による振動により発生する振動音は、人に不快な音域の場合もあり、対策が必要とされていた。
特開2005−217000号公報 特開2001−230149号公報 特開2001−230148号公報

本発明は、このような実状に鑑みてなされ、電圧印加時における電歪量が低く、高温における容量温度変化率を向上させることができる誘電体磁器組成物、およびこの誘電体磁器組成物を誘電体層として有する電子部品を提供することを目的とする。

本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、チタン酸バリウムを含む主成分と、特定の副成分とを有する誘電体磁器組成物が、電圧印加時における電歪量が低くすることができることを見出し、さらに、この誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子において、副成分元素が主成分元素に拡散している領域における特定の副成分元素の濃度を、結晶粒界の界面近傍におけるその副成分元素の濃度よりも大きくすることで、高温における容量温度変化率を向上することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。

すなわち、本発明に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
BaZrOを含む第1副成分と、
Mgの酸化物を含む第2副成分と、
Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
Mn、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第4副成分と、
Si、Al、Ge、BおよびLiから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第5副成分と、を含有する誘電体磁器組成物であって、
前記誘電体磁器組成物が、複数の誘電体粒子と、隣り合う前記誘電体粒子間に存在する結晶粒界と、を有しており、
前記複数の誘電体粒子のうち、少なくとも一部の誘電体粒子が、中心層と、前記中心層の周囲に存在する、前記副成分が拡散している拡散層とから構成される表面拡散構造を有しており、
前記表面拡散構造を有する誘電体粒子において、前記結晶粒界から前記誘電体粒子の略中心に向かう方向に、前記結晶粒界の界面から該誘電体粒子の粒子径の5%の距離に位置する界面近傍点における前記Rの濃度をCbとし、前記拡散層における前記Rの濃度の最大値をCmaxとした場合に、Cmax/Cb>1である関係を満足することを特徴とする。

本発明の誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムを含む主成分と、上記の特定の副成分とを含むことで、電圧印加時における電歪量を小さくすることができる。また、本発明の誘電体磁器組成物を構成する複数の誘電体粒子のうち、少なくとも一部の誘電体粒子が表面拡散構造を有している。表面拡散構造とは、実質的に主成分からなる中心層と、中心層の周囲に存在し主成分に副成分が拡散した拡散層と、からなる構造である。

本発明においては、拡散層にRの元素が存在しており、しかも、拡散層内におけるRの濃度分布は、誘電体粒子の界面近傍点におけるRの濃度(Cb)よりも、拡散層内の任意の点におけるRの濃度の最大値(Cmax)が大きい構成となっている。すなわち、拡散層においては、Cmax/Cb>1である濃度分布を示す。

R元素の濃度分布が上記の構成となっていることで、容量温度特性を向上させることができる。

好ましくは、Cmax/Cb>1である関係を満足する誘電体粒子の存在割合が、前記表面拡散構造を有する全誘電体粒子に対して、70%以上、より好ましくは90%以上である。

Cmax/Cb>1である関係を満足する誘電体粒子の存在割合を上記の範囲とすることで、上述した効果をさらに大きくすることができる。

好ましくは、前記主成分100モルに対する、各副成分の酸化物または複合酸化物換算での比率が、第1副成分:9〜13モル、第2副成分:2.7〜5.7モル、第3副成分:4.5〜5.5モル、第4副成分:0.5〜1.5モル、第5副成分:3.0〜3.9モルである。各副成分の添加量を上記の範囲とすることで、特に、容量温度変化率をさらに向上することができる。

また、本発明によれば、誘電体層と内部電極層とを有する電子部品であって、前記誘電体層が、上記のいずれかの誘電体磁器組成物で構成された電子部品が提供される。

本発明に係る電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。

以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2は、本発明の一実施形態に係る表面拡散粒子の模式図、
図3(A)は、本発明の一実施形態に係る表面拡散粒子におけるRの元素のCmaxおよびCbを測定する方法を説明するための模式図、
図3(B)は、従来例に係る表面拡散粒子におけるRの元素のCmaxおよびCbを測定する方法を説明するための模式図、
図4は、本発明の実施例に係る表面拡散粒子のTEM写真、
図5は、本発明の実施例および比較例に係る表面拡散粒子のRの元素の濃度分布を示すグラフである。

積層セラミックコンデンサ1
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。

内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。また、一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。

誘電体層2
誘電体層2は、本発明の誘電体磁器組成物を含有する。
本発明の誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムを含む主成分と、
BaZrOを含む第1副成分と、
Mgの酸化物を含む第2副成分と、
Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
Mn、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第4副成分と、
Si、Al、Ge、BおよびLiから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第5副成分と、を有するものである。

主成分として含有されるチタン酸バリウムとしては、たとえば、組成式BaTiO2+m で表され、前記組成式中のmが、0.990<m<1.010であり、BaとTiとの比が0.990<Ba/Ti<1.010であるものなどを用いることができる。

第1副成分(BaZrO)の含有量は、主成分100モルに対して、BaZrO換算で、好ましくは9〜13モルであり、より好ましくは10〜13モルである。第1副成分は、主に、主成分であるチタン酸バリウムの強誘電性を抑制する効果を有する。第1副成分の含有量が少なすぎると、電圧印加時における温度特性が悪化する傾向にあり、一方、多すぎると比誘電率が低下する傾向にある。

第2副成分(Mgの酸化物)の含有量は、主成分100モルに対して、MgO換算で、好ましくは2.7〜5.7モル、より好ましくは4.0〜5.7モルである。第2副成分は、主に、主成分であるチタン酸バリウムの強誘電性を抑制する効果を有する。第2副成分の含有量が少なすぎると、電圧印加時における温度特性が悪化する傾向にあり、一方、多すぎると比誘電率が低下する傾向にある。

第3副成分(Rの酸化物)の含有量は、主成分100モルに対して、R換算で、好ましくは4.5〜5.5モルであり、より好ましくは4.7〜5.5モルである。第3副成分は、主に、主成分であるチタン酸バリウムの強誘電性を抑制する効果を有する。第3副成分の含有量が少なすぎると、電圧印加時における温度特性が悪化する傾向にあり、一方、多すぎると比誘電率が低下する傾向にある。なお、上記Rの酸化物を構成するR元素としては、Gd、Tb、Eu、Y、La、Ceから選択される少なくとも1種がより好ましく、Gdが特に好ましい。

第4副成分(Mn、Cr、CoおよびFeの酸化物)の含有量は、主成分100モルに対して、MnO、Cr、CoまたはFe換算で、好ましくは0.5〜1.5モルであり、より好ましくは0.7〜1.2モルである。第4副成分の含有量が少なすぎても、また多すぎても、絶縁抵抗が低下する傾向にある。なお、第4副成分としては、上記各酸化物のなかでも特性の改善効果が大きいという点から、Mnの酸化物を用いることが好ましい。

第5副成分(Si、Al、Ge、BおよびLiの酸化物)の含有量は、主成分100モルに対して、SiO、Al、GeO、BまたはLiO換算で、好ましくは3.0〜3.9モルである。第5副成分の含有量が少なすぎると、焼結性が悪化する傾向にある。一方、多すぎると、比誘電率が低下する傾向にある。なお、第5副成分としては、上記各酸化物のなかでも特性の改善効果が大きいという点から、Siの酸化物を用いることが好ましい。

誘電体粒子の構造
本実施形態においては、上記の誘電体層2に含有される誘電体粒子のうち、少なくとも一部の粒子は、図2に示すような、表面拡散構造を有する表面拡散粒子20となっており、隣り合う粒子の間に結晶粒界22が存在する。表面拡散粒子20は、チタン酸バリウムを主成分として含有する中心層20aと、中心層20aの周囲に存在し、チタン酸バリウムにチタン酸バリウム以外の成分が拡散している拡散層20bと、から構成される。中心層20aは実質的にチタン酸バリウムからなっているため、強誘電特性を示す。一方、拡散層20bには、主に、上記の副成分として添加される元素がチタン酸バリウム中に拡散(固溶)しているため、強誘電特性が失われ、常誘電特性を示す。本実施形態では、拡散層20bには、Rの元素が存在しており、それ以外の副成分元素も存在していると考えられる。

誘電体粒子が、上記の表面拡散構造を有しているか否かは、たとえば、誘電体粒子について、透過型電子顕微鏡(TEM)に付属のエネルギー分散型X線分光装置を用いて分析することにより判断することができる。具体的には、まず、誘電体粒子に対して、該粒子の略中心を通る直線上に線分析を行い、各元素の濃度分布を得る。次いで、直線を90度ずらして同一の粒子に対して、再度線分析を行う。そして、得られた濃度分布から、たとえば、副成分元素の濃度が急激に減少している領域、すなわち、中心層20aが存在するか否かを判断する。

誘電体粒子をこのような構造とすると、常誘電性を示す拡散層20bが、中心層20aの周囲に存在することにより、たとえば、印加される直流電圧は誘電率の低い拡散層20bに掛かるため、絶縁抵抗の減少を抑制することができる。しかも、強誘電性を示す中心層20aの存在により、高い比誘電率をも実現することができる。

上記構成を有する表面拡散粒子20の存在割合は、誘電体層2を構成する全誘電体粒子の個数を100%とした場合に、個数割合で、好ましくは50〜100%、より好ましくは70〜100%である。

本発明に係る表面拡散構造を有する誘電体粒子においては、Rの元素(Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)について、拡散層20bの界面近傍点における濃度よりも高い濃度を示す部分が、拡散層20b内に存在していることが特徴的である。また、副成分元素であるR元素は、中心層20aにはほとんど拡散していないため、中心層20aにおけるR元素の濃度は、拡散層20bにおける濃度より低い。したがって、本発明においては、誘電体粒子の中心部からその表面に向かうにつれ、R元素の濃度分布は山型を示すこととなる。

R元素が、このような特徴的な濃度分布を示すことにより、比誘電率や電歪量を良好に維持しつつ、高温、たとえば125℃における容量温度変化率を向上させることができる。

本実施形態では、R元素が山型の濃度分布を示すか否かの判断は、以下のようにして行う。

図3(A)に示すように、上記表面拡散構造を有する誘電体粒子に対して、該粒子の端から略中心まで、好ましくは、該粒子の略中心を通るように粒子の端から端までの一直線上をTEMに付属のエネルギー分散型X線分光装置で線分析を行い、線上の各点におけるR元素の濃度を測定する。このとき、界面近傍点Bと、界面近傍点Bとは異なる拡散層内の任意の点Xとの少なくとも2点において、分析を行う。

なお、界面近傍点Bは、結晶粒界から誘電体粒子の略中心に向かう方向に、結晶粒界の界面から該誘電体粒子の粒子径の5%の距離に位置する点とする。

そして、拡散層内の任意の点X1、X2・・Xn(nは1以上)におけるR元素の濃度C1、C2・・Cn(nは1以上)のうち、最大値Cmaxと、界面近傍点BにおけるR元素の濃度Cbと、を比較し、CmaxがCbよりも大きい、すなわち、Cmax/Cb>1であれば、R元素が山型の濃度分布を示すと判断する。Cmax以外のすべてのCnが、Cbよりも小さい場合であっても、CmaxがCbよりも大きければよい。任意の点Xは、拡散層20b内であれば1点のみでもよいが、好ましくは5点以上である。また、任意の点Xのうちの1点が、拡散層20bと中心層20aの境界点Aであることが好ましい。さらに、境界点AにおけるRの元素の濃度をCaとすると、好ましくはCmax/Ca≧1、さらに好ましくはCmax/Ca>1である。

好ましくは、1.1≦Cmax/Cb≦4.8である。Cmax/Cbが小さすぎると、容量温度特性が悪化する傾向にある。また、Cmax/Cbが大きすぎると、容量温度特性が悪化する傾向にある。

なお、上記の線分析を該粒子の端から略中心までの一直線上において行った場合には、1箇所におけるR元素の濃度分布が得られ、上記の線分析を該粒子の略中心を通るように粒子の端から端までの一直線上において行った場合には、粒子の中心層を挟んで対向する2箇所におけるR元素の濃度分布が得られることとなる。本実施形態では、上記の線分析を該粒子の略中心を通るように粒子の端から端までの一直線上において行い、その後90度ずらしてさらに線分析を行うことが好ましい。この場合においては、拡散層20bの4箇所におけるR元素の濃度分布が得られることとなる。

そして、得られた濃度分布のうち、R元素が山型の濃度分布を示す箇所が1箇所でもあれば、該粒子において、R元素が山型の濃度分布を示すと判断する。上記の線分析は、少なくとも10個、好ましくは20個以上の誘電体粒子について行う。R元素が山型の濃度分布を示すか否かの判断と、上述した表面拡散構造を有するか否かの判断と、は同時に行うのが好ましい。

なお、従来例に係る表面拡散構造を有する誘電体粒子においては、図3(B)に示すように、通常、粒子の中心部あるいは拡散層20bと中心層20aとの境界領域から、拡散層20bの表面に至るまでは、拡散層20bに拡散した副成分元素は、その濃度が徐々に高くなる構成となっている。すなわち、Cmax/Cb≦1である。

上述した拡散層20bにおけるR元素の山型の濃度分布は、後述するが、副成分の原料の仮焼の有無、焼成条件の制御等により、R元素の拡散を制御し実現することができる。

誘電体層2に含有される誘電体粒子の平均粒子径は、以下のようにして測定される。すなわち、コンデンサ素子本体10を誘電体層2および内部電極層3の積層方向に切断し、その断面において誘電体粒子の平均面積を測定し、円相当径として直径を算出し1.5倍した値である。200個以上の誘電体粒子について測定し、得られた粒径の累積度数分布から累積が50%となる値を平均粒子径(単位:μm)とした。

本実施形態では、平均粒子径は、誘電体層2の厚さなどに応じて決定すればよいが、好ましくは、1.5μm以下である。

内部電極層3
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。

外部電極4
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。

積層セラミックコンデンサ1の製造方法
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。

まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電体原料(誘電体磁器組成物粉末)を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。

誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。

誘電体原料としては、上記した主成分および副成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。塗料化する前の状態で、誘電体原料の粒径は、通常、平均粒径0.1〜1μm程度である。

主成分原料としてのチタン酸バリウム粉末は、いわゆる固相法の他、各種液相法(たとえば、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法など)により製造されたものなど、種々の方法で製造されたものを用いることができる。
なお、副成分の原料として上記の原料をそのまま主成分原料に添加して誘電体原料としてもよいが、好ましくは、副成分の原料のみを予め仮焼きし、仮焼き後の原料を主成分原料に添加して誘電体原料とする。

有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。

また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。

内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。

外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。

上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。

印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に印刷、積層し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。

また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。

焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間とする。また、焼成雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とする。

グリーンチップの焼成は、還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることができる。その他の条件は、以下のようにするのが好ましい。

まず、昇温速度は、好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜400℃/時間である。また、焼成時の保持温度に達するまで、昇温速度を変化させることが好ましい。具体的には、たとえば、800℃までは、200℃/時間とし、800℃〜1000℃までは、300℃/時間とし、1000℃から保持温度までは、400℃/時間とすることができる。

焼成時の保持温度は、好ましくは1000〜1400℃、より好ましくは1200〜1350℃であり、その保持時間は、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間である。保持温度が上記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、誘電体磁器組成物の還元が生じやすくなる。
焼成時の酸素分圧は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−14〜10−10MPaとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。

降温速度は、好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜400℃/時間である。降温速度も、昇温速度と同様に、室温に達するまで、昇温速度を変化させることが好ましい。具体的には、たとえば、保持温度から1000℃までは、400℃/時間とし、1000℃〜800℃までは、300℃/時間とし、800℃以下は、200℃/時間とすることができる。

本実施形態では、副成分の原料粉末の添加量、副成分の原料の仮焼の有無、上記の焼成条件の制御等を組み合わせることにより、拡散層20b内に存在する特定の副成分の拡散度合いを制御することができる。その結果、R元素について、Cmax/Cb>1を満足する特徴的な濃度分布を得ることができる。

還元性雰囲気中で焼成した後、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。

アニール雰囲気中の酸素分圧は、10−9〜10−5MPaとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層の酸化が進行する傾向にある。

アニールの際の保持温度は、1100℃以下、特に500〜1100℃とすることが好ましい。保持温度が上記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、IRが低く、また、IR寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、IRの低下、IR寿命の低下が生じやすくなる。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。

これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜10時間、降温速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。

上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。

脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。

上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。

このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。

以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。

たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記構成の誘電体層を有するものであれば何でも良い。

また、上述の実施形態では、Rの元素の濃度が、Cmax/Cb>1を満足する場合について述べているが、他の副成分元素の濃度が、Cmax/Cb>1を満足するように上記の各条件を制御してもよい。

特に、Rの元素の濃度と、第2副成分に含まれるMgの濃度とが、同時にCmax/Cb>1を満足する場合には、容量温度変化率だけでなく、IR寿命をも良好とすることができる。

以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。

実施例1
まず、主成分の原料として、BaTiO粉末を、副成分の原料として、BaZrO、MgCO、Gd、MnOおよびSiOを、それぞれ準備した。次に、上記で準備した副成分の原料のみを、1000℃で仮焼きした。この仮焼き後の原料と、主成分の原料とをボールミルで15時間、湿式粉砕し、乾燥して、誘電体原料を得た。なお、各副成分の添加量は、主成分であるBaTiO100モルに対して、表1に示す量とした。
なお、表1に示す量は、複合酸化物(第1副成分)または各酸化物(第1〜第5副成分)換算の量である。また、第2副成分であるMgCOは、焼成後には、MgOとして誘電体磁器組成物中に含有されることとなる。

次いで、得られた誘電体原料:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジブチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。

また、上記とは別に、Ni粒子:44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。

そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが30μmとなるようにグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。

次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:25℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成は、昇温速度は、800℃までは、200℃/時間とし、800℃〜1000℃までは、300℃/時間とし、1000℃から保持温度までは、400℃/時間とした。また、保持温度は、1220〜1320℃とし、降温速度は、昇温速度と同様にした。なお、雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガスとし、酸素分圧が10−12MPaとなるようにした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1000℃、温度保持時間:2時間、降温速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−7MPa)とした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用いた。

次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、誘電体層の厚み20μm、内部電極層の厚み1.5μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は10とした。なお、本実施例では、表1に示すように、各副成分の添加量を変化させた複数の試料を作製した。

得られた各コンデンサ試料について、拡散層におけるGd元素の濃度測定を下記に示す方法で行った。次に、比誘電率(εs)、容量温度変化率および電圧印加による電歪量を下記に示す方法により測定した。

拡散層におけるR元素の濃度測定
各試料について、任意の表面拡散粒子10個を選択し、透過型電子顕微鏡(TEM)に付属のエネルギー分散型X線分光装置を用いて線分析を行うことにより、Gd元素の拡散層における濃度分布を測定した。まず、誘電体粒子の略中心を通るように粒子の端から端まで一直線上で線分析を行い、その後90度ずらして同一の粒子に対して、線分析を行った。このとき、界面近傍点および拡散層と中心層との境界点を含めて拡散層中の8点について分析した。

すなわち、界面近傍点におけるGd元素の濃度がCbであり、上記境界点の2点を除く6点のなかで、Gd元素の濃度の最大値がCmaxである。

拡散層において得られた4箇所のGdの濃度分布のうち、1箇所でも山型の濃度分布を示す場合には、該粒子は、Gd元素の山型の濃度分布を示すと判断した。結果を表1に示す。なお、表1における(Cmax/Cb)値は、測定した4箇所の(Cmax/Cb)値のうち、最大値を示す。

なお、各コンデンサ試料について、上記の測定を行うと共に、誘電体粒子が表面拡散構造を有している割合を、透過型電子顕微鏡(TEM)に付属のエネルギー分散型X線分光装置を用いて線分析を行うことにより測定した。その結果、すべての試料について、その割合は60%以上であった。

比誘電率εs
コンデンサ試料に対し、25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの信号を入力し、静電容量Cを測定した。そして、比誘電率εs(単位なし)を、誘電体層の厚みと、有効電極面積と、測定の結果得られた静電容量Cとに基づき算出した。本実施例では、10個のコンデンサ試料を用いて算出した値の平均値を比誘電率とした。比誘電率は高いほうが好ましい。結果を表1に示す。

容量温度特性(TC)
コンデンサ試料に対し、125℃における静電容量を測定し、基準温度(25℃)における静電容量に対する変化率を算出した。変化率は小さいほうが好ましく、±25%以内であることが好ましい。結果を表1に示す。

電圧印加による電歪量
まず、コンデンサ試料を、所定パターンの電極がプリントしてあるガラスエポキシ基板にハンダ付けすることにより固定した。次いで、基板に固定したコンデンサ試料に対して、AC:10Vrms/μm、周波数3kHzの条件で電圧を印加し、電圧印加時におけるコンデンサ試料表面の振動幅を測定し、これを電歪量とした。なお、コンデンサ試料表面の振動幅の測定には、レーザードップラー振動計を使用した。また、本実施例では、10個のコンデンサ試料を用いて測定した値の平均値を電歪量とした。電歪量は低いほうが好ましい。結果を表1に示す。

また、図4に、試料番号1の誘電体粒子のTEM写真を示す。TEM写真から、誘電体粒子に中心層と、その周囲を取り囲んでいる拡散層とが存在していることが確認できる。さらに、図5に、試料番号1、5および6に係る表面拡散粒子におけるGd元素の濃度分布のグラフを示す。

表1より、Gd元素についてのCmax/Cbが1より大きい試料(試料番号1〜4)は、比誘電率および電歪量が良好であり、かつ、125℃における容量温度変化率を良好とすることができる。一方、Cmax/Cbが1より小さい試料(試料番号5〜8)は、125℃における容量温度変化率が劣っていることが確認できる。また、図5より、試料番号1(実施例1)が、Cmax/Cb>1の関係を満足し、試料番号5および6(比較例5および6)が、本発明の範囲外であることが視覚的に確認することができる。さらに、試料番号1においては、中心層と拡散層との境界点AにおけるGd元素の濃度をCaとすると、Ca<Cb<Cmaxとなっていることが確認できる。
なお、図5に示す試料1、5および6についての濃度分布の測定は、中心層および拡散層の厚みが同じである誘電体粒子を選択して行った。

実施例2
各副成分の含有量を表2に示す量とした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表2に示す。

表2より、各副成分の含有量を変化させた場合、各副成分の含有量を本発明の好ましい範囲内とすることで、比誘電率と電歪量とを維持しつつ125℃における容量温度変化率をさらに良好とすることができる。これに対して、各副成分の含有量を本発明の範囲外とした試料は、容量温度変化率が若干劣る傾向にあることが確認できる。

実施例3
第3副成分のGdの代わりにR元素を表3に示す元素とし、各副成分の含有量を表3に示す量とした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表3に示す。

表3より、第3副成分のR元素を変えた場合であっても、Cmax/Cbを1より大きくすることにより、Gdの場合と同様の特性を示すことが確認できる。

実施例4
実施例1の試料番号1〜4の試料について、実施例1とは異なる焼成条件とすることで、Gdだけではなく、第2副成分に含まれるMgの拡散の制御を行った。その他の点については、実施例1の試料番号1〜4と同様にして、コンデンサ試料を作製し、実施例1と同様の特性評価とさらにIR寿命の測定を行った。結果を表4に示す。なお、IR寿命の測定は、以下のようにして行った。

IR寿命
コンデンサ試料に対し、200℃にて、40V/μmの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定することにより、IR寿命を評価した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義した。また、このIR寿命は、10個のコンデンサ試料について行った。評価基準は、20時間以上を良好とした。結果を表4に示す。

表4より、GdおよびMgの拡散を制御することにより、GdおよびMgの濃度分布がCmax/Cb>1を満足していることが確認できる。
試料番号101〜104では、Gdだけでなく、Mgの濃度分布がCmax/Cb>1を満足していることにより、試料番号1〜4が示す良好な特性に加え、さらに、IR寿命をも良好とすることができる。

図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る表面拡散粒子の模式図である。 図3(A)は、本発明の一実施形態に係る表面拡散粒子におけるRの元素のCmaxおよびCbを測定する方法を説明するための模式図である。 図3(B)は、従来例に係る表面拡散粒子におけるRの元素のCmaxおよびCbを測定する方法を説明するための模式図である。 図4は、本発明の実施例に係る表面拡散粒子のTEM写真である。 図5は、本発明の実施例および比較例に係る表面拡散粒子のRの元素の濃度分布を示すグラフである。

符号の説明

1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
20… 表面拡散粒子
20a… 中心層
20b… 拡散層
22… 結晶粒界

Claims (6)

  1. チタン酸バリウムを含む主成分と、
    BaZrOを含む第1副成分と、
    Mgの酸化物を含む第2副成分と、
    Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
    Mn、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第4副成分と、
    Si、Al、Ge、BおよびLiから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第5副成分と、を含有する誘電体磁器組成物であって、
    前記誘電体磁器組成物が、複数の誘電体粒子と、隣り合う前記誘電体粒子間に存在する結晶粒界と、を有しており、
    前記複数の誘電体粒子のうち、少なくとも一部の誘電体粒子が、中心層と、前記中心層の周囲に存在する、前記副成分が拡散している拡散層と、から構成される表面拡散構造を有しており、
    前記表面拡散構造を有する誘電体粒子において、前記結晶粒界から前記誘電体粒子の略中心に向かう方向に、前記結晶粒界の界面から該誘電体粒子の粒子径の5%の距離に位置する界面近傍点における前記Rの濃度をCbとし、前記拡散層における前記Rの濃度の最大値をCmaxとした場合に、Cmax/Cb>1である関係を満足することを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. Cmax/Cb>1である関係を満足する誘電体粒子の存在割合が、前記表面拡散構造を有する全誘電体粒子に対して、70%以上である請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記主成分100モルに対する、各副成分の酸化物または複合酸化物換算での比率が、
    第1副成分:9〜13モル、
    第2副成分:2.7〜5.7モル、
    第3副成分:4.5〜5.5モル、
    第4副成分:0.5〜1.5モル、
    第5副成分:3.0〜3.9モルである請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 誘電体層と内部電極層とを有する電子部品であって、
    前記誘電体層が、チタン酸バリウムを含む主成分と、
    BaZrOを含む第1副成分と、
    Mgの酸化物を含む第2副成分と、
    Rの酸化物(ただし、Rは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選択される少なくとも1種)を含む第3副成分と、
    Mn、Cr、CoおよびFeから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第4副成分と、
    Si、Al、Ge、BおよびLiから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を含む第5副成分と、を含有する誘電体磁器組成物で構成され、
    前記誘電体磁器組成物が、複数の誘電体粒子と、隣り合う前記誘電体粒子間に存在する結晶粒界と、を有しており、
    前記複数の誘電体粒子のうち、少なくとも一部の誘電体粒子が、中心層と、前記中心層の周囲に存在する、前記副成分が拡散している拡散層と、から構成される表面拡散構造を有しており、
    前記表面拡散構造を有する誘電体粒子において、前記結晶粒界から前記誘電体粒子の略中心に向かう方向に、前記結晶粒界の界面から該誘電体粒子の粒子径の5%の距離に位置する界面近傍点における前記Rの濃度をCbとし、前記拡散層における前記Rの濃度の最大値をCmaxとした場合に、Cmax/Cb>1である関係を満足することを特徴とする電子部品。
  5. Cmax/Cb>1である関係を満足する誘電体粒子の存在割合が、前記表面拡散構造を有する全誘電体粒子に対して、70%以上である請求項4に記載の電子部品。
  6. 前記主成分100モルに対する、各副成分の酸化物または複合酸化物換算での比率が、
    第1副成分:9〜13モル、
    第2副成分:2.7〜5.7モル、
    第3副成分:4.5〜5.5モル、
    第4副成分:0.5〜1.5モル、
    第5副成分:3.0〜3.9モルである請求項4または5に記載の電子部品。
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