JP4850647B2 - モータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、整流子を備えたモータの製造方法に関するものである。
従来、モータの製造方法としては、略円筒状の絶縁体の外周側に周方向に複数の整流子片が配設されてなる整流子に対して巻線を電気的に接続する巻線接続工程を備えるものがある。そして、整流子片は、その軸方向一方側にブラシが摺接されるブラシ摺接部が形成され、軸方向他方側に巻線が係合される爪部(整流子ライザ)が形成され、前記巻線接続工程としては、溶接用電極によって、巻線が係合された爪部を径方向内側に押圧しながら溶接(ヒュージング)する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−291000号公報
しかしながら、上記巻線接続工程では、爪部を径方向内側に押圧しながら溶接する際に、整流子片の全体の剛性が高いことや、溶接を行う際の熱によって絶縁体が軟化することによって、整流子片における押圧される側(爪部側)の反対側であるブラシ摺接部側(軸方向一方側)が絶縁体の径方向外側に浮き上がってしまうといった虞がある。このことは、整流子(ブラシ摺接部)の外周面における段差の発生の原因となり、ひいては整流不良や振動及び騒音の発生の原因となる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、整流子片におけるブラシ摺接部側が絶縁体の径方向外側に浮き上がってしまうといったことを低減することができるモータの製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明では、略円筒状の絶縁体の外周側に周方向に複数の整流子片が配設されてなる整流子に対して巻線を電気的に接続する巻線接続工程を備えたモータの製造方法であって、前記整流子片は、その軸方向一方側にブラシが摺接されるブラシ摺接部が形成され、軸方向他方側に前記ブラシ摺接部より径方向の厚さが薄い薄肉部が形成され、該薄肉部に巻線が係合される爪部が設けられ整流子片の径方向内側に前記絶縁体に埋設される凸部を有し、該凸部は軸方向において前記ブラシ摺接部と対応した位置に設けられ前記薄肉部と対応した位置には設けられておらず、前記薄肉部前記爪部が径方向内側に押圧されると屈曲する屈曲支点部が形成され、該屈曲支点部は前記薄肉部の径方向内周面に周方向に沿って凹設された屈曲支点溝にて構成されるものであって、前記絶縁体は、前記整流子片の軸方向において前記ブラシ摺接部の径方向内側から前記屈曲支点溝内を含め前記薄肉部の径方向内側まで充填されるものであって、前記巻線接続工程は、溶接用電極によって、前記巻線が係合された前記爪部を径方向内側に押圧しながら溶接を行うものであって、前記溶接用電極による押圧力によって、前記屈曲支点部を屈曲させることにより前記整流子片の前記薄肉部における前記屈曲支点溝より軸方向他方側を径方向内側である前記絶縁体側に傾斜させながら行う。
同発明によれば、巻線接続工程では、溶接用電極によって、巻線が係合された整流子片の爪部が径方向内側に押圧されながら溶接が行われる。そして、この巻線接続工程では、溶接用電極による押圧力によって、整流子片におけるブラシ摺接部より爪部側に形成された屈曲支点部が屈曲されながら、即ち、ブラシ摺接部に対して爪部側が傾斜されながら溶接が行われるため、押圧される側の反対側であるブラシ摺接部側(軸方向一方側)を絶縁体の径方向外側に浮き上がらせる力が緩和される。尚、この際、溶接を行う際の熱による絶縁体の軟化によって、ブラシ摺接部に対して爪部側が傾斜していく、即ち、爪部側が絶縁体の内部に入り込んで行くことになる。よって、ブラシ摺接部側(軸方向一方側)が絶縁体の径方向外側に浮き上がってしまうといったことが低減される。これにより、整流子(ブラシ摺接部)の外周面における段差の発生が低減され、ひいては整流不良や振動及び騒音の発生が低減される。
また、屈曲支点部は薄肉部の径方向内周面に周方向に沿って凹設された屈曲支点溝にて構成されるため、爪部が径方向内側に押圧されると略確実にその部分(屈曲支点部)で良好に屈曲する。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のモータの製造方法において、前記絶縁体となる液体状の樹脂を充填する充填工程を備え、前記樹脂の硬化後において前記巻線接続工程を行う。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載のモータの製造方法において、前記屈曲支点溝をプレス加工にて成形する屈曲支点溝プレス工程を備えた。
同発明によれば、屈曲支点溝をプレス加工(屈曲支点溝プレス工程)にて成形するため、容易に成形することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のモータの製造方法において、前記屈曲支点溝プレス工程は、前記薄肉部を成形する薄肉部プレス工程と同時に行う。
同発明によれば、屈曲支点溝プレス工程は、薄肉部を成形する薄肉部プレス工程と同時に行われるため、特に工程数が増加しない。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のモータの製造方法において、前記薄肉部を成形する薄肉部プレス部と、前記屈曲支点溝を成形する溝プレス部とを備えたパンチによるプレス加工にて、前記薄肉部とともに前記屈曲支点溝を成形する。
請求項に記載の発明では、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモータの製造方法において、前記整流子片は、前記凸部の頂部に該凸部の凸設方向の直交方向に突出する突出部を有するものであって、前記凸部の頂面に溝を形成するとともに該溝を形成することで同時に前記突出部を形成する突出部プレス工程を備えた
同発明によれば、突出部プレス工程にて、凸部の頂面に溝を形成するとともに該溝を形成することで同時に突出部を形成する。
請求項に記載の発明では、請求項1乃至のいずれか1項に記載のモータの製造方法において、全ての前記整流子片を含む板材の状態で前記屈曲支点部を成形する屈曲支点部成形工程と、前記屈曲支点部成形工程の後、前記板材を丸めて円筒形状にする丸め工程と、前記円筒形状の板材の内周側に前記絶縁体となる液体状の樹脂を充填する充填工程と、前記樹脂の硬化後、前記円筒形状の板材を所定角度間隔に分割することにより整流子片を形成する整流子形成工程とを備えた。
同発明によれば、屈曲支点部成形工程にて、全ての整流子片を含む(丸め工程の前の)板材の状態で屈曲支点部が成形されるため、屈曲支点部を容易に成形することができる。特に、請求項3〜5のいずれか1項に記載の発明にこの発明を適用する(屈曲支点部成形工程を屈曲支点溝プレス工程とする)ことで、例えば、1つの型で同時に屈曲支点溝を成形することができ、整流子、ひいてはモータの製造が容易となる。
本発明によれば、整流子片におけるブラシ摺接部側が絶縁体の径方向外側に浮き上がってしまうといったことを低減することができるモータの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図9に従って説明する。
図1は、本実施の形態で製造するモータの要部断面図である。モータのモータハウジング1には、回転軸2が回転可能に支持され、その回転軸2には整流子(コンミテータ)3及び巻線4aが巻着された電機子コア4が固定されている。尚、本実施の形態では、回転軸2、整流子3及び巻線4aが巻着された電機子コア4が電機子を構成している。モータハウジング1には、電機子コア4と対向するようにマグネット5が固定され、整流子3と押圧接触され、整流子3の回転時に摺接される給電用のブラシ6が保持されている。
図2に示すように、整流子3は、樹脂からなる略円筒形状の絶縁体7と、その絶縁体7の外周側に周方向に複数配設される整流子片8とを備える。尚、本実施の形態の整流子片8は、絶縁体7の外周に等角度間隔に8個配設されている。
各整流子片8は、略円筒形状を所定角度で一部分切り取った形状に形成されている。そして、整流子片8において、軸方向一方側(図2〜図4中、下側)には前記ブラシ6が摺接(押圧接触)されるブラシ摺接部8aが形成され、軸方向他方側(図2〜図4中、上側)には巻線4aが係合される爪部(整流子ライザ)8bが形成されている。
詳しくは、本実施の形態の整流子片8において、軸方向他端側には、前記ブラシ摺接部8aより径方向の厚さが薄い薄肉部8cが形成されている(図3及び図4参照)。本実施の形態の薄肉部8cは、軸方向他端側に向かうほど径方向の厚さが薄くなるように形成されている。又、本実施の形態の薄肉部8cは、前記ブラシ摺接部8aより周方向の幅が小さく形成され、軸方向他端側に向かうほど周方向の幅が小さくなるように形成されている。そして、薄肉部8cの端部(軸方向他端)からは更に径方向の厚さが薄く周方向の幅が小さい爪部8bが延設されている。この爪部8bは、径方向外側に折り返されることで巻線4aと係合する。そして、溶接用電極D(図2及び図9参照)によって、巻線4aが係合された爪部8bが径方向内側に押圧されながら溶接(抵抗溶接)が行われて、整流子片8(爪部8b及び薄肉部8c)と巻線4aとが電気的に接続されている。
又、整流子片8において、ブラシ摺接部8aより爪部8b側であって、詳しくはブラシ摺接部8aと薄肉部8cとの間には、巻線4aが係合された爪部8bが径方向内側に押圧されると屈曲する(ブラシ摺接部8aに対して薄肉部8cを傾斜させる)屈曲支点部8dが形成されている。本実施の形態の屈曲支点部8dは、周方向に沿って凹設された屈曲支点溝としての縮幅溝8eにて構成されている。この縮幅溝8eは、深くなるほど幅が狭くなるように形成されている。尚、図2〜図4では、屈曲支点部8dが屈曲していない(ブラシ摺接部8aに対して薄肉部8cが傾斜していない)状態を図示しているが、溶接用電極D(図2及び図9参照)によって、巻線4aが係合された爪部8bが径方向内側に押圧されて製造が完了したモータとしては、屈曲支点部8dが屈曲している(図9参照)ことになる。
又、本実施の形態の整流子片8において、絶縁体7に固定される側の面(以下、内周面という)には、径方向内側(板厚方向側)に突出し絶縁体7に埋設される凸部9が凸設されている。この凸部9は、整流子片8の周方向の中心位置に形成されている。又、本実施の形態の凸部9は、軸方向においてブラシ摺接部8aと対応した位置にのみ形成され、薄肉部8cと対応した位置には形成されていない。そして、凸部9は、その頂部に該凸部9の凸設方向の直交方向(周方向)に突出する突出部9a,9b(図6及び図7参照)を有する。尚、図3では、突出部9a,9bの図示を省略している。
詳しくは、凸部9の頂面には、凸部9の長手方向に延びる辺(前記軸方向)に対して傾斜した溝9c,9dが形成されている。尚、本実施の形態では、説明の便宜上、溝9c,9dが形成される前の状態も、溝9c,9dが形成された後と同様に凸部9と記載する。又、図3では、溝9c,9dを模式的に図示している。溝9c,9dは、底に向かうほど幅が小さくなるV字溝であり、直線状に延びて複数(ジグザグ形状に)形成されている。
そして、凸部9には、上記溝9c,9dが形成されることで同時に、その短手方向両端側に突出部9a,9b(図6及び図7参照)が形成されている。尚、図7は、凸部9の凸設方向の上方から見た要部平面図であって、突出部9a,9bに対応した破線は、突出部9a,9bの基端部を示す。即ち、図7中、前記破線より突出した部分が突出部9a,9bである。つまり、溝9c,9dにて分けられる凸部9の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、凸部9の略直交方向に移動されて(倒れて)突出し、突出部9a,9bとされている。そして、この突出部9a,9bを有する凸部9が絶縁体7に埋設されることで整流子片8が絶縁体7に対して強固に固定されている。
次に、上記のように構成されたモータの製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、一平面上に複数(本実施の形態では、8個)の凸部9が(一定の高さで)平行に延びるように並設された導電性の板材Tを用意する。この板材Tにおいて凸部9の長手方向(平行に延びる方向)の長さは、前記整流子3の軸線方向の長さ、詳しくは爪部8bが折り返される前の整流子片8の長さを多数含むような長さに設定されている。又、この板材Tにおいて凸部9の短手方向(前記並設方向)の長さは、整流子3の外周面の長さより両端のフレーム部Ta分だけ大きく設定されている。又、凸部9の間隔は、整流子片8と対応した所定の間隔に設定されている。
次に、図6に示すように、「突出部プレス工程」では、凸部9を溝形成パンチP1にてプレスすることで凸部9に溝9c及び突出部9a(図7参照)を形成する。詳述すると、溝形成パンチP1は、複数のプレス凸部P1aを備え、そのプレス凸部P1aは、前記溝9cを形成すべく凸部9の長手方向に延びる辺(前記軸方向)に対して傾斜し、その先端に向かうほど幅が狭くなっている。そして、凸部9を溝形成パンチP1にてプレスすることで、溝9cを形成するとともに、該溝9cを形成することで同時に凸部9の凸設方向の直交方向に突出する突出部9aを形成する。即ち、凸部9の長手方向に延びる辺(前記軸方向)に対して傾斜した溝9cにて分けられる凸部9の鋭角な部分が、凸部9の短手方向(凸部9が並設される方向であって、絶縁体7の周方向)の外側に移動されて突出し、突出部9aが形成される。又、本実施の形態では、溝形成パンチP1のプレス凸部P1aと逆方向に傾斜したプレス凸部を有する図示しない溝形成パンチにて、同様の方法で溝9d及び突出部9bを形成する。又、本実施の形態では、説明の便宜上、この状態、即ち溝9c,9d及び突出部9a,9bが形成された状態の板材Tも、形成前と同様に板材Tとして記載する。
次に、「屈曲支点部成形工程」としての「屈曲支点溝プレス工程」では、全て(8個)の整流子片8を含む板材Tの状態で前記屈曲支点部8dを成形する。詳しくは、本実施の形態の「屈曲支点溝プレス工程」では、図8に示すように、前記縮幅溝8eをパンチP2によるプレス加工にて成形することで屈曲支点部8dを成形する。又、本実施の形態の「屈曲支点溝プレス工程」は、前記薄肉部8cを成形する「薄肉部プレス工程」と同時に行う。即ち、パンチP2は、全て(8個)の薄肉部8cを同時に成形すべく(本実施の形態では傾斜して)形成された薄肉部プレス部P2aと、全て(8個)の縮幅溝8eを成形すべく突出して形成された縮幅溝プレス凸部P2bとを備えている。
次に、板材Tの前記両フレーム部Ta(図3参照)等を打ち抜き除去し、板材Tを所定の大きさとするとともに、薄肉部8cや(折り返される前の)爪部8bを形成する。尚、この所定の大きさとは、整流子3の軸方向長さや外周の長さと対応した大きさである。
次に、「丸め工程」では、板材Tを、凸部9が内周側に配置されるように丸めて円筒形状にする。
次に、「充填工程」では、図示しない型に前記円筒形状の板材Tを配置し、円筒形状の板材Tの内周側に硬化すると絶縁体7となる絶縁材料としての液体状の樹脂(溶融樹脂)を充填する。
次に、前記樹脂の硬化後、「整流子形成工程」では、円筒形状の板材Tを等角度間隔に8分割することにより整流子片8を形成する。詳述すると、硬化した樹脂を含む円筒形状の板材Tの外周側から板材Tを貫通し樹脂まで達するように、切削加工により分割溝11(図2参照)を軸方向一端部から他端部まで形成する。すると、整流子片8及び絶縁体7が形成される。これにより整流子3の製造が完了する。尚、この状態の整流子3は、爪部8bに巻線4aが係合されていない状態のものである。
次に、「整流子組み付け工程」では、前記整流子3の絶縁体7の中心孔に回転軸2を圧入する。
次に、「巻線配設工程」では、巻線4aを回転軸2に固定された電機子コア4に巻着しながら略径方向に延びるように折り曲げられた爪部8bにからげていき、その後、爪部8bを更に折り返して巻線4aと係合させる(図4参照)。
次に、「巻線接続工程」では、図9に示すように、前記溶接用電極Dによって、巻線4aが係合された爪部8bを径方向内側に押圧しながら溶接(抵抗溶接)を行う。そして、この工程は、溶接用電極Dによる押圧力によって、前記屈曲支点部8dを屈曲させながら(ブラシ摺接部8aに対して薄肉部8cを傾斜させながら)行う。尚、この際、溶接を行う際の熱による絶縁体7の軟化によって、ブラシ摺接部8aに対して爪部8b側(薄肉部8c)が傾斜していく、即ち、爪部8b側(薄肉部8c)が絶縁体7の内部に入り込んで行くことになる。又、本実施の形態の整流子片8において、爪部8b側にはブラシ摺接部8aより径方向の厚さが薄い薄肉部8cが形成されているため、薄肉部8cが形成されていないものに比べて、溶接を行う際の熱を爪部8b近傍に集中させることができる。
そして、上記のように製造された電機子(回転軸2、整流子3及び巻線4aが巻着された電機子コア4)を含む各部品が組み付けられてモータの製造が完了する。
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)「巻線接続工程」では、溶接用電極Dによって、巻線4aが係合された爪部8bが径方向内側に押圧されながら溶接が行われる。そして、この「巻線接続工程」では、溶接用電極Dによる押圧力によって、ブラシ摺接部8aより爪部8b側に形成された屈曲支点部8dが屈曲されながら、即ち、ブラシ摺接部8aに対して爪部8b側(薄肉部8c)が傾斜されながら溶接が行われる。よって、押圧される側の反対側であるブラシ摺接部8a側(軸方向一方側であって、図2及び図9中、下側)を絶縁体7の径方向外側に浮き上がらせる力が緩和される。よって、ブラシ摺接部8a側(軸方向一方側)が絶縁体7の径方向外側に浮き上がってしまうといったことが低減される。これにより、整流子3(ブラシ摺接部8a)の外周面における段差の発生が低減され、ひいては整流不良や振動及び騒音の発生が低減される。
(2)屈曲支点部8dは周方向に沿って形成された縮幅溝8eにて構成されるため、爪部8bが径方向内側に押圧されると略確実にその部分(屈曲支点部8d)で良好に屈曲する。又、縮幅溝8eは、深くなるほど幅が狭くなる形状であるため、爪部8bが径方向内側に押圧されると略確実にその部分(屈曲支点部8d)で局部的に更に良好に屈曲する。
(3)縮幅溝8eをプレス加工(「屈曲支点溝プレス工程」)にて成形するため、容易に成形することができる。
(4)「屈曲支点溝プレス工程」は、前記薄肉部8cを成形する「薄肉部プレス工程」と同時に行われるため、「屈曲支点溝プレス工程」がない方法に比べて、特に工程数が増加しない。
(5)「屈曲支点溝プレス工程」にて、全ての整流子片8を含む(「丸め工程」の前の)板材Tの状態で屈曲支点部8dが成形されるため、屈曲支点部8dを容易に成形することができる。本実施の形態では、1つの型(パンチP2)で同時に縮幅溝8e、ひいては屈曲支点部8dを容易に成形することができる。その結果、整流子3、ひいてはモータの製造が容易となる。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、凸部9は軸方向においてブラシ摺接部8aと対応した位置にのみ形成され、薄肉部8cと対応した位置には形成されていないとしたが、これに限定されず、図10に示すように、薄肉部8cと対応した位置にも凸部9が形成された整流子片21とし、その製造方法に変更してもよい。その場合の製造方法としては、「薄肉部プレス工程」(「屈曲支点溝プレス工程」)を変更する必要がある。即ち、パンチP2を、薄肉部8cと対応した位置の凸部9を潰さない形状に変更する必要がある。
又、薄肉部8cをブラシ摺接部8aと径方向の厚さが同じ形状のものとし、その製造方法に変更してもよい。その場合の製造方法としては、「薄肉部プレス工程」が不要となるため、例えば、「屈曲支点溝プレス工程」を単独で行うようにしてもよい。又、例えば、「屈曲支点溝プレス工程」を、「突出部プレス工程」と同時に行うようにしてもよい。即ち、溝形成パンチP1に、縮幅溝プレス凸部P2bを形成して「屈曲支点溝プレス工程」と「突出部プレス工程」とを同時に行うようにしてもよい。このようにしても、「屈曲支点溝プレス工程」は「突出部プレス工程」と同時に行われるため、「屈曲支点溝プレス工程」がない方法に比べて、特に工程数が増加しない。
・上記実施の形態では、凸部9が絶縁体7に埋設されることで絶縁体7に対して固定される整流子片8としたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、軸方向両端部に折り返された形状のフック部31が形成され、そのフック部31が絶縁体に埋設されることで絶縁体に対して固定される整流子片32とし、その製造方法に変更してもよい。その場合の製造方法としては、各工程を適宜変更する必要があるが、屈曲支点部33(縮幅溝34)を成形する「屈曲支点部成形工程」(屈曲支点溝プレス工程)と、屈曲支点部33を屈曲させながら溶接を行う「巻線接続工程」を含むように変更する。
・上記実施の形態では、屈曲支点部8dは周方向に沿って形成された縮幅溝8eにて構成されるとしたが、ブラシ摺接部より爪部側に設けられ該爪部が径方向内側に押圧されると屈曲する屈曲支点部であれば、他の構成の屈曲支点部に変更してもよく、その製造方法に変更してもよい。例えば、屈曲支点部8dは、他の部分(ブラシ摺接部)より剛性の低い材料により構成されるものでもよい。又、例えば、縮幅溝8eを、深さに関わらず幅が一定の屈曲支点溝に変更してもよい。この場合の製造方法としては、「屈曲支点溝プレス工程」を変更する必要がある。
・上記実施の形態では、縮幅溝8eをプレス加工にて成形するとしたが、これに限定されず、縮幅溝8e(屈曲支点溝)を切削加工にて成形してもよい。即ち、上記実施の形態の「屈曲支点溝プレス工程」を行わず(「薄肉部プレス工程」を単独で行い)、縮幅溝8e(屈曲支点溝)を切削加工にて成形する「切削工程」を行うようにしてもよい。
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)前記屈曲支点溝は、深くなるほど幅が狭くなる縮幅溝であることを特徴とする。このようにすると、屈曲支点溝は、深くなるほど幅が狭くなる縮幅溝であるため、爪部が径方向内側に押圧されると略確実にその部分(屈曲支点部)で局部的に良好に屈曲する。
(ロ)前記屈曲支点溝を切削加工にて成形する切削工程を備えたことを特徴とする。このようにすると、屈曲支点溝を切削加工(切削工程)にて成形するため、容易に成形することができる。
本実施の形態で製造するモータの要部断面図。 本実施の形態で製造する整流子を説明するための斜視図。 本実施の形態で製造する整流子片を説明するための斜視図。 本実施の形態で製造する整流子を説明するための断面図。 本実施の形態の製造方法において用意する板材の斜視図。 本実施の形態の製造方法及び溝形成パンチを説明するための説明図。 本実施の形態における凸部の凸設方向の上方から見た要部平面図。 本実施の形態の製造方法及びパンチを説明するための説明図。 本実施の形態の製造方法(巻線接続工程)を説明するための説明図。 別例における整流子片を説明するための斜視図。 別例における整流子片を説明するための斜視図。
符号の説明
3…整流子、4a…巻線、6…ブラシ、7…絶縁体、8,21,32…整流子片、8a…ブラシ摺接部、8b…爪部、8c…薄肉部、8d,33…屈曲支点部、8e,34…縮幅溝(屈曲支点溝)、9…凸部、9a,9b…突出部、9c,9d…溝、D…溶接用電極、T…板材。

Claims (7)

  1. 略円筒状の絶縁体の外周側に周方向に複数の整流子片が配設されてなる整流子に対して巻線を電気的に接続する巻線接続工程を備えたモータの製造方法であって、
    前記整流子片は、その軸方向一方側にブラシが摺接されるブラシ摺接部が形成され、軸方向他方側に前記ブラシ摺接部より径方向の厚さが薄い薄肉部が形成され、該薄肉部に巻線が係合される爪部が設けられ整流子片の径方向内側に前記絶縁体に埋設される凸部を有し、該凸部は軸方向において前記ブラシ摺接部と対応した位置に設けられ前記薄肉部と対応した位置には設けられておらず、前記薄肉部前記爪部が径方向内側に押圧されると屈曲する屈曲支点部が形成され、該屈曲支点部は前記薄肉部の径方向内周面に周方向に沿って凹設された屈曲支点溝にて構成されるものであって、
    前記絶縁体は、前記整流子片の軸方向において前記ブラシ摺接部の径方向内側から前記屈曲支点溝内を含め前記薄肉部の径方向内側まで充填されるものであって、
    前記巻線接続工程は、溶接用電極によって、前記巻線が係合された前記爪部を径方向内側に押圧しながら溶接を行うものであって、前記溶接用電極による押圧力によって、前記屈曲支点部を屈曲させることにより前記整流子片の前記薄肉部における前記屈曲支点溝より軸方向他方側を径方向内側である前記絶縁体側に傾斜させながら行うことを特徴とするモータの製造方法。
  2. 請求項1に記載のモータの製造方法において、
    前記絶縁体となる液体状の樹脂を充填する充填工程を備え、
    前記樹脂の硬化後において前記巻線接続工程を行うことを特徴とするモータの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のモータの製造方法において、
    前記屈曲支点溝をプレス加工にて成形する屈曲支点溝プレス工程を備えたことを特徴とするモータの製造方法。
  4. 請求項3に記載のモータの製造方法において、
    記屈曲支点溝プレス工程は、前記薄肉部を成形する薄肉部プレス工程と同時に行うことを特徴とするモータの製造方法。
  5. 請求項4に記載のモータの製造方法において、
    前記薄肉部を成形する薄肉部プレス部と、前記屈曲支点溝を成形する溝プレス部とを備えたパンチによるプレス加工にて、前記薄肉部とともに前記屈曲支点溝を成形することを特徴とするモータの製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモータの製造方法において、
    前記整流子片は、前記凸部の頂部に該凸部の凸設方向の直交方向に突出する突出部を有するものであって、
    記凸部の頂面に溝を形成するとともに該溝を形成することで同時に前記突出部を形成する突出部プレス工程を備えたことを特徴とするモータの製造方法。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のモータの製造方法において、
    全ての前記整流子片を含む板材の状態で前記屈曲支点部を成形する屈曲支点部成形工程と、
    前記屈曲支点部成形工程の後、前記板材を丸めて円筒形状にする丸め工程と、
    前記円筒形状の板材の内周側に前記絶縁体となる液体状の樹脂を充填する充填工程と、
    前記樹脂の硬化後、前記円筒形状の板材を所定角度間隔に分割することにより整流子片を形成する整流子形成工程と
    を備えたモータの製造方法。
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