JP4857306B2 - 車両の高圧タンク支持構造および燃料電池自動車 - Google Patents
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Description
ここで、特許文献1のラジエータ支持構造は、車両の前部においてメインフレームに対して弾性体を介してサブフレームを取り付けるとともに、サブフレームに対して第1および第2の弾性体(ゴムブッシュ)を介してラジエータを取り付け、このラジエータをダイナミックダンパとして機能するように構成したものである。
また、車両において、弾性体とマス部材とで構成されたダイナミックダンパを別個取り付けたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2のようにダイナミックダンパを車体に別個取り付けると車両の全体重量が重くなるため、燃費が悪くなるという問題があった。
また、燃料を保管する高圧タンクをダイナミックダンパとして利用するため、ダイナミックダンパを別個設置することなく、車両の重量を増やすことがない。したがって、車両の燃費を悪化させることなく、また、製造コストを増加させることがない。
また、高圧タンクには燃料となる気体が封入されているため、燃料の使用前後において全体重量の変化が少ない。したがって、高圧タンクを用いたダイナミックダンパでは、燃料となる気体の残量の如何にかかわらず共振周波数を略一定にすることができるため、車体の固有振動に対して確実に共振させて、車体の固有振動を低減させることができる。
さらに、路面入力に起因する振動現象は、低次のサス〜ボディ共振(数Hz)、ボディの弾性振動(10数Hz〜数十Hz)、ロードノイズ(数十Hz〜300Hz程度)の様々な現象があり、路面からのロードノイズに起因して低周波数帯域で車体の固有振動が発生するが、高圧タンクは通常100kg程度の重さがあるため、共振周波数を低周波数帯域に設定することができ、低周波数の車体の固有振動を確実に抑制することができる。
そして、高圧タンクを車体の後方に取り付けたため、車両の後部の振動をダイナミックダンパで効率よく吸収することができる。したがって、後部座席に乗員に対して伝播される振動を低減することができるため、乗り心地を改善することができる効果がある。
さらにまた、車体の振動方向(車両上下方向)にのみ弾性体の弾性率を下げて防振支持(高圧タンクをダイナミックダンパとして機能させる)とし、それ以外の方向については十分な剛性支持(高圧タンクの動きを抑える)を確保することができる。つまり、ゴム材料による防振で単に固有振動数を下げるためだけに高圧タンクの支持剛性を下げる(弾性体の弾性率を全方向について下げる)と、駆動反力や走行外力により高圧タンクが動きすぎることによる高圧タンクと他部品との接触や配管の破損が生ずる虞があるが、それを防止することができる。
また、ダイナミックダンパの効果を得るためには、通常、図8や図13のように重心位置に対称となる位置で支持する必要がある。ただし、取り付けるフレームとの位置や、スペースの関係上、重心位置において取り付けることが困難な場合には、取り付け位置で弾性体の向きを傾斜させて振動方向が重心方向を向かせることで同様のダイナミックダンパの効果を得ることが可能となる。高圧タンクを重心位置より下方で支持する場合には、支持方向が重心を向くように弾性体の向きを傾斜させることでダイナミックダンパとしての効果を得ることができる。
具体的には、車体の曲げ振動モードに伴う上下方向振動を調整するには、弾性率を変化させる。弾性率は弾性体の厚さを変化させることで調整する。つまり、弾性体の厚さを厚くすることで柔らかくし、薄くすることで硬く設定することができる。
図9に示すように、リアサブフレーム12とリアフレーム33との間にゴム部材35が設けられている。さらに、リアサブフレーム12と水素タンク9との間にゴム部材24が設けられている。このゴム部材24および35はともに、バネマス系のバネの役割を果たす。
具体的には、車体の曲げ振動モードに伴う上下方向振動を調整するには、弾性率を変化させる。弾性率はゴム部材24の厚さを変化させることで調整する。つまり、ゴム部材24の厚さを厚くすることで柔らかくし、薄くすることで硬く設定することができる。また、ゴム部材24の材質を変更することで弾性率を調整してもよい。
また、水素タンク9をリアサブフレーム12に取り付ける際に、ゴム部材24を傾斜させて、ゴム部材24の表面27が水素タンク9の重心Gを指向するようにすることで、確実にダイナミックダンパ30としての機能を発揮させることができる。
例えば、本実施形態において、リアフレームとリアサブフレームとの間にゴム部材を設けてバネマス系のバネとして機能するように構成したが、図11に示すように、リアサブフレーム12を車体のビーム(リアフレーム33)に固定し、リアサブフレーム12と水素タンク9(支持部材)との間にのみゴム部材24を設けてダイナミックダンパとして機能するように構成してもよい。また、図12に示すように、水素タンク9はリアサブフレーム12に強固に固定し、リアサブフレーム12とリアフレーム33との間にのみゴム部材35を設けてダイナミックダンパとして機能するように構成してもよい。
また、本実施形態において、水素タンクを横置きにした場合の説明をしたが、水素タンクを縦置きに配置してもよい。
また、本実施形態において、水素タンクの重心より下方側でゴム部材を介して車体のリアサブフレームに支持するように構成したが、水素タンクの重心より上方側から吊り下げるように水素タンクを支持してもよい。
さらに、本実施形態では水素タンクを搭載した燃料電池車両の場合について説明したが、水素タンクを利用する水素エンジン自動車、天然ガス自動車、およびLPガス自動車に同様の構造を採用してダイナミックダンパとして機能するようにしてもよい。
Claims (5)
- 気体燃料が充填され円筒の周面を備えた高圧タンクが設置された車両の高圧タンク支持構造において、
前記高圧タンクの前記周面に沿って形成された円環部および該円環部から突出形成された接合部を備えた支持部材と、
該支持部材の前記接合部に対応して前記車両のリアサブフレームに取り付けられた接合部材と、
該接合部材と前記支持部材の前記接合部との間に介装された板状の弾性体と、を備え、
前記高圧タンクが前記弾性体を介して該高圧タンクの重心を通る軸線より下方で前記リアサブフレームに支持され、
前記弾性体における前記接合部と当接する表面が、水平面に対して傾斜することにより前記高圧タンクの重心を通る軸線側に指向し、かつ、該軸線と直交する方向に向いて配置されていることを特徴とする車両の高圧タンク支持構造。 - 前記高圧タンクの重心が前記車両の側面視においてリアタイヤの外形内に収まるように前記高圧タンクが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の高圧タンク支持構造。
- 前記高圧タンクがトランクルーム内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の高圧タンク支持構造。
- 前記弾性体はゴム材料で形成され、その厚さを変更することで弾性率を調節可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両の高圧タンク支持構造。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の高圧タンク支持構造により前記高圧タンクが取り付けられていることを特徴とする燃料電池自動車。
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