はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=0、1、2.3・・・)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
手段0.複数枚のコインを同時投入可能な複数枚コイン投入部と、該複数枚コイン投入部の下部から連続して下方に向かって傾斜して延在し、所定の曲率半径で湾曲した凹状底部と、該凹状底部に沿って前記複数コイン投入部側と反対側の終端部に移動してきたコインが触突するコイン触突壁と、該コイン触突壁に沿って前記凹状底部の終端部に開口され、前記コイン触突壁に沿って起立したコインを下方へ送り出すコイン送出口とが形成された円筒状のコイン通路部と、コインを1枚ずつ投入可能な1枚コイン投入口と、前記1枚コイン投入口から投入されたコインを前記コイン送出口の側方から該コイン送出口内へ誘導する1枚コイン誘導部を有する1枚コイン投入路と、を備え、前記1枚コイン誘導部は、前記1枚コイン投入口から投入されたコインの下端が前記コイン送出口に進入した状態となる位置まで誘導可能に伸長し、前記コイン触突壁から上方へ連続して延在する後壁を備え、前記後壁は、前記コイン触突壁と同一平面上に設けられることを特徴とする。
手段1.複数枚のコインを同時投入可能な複数枚コイン投入部と、該複数枚コイン投入部の下部から連続して下方に向かって傾斜して延在する底部と、該底部の終端部に略垂直壁として形成され底部を流下してきたコインが触突するコイン触突壁と、該コイン触突壁壁面に沿って底部の終端部に開口形成されコインがコイン触突壁に沿った起立姿勢状態で下方へ送り出されるコイン送出口とを含むコイン通路部と、を備えた遊技機において、コインを1枚ずつ投入可能な1枚コイン投入口を有し、該1枚コイン投入口から投入されたコインをコイン送出口の側方から該コイン送出口内へ誘導する1枚コイン誘導部を有する1枚コイン投入路を備え、1枚コイン誘導部は、コインの下端がコイン送出口に進入した状態となる位置まで誘導可能に伸長していることを特徴とする。
手段0及び1によれば、1枚コイン誘導部は、コインをコイン送出口の側方からコイン送出口内に誘導し且つその誘導は、コインの下端がコイン送出口に進入した状態となる位置まで行われる。これにより、コインが底部等に衝突することなく円滑にコイン送出口内に誘導される。すなわち、誘導の最終段階において、コインの下端が既にコイン送出口内に進入することで、コインはコイン触突壁に沿って起立姿勢状態に規制され、スムーズにコイン送出口に流れ落ちることとなる。このように、1枚コイン投入口から投入されたコインは、投入時から下端がコイン送出口に進入するまでの間、常に誘導され、すなわち移動中もコイン送出口に向けて規制された状態が確保されており、従って、1枚コイン投入口から投入されたコインがコイン通路部に滞留することを防止し、コイン送出口から下方に向かって円滑に送り出すことができる。
手段2は、手段1の遊技機において、1枚コイン投入口は、コイン送出口の真上位置より横方向に偏位して設けられ、1枚コイン誘導部の下部は、コイン送出口へ向けてコインを導く湾曲した曲がり底部として構成されたことを特徴とする。
手段2によれば、1枚コイン誘導部の下部が湾曲した状態の曲がり底部となっているので、コインの1枚コイン誘導部における通過がよりスムーズな動きとなり、コインをより正確にコイン送出口へ誘導することができる。
手段3は、手段2に記載の遊技機において、曲がり底部と対向する位置に、誘導されたコインを制止させる制止部が設けられたことを特徴とする。
手段3によれば、曲がり底部で誘導されたコインが比較的大きい移動速度でコイン送出口の側方からコイン送出口内に進入した場合に、曲がり底部に対向する位置に制止部が設けられているので、制止部によってコインをコイン送出口内に確実に進入した状態とすることができる。
手段4は、手段1〜3の何れか1つに記載の遊技機において、コイン触突壁から上方へ連続して延在する後壁が設けられ、後壁の上端部は、1枚コイン投入口の開口端部の位置より上側に設定されていることを特徴とする。
手段4によれば、後壁は、1枚コイン投入口の開口端部の位置より上側まで延設されているので、延設された後壁に沿ってコインを起立した姿勢状態で後壁に押し付け、コインの押し付けを解除するだけでコインを投入できるので、1枚コイン投入口からコインを容易に投入することができる。従って、1枚コイン投入口からコインを1枚ずつテンポ良く投入できるので、コインの投入時間を更に削減することができる。
手段5は、コイン通路部を振動させる振動手段と、底部の終端部より上流側に設けられ底部を流下するコインの存在を検出するコイン存在検出手段と、該コイン存在検出手段からの検出信号を受けたときに振動手段を動作状態とする制御手段と、を有していることを特徴とする。
手段5によれば、コインが1枚コイン投入口から投入された場合には、コインが底部の終端部より上流側に進入等することはないので、コイン存在検出手段から制御手段に検出信号が送られることはない。従って、振動手段の振動によって1枚コイン誘導部におけるコインの誘導が妨害されるようなことはない。
一方、コインが複数枚コイン投入部から投入された場合には、底部を流下する過程でコイン存在検出手段から制御手段に検出信号が送られる。従って、コインが底部を流下する間は、制御手段によって振動手段が動作状態となるように制御されコイン通路部に振動が与えられるので、コインを滞留させることなくコイン送出口まで移動させることができる。
このように複数枚コイン投入部と1枚コイン投入路との併設において、振動手段の機能を複数枚コイン投入部から投入されたときのみ有効利用し、1枚コイン投入路側においては、コインの誘導を阻害しないようにしている。
以下、本発明の実施の形態について遊技機の一例としてスロットマシンの場合を例に図面に基づいて説明する。図1は、スロットマシン1の前面扉3が閉じた状態を示す斜視図、図2は、スロットマシン1の前面扉3を開いた状態を示した斜視図である。スロットマシン1は、図1に示すように、筐体2と前面扉3とからなる正面視略矩形状の本体4を有している。
筐体2は、スロットマシン1の骨格をなす部材であり、図2に示すように、前面側が開放された箱形状を有している。筐体2の内部には、各種の図柄等が表示される複数個の回転ドラム11と、スロットマシン1の遊技動作を制御するメイン制御基板60(図8を参照)等を収納した制御基板収納ボックス12と、電源スイッチ13a、リセットスイッチ13b、設定キースイッチ13c等を備える電源ボックス13と、遊技価値媒体であるコインMを貯留する補助タンク14a、及び補助タンク14a内のコインを排出用通路9からコイン払出口7に払い出す支払装置14bを備えたホッパ14等が収容されている。
前面扉3は、図2に示すように、左側辺部の上下2カ所がヒンジ5によって筐体2に連結されて取り付けられており、筐体2の前面開放部分を容易に閉塞及び開放できるように構成されている。
前面扉3は、図1に示すように、上方から下方に向かって順番に表示部3A、操作部3B、貯留部3Cの3つの部分を備えている。表示部3Aは、前面扉3の上辺に沿って設けられ遊技の進行に伴って点灯・点滅する上部ランプ21と、上部ランプ21の下方位置で左右両側に各々配置されて種々の効果音等を発生させる一対のスピーカ22と、これら一対のスピーカ22の間に配設されて画像・映像等の種々の情報を表示する液晶ディスプレイ23を有している。また、表示部3Aの略中央高さ位置には、筐体2内で回転する複数個の回転ドラム11をそれぞれ視認するための透明窓24が設けられており、透明窓24の左側にはコインのベット数(賭け数)に応じて点灯するベットランプ25が配設されている。そして、表示部3Aの下部には、左側から右側に向かって順番にクレジット枚数表示部26、BB中枚数表示部27、払出枚数表示部28が設けられている。
操作部3Bは、表示部3Aの下端で折曲されて手前側に向かって移行するに従って若干の下り傾斜を伴って延在する平面部分Fと、その平面部分Fの手前側の端部で折曲されて下方に向かって垂下する縦壁部分Hを有しており、平面部分Fには、左側位置に1枚用と2枚用のベットボタン31、32が設けられ、その右側近傍位置に3枚用のベットボタン33が設けられている。そして、平面部分Fの右側位置には、後述する投入コイン送出装置40のコイン投入部41及び1枚コイン投入路45が配設されている。
縦壁部分Hの上部には左側から右側に向かって順番に、コインを貯留するか否かを選択するためのクレジットボタン34、回転ドラム11の回転開始を指示するためのスタートレバー35、回転ドラム11の回転停止を指示するためのストップボタン 36が設けられている。スタートレバー35は、縦壁部分Hから手前側に向かって突設されており、下方に押し下げる、或いは上方に押し上げることによって操作される。ストップボタン36は、各回転ドラム11に対応する位置にそれぞれ配設されており、押し動作によって操作される。また、操作部3Bの下部には、機種名や遊技に関わるキャラクタ等が表示された表示プレート15等が設けられている。
貯留部3Cは、操作部3Bの下方位置で左右方向に亘って延在するように配置形成されており、コイン払出口7から払い出されたコインを受けて貯留するコイン受け皿16や灰皿17等が設けられている。
次に、投入コイン送出装置40について図3〜図6を参照しつつ説明する。図3は、図1におけるX部拡大図、図4は、複数枚コイン投入部41を取り外した状態の投入コイン送出装置40の斜視図、図5は、1枚コイン投入路45の断面図、図6は、収納ケース43h及び電動モータ43iを取り外した状態の1枚コイン投入路45の断面図である。
投入コイン送出装置40は、投入されたコインを1枚ずつ起立した姿勢状態としてコイン送出口43cから順番に送出して、後述するセレクタ(投入コイン認識装置)50に供給するためのものであり、複数枚コイン投入部41、コイン通路部43、1枚コイン投入路45を備えている。
複数枚コイン投入部41は、スロットマシン1の前面扉3に取り付け固定されており、操作部3Bの平面部分F(図1参照)に露出して略水平に延在する複数枚コイン投入口41aと、複数枚コイン投入口41aから下方に移行するにしたがって漸次狭窄するロート部41bと、ロート部41bの底部で下方に向かって開口するコイン供給口41cを有している。
複数枚コイン投入口41aは、複数枚のコインを所定範囲内で略水平方向に拡散した状態で同時投入可能な大きさで上方に向かって開口する形状を有しており、例えば、本実施の形態では、矩形状を有している。そして、複数枚コイン投入口41aは、コイン受け皿16等から複数枚のコインを掴み取り、そのまま複数枚コイン投入口41aの上まで移動させて掌を開いた場合に、掌の中にある全てのコインを複数枚コイン投入口41a内に容易に入れることができる程度の大きさに形成されている。
ロート部41bは、複数枚コイン投入口41aの各辺部から下方に移行するに従って互いに接近する傾斜面を有しており、所定の拡散状態で投入されたコインをコイン供給口41cから1枚ずつコイン通路部43に供給できるように構成されている。本実施の形態のロート部41bは、例えば、コインの投入方向に対して互いに対向する側壁の傾斜角が等しくなるように構成されている。或いは、ロート部41bは、本発明者により特願2004−338619で提案したように、コインの投入方向に対して互いに対向する側壁の傾斜角が異なるように構成されていても良い。
コイン供給口41cは、ロート部41bの傾斜面の下端部を連結するように延在する底壁面41dに開口形成されており、コインが上方から下方に向かって容易に通過できる程度の大きさに設定されている。
従って、コイン受け皿16等から複数枚のコインを掴み取り、そのまま複数枚コイン投入口41aの上まで移動させて掌を開くのみで、掌の中にある全てのコインを複数枚コイン投入口41a内に一括して投入することができる。そして、複数枚コイン投入口41aから下方に向かって落下するコインを、ロート部41bによって案内し、コイン供給口41cに集める方向に積極的に移動させることができ、コイン供給口41cに円滑に導くことができる。
コイン通路部43は、複数枚コイン投入部41の下部から連続して水平方向に対して下方傾斜して延在し、所定の曲率半径、例えばコインの外径より若干大きな一定の曲率半径で湾曲した略円弧状の断面を有する凹状底部43aと、その凹状底部43aの終端部に略垂直壁として形成され凹状底部43aを流下してきたコインが触突するコイン触突壁43bと、コイン触突壁43bの壁面に沿って凹状底部43aの終端部に開口形成されコインがコイン触突壁43bに沿った起立姿勢状態で下方へ送り出されるコイン送出口43cとを有しており、支持フレーム(図示せず)等の支持部材を間に介して前面扉3に取り付け固定されている。
本実施の形態では、コイン通路部43は、コインの外径よりも若干大きい内径で延在する断面円形の円筒体43eによって構成されており、この円筒体43eの下部領域、すなわち下側半分が凹状底部43aとなっている。
円筒体43eは、先端部に開口するコイン送入口43fがコイン供給口41cの下方位置で連続するように対向配置されている。また、円筒体43eの先端部の下部には、支持フレームに取り付けるための縦軸部43gが垂下するように設けられている。
コイン触突壁43bは、円筒体43eの径方向に沿って上下に平面状に延在して円筒体43eの終端部を閉鎖するように設けられており、円筒体43eの軸方向に沿った不安定な姿勢状態で円筒体43e内を移動してきたコインが触れて突き当たることによって、より安定した姿勢状態である、コイン触突壁43bに沿って起立する姿勢状態に姿勢を変更することができるように構成されている。
コイン触突壁43bの裏面位置には、収納ケース43hに収納された振動手段が取り付け固定されており、例えば、本実施の形態において振動手段は電動モータ43iによって構成されている。従って、コイン通路部43は、収納ケース43hを介して伝達される振動によって、所定の方向に振動することができる。そして、コイン触突壁43bの裏面位置には、コイン通路部43の円筒体43eの軸方向に対して交差する方向に横軸部43jが突設されている。
それから、上記構成を有するコイン通路部43には、凹状底部43aにコインが存在するか否かを検出するためのコイン存在検出センサ(図示せず)が設けられている。コイン存在検出センサは、本実施の形態では、一対の投光部と受光部を有するフォトカプラによって構成されている。これら投光部と受光部は、例えば支持フレームに設けられたセンサブラケットに各々取り付けられており、円筒体43eの終端部より上流側において円筒体43dの軸方向ほぼ中央位置を径方向に貫通するように円筒体43dに開口形成された貫通孔43kを通して互いに対向する位置に配置されており、コインの通過を遮光により検出するように構成されている。従って、コイン存在検出センサは、複数枚コイン投入部41から投入されたコインが凹状底部43aを流下する過程で投光部と受光部との間の遮光によって円筒体43e内にコインが存在していることを検出できるように構成されている。
コイン送出口43cは、凹状底部43aのコイン触突壁43b側の終端部に開口しており、具体的には、凹状底部43aの終端部の端面とコイン触突壁43bとの間に形成され、開口幅を決定する一対の側部を有している。一方の側部は、後述する1枚コイン誘導部45bの右側壁45fの曲がり部45fRの最下部45iによって構成され、他方の側部は、後述する制止部45gの最下部45jによって構成されている。なお、コイン送出口43cの下方近傍には、セレクタ50のコイン案内路52が開口しており、コイン送出口43cを通過したコインは確実にコイン案内路52に落下する。
上記構成を有するコイン送出口43cの一対の側部(45i、45j)の間隔は、コインの外径よりも広く設定され、凹状底部43aの終端部の端面とコイン触突壁43bとの間隔は、コインの1枚分の厚さ幅よりも広くかつ2枚分の厚さ幅よりも狭く設定されている。コイン送出口43cは、コインの触突によりコイン触突壁43bに沿って起立する姿勢状態のコインが自重により落下し、下方のコイン案内路52に送り出すことができるように構成されている。
1枚コイン投入路45は、外部から1枚ずつ投入されたコインをコイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内へ誘導可能に構成され、円筒体43eの終端部とコイン触突壁43bとの間で円筒体43eの軸方向に対して垂直に上方へ向かって延在するように設けられている。具体的には、1枚コイン投入路45は、1枚コイン投入口45aと1枚コイン誘導部45bとを有しており、1枚コイン投入口45aは、前面扉3の操作部3Bの平面部分Fに開口形成されている。1枚コイン誘導部45bは、1枚コイン投入口45aの開口部から下方へ連続して伸長しており、コインをコイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内へ誘導するように構成されている。すなわち、コイン送出口43cへの側方からの誘導とは、コインが鉛直方向からコイン送出口43c内に入り込むのではなく、やや側方から斜めに流し込むことを意味することが理解される。
1枚コイン投入路45の特徴的な構成は、1枚コイン投入口45aがコイン送出口43cの真上位置より横方向(図上右方向)に偏位した位置に設けられていることである。一方、1枚コイン誘導部45bは、コイン触突壁43bから上方へ連続して延在する後壁45cと、後壁45cに対向配置された前壁45dと、後壁45c及び前壁45dの両側に設けられた左右の側壁45e、45fと、(後述する制止部45gと)によって形成されている。そして、後壁45cと前壁45dと左右の側壁45e、45fの間隔は、一度に1枚のコインのみが通過可能な内部空間を有するように設定されている。このように、コイン送出口43cに対して1枚コイン投入口45aを横方向に偏位させ、コインをコイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内に送り込むようにしたので、凹状底部43a等にコインが衝突することなくコイン送出口43cへの誘導が達成される。
そして、1枚コイン投入路45の下部、すなわち1枚コイン誘導部45bの下部は、上記の右側壁45fの下部領域を湾曲させて下方へ延在させることによって曲がり部45fRとして構成されている。本実施の形態の場合、曲がり部45fRの最下部45iは、例えば、円筒体43eの外周面から離間した位置で、そこを通過するコインの下端がコイン送出口43cに少なくとも進入した状態になるまで誘導できる位置まで伸長している。
上述したように、曲がり部45fRが湾曲した構成となっていることから、曲がり部45fRに沿って通過したコインを、コイン送出口43cの側方からコイン送出口43内にコインの下端が進入させた状態で誘導することができる。すなわち、コイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内への誘導が湾曲に沿ったスムーズなコインの移動によって得られる。
また、曲がり部45fRと対向する位置には、コインの制止用の制止部45gが設けられている。本実施の形態において、制止部45gは、左側壁45eの下端部から連続して円筒体43eの円周部に沿って延在する壁体として構成されている。制止部45gを設けたことにより、曲がり部45fRから移動してきたコインの勢いが強すぎた場合に、コインを制止部45gで制止させてコイン送出口43内に確実に送り込むことができる。
1枚コイン投入口45aは、操作部3Bの平面部分Fにおいて、平面部分Fから突出する後壁45cの手前側に開口されている。1枚コイン投入口45aは、1枚のコインを起立した姿勢状態で1枚ずつ投入可能な大きさで上方に向かって開口する形状を有している。例えば本実施の形態において、後壁45cの壁面に沿って左右に細長い矩形状を有している。従って、コイン受け皿16等からコインを掴み取り、1枚コイン投入口45a上で後壁45cに沿って起立した姿勢状態でコインを後壁45cに張り付かせるように押し付けて、コインの把持を解除することによって1枚ずつコインを簡易に投入することができる。
1枚コイン投入路45の1枚コイン誘導部45bは、上述したように、一度に1枚のコインのみが通過可能な内部空間を有していることから、1枚コイン投入口45aから投入されたコインは1枚コイン誘導部45b内で起立姿勢状態となるように規制されて落下する。落下したコインが曲がり部45fRに到達すると、曲がり部45fRによってコイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内に向けて誘導される。このとき、コインは、1枚コイン誘導部45bの前壁45dに加え、円筒体43eの終端部の端面によって起立姿勢状態が保たれるように規制を受けた状態で移動する。
そして、曲がり部45fRによる誘導の最終段階でコインの下端がコイン送出口43c内に進入した状態となる。これにより、曲がり部45fRにおける前壁45dによる規制が解除される前に、凹状底部43aの終端部の端面とコイン触突壁43bによって、起立姿勢状態が保たれるように規制され、コインが凹状底部43aの終端部より上流側へ進入又はコイン送出口43cの部分で転倒することを防止することができる。
この様に、コインは1枚コイン投入口45aに投入されてからコインの下端が1枚コイン送出口43c内に進入するまでの間、常に移動がコイン送出口43cに向けて起立姿勢状態を保つように規制されて誘導される。従って、コインをコイン通路部43に滞留させることなくスムーズにコイン送出口43cから下方に向かって送り出すことができる。
更に、1枚コイン誘導部45bが湾曲した曲がり部45fRを有することにより、1枚コイン投入路45はコイン通路部43に接近した状態で配置される。これにより投入コイン送出装置40の小型化が図れ、投入コイン送出装置40の設置スペースを大きく確保する必要がない。従って、前面扉3の任意の位置に投入コイン送出装置40を取り付けることができ、取付自由度を大きくすることができる。
上記構成を有する投入コイン送出装置40から送出されたコインMは、投入コイン認識装置としてのセレクタ50に供給される。図7は、セレクタ50の内部構造を説明する図である。
セレクタ50は、前面扉3の背面に沿って延在するように配置されており、セレクタボディ51には、投入コイン送出装置40のコイン送出口43cから送出されたコインMを貯留用通路8に導くためのコイン案内路52が設けられている。
コイン案内路52は、図7に矢印Aで示すように、セレクタボディ51のボディ上面左側部分から垂下してセレクタボディ51の略中央高さ位置でボディ右側に向かってカーブし、更に矢印Bで示すように所定の傾斜角で右側面の下部まで延在しており、コインMが一列で通行することができるように形成されている。本実施の形態では、セレクタボディ51から図の手前側に突出する突条52aによって構成されており、コインMは、突条52a上を転がりながら下流方向に流れる。
コイン案内路52の途中位置には、図中に矢印Cで示すように、コイン案内路52から分岐して排出用通路9に連通する分岐通路53が形成されており、コイン案内路切替手段54によってコインMを貯留用通路8と排出用通路9のいずれに供給するかを選択することができるように構成されている。
コイン案内路切替手段54は、コイン案内路52に対して出没可能な切替片54aと、この切替片54aを動作させるためのソレノイド(図示せず)とを備えており、ソレノイド非励磁時にはコイン案内路52内に切替片54aを突出させることによって貯留用通路8へのコインMの流れを阻害し、コインMを突条52aの上から図中の手前側に移動させて下方に落下させて分岐通路53に誘導し、分岐通路53から排出用通路9に導いて、前面扉3のコイン払出口7からコイン受け皿16に排出させる。また、ソレノイド励磁時にはコイン案内路52外に切替片54aを没入させて、コインMをコイン案内路52に沿って移動させて、貯留用通路8に導き、筐体2の内部に収容されたホッパ14に供給する。
コイン案内路52の下流側位置には、コインMの通過を検出するコイン通過検出部55が設けられている。コイン通過検出部55は、第1投入コイン通過検出センサ55aと第2投入コイン通過検出センサ55bを備えており、少なくとも通過する1枚のコインMを同時に検出しうる程度に近接した状態で上流側と下流側に並設されている。
次に、制御基板収納ボックス12内に配設されているスロットマシン1のメイン制御基板60等について図8に基づいて説明する。図8は、スロットマシン1の電気的構成を説明するブロック図である。
メイン制御基板60には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU61と、そのMPU61に接続されると共にセンサ類やスイッチ類等の各種の入出力手段に接続された入出力ポート62が搭載されている。
MPU61には、MPU61により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、そのROM63内に記憶される制御プログラムの実行にあたって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64等が内蔵されている。
入出力ポート62には、1枚〜3枚ベットボタン31、32、33、スタートレバー35、ストップボタン36、第1投入コイン通過検出センサ55a、第2投入コイン通過検出センサ55b、1〜3枚ベットランプ25、クレジット枚数表示部26、BB中枚数表示部27、払出枚数表示部28、サブ制御基板65等が接続されている。
サブ制御基板65は、メイン制御基板60から送信されるコマンドを受信して所定の制御処理を行うものであり、本実施の形態では、スピーカ22から効果音等の出力制御、表示用制御基板66を制御して液晶ディスプレイ23上に演出表示等を行わせるように構成されている。サブ制御基板65には、上部ランプ21、スピーカ22、電動モータ43i、表示用制御基板66等が接続されており、表示用制御基板66との間ではデータ等を双方向に送受信可能に構成されている。
電源基板67は、上述した電源ボックス13内に設けられており、メイン制御基板60の他に、スロットマシン1の各電子機器に駆動電力を供給する電源部68と、電源断の発生を監視する停電監視回路69等の各種回路を備えている。スロットマシン1の電源オフ後には、電源基板67の電源部68からRAM64にバックアップ電圧が供給される。
MPU61は、入出力ポート62に接続されている各種センサ類、スイッチ類からの検出信号等に基づき、ROM63内に格納されているプログラムを実行することによって種々の処理を行う制御手段を構成する。例えば、複数枚コイン投入部41から投入されたコインMがコイン通路部43内に流れ込み、コイン存在検出センサの投光部と受光部との間の光路を遮光すると、コインMの存在を知らせる検出信号がコイン検出センサから入出力ポート62を介してMPU61に入力される。
MPU61は、コイン検出センサから入力した検出信号をプログラムに基づいて解析し、コイン通路部43の中にコインMが存在していると判断すると、入出力ポート62を介して電動モータ43iを駆動する信号をサブ制御基板65に出力し、サブ制御基板65から電動モータ43iに電源を供給して電動モータ43iを駆動する処理を行わせる。
そして、コイン検出センサの投光部と受光部との間の遮光が解除されて光路が確保された後、所定時間の経過によりコイン通路部43の中にコインMが存在していないと判断すると、電動モータ43iの駆動停止信号をサブ制御基板65に出力し、電動モータ43iの駆動を停止させる処理を行わせる。
一方、MPU61は、1枚コイン誘導路45の1枚コイン投入口45aから投入されたコインMが1枚コイン誘導部45bによってコイン送出口43c内に誘導されて下方に向かって送り出される過程で、コイン存在検出センサの投光部と受光部との間の光路を遮光することはないので、1枚コイン投入口45aからコインを投入している間は、電動モータ43iを駆動する処理を行わないように構成されている。
このように、本発明では、複数枚コイン投入部41と1枚コイン投入路45との併設において、複数枚コイン投入部41側でコインが投入されたときのみ電動モータ43iを駆動することにより振動手段としての機能を有効利用し、1枚コイン投入路45側でコインが投入されたときは電動モータ43iを駆動しないことによりコインの誘導を阻害しないようにしている。
また、MPU61は、セレクタ50のコイン案内路52内をコインMが通過し、各投入コイン通過検出センサ55a、55bの投光部と受光部との間の光路がコインMによって遮光されると、検出信号が各投入コイン通過検出センサ55a、55bから入出力ポート62を介してMPU61に入力される。
MPU61は、入力した検出信号をプログラムに基づいて解析し、適正な投入によるコインMの通過であるかどうかを判定する。具体的には、第1投入コイン通過検出センサ55aと第2投入コイン通過検出センサ55bの各々の出力タイミング、即ち、セレクタ50のコイン通路52内におけるコインMの通過速度に基づいて判定する。
そして、MPU61では、コインMの通過と判定すると、入出力ポート62を介してスピーカ21から効果音を発生させる信号をサブ制御基板66に出力し、コインの投入に対応した効果音をスピーカ21から発生させる。
次に、上記構成を有するスロットマシン1の1枚コイン投入口45aからコインMを投入した場合の投入コイン送出装置40及びセレクタ50の動作等について図9及び図10に基づいて説明する。図9は、投入コイン送出装置40内におけるコインMの状態を説明する図、図10は、1枚コイン投入路45内におけるコインMの状態を詳細に説明する図である。
最初に、コイン受け皿16等から1枚のコインMを掴み取り、1枚コイン投入口45aの上まで運んでからコインMの把持を解除する。或いは、1枚コイン投入口45aの奥側辺部から後壁45cが上方に向かって延設されていることから、後壁45cに沿って起立姿勢状態で後壁45cに押し付け、コインMの押し付けを解除する。
コインMは、図9に示すように、起立した姿勢状態で1枚コイン投入口45aから1枚コイン誘導部45bの内部に入り込み、投入時の起立姿勢状態のまま落下する。後壁45c、前壁45d及び左右の側壁45e、45fの間隔は、一度に1枚のコインMのみが通過する内部空間を有するように設定されているので、1枚コイン投入口45aから入り込んだときの起立姿勢状態が保持されている。そして、図9及び図10に示すように、コインMは、1枚コイン誘導部45bの内部空間を落下して曲がり部45fRに到達する。コインMは、曲がり部45fRによってコイン送出口43cの側方からコイン送出口43cに向かう方向に誘導され、凹状底部43a等に衝突することなくコイン送出口43cの側方からコイン送出口43cにスムーズに進入する。
そして、曲がり部45fRの最下部を通過し、曲がり部45fRによるコインMの誘導が解除される前には、コインMの下端が既に凹状底部43aの面より下側にあるので、凹状底部43aの終端部の端面とコイン触突壁43bが相俟ってコインを保持している。これにより、コインMが凹状底部43aの終端部より上流側に転倒等することはないので、コイン送出口43c内に進入したコインMはセレクタ50に向かってスムーズに送り出される。このようにして、1枚コイン投入口45aから起立した姿勢状態で入り込んだコインMは、投入時のコインMの起立姿勢状態のままコイン送出口43cから下方に向かって送り出される。
そして、1枚コイン投入口45aに投入されたコインMは、コイン通路部43に設けられたコイン存在検出センサの投光部と受光部との間の光路を遮光することはないので、電動モータ43iが駆動されることはない。従って、1枚コイン投入口45aからコインMを投入している間は、円筒体43e又はコインMに振動が付与されないので、コインの誘導が阻害されるようなことはない。
投入コイン送出装置40から送り出されたコインMは、セレクタ50の上部からコイン案内路52内に流れ込む。流れ込んだコインMがコイン案内路52を通過する過程でコイン通過検出部から出力された検出信号に基づいてMPU61ではコインの適正投入かどうかを判定する。そして、コイン案内路52を通過して、コイン通過検出部55によりコインMの通過が検出されて、MPU61においてコインMを受け入れたことが認識される。
上記構成を有するスロットマシン1によれば、1枚コイン投入口45aから投入されたコインMを、曲がり部45fRによってコイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内へコインMの下端がコイン送出口43cに進入した状態となるように誘導している。これにより、コイン送出口43c内においてコインMの下端が凹状底部43aの上面より下側となるので、凹状底部43aの終端部の端面とコイン触突壁43によって、コインMが凹状底部43aの終端部より上流側へ進入又は転倒等することを防ぐことができる。従って、1枚コイン投入口45aから投入されたコインMは、コイン送出口43cに向けて移動が規制された状態で誘導され、コイン送出口43cから円滑に送り出されるので、コインの投入にかかる時間を削減できると共に、遊技は中断されることなくテンポ良く行うことができる。
なお、本発明では、1枚又は2枚、3枚等の少ない枚数のコインを複数枚コイン投入部41から投入することを除外するものではない。複数枚コイン投入部41から投入されたコインは、円筒体43e内で凹状底部43aを流下してコイン触突壁43bに突き当たってコイン触突壁43bに沿って起立した姿勢状態としてコイン送出口43cから送り出される。これにより、複数枚コイン投入部41から投入されたコインを1枚ずつ円滑に送り出すことが可能である。
しかしながら、本発明において、複数枚であっても2枚、3枚等の少ない枚数のコインを投入するようなときには、複数枚コイン投入部41から投入されたときと別の経路でコイン送出口43cからコインMを送り出す1枚コイン投入路45にコインを積極的に投入している。これにより、1枚コイン投入口45aから投入されたコインMを、落下により迅速にコイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内へ誘導し、コイン送出口43cから送り出すことによってコインの投入時間の削減を図っている。一方、複数枚(2枚、3枚等の少ない枚数ではなく、例えば掌で掴み取るときのような比較的多い枚数)のコインMを投入するようなときには、1枚コイン投入口45aから1枚ずつ投入するよりも複数枚コイン投入部41からコインを一括投入するだけで、コイン送出口43cから1枚ずつ円滑に送り出すことができる。
上述したように、複数枚コイン投入部41又は1枚コイン投入路45から投入されたコインMをセレクタ50に送り出す場合、各々に対応したコインMを送り出すためのコイン送出口をそれぞれ設けずに、共通のコイン送出口43cから送り出している。これにより、複数のコイン送出口を設けるためのスペースを必要としないことから、投入コイン送出装置40の大型化を防止することができる。そして、複数個のコイン送出口を設ける必要がないことから、コイン送出口から送り出されたコインを受け入れるセレクタについても1つのセレクタだけを用いてコインの受け入れを行うことができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、1枚コイン投入路45は、1枚コイン投入口45aから投入されたコインMがコイン送出口43cから下方へ送り出されるまでの間、コイン送出口43cに向けてコインMを常に規制することができればどのように構成されていても良い。
図11及び図12は、1枚コイン投入路の45の変形例を示した投入コイン送出装置40の斜視図である。
図11に示された第1の変形例の1枚コイン投入路45では、上述した前壁45dを設けずに、左右の側壁45e、45fを略L字状にそれぞれ形成している。左右の側壁45e、45fの間隔は、一度に1枚のコインのみが通過可能となる空間を形成するように設定されている。そして、左右の側壁45e、45fの上端に1枚コイン投入口45aが形成されている。
図12に示された第2の変形例の1枚コイン投入路45では、前壁45dの最下部を円筒体43eの径方向上端の位置とほぼ同位置に設定している。前壁45dの最下部を通過したコインは、前壁45dによる規制が解除されるものの、連続して円筒体43eの終端部の端面、すなわち円筒体の上側半分によって規制されることになるので、コイン送出口43cの側方からコイン送出口43c内へのコインの誘導に影響を与えることなくスムーズなコインの移動を実現可能となる。
なお、前壁45dの最下部の設定位置は、通過するコインが円筒体43eの終端部の端面によってその移動が規制される状態になるまでコインの移動規制を行えば足り、その条件の範囲内で前壁45dの最下部の位置を上下方向に調節することができる。
上記図11及び図12の実施の形態のように、前壁45dを一部除去した構成とすることにより、1枚コイン投入路45の部品点数の削減を図ることができると共に、1枚コイン誘導部45b内に異物が詰まったような場合の除去作業等のメインテナンスが容易なものとなる。
また、上述した変形例の他に、1枚コイン誘導部45bは、湾曲した曲がり部45fRを有する構成ではなく、例えば、円筒体43eの側方の上方位置かコイン送り出口に向かって延在する直線状の通路で形成されていても良い。