JP4857709B2 - 発光装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、セラミック組成や焼結体の緻密性などから、セラミックパッケージはある程度の光を透過する。特に、窒化アルミニウムを用いたセラミックパッケージは、優れた放熱性を有しているものの、パッケージ基体の色調が実質的に導電性部材の色調となるほど透明であることから、キャビティ内に実装された発光素子からの多くの光が導電部材に吸収されてしまう。
そこで、窒化アルミニウム粉末に白色系焼結剤であるCaCO3やY2O3を混合したグリーンシートを用いることにより、パッケージの色調を色彩色差計の白色0から黒色0間において70以上とすることで、発光素子の発光効率を高める技術が開示されている。
そこで本発明は、高い放熱性を維持しつつ、高い発光効率を備えることが可能な発光装置を提供することを目的とする。
また、前記キャビティ内であって、前記発光素子の端面と平行な領域内の平面透視において、前記第二の導電性部材のパターンの90%以上が前記第一の導電性部材と重なっていることが好ましい。
また、前記第二の導電性部材が前記パッケージの内部に埋め込まれている場合、本願発明の効果が顕著に現れる。
また、前記キャビティの内壁に金属膜を有し、前記第一の導電性部材は前記キャビティの内壁から離間していることが好ましい。
また、前記キャビティ底面側の主原料は、窒化アルミニウムであることが好ましい。
図1は、本形態における発光装置の模式的な平面図およびその透視図を示し、図2は図1の波線(I−I)における断面図を示す。また、図3は本形態における発光装置の模式的な背面図を示す。本発明に係る発光装置の透光性絶縁パッケージ2は、図1に示されるように略矩形であって、中央のキャビティ2a底面には、3領域に分離した第一の導電性部材3a,3b,3cが形成されている。前記第一の導電性部材のうち、中央の領域3aには発光素子1が載置され、少なくとも該中央の領域3aを挟むように離間して配置された一対の領域3b,3cは、発光素子1の各電極とそれぞれワイヤ5にて電気的に接続されている。また、キャビティ2a底面の鉛直下方には、同じく3領域にパターン形成された第二の導電性部材4a,4b,4cが埋め込まれており、該第二の導電性部材4a,4b,4cと前記第一の導電部材3a,3b,3cは、領域ごとに対を成して略微小径円柱型導電部材6a,6b,6cにて電気的および熱的に接続されている。また、前記第二の導電性部材4a,4b,4cは、前記パッケージ2内部から角部まで延在し、パッケージ角部の切欠部を渡り裏面電極7と導通している。以下、本形態の各構成について詳述する。
本形態における透光性絶縁パッケージ2とは、内部に発光素子1を配置するためのキャビティ2aを有し、発光素子1や導電性ワイヤ5を外部環境から保護するものである。前記キャビティ2aは、発光素子1の数や大きさにより種々の形状や大きさとすることができる。またキャビティ2aの内壁には、内部に配された被覆部材7がパッケージ基体から剥離しないように保持手段2bを設けることも可能である。保持手段2bとして、キャビティ2aの開口部側の内壁に孔や溝、突起、および鈎がついているものなどが挙げられる。特に、キャビティ2aの内壁の開口側端部の一部を内側に突出させた保持手段2bを好適に採ることができる。また、このような保持手段2bは、複数箇所に分設させることもできるし、種々の形状を複数組み合わせることもできる。このようなパッケージは、例えば、ガラスエポキシ基板やBTレジンを材料とする基板やセラミックスを材料とする基板を用いて形成することができる。このような板材に対し、孔を形成させるなどして、さらに、複数枚積み重ねることによって、キャビティ2aを有するパッケージ2を形成させることができる。このような板材の積層体にてパッケージを構成させるとき、第一の導電部材および第二の導電部材は、金属材料からなる板材や、金属材料が鍍金、スパッタリングあるいは蒸着により絶縁性の板材にて配されたものとすることもできる。以下に述べるセラミックグリーンシートの積層体にて形成する場合も同様である。
特に、窒化アルミニウムは、他のセラミックス材料と比較して熱伝導率が大きいことから、パッケージ2の少なくともキャビティ2a底面側の主材料を窒化アルミニウムとすることが好ましく、これにより放熱性に優れた発光装置とすることができる。
また、前記キャビティの内壁に金属膜を設けることも可能であり、この場合、第一の導電性部材はキャビティの内壁から離間していることが好ましい。
(第一の導電性部材3・第二の導電性部材4)
本発明の透光性絶縁パッケージ2は、キャビティ2aの底面にパターニングされた第一の導電性部材3と、前記第一の導電性部材3の下方にパターニングされた第二の導電性部材4とを有し、前記キャビティ2a内の平面透視において、前記第二の導電性部材4のパターンのうち、前記第一の導電性部材3のパターンと重なっている割合は、50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、さらには80%以上であることが好ましい。これにより、発光装置の放熱性を低下させることなく光取り出し効率を向上させることができる。ここで、本明細書において「キャビティ内の平面透視」とは、キャビティの底面範囲を鉛直下方に透視した際の平面視を示す。また、「第二の導電性部材のパターンの50%以上が前記第一の導電性部材のパターンと重なる」とは、第一の導電性部材から第二の導電性部材を鉛直方向に見下ろした場合に、第二の導電性部材のパターンのうち50%以上が第一の導電性部材の輪郭内に収まっていることを示す。
さらに、前記発光素子1の端面と平行な領域内の平面透視において、前記第二の導電性部材4のパターンのうち、前記第一の導電性部材3と重なっている割合は、90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上、さらには98%以上であることが好ましい。これにより、さらなる光取り出し効率の向上を図ることができる。ここで、発光素子1の平面形状は特に限定されず、矩形、六角形などの多角形など、発光素子1の製造過程において形成することが可能ないずれの形状であってもよい。また、本明細書において「発光素子の端面と平行な領域内の平面透視」とは、例えば図1のごとく平面形状が矩形体の発光素子を用いた場合、該発光素子を中心とした十字の領域となる。
また、キャビティ2a内において、第一の導電性部材の全領域の占有率は、60%〜80%が好ましく、さらには70%〜80%である好ましい。これにより、キャビティ2a内に設けられる透光性被覆部材7との密着性を保ちつつ前記第一の導電性部材3にて下方に配置された第二の導電性部材4の50%以上を覆うことができる。また、キャビティ2a内の光取り出し効率をさらに向上させるため、第一の導電性部材3の表面に光沢度が90以上である導電性膜を設けたり、キャビティ2aの底面の第一の導電性部材3のパターン間に光沢度が20以上の絶縁性層を設けたりすることもできる。ここで本明細書における光沢度とは、JIS規格に基づき、発光素子からの光を60°で入射したときの鏡面反射率が%となる、屈折率1.567のガラス面を光沢度0と規定し、日本電色工業株式会社製VSR300A微小面色差計にて測定した値である。
また、本実施の形態において、第二の導電性部材4はパッケージの内部に埋没されて、パッケージの角の切欠部にて裏面電極7と導通を取っている。このような構成とすることにより、セラミックグリーンシート一面から複数個のパッケージを分割形成する際の歩留まりを向上させることができる。前記裏面電極5は、外部と電気的に接続される箇所となるため、半田とのぬれ性が好ましい膜が形成されていることが好ましく、具体的にはNi、Au、またはAgなどの材料にて表面メッキされていることが好ましい。なお、本願発明において第二の導電性部材4とは、第一の導電性部材3と対向する導電性部材であり、本実施の形態の如くパッケージの内部に埋め込まれた配線層を有する場合は該配線層が第二の導電性部材となるが、これに限定されるものではなく、内部配線を有していない場合はパッケージの裏面に形成された裏面電極が第二の導電性部材となる。
これらの導電性部材は、放熱性、電気伝導性、発光素子の特性などを考慮して種々の大きさに形成させることができる。また、発光素子から放出された熱を外部に放熱させるため熱伝導性がよいことが好ましい。具体的な熱伝導度は、0.01cal/(S)(cm2)(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは0.5cal/(S)(cm2)(℃/cm)以上である。また、導体配線の具体的な電気抵抗としては300μΩ・cm以下が好ましく、より好ましくは、3μΩ・cm以下である。これらの導電性部材に用いられる材料は、パッケージ基体との密着性、熱伝導性、および導通性が良好な材料であれば特に限定されず、アルミ、鉄入り銅を主材料とするリードフレームや、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Mn(マンガン)やTa(タンタル)のような高融点金属の微粒子からなるメッキ層などが挙げられる。これらの高融点金属のうち、特に、W(タングステン)は、他の金属と比較して、引っ張りや強さ強度が高い、弾性率が高く高温でも強度が高い、熱膨張係数が金属中最も小さいなどの優れた物理的性質を有している。また、このような高融点金属は、発熱量の多いLEDやLDなどの半導体発光素子を搭載させるパッケージを構成する材料として適している。例えば、セラミックスを材料とするパッケージに導電性部材を形成する場合、タングステンやモリブデンが含有された樹脂ペーストをグリーンシート上に印刷すると共に焼成する方法が挙げられる。さらに、パッケージに被着されたタングステンやモリブデンに対して、ニッケル(Ni)、金(Au)および銀(Ag)を含む金属材料が積層させることにより、光反射を兼ねた導体配線とすることができる。あるいは、導体配線は、キャビティの側壁に配される金属材料の形成工程において、一体的に形成させることができる。このような金属材料は、鍍金、スパッタリングあるいは蒸着など、あるいはそれらを組み合わせた種々の形成方法により配置することができる。
本発明の発光素子1は、キャビティ2a内のパッケージ基体上または第一の導電性部材3上に載置することができる。本実施の形態では、発光素子1は、第一の導電性部材3の離間した3領域のうち、中央の第一の領域3aにダイボンド樹脂にて固定されている。このように、裏面電極まで電気的導通が取られた第一の導電部材上に載置することで、発光素子底面から発する熱を外部へ効率よく放熱することができる。また、第一の導電性部材の上面に、光沢度が90%以上の導電性光反射膜を形成していることが好ましく、これにより発光素子裏面および端面から発光される光を効率よく正面方向へ取り出すことができる。
また、本発明において発光素子とは、発光ダイオードやレーザダイオードなど、発光装置の光源となり得るものであれば特に限定されない。また、発光素子とともに、受光素子、およびそれらの半導体素子を過電圧による破壊から守る保護素子(例えば、ツェナーダイオードやコンデンサー)、あるいはそれらを組み合わせたものを搭載することができる。また、本形態において、発光素子とともに受光素子や保護素子を搭載することも可能である。
本形態において、発光素子または同時に載置される半導体素子1の電極と、パッケージのキャビティ2a内部に表出された第一の導電性部材3の第二の領域3bおよび第三の領域3cとを接続する導電性ワイヤ5は、第一の導電性部材3とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性及び熱伝導性がよいものが求められる。熱伝導度としては0.01cal/(s)(cm2)(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは0.5cal/(s)(cm2)(℃/cm)以上である。また、作業性などを考慮して導電性ワイヤの直径は、好ましくは、Φμm以上、Φ45μm以下である。このような導電性ワイヤとして具体的には、金、銅、白金、アルミニウム等の金属及びそれらの合金を用いた導電性ワイヤが挙げられる。
本形態におけるダイボンド部材8とは、発光素子とパッケージとを固定させるための部材である。発光素子とパッケージとの固定は、例えば、熱硬化性樹脂などのダイボンド部材を接着剤として行うことができる。具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂やイミド樹脂などが挙げられる。また、ダイボンド部材の熱膨張率を調整するため、これらの樹脂にフィラーを含有させることもできる。これにより、発光素子がパッケージから剥離することを抑えることができる。
(被覆部材9)
本発明のパッケージ2のキャビティ2a内には、搭載された発光素子1や導電性ワイヤ5などを塵芥、水分や外力などから保護する発光素子を保護する目的として被覆部材9が充填されていることが好ましい。被覆部材9の材料は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、ユリア樹脂などの透光性樹脂や、ガラスなどのような透光性向き部材から選択することができる。本実施の形態では、このような被覆部材9中に、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光物質を含有させている。この場合、透光性部材9として耐熱性および耐光性に優れ、紫外線を含む短波長の高エネルギー光に曝されても着色劣化しにくいシリコーン樹脂を用いることが好ましく、これにより色ズレや色ムラの発生が抑制される。また、半田付けなど被覆部材の熱膨張や熱収縮の繰り返しが行われたとしても、発光素子1と第一の導電性部材3とを接続している導電性ワイヤ5の断線や、ダイボンド部材8の剥離などが発生を抑制することができる。
本形態に利用することができる蛍光物質は、発光素子の光を変換させるものであり、発光素子からの光をより長波長に変換させるものの方が効率がよい。発光素子からの光がエネルギーの高い短波長の可視光の場合、アルミニウム酸化物系蛍光体の一種であるYAG:Ceが好適に用いられる。特に、YAG:Ce蛍光体は、その含有量によってLEDチップからの青色系の光を一部吸収して補色となる黄色系の光を発するため、白色系の混色光を発する高出力な発光ダイオードを、比較的簡単に形成することができる。
本実施例におけるパッケージ2は、AlN粉末を主成分とする4枚のセラミックスグリーンシートを用いる。まず、第一から第四のセラミックスグリーンシートに、それぞれ打ち抜き金型等を用いて所定の位置に、第二の導電性部材を露出させるための切欠部や、導通を形成するためのビアホール、およびキャビティの側壁となる貫通孔を形成する。このようにカットされた第一のセラミックスグリーンシートおよび第二のセラミックスグリーンシートに、図1および図3に示すような第一の導電性部材、第二の導電性部材、および略微小径円柱型導電部材6をタングステンペーストにて形成する。最後に、上述の第一から第四のセラミックスグリーンシートを順に積層させ加圧させてなる積層体を焼成する。
こうして得られたパッケージ2のキャビティ2a底面には、第一の導電性部材3が露出しており、該第一の導電性部材3の中央の領域3aに主発光波長が460nmのIn0.2Ga0.8N半導体を有する800μm角のLEDチップ1をエポキシ樹脂8にてダイボンディングする。この接着剤8を140度2時間で硬化後、LEDチップ1の電極と両側に配置された第一の導電性部材3の一対の領域3b,3cとを直径30μmの金線5にて接続する。ここで、キャビティ2a内において、本実施例の第二の導電性部材4のパターンの75%以上が前記第一の導電性部材3のパターンと重なり、かつ、LEDチップ1の端面と平行な領域内の平面透視において、前記第二の導電性部材のパターンの97%以上が前記第一の導電性部材と重なっている。
2・・・パッケージ
2a・・・キャビティ
3(3a,3b,3c)・・・第一の導電性部材
4(4a,4b,4c)・・・第二の導電性部材
5・・・ワイヤ
6(6a,6b,6c)・・・略微小径円柱型導電部材
7・・・裏面電極
8・・・ダイボンド部材
9・・・被覆部材
Claims (9)
- 発光素子と、該発光素子が収納されてなるキャビティを有する透光性絶縁パッケージと、を具備する発光装置であって、
前記透光性絶縁パッケージは、前記キャビティの底面にパターニングされた第一の導電性部材と、前記第一の導電性部材の下方にパターニングされ前記透光性絶縁パッケージの内部に埋没された第二の導電性部材と、前記透光性絶縁パッケージの裏面に形成され前記第二の導電性部材と導通する裏面電極を有し、
前記キャビティ内の平面透視において、第二の導電性部材のパターンの50%以上が前記第一の導電性部材のパターンと重なっていることを特徴とする発光装置。 - 前記キャビティ内であって、前記発光素子の端面と平行な領域内の平面透視において、前記第二の導電性部材のパターンの90%以上が前記第一の導電性部材と重なっていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
- 前記キャビティの底面において、前記第一の導電性部材のパターン間表面に光沢度が20%以上の絶縁性反射層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
- 前記透光性絶縁パッケージは角に切欠き部を有し、前記第二の導電性部材は前記切欠き部を渡って前記裏面電極と導通することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の発光装置。
- 前記キャビティの内壁に金属膜を有し、前記第一の導電性部材は前記キャビティの内壁から離間していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の発光装置。
- 前記キャビティ底面側の主原料は、窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の発光装置。
- 前記第一の導電性部材は、表面に光沢度が90以上である導電性膜が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の発光装置。
- 前記第二の導電性部材は熱伝導度が0 .01cal/( S )(cm 2 )(℃/cm)以上であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の発光装置。
- 前記第二の導電性部材はタングステン、モリブデン、マンガン、タンタルのいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至8に記載の発光装置。
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