JP4902452B2 - 定着装置、定着装置用ローラ、定着装置用ローラの製造方法、定着装置用可撓性スリーブ、及び定着装置用可撓性スリーブの製造方法 - Google Patents

定着装置、定着装置用ローラ、定着装置用ローラの製造方法、定着装置用可撓性スリーブ、及び定着装置用可撓性スリーブの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真プリンタ、電子写真複写機等の画像形成装置に搭載する定着装置、この定着装置に用いられる定着装置用ローラ及び定着装置用可撓性スリーブに関する。また、本発明は、上記の定着装置用ローラと定着装置用可撓性スリーブの製造方法に関する。
電子写真方式のプリンタや複写機は、所定の画像情報に基づいて感光ドラム上に静電潜像を形成するための静電潜像形成工程と、感光ドラム上に静電潜像に対応するトナー像を形成するための現像工程を備える。更に、感光ドラム上のトナー像を中間転写体や記録材に転写させるための転写工程と、記録材上に転写されたトナー像に対し、熱と圧力をかけて記録材に固着させるための定着工程を備える。この定着工程は、ヒータからの熱をローラ状の定着用回転体(以下定着ローラと呼ぶ)を介して、記録材上のトナーに供給する方法や、可撓性の定着用回転体(以下定着スリーブと呼ぶ)を介して、記録材上のトナーに供給する方法が実用化されている。
定着ローラは、剛性の高いローラ状芯金にゴム層、フッ素樹脂層を形成したものである。この定着ローラは、剛性が高いため圧力を高く出来るという利点を有し、高速で印字するプリンタや複写機に好適に用いられる。定着スリーブは、ポリイミド等の樹脂フィルムや、ステンレス等の金属フィルムにゴム層、フッ素樹脂層を形成したものである。この定着スリーブは、熱容量を小さくすることが出来るという利点を有し、プリント待機時間の短い装置に好適に用いられる。定着ローラと定着スリーブにおいて、ゴム層は、シリコーンゴム等で形成されており、記録材やトナー像の凹凸に対して追従性を向上させ、トナー像へ熱を均一に伝導させて画像品質を高める。フッ素樹脂層は、粘着性を帯びているトナー像が定着ローラ表面、定着スリーブ表面に付着・残留することを防止する役目を持つ。
近年はプリンタの高速化や省電力化、画像品質向上のため、定着ローラ、定着スリーブいずれの方式においても、より高い効率で記録材に熱を与えることが求められている。そのため定着ローラ、定着スリーブは、熱伝導率が高いこと、トナー像との接触熱抵抗が小さいこと、すなわちヒータからトナー像への熱伝達効率が高いことが要求されている。
そのためゴム層は、熱伝導率の高いシリコーンゴムを使用し、適度な厚みで形成する。これにより、柔軟性を付与して記録材やトナー像の凹凸に対して良好な追従性を確保し、定着ローラと記録材との間の接触熱抵抗、定着スリーブと記録材との間の接触熱抵抗を小さくすることが出来る。それに対して最表層のフッ素樹脂は、シリコーンゴムより弾性率が大きく、熱伝導率が低い。そのため、追従性を確保する目的と、熱伝導率を上げる目的との両面より、極力薄く形成することが望ましい。ヒータからトナー像への熱伝達効率が高いと、記録材搬送速度の速いプリンタにおいても、トナー像を記録材表面に強固に加熱定着することが出来る。従ってトナー像を摺擦しても、濃度低下や画像欠落などが発生しない高品位な画像を形成することが出来る。
以上述べた理由により、フッ素樹脂層の薄膜化は日々検討されており、近年は厚み30μm以下のフッ素樹脂チューブが開発されている。
フッ素樹脂層を30μmから更に薄膜化した場合に、定着ローラ、定着スリーブの耐久性が著しく劣化するという問題が発生していた。具体的には、定着ローラ、定着スリーブを長期使用していると、フッ素樹脂層表面に微小な亀裂(以下、「フッ素樹脂層の亀裂」と略記する)が発生する。このフッ素樹脂層の亀裂は、トナー像を定着する際に画像不良を発生させる。また、更に使用を継続するとフッ素樹脂層が断裂しゴム層表面から欠落して、定着ローラ、定着スリーブが使用不可能になるという問題に発展する。
このフッ素樹脂層の亀裂の対策として、フッ素樹脂の耐クラック性を向上させる方法が提案されている。特許文献1には、フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン, パーフルオロメチルビニルエーテルの共重合体またはテトラフルオロエチレン,パーフルオロエチルビニルエーテルの共重合体とする方法が提案されている。特許文献2には、表面離型層が四フッ化エチレン−パーフルオロエトキシエチレン共重合体を有し、塩酸透過量を2.0×10−5g・cm/cm以下とする定着装置が提案されている。
特開平9−011362号公報 特開2006−126576号公報
本発明の目的は、ゴム層上に表面層として被覆するフッ素樹脂製のチューブを薄膜化しても、その表面層に亀裂が発生しないようにできる定着装置、定着装置用ローラ及びその定着装置用ローラの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、ゴム層上に表面層として被覆するフッ素樹脂製のチューブを薄膜化しても、その表面層に亀裂が発生しないようにできる定着装置用可撓性スリーブ及びその定着装置用可撓性スリーブの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る定着装置の構成は、ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する定着装置用ローラと、前記定着装置用ローラの内部に設けられたヒータと、前記定着装置用ローラと共にトナー像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有する定着装置において、前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムローラの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムローラに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る定着装置の構成は、ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する可撓性スリーブと、前記可撓性スリーブの内周面に接触するヒータと、前記可撓性スリーブを介して前記ヒータと共にトナー像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有する定着装置において、前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムスリーブの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムスリーブに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る定着装置用ローラの構成は、ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する定着装置用ローラにおいて、前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムローラの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムローラに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る定着装置用ローラの製造方法の構成は、ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有し、前記表面層は、厚みが20μm以下であり、結晶化度が50%以下である定着装置用ローラの製造方法であって、前記ベース層上に前記ゴム層を形成したゴムローラに対して、前記ゴム層を形成した前記ゴムローラの外径よりも小さな内径を有する厚み20μm以下のフッ素樹脂製のチューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムローラに被せる工程と、前記ゴム層を形成した前記ゴムローラに被せた前記チューブをその母線方向に引き伸ばす工程と、を有し、前記チューブを前記母線方向へ引き伸ばす工程における前記チューブの引き伸ばし率が5%以下であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る定着装置用可撓性スリーブの構成は、ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する定着装置用可撓性スリーブにおいて、前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムスリーブの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムスリーブに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る定着装置用可撓性スリーブの製造方法の構成は、ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有し、前記表面層は、厚みが20μm以下であり、結晶化度が50%以下である定着装置用可撓性スリーブの製造方法であって、前記ベース層上に前記ゴム層を形成したゴムスリーブに対して、前記ゴム層を形成した前記ゴムスリーブの外径よりも小さな内径を有する厚み20μm以下のフッ素樹脂製のチューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムスリーブに被せる工程と、前記ゴム層を形成した前記ゴムスリーブに被せた前記チューブをその母線方向に引き伸ばす工程と、を有し、前記チューブを前記母線方向へ引き伸ばす工程における前記チューブの引き伸ばし率が5%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、ゴム層上に表面層として被覆するフッ素樹脂製のチューブを薄膜化しても、その表面層に亀裂が発生しないようにできる定着装置、定着装置用ローラ及びその定着装置用ローラの製造方法を提供できる。
また、本発明によれば、ゴム層上に表面層として被覆するフッ素樹脂製のチューブを薄膜化しても、その表面層に亀裂が発生しないようにできる定着装置用可撓性スリーブ及びその定着装置用可撓性スリーブの製造方法を提供できる。
本発明を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は本発明に係る定着装置用ローラを具備する定着装置を搭載できる画像形成装置の一例の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真方式のフルカラーレーザープリンタであって、A3・Ledgerサイズに対応している。この画像形成装置は、記録材(シート)の搬送速度が120mm/secである。また、記録材である普通紙に印字する際のスループットはLedger縦送りにて11ppm、LTR横送りにて22ppmである。
ここでは説明の順序として、まず画像形成装置Pの全体構成について説明し、次に定着装置F1の構成、定着ローラ1の構成及び製造方法について説明する。
(画像形成装置)
本実施例に示す画像形成装置Pは、記録材Sの搬送経路2と、この搬送経路2に対して略鉛直方向へ略直線状に配列された4つの画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kと、を備えている。4つの画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kのうち、3Yはイエロー(以下Yと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Mはマゼンタ(以下Mと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Cはシアン(以下Cと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。3Kはブラック(以下Kと略記)色の画像を形成する画像形成ステーションである。
各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kは、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラムと記す)4Y,4M,4C,4Kと、帯電手段としての帯電ローラ5Y,5M,5C,5Kを有している。また、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kは、露光手段としての露光装置6と、現像手段としての現像装置7Y,7M,7C,7Kと、クリーニング手段としてのクリーニング装置8Y,8M,8C,8Kを有している。画像形成に際し、画像形成ステーション3Yでは感光体ドラム4Yが矢印方向に回転される。まず感光体ドラム4Yの外周面(表面)は帯電ローラ5Yにより一様に帯電され、その感光体ドラム4Y表面の帯電面に露光装置6により画像情報に応じたレーザ光が照射されることによって露光され静電潜像が形成される。その潜像は像装置7YによりYトナーを用いて顕像化されYトナー像となる。これにより、感光体ドラム4Y表面にYトナー像が形成される。画像形成ステーション3M,3C,3Kにおいても同様の画像形成プロセスが行なわれる。これにより、感光体ドラム4M表面にMトナー像が、感光体ドラム4C表面にCトナー像が、感光体ドラム4K表面にKトナー像が、それぞれ形成される。
画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kの配列方向に沿って設けられているエンドレスの中間転写ベルト9は、画像形成ステーション3Y上方に位置する駆動ローラ9aと、画像形成ステーション3Y下方に位置する従動ローラ9bとに張架されている。駆動ローラ9aは、図1中矢印方向に回転する。これにより、中間転写ベルト9は、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kに沿って120mm/secのスピードで回転移動される。この中間転写ベルト9の外周面(表面)には、中間転写ベルト9を挟んで感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kと対向配置されている一次転写手段10Y,10M,10C,10Kにより、各色のトナー像が順次重ね転写される。これによって、中間転写ベルト9表面に4色のフルカラートナー像が形成される。
一次転写後に感光体ドラム4Y,4M,4C,4K表面に残った転写残トナーは、クリーニング装置8Y,8M,8C,8Kに設けられている不図示のクリーニングブレードにより除去される。これにより感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kは次の画像形成に供される。
一方、画像形成装置P下部に設けられた給送カセット11に積載収納されている記録材Sは、給送ローラ12によって給送カセット11から一枚ずつ分離給送され、レジストローラ対13に給送される。レジストローラ対13は、給送された記録材Sを、中間転写ベルト9と中間転写ベルト9を挟んで従動ローラ9bと対向するように配置した二次転写ローラ14との間の転写ニップ部に送り出す。二次転写ローラ14には、記録材Sが転写ニップ部を通過する際に不図示の高圧電源からバイアスが印加される。これにより転写ニップ部を通過する記録材Sに中間転写ベルト9表面からフルカラーのトナー像が二次転写される。そのトナーを担持した記録材Sは定着装置F1に搬送される。その記録材Sは、定着装置F1を通過することにより加熱及び加圧され、そのトナー像が記録材S上に加熱定着される。そしてその記録材Sは、定着装置F1から画像形成装置P外部の排出トレイ15へ排出される。
二次転写後に中間転写ベルト9表面に残った転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置16に設けられている不図示のクリーニングブレードにより除去される。これにより中間転写ベルト9は次の画像形成に供される。
(定着装置)
以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。短手方向とは、記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。
図2は定着装置用ローラを具備する定着装置F1の一例の横断面構成模型図である。
定着装置F1は、定着装置用ローラである定着ローラ1と、加熱体(熱源)であるハロゲンランプ21と、加圧ローラ22と、入口ガイド23を備える装置フレームF11と、温調サーミスタ(温度検知手段)24などを有している。定着ローラ1、ハロゲンランプ(ヒータ)21、加圧ローラ22は、何れも長手方向に細長い部材である。定着ローラ1の外径はR=50φ、加圧ローラ22の外径は45φである。
定着ローラ1は、芯金(ベース層)1aとして、厚み3mmのアルミニウム製中空ローラを有している。芯金1aの内空(内部)にはハロゲンランプ21が挿入配設されている。芯金1aはハロゲンランプ21の発熱を伝熱及び輻射により受ける。そしてその芯金1aは後述する弾性層1b及び表面層1cの熱伝導により定着ローラ1の外周面(表面)を所定温度に上昇させる。芯金1aの外周(ベース層上)には、芯金1aを覆うように厚み2mmのシリコーンゴムが弾性層(以下、ゴム層と記す)1bとして設けられている。さらにそのゴム層1bの外周には、ゴム層1bを覆うように表面層1cとして厚み20μmのPFA製の樹脂チューブが被覆されている。つまり、弾性層の上に表面層として樹脂チューブが被覆されている。この定着ローラ1は、芯金1aの両端部が装置フレームF11の不図示の前後の側板に回転自在に支持されている。また、ハロゲンランプ21は、ハロゲンランプ21の両端部が装置フレームF11の前後の側板に支持されている。
加圧ローラ22は、芯金22aと、この芯金22aの周囲に設けられたシリコーンゴム製の弾性層(以下、ゴム層と記す)22bと、このゴム層22bの周囲に設けられた最表層のPFA離型層22cと、を有している。この加圧ローラ22は、芯金22aの両端部が装置フレームF11の前後の側板に回転自在に支持されている。
定着ローラ1と加圧ローラ22は、不図示の加圧スプリングにより、定着ローラ1の外周面(表面)と加圧ローラ22の外周面(表面)が接触するように総加圧力686N(70kgf)にて加圧されている。その加圧力により定着ローラ1表面と加圧ローラ22表面を接触させ、定着ローラ1表面と加圧ローラ22表面との間に幅約8.0〜9.0mmのニップ部(定着ニップ部)Nを得ている。
加圧ローラ22は、不図示の駆動手段により矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。その際、ニップ部Nにおける加圧ローラ22表面と定着ローラ1表面との圧接摩擦力により定着ローラ1に回転力が作用する。定着ローラ1はその回転力により矢印方向に従動回転する。ハロゲンランプ21には不図示の通電制御手段から通電される。これによりハロゲンランプ21が発熱して定着ローラ1を加熱する。
温調サーミスタ24は定着ローラ1表面の温度を検知し、その検知信号を通電制御手段が取り込む。通電制御手段はその検知信号に基づいて定着ローラ1表面の温度が所定温度(目標温度)を維持するようにハロゲンランプ21への通電を制御する。
加圧ローラ22及び定着ローラ1の回転が安定し、かつ定着ローラ1表面の温度が所定温度に維持されると、未定着トナー像Tを担持した記録材Sが矢印方向に搬送されニップ部Nに導入される。その記録材Sはニップ部Nで加圧ローラ22表面と定着ローラ1表面とにより120mm/secのスピードで挟持搬送される。その搬送過程で記録材Sに定着ローラ1の熱とニップ部Nの圧が加えられ、トナー像Tは記録材Sの面上に加熱定着される。
(定着ローラ)
従来、定着ローラにおいては、芯金上にゴム層を形成し、その上にフッ素樹脂層を形成する方法として、下記の(1)、(2)の2つの方法が知られている。
(1)ゴム層上に液状フッ素樹脂塗料を塗布し、焼成する方法。
(2)ゴムローラの外径より小さな内径を有するフッ素樹脂チューブに対し、フッ素樹脂チューブ内周面及びゴムローラの外周面に低粘度の接着剤を塗布し、フッ素樹脂チューブの径を拡張させながらフッ素樹脂チューブをゴムローラに被覆する。その際、フッ素樹脂チューブの内周面とゴムローラの外周面との間の接着剤を潤滑剤として被覆する方法。
(1)の方法に比べ、(2)の方法によれば、ゴム層をゴム耐熱温度以上に加熱する必要もない。また、ゴム層とフッ素樹脂層との間の接着性も十分であるため、品質が安定しており、フッ素樹脂層の膜均一性も高く有利である。従って、本実施例では(2)の方法を採用して定着ローラ1を製造している。
以下、定着ローラ1の製造方法について詳述する。
図3、図4、図5は、それぞれ定着ローラ1の製造方法を説明する図である。
まず、図3(a)の長手長さ370mm、外径50mm、肉厚3.0mmの中空アルミニウム製の芯金1aの外周面(表面)を溶剤洗浄してプライマー処理を施す。そしてその芯金1a表面にHTV(熱加硫型)シリコーンゴムをリング塗工によって被覆し、そのシリコーンゴムを加熱硬化することによりストレート形状の円柱形の基材ゴム層(弾性層)1bを有するローラ32を得る(図3(b))。そしてそのローラ32の基材ゴム層1bの外周面(表面)全面に渡って、接着剤(図示せず)を塗布する。接着剤として、加熱硬化型接着剤(東芝シリコン(株)製のTSE−3221)を用いる。図3(b)に示すように、ローラ32の外径D1は50.0mm、ゴム被覆部分の軸線方向の長さL1は313mmとする。図3(c)に示す円筒状のフッ素樹脂チューブ33は、内径Dは48.7mm、軸線方向の長さL2は350mmとし、ローラ32の外径D1より小さな内径D2を有する。フッ素樹脂チューブ33は、押出成形により得られたフッ素樹脂チューブ((株)グンゼ製)である。このフッ素樹脂チューブ33の厚みは20μmである。
図4に示すように、フッ素樹脂チューブ33(以下、単にチューブとも称す)の一端33a側において、周方向に均等となるように、その一端部33aに4個のチャック41を取り付ける。チューブ33に取り付けたチャック41をチューブ33の径方向に均等に引っ張り、チューブ33の径を拡張させながら、接着剤が塗付されているローラ32をチューブ33内に挿入し、チューブ33をローラ32の全面を覆うように完全に被覆する。この時、チューブ33の径は、拡張する前に比べ約2.7%拡張させている。そしてローラ32の挿入時の挿入力は2kgとしている。
つまり、上記の工程では、芯金1a表面に弾性層1bを形成したローラ32に、そのローラ32の外径よりも小さな内径を有する厚み20μmの樹脂チューブ33を、その樹脂チューブ33のラジアル方向(径方向)に引き伸ばして被せている。
図5(a)に示すように、チューブ33をローラ32の軸線方向(以下、母線方向とも称す)の両端側に余分の長さを有している状態にする。そしてチャック41によってチューブ33の一端部33a側を固定し、その状態でチャック41の反対方向からチューブ33の他端33b側をローラ32の母線方向に17.5mm引っ張り、チューブ33の外周面(表面)に発生したシワ51を伸ばす。以下、この工程を軸方向延伸工程と呼ぶ。本実施例では、軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブ33を引っ張る量は17.5mmに設定している。このフッ素樹脂チューブ33の引っ張り量17.5mmは、フッ素樹脂チューブ33の長手寸法350mmに対し、5%に該当する。次に、図5の(b)に示すようにチューブ43の余長部分の両端部52を加熱溶着し、200℃で5分間加熱して接着剤を硬化させる。最後に、図5(c)に示すようにチューブ43の余長部分を切断し、定着ローラ1を得る。
つまり、上記の軸方向延伸工程では、樹脂チューブ33をローラ32の母線方向に引き伸ばすことによって、樹脂チューブ33表面に発生したシワ51を伸ばしている。その樹脂チューブ33の引き伸ばし率は5%である。引き伸ばし率は、
((引き伸ばし後の樹脂チューブ長さ−引き伸ばす前の樹脂チューブ長さ)/引き伸ばす前の樹脂チューブ長さ)×100(%)
として算出した。
(フッ素樹脂チューブ)
本実施例の定着ローラ1に用いられるフッ素樹脂チューブ(フッ素樹脂製のチューブ)33について説明する。
図6は、フッ素樹脂チューブ33の製造方法を説明する図である。
フッ素樹脂チューブ33は、図6(a)に示す溶融押出機を用いて製造する。その製造工程は、大まかに、材料供給、加熱溶融、押出し、サイジング、冷却、引取、巻き取り、切断の各工程に分かれている。まず材料供給工程では、ホッパー61にフッ素樹脂チューブ33の材料であるペレット状PFA(三井デュポンフロロケミカル社製,テフロン451HP-J)62を投入する。次に加熱溶融工程において、ペレット状PFAは、スクリュー63で送り出されながらヒータ64によって溶融温度350℃に加熱される。次に押出し工程においてダイ65(ダイ/マンドレル径:70mm/66mm)からチューブ状に押出される。次に押出されたPFAは、引取機66によって引き取り速度4.0m/minにて矢印方向に引き取られ、外径48.7mmのサイジングダイ67に入ることによって肉厚20μm、外径48.7mmの筒状体にサイジングされる。その後冷却装置68を経て冷却され、巻き取り装置69によって巻き取られ、所望の長さに切断される。
(定着ローラのフッ素樹脂層の亀裂と画像不良の関係)
次に、「フッ素樹脂層(表面層)の亀裂」について、図7を用いて説明する。
図7(a)は、表面層であるフッ素樹脂層1cに亀裂が発生した定着ローラの一端部を表わす図である。本実施例の定着ローラ1と区別するために、図7(a)に示す定着ローラに符号1Aを付す。図7(a)に示す定着ローラ1Aはフッ素樹脂層1cに亀裂が発生している点を除いて、本実施例の定着ローラ1と同じ構成としてある。
定着ローラ1Aにおいて、フッ素樹脂層1cに発生した亀裂は非常に細く、必ずローラ32長手方向に伸びるように発生する。亀裂の長手方向長さは、短いもので1mm以下、長いもので50mm以上とばらつきがある。
図7(b)は、亀裂が発生したフッ素樹脂層1cの断面拡大図を示す。フッ素樹脂チューブ33の厚み20μmに対し、亀裂は幅約5〜10μm、深さ約5〜10μmとなる。
図8は、フッ素樹脂層1cに亀裂が発生した定着ローラ1Aを具備する定着装置F1を搭載した画像形成装置を用いて画像を出力した際の画像不良の発生状況を説明する図である。出力画像の画像パターンは全面イエローのベタ画像であり、出力画像を印字する記録材SはOHP用紙である。
OHP用紙において、画像不良は、定着ローラ1A表面に発生した亀裂に対応する位置に、ヘアライン状の細いスジとなって現れ、定着ローラ1Aが一回転する毎に同じパターンが繰り返される。定着ローラ1Aは、外径50mmであるので、1周周期157.1mm毎に画像不良のパターンが繰り返される。このスジは、トナー量の多いベタ画像等において視認しやすい傾向がある。また、このスジは、トナー表面の光沢度が高い場合や、OHP用紙で光を透過する場合に見えやすい。スジが発生した状態で更に定着ローラ1Aの使用を継続すると、最終的にフッ素樹脂層(フッ素樹脂チューブ33)1cは完全に断裂し、ゴム層1b表面が露出してしまう。ゴム層1b表面が露出してしまうと、ゴム層1b表面の露出部分にはトナーが付着し、印字画像を汚して重大な画像不良となる。また、完全にフッ素樹脂チューブ33が欠落すると、OHP用紙と定着ローラ1Aとの付着力が強くなる。即ち、定着ローラ1AにOHP用紙が巻きつきやすくなり、紙詰まりが発生してしまうという問題にも発展する。
(フッ素樹脂層の亀裂発生原因)
次に、定着ローラ1Aのフッ素樹脂層1cの亀裂の発生原因について説明する。
定着ローラ1Aに発生する「フッ素樹脂層の亀裂」の原因は、下記の(1)、(2)の2つの点にあることが本発明者らの検討により明らかになった。
(1)フッ素樹脂の配向結晶化。
(2)フッ素樹脂にかかる機械的ストレス。
まず、(1)のフッ素樹脂の配向結晶化について説明する。
配向結晶化とは、ポリマー分子鎖の配向度を極度に向上させた時に、ポリマー分子鎖同士に原子間力や水素結合が働き、配向方向に結晶化して小繊維構造を形成することである。配向方向に結晶化して小繊維構造を形成したポリマー分子鎖は、配向方向には高い強度と弾性率を有するが、配向軸に対し直角方向には力学的に弱い構造となってしまう。また、小繊維化した樹脂は、表面性が悪化して耐薬品性が劣化する。
以上説明したような配向結晶化を促進する要因は、フッ素樹脂チューブの製造工程と、定着ローラの製造工程の両方にある。
まず、フッ素樹脂チューブの製造工程で配向結晶化を促進している理由について説明する。
図6(a)に示すフッ素樹脂チューブ製造工程において、フッ素樹脂チューブ33を薄膜化するためには、押出された溶融状態のフッ素樹脂チューブの引き取り速度を上げて延伸倍率を上げることが最も効果的である。延伸倍率を上げると、フッ素樹脂高分子鎖は、矢印Hの方向に強く配向する。従って製造されたフッ素樹脂チューブ33は、図6(b)に示す矢印Hの方向に配向結晶化しており、Hと直角方向(フッ素樹脂チューブ33の周方向)において力学的に弱い構造となっている。
図7(a)に示したように、亀裂がローラ32長手方向に伸びるように発生する理由は、フッ素樹脂チューブの高分子の配向方向がローラ32長手方向と一致しているからである。そのため、フッ素樹脂チューブ33をねじって、ローラ32長手方向とフッ素樹脂チューブ33の高分子の配向方向を一致させないように定着ローラを製造する。その場合、フッ素樹脂層1cの亀裂はフッ素樹脂チューブ33の高分子配向方向に沿って発生することが確認されている。このフッ素樹脂チューブ33の製造工程において配向結晶化を緩和するための手段は、引き取り速度を下げて延伸倍率を下げること、フッ素樹脂の溶融温度を上げて流動性を向上させること等がある。
次に、定着ローラ製造工程で配向結晶化を促進している理由について説明する。
図5に示す定着ローラ製造工程において、フッ素樹脂チューブ33を薄膜化すると、均一に被せることが難しくシワ51が発生しやすくなる。そのため、図5(a)に示す方向に、フッ素樹脂チューブ33をより強く引っ張ってシワ51を伸ばす必要がある。しかし、配向度の高いフッ素樹脂チューブ33をさらに配向方向に引っ張る場合、僅かな量伸ばしただけでも配向結晶化を促進してしまう。そのため、軸方向延伸工程におけるチューブ引っ張り量は、後述する結晶化度、耐久試験、加速試験の結果を元に絶対値を決定し、公差±1mm以下の精度で管理する必要がある。
次に、(2)のフッ素樹脂にかかる機械的ストレスについて説明する。
図2において、定着ローラ1と、この定着ローラ1と圧接する加圧ローラ22の2つのローラを駆動させるためには、加圧ローラ22を駆動モータやギヤ等からなる駆動系(駆動手段)を利用して回転駆動させる。対するもう一方の定着ローラ1は、定着ローラ1と加圧ローラが接触しているニップ部Nに掛かる摩擦力により矢印方向に従動回転する。従動回転する際に定着ローラ1は、芯金1aは変形しないもののゴム層1bは加圧ローラ22との圧力により変形する。この変形量は、ゴム層1bが厚い場合、加圧ローラ22との加圧力が強い場合に、より大きく変形する傾向がある。このとき、表面層であるフッ素樹脂層1cは、ゴム層1bの形状に倣って変形し、強い機械的ストレスを受けてフッ素樹脂チューブ33の配向結晶化方向に対して直角方向(力学的に弱い方向)に伸張と収縮を繰り返す。また、定着ローラ1の回転起動時のトルクは定常回転時のトルクに比べて大きくなるため、フッ素樹脂層1cは力学的に弱い方向に、回転起動時に特に大きな摩擦力を受け、強い機械的ストレスを受ける。
即ち、定着ローラ1の回転や起動の度に、薄膜化したフッ素樹脂チューブ33にとって力学的に弱い方向へのストレスが繰り返されることとなる。ニップ外に出るとその力は解放され、これを定着ローラ1回転毎に繰り返す。これを多数繰り返すことによってフッ素樹脂層1cが裂け、亀裂が発生してしまう。
本実施例の定着装置F1の場合、画像形成装置本体の寿命が10万枚印字である場合、定着ローラ回転起動回数は最大10万回、回転数は最大100万回転以上、に及ぶため、定着ローラ1のフッ素樹脂層1cに高い屈曲強度が求められる。画像形成装置本体の寿命とは、ユーザビリティーや画像品質を保証している印字枚数の範囲のことである。画像形成装置本体において、ユーザビリティーとは、例えば紙詰まりの発生頻度、騒音、電磁波ノイズ等を示しており、画像品質とは、位置精度、色再現性、濃淡ムラ、画像表面の光沢、その他画像不良全般を示している。従って、フッ素樹脂層の亀裂は、すくなくとも画像形成装置本体の寿命以前に発生してはならない。
(評価)
本実施例の定着ローラ1を具備する定着装置F1を搭載した画像形成装置の効果を調べるため、トナー定着性(トナーへの熱伝達効率の高さの指標)と、耐久後の亀裂発生の有無(定着ローラ耐久性の指標)と共に、結晶化度について評価した。
まず、評価方法の詳細について詳述する。
(トナー定着性の評価方法)
擦り試験は、紙に対してトナーがどれだけ強固に定着しているかを評価する方法であり、トナーへの熱伝達効率の高さの指標となる。
まず、本実施例の定着装置F1を用い、温度10℃湿度50%の環境、入力電圧120Vにて、定着性評価画像を50枚連続して定着する。紙は、LETTERサイズのXEROX 4024用紙(XEROX社製、90g/m)を用いる。定着性評価画像とは2×2ドットのチェッカーフラッグパターンのハーフトーンで構成された5mm×5mmのパッチ画像(反射濃度0.7〜0.8)を紙面内に9ヶ所配置した画像である。
印字後、この50枚の中から所定枚数(1,10,20,50枚目)のサンプルを抜き取る。そのサンプルの画像形成面上にシルボン紙(商品名)を介して所定重量(200g)のおもりを載せた状態で画像形成面を5往復摺擦させ、その摺擦の前後での、画像の反射濃度を測定する。反射濃度の測定にはGretag Macbeth RD918(商品名)を用いた。濃度低下率は、
(擦る前の濃度−擦った後の濃度)/擦る前の濃度×100(%)
として算出した。定着性が最も良い、即ち全く評価画像が擦れない時の濃度低下率は0%である。その逆に定着性が最も悪い、即ち評価画像がすべて擦り取られてしまう時は100%となる。濃度低下率の値が大きいほど、定着性が悪いことを示す。
トナー定着性の数値の目安としては、温度10℃湿度50%環境において濃度低下率40%のとき、通常使用環境下においてトナー像が紙から欠落する可能性がある。温度10℃湿度50%環境において濃度低下率30%のときは、通常使用環境下において画像面を摺擦した際にトナー像の濃度低下が発生する可能性がある。温度10℃湿度50%環境において濃度低下率20%以下である場合、通常使用環境下において濃度低下等の問題が発生しない。そのため本評価の判定は紙面内9ヶ所の画像の濃度低下率のうち、その最悪値を求め、20%未満をOK、20%以上をNGとした(表1の「定着性[%]」参照)。
(耐久後の亀裂の評価方法)
画像形成装置において、2枚間欠印刷を繰り返して装置本体の寿命である10万枚まで印字する。2枚間欠印字方法による印字は、転写材(紙)2枚に印字した後に印字を停止させ、駆動モーター等の駆動系が停止した後、再び別の転写材2枚に印字する。これを画像形成装置本体の寿命にあたる10万枚に達するまで繰り返し行い、1万枚毎に画像チェックを行う。2枚間欠印字においては、転写材は、LETTERサイズのXEROX 4024用紙(XEROX社製、75g/m)を用いた。画像パターンは、印字比率が1%となるブラック単色の格子模様を用いた。1万枚毎に画像チェックにおいては、転写材は、LETTERサイズのHP COLOR LASER JET PRINTER TRANSPARENCY FILM(Hewlett−Packard社製)を用いた。画像パターンは、印字比率が100%となるイエロー単色のベタ画像を用いた。画像評価方法として、ヘアライン上の画像不良の有無を目視により確認した(○:画像不良発生なし、×:画像不良発生あり(表1の「耐久結果○×」参照))。
(結晶化度の評価方法)
配向結晶化の度合いを評価するためには、X線回折による結晶化度の測定が有効である。本評価では、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、試料水平型強力X線回折装置「RINT TTRII」)を用いて結晶化度の評価を行った。また、結晶化度の計算には、上記装置に付属する解析ソフトウェアの「JADE6」を使用した。なお、本測定で得られる結晶化度は、下記の式(I)で算出できる。
結晶化度=Ic/(Ic+Ia)×100・・・式(I)
Ic:結晶性散乱強度(面積)
Ia:非晶性散乱強度(面積)
測定サンプルであるフッ素樹脂チューブは、幅2cm、長さ3cm程度の大きさの長方形に切り出す。切り出したチューブは、測定範囲内に回折ピークを持たない無反射試料板(リガク製)に、チューブがたるまないようにチューブの両端をテープで貼り付けて(テープがX線の照射内に入らないように)固定した。
(測定条件)
・管球:Cu
・平行ビーム光学系
・電圧:50kV
・電流:300mA
・開始角度:5°
・終了角度:25°
・サンプリング幅:0.02°
・スキャンスピード:4.00°/min
・発散スリット:開放
・発散縦スリット:10mm
・散乱スリット:開放
・受光スリット:開放
図9に、本測定によって得られるデータを示す。横軸はX線入射角度2θ(deg)、縦軸は検出される反射X線の強度(Counts)である。図中91は、厚み15μmのチューブで作成した定着ローラから得られた反射X線強度とX線入射角度2θ(deg)の関係である。まず、得られたピークを、装置付属のソフトウェア「JADE6」を用いてピーク分離処理を行う。例えば、得られたピークがフッ素樹脂由来のみの場合、2θ=18°付近のシャープな結晶性ピーク92と、2θ=16〜18°付近に頂点を持つブロードな非晶性ピーク93を指定した後、自動フィッティングにより行うことができる。以上の操作で得られた、結晶性ピーク面積と、非晶質ピーク面積を、式(I)に代入し、結晶化度を算出する。
なお、目的のフッ素樹脂以外のピークが測定範囲内にある場合は、すべてのピークについて、適正なピーク分離を行った後、フッ素樹脂由来の結晶質ピーク面積と非晶質ピーク面積のみを用いて結晶化度を算出する。本実施例の定着ローラ1においては、フッ素樹脂チューブ33の厚みによっては2θ=11〜13°付近に頂点を持つゴム由来のピーク94が発生することがある。本実施例の評価においてこのピーク94が発生した場合、以下のように結晶化度の評価を行った。
ソフトウェア「JADE6」において、2θ=18°付近の結晶性ピーク92と、2θ=16〜18°付近の非晶性ピーク93と、ゴム由来のピーク94を全て指定する。それにより「JADE6」は3つのピークに対し自動フィッティングを行い、結晶性ピーク面積と、非晶質ピーク面積と、ゴム由来のピーク面積を算出する。計算においては、ゴム由来のピーク面積を計算式に用いず、結晶性ピーク面積と、非晶質ピーク面積を、式(I)に代入し、結晶化度を算出することにより、目的であるフッ素樹脂の結晶化度を得ることが出来る。
[評価結果]
以下、評価に用いた実施例と比較例のサンプルについて詳述する。
サンプルは合計17種類作成した。まず、フッ素樹脂チューブ製造工程において、チューブ引取速度に関して4種類のパラメータ(2.7mm/sec,3.2mm/sec,4.0mm/sec,5.0mm/sec)で作成した。その結果、チューブ厚みは15μm,20μm,25μm,30μmの4種類となった。各々の厚みのチューブについて、軸方向延伸量[%]を変化させたサンプルを作成した。軸方向延伸量は、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]及び、それ以下の値のサンプルを作成した。詳細は下記のとおりである。
チューブ厚み15μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は10%であったため、作成したサンプルは、2%,3%,4%,6%,10%の5種類である。
チューブ厚み20μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は8%であったため、サンプルは、1%,2%,3%,4%,5%,6%,8%の7種類作成した。
チューブ厚み25μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は5%であったため、サンプルは、1%,3%,5%の3種類作成した。
チューブ厚み30μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は4%であったため、サンプルは、2%,4%の2種類作成した。
計17種類のサンプルの詳細な設定と、定着性評価結果と耐久性評価結果を表1に示す。
実施例1−1から実施例1−7は、樹脂チューブの厚みは20μm以下で、かつ樹脂チューブの結晶化度は50%以下(43%以上50%以下)である。比較例1−1から比較例1−10は、樹脂チューブの厚みは20μm以上であるか、または結晶化度は50%以上である。
定着性は、チューブ厚み15μmと20μmにおいて定着性20[%]未満、判定OKとなっており、チューブ厚み25μmと30μmにおいて定着性20[%]以上、判定NGとなっている。即ちチューブを薄膜化することによりトナーへの熱伝達効率が向上していることを示している。
耐久結果の○と×は、耐久試験による結果を示している。○は画像形成装置本体の寿命中にフッ素樹脂層に亀裂が発生しなかったことを示し、×は亀裂が発生したことを示す。この結果より、実施例1−1から実施例1−7は、定着性OKと耐久結果○の両者を満たしている。
同結果をグラフ化したものを図10に示す。グラフの横軸は、軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブを引っ張る量[%]、グラフの縦軸は結晶化度[%]を示している。プロットラインは、便宜上チューブ厚み15μm,20μm,25μm,30μmと分けている。
図10において、チューブ厚み15μm,20μm,25μm,30μmの各ラインは、単調増加傾向、即ち軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブを引っ張る程、結晶化度が増加する傾向を示している。また、延伸倍率を上げてフッ素樹脂チューブを薄くしてゆくと、結晶化度が上昇する傾向にあることがわかる。
本評価結果により、フッ素樹脂層の亀裂の発生を防止するためには、フッ素樹脂の配向結晶化を抑えて、結晶化度50%以下の定着ローラを作ることが有効であることが分かる。
本実施例の定着ローラ1においては、結晶化度を50%以下に抑える具体的な方法は、チューブ厚み20μmの場合に軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブ33を引っ張る量を5%以下(1%以上5%以下)にすることである。また、チューブ厚み15μmの場合には軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブ33を引っ張る量を3%以下にすることである。
以上述べたように、樹脂チューブ33の厚みを20μm以下にすることにより、良好な定着性を得、かつ結晶化度を50%以下に抑えることによって、耐久を通じてフッ素樹脂層1cの亀裂の発生を防止することができる。従って、高い熱伝達効率と高耐久性を両立した定着ローラ1を提供することが出来る。
[実施例2]
本実施例では、本発明に係る定着装置用スリーブ(定着装置用可撓性スリーブ)を具備する定着装置の一例を説明する。この定着装置を搭載する画像形成装置は電子写真方式のカラーレーザープリンタであって、A4・Letterサイズに対応している。この画像形成装置は、記録材(シート)の搬送速度が47mm/secである。また、記録材である普通紙に印字する際のスループットはLetter横送りにて8ppmである。画像形成装置の構成は、実施例1の定着装置F1を除いて同じ構成としてある。そのため、実施例1の画像形成装置と同じ部材には同一符号を付し再度の説明を省略する。
(定着装置)
図11は定着装置用スリーブを具備する定着装置F2の一例の横断面模型図である。
定着装置F2は、加熱体(熱源)としてのヒータ111と、加熱体保持部材としてのヒータホルダ112と、可撓性スリーブ(定着装置用可撓性スリーブ)としての定着スリーブ113と、補強ステー114と、を有する。また、定着装置F2は、加圧ローラ115と、装置フレームF21と、温調サーミスタ(温度検知手段)116と、を有する。ヒータ111、ヒータホルダ112、定着スリーブ113、補強ステー114、加圧ローラ115は、何れも長手方向に細長い部材である。
ヒータホルダ112は、所定の耐熱性材料により横断面略半円形樋型に形成され、下面の幅方向央に長手方向に沿って設けられた溝部にヒータ111を支持している。このヒータホルダ112は、ヒータホルダ112の両端部が装置フレーム21の不図示の前後の側板に支持されている。
ヒータ111は、長手方向に細長い窒化アルミの基板上に、抵抗発熱体、ガラスコートを施した、セラミックヒータである。窒化アルミ基板の表面(定着スリーブ113側の面)には、抵抗発熱体とその抵抗発熱体を保護するためのガラスコート(保護層)が設けられている。一方、窒化アルミ基板の裏面(ヒータホルダ112側の面)には、サーミスタ116が設けられている。このヒータ111は、ヒータホルダ112の溝部から基板の抵抗発熱体側を下向きに露呈させ、その基板をヒータホルダ112の溝部に固定して支持させてある。
定着スリーブ113は、可撓性及び耐熱性を有する円筒状の薄いフィルムにより形成されている。この定着スリーブ113は、ヒータホルダ112の周囲にルーズに外嵌されている。
補強ステー114は、横断面下向きのU字型の剛性部材から構成されている。この補強ステー114は、ヒータホルダ112の幅方向中央に配置されている。
加圧ローラ115は、芯金115aと、この芯金115aの周囲に設けられたシリコーンゴム製の弾性層(以下、ゴム層と記す)115bと、このゴム層115bの周囲に設けられた最表層のPFA離型層115cと、を有している。この加圧ローラ115は、芯金115aの両端部が装置フレームF21の前後の側板に回転自在に支持されている。
補強ステー114と加圧ローラ115は、不図示の加圧スプリングにより、定着スリーブ113の外周面(表面)と加圧ローラ115の外周面(表面)が接触するように総加圧力156.8N(16kgf)にて加圧されている。その加圧力により定着スリーブ113表面と加圧ローラ115表面を接触させ、定着スリーブ113表面と加圧ローラ115表面との間に所定幅のニップ部(定着ニップ部)Nを得ている。
加圧ローラ115は、不図示の駆動手段により矢印方向に47mm/secの周速度で回転駆動される。その際、ニップ部Nにおける加圧ローラ115表面と定着スリーブ113表面との圧接摩擦力により定着スリーブ113に回転力が作用する。定着スリーブ113は、その回転力により定着スリーブ113の内周面(内面)がヒータ111の基板表面側のガラスコートと密着(密に接触)して摺動しながらヒータホルダ112の外回りを矢印方向に従動回転する。定着スリーブ113内面には、潤滑剤として不図示のフッ素系グリス(ダウコーニング社製 モリコートHP−300グリス)が塗布され、ヒータ111と定着スリーブ113内面との摺動性を確保している。フッ素系グリスを使用している理由は、ヒータ111と定着スリーブ113のヒータ111と接する面の温度が未定着トナー像Tの定着時に180℃前後の高温になるためである。このような高温状態であっても、フッ素系グリスであれば耐熱性が高く、変質しにくいという利点を有している。ヒータ111の抵抗発熱体には、不図示の通電制御手段から通電される。その通電により抵抗発熱体が発熱しヒータ111は昇温して定着スリーブ113を加熱する。
温調サーミスタ116はヒータ111の温度を検知し、その検知信号を通電制御手段が取り込む。通電制御手段はその検知信号に基づいてヒータ111の温度が所定温度(目標温度)を維持するようにヒータ111への通電を制御する。
加圧ローラ115及び定着スリーブ113の回転が安定し、かつヒータ111の温度が所定温度に維持されると、未定着トナー像Tを担持した記録材Sが矢印方向に搬送されニップ部Nに導入される。その記録材Sはニップ部Nで加圧ローラ115表面と定着スリーブ113表面とにより47mm/secのスピードで挟持搬送される。その搬送過程で記録材Sに定着スリーブ113の熱とニップ部Nの圧が加えられ、トナー像Tは記録材Sの面上に加熱定着される。
(定着スリーブ)
図12は定着スリーブ113の説明図である。
定着スリーブ113は、図12(a)に示すように、長手寸法233mm、内径は18.0mmの可撓性を有する円筒形のフィルムである。また、定着スリーブ113は、図12(b)に断面拡大図を示すように、内側からステンレスフィルム(ステンレス層)113a、ゴム層113b、フッ素樹脂層113cの順に積層した構造を有している。つまり、円筒形のステンレスフィルム(ベース層)113aの外周(ベース層上)には、ステンレスフィルム113aを覆うように弾性層としてのゴム層113bが設けられている。さらにそのゴム層113bの外周には、ゴム層113bを覆うように表面層113cとして樹脂チューブが被覆されている。つまり、弾性層の上に表面層として樹脂チューブが被覆されている。この定着スリーブ113の単位面積当たりの熱容量は、およそ0.1J/cm2・K程度の熱容量のものを使用する。
次に、定着スリーブ113におけるフッ素樹脂チューブ(フッ素樹脂製のチューブ)の被覆方法について説明する。
円筒形ステンレスフィルム113a表面に弾性層1bを形成したスリーブ42(図13(b)参照)にフッ素樹脂チューブを被覆する方法は、基本的には、実施例1で説明したローラ32の場合と同じである。スリーブ42において、ローラ32と異なる点は、芯金形状とゴム層の厚みである。
図13、図14は定着スリーブの製造方法を説明する図である。
まず、図13(a)の長手長さ250mm、外径18mm、肉厚30μmの円筒形ステンレスフィルム113aの外周面(表面)を溶剤洗浄してプライマー処理を施す。その円筒形ステンレスフィルム113a表面にHTV(熱加硫型)シリコーンゴムをリング塗工によって被覆し、そのシリコーンゴムを加熱硬化することによりストレート形状の円柱形の基材ゴム層(弾性層)113bを有するスリーブ42を得る(図3(b))。ゴム層113bの厚みは200μmとする。図3(c)に示す円筒状のフッ素樹脂チューブ123は、内径は17.5mm、軸線方向の長さは300mmとしている。フッ素樹脂チューブ123の被覆方法は実施例1と同じである。
つまり、円筒形ステンレスフィルム113a表面に弾性層1bを形成したスリーブ42に、そのスリーブ42の外径よりも小さな内径を有する厚み20μmの樹脂チューブ123を、その樹脂チューブ123のラジアル方向(径方向)に引き伸ばして被せている。
図14の(a)に示すように、フッ素樹脂チューブ123をスリーブ42の軸線方向(以下、母線方向とも称す)の両端側に余分の長さを有している状態にする。そしてチャック41によってチューブ123の一端部123a側を固定し、その状態でチャック41の反対方向からチューブ123の他端123b側をスリーブ42の母線方向に15.0mm引っ張り、チューブ123の外周面(表面)に発生したシワ51を伸ばす。その軸方向延伸工程においてフッ素樹脂チューブ123の引っ張り量15.0mmは、フッ素樹脂チューブ123の長手寸法300mmに対し、5%に該当する。次に、図14の(b)に示すようにフッ素樹脂チューブ123の余長部分の両端部143を加熱溶着し、200℃で5分間加熱して接着剤を硬化させる。最後に、図14の(c)に示すように定着スリーブの余長部分を切断し、所定長さの定着スリーブ113を得る。
つまり、軸方向延伸工程では、樹脂チューブ123をスリーブ42の母線方向に引き伸ばすことによって、樹脂チューブ123表面に発生したシワ51を伸ばしている。その樹脂チューブ123の引き伸ばし率は5%である。引き伸ばし率は、
((引き伸ばし後の樹脂チューブ長さ−引き伸ばす前の樹脂チューブ長さ)/引き伸ばす前の樹脂チューブ長さ)×100(%)
として算出した。
(フッ素樹脂チューブ)
定着スリーブ113に用いられるフッ素樹脂チューブ123の製造方法は、基本的には実施例1のフッ素樹脂チューブ33の製造方法と同じである。実施例1のフッ素樹脂チューブ33の製造方法に対して本実施例のフッ素樹脂チューブ123の製造方法はフッ素樹脂チューブ123のサイジングの径のみが異なる。即ち、押出し工程においてダイ65は、ダイ/マンドレル径:26mm/22mmとなっている。このダイ65からチューブ状に押出されたPFAが外径17.5mmのサイジングダイ67に入ることによって肉厚20μm、外径17.5mmの筒状体にサイジングされる。その他、フッ素樹脂材質、溶融温度、引取速度等は実施例1の製造方法と同じである。
(定着スリーブのフッ素樹脂層の亀裂と画像不良の関係)
次に、「フッ素樹脂層(表面層)の亀裂」について、図15を用いて説明する。
図15は、表面層であるフッ素樹脂層113cに亀裂が発生した定着スリーブの一端部を表わす図である。本実施例の定着スリーブ113と区別するために、図15に示す定着スリーブに符号113Aを付す。図15に示す定着スリーブ113Aはフッ素樹脂層113cに亀裂が発生している点を除いて、本実施例の定着スリーブ113と同じ構成としてある。
定着スリーブ113Aのフッ素樹脂層113cに発生した亀裂の発生状況は、実施例1の定着ローラ1Aにおける亀裂の発生状況に対して、発生位置が少し異なる。即ち、定着スリーブ113Aにおいてはフッ素グリスの付着量の多い定着スリーブ113端部に発生しやすい。
図16は、フッ素樹脂層113cに亀裂が発生した定着スリーブ113Aを具備する定着装置F2を搭載した画像形成装置を用いて画像を出力した際の画像不良の発生状況を説明する図である。出力画像の画像パターンは全面イエローのベタ画像であり、出力画像を印字する記録材SはOHP用紙である。
OHP用紙において、画像不良は、定着スリーブ113A両端部の亀裂に対応する位置に、ヘアライン状の細いスジとなって現れ、定着スリーブ113Aが一回転する毎に同じパターンが繰り返される。定着スリーブ113Aは、外径約18mmであるので、1周周期56.5mm毎に画像不良のパターンが繰り返される。このスジは、定着ローラ1Aの場合と同様、トナー量の多いベタ画像等において視認しやすい傾向がある。また、このスジは、トナー表面の光沢度が高い場合や、OHP用紙で光を透過する場合に見えやすい。スジが発生した状態で更に定着スリーブ113Aの使用を継続すると、最終的にフッ素樹脂層(フッ素樹脂チューブ123)113cは完全に断裂し、ゴム層113b表面が露出してしまう。ゴム層113b表面が露出してしまうと、ゴム層113b表面の露出部分にはトナーが付着し、印字画像を汚して重大な画像不良となる。
(フッ素樹脂層の亀裂発生原因)
次に、定着スリーブ113のフッ素樹脂層113cに発生する「フッ素樹脂層の亀裂」の原因は、下記の(1)、(2)、(3)の3つの点にあることが本発明者らの検討によって明らかになった。
(1)フッ素樹脂の配向結晶化。
(2)フッ素樹脂層にかかる機械的ストレス。
(3)フッ素樹脂表面に付着したフッ素グリス。
(1)のフッ素樹脂層の配向結晶化は実施例1と同じある。そのためその説明を省略する。
(2)のフッ素樹脂層にかかる機械的ストレスについて説明する。
図17は定着スリーブ113のフッ素樹脂層113cの亀裂発生原因を説明する図である。
定着スリーブ113は、図11に示すように加圧ローラ115から与えられる回転力により内面側をヒータ111の基板表面側のガラスコートと密着して摺動しながらヒータホルダ112の外回りを矢印方向に従動回転する。従動回転する際の定着スリーブ113の形状は、円形の定着スリーブ113をニップ部Nで扁平に押しつぶした形(図17(a)のA,B,C,D,E,Fの形状)となる。
図17(a)に示す定着スリーブ113の横断面形態おいて、ヒータホルダ112の上向きの開口領域に対応するA,B,C部は、定着スリーブ113の従動回転状態の自由形状に近く、フッ素樹脂層113cにはストレスが殆どかかっていない。
それに対して、ヒータホルダ112の下面幅方向の両端部近傍のF,D部は、ヒータホルダ112の下面幅方向の両端部形状に倣い、湾曲して最も曲率半径が小さくなる。本実施例の定着装置F2では、F,D部での定着スリーブ113の屈曲半径はrM=5mmとなっている。F部の定着スリーブ113の断面拡大図は図17(b)のようになる。即ち、ステンレス層113a、ゴム層113b、フッ素樹脂層113cは全てステンレス層113aの形状に倣い、弓なりに湾曲する。この際、ステンレス層113aはゴム層113b、フッ素樹脂層113cに対してヤング率が高いため伸縮せず、最も外側のフッ素樹脂層113cが大きく伸張する。従ってF,D部における曲率半径が小さくなるほど、フッ素樹脂層113cは大きく伸張され、機械的ストレスは大きくなる。
ヒータ111の幅方向中央のE部においては、ヒータ111の形状に倣い曲率0となる。従って定着スリーブ113の断面拡大図は図17(c)のようになり、ステンレス層113a、ゴム層113b、フッ素樹脂層113cは全てフラットとなり、フッ素樹脂層113cは自由形状に対し逆に収縮する方向にストレスがかかっている。
また、定着スリーブ113の回転起動時のトルクは定常回転時のトルクに比べて大きくなる。そのため、フッ素樹脂層113cは回転起動時に大きな摩擦力を受け、強い機械的ストレスを受ける。
即ち、定着スリーブ113の回転や起動の度に、薄膜化したフッ素樹脂チューブ123にとって力学的に弱い方向へのストレスが繰り返されることとなる。これを定着スリーブ113の回転・起動の度に繰り返すことによってフッ素樹脂113cが裂け、亀裂が発生してしまう。
本実施例の定着装置F2の場合、画像形成装置本体の寿命が5万枚印字である場合、定着スリーブ回転起動回数は最大5万回、回転数は最大100万回転以上、に及ぶため、高い屈曲強度が求められる。
次に、(3)のフッ素樹脂表面に付着したフッ素グリスについて説明する。
本実施例の定着装置F2においては、ヒータ111は発熱時180℃以上の高温となる。その際、定着スリーブ113内面に塗布してあるフッ素グリスは、加熱され流動性が向上する。フッ素グリスは、定着スリーブ113を加熱状態で繰り返し回転すると、定着スリーブ113端部から極微量はみ出し、毛細管現象によりニップ部Nを通って定着スリーブ113表面まで微量回り込んでくる。そして定着スリーブのフッ素樹脂層113cに付着する。フッ素グリスは、フッ素樹脂層113cのフッ素樹脂ポリマー球晶間に浸透し、化学反応を起こしてフッ素樹脂層113cの劣化を促進する。フッ素樹脂層113cの劣化が促進すると、定着スリーブ113の回転とともに繰り返しストレスが加えられることによって、フッ素樹脂層113cの表面(定着スリーブ113表面)に亀裂を発生させてしまう。
(評価)
本実施例の定着スリーブ113を具備する定着装置F2を搭載した画像形成装置の効果を調べるため、結晶化度の測定と共に、トナー定着性(トナーへの熱伝達効率の高さの指標)と、耐久後の亀裂発生の有無(定着スリーブ耐久性の指標)について評価した。更に、本実施例では、定着スリーブ113のフッ素樹脂層113cの亀裂に関して、「フッ素グリスを用いた加速試験」もあわせて行った。
(フッ素グリスを用いた加速試験の評価方法)
本評価は、フッ素グリスが定着スリーブ113のフッ素樹脂層表面に付着し、フッ素樹脂ポリマー球晶間に浸透して劣化を促進した際の亀裂発生に関して、加速評価を行うことを目的としている。
加速の方法としては、フッ素グリスの付着量をふやすこと、温度を上げて化学反応を促進すること、定着スリーブの曲率半径を小さくして、フッ素樹脂層の機械的ストレスを大きくすることと、である。その際、定着スリーブの横断面拡大図は、図17(b)のように、ステンレス層113a、ゴム層113b、フッ素樹脂層113cは全てステンレス層113aの形状に倣い、弓なりに湾曲し、最も外側のフッ素樹脂層113cが大きく伸張する。
具体的な方法について図18を用いて説明する。
図18はフッ素グリスを用いた加速試験方法の説明図である。
まず、作業中に定着スリーブ113が変形することを防止するため、φ17.9mmのステンレス棒181(以後中子と記述する)を挿入する。その状態で定着スリーブ113を周方向に8箇所切断する。切断位置は、図18(a)に示すように、端部から10.0mm,53.3mm,63.3mm,111.5mm,121.5mm,169.8mm,179.8mm,223.0mmとする。幅10mmに切断したスリーブ片182a,182b,182c,182d,182eに関して、外周面全体にフッ素系グリス(ダウコーニング社製 モリコートHP−300グリス)を塗布する。塗布したスリーブ片を中子から抜き出した状態で恒温槽で200℃5分間加熱し、恒温槽から取り出し室温にて1時間以上冷却する。次に冷却したスリーブ片表面のフッ素系グリスを中性洗剤を用いて洗浄する。このとき、スリーブ片は変形しないよう中子に挿入して洗浄する。
次に、図18(b)に示すように、スリーブ片をノギス183で挟持し、スリーブ片のフッ素樹脂層において曲率の最も高い部分C部を目視観察し、亀裂の発生有無を確認する。亀裂の発生を目視観察する際には、蛍光灯つき拡大鏡等を用いる。目視観察後、間隔dを1mm縮める。これを、図中C部に示すような亀裂が発生するまで繰り返す。そして亀裂が発生した時の間隔d[mm]の値を、亀裂発生時の曲率半径と定義し、スリーブ片182a,182b,182c,182d,182eに関して各1回づつ行い、5点の最大値を用いる。なお、スリーブ片を完全に押しつぶしても亀裂が発生しなかった場合は、d=0mmと定義する。フッ素樹脂層に耐久性があり亀裂が発生しにくい時、dの値は小さくなる。その逆にフッ素樹脂層に耐久性がなく亀裂が発生しやすい時、dの値は大きくなる。
[評価結果]
以下、評価に用いた実施例と比較例のサンプルについて詳述する。
サンプルは合計17種類作成した。作成内容の内訳は実施例1と同じであるため説明を省略する。
チューブ厚み15μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は10%であったため、作成したサンプルは、2%,3%,4%,6%,10%の5種類である。
チューブ厚み20μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は8%であったため、サンプルは、1%,2%,3%,4%,5%,6%,8%の7種類作成した。
チューブ厚み25μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は5%であったため、サンプルは、1%,3%,5%の3種類作成した。
チューブ厚み30μmにおいては、製造時にシワを良好に取り除ける軸方向延伸量[%]は4%であったため、サンプルは、2%,4%の2種類作成した。
計17種類のサンプルの詳細な設定と、定着性評価結果と耐久性評価結果を表2に示す。実施例2−1から実施例2−7は、樹脂チューブの厚みは20μm以下で、かつ樹脂チューブの結晶化度は50%以下(43%以上50%以下)である。比較例2−1から比較例2−10は、樹脂チューブの厚みは20μm以上であるか、または結晶化度は50%以上である。
定着性は、チューブ厚み15μmと20μmにおいて定着性20[%]未満、判定OKとなっており、チューブ厚み25μmと30μmにおいて定着性20[%]以上、判定NGとなっている。即ちチューブを薄膜化することによりトナーへの熱伝達効率が向上していることを示している。
耐久性の○と×は、耐久試験による結果を示している。○は画像形成装置の寿命中にフッ素樹脂層の亀裂が発生しなかったことを示し、×は亀裂が発生したことを示す。この結果より、実施例2−1から実施例2−7は、定着性OKと耐久性○の両者を満たしている。
同結果をグラフ化したものを図19に示す。グラフの横軸は、軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブを引っ張る量[%]、グラフの縦軸は結晶化度[%]を示している。プロットラインは、便宜上チューブ厚み15μm,20μm,25μm,30μmと分けている。
図19において、チューブ厚み15μm,20μm,25μm,30μmの各ラインは、単調増加傾向、即ち軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブを引っ張る程、結晶化度が増加する傾向を示している。また、延伸倍率を上げてフッ素樹脂チューブを薄くしてゆくと、結晶化度が上昇する傾向にあることがわかる。
本評価結果により、フッ素樹脂層の亀裂の発生を防止するためには、フッ素樹脂の配向結晶化を押さえて、結晶化度50%以下の定着スリーブを作ることが有効であることが分かる。
本実施例の定着スリーブ113においては、結晶化度を50%以下に抑える具体的な方法は、チューブ厚み20μmの場合に軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブ123を引っ張る量を5%以下(1%以上5%以下)にすることである。また、チューブ厚み15μmの場合には軸方向延伸工程でフッ素樹脂チューブ123を3%以下にすることである。
以上述べたように、樹脂チューブ123の厚みを20μm以下にすることにより、良好な定着性を得、かつ結晶化度を50%以下に抑えることによって、耐久を通じてフッ素樹脂層133の亀裂の発生を防止することができる。従って、高い熱伝達効率と高耐久性を両立した定着スリーブを提供することが出来る。
また、チューブ厚み15μmで、軸方向延伸量2%,3%,4%,6%,10%の5種類と、チューブ厚み20μmで、軸方向延伸量[%]1%,2%,3%,4%,5%,6%,8%の7種類において、フッ素グリスを用いた加速試験を行った。
評価結果を図20に示す。グラフの横軸は、結晶化度[%]、グラフの縦軸は加速試験結果d[mm]を示している。プロットラインは、実線がチューブ厚み20μm、点線がチューブ厚み15μmである。
図20において、チューブ厚み20μm,15μmの各ラインは、単調増加傾向、即ち結晶化度が増加するほど、フッ素樹脂の亀裂は発生しやすくなり、dの距離が大きくなっている。そして結晶化度45%以下においては、d=0となり、チューブ亀裂は発生していない。本結果によれば、結晶化度を下げることにより、フッ素樹脂層に亀裂が発生しにくくなっていることが分かる。
以上のデータより、定着装置の構成を変更した場合、フッ素樹脂層に必要な結晶化度の値は変化することがわかる。具体的には、定着スリーブの最小曲率半径rMの値によって、下記(1)(2)(3)に示す例のようになる。
(1)例えば、本実施例に示す定着装置F2においては、図17に示すように、定着スリーブ113はF,D部において最小屈曲半径となり、その値はrM=5mmである。一般的に、直径30φ〜18φ程度の定着スリーブと、平面板のヒータを用いて、数mm幅のニップ部を形成する定着装置においては、最小屈曲半径rMは3mm〜6mmの範囲となる。rM=3mm〜6mmの範囲であった場合、加速試験結果dの値は、d=rM×2=6mm〜12mmにて割れが発生しないことが必要である。従ってd=6mm以下を達成する必要があるため、結晶化度は50%以下であることが望ましい。
(2)定着スリーブの最小屈曲半径rM=6mm以上であった場合、加速試験結果dの値は、d=rM×2=12mmにて割れが発生しないことが必要である。従ってdは12mm以下、結晶化度は60%以下のものまで使用することが可能である。ただし、定着装置の構成上rM=6mm以上とする場合、定着スリーブの大径化、定着装置の大型化、ニップ幅を狭くする等の手段が必要である。
(3)定着装置において、ニップ最下流にて定着スリーブの最小屈曲半径を小さくすると(図17(a)のF部近傍)、フッ素樹脂層にトナーが残留しにくくなり、画像不良が発生しにくくなるなどのメリットがある。このメリットを生かせば更に高画質のトナー画像が得られる。結晶化度は45%以下にすると、加速試験結果dの値は、d=0mmにおいても割れが発生しないため、フッ素樹脂層は極端に小さな屈曲にも耐えることが出来る。従って、定着装置の設計自由度も増し、更に好ましい。結晶化度45%以下を達成する手段としては、フッ素樹脂チューブ成形時の溶融温度を上昇させて配向を軽減する方法や、溶融状態のフッ素樹脂の射出条件を変化させて延伸倍率を下げ、配向を軽減する方法等が考えられる。ただし、結晶化度が40%以下になると、フッ素樹脂チューブは柔らかくなって穴が開きやすくなったり、成形が困難になる傾向があるため、結晶化度は40%〜45%の範囲が好ましい。
以上述べたように、定着装置の構成によって、フッ素樹脂層に必要となるフッ素樹脂チューブの結晶化度の値は異なる。
画像形成装置の一例の構成模型図 実施例1に係る定着装置の一例の横断面構成模型図 定着ローラの製造方法を説明する図(1) 定着ローラの製造方法を説明する図(2) 定着ローラの製造方法を説明する図(3) フッ素樹脂チューブの製造方法を説明する図 フッ素樹脂層に亀裂が発生した定着ローラを表わす図 画像不良の発生状況を説明する図 粉末X線解析装置を用いた結晶化度のデータを説明する図 フッ素樹脂チューブサンプルの評価結果を表わすグラフ 実施例2に係る定着装置の一例の横断面模型図 定着スリーブの説明図 定着スリーブの製造方法を説明する図(1) 定着スリーブの製造方法を説明する図(2) フッ素樹脂層に亀裂が発生した定着スリーブを表わす図 画像不良の発生状況を説明する図 フッ素樹脂層の亀裂発生原因を説明する図 フッ素グリスを用いた加速試験方法の説明図 フッ素樹脂チューブサンプルの評価結果を表わすグラフ フッ素グリスを用いた加速試験の評価結果を表わすグラフ
符号の説明
1‥定着ローラ、1b‥ゴム層(弾性層)、1c‥樹脂チューブ(表面層)、113‥定着スリーブ、113b‥ゴム層(弾性層)、113c‥樹脂チューブ(表面層)

Claims (12)

  1. ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する定着装置用ローラと、前記定着装置用ローラの内部に設けられたヒータと、前記定着装置用ローラと共にトナー像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有する定着装置において、
    前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムローラの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムローラに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする定着装置。
  2. 前記結晶化度は43%以上50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する定着装置用ローラにおいて、
    前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムローラの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムローラに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする定着装置用ローラ。
  4. 前記結晶化度は43%以上50%以下であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置用ローラ。
  5. ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有し、前記表面層は、厚みが20μm以下であり、結晶化度が50%以下である定着装置用ローラの製造方法であって、
    前記ベース層上に前記ゴム層を形成したゴムローラに対して、前記ゴム層を形成した前記ゴムローラの外径よりも小さな内径を有する厚み20μm以下のフッ素樹脂製のチューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムローラに被せる工程と、前記ゴム層を形成した前記ゴムローラに被せた前記チューブをその母線方向に引き伸ばす工程と、を有し、前記チューブを前記母線方向へ引き伸ばす工程における前記チューブの引き伸ばし率が5%以下であることを特徴とする定着装置用ローラの製造方法。
  6. 前記引き伸ばし率は1%以上5%以下であることを特徴とする請求項5に記載の定着装置用ローラの製造方法。
  7. ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する可撓性スリーブと、前記可撓性スリーブの内周面に接触するヒータと、前記可撓性スリーブを介して前記ヒータと共にトナー像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有する定着装置において、
    前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムスリーブの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムスリーブに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする定着装置。
  8. 前記結晶化度は43%以上50%以下であることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  9. ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有する定着装置用可撓性スリーブにおいて、
    前記表面層は、前記チューブを被せる前の前記ゴム層を形成したゴムスリーブの外径よりも小さな内径を有する厚みが20μm以下の前記チューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムスリーブに被せ、更に前記チューブをその母線方向に引き伸ばして形成したものであり、前記母線方向に引き伸ばした後の前記チューブの結晶化度が50%以下であることを特徴とする定着装置用可撓性スリーブ。
  10. 前記結晶化度は43%以上50%以下であることを特徴とする請求項9に記載の定着装置用可撓性スリーブ。
  11. ベース層と、前記ベース層上に形成されたゴム層と、フッ素樹脂製のチューブで構成された表面層と、を有し、前記表面層は、厚みが20μm以下であり、結晶化度が50%以下である定着装置用可撓性スリーブの製造方法であって、
    前記ベース層上に前記ゴム層を形成したゴムスリーブに対して、前記ゴム層を形成した前記ゴムスリーブの外径よりも小さな内径を有する厚み20μm以下のフッ素樹脂製のチューブを、チャックによりその端部をラジアル方向に引き伸ばした状態で前記ゴムスリーブに被せる工程と、前記ゴム層を形成した前記ゴムスリーブに被せた前記チューブをその母線方向に引き伸ばす工程と、を有し、前記チューブを前記母線方向へ引き伸ばす工程における前記チューブの引き伸ばし率が5%以下であることを特徴とする定着装置用可撓性スリーブの製造方法。
  12. 前記引き伸ばし率は1%以上5%以下であることを特徴とする請求項11に記載の定着装置用可撓性スリーブの製造方法。
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