JP2019028182A - 定着ベルトおよび定着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着ベルトの剛性を保ち座屈を発生させることなくかつ、ウォームアップタイム短縮を可能にした定着ベルト構成を持つ定着装置を提供する。【解決手段】定着ベルトは、下記式に当てはまるように、定着ベルト半径R[mm]・定着ベルト基層厚みt[mm]・縦弾性係数E[MPa]・定着ベルト長さL[mm]を選択する。(式1における定数は式中大かっこに当てはまる次元をもつ。)【選択図】図1

Description

本発明は、例えば電子写真方式を利用した画像形成装置において記録材を定着する装置、それに利用する定着ベルト等に関する。
電子写真方式を採用した、複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置では、用紙に転写されたトナー像を定着装置によって定着する。トナー像を作成する際は、ドラム状に成形された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電する。次に、帯電された感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。その後、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナーによって現像し、トナー像を作り、作ったトナー像を直接または中間転写体等を介して、間接的に紙に転写する。そして、用紙に転写されたトナー像を、定着装置によって用紙に定着する。
定着装置としては、回動する加熱部材と、この加熱部材に回動可能に圧接配置される加圧部材とを備えたものが多く用いられている。このような定着装置では、加熱部材と加圧部材とのニップ部に用紙を挟みこんで通過させ、トナー像を融解して用紙に圧着させる。加熱部材・加圧部材には、ローラ・無端状の定着ベルト等が用いられる。無端状の定着ベルトを使用する際は、端部に支持部材(以後、フランジ)を設け周回駆動させるもの、定着ベルト内部から押圧部材を有し無張架で周回駆動させるもの等がある。
近年、加熱部材には端部に支持部材を設けた定着ベルトを使用し、加圧部材にはローラを用い、加圧ローラを駆動し周回駆動するタイプの定着装置が主流になっている。使用する定着ベルトは一般的に薄肉の耐熱性樹脂等を基層とし、加熱部材としてローラを使用する際より熱容量が小さい。そのため、加熱部材に定着ベルトを利用すると、ローラ利用時に比べ短時間でウォームアップできる。また、加圧ローラのみを駆動に駆動部を持たせることで、駆動部を最小限にすることでコストダウンにもつながる。
上記の定着器構成は、ウォームアップタイム短縮のため、さらなる定着ベルトの薄肉/小径化が求められている。定着ベルトのウォームアップタイムは、定着ベルト全体の熱容量で決定する。定着ベルトの熱容量を小さくするには、ベルトと全体の体積を小さくするか・比熱を小さくする必要がある。一般的に、耐熱性樹脂の機械物性を保ったまま、比熱を小さくすることは難しい。よって、定着ベルトの体積を減らすには、定着ベルトの薄肉/小径化を目指す必要がある。
一方で、前記定着装置のベルト基層を薄肉/小径化すると、定着ベルトの剛性が下がり座屈が発生する。前記定着装置では、端部に支持部材があるため、加圧ローラが駆動時に定着ベルトに大きなトルクが発生する。定着ベルトに発生したトルクは、定着ベルトが変形することで担保しようとする。過大なトルクが発生すると、定着ベルトは変形に耐えられず、座屈が発生する。座屈が発生すると、座屈部位でトナー像を定着できなくなり生産性が低下してしまう。以下に定着ベルトの座屈を防ぐ機構・無いし構成を示した例が開示されている。
特許文献1は、ベルトに駆動源がついた構成でかつベルト内部に検知手段を設け、座屈発生検知時に停止するものである。特許文献2は、薄肉ベルトを使用した構成において、ベルト端部での座屈が発生しないベルト条件を示している。
特開2007−57689号公報 特開平6−314013号公報
特許文献1の構成は、駆動源を余分に付ける必要がありコストアップが課題となる。また、座屈発生は抑制できていないのでベルトが十分な強度で有るとは言えない。特許文献2は、ベルト条件が不十分で、座屈に対する強度が足りない。
以上より、特許文献1、2に開示された従来技術では端部の支持部材を設けた従来の構成で、単純なベルトの薄肉/小径化でベルトの座屈なくウォームアップタイムの短縮を達成することは難しかった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、定着ベルトの剛性を保ち座屈を発生させることなくかつ、ウォームアップタイム短縮を可能にした定着ベルト構成を持つ定着装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る定着ベルトでは、下記の式1に当てはまるように、定着ベルト半径R[mm]・定着ベルト基層厚みt[mm]・縦弾性係数E[MPa]・定着ベルト長さL[mm]を選択する。(式1における定数は式中大かっこに当てはまる次元をもつ。)
本発明に係る定着ベルトによれば、式1に従い定着ベルトを選択することで、ベルト基層の剛性を保ち座屈を発生させることなく、ウォームアップタイムの短縮を実現できる。
本発明に係る定着装置の構成を示す概略断面図である。 本発明に係る定着装置の構成を加圧方向から示した図である。 座屈の発生の原理を示す図である。 定着ベルトにおける各量を定義した図である。 表1の強度試験判定結果と立上時間判定結果をプロットした図である。 表2の強度試験判定結果と立上時間判定結果をプロットした図である。 表3の強度試験判定結果と立上時間判定結果をプロットした図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、本発明にかかる定着装置について図1・図2を用いて説明する。図1は、本発明に係る定着装置の構成を示す概略断面図である。図1・図2に関しては定着装置における加圧方向をx軸・長手方向をy軸・通紙方向をr軸と定義する。図1はx−y平面にて、定着装置の断面を表す図で図2はy−r平面にて、定着装置断面を表した図である。
[定着装置]
図1に示す定着装置10は、加熱体としてのヒータ11と、加熱体支持部材としてのヒータホルダ12と、定着部材としての定着ベルト13と、ニップ部形成部材としての加圧ローラ14を備える。ヒータ11は、不図示の手段によって通電されることで発熱しかつ所定の制御温度に制御される例えば抵抗発熱体などの熱源である。ヒータ11は、剛性を有する耐熱性材料によって横断面略半円弧状の樋型に形成されるヒータホルダ12(以下、単にホルダと記す)に固定支持される。具体的には、ホルダ12の下面に長手方向(図1の紙面表裏方向)に沿って溝部が設けられており、この溝部にヒータ12が嵌入されている。
ヒータ11は、セラミック基板上に発熱抵抗体を設けた構成を有する。図1に示すヒータ11は、横長・薄板上のヒータ基板12aと、その表面側(ベルト摺動面側)に基体の長手方向に沿って形成させた線状あるいは細帯上の通電発熱体11cを有する。また、ヒータ11は通電発熱体11cを覆うように薄い表面保護層11dを持つ。ヒータ基板11aの裏面側にサーミスタのような温度検知素子11bが接触している。このヒータ11は、通電発熱体11cに対する電力共有により迅速に昇温した後、温度検知素子11bを含む温度制御手段(不図示)によって所定の定着温度(目標温度)を維持するように制御できる。
本実施例における定着装置では、発熱体にヒータを用いるものを利用し説明したがこれに限らない。例えば、加熱源として、ハロゲンヒータ・IHヒータを用いたもの等であっても本発明を適応できる。また今回の実施例では、ニップ部形成部材として加圧ローラを用いた例を説明したがこれに限らない。例えば、ニップ部形成部材は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の薄肉耐熱性樹脂もしくはステンレス(SUS)やニッケル(Ni)等の薄肉金属からなる無端状の加圧ベルトなどであっても本発明を適用できる。
定着ベルト13は、内側から環状の基材13a、ベルト弾性層13b(ここでは、後述の加圧ローラ14bの弾性層と区別するためにベルト弾性層と呼ぶ)、表層13cを備える。定着ベルト13は使用状態で内周面がヒータ11及びホルダ12に摺擦される無端ベルトであり、ヒータ11を支持したホルダ12の外周に周長に余裕を持たせて外嵌されている。定着ベルト13は、後述する加圧ローラ14の回転により従動回転する。このため定着ベルト13の長手方向両端部は、定着装置10の不図示のフレームに固定された支持部材15(フランジ)によって回転自在に支持されている。定着ベルト13の内周面には、ヒータ11及びホルダ12との摺動性を確保するために潤滑剤(グリス)が塗られている。なお、本明細書でベルトと言った場合、フィルム状のものも含む。
加圧ローラ14は、内側から円筒状の基体14a、弾性層(14b,14c)、離型層14dを備える。加圧ローラ14は、例えばモータなどの駆動源(不図示)によって使用時に回転駆動される。このため基体14aの軸方向両端部は、定着装置10のフレームなどの不図示の固定部分に回転自在に支持されている。また、加圧ローラ14は、ホルダ12に支持されたヒータ11と定着ベルト13を挟んで対向する位置に配置されている。そして、加圧機構(不図示)によって加圧ローラ14と定着ベルト13とに所定の圧力が付与されることで、加圧ローラ14と定着ベルト13とが圧接してそれぞれの弾性層(13b,14b,14c)は弾性変形する。これによって、加圧ローラ14と定着ベルト13との間には記録材搬送方向に所定の幅を有する定着ニップ部Nが形成される。
加圧ローラ14は駆動源Mによって回転駆動されると、従動回転する定着ベルト13との間で定着ニップ部Nにおいて記録材Pを挟持しつつ搬送する。また、定着ベルト13は、ヒータ11により表面が所定温度(例えば180℃)に達するまで加熱される。この状態で、未定着トナーTによって未定着トナー像の形成された記録材Pが定着ニップ部Nに挟持搬送されると、記録材P上の未定着トナーTは加熱、加圧される。すると、未定着トナーTは溶融/混色するので、その後、これを冷却することによって未定着トナー像を定着画像として記録材Pに定着させる。
[定着ベルト]
定着ベルト13について説明する。定着ベルト13は、図1に示すように、基材13aの外周にベルト弾性層13bが、該ベルト弾性層13bの外周に表層13cが設けられている。基材13aは耐熱性及び耐屈曲性を必要とすることに鑑みて、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱性樹脂を用いる。また熱伝導性をも考慮するならば、基材13aは耐熱性樹脂に比べ熱伝導率のより高いステンレス(SUS)、ニッケル、ニッケル合金などの金属を用いてもよい。そして、基材13aは熱容量を小さくする一方で機械的強度を高くする必要があるので、基材13aの厚みは5μm〜100μm好ましくは20μm〜85μmとするのが望ましい。
ベルト弾性層13bは、基材13aの外周を被覆するシリコーンゴム層である。ベルト弾性層31bは記録材Pが定着ニップ部Nを通過する際に、記録材P上の未定着トナーTを包み込むようにして未定着トナーTに対し均一に熱を与える。ベルト弾性層13bがこのように機能することで、高光沢で定着ムラのない良質な画像が得られる。しかし、ベルト弾性層13bはその厚みが薄すぎると十分な弾性が得られなくなり、良質な画像を得ることができなくなる。反対に、ベルト弾性層13bはその厚みが厚すぎると熱容量が大きくなり、加熱によって所定温度に達するまでに時間がかかる。そのため、ベルト弾性層13bの厚みは、30μm〜500μm好ましくは100μm〜300μmとするのが望ましい。ベルト弾性層13bは特に限定されないが、加工が容易である、高い寸法精度で加工できる、加熱硬化時に反応副生成物が発生しないなどの理由から、付加反応架橋型の液状シリコーンゴムを用いるのが好ましい。
ところで、ベルト弾性層13bがシリコーンゴム単体で形成されるならば、ベルト弾性層13bの熱伝導率は低くなる。ベルト弾性層13bの熱伝導率が低いとヒータ11で発生した熱が定着ベルト13を介して記録材Pに伝わり難くなるので、記録材Pにトナーを定着させる際に加熱不足となって定着ムラなどの画像不良を生じ得る。そこで、ベルト弾性層13bの熱伝導率を上げるために、ベルト弾性層13bには高い熱伝導性を持つ例えば粒状の高熱伝導性フィラーが混入、分散されている。粒状の高熱伝導性フィラーとしては、炭化ケイ素(SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、カーボン等が用いられる。また、目的に応じて粒状の高熱伝導性フィラーではなく針状の高熱伝導性フィラーなどを用いてもよい。すなわち、高熱伝導性フィラーの形状は粒状や針状の他にも、粉砕状、板状、ウィスカ状のものなどがあり、ベルト弾性層13bにはこれらのどの形状のものを用いてもよい。また、これらのものを単独で用いてもよいし2種類以上のものを混合して用いてもよい。なお、高熱伝導性フィラーがベルト弾性層13bに混入されることで、ベルト弾性層13bは導電性をも付与され得る。
表層13cは、ベルト弾性層3bの外周を被覆するフッ素樹脂層である。表層13cは、定着ベルト13にトナーを付着しにくくするために設けられる。表層13cには、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)等のフッ素樹脂を用いるとよい。表層13cの厚みは、1μm〜50μm好ましくは8μm〜25μmとするのが望ましい。なお、表層13cはフッ素樹脂チューブで被覆するもしくはフッ素樹脂からなる塗料を塗布することによって、ベルト弾性層13bの外周に形成されればよい。
本実施例における定着装置では、定着ベルトに弾性層を用いるものを利用し説明したがこれに限らない。例えば、弾性層を持たないベルト基層とベルト表層のみで構成され定着ベルトにおいても本発明は適応できる。
[加圧ローラ]
加圧ローラ14について説明する。加圧ローラ14は、基体14a、基体14aの外周に弾性層(14b)、該弾性層(14b)の外周に離型層14cを備える。本発明に係る加圧ローラ14は、弾性層4bが単層であるが、複層でもかまわない。
<基体>
基体14aは、ニッケルやクロムをメッキしたSUM材(硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材)等の鋼材を含むステンレススチール、リン青銅、アルミニウムなどを用いて形成されている軸芯体あるいは芯金である。基体14aの外径は、4mm〜80mmであればよい。本実施例では、ステンレススチールで形成された外径7.5mmの基体を利用した。
<弾性層>
弾性層14bは、基体14aの外周を被覆するシリコーンゴム層である。図1に示すように、弾性層14bには、針状の高熱伝導性フィラーあるいは粒状の高熱伝導フィラーが混入、分散されている。針状の高熱伝導性フィラーあるいは粒状の高熱伝導性フィラーについて説明する。粒状の高熱伝導性フィラーとしては、定着ベルト13のベルト弾性層13bと同様に、炭化ケイ素(SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、カーボン等が用いられる。粒状の高熱伝導性フィラーに関しては、弾性層の熱伝導率を上げるために混入させており場合によっては必ずしも必要ではない。本実施例の加圧ローラの弾性層では、厚み3.5mmのシリコーンゴムで構成されたものを利用した。
<離型層>
離型層14cは、フッ素樹脂層である。離型層14cは、弾性層14bの外周に例えば共重合体(PFA)チューブを被覆することにより形成される。もしくはPFA、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂からなる塗料を弾性層14b外周に塗布することにより形成してもよい。離型層14cの厚みは特に限定されないが、好ましくは15〜80μm程度であればよい。この離型層14dは、加圧ローラ14にトナーを付着しにくくするために設けられる。なお、複数の弾性層を持つ場合、弾性層の間や、弾性層14bと離型層14cの間には接着、通電等の目的によりプライマー層や接着層などが設けられていてもよい。
本実施例の加圧ローラには、離型層にはPFAで構成された厚み50μmチューブを被覆し利用した。
[座屈発生の原理]
図3を用いて、定着装置10においてローラ駆動時に座屈が発生する原理を説明する。
図3において定着ベルト13は端部に保持部材15が存在する。駆動時には、保持部材15aとbに加圧方向に垂直になる力をかける。動力源Mを用いローラ14の回転を開始するとベルト13が追従して回転を始める。ローラ13から伝わったトルクが、ベルトに伝わり図3のように変形する。変形が発生するとベルト14の中央部に圧縮応力が発生する。ベルト14が耐えうる応力を超えると、ベルト中央部に座屈が発生する。
[ベルトの各物理量測定方法]
図4に表した定着ベルトに対して、下記方法を実施し、ベルトの縦弾性係数E[MPa]・ベルト厚みt[mm]・ベルト半径R[mm]・ベルト長さL[mm]を測定した。測定事項決定に当たっては、ベルトの剛性・熱容量を考慮に入れた。ベルトの座屈し易さは、一般的にベルトの剛性で決定する。ベルトの剛性は、縦弾性係数と断面二次モーメントの積で表わせられる。断面二次モーメントは、ベルト厚み・ベルト半径で決定する。また、ウォームアップ時間は、熱容量に依存するため、ベルト体積を見積もった。
<ベルト縦弾性率測定>
ベルトの縦弾性率試験のサンプル作成の手順について説明する。ベルトの縦弾性率試験はサンプルを切り出し、島津製作所製 万能試験機 AG−Xを用いて測定し求める。ダンベル形状は、プラスチック引張試験JIS K716−2における表1の1Aの形状になるよう切り出す。測定時に、図4の周方向にならうようにダンベルを切り出したサンプルと長手方向に切り出したサンプルを作成する。サンプルは周方向と長手方向に各10本切り抜く。切り出したダンベルはHEIDENHAIN社製 デジタル測長器 CT6001を用いて厚み測定を実施する。ダンベル中央部の厚みを8点とり、平均値を弾性率測定におけるベルト厚みと定義した。
ベルトの引張試験方法と解析方法について説明する。縦弾性率測定を行う際には、引張試験器AG−Xのアタッチメントはロードセルを500N用、チャックは500N用機械式平行締めつかみ具にする。引張試験を行う際は、設定温度180度、引っ張る速度を5mm/minに設定し、あらかじめ厚み測定した結果を入力する。弾性率は、ロードセルの試験力が10Nから15Nの領域において計算する。本測定は引張試験の恒温槽温度が180度になったのを確認してから開始する。周方向・長手方向の各10回測定を行ったあと、それぞれの平均値をとって周方向・長手方向の弾性率を求める。本測定のベルト縦弾性係数E[MPa]は周方向・長手方向の平均値を採用した。図1のベルト13のようにベルトの層が多種類かつ複数ある場合はすべてを一つの層として扱い、上記の手順を行うものとする。
<ベルト厚み測定>
ベルト厚み測定方法と注意点について説明する。厚み測定時はベルトを長手方向に切り開き、周方向に4等分に切断しサンプルを作成する。ベルト厚みはHEIDENHAIN社製 デジタル測長器 CT6001を利用して測定した。測定時の温・湿度条件は23度30%とする。4等分にしたサンプルに対して周方向で厚みを各4点ずつ測定し平均値を求め、ベルト厚みt[mm]とした。本測定において、図1のベルト13のようにベルトの層が多種類かつ複数ある場合は弾性層13b・表層13cを除いた基層13aの厚みを測定する。弾性層・表層・基層の他の層を持つ場合は、他の層と基層の厚みをベルト厚みとして定義し、測定を行う。
<ベルト半径測定>
ベルト半径測定方法と注意点について説明する。ベルト半径を測定する際には、ミツトヨ製 デジタルノギス CD67−Sを用いて内径を測る。内径を測る際には、ノギスの測定部に軽く突き当っていることを確認する。測定時の温・湿度条件は23度30%とする。測定はベルト端部で行い4点の 平均値をとりその内径値を2で割った値をベルト内径R[mm]とする。
<ベルト長測定>
ベルト長測定方法と注意点について説明する。ベルト長を測定する際には、ミツトヨ製デジマティック測長ユニット SDV−45Eを使用した。ベルト長を測る際には、定着ベルト13が軽く突き当っていることを確認する。測定時の温・湿度条件は23度30%とする。測定は測定位置を変えながら8回測定し 平均値をベルト長L[mm]とする。
<ベルト強度判定測定>
各ベルトをそれぞれ、図1に記載のベルト加熱方式の定着装置が搭載されたプリンター(商品名: キヤノン株式会社image RUNNER ADVANCE C355F)に装着し、ベルト強度について評価した。定着装置に搭載された加圧ローラの周速度を300mm/secに設定し、ヒータ11の温調を220度に設定した。ベルト表面をHORIBA製 赤外放射温度計 IT−340でモニターし、ベルト表面温度が180度になった際のベルト表面を観察した。座屈痕が発生しないかをベルト表面・内面から目視で確認した。座屈痕がない場合を目標強度達成とした。測定時の温・湿度条件は23度30%とする。
<立上性能測定>
上記の定着装置を用いて、通紙を行わない空回転状態において、ヒータスイッチが入ってから、ベルト13の表面温度が180度になるまでの時間を測定した。ベルト表面温度は、HORIBA製 赤外放射温度計 IT−340 を使って測定する。測定するベルトは、逐次入れ替えを行う。一つの測定が終わってから1時間冷却しベルト・ローラ表面温度が23度になっている状態で開始する。比較例には、ベルト縦弾性係数が6500MPa、ベルト厚み0.08mm、ベルト長さ300mm、ベルト半径9mmの定着ベルトを利用した。(弾性層13bを持たず、離型層にはフッ素コート層10mmを持つ。)立ち上がり時間が比較例より早い場合を目標立ち上がり時間達成とした。
<評価結果>
表1から表3に示した比較例・実施例1から34は共通に、基層13aは表中のベルト厚みに記された厚みで、弾性層13bは持たず表層には離型層13cにはフッ素コート層10mmの定着ベルトを使用した。各縦弾性係数・厚み・長さ・半径は表1から表3に記載の通りである。
比較例・実施例1から20の定着ベルトは、ベルト半径とベルト厚みの関係を比較するために検討した。実施例11、16、21から38の定着ベルトは、ベルト半径とベルト縦弾性係数の関係を比較するために検討した。実施例39から58の定着ベルトは、ベルト半径とベルト長さの関係を比較するために検討した。各表には、実施例におけるベルトヤング率。ベルト厚み、ベルト長さ、ベルト半径とともに強度試験判定結果と立上時間判定結果を記した。また、表1から表3に対応するように図5から図7に強度試験判定結果と立上時間判定結果をプロットした。両方の条件を満たす場合は黒丸印、片方の条件でも未達成の場合はバツ印をプロットした。
[ベルト半径とヤング率を振った測定]
(表1)にベルト半径Rとベルト厚みtを振った際のデータを示す。強度判定試験の結果、厚みが厚い領域において座屈発生しなかった。立上時間測定の結果、ベルト厚みが薄い領域は立上時間測定に合格する。ベルト半径が小さく、ベルト厚みが厚い領域にて両方の試験に合格することがわかった。
[ベルト半径とベルト長を振った測定]
(表2)にベルト半径Rとベルト長Lを振った際のデータを示す。強度判定試験の結果、ベルト長が短い領域において座屈発生しなかった。立上時間測定の結果、ベルト半径が小さい領域は立上時間測定に合格する。ベルト長が小さく、ベルト半径が小さい領域にて両方の試験に合格することがわかった。
[ベルト半径とヤング率を振った測定]
(表3)にベルト半径Rとベルト縦弾性係数Eを振った際のデータを示す。強度判定試験の結果、ベルト縦弾性係数が大きい領域において座屈発生しなかった。立上時間測定の結果、ベルト半径が小さい領域は立上時間測定に合格する。ベルト長が小さく、ベルト縦弾性係数が大きい領域にて両方の試験に合格することがわかった。
[式の導出方法]
(式2)に薄肉円筒の許容座屈応力σの式、(式3)ベルトの単位ベルト長あたりの体積Sの式、(式4)にベルトに発生する圧縮応力σの式を示す。(式2)〜(式4)より、(式5)なる式が成り立つ領域でベルト強度を保ったまま、ウォームアップタイム時間短縮が両立する領域と予想した。(表1)から(表3)の結果に対して、定数a,bを設定し回帰分析を実施した。
ここでMは定着ベルト駆動時にかかるモーメント、Zは加圧方向断面における断面係数を表わす。回帰分析の結果、上記定数a,bは以下のように決定した。
(図1)から(図3)に、(式6)の左辺から求められる解析結果を黒実線で、右辺から求められる解析結果を黒実線として記入した。右辺から求められた黒点線の上部領域と黒実線の下部領域の共通部分が存在することが確認できた。また、それぞれのグラフにおいて前記共通部分に二つの試験を満たす黒丸が存在することが確かめられた。
10 定着装置、11 ヒータ、11a ヒータ基板、11b温度検知素子、
11c 通電発熱体、11d 表面保護層、12 ヒータホルダ、13 ベルト、
13a ベルト基材、13bベルト弾性層、13c ベルト表層、14 加圧ローラ、
14a ローラ基体、14b ローラ弾性層、14c ローラ離型層、
15 フランジ、15R 右フランジ、15F 左フランジ、
a 定着ベルトの回転方向、b 加圧ローラの回転方向、P 記録材、
T 未定着トナー、N 定着ニップ、M 駆動源

Claims (2)

  1. 記録材上の画像を加熱する像加熱装置(10)であって、加熱源(11)によって加熱され、中空で回転可能な加熱回転体(13)と、前記回転体に対向し、前記加熱回転体との間に形成されるニップ部に画像を担持した記録材を挟持搬送して前記画像を加熱するように加圧する加圧部材(14)と、前記加熱回転体の回転軸方向の端部で、前記回転体の前記回転軸方向の移動を規制する規制部材(15)を有し、前記加熱回転体(13)において、少なくとも1つ以上、樹脂基材層を有し(13a)、前記加熱回転体(13)の樹脂基材層(13a)の厚みt[mm]・前記加熱回転体の180度における縦弾性係数E[N/mm^2]・前記回転体長さL[mm]・前記回転体径R[mm]の関係が、
    を満たすことを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記加熱回転体の樹脂基材層の厚みt[mm]においてt>0.04の関係を有することを特徴する像加熱装置。
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