はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=0,1,2・・・)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
手段0.コインの外径より広く開口し該コインを任意の姿勢状態で投入可能なコイン投入口と、該コイン投入口の辺部から下方に向かうに従って漸次狭窄する誘導部と、該誘導部の下端部で下方に向かって開口形成されるコイン供給口と、を有するコイン投入部材と、前記コイン供給口の下部に連続して開口端同士が対向配置されるコイン送入口を有するとともに、前記コイン投入口の手前側辺部から前記コイン供給口に至るまでの前記誘導部の壁面と同じ一定角度で該誘導部と連続して下方傾斜するように配された凹状の底部を有する前記コイン外径より若干大きい内径の円筒状に形成されたコイン通路部と、該コイン通路部の前記コイン送入口と反対側の端部に設けられ、前記コイン通路部内を移動してきたコインが接触する触突壁と、前記コイン通路部の端部の底部に前記触突壁に沿って開口し、前記コイン通路部内を移動してきたコインをその受け入れを認識する投入コイン認識手段に送り出すコイン送出口と、を有するコイン通路部材と、前記コイン通路部を傾倒して移動している前記コインを前記触突壁に沿って起立した姿勢に変更するように、前記コイン通路部材を振動させる振動手段を含むコイン姿勢変更手段と、を備え、前記コイン投入部材は、前記コイン供給口と前記コイン通路部材のコイン送入口とが対向した状態で取り付け固定されることを特徴とする。
手段1.コインの外径より広く開口し該コインを任意の姿勢状態で投入可能なコイン投入口と、該コイン投入口の辺部から下方に向かうに従って漸次狭窄する誘導部と、該誘導部の下端部で下方に向かって開口形成されるコイン供給口と、を有するコイン投入部材と、前記コイン供給口の下部に連続して対向配置されるコイン送入口を有し一定角度で下方傾斜するとともに、前記コイン外径より若干大きい内径を有する円筒状に形成されたコイン通路部と、該コイン通路部の前記コイン送入口と反対側の端部に設けられ、前記コイン通路部内を移動してきたコインが接触する触突壁と、前記コイン通路部の端部の底部に前記触突壁に沿って開口し、前記コイン通路部内を移動してきたコインをその受け入れを認識する投入コイン認識手段に送り出すコイン送出口と、を有するコイン通路部材と、前記コイン通路部を傾倒して移動している前記コインを前記触突壁に沿って起立した姿勢に変更するコイン姿勢変更手段と、を備えたことを特徴とする。
手段2.前記コイン姿勢変更手段は、前記円筒状のコイン通路部の凹状の底部と、前記触突壁と、を含むことを特徴とする。
手段3.前記コイン姿勢変更手段が、前記コイン通路部材を振動させる振動手段を含むことを特徴とする。
手段4.前記振動手段が、前記コイン通路部の外側の前記触突壁裏面側に設けられたことを特徴とする。
手段5.前記コイン供給口が、前記コインの最も広い平面の外形より若干大きく開口形成されたことを特徴とする。
手段6.コインの外径より広く開口し、該コインを任意の姿勢状態で投入可能なコイン投入口と、該コイン投入口の辺部から下方に向かうに従って漸次狭窄する誘導部と、該誘導部の下端部で下方に向かって開口するコイン供給口とを有するコイン投入部と、該コイン投入部の下方位置に設けられ、前記コイン供給口から供給された任意の姿勢状態のコインを所定の姿勢状態に変更すると共に、該コインの受け入れを認識する投入コイン認識手段と、を備えた遊技機において、前記コイン投入部の誘導部は、互いに対向する側壁面がコインの投入方向に対してそれぞれ異なる傾斜角をもって傾斜するようにしたことを特徴とする。
手段6によれば、コイン投入部はコイン投入口からコイン供給口に移行するに従って狭窄するロート状に形成され、且つコイン供給口がコイン投入口に対して所定方向に偏倚して形成されている。これにより、複数枚のコインが任意の姿勢状態でまとめて投入されると、各コインは該コインの当接する誘導部の傾斜角に応じて互いに異なる方向にはね返って、互いに異なる速度でコイン供給口へ向けて集まるように誘導することができる。よって、コイン供給口でコインの誘導方向先端部同士の接触等が生じると、誘導速度に違いによりコインに作用する力のバランスが崩れているので、かかる接触等を崩すことができる。したがって、コイン供給口から迅速且つ円滑にコインを下流側の投入コイン認識手段へ送り出すことができるので、投入コイン認識手段による認識を迅速且つ適切に行わせることができる。
手段7.コイン投入部41のコイン投入口41aは略矩形状を有し、上方に向かって開口形成され、コイン投入部41の誘導部41bは、コイン投入口41aから下方に移行するにしたがって漸次互いに接近する一対の傾斜側壁面41d、41eと、該一対の傾斜側壁面41d、41eの互いに対向する一端側を連結し、コイン投入口41aから投入されたコインMを受ける受け壁面41fと、該一対の傾斜側壁面41d、41eの互いに対向する他端側を連結し、該受け壁面41fに対向配置される奥壁面41gとを有することを特徴とする。
手段7は、本発明者の鋭意研究によって好ましいコイン投入部41の形状を見出したものである。これによれば、コイン投入口41aの上方から任意の姿勢状態で所定の拡散状態をもって投入される複数枚のコインMを受け壁面41f上で積極的に傾倒した姿勢状態にし、一対の傾斜側壁面41d、41eと協働してコインMを円滑にコイン供給口41cに誘導することができる。したがって、投入コイン認識手段42、43、50への迅速且つ円滑なコインMの送り出しを確実なものとすることができる。
手段8.一対の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gのコイン投入方向に対する各々の傾斜角は相互に異なっていることを特徴とする。
手段8によれば、誘導部41bを構成する一対の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gの各々の傾斜角を限定したものであり、これによれば、投入された各コインMが当接する一対の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gに応じて互いに異なる速度で上方から下方に移動するので、コイン供給口41cへ向けたコインMの誘導速度に差異を生じさせることができる。これにより、コインMを誘導する壁面に応じてコイン供給口41cでコインMに作用する力のバランスが崩れ、誘導されたコインMの円滑且つ迅速なコインMの送り出しを確保することができる。したがって、コイン供給口41cにおけるコイン詰まり等の不具合の発生頻度を低下させることができる。
手段9.コイン供給口41cは、コインMの外径より若干大きい径で開口形成され、コイン投入部41の下端部分を1枚のコインMが通過できる程度の窮屈な形状としたことを特徴とする。
手段9は、コイン投入部41のコイン供給口41cの構成を限定したものであり、これによれば、コイン投入口41a内に投入された無秩序な姿勢状態の複数枚のコインMを、コイン供給口41cへ向けて上方から下方に移動するに従って誘導部41bによって傾倒した姿勢状態にしつつ、コインMの移動方向に1枚ずつ整列した状態で集めることができる。したがって、下流側の投入コイン認識手段42、43、50には1枚ずつ順番にコインMが供給されることになるので、投入コイン認識手段42、43、50の円滑な動作を確保することができる。
手段10.誘導部41bの互いに対向する側壁面41d、41e、41f、41gの少なくとも一方は、コイン投入口41cの辺部から下方に所定の距離だけコインMの投入方向に対して所定の傾斜角をもって移行し、該所定の距離まで到達してから誘導部41bの下端部までは該所定の傾斜角と異なる傾斜角をもって移行するようにしたことを特徴とする。
手段10は、コイン投入部41の誘導部41bの構成を限定したものであり、これによれば、誘導部41bの互いに対向する少なくとも一方の側壁面41d、41e、41f、41gは、コインMの投入方向に対して2種類の傾斜角をもって下方に向かって移行するように形成されている。これにより、投入されたコインMをコイン供給口41cに誘導する速度にさらに差異を生じさせることができ、下流側の投入コイン認識手段42、43、50へコインMを円滑に供給することができる。
以下、本発明の第1実施の形態について遊技機の一例としてスロットマシンの場合を例に図面に基づいて説明する。図1は、スロットマシン1の前面扉3が閉じた状態を示す斜視図、図2は、スロットマシン1の前面扉3を開いた状態を示した斜視図である。スロットマシン1は、図1に示すように、本体2と前面扉3とからなる正面視略矩形状の筐体4を有している。
本体2は、スロットマシン1の骨格をなす部材であり、図2に示すように、前面が開放された箱形状を有している。本体2の内部には、各種の図柄等が表示される複数個の回転ドラム11と、スロットマシン1の遊技動作を制御するメイン制御基板60(図12を参照)等を収納した制御基板収納ボックス12と、電源スイッチ13a、リセットスイッチ13b、設定キースイッチ13cなどを備える電源ボックス13と、遊技価値媒体であるコインMを貯留する補助タンク14a、及び補助タンク14a内のコインMを排出用通路9からコイン払出口7に払い出す支払装置14bを備えたホッパ14等が収容されている。
前面扉3は、図2に示すように、左側辺部の上下2カ所がヒンジ5によって本体2に連結されて取り付けられており、本体2の前面開放部分を容易に閉塞及び開放できるように構成されている。
前面扉3は、図1に示すように、上方から下方に向かって順番に表示部3A、操作部3B、貯留部3Cの3つの部分を備えている。表示部3Aは、前面扉3の上辺に沿って設けられ遊技の進行に伴って点灯・点滅する上部ランプ21と、上部ランプ21の下方位置で左右両側に各々配置されて種々の効果音等を発生させる一対のスピーカ22と、これら一対のスピーカ22の間に配設されて画像・映像などの種々の情報を表示する液晶ディスプレイ23を有している。また、表示部3Aの略中央高さ位置には、筐体4内で回転する複数個の回転ドラム11をそれぞれ視認するための透明窓24が設けられており、透明窓24の左側にはコインMのベット数(賭け数)に応じて点灯するベットランプ25が配設されている。そして、表示部3Aの下部には、左側から右側に向かって順番にクレジット枚数表示部26、ゲーム数表示部27、払出枚数表示部28が設けられている。
操作部3Bは、表示部3Aの下端で折曲されて手前側に向かって延在する平面部分Fと、その平面部分の手前側の端部で折曲されて下方に向かって垂下する縦壁部分Hを有しており、平面部分Fには、左側位置に1枚用と2枚用のベットボタン31、32が設けられ、その右側近傍位置に3枚用のベットボタン33が設けられている。そして、平面部分Fの右側位置には、後述する投入コイン送出装置40のコイン投入部41が配設されている。
縦壁部分Hの上部には左側から右側に向かって順番に、コインMを貯留するか否かを選択するためのクレジットボタン34、回転ドラム11の回転開始を指示するためのスタートレバー35、回転ドラム11の回転停止を指示するためのストップボタン36が設けられている。スタートレバー35は、縦壁部分Hから手前側に向かって突設されており、下方に押し下げる、或いは上方に押し上げることによって操作される。ストップボタン36は、各回転ドラム11に対応する位置にそれぞれ配設されており、押し動作によって操作される。また、操作部3Bの下部には、機種名や遊技に関わるキャラクタ等が表示された表示プレート37等が設けられている。
貯留部3Cは、操作部3Bの下方位置で左右方向に亘って延在するように配置形成されており、コイン払出口7から払い出されたコインMを受けて貯留するコイン受け皿16や灰皿17等が設けられている。
次に、投入コイン送出装置40について図3〜図8を参照しつつ説明する。図3は、投入コイン送出装置40の斜視図、図4は、投入コイン送出装置40の正面図、図5は、投入コイン送出装置40の縦断面図、図6は、図5におけるA−A線断面図、図7は、同じく図5におけるB−B線断面図、図8(a)は、コイン投入部41の平面図、図8(b)は、コイン投入部41の正面図である。
投入コイン送出装置40は、任意の姿勢状態で所定の拡散状態を持って投入された複数枚のコインMを、コイン送出口42cから順番に送出して、後述するセレクタ50に供給するためのものである。投入コイン送出装置40は、図3に示すように、コイン投入部41、コイン通路部材42、振動手段43を備えている。
コイン投入部41は、スロットマシン1の前面扉3に取り付け固定されており、操作部3Bの平面部分F(図1参照)に露出して略水平に延在するコイン投入口41aと、コイン投入口41aから下方に移行するに従って漸次狭窄する誘導部41bと、誘導部41bの下端部で下方に向かって開口するコイン供給口41cを有している。
コイン投入口41aは、複数枚のコインMを所定範囲内で略水平方向に拡散した状態で一括投入可能な大きさで上方に向かって開口する形状を有しており、例えば、本実施の形態では略矩形状を有し、コイン受け皿16等から複数枚のコインMを掴み取り、そのままコイン投入口41aの上まで移動させて掌を開いた場合に、掌の中にある全てのコインMをコイン投入口41a内に入れることができる程度の大きさに形成されている。したがって、コイン投入口41aは、コイン投入口41aの上方から投入されるコインMをコイン投入口41a内において鉛直方向下向きに落下させることができるように構成されている。
誘導部41bは、コイン投入口41aの左側辺部および右側辺部から下方に移行するに従って漸次互いに接近する左右一対の傾斜側壁面41d、41eと、コイン投入口41aの手前側辺部から下方に移行するに従って漸次奥行き方向に移行するように傾斜し、コイン投入口41aの上方から投入されたコインMを受ける受け壁面41fと、コイン投入口41aの奥側辺部から垂下し、受け壁面41fに対向配置される奥壁面41gを有している。
左右一対の傾斜側壁面41d、41eは、投入されたコインMが当接してはね返ることによって下方のコイン供給口41cへ円滑に誘導できるように所定の傾斜角を有している。互いに対向する左右の傾斜側壁面41d、41eは、コインMの投入方向に対して互いに異なる傾斜角を持って傾斜形成されているのが好ましい。
例えば、左側の傾斜側壁面41dは、図6および図7に示すように、右側の傾斜側壁面41eより大きな傾斜角を有してコイン投入口41aの開口中心方向に延出して急激な傾斜面を形成しており、当接したコインMを右側の傾斜側壁面41eに当接したときより迅速にコイン供給口41cに誘導できるように構成されている。一方、右側の傾斜側壁面41eは、図6および図7に示すように、左側の傾斜側壁面41dより小さな傾斜角を有してコイン投入口41aの中心付近まで延出して、なだらかな傾斜面を形成しており、当接したコインMを左側の傾斜側壁面41dに当接したときよりゆっくりコイン供給口41cに誘導できるように構成されている。
受け壁面41fは、コイン投入口41aの中心付近まで延出しており、コイン投入口41aの上方から落下させたコインMを、受け壁面41f上で左右方向に積極的に傾倒させて、コイン供給口41cに向かって円滑に導くことができる傾斜角を有するように傾斜形成されている。
また、左右一対の傾斜側壁面41d、41eおよび受け壁面41fは、コイン投入口41aの上方から複数枚のコインMが所定範囲の拡散状態を持って投入されると、コインMが起立した姿勢状態であるときには左右の傾斜側壁面41d、41eおよび受け壁面41fによって左右方向に積極的に傾倒させた姿勢状態とし、その状態でこれらの壁面に沿ってコイン供給口41cへ向けて誘導できるように構成されている。一方、投入されたコインMが既に傾倒した状態であるときには、左右の傾斜側壁面41d、41eおよび受け壁面41f上に沿ってコイン供給口41cへ向けて誘導できるように構成されている。また、コインMが重なった状態で投入されたときには、受け壁面41f上を移動しながら左右の傾斜側壁面41d、41eによって重なりを崩してコイン供給口41cに誘導できるように構成されている。
奥壁面41gは、コイン投入口41aの奥側辺部からほぼ鉛直方向に垂下するような傾斜角を持ってコイン投入口41aの中心方向に延出している。互いに対向する受け壁面41fと奥壁面41gは、コインMの投入方向に対して異なる傾斜角を持って下方に向かって傾斜形成されているのが好ましい。
このように対向関係にある左右の傾斜側壁面41d、41eと、受け壁面41fおよび奥壁面41gがそれぞれ互いに異なる傾斜角を有することによって、投入されたコインMの当接する壁面に応じて異なる速度で下方のコイン供給口41cに向けて誘導することができる。これは、誘導部41bの対向関係にある壁面(本実施の形態の場合、左右の傾斜側壁面41d、41eの関係および受け壁面41fと奥壁面41gの関係)が同一の傾斜角を有していると、複数枚のコインMがまとめて投入されたときに、誘導部41bに当接してはね返った各コインMが同じ速度で上方から下方に移動し、コイン供給口41cに集中して誘導されることによって、コイン詰まり等の不具合を発生させるからである。
すなわち、同一の傾斜角により同一の誘導速度をもってコイン供給口41cにコインMが集められると、例えば、対向する傾斜面に沿って誘導されたコインMの誘導方向先端部同士の接触等が生じたときに、先端部同士が接触したコインMに作用する力のバランスが保たれる。これにより、コイン供給口41cにて先端部同士が接触したコインMが静止した状態となってコイン詰まり等の不具合が発生する場合がある。
一方、本実施の形態のように傾斜角の違いにより異なる誘導速度をもってコイン供給口41cにコインMが集められると、例えば、対向する傾斜面に沿って誘導されたコインMの誘導方向先端部同士の接触等が生じたときに、先端部同士が接触したコインMに作用する力のバランスが崩される。したがって、誘導部41bによって誘導されたコインMがコイン供給口41cに集中するのを防ぎ、コイン供給口41cにおいてコインMによる詰まり等の不具合の発生を回避し、コインMを迅速且つ円滑に送り出すことができる。
そしてまた、誘導部41bの対向関係にある傾斜角がコインMの投入方向に対して互いに異なるだけでなく、左右の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gの関係で傾斜角がコインMの投入方向に対して互いに異なるように構成されるのが特に好ましい。これにより、複数枚のコインの各コインMが当接する左右の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gの傾斜角に応じて互いに異なる方向にはね返り、互いに異なる速度で上方から下方に移動するので、コイン供給口41cに向けてのコインMの誘導速度に差異を生じさせることができる。従って、コイン詰まり等の不具合の発生頻度を低下させ、コイン供給口41cからのコインMの送出をより円滑且つ迅速なものとすることができる。
さらに、誘導部41bの左右の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gの中で、少なくとも1つの壁面については、コイン投入口41aの辺部からコインMの投入方向に対して所定の傾斜角をもって下方に移行し、コイン投入口41aの辺部から所定の距離に到達してから誘導部41bの下端部までは、所定の傾斜角と異なる傾斜角をもって移行するように構成することもできる。これにより、その壁面には、2種類の傾斜角を設定するように形成されるので、投入されたコインMをコイン供給口41cに誘導する速度にさらに差異を生じさせることができ、下流側のコイン通路部材42へコインMを円滑に供給することができる。
コイン供給口41cは、左右一対の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gの各下端部の間を連結するように延在する底壁面41hに開口形成されており、受け壁面41fに対向して配置され、ほぼ円形状に開口形成されている。コイン供給口41cは、コインMの外径よりも若干大きく開口形成され、誘導部41bによって左右方向に傾倒した姿勢状態の1枚のコインMが上方から下方に向かって通過できる程度の窮屈な形状となるように構成されている。そして、コイン供給口41cは、誘導部41bの互いに対向する壁面の傾斜角が異なっているので、コイン投入口41aに対して所定方向に偏倚して形成されている(図4を参照)。
これにより、コイン投入口41a内に所定の拡散状態を有して無秩序な姿勢状態で投入されたコインMを、上方から下方に移動するに従って、誘導部41bによって傾倒した姿勢状態にしつつコイン供給口41cに1枚ずつ整列した状態で集めることができる。
また、コイン供給口41cには、図8(b)に示すように、コイン供給口41cを基端部として下方に向かって所定の高さで突出して、コイン通路部材42のコイン送入口42fに嵌入する嵌合部41jが形成されている。嵌合部41jの左側先端部分はさらに下方に突出するように構成されている。これにより、コイン通路部材42への取り付け固定を確実なものとすることができる。
上記構成のコイン投入部41により、コイン受け皿16等から複数枚のコインMを掴み取り、そのままコイン投入口41aの上まで移動させて掌を開くのみで、掌の中にある全てのコインMをコイン投入口41a内に容易に投入することができる。
また、コイン投入口41aから下方に向かって移動するコインMを、誘導部41bによってコイン供給口41cに集める方向に積極的に移動させることができるように案内し、コイン供給口41cに円滑に導くことができる。
特に、誘導部41bの傾斜角は、コインMの投入方向に対して互いに対向する壁面の傾斜角を異なるように構成したので、投入された複数枚のコインの各コインMが当接する誘導部に応じて互いに異なる方向にはね返り、互いに異なる速度でコイン供給口41cへ向けて誘導することができる。
そして、コイン供給口41cは、コインMの外径より若干大きい径をもって開口形成され、コイン投入部41の下端部分を窮屈な形状に形成しているので、誘導部41bに沿って誘導されたコインMを順番に1枚ずつ迅速且つ円滑に送り出すことができる。
次に、投入コイン送出装置40のコイン通路部材42および振動手段43と、セレクタ50について図9〜図11を参照しつつ説明する。図9は、コイン投入部41を取り外した状態の投入コイン送出装置40の斜視図、図10は、投入コイン送出装置40およびセレクタ50を説明する図、図11は、セレクタ50の内部構造を示す図である。
コイン通路部材42、振動手段43およびセレクタ50は、投入コイン送出装置40のコイン投入部41から供給されたコインMをコイン通路部材42内で振動手段43によって所定の姿勢状態に整えて下流側のセレクタ50に送出し、セレクタ50に受け入れたコインMを認識できるように構成されており、投入コイン認識手段として形成されている。
コイン通路部材42は、防振ゴムG(図10を参照)を介して支持フレーム44に取り付け支持されている。支持フレーム44は、左右方向に離間して筐体4の手前側から奥側に向かって延在するように前面扉3に取り付け固定される左右一対の縦フレーム部44a、44bと、両縦フレーム部44a、44bの先端部間及び後端部間を筐体4の左右方向に延在して連結する前フレーム部44cと後フレーム部44dを備えている。
コイン通路部材42は、コイン投入部41の下部に連続して下方傾斜して延在し、所定の曲率半径で湾曲した凹状の横断面を有する凹状底部42aと、その凹状底部42aに沿って終端部分まで移動してきたコインMが触突するコイン触突壁42bと、コイン触突壁42bに沿って凹状底部42aに開口するコイン送出口42cを有している。
本実施の形態では、コイン通路部材42は、コインMの外径よりもやや大きい内径で延在する円形の内孔42dを有した円筒体42eによって構成されており、内孔42dが凹状底部42aを備えている。
円筒体42eは、先端部分に開口するコイン送入口42fがコイン供給口41cの下部に連続するように対向配置され、図9に示すように、コイン投入部41がコイン通路部材42に取り付け固定できるように、コイン投入部41の嵌合部41jの形状に対応した形状を有している。
また、円筒体42eの内孔42dが水平方向に対して所定の傾斜角で下方傾斜して延在するように支持フレーム44に支持されている。例えば、本実施の形態において、15度から20度の間の傾斜角で下方傾斜して延在するように支持フレーム44に支持されている。尚、上記の下方傾斜の角度は、15度から20度の間の値に限定されるものではなく、内孔42d内をコインMが自重によって上方から下方に向かって滑り落ちながら円滑に移動可能な角度であればよい。
円筒体42eの内孔42dは、内孔42d内でコインMを内孔42dの軸方向に沿って延在するように配置した場合に、内孔42dの径方向、換言すると、コインMの移動方向に直交する方向に位置するコインMの両側端部をそれぞれ点接触により支持し、その両側端部を中心として容易に回動可能な不安定な姿勢状態(シーソーのような状態)で移動させることができる大きさの内径を有している。
コイン触突壁42bは、内孔42dの径方向に沿って上下に平面状に延在して円筒体42eの終端部分を閉鎖するように設けられており、内孔42dの軸方向に沿った不安定な姿勢状態で内孔42d内を移動してきたコインMが触れて突き当たることによって、より安定した姿勢状態である、コイン触突壁42bに沿って起立する姿勢状態に姿勢を変更することができるように構成されている。
コイン送出口42cは、コイン触突壁42bに沿ってコインMの径よりも広い幅で延在すると共に、コイン触突壁42bから円筒体42eの軸方向にコインMの1枚分の厚さよりも広くかつ2枚分の厚さよりも狭い間隙を有しており、コイン触突壁42bに沿って当接して起立する姿勢状態のコインMが自重により落下し、コイン通路部材42から下方に送り出すことができるように凹状底部42aに開口形成されている。
コイン触突壁42bよりも円筒体42eの軸方向に沿って下方に離間した位置には、横軸部42gが設けられている。横軸部42gは、円筒体42eから側方に向かって突出するように設けられており、縦フレーム部44a、44bに形成されている横軸受けに防振ゴムを間に介して支持されて、円筒体42eの終端部分側を中心として先端部分側を上下方向に揺動可能に支持している。
また、円筒体42eの先端部分の下部には、縦軸部42hが設けられている。縦軸部42hは、円筒体42eの軸心に直交して垂下するように突設されており、前フレーム部44cに開口形成されている縦軸受け孔44fに防振ゴムGを間に介して支持されている。
振動手段43は、電動モータ43aとウェイト43bを備えており、コイン触突壁42bの裏面側に取り付け支持されている。電動モータ43aは、サブ制御基板65による電源の供給制御によって回転駆動される構成を有しており、本実施の形態では、直流電源により駆動されるDCモータが用いられている。電動モータ43aは、コイン触突壁42bの裏面側に連続して形成された円筒状のモータケース42iに収容されており、モータ回転軸が円筒体42eの軸方向に直交して上下方向に延在するように固定支持されている。
ウェイト43bは、モータケース42iから上方に突出するモータ回転軸の先端に偏位して取り付けられており、電動モータ43aの回転駆動によって、モータ回転軸に直交する方向に振幅する振動を発生させることができるように構成されている。したがって、コイン通路部材42は、モータケース42iを介して伝達される振動によって、所定の方向に振動することができる。尚、図中で符号42jは、ウェイト43bを覆うウェイトカバーである。
また、上記構成を有するコイン通路部材42には、円筒体42e内にコインMが存在するか否かを検出するためのコイン存在検出センサ45が設けられている。コイン存在検出センサ45は、本実施の形態では、一対の投光部45aと受光部45bを有する光電管によって構成されている。これら投光部45aと受光部45bは、支持フレーム44の左右の縦フレーム部44a、44bに設けられたセンサーブラケット(それぞれ図示せず)に各々取り付けられており、円筒体42eの軸方向ほぼ中央位置を径方向に貫通するように円筒体42eに開口形成された貫通孔42kを通して互いに対向する位置に配置されており、コインMの通過を遮光により検出するように構成されている。
上記構成を有する投入コイン送出装置40から送出されたコインMは、コイン受入認識装置としてのセレクタ50に供給される。
セレクタ50は、前面扉3の背面に沿って延在するように配置されており、セレクタボディ51には、投入コイン送出装置40のコイン送出口42cから送出されたコインMを貯留用通路8に導くためのコイン案内路52が設けられている。
コイン案内路52は、図11に矢印Aで示すように、セレクタボディ51のボディ上面左側部分から垂下してセレクタボディ51の略中央高さ位置でボディ右側に向かってカーブし、更に矢印Bで示すように所定の傾斜角で右側面の下部まで延在しており、コインMが一列で通行することができるように形成されている。本実施の形態では、セレクタボディ51から図の手前側に突出する突条52aによって構成されており、コインMは、突条52a上を転がりながら下流方向に流れる。
コイン案内路52の途中位置には、図中に矢印Cで示すように、コイン案内路52から分岐して排出用通路9に連通する分岐通路53が形成されており、コイン案内路切替手段54によってコインMを供給用通路8と排出用通路9のいずれに供給するかを選択することができるように構成されている。
コイン案内路切替手段54は、コイン案内路52に対して出没可能な切替片54aと、この切替片54aを動作させるためのソレノイド(図示せず)とを備えており、ソレノイド非励磁時にはコイン案内路52内に切替片54aを突出させることによって貯留用通路8へのコインMの流れを阻害し、コインMを突条52aの上から図中の手前側に移動させて下方に落下させて分岐通路53に誘導し、分岐通路53から排出用通路9に導いて、前面扉3のコイン払出口7からコイン受け皿16に排出させる。また、ソレノイド励磁時にはコイン案内路52外に切替片54aを没入させて、コインMをコイン案内路52に沿って移動させて、貯留用通路8に導き、筐体4の内部に収容されたホッパ14に供給する。
コイン案内路52の下流側位置には、コインMの通過を検出するコイン通過検出部55が設けられている。コイン通過検出部55は、第1投入コイン通過検出センサ55aと第2投入コイン通過検出センサ55bを備えており、少なくとも通過する1枚のコインMを同時に検出しうる程度に近接した状態で上流側と下流側に並設されている。
コイン通過検出部55は、コイン案内路切替手段54のソレノイド非励磁時にコインMがコイン案内路52の途中で下方に落下して分岐通路53に導かれるので、各投入コイン通過検出センサ55a、55bによりコインMの通過を検出することはない。また、コイン案内路切替手段54のソレノイド励磁時にはコインMがコイン案内路52を上流端から下流端まで移動するので、各投入コイン通過検出センサ55a、55bによりコインMの通過を検出することができる。
次に、制御基板収納ボックス12内に配設されているスロットマシン1のメイン制御基板60等について図12に基づいて説明する。図12は、スロットマシン1の電気的構成を説明するブロック図である。
メイン制御基板60には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU61と、そのMPU61に接続されると共にセンサ類やスイッチ類などの各種の入出力手段に接続された入出力ポート62が搭載されている。
MPU61には、MPU61により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、そのROM63内に記憶される制御プログラムの実行にあたって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路等の各種回路(図示せず)等が内蔵されている。
入出力ポート62には、遊技状態をリセットするためのリセットスイッチ13b、設定キーの操作により遊技の当選確率を複数段階に切り替えるための設定キースイッチ13c、1枚〜3枚ベットボタン31、32、33、クレジットボタン34、スタートレバー35、ストップボタン36、コイン存在検出センサ45、第1投入コイン通過検出センサ55a、第2投入コイン通過検出センサ55b、1〜3枚ベットランプ25、クレジット枚数表示部26、ゲーム数表示部27、払出枚数表示部28、サブ制御基板65等が接続されている。
サブ制御基板65は、メイン制御基板60から送信されるコマンドを受信して所定の制御処理を行うものであり、本実施の形態では、振動手段43の電動モータ43aに駆動電源を供給して振動を発生させる制御、スピーカ22から効果音等の出力制御、表示用制御基板66を制御して液晶ディスプレイ23上に演出表示等を行わせるように構成されている。サブ制御基板65には、上部ランプ21、スピーカ22、電動モータ43a、表示用制御基板66等が接続されており、表示用制御基板66との間ではデータ等を双方向に送受信可能に構成されている。
電源基板67は、上述した電源ボックス13内に設けられており、メイン制御基板60の他に、スロットマシン1の各電子機器に駆動電力を供給する電源部68と、電源断の発生を監視する停電監視回路69等の各種回路を備えている。スロットマシン1の電源オフ後には、電源基板67の電源部68からRAM64にバックアップ電圧が供給される。
MPU61は、入出力ポート62に接続されている各種センサ類、スイッチ類からの検出信号等に基づき、ROM63内に格納されているプログラムを実行することによって種々の処理を行う制御手段を構成する。例えば、コイン通路部材42の円筒体42e内にコインMが流れ込み、コイン存在検出センサ45の投光部45aと受光部45bとの間の光路がコインMによって遮光されると、コインMの存在を知らせる検出信号がコイン検出センサ45から入出力ポート62を介してMPU61に入力される。
MPU61は、コイン検出センサ45から入力した検出信号をプログラムに基づいて解析し、円筒体42eの中にコインMが存在していると判断すると、入出力ポート62を介して振動手段43の電動モータ43aを駆動する信号をサブ制御基板65に出力し、サブ制御基板65から電動モータ43aに電源を供給して電動モータ43aのモータ回転軸を回転させる処理を行わせる。
そして、投光部45aと受光部45bとの間の遮光が解除されて光路が確保された後、所定時間の経過により円筒体42eの中にコインMが存在していないと判断すると、電動モータ43aの駆動停止信号をサブ制御基板65に出力し、電動モータ43aのモータ回転軸の回転を停止させる処理を行わせる。なお、コイン検出センサ45を用いたコイン通路部52内におけるコインMの存在または不存在の検出は、サブ制御基板65のMPU(図示せず)が検出信号に基づいて行うようにしても良い。
また、MPU61は、所定条件に基づきコインMの受け入れを許可する場合には、セレクタ50のソレノイドに励磁を行い、切替片54aをコイン案内路52外に没入させる処理を行い、コイン案内路52をコインMが通過することによりコイン通過検出部55が検出した検出信号に基づいて、コインMを受け入れたことを認識する。また、コインMの受け入れを拒否する場合には、セレクタ50のソレノイドを非励磁とし、切替片54aをコイン案内路52内に突出させる処理を行い、コインMを分岐通路53に誘導して排出用通路9からコイン受け皿16に戻す。
次に、上記構成を有するスロットマシン1にコインMを投入した場合における投入コイン送出装置40及びセレクタ50の動作等について図13及び図14に基づいて以下に説明する。図13及び図14は、投入コイン送出装置40内におけるコインMの状態を説明する図である。
まず最初に、コイン受け皿16等から複数枚のコインMを掴み取り、コイン投入口41aの上まで運んでからコイン投入口41a内に落下させる。コイン投入口41aは、複数枚のコインMを所定範囲内で略水平方向に拡散した状態で一括投入可能な大きさに形成された開口形状を有しており、これら複数枚のコインMの投入作業を容易に行うことができる。
複数枚のコインMは、例えば図13及び図14に示すように、無秩序な任意の姿勢状態でコイン投入口41aからコイン投入部41内に入り込み、誘導部41bの左右の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gに当接しながらはね返って下方に向かって移動し、略水平方向に拡散した状態から漸次コイン供給口41cに向かって集合する方向に誘導されて、コイン供給口41cからコイン通路部材42に順次流れ込む。
ここで、受け壁面41fがコイン供給口41cに対向する位置に配置されており、コイン投入口41aから落下してきたコインMをコイン通路部材42の先端部分から終端部分に向かって移動する方向に誘導するように傾斜形成されているので、コイン投入部41に投入された複数枚のコインMをコイン通路部材42に円滑に供給することができる。
また、誘導部41bの左右の傾斜側壁面41d、41e、受け壁面41fおよび奥壁面41gは、コインMの投入方向に対して互いに異なる傾斜角をもって傾斜形成されているので、コイン投入口41aから落下してくる複数枚のコインを、各コインMが当接する壁面に応じて異なる速度でコイン供給口41cに誘導することができる。これにより、投入されたコインMをコイン供給口41cに集中して誘導することを防ぎ、コイン供給口41cにおけるコインMの詰まり等を防止することができる。
なお、コインMによるコイン供給口41cにおけるコイン詰まりの発生については、本発明者により20枚または30枚のコインMを繰り返し投入する実験を行うことによって改善されたことが判明した。
そしてまた、コインMが起立した姿勢状態でコイン投入口41aに投入された場合は、受け壁面41f上で、または受け壁面41fと左右の傾斜側壁面41d、41eが協働してコインMを積極的に左右方向に傾倒した姿勢状態とし、その傾倒した姿勢状態でコイン供給口41cからコイン通路部材42に流れ込む。また、複数枚のコインMが上下に積み重ねた状態でコイン投入口41aに投入された場合は、受け壁面41f上に沿って下方に移動しつつ左右の傾斜側壁面41d、41eによってその重なり合いを積極的に崩すことができ、コイン供給口41cからコイン通路部材42内に順番に供給することができる。
コインMは、コイン送入口42fから順番に内孔42d内に流れ込むと、内孔42dの軸方向に沿って延在し、コインMの移動方向に直交する方向に位置する両側端部が内孔42dにそれぞれ点接触した状態で支持され、その両端部を中心として容易に回動することができる不安定な姿勢状態で内孔42dの下方傾斜により内孔42d内を下方に向かって滑り落ちながら移動する。
特にコイン投入部41の誘導部41bによって積極的に左右方向に傾倒させて、その傾倒した姿勢状態のままで内孔42d内に供給することで、コインMが内孔42d内で前転方向或いは後転方向に容易に回動できるようにしている。
そして、コインMがコイン存在検出センサ45の投光部45aと受光部45bとの間の光路を遮ると、電動モータ43aの回転駆動が開始され、コイン通路部材42に振動が付与され、内孔42d内のコインMにも振動が与えられる。この電動モータ43aの回転駆動は、投入された全てのコインMがコイン通路部材42を通過し、投光部45aと受光部45bとの光路が再び確保された後、所定時間が経過するまで継続される。コインMは、振動手段43により振動され、内孔42d内に留まる或いは詰まることなく、終端部分まで円滑に順番に移動することができる。
そしてまず、先頭のコインMが円筒体42eの終端部分でコイン触突壁42bに触突すると、そのコインMは、より安定した姿勢状態となるべく、両側端部を中心として回動し、コイン触突壁42bに沿って起立した姿勢状態に姿勢変化する。
コインMは、コイン触突壁42bに沿って起立すると、自重により下方に向かって移動し、コイン触突壁42bの下側に連続して開口形成されているコイン送出口42cから落下し、コイン通路部材42の下方に迅速に送り出され、セレクタ50に供給される。
次いで、先頭のコインMの後に連続するコインM(2番目のコインM)も、同様にコイン触突壁42bに触突してコイン触突壁42bに沿って起立する姿勢状態となり、自重により下方に向かって移動してコイン送出口42cから落下し、コイン通路部材42の下方に迅速に送り出される。以下、全てのコインMについて同様に順番にコイン触突壁42bに触突して起立する姿勢状態となり、コイン送出口42cから下方に向かって迅速に送り出される。
ここで、特にコインMが傾倒した姿勢状態で内孔42d内に供給され、コイン通路部材42の円筒体42eが振動手段43によって横軸部42gを中心として上下方向に振動するので、コインMをコイン触突壁42bに触突させた際に、コインMの両側端部を中心として上下方向に積極的に回動させることができ、より容易にコインMをコイン触突壁42bに沿って起立した姿勢状態に姿勢変化させることができる。
また、上流側のコインM(第2のコイン)の荷重が下流側のコインM(第1のコイン)に付加されて、下流側のコインMがコイン触突壁42bに所定の押圧力で押圧されて挟持された状況となったときには、振動により下流側のコインMに加えられる荷重や摩擦抵抗力を軽減することができる。したがって、複数枚のコインMを順番に下流側からコイン送出口42cより円滑に送り出すことができる。
コイン送出口42cから送り出されたコインMは、セレクタ50の上部からコイン案内路52内に流れ込む。そして、コインMの受け入れが許可されている場合は、コイン案内路52を通過して、コイン通過検出部55によりコインMの通過が検出されて、コインMを受け入れたことが認識される。一方、コインMの受け入れが許可されていない場合は、コインMはコイン案内路52内に突出した切替片54aにより分岐通路53に誘導され、排出用通路9からコイン受け皿16に戻され、コインMの受け入れは認識されない。
上記構成を有するスロットマシン1によれば、投入コイン送出装置40のコイン投入部41は、コイン投入口41aからコイン供給口41cに移行するに従って漸次狭窄するロート状に形成され、かつコインの投入方向に対して誘導部41bの側壁面が互いに異なる傾斜角を有し、コイン供給口41cがコイン投入口41aに対して所定方向に偏倚して形成される。これにより、複数枚のコインMが任意の姿勢状態で所定の拡散状態をもって投入されると、各コインMは当接する誘導部41bの傾斜角に応じて互いに異なる方向にはね返り互いに異なる速度で上方から下方に移動し、コイン供給口41cに誘導することができる。したがって、投入されたコインMを迅速且つ円滑に投入コイン送出装置40内に供給することができる。
また、コイン投入部41の誘導部41bを構成する壁面は、互いに対向する壁面がコインの投入方向に対して異なる傾斜角を有しているだけでなく、全ての壁面の傾斜角が互いに異なっているので、投入された各コインMが当接する誘導部の傾斜角に応じて異なる速度で上方から下方に移動し、コイン供給口へ向けたコインの誘導速度に差異を生じさせることができる。これにより、投入された複数枚のコインMがコイン供給口41cに集中するのを防ぎ、コイン詰まり等の不具合の発生を抑制することができる。
そしてまた、コイン投入部41のコイン供給口41cは、コインMの外径より若干大きい径で開口形成され、コイン投入部41の下端部分を1枚のコインMが通過できる程度の窮屈な形状としたことにより、コイン投入口41a内に投入された無秩序な姿勢状態の複数枚のコインMを、コイン供給口41cへ向けて上方から下方に移動するに従って誘導部41bによって傾倒した姿勢状態としつつ、コインMの移動方向に1枚ずつ整列した姿勢状態で集めることができる。したがって、コイン通路部材42のコイン送入口42f内にコインMが1枚ずつ供給されることになるので、コイン通路部材42の円筒部42e内でのコインMの姿勢変更およびセレクタ50への送出を円滑に行うことができ、セレクタ50内でのコインMの受け入れおよび認識を適切に行うことができる。