JP4850738B2 - 定着ローラの評価方法 - Google Patents
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Tr≧Tc+60
(上記工程において上記加熱は、温度X(℃)の加熱体を上記サンプルに接触させることによって行われる。そして、上記工程を複数回行い(上記工程を行う度に上記温度X(℃)を変更する)、上記剥離が確認されなかった各工程のなかから温度X(℃)が最高の工程を特定し、特定した工程の温度X(℃)を上記限界温度とする。)が満たされる定着ローラを合格品と判定することが好ましい。
Tr≧Tc+75
(上記工程において上記加熱は、温度X(℃)の加熱体を上記サンプルに接触させることによって行われる。そして、上記工程を複数回行い(上記工程を行う度に上記温度X(℃)を変更する)、上記剥離が確認されなかった各工程のなかから温度X(℃)が最高の工程を特定し、特定した工程の温度X(℃)を上記限界温度とする。)が満たされる定着ローラを合格品と判定することが好ましい。
本発明の定着ローラの評価方法の一実施形態であるピーリング試験(剥離試験)について説明する前に、まず、試験の対象となる定着ローラの構成および製造方法について説明する。
定着ローラ径:50mm
PFAチューブ:非導電・熱収縮(周方向及び軸方向の両方向)タイプ
PFAチューブ厚:30μm〜50μm
PFAチューブの内周面の処理方法:金属ナトリウムが溶解されている液体アンモニアを処理液としたエッチング処理
シリコーンゴム厚:2mm
シリコーンゴム硬度:20度(ASKER−C硬度)
シリコーンゴム熱伝導率:0.45W/(m・K)
芯金:アルミニウム製
芯金径:35.9mm
芯金肉厚:3mm
なお、上記PFAチューブ厚は、定着ローラの樹脂層の厚み(肉厚)に相当し、図1の参照符αに相当する長さである。また、上記シリコーンゴム厚は、定着ローラの弾性層の厚みに相当し、図1の参照符βに相当する長さである。
(1)円筒状金型の内面に、内周面をエッチング処理したPFAチューブを固定する。
(2)塗布治具を用いて、PFAチューブの内周面にプライマーを塗布する。
(3)円筒状金型に固定されているPFAチューブに芯金を挿入する。
(4)芯金とPFAチューブとの隙間にシリコーンゴムを注入する。
(5)円筒状金型を加熱し、シリコーンゴムを加熱硬化させる(1次加硫)。
(6)芯金とシリコーンゴムとPFAチューブとから成る定着ローラを円筒状金型から取り外す。
(7)取り外した定着ローラをバッチ炉に入れ、加熱する(2次加硫)。
つぎに、本実施形態のピーリング試験(剥離試験,ホットプレート試験)について、図2および図3を参照して詳細に説明する。本実施の形態のピーリング試験は、定着ローラにおけるシリコーンゴム(弾性層)とPFAチューブ(樹脂層)との接着強度を評価するための試験である。
(1)定着ローラにおいて弾性層(シリコーンゴム)と樹脂層(PFAチューブ)とを含めた層を被膜層とすると、図2および図3に示すように、試験の対象となる定着ローラから被膜層を幅10mmかつ長さ20mmの長方形状の大きさで芯金に沿って切り出し、切り出した被膜層を試験用のサンプルとして扱う。弾性層(シリコーンゴム)の厚さは1mm程度であれば良い。
(2)図3に示すように、加熱面が温度X(℃)になるように制御されたホットプレート(ここでは、アズワン株式会社製ND−1)上に、切り出したサンプルを置く。なお、サンプルのPFAチューブ側(表層側)がホットプレートの加熱面(加熱体)に接するように、ホットプレート上にサンプルを置く。
(3)図3に示すように、サンプルの上に、力(重量)が9.8N(1kgf)に相当するカウンターウエイトを置き、サンプルに荷重を加える。なお、カウンターウエイトは、金属製(本実施形態ではステンレス製)であり、高さ50mm、幅50mm、奥行き50mmの四角柱形状である。
(4)上記の荷重を加えた状態、かつ、温度X(℃)の加熱面をサンプルに接触させた状態で5時間放置することによって、サンプルを加熱する。
(5)5時間加熱後のサンプルについて、PFAチューブがシリコーンゴムから剥離するかを確認する。なお、ここでの確認とは、実験者が手でPFAチューブを軽く引っ張ることによってPFAチューブがシリコーンゴムから剥離するか否かを確認する作業を意味する。そして、この確認後、以下の指標に基づいて、シリコーンゴムに対するPFAチューブの接着強度を評価する。
○:PFAチューブとシリコーンゴムとの間で界面剥離が生じなかったもの(シリコーンゴム部でのゴム破断に至ったもの)。
△:PFAチューブとシリコーンゴムとの接着面の一部分において、PFAチューブとシリコーンゴムとの界面剥離が生じたもの。
×:PFAチューブとシリコーンゴムとの接着面の全てにわたって、PFAチューブとシリコーンゴムとの界面剥離が生じたもの。
−:評価せず。
(A)プロセス速度173mm/s(印字速度41枚/分)の複合機。
(B)プロセス速度225mm/s(印字速度45枚/分)の複合機。
(C)プロセス速度300mm/s(印字速度62枚/分)の複合機の試作機。
(D)プロセス速度355mm/s(印字速度70枚/分)の複合機の試作機。
プライマーA:樹脂系プライマー(東レ・ダウコーニング社製DY39−067)
プライマーB:ゴム系プライマー(東レ・ダウコーニング社製DY39−051A)
プライマーC:ゴム系プライマー(東レ・ダウコーニング社製DY39−051B)
表1において、処理A、処理B、処理Cの意味は以下の通りである。
処理A:金属ナトリウムが溶解された液体アンモニアを処理液としたエッチング処理。
処理B:エキシマレーザを用いたエッチング処理。
処理C:金属ナトリウムが溶解されたナフタレンとテトラヒドロフランとの混合液を処理液としたエッチング処理。
○:20万枚の印刷中においてしわの発生は無し。
△:印刷枚数が10万枚〜20万枚でしわが発生。
×:印刷枚数が10万枚以下でしわが発生。
○:20万枚の印刷中においてPFAチューブの剥離は無し。
△:印刷枚数が10万枚〜20万枚でPFAチューブの剥離が発生。
×:印刷枚数が10万枚以下でPFAチューブの剥離が発生。
定着ローラにおいて、シリコーンゴム(弾性層)の弾性を極力損なうことなく、より広いニップ幅や用紙の剥離性を確保し、また、光沢ムラが生じないようにするために、定着ローラ用のPFAチューブとしては30μmの厚みのものが従来から一般的に用いられている。
比較例3〜比較例4および実施例1〜実施例8に対するピーリング試験の結果から、プライマーの塗布量が少ないほど、ピーリング試験における定着ローラの限界剥離温度(限界温度)が高くなることがわかる。
比較例5〜比較例6および実施例2〜実施例10に対するピーリング試験の結果から、プライマーの種類によっても、定着ローラの限界剥離温度が大きく変わることがわかる。
比較例7、実施例6、実施例11のピーリング試験の結果から、PFAチューブの内周面の処理方法によっても、PFAチューブの限界剥離温度が大きく変わることがわかる。具体的には、処理Aや処理Bを採用した実施例6や実施例11の場合、限界剥離温度が少なくとも265℃以上であるのに対し、処理Cを採用した比較例7の場合、ピーリング試験において温度X(℃)が250℃でもPFAチューブが完全に剥離する。つまり、比較例7は限界剥離温度が250℃未満であることがわかる。したがって、ピーリング試験の結果から、処理Aや処理Bが採用されている定着ローラは、処理Cが採用されている定着ローラよりも、シリコーンゴムに対するPFAチューブの接着強度が高いといえる。
上記の(a)〜(d)はいずれもPFAチューブ厚が50μmでの検討結果であることから、つぎに、PFAチューブ厚40μmの場合についても、検討を行った。
(E)プロセス速度300mm/s(印字速度62枚/分)である複合機の試作機(シャープ株式会社製)。
(F)プロセス速度355mm/s(印字速度70枚/分)である複合機の試作機(シャープ株式会社製)。
○:20万枚の印刷中においてPFAチューブの界面剥離は無し。
△:印刷枚数が10万枚〜20万枚でPFAチューブの界面剥離が発生。
×:印刷枚数が10万枚以下でPFAチューブの界面剥離が発生。
−:評価せず(界面剥離無しと考えられるため)。
プロセス速度が300mm/s以上の複合機においては、
Tr≧Tc+60
(Tr→定着ローラの限界剥離温度 Tc→定着温度)
また、プロセス速度が355mm/s以上の複合機においては、
Tr≧Tc+75
の関係を満たす定着ローラの品質は合格となる。
つぎに、定着ローラにおけるPFAチューブの接着強度を評価する方法であって、本発明の一実施形態のピーリング試験とは異なる試験方法である空転試験(空転加速試験,空転エージング試験)について、図に基づいて説明する。
(1)試験対象となる定着ローラを複合機の定着装置にセットする。これにより、図5および図6に示すように、定着装置において、定着ローラおよび加圧ローラは、所定の荷重で互いに圧接されて、それらの間に定着ニップ部が形成され、定着ローラが回転すると、加圧ローラが定着ローラの回転方向とは逆方向に従動回転するようになる。
(2)図5および図6に示すように、厚さ0.3mm、幅30mm、長さ135mmのPTFE製からなる長方形シートを、加圧ローラの周面上の計5箇所に貼り付ける。なお、図6に示すように、5枚の長方形シートは、加圧ローラの軸方向に沿って直列するように貼り付けられる。また、少なくとも、軸方向の中央部と、軸方向の一方の端部付近と、軸方向の他方の端部付近とには、長方形シートが貼り付けられるものとする。
(3)図5に示す定着ローラを所定の温度(実機での使用温度)に制御し、定着ローラを所定の周速度(実機での使用速度)で回転させる。
(4)シートが定着ニップ部を通過する度に、定着ローラにおいてPFAチューブに繰り返し機械的なストレスが加わることにより、PFAチューブとシリコーンゴムとの接着面が劣化していき、最終的に、長方形シートのエッジ近傍に定着ローラ周面が当接することによって、定着ローラにおいてPFAチューブがシリコーンゴムから剥離する。そして、定着ローラの回転開始時からPFAチューブが剥離するまでの時間の長さに基づいてシリコーンゴムに対するPFAチューブの接着強度を評価する。具体的に、剥離するまでの時間が長いほどシリコーンゴムに対するPFAチューブの接着強度が強いと評価する。
シートA:厚紙(単位面積当たりの質量200g/m2、厚さ0.2mm)。
シートB:PTFE製シート(厚さ0.1mm)。
シートC:PTFE製シート(厚さ0.3mm)。
数値(H):試験開始からPFAチューブの剥離が生じるまでに要した時間。
○:30時間回転させても、剥離は生じない。
―:試験を行わず。
Claims (6)
- 画像形成装置の定着装置に構成される定着ローラの評価方法であり、芯金と、上記芯金の外周に形成される弾性材料からなる弾性層と、上記弾性層の外周に形成されるフッ素樹脂からなる樹脂層とを含む定着ローラの評価方法において、
上記弾性層と上記樹脂層とを含めるようにして上記定着ローラの一部分をサンプルとして切り出し、切り出したサンプルに荷重を作用させながら当該サンプルを加熱し、この加熱後に上記サンプルにおいて上記樹脂層が上記弾性層から剥離するか否かを確認する工程を含み、
上記定着装置においての上記定着ローラの周速度は300mm/s〜355mm/sに設定されており、
下記の限界温度をTr(℃)、上記定着装置において定着処理が実行される時の上記定着ローラの温度をTc(℃)とする場合、
Tr≧Tc+75
(上記工程において上記加熱は、温度X(℃)の加熱体を上記サンプルに接触させることによって行われる。そして、上記工程を複数回行い(上記工程を行う度に上記温度X(℃)を変更する)、上記剥離が確認されなかった各工程のなかから温度X(℃)が最高の工程を特定し、特定した工程の温度X(℃)を上記限界温度とする。)
が満たされる定着ローラを合格品と判定することを特徴とする定着ローラの評価方法。 - 画像形成装置の定着装置に構成される定着ローラの評価方法であり、芯金と、上記芯金の外周に形成される弾性材料からなる弾性層と、上記弾性層の外周に形成されるフッ素樹脂からなる樹脂層とを含む定着ローラの評価方法において、
上記弾性層と上記樹脂層とを含めるようにして上記定着ローラの一部分をサンプルとして切り出し、切り出したサンプルに荷重を作用させながら当該サンプルを加熱し、この加熱後に上記サンプルにおいて上記樹脂層が上記弾性層から剥離するか否かを確認する工程を含み、
上記定着装置においての上記定着ローラの周速度は300mm/sに設定されており、
下記の限界温度をTr(℃)、上記定着装置において定着処理が実行される時の上記定着ローラの温度をTc(℃)とする場合、
Tr≧Tc+60
(上記工程において上記加熱は、温度X(℃)の加熱体を上記サンプルに接触させることによって行われる。そして、上記工程を複数回行い(上記工程を行う度に上記温度X(℃)を変更する)、上記剥離が確認されなかった各工程のなかから温度X(℃)が最高の工程を特定し、特定した工程の温度X(℃)を上記限界温度とする。)
が満たされる定着ローラを合格品と判定することを特徴とする定着ローラの評価方法。 - 上記樹脂層の厚みが40μm〜50μmの定着ローラを評価対象とすることを特徴とする請求項1または2に記載の定着ローラの評価方法。
- 上記フッ素樹脂がPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)である定着ローラを評価対象とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の定着ローラの評価方法。
- 上記弾性層の厚みが2mm以上である定着ローラを評価対象とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の定着ローラの評価方法。
- 上記弾性材料のアスカーC硬度が20度以下である定着ローラを評価対象とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の定着ローラの評価方法。
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JP2007024787A JP4850738B2 (ja) | 2007-02-02 | 2007-02-02 | 定着ローラの評価方法 |
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