JP2009136036A - コミュテータ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】胴部の樹脂成形時における樹脂材料の漏れを防止することにより、樹脂除去のための後工程を不要として、コミュテータの製造コストを低減することである。
【解決手段】セグメント素材形成工程P1により円筒状の本体部と軸方向に突出する複数のライザ部と一対の傾斜面を備えた切り欠き部とを備えたセグメント素材を形成し、曲折部形成工程P2により各ライザ部を本体部に対して径方向外側に折り曲げて曲折部を形成する。胴部成形工程P3により成形型に設けられる係合片を切り欠き部に軸方向から填め合わせて当該部分を閉塞するとともに成形型に設けられる当接部を軸方向から曲折部に当接させて当該部分を閉塞した状態で成形室内に樹脂材料を射出し、セグメント素材の内側に胴部を形成する。そして、セグメント片形成工程P4により内側に胴部が形成されたセグメント素材を周方向に等間隔に切断して複数のセグメント片を形成する。
【選択図】図5

Description

本発明は電動モータや発電機等の回転電機のアマチュアに用いられるコミュテータ及びその製造方法に関する。
従来から、電動モータや発電機等の回転電機に用いられるアマチュア(電機子)には、電源から供給される直流電流を転流してアマチュアコイルに供給し、又はアマチュアコイルに生じる交番電流を直流電流に整流して出力するために、コミュテータ(整流子)が設けられている。コミュテータは、樹脂材料により円筒状に形成される胴部と、胴部の外周に周方向に所定の間隔を空けて等間隔に並べて固定される複数の導体製のセグメント片とを備えており、胴部の軸心に設けられる軸孔においてアマチュアシャフトに固定され、各セグメント片の外周面つまり摺接面にはブラシが摺接するようになっている。また、各セグメント片の端部にはライザ部が設けられており、アマチュアコイルのコイル端はヒュージング等によりライザ部に電気的に接続されるようになっている。
このようなコミュテータの製造方法としては、例えば特許文献1に示されるように、銅板等の板材を所定の形状に打ち抜いたブランク材を丸めて円筒状の本体部と本体部の軸方向の一端から突出する複数のライザ部とを備えたセグメント素材を形成し、このセグメント素材の各ライザ部を本体部に対して径方向外側に向けて折り曲げ、次いで、本体部の内側に成形型を用いた樹脂材料の射出成形により胴部を形成し、最後に円筒状の本体部を周方向に等間隔に切断(アンダーカット)して複数のセグメント片に分離させるようにした方法が知られている。
実開平5―41090号公報
しかしながら、従来の製造方法では、セグメント素材の本体部の軸方向の一端面はライザ部が設けられることにより平坦面とはなっていないので、ライザ部が設けられる側のセグメント素材の一端を成形型により十分に閉塞することが困難であった。そのため、胴部の射出成形時にライザ部の根本部分からセグメント素材の外側に樹脂材料が漏れ出す場合があり、当該樹脂を除去するための後工程が必要になるなど、このコミュテータの製造コストが高くなるという問題点があった。
また、樹脂漏れが生じると成形型内における樹脂圧が低下するので、樹脂材料に含まれるガラス繊維の配向が不安定となり、胴部の強度が低下するという問題点もあった。
本発明の目的は、胴部の樹脂成形時における樹脂材料の漏れを防止することにより、樹脂除去のための後工程を不要として、コミュテータの製造コストを低減することにある。
本発明のコミュテータの製造方法は、樹脂材料により円筒状に形成される胴部と導体により形成され前記胴部の外周に周方向に等間隔に並べて固定される複数のセグメント片とを備え、回転電機のアマチュアに用いられるコミュテータの製造方法であって、円筒状の本体部と、該本体部の軸方向の一端に軸方向に突出して設けられる複数のライザ部と、それぞれ軸方向に対して傾斜する一対の傾斜面を備え隣り合う前記ライザ部の間に軸方向に延びて設けられる複数の切り欠き部とを備えたセグメント素材を導体により形成する工程と、複数の前記ライザ部を前記本体部に対して径方向外側に向けて折り曲げて、それぞれの前記ライザ部の根本部分に曲折部を形成する工程と、前記胴部を成形するための成形室を備え前記セグメント素材が配置される第1半型と、それぞれ対応する前記切り欠き部に軸方向から填め合わされる複数の係合片とそれぞれ前記曲折部に軸方向から当接する複数の当接部とを備え前記第1半型に軸方向から組み合わされて前記成型室を閉塞する第2半型とを備えた成形型を用いて前記セグメント素材の内側に前記胴部を樹脂成形する工程と、内側に前記胴部が樹脂成形された前記セグメント素材を周方向に等間隔に切断し、前記胴部の外周に複数の前記セグメント片を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明のコミュテータの製造方法は、前記ライザ部を前記第1半型と前記第2半型との間に挟み込んで該セグメント素材を前記成形室内に位置決めすることを特徴とする。
本発明のコミュテータの製造方法は、前記当接部をエッジ状に形成し、前記第2半型を前記第1半型に組み合わせたときにそれぞれの前記当接部を対応する前記曲折部に食い込ませることを特徴とする。
本発明のコミュテータの製造方法は、前記胴部には、それぞれの前記ライザ部から前記胴部の径方向中心に向けて漸次幅が狭くなるとともに、それぞれの前記ライザ部の径方向内側への変形を受ける変形受け部が一体に形成されていることを特徴とする。
本発明のコミュテータは、樹脂材料により円筒状に形成される胴部と導体により形成され前記胴部の外周に周方向に等間隔に並べて固定される複数のセグメント片とを備え、回転電機のアマチュアに用いられるコミュテータであって、円筒状の本体部と、該本体部の軸方向の一端に軸方向に突出して設けられる複数のライザ部と、それぞれ軸方向に対して傾斜する一対の傾斜面を備え隣り合う前記ライザ部の間に軸方向に延びて設けられる複数の切り欠き部と、複数の前記ライザ部を前記本体部に対して径方向外側に向けて折り曲げて、それぞれの前記ライザ部の根本部分に形成された曲折部と、前記胴部に一体に形成され、それぞれの前記ライザ部から前記胴部の径方向中心に向けて漸次幅が狭くなるとともに、それぞれの前記ライザ部の径方向内側への変形を受ける変形受け部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、第2半型に設けられる係合片を一対の傾斜面を備えた切り欠き部に填め合わせるとともに、第2半型に設けられる当接部をライザ部の根本部分に設けられる曲折部に当接させるようにしたので、セグメント素材のライザ部が設けられる側の一端を第2半型により確実に閉塞して、胴部の樹脂成形時における当該部分からの樹脂漏れを防止することができる。これにより、漏れ出た樹脂を除去するための後工程を不要として、このコミュテータの製造コストを低減することができる。また、樹脂漏れを防止することにより、成形型内における樹脂圧を高めて、樹脂材料に含まれるガラス繊維の配向を安定させ、胴部の強度を高めることができる。
本発明によれば、セグメント素材を第1と第2の半型との間に挟み込んで成形室内に位置決めするようにしたので、当該位置決めの精度を高めて、セグメント素材の内側に精度よく胴部を形成することができる。
本発明によれば、エッジ状に形成された当接部を曲折部に食い込ませることにより、当該部分を確実に閉塞することができるので、胴部の樹脂成形時におけるライザ部の根本部分からの樹脂漏れを確実に防止することができる。
本発明によれば、ヒュージングの際にライザ部の変形を変形受け部で受けることにより、ライザ部における巻線の潰れすぎを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はワイパモータの内部構造を示す断面図であり、このワイパモータ11は自動車等の車両のリヤガラスを払拭するリヤワイパ装置の駆動源として用いられるものであり、回転電機としてのモータ本体12と減速機13とを備えている。
モータ本体12は有底筒状に形成されたヨーク(継鉄)14を備えており、このヨーク14の内部にはアマチュア(電機子)15が収容されている。アマチュア15はアマチュアシャフト16を備えており、このアマチュアシャフト16がヨーク14の底部に設けられる軸受17に支持されることによりアマチュア15はヨーク14の内部で回転自在となっている。アマチュアシャフト16にはアマチュアコア(鉄心)18が固定されており、このアマチュアコア18には複数のアマチュアコイル(電機子巻線)19が巻装されている。また、アマチュア15はアマチュアコア18に隣接してアマチュアシャフト16に固定されるコミュテータ(整流子)21を有している。
図2は図1に示すコミュテータの詳細を示す斜視図であり、図3は図2に示すコミュテータの軸方向に沿う横断面図であり、また、図4は図3におけるA−A線に沿う断面図である。
図2〜図3に示すように、このコミュテータ21は樹脂材料により円筒状に形成される胴部22を備えており、この胴部22の軸心には軸孔23が設けられ、この軸孔23おいてアマチュアシャフト16に圧入されることにより、コミュテータ21はアマチュアシャフト16に固定されるようになっている。
胴部22の外周には、周方向に所定の間隔を空けて等間隔に並べて複数のセグメント片24が固定されている。これらのセグメント片24は例えば銅などの導体により僅かに湾曲したセグメント形に形成されており、その内周側に設けられる一対のアンカー25が胴部22に埋設されることにより、その摺接面24aを径方向外側に向けて胴部22に固定されている。隣り合うセグメント片24の間にはそれぞれスリット26が形成されており、各セグメント片24はそれぞれスリット26により隔てられて互いに電気的に絶縁されている。また、各セグメント片24の軸方向の一端にはライザ部27が設けられ、図1に示すように、各ライザ部27にはそれぞれ対応するアマチュアコイル19のコイル端が電気的に接続されるようになっている。
図1に示すように、ヨーク14の開口端には樹脂製のブラシホルダ28が装着されている。このブラシホルダ28には一対の給電用のブラシ29が保持されており、これらのブラシ29はそれぞれスプリング31により付勢され、径方向から各セグメント片24の摺接面24aに接している。各ブラシ29はワイパスイッチ(不図示)等を介して車載されるバッテリ等の電源(不図示)に接続されており、ワイパスイッチが操作されると電源からブラシ29に電流が供給されるようになっている。ブラシ29に電流が供給されると、当該電流はブラシ29とコミュテータ21により転流されて所定のタイミングで各アマチュアコイル19に供給される。これにより、アマチュアコア18とヨーク14の内面に固定されるマグネット32との間で電磁力が発生し、この電磁力によりアマチュアシャフト16が所定の方向に回転するようになっている。
一方、減速機13は、図1に示すように、ヨーク14の開口端に固定されるギヤケース33の内部にウォームギヤ機構34と動力変換機構35とを収容した構造となっており、アマチュアシャフト16の回転はウォームギヤ機構34により所定の回転数にまで減速されるとともに動力変換機構35により揺動運動に変換されて出力軸36から出力されるようになっている。
このような構造により、ワイパスイッチが操作されてモータ本体12が作動すると、出力軸36が所定の範囲で揺動し、出力軸36に固定されたリヤワイパアーム(不図示)がリヤガラス上を払拭動作することになる。
次に、このワイパモータ11に用いられるコミュテータ21の製造方法、つまり本発明の一実施の形態であるコミュテータ21の製造方法について説明する。
図5は図2に示すコミュテータの製造工程を示す工程図であり、コミュテータ21はこの工程図に示す各工程P1〜P4を経て製造される。これらの工程P1〜P4によるコミュテータ21の製造方法を簡単に説明すると、まず、セグメント素材形成工程P1においてセグメント片24の基となるセグメント素材が形成され、次いで、曲折部形成工程P2においてセグメント素材に設けられるライザ部27が曲げ加工される。次いで、胴部成形工程P3においてセグメント素材の内側に胴部22が樹脂成形され、胴部22が樹脂成形されると、セグメント片形成工程P4においてセグメント素材が複数のセグメント片24に分断されてコミュテータ21が完成する。
次に、各工程P1〜P4の詳細について順に説明する。
図6はセグメント素材を形成するためのブランク材を示す斜視図であり、図7はセグメント素材形成工程において形成されたセグメント素材を示す正面図である。このコミュテータ21の製造に用いられるセグメント素材41は、セグメント素材形成工程P1により、所定形状のブランク材42を丸め加工して形成される。
図6に示すように、ブランク材42は例えば銅板等の導体により形成された板材をプレス装置とブランク型とを用いて打ち抜き加工することにより所定形状の板状に形成されており、丸め加工はこのブランク材42を長手方向の両端面を対向させるように丸めることにより行われる。そして、当該両端面を溶接等により接続することにより、図7に示すセグメント素材41が形成される。
図7に示すように、このように形成されたセグメント素材41は、円筒状の本体部43を備えており、この本体部43の軸方向(図7中上下方向)の一端には軸方向に突出して前述した複数のライザ部27が一体に設けられている。これらのライザ部27はそれぞれ線状に形成され、互いに周方向に等間隔に並べて配置されている。
本体部43の隣り合うライザ部27の間の部分には、それぞれ切り欠き部44が形成されている。これらの切り欠き部44は、それぞれライザ部27の側面(周方向に向く端面)に連なるとともに軸方向に対して傾斜する一対の傾斜面45と、周方向に平行となってこれらの傾斜面45を連ねる底面46とを備えており、全体としてライザ部27から軸方向に延びるとともにライザ部27から離れるにしたがい各傾斜面45の間隔が狭まる略V字形に形成されている。
セグメント素材形成工程P1においてセグメント素材41が製造されると、次いで、曲折部形成工程P2が行われる。
図8は曲折部形成工程後のセグメント素材を示す斜視図であり、曲折部形成工程P2では、プレス加工等により、各ライザ部27がその根本部から本体部43に対して径方向外側に向けて折り曲げられる。これにより、各ライザ部27の当該曲げられた根本部分の外周側に、それぞれ湾曲した曲折部47が形成される。
なお、詳細は図示しないが、曲折部形成工程P2の後工程として、本体部43の内側を所定形状の形成型を用いて削ぎ加工することにより、本体部43の内周面にアンカー25が形成される。これらのアンカー25はそれぞれ2つ一組となってライザ部27に対応したピッチで配置される。
曲折部形成工程P2において各ライザ部27の根本部分に曲折部47が形成されると、次に、胴部成形工程P3において、セグメント素材41の内側に胴部22が樹脂成形される。
図9は胴部成形工程における成形型の加工状態を示す断面図であり、この成形型51は第1半型としての下型52と第2半型としての上型53とを備えており、下型52には胴部22を成形するための成形室54が設けられている。成形室54の内部には胴部22の軸心に軸孔23を形成するための円柱部55が設けられており、これにより、成形室54は環状かつ凹状に形成されている。また、下型52の上面には、成形室54の開口端に連なるとともに径方向外側に広がる支持凹部56が設けられており、セグメント素材41は本体部43の外周面を成形室54の内周面に当接させるとともに各ライザ部27が支持凹部56に位置するように下型52に配置されるようになっている。このとき、セグメント素材41の一端部に形成される各切り欠き部44は、軸方向上側に開口するようになっている。
一方、上型53は軸方向上側から下型52に組み合わされて成形室54や支持凹部56を閉塞する構造となっている。上型53により成形室54や支持凹部56が閉塞されると、当該上型53に形成されたゲート57から成形室54の内部に向けて所定の温度にまで加熱された樹脂材料が射出され、これが固化することにより、セグメント素材41の内側に胴部22が樹脂成形されるようになっている。このとき、胴部22は本体部43の内側に形成されるアンカー25を内包するように形成され、これにより、セグメント素材41は胴部22に固定された状態となる。
図10は上型の詳細を示す斜視図であり、図11は上型に設けられる係合片がセグメント素材の切り欠き部に填め込まれた状態を示す説明図である。なお、図11においては、セグメント素材41との関係を明確に示すために、下型52と上型53とに便宜上ハッチングを付してある。
上型53には、セグメント素材41の本体部43に形成された各切り欠き部44から本体部43の外側つまり本体部43の外周面と成形室54の内周面との間に樹脂材料が漏れ出すことを防止するために、切り欠き部44の数に対応した複数の係合片61が設けられている。
これらの係合片61は、それぞれ対応する切り欠き部44の傾斜面45に対応して傾斜する一対の側面61aとこれらの側面61aを連ねる先端面61bとを備えており、その先端側の部分の外形形状は切り欠き部44に対応した略V字形状となっている。下型52に上型53が組み合わされると、図11に示すように、各係合片61がセグメント素材41の対応する切り欠き部44に軸方向から填め合わされる。これにより、各切り欠き部44は対応する係合片61により閉塞される。
ここで、上型53が下型52に軸方向から組み付けられると、各係合片61の先端面61bは切り欠き部44の底面46に所定の圧力で強く押し付けられ、これにより、係合片61の先端面61bが切り欠き部44の底面46に密接して、当該部分が確実に閉塞されるようになっている。
また、係合片61の両側面61aの間隔は切り欠き部44の両傾斜面45の間隔よりも若干広く形成されており、係合片61の先端面61bが切り欠き部44の底面46に当接したときには、係合片61の両側面61aは切り欠き部44の両傾斜面45を僅かに弾性変形ないし塑性変形させるようになっている。これにより、係合片61の両側面61aはそれぞれ切り欠き部44の対応する傾斜面45に強く密着し、当該部分が確実に閉塞されるようになっている。
各ライザ部27の曲折部47の部分からの樹脂漏れを防止するために、上型53にはそれぞれライザ部27に対応した複数の当接部62が設けられている。
図12は上型による曲折部の閉塞構造を示す断面図であり、これらの当接部62は、それぞれ上型53の成形室54の開口部に対向する閉塞面63の外周端に設けられており、図10に示すように、それぞれ隣り合う係合片61の間に配置されている。また、閉塞面63は上型53の支持凹部56とともにライザ部27を支持するための支持面64に対して軸方向下側に突出しており、各当接部62は当該段差部分の角部となって閉塞面63の外周部分にエッジ状に形成されている。そして、下型52に上型53が組み合わされると、当接部62は軸方向から曲折部47に当接するとともに当該曲折部47に食い込み、当該部分を確実に閉塞するようになっている。
なお、図11に示すように、各係合片61の基端側における両側面61cは軸方向に平行に形成されており、これらの側面61cが対応する曲折部47の周方向両側部に当接することにより、当該部分が閉塞されるようになっている。
このような構造により、下型52に上型53が組み合わされると、各係合片61と当接部62とを備えた上型53によりセグメント素材41の上方側の軸方向端面が閉塞される。また、セグメント素材41のライザ部27が設けられない側に軸方向端部は下型52により支持されているので、下型52に上型53が組み合わされ、各係合片61が対応する切り欠き部44に填め合わされるとともに各当接部62が対応する曲折部47に当接すると、セグメント素材41は下型52と上型53との間に挟み込まれて成形室54の内部に位置決めされることになる。
成形室54が上型53により閉塞されるとともにセグメント素材41が成形室54の内部に位置決めされると、ゲート57から成形室54の内部に樹脂材料が射出され、セグメント素材41の内側に胴部22が形成される。そして、胴部22が樹脂成形されると、当該成形品が成形型51から取り出され、後工程として行われる切削加工等により胴部22の軸心に軸孔23が形成されて、胴部成形工程P3が終了する。
なお、樹脂材料としては絶縁性を有するものが用いられる。
このように、このコミュテータ21の製造方法では、上型53に設けられる係合片61をセグメント素材41の本体部43に設けられる切り欠き部44に填め合わせるとともに上型53に設けられる当接部62をライザ部27の根本部分に設けられる曲折部47に当接させてセグメント素材41のライザ部27が設けられる側の一端を上型53により閉塞するようにしたので、当該部分を確実に閉塞して胴部22の樹脂成形時に当該部分からの樹脂漏れを防止することができる。したがって、漏れ出た樹脂を除去するための後工程を不要として、このコミュテータ21の製造コストを低減させることができる。また、樹脂漏れが防止されることにより、胴部22の成形時における成形室54の内部の樹脂圧が高められることになり、これにより、樹脂材料に含まれるガラス繊維の配向を安定させて、胴部22の強度を高めることができる。
また、このコミュテータ21の製造方法では、上型53に設けられる当接部62をエッジ状に形成して、上型53が下型52に組み合わされたときに当接部62を軸方向から曲折部47に食い込ませるようにしたので、当該部分を確実に閉塞して、胴部22の樹脂成形時におけるライザ部27の根本部分からの樹脂漏れを確実に防止することができる。
さらに、このコミュテータ21の製造方法では、セグメント素材41は上型53と下型52との間に挟み込まれて成形室54の内部に位置決めされるので、当該位置決めの精度を高めて、セグメント素材41の内側に形成される胴部22の寸法精度を高めることができる。
胴部成形工程P3において胴部22が樹脂成形されると、次に、セグメント片形成工程P4が行われる。
図13(a)は内側に胴部が樹脂成形されたセグメント素材を示す斜視図であり、図13(b)は同図(a)に示すセグメント素材がセグメント片形成工程により分離された状態を示す斜視図である。
このセグメント片形成工程P4では、図13(a)に示すように、内側に胴部22が樹脂成形されたセグメント素材41がアンダーカット加工により周方向に等間隔に切断される。これにより、図13(b)に示すように、胴部22の外周に周方向に等間隔に並ぶ複数のセグメント片24が形成される。アンダーカット加工による切断部分はそれぞれ軸方向に向くスリット26となるが、これらのスリット26は各セグメント片24(セグメント素材41)の外周面から胴部22に達する深さで形成されている。これにより、各セグメント片24は互いに周方向にスリット26の分だけ間隔を空けてアンカー25により胴部22の外周に固定された状態となって互いに電気的に絶縁される。
そして、セグメント片形成工程P4の後、必要に応じて胴部22の酸化耐性を高めるキュア工程等が行われて、コミュテータ21が完成する。
図14(a)、(b)はそれぞれライザ部にアマチュアコイルのコイル端を接続する手順を示す断面図である。
前述のように、このコミュテータ21の製造方法では、胴部22を樹脂成形する際に、ライザ部27を折り曲げて形成される曲折部47に上型53の当接部62を当接させて、当該部分を閉塞するようにしているので、図14(a)に示すように、胴部22は各セグメント片24のライザ部27の根本部分の内側にまで達するように形成されることになる。したがって、図14(a)に示すように、ライザ部27にアマチュアコイル19のコイル端を掛け渡し、その状態から図14(b)に示すように、ライザ部27の先端部を摺接面24aに押し付けてヒュージング等により当該部分に溶着させる際には、その押し付け力は当該部分の裏面側にある胴部22により支持されることになる。したがって、ヒュージング時の押し付け力によりライザ部27が内周側に折れ曲がることを防止して、ヒュージングによるライザ部27の溶着を確実に行うことができる。
図15は本発明の別の実施例を示す斜視図であり、図16は図15に示す変形受け部の詳細を示す拡大図である。
図15に示すコミュテータ21には、図14(b)のようにそれぞれのライザ部27を胴部22の径方向内側に押し付けてヒュージングを行う際に、ライザ部27の変形を受けるために、各ライザ部27に対応した複数の変形受け部22aが形成されている。図16に示されるように、各変形受け部22aは、対応するライザ部27と接する部分においては当該ライザ部27の周方向の幅と略同一幅に形成されており、そこから径方向内側に行くに従って幅が狭くなるような断面略台形形状に形成されている。図14(b)に示すように、ヒュージングを行う際には、その熱がヒュージング治具からライザ部27や胴部22、変形受け部22aに伝わるが、熱の発生源から離れるに従って、変形受け部22aの幅を漸次狭くすることで、変形受け部22aに柔軟性を持たせることができ、ライザ部27に接続される部分におけるアマチュアコイル19の潰れすぎを防止することができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態おいては、ワイパモータ11に用いられるコミュテータ21に本発明を適用しているが、これに限らず、他の用途に用いられる電動モータや発電機等のコミュテータに本発明の製造方法を適用するようにしてもよい。
また、前記実施の形態においては、胴部22の外周に17個のセグメント片24が固定されているが、これに限らず、セグメント片24の個数は問わない。
ワイパモータの内部構造を示す断面図である。 図1に示すコミュテータの詳細を示す斜視図である。 図2に示すコミュテータの軸方向に沿う横断面図である。 図3におけるA−A線に沿う断面図である。 図2に示すコミュテータの製造工程を示す工程図である。 セグメント素材を形成するためのブランク材を示す斜視図である。 セグメント素材形成工程において形成されたセグメント素材を示す正面図である。 曲折部形成工程後のセグメント素材を示す斜視図である。 胴部成形工程における成形型の加工状態を示す断面図である。 上型の詳細を示す斜視図である。 上型に設けられる係合片がセグメント素材の切り欠き部に填め込まれた状態を示す説明図である。 上型による曲折部の閉塞構造を示す断面図である。 (a)は内側に胴部が樹脂成形されたセグメント素材を示す斜視図であり、(b)は同図(a)に示すセグメント素材がセグメント片形成工程により分離された状態を示す斜視図である。 (a)、(b)はそれぞれライザ部にアマチュアコイルのコイル端を接続する手順を示す断面図である。 本発明の別の実施例を示す斜視図である。 図15に示す変形受け部の詳細を示す拡大図である。
符号の説明
11 ワイパモータ
12 モータ本体(回転電機)
13 減速機
14 ヨーク
15 アマチュア
16 アマチュアシャフト
17 軸受
18 アマチュアコア
19 アマチュアコイル(電機子巻線)
21 コミュテータ
22 胴部
23 軸孔
24 セグメント片
24a 摺接面
25 アンカー
26 スリット
27 ライザ部
28 ブラシホルダ
29 ブラシ
31 スプリング
32 マグネット
33 ギヤケース
34 ウォームギヤ機構
35 動力変換機構
36 出力軸
41 セグメント素材
42 ブランク材
43 本体部
44 切り欠き部
45 傾斜面
46 底面
47 曲折部
51 成形型
52 下型(第1半型)
53 上型(第2半型)
54 成形室
55 円柱部
56 支持凹部
57 ゲート
61 係合片
61a 側面
61b 先端面
61c 側面
62 当接部
63 閉塞面
64 支持面
P1 セグメント素材形成工程
P2 曲折部形成工程
P3 胴部成形工程
P4 セグメント片形成工程

Claims (5)

  1. 樹脂材料により円筒状に形成される胴部と導体により形成され前記胴部の外周に周方向に等間隔に並べて固定される複数のセグメント片とを備え、回転電機のアマチュアに用いられるコミュテータの製造方法であって、
    円筒状の本体部と、該本体部の軸方向の一端に軸方向に突出して設けられる複数のライザ部と、それぞれ軸方向に対して傾斜する一対の傾斜面を備え隣り合う前記ライザ部の間に軸方向に延びて設けられる複数の切り欠き部とを備えたセグメント素材を導体により形成する工程と、
    複数の前記ライザ部を前記本体部に対して径方向外側に向けて折り曲げて、それぞれの前記ライザ部の根本部分に曲折部を形成する工程と、
    前記胴部を成形するための成形室を備え前記セグメント素材が配置される第1半型と、それぞれ対応する前記切り欠き部に軸方向から填め合わされる複数の係合片とそれぞれ前記曲折部に軸方向から当接する複数の当接部とを備え前記第1半型に軸方向から組み合わされて前記成型室を閉塞する第2半型とを備えた成形型を用いて前記セグメント素材の内側に前記胴部を樹脂成形する工程と、
    内側に前記胴部が樹脂成形された前記セグメント素材を周方向に等間隔に切断し、前記胴部の外周に複数の前記セグメント片を形成する工程とを有することを特徴とするコミュテータの製造方法。
  2. 請求項1記載のコミュテータの製造方法において、前記ライザ部を前記第1半型と前記第2半型との間に挟み込んで該セグメント素材を前記成形室内に位置決めすることを特徴とするコミュテータの製造方法。
  3. 請求項1または2記載のコミュテータの製造方法において、前記当接部をエッジ状に形成し、前記第2半型を前記第1半型に組み合わせたときにそれぞれの前記当接部を対応する前記曲折部に食い込ませることを特徴とするコミュテータの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコミュテータの製造方法において、前記胴部には、それぞれの前記ライザ部から前記胴部の径方向中心に向けて漸次幅が狭くなるとともに、それぞれの前記ライザ部の径方向内側への変形を受ける変形受け部が一体に形成されていることを特徴とするコミュテータの製造方法。
  5. 樹脂材料により円筒状に形成される胴部と導体により形成され前記胴部の外周に周方向に等間隔に並べて固定される複数のセグメント片とを備え、回転電機のアマチュアに用いられるコミュテータであって、
    円筒状の本体部と、該本体部の軸方向の一端に軸方向に突出して設けられる複数のライザ部と、それぞれ軸方向に対して傾斜する一対の傾斜面を備え隣り合う前記ライザ部の間に軸方向に延びて設けられる複数の切り欠き部と、複数の前記ライザ部を前記本体部に対して径方向外側に向けて折り曲げて、それぞれの前記ライザ部の根本部分に形成された曲折部と、前記胴部に一体に形成され、それぞれの前記ライザ部から前記胴部の径方向中心に向けて漸次幅が狭くなるとともに、それぞれの前記ライザ部の径方向内側への変形を受ける変形受け部と、を有することを特徴とするコミュテータ。
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