JP6667471B2 - 整流子、モータ、整流子の製造方法 - Google Patents

整流子、モータ、整流子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、整流子、モータ、および整流子の製造方法に関する。
自動車業界では、燃費性能の向上のため、スロットルやエンジンの吸排気弁などの機能部品の電子電動化が進展している。これらの駆動源であるモータは、自動車の様々な箇所に使用されるようになり生産数量は年々増加傾向にある。そのためモータは高い信頼性、生産効率の向上及び低コスト化が求められる。モータを構成する部品の中で、整流子はモータの信頼性やコストを左右する重要な基幹部品である。特許文献1には、回転電機のシャフトに挿着される円筒部材と、該円筒部材の外周面に配置され軸方向に沿う整流子溝によって互いに電気的に絶縁された複数の整流用セグメントと、を備える整流子であって、前記整流子溝は前記円筒部材の所定深さまで形成され、前記整流子溝の底面は曲面に形成されたことを特徴とする整流子が開示されている。
特開2004−129429号公報
整流子の製造コストの低減が求められる。
本発明の第1の態様による整流子は、一定の間隔で環状に配列された複数のセグメントと、前記複数のセグメントの内周側に配置され、前記複数のセグメントと一体に成形された樹脂部とを備える整流子であって、前記樹脂部は、前記複数のセグメントのうち互いに隣接するセグメント同士の隙間に内周側に窪む溝部を有し、前記複数のセグメントのそれぞれの厚みは、前記溝部に近いほど薄く、前記複数のセグメントは、前記溝部に接する箇所でエッジ状となる。
本発明の第2の態様による整流子は、一定の間隔で環状に配列された複数のセグメントと、前記複数のセグメントの内周側に配置され、前記複数のセグメントと一体に成形された樹脂部とを備える整流子であって、前記樹脂部は、前記複数のセグメントのうち互いに隣接するセグメント同士の隙間に内周側に窪む溝部を有し、前記複数のセグメントのそれぞれの厚みは、前記溝部に近いほど薄く、前記溝部の径方向の深さ寸法は、前記セグメントの最大の厚みの寸法よりも小さい。
本発明の第3の態様による整流子の製造方法は、上述した第1の態様による整流子の製造方法であって、導電性の平板である基材を長手方向に一定の間隔で折り曲げ、短手方向の折り目である山部を複数形成し、前記基材の全域を曲げて前記基材を前記長手方向の一端と他端を所定の間隔を開けて隣接させて配置することで、外側に凸である前記山部と、前記山部よりも外周側への膨らみ量が少ない平坦部が周方向に交互に並ぶ略円環状の外形を形成し、前記外形の内周側に前記溝部を形成するための溝用成形駒を配置し、前記溝用成形駒が配置された前記外形の内周側に絶縁性の樹脂を充填し、前記樹脂が充填された前記外形から前記溝用成形駒を除去し、前記外形の外周を真円状に切削して前記山部の少なくとも一部を切り落として、前記複数のセグメントが前記溝部に接する箇所でエッジ状となるように前記外形を前記複数のセグメントに分割する。
本発明の第4の態様による整流子の製造方法は、上述した第2の態様による整流子の製造方法であって、導電性の平板である基材を長手方向に一定の間隔で折り曲げ、短手方向の折り目である山部を複数形成し、前記基材の全域を曲げて前記基材を前記長手方向の一端と他端を所定の間隔を開けて隣接させて配置することで、外側に凸である前記山部と、前記山部よりも外周側への膨らみ量が少ない平坦部が周方向に交互に並ぶ略円環状の外形を形成し、前記外形の内周側に前記溝部を形成するための溝用成形駒を配置し、前記溝用成形駒が配置された前記外形の内周側に絶縁性の樹脂を充填し、前記樹脂が充填された前記外形から前記溝用成形駒を除去し、前記外形の外周を真円状に切削して前記山部の少なくとも一部を切り落として、前記外形を前記複数のセグメントに分割し、前記溝用成形駒は、前記溝部の径方向の深さ寸法が、前記セグメントの最大の厚みの寸法よりも小さくなる寸法を有する。
本発明によれば、整流子の製造コストを低減することができる。
モータ1の断面図 整流子5の斜視図 図2のA部の拡大図 図4(a)は平板10を示す図、図4(b)は平板10に矩形部11を形成した図 図5(a)山部12および谷部13が形成された平板10の平面図、図5(b)は図5(a)の断面図 第3工程および後述する第4工程を示す図 第5工程が終了した後の整流子前駆体5Aの斜視図 図8(a)は第6工程が終了した後の整流子前駆体5Aを示す図、図8(b)は図8(a)におけるB部の拡大図 第7工程の前後を比較する図 従来の整流子の製造方法を説明する図 従来の整流子905における溝940の詳細を示す図 変形例1におけるセグメント分割溝95の複数のバリエーションを示す図
―第1の実施の形態―
以下、図1〜図11を参照して、本発明にかかる整流子の第1の実施の形態を説明する。
(構成)
図1は、モータ1の断面図である。モータ1は、整流子5と、ロータコア26と、整流子5およびロータコア26が圧入固定されるシャフト27と、シャフト27を支持するフロントベアリング20及びリアベアリング25と、ロータコア26に形成された不図示のスロット部に巻回されたコイル71と、コイル71と整流子5とを接続するコイル接続線70と、を備える。モータ1はさらに、フロントベアリング20を保持するブラケット30と、ブラケット30に固定されるブラシホルダベース35と、ブラシホルダベース35に係合され、ブラシ40を収容するブラシホルダ45と、ブラシ40を安定的に整流子5に接触させるための不図示のばねから構成されるブラシ装置と、を備える。モータ1はさらに、フロントベアリング20とブラケット30を固定するベアリングリテーナ50と、ブラケット30とシャフト27の隙間を閉塞するシール55とブラケット30に嵌合し、リアベアリング25を保持するヨーク60とヨーク60の内径に接着工法などで固定されるマグネット65とを備える。コイル接続線70の端部は整流子5に接続され、ブラシ40に電流を流すことによってロータコア26に磁力が生じ、マグネット65の磁力との相互作用によりシャフト27の出力軸から回転力を得ることができる。
図2は、整流子5の斜視図である。整流子5は複数のセグメント75を備える。それぞれのセグメント75は、軸方向の一端で周方向の中央部に、コイル接続線70を絡げるためのフック部80を備える。フック部80の周方向の幅は各セグメント75の周方向の幅よりも狭い。フック部80にはコイル接続線70の一端が絡げられ、このコイル接続線70とフック部80はヒュージング工法を用いてコイル71が整流子5に対して電気的に接続される。
整流子5は、セグメント75の内周側に絶縁性の樹脂で成形されるモールド部85を有する。モールド部85の中心にはシャフト締結用貫通穴90が設けられており、シャフト締結用貫通穴90にシャフト27が圧入されている。セグメント75の外周面は、コイル71と整流子5とを電気的に接続した後に、真円かつシャフト27の中心軸と同軸になるように機械加工が施される。なお機械加工された整流子5の外径寸法は、モータ1の周速やブラシの材質特性から設定される。以下では、整流子5の直径をDとする。
図3は、図2のA部の拡大図である。図3では図示下部が整流子5の中心軸側であり、図示左右が整流子5の周方向である。セグメント75は、互いにセグメント間隔W1の間隔を開けて環状に配置される。セグメント間隔W1は整流子5の機能に影響しない範囲で拡大でき、絶縁性に影響の無い範囲で縮小できる。
セグメント75間のモールド部85にはセグメント分割溝95が設けられる。セグメント分割溝95はモールド部85が整流子5の外径から突出することを防止する機能を有する。またセグメント分割溝95は、ブラシ摩耗粉を堆積、排出する機能も兼ねる。セグメント分割溝95の溝幅W2とセグメント間隔W1は等しいことが望ましいが、若干の相違は許容される。セグメント分割溝95の深さhは、浅く設定することで整流子5の強度を向上させ、深く設定することでセグメント分割溝95に堆積可能なブラシ摩耗粉量を増加させることができる。したがって、モータ振動、周速などの使用条件、ブラシ摩耗量の多少の度合いを勘案して、セグメント分割溝95の深さhが設定される。ただし本実施の形態では、セグメント分割溝95の深さhの寸法は、セグメント75の径方向の厚みの最も厚い箇所の寸法よりも小さい。
セグメント分割溝95の角部は、ブラシ摩耗粉の排出を容易にするために、R処理、または面取り処理がされる。セグメント分割溝95の中心から、隣接するセグメント分割溝95の中心までであって、セグメント75の表面における距離はL1である。セグメント75の表面における、フック部80同士の間隔もL1である。
セグメント75の側面は、周方向の中心は半径方向に厚みが略一定であり、周方向の周辺部、すなわちセグメント分割溝95の淵から距離L6以内では、セグメント75の厚みはセグメント分割溝95に近いほど薄い。ここでは厚みが変化するセグメント75の領域を斜辺部98と呼ぶ。セグメント75の径方向の厚みは、セグメント75の径方向の内周側位置と外周側位置の差であり、セグメント75の外周側位置は一定である。すなわちセグメント75の径方向の厚みの変化は、セグメント75の内周側位置の変化により生じる。セグメント75の内周側位置、すなわちセグメント75とモールド部85との境界は、斜辺部98において、セグメント分割溝95の中心軸に対し角度θ1だけ傾斜している。斜辺部98の角度θ1は90度よりも小さい。そしてセグメント75がセグメント分割溝95と接する箇所では、セグメント75の厚みは非常に薄くエッジ状になっている。そのためセグメント分割溝95へのセグメント75の露出は非常に限られたものとなっており、以下の利点がある。すなわち、セグメント分割溝95の上端付近までブラシ摩耗粉が堆積する状況にならない限りセグメント75間の絶縁性が保たれ、整流子5を備えるモータ1の信頼性が向上する。
(製造方法)
図4〜図8を参照して整流子5の製造方法を説明する。
図4(a)は、セグメント75の基材である平板10を示す図である。平板10は導電性であり、厚みが一定である。平板10は、整流子5として完成した際には長手方向、すなわち図4における上下方向が整流子5の周方向に相当し、短手方向、すなわち図4における左右方向が整流子5の軸方向となる。
まず平板10は、第1工程として、図4(b)に示すようにプレス加工などにより切断されて短手方向の端部に矩形部11が形成される。この矩形部11は、平板10の長手方向に距離L2の間隔で形成される。そしてこの矩形部11を折り曲げることでフック部80を形成する。平板10の短手方向において、矩形部11を除いた寸法はL5である。なお図4および後に示す図5では平板10の長手方向の図示を一部省略している。たとえば図4(b)において矩形部11は6つしか記載していないが、長手方向により多くの矩形部11が存在する。
次に平板10は、第2工程として、プレス加工により局所的な曲げ加工が行われ、山部12および谷部13が複数形成される。山部12および谷部13が形成された平板10の平面視を図5(a)に示す。図5(a)において山部12は太い実線で示し、谷部13は細い破線で示している。すなわち山部12は、平板10を長手方向に平面視で距離L21の間隔で局所的に折り曲げ、短手方向の折り目として形成されたものである。寸法については図5(b)で詳述する。以下では、長手方向のある山部12から次の山部12までを仮セグメント75Aと呼び、隣接する谷部13の間を平坦領域13Aと呼び、山部12を挟んだ2つの谷部13の間を山領域12Aと呼ぶ。平板10に形成される全ての仮セグメント75Aの寸法および形状は同一である。
図5(b)は、図5(a)に示す平板10の断面図である。ただし図5(b)では長手方向の図示を一部省略し、3つの仮セグメント75Aのみを示す。また図5(b)ではフック部80の記載を省略している。図5(b)に示すように、山部12は上に凸の形状を有し、2つの谷部13で挟まれた領域は平坦である。仮セグメント75Aの平面視における距離、すなわち図5(b)における水平方向の距離は、図5(a)において示したようにL21である。山部12から谷部13までの物理的な長さをL3、山部12から谷部13までの平面視における距離をL31、谷部13同士の距離をL41とする。このとき、L31とL41とL31の和が図5(a)に示されているL21であり、L3とL41とL3の和が図4(b)に示されているL2である。
図6は、第3工程および後述する第4工程を示す図である。図6に示すように、平板10は、第3工程として、全域が長手方向に曲げられて略円環状に変形される。このとき山部12が外周側に凸となるように曲げられる。符号14で示す箇所が略円環状に丸められた継ぎ目である。平坦領域13Aは、第3工程の前では平坦であったが、第3工程により平板10の全域が長手方向に曲げられたことにより、わずかな曲がりを有する場合がある。この場合であっても、平坦領域13Aの外周側への膨らみ量は、山領域12Aよりも少ない。以下では、第3工程により略円環状に変形された平板10を外形10Aと呼ぶ。換言すると、平板10の全域を曲げて平板10を長手方向の一端と他端を所定の間隔を開けて隣接させて配置することで、外側に凸である山領域12Aと、山領域12Aよりも外周側への膨らみが少ない平坦領域13Aが周方向に交互に並ぶ略円環状の外形10Aを形成する。
第4工程として、外形10Aの内周側に2種類の成形駒を挿入する。2種類の成形駒とは、複数の溝用駒15と1つのシャフト用駒16である。溝用駒15は幅がセグメント分割溝95の幅W2と同一であり、溝用駒15の高さはセグメント分割溝95の高さhと同一またはそれよりも高い。また溝用駒15の奥行き方向の寸法は外形10Aの幅L5以上である。溝用駒15は、それぞれの山部12の内周に配置される。シャフト用駒16は、直径がシャフト27よりも若干小さい円柱であり、その高さはL5以上である。シャフト用駒16は、外形10Aの中心部に外形10Aと同軸に配置される。
第5工程として、溝用駒15およびシャフト用駒16が内周側に配置された外形10Aの内周側に絶縁性の樹脂でモールド成形、すなわち樹脂を充填する。そして充填後に全ての溝用駒15およびシャフト用駒16が取り除かれる。これにより溝用駒15およびシャフト用駒16が配置されていた箇所が空洞となったモールド部85が形成される。以下では、外形10Aとモールド部85とをあわせて整流子前駆体5Aと呼ぶ。
図7は、第5工程が終了した後の整流子前駆体5Aの斜視図である。モールド部85は、その中心にシャフト締結用貫通穴90を有し、それぞれの山部12の内周にセグメント分割溝用穴115を有する。図7の上部には外形10Aの継ぎ目14が存在する。またこの段階ではまだ山領域12Aおよび平坦領域13Aが存在する。
第6工程では、いくつかの加工が行われるが外形10Aの加工は行われない。第6工程では、まずシャフト締結用貫通穴90の内周が切削加工により既定の寸法に仕上げられる。次にシャフト締結用貫通穴90にシャフト27が圧入される。そして、フック部80にコイルの一端部を絡げながら巻線され、コイルとフック部80を電気的に接続するためにフック部80がヒュージング加工される。
図8(a)は、第6工程が終了した後の整流子前駆体5Aを軸方向から観察した図である。外形10Aには、フック部80同士の距離L1に対し1/2の位置、つまり外形10Aをセグメント75に分割する位置が頂点となるように山部12が設けられる。また、外形10Aの内側のモールド部85にはモールド型で成形されたセグメント分割溝用穴115が形成される。以下では外形10Aの中心を中心点Cと呼ぶ。
図8(b)は、図8(a)におけるB部、すなわち山部12付近の拡大図である。図8(b)を用いて最終工程である第7工程を説明する。第7工程は外形10Aの外周を切削する工程である。図8(b)に示すように、山部12の内周側は、山部12の頂点と外形10Aの中心点Cとを接続する線を対称線とする線対称の形状を有する。ここで、外形10Aの中心点Cを中心とする円であって、円弧がセグメント分割溝用穴115の半径方向の壁面を分断する仮想的な円Qを設定する。またこの円Qは、谷部13において谷部13の外周側の表面よりも内側を通過するものである。第7工程では、外形10Aおよびモールド部85は円Qに沿って切削されて外形10Aは表面が真円となる。すなわち第7工程により、外形10Aは複数のセグメント75に分割され、セグメント分割溝用穴115はセグメント分割溝95となる。
セグメント75の外周面は前述の円Qにより規定されているので、図2に示した直径Dはこの円Qの直径である。円Qとセグメント分割溝用穴115の半径方向の壁面との交点を点Pとすると、点Pからセグメント分割溝用穴115の底部までの距離hがセグメント分割溝95の深さhとなる。また、2つの点Pの間隔がセグメント分割溝95の溝幅W2である。
図9は第7工程の前後を比較する図、すなわち外形10Aとセグメント75との比較を示す図である。図9において、実線は第7工程の終了後の状態、すなわちセグメント75の形状を示し、破線は第6工程の実行前の状態、すなわち外形10Aの形状を示す。図9に示すように、第7工程では外形10Aの山領域12Aが大きく切削され、平坦領域13Aの表面も切削される。山領域12Aは切削前に図示上に凸の形状を有しており、図8(b)に示した仮想的な円Qの円周面で切断される。そのため、切断されて残った外形10A、すなわちセグメント75には、セグメント分割溝95に向かって径方向の厚みが薄くなる斜辺部98が形成される。なお、平板10を略円環状に丸められた際に生じる継ぎ目14は、他の山領域12Aと異なり不連続であるが、図9に示すようにその不連続部分が切削される領域に含まれるので不都合は生じない。
なお、第7工程の終了後の平坦領域13Aの径方向の厚みは、略一定である。すなわち厳密には、平坦領域13Aの径方向の厚みは一定ではない。これは、第3工程において全域が長手方向に曲げられて略円環状に変形された際に、平坦領域13Aについて厳密な変形、すなわち平坦領域13Aが円Qの円周に沿うような変形をさせていないからである。
(寸法の条件)
図8(b)を用いて説明したように、第6工程における仮想的な円Qが山部12および谷部13と上述した関係を満たす必要がある。L3、L41、θ1および平板10の厚みは、上述した関係を満たすように決定される。θ1はL3とL31との関係を規定しているので、L3、L41、L31および平板10の厚みが上述した関係を満たすように決定される、と換言できる。なお、θ1が小さいほど第6工程における切削加工での平板10の除去量が減少するので、平板10として用意する素材の量を削減できる。
(従来の製造方法)
図10を参照して従来の整流子の製造方法を説明する。ただしここでは概要のみを説明し、フック部などは言及しない。図10は従来の整流子905の製造方法を説明する図である。従来は、図10(a)に示す平板状の基材910をプレス加工等により図10(b)に示すように円環状に成型する。そしてその円環状の中に絶縁性の樹脂を充填して、基材910と一体化したモールド部920を形成する。そして図10(c)に示すように基材910の表面を真円に加工する表面仕上げ加工を行う。なお図10(b)では真円状に加工される前であることを表現するために歪んだ円を表示しているが、実際の歪みはわずかであり図10(c)に示す基材910の厚みは周方向で略一定である。
最終工程として、図10(d)に示すように基材910を複数のセグメント930に分割するとともにモールド部920に溝940を形成する切り分け加工を行う。以上により整流子905が製造される。すなわち従来は、表面仕上げ加工および切り分け加工の2回の切削加工が必須であった。
図11は、従来の整流子905における溝940の詳細を示す図である。溝940は、モールド部920および真円状に加工された基材910の切削により形成される。溝940の深さL90は、基材910の厚みL92とモールド部920の窪み量L91の和である。すなわち従来の整流子905では、溝940の深さ寸法L90は必ず基材910の厚み寸法L92よりも大きい。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)整流子5は、一定の間隔で環状に配列された複数のセグメント75と、複数のセグメント75の内周側に配置され、複数のセグメント75と一体に成形されたモールド部85とを備える。モールド部85は、複数のセグメント75のうち互いに隣接するセグメント75同士の隙間に内周側に窪むセグメント分割溝95を有する。セグメント75のそれぞれの厚みは、セグメント分割溝95に近いほど薄い。
図10を参照して説明したように、従来はセグメント930を形成するためには2回の切削加工が必要であった。しかし整流子5は図8−図9を参照して説明したように1回の切削加工によりセグメント75を形成することができる。換言すると、整流子5はセグメント75の分割とセグメント75の表面仕上げを1回の切削で同時に行うことができる。そのため製造工程を1つ減少させて製造コストを削減することができる。
またセグメント75の厚みがセグメント分割溝95に近いほど薄いことにより、整流子5を備えるモータ1の信頼性を向上させることができる。理由は以下のとおりである。モータ1はブラシ40を備え、ブラシ40が円周上に並ぶ複数のセグメント75と次々に接触する。この際に、次のセグメント75と接触する際に火花が生じることがある。その一方で、セグメント75はセグメント分割溝95に近いほど薄いため、厚い箇所と比較すると電気的な抵抗が大きい。すなわちセグメント75とブラシ40との間の電気的な抵抗は、ブラシ40がセグメント分割溝95に近いほど大きい。したがって、火花が生じうる状態ではセグメント75とブラシ40との間の電気的な抵抗が大きく、急峻な電流の変化が生じにくいため、火花が生じにくい。また仮に火花が生じても、抵抗が大きいため火花のエネルギー、すなわちブラシ40を破損させるエネルギーが小さく、火花によるブラシ40の摩耗を低減する効果がある。このような理由により、整流子5を備えるモータ1の信頼性を向上させることができる。
(2)セグメント75のそれぞれの厚みは、セグメント分割溝95から距離L6以上では略一定であり、セグメント分割溝95から距離L6未満ではセグメント分割溝95に近いほど薄い。セグメント75の厚みが略一定の平坦領域13Aは、図5(a)において谷部13に挟まれる領域であり、フック部80と隣接する。仮に平坦領域13Aがない場合は、山部12の周方向の中心に当たるフック部80も周方向に折り曲げられることとなり、フック部80としての機能を果たすことが困難となる。換言すると、整流子5は完成時には厚みが一定のセグメント75となる平坦領域13Aを有するので、フック部80をセグメント75と同一の基材から作成することができる。
(3)セグメント75のそれぞれの厚みは、セグメント分割溝95に接する箇所でほぼゼロのエッジ状となる。そのため、セグメント分割溝95の上端付近までブラシ摩耗粉が堆積する状況にならない限りセグメント75間の絶縁性を保つことができる。なお従来は、図11に示したようにセグメント930の端部が溝940に露出していたので、ブラシ摩耗粉がモールド部920の窪み量L91よりも高く堆積するとセグメント930間の絶縁性が保たれなかった。
(4)セグメント分割溝95の径方向の深さ寸法hは、セグメント75の最大の厚み、すなわち平坦領域13Aの半径方向の幅寸法よりも小さい。従来は、図11に示したように溝940の深さ寸法L90は必ず基材910の厚み寸法L92よりも大きかった。しかし本実施の形態における整流子5は、製造方法が従来とは異なるためセグメント分割溝95の深さをセグメント75の最大の厚み寸法よりも小さくすることができる。そのため整流子5の強度を高めることができる。
(5)整流子5の製造方法は、図5に示すように導電性の平板10を長手方向に一定の間隔で局所的に折り曲げ、短手方向の折り目である山部12を複数形成する。そして図6に示すように、平板10の全域を曲げて平板10を長手方向の一端と他端を所定の間隔を開けて隣接させて配置することで、外側に凸である山部12と、山部よりも外周側への膨らみ量が少ない平坦領域13Aが周方向に交互に並ぶ略円環状の外形10Aを形成する。そして図6に示すように、外形の内周側に溝を形成するための溝用駒15を配置する。さらに、溝用駒15が配置された外形10Aの内周側に絶縁性の樹脂を充填し、樹脂が充填された外形10Aから溝用駒15を除去する。最後に図8(b)および図9に示すように、外形10Aの外周を真円状に切削して山部の少なくとも一部を切り落として、外形10Aを複数のセグメント75に分割する。そのため、セグメント75の分割とセグメント75の表面仕上げを1回の切削で同時に行うことができる。
(6)溝用駒15を外形の内周側に配置する際には、外形の中心部に円柱状のシャフト用駒16を配置する。外形から溝用駒15を除去する際には、シャフト用駒16を除去する。シャフト用駒16により形成された穴の内周面を切削してシャフト27が圧入されるシャフト締結用貫通穴90を形成する。そのため外形10Aの内周側に充填する樹脂の量を削減するだけでなく、シャフト締結用貫通穴90を形成するための切削量を減少させることができる。
(変形例1)
セグメント分割溝95の周方向の幅は、径方向の位置により異ならせてもよい。図12はセグメント分割溝95の複数のバリエーションを示す図である。図12(a)は、第1の実施の形態におけるセグメント分割溝95の形状を示す図、図12(b)および図12(c)は変形例1におけるセグメント分割溝95の形状を示す図である。ただし図12ではセグメント分割溝95の角部におけるR処理や面取り処理の記載を省略している。また本変形例では、セグメント分割溝95の下部の幅をW21で表し、上部の幅をW22で表す。
第1の実施の形態では、図12(a)に示すようにセグメント分割溝95の下部の幅W21と上部の幅W22は同一であった。しかし両者の幅は異なっていてもよい。図12(b)に示すように上部の幅W22の方が長くてもよいし、図12(c)に示すように下部の幅W21の方が長くてもよい。上部の幅W22の方が長い場合には、セグメント分割溝95に堆積したブラシ摩耗粉を排出しやすい利点を有する。下部の幅W21の方が長い場合には、開口部の幅が同一の場合により多くのブラシ摩耗粉を蓄積することができる利点を有する。さらにセグメント分割溝95の形状は、下部の幅W21と上部の幅W22とが同一で、その中間を膨らませる形状としてもよい。本変形例において示した様々な形状のセグメント分割溝95は、その形状にあわせた溝用駒15を用いることで成形することができる。
(変形例2)
セグメント分割溝95の径方向の深さ寸法hは、平坦領域13Aの半径方向の幅寸法よりも大きくてもよい。
(変形例3)
平坦領域13Aの径方向の厚みが一定となるように整流子5を製造してもよい。この場合は第3工程において、平坦領域13Aが円Qの円周に沿うように変形をさせる。このような変形を実現するために、第3工程において平坦部13Aをさらに加工してもよいし、第2工程において平坦部13Aに曲げ加工を施してもよい。
上述した実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1…モータ
5…整流子
10…平板
11…矩形部
12…山部
13…谷部
15…溝用駒
16…シャフト用駒
75…セグメント
85…モールド部
95…セグメント分割溝
98…斜辺部
115…セグメント分割溝用穴

Claims (7)

  1. 一定の間隔で環状に配列された複数のセグメントと、
    前記複数のセグメントの内周側に配置され、前記複数のセグメントと一体に成形された樹脂部とを備える整流子であって、
    前記樹脂部は、前記複数のセグメントのうち互いに隣接するセグメント同士の隙間に内周側に窪む溝部を有し、
    前記複数のセグメントのそれぞれの厚みは、前記溝部に近いほど薄く、前記複数のセグメントは、前記溝部に接する箇所でエッジ状となる整流子。
  2. 一定の間隔で環状に配列された複数のセグメントと、
    前記複数のセグメントの内周側に配置され、前記複数のセグメントと一体に成形された樹脂部とを備える整流子であって、
    前記樹脂部は、前記複数のセグメントのうち互いに隣接するセグメント同士の隙間に内周側に窪む溝部を有し、
    前記複数のセグメントのそれぞれの厚みは、前記溝部に近いほど薄く、前記溝部の径方向の深さ寸法は、前記セグメントの最大の厚みの寸法よりも小さい整流子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の整流子において、
    前記複数のセグメントのそれぞれの厚みは、前記溝部から所定の距離未満では前記溝部に近いほど薄く、前記溝部から前記所定の距離以上では略一定である整流子。
  4. 請求項1または請求項2に記載の整流子において、
    前記溝部の周方向の幅は、径方向の位置により異なる整流子。
  5. 請求項1または請求項2に記載の整流子を備えるモータ。
  6. 請求項1に記載の整流子の製造方法であって、
    導電性の平板である基材を長手方向に一定の間隔で折り曲げ、短手方向の折り目である山部を複数形成し、
    前記基材の全域を曲げて前記基材を前記長手方向の一端と他端を所定の間隔を開けて隣接させて配置することで、外側に凸である前記山部と、前記山部よりも外周側への膨らみ量が少ない平坦部が周方向に交互に並ぶ略円環状の外形を形成し、
    前記外形の内周側に前記溝部を形成するための溝用成形駒を配置し、
    前記溝用成形駒が配置された前記外形の内周側に絶縁性の樹脂を充填し、
    前記樹脂が充填された前記外形から前記溝用成形駒を除去し、
    前記外形の外周を真円状に切削して前記山部の少なくとも一部を切り落として、前記複数のセグメントが前記溝部に接する箇所でエッジ状となるように前記外形を前記複数のセグメントに分割する整流子の製造方法。
  7. 請求項に記載の整流子の製造方法であって、
    導電性の平板である基材を長手方向に一定の間隔で折り曲げ、短手方向の折り目である山部を複数形成し、
    前記基材の全域を曲げて前記基材を前記長手方向の一端と他端を所定の間隔を開けて隣接させて配置することで、外側に凸である前記山部と、前記山部よりも外周側への膨らみ量が少ない平坦部が周方向に交互に並ぶ略円環状の外形を形成し、
    前記外形の内周側に前記溝部を形成するための溝用成形駒を配置し、
    前記溝用成形駒が配置された前記外形の内周側に絶縁性の樹脂を充填し、
    前記樹脂が充填された前記外形から前記溝用成形駒を除去し、
    前記外形の外周を真円状に切削して前記山部の少なくとも一部を切り落として、前記外形を前記複数のセグメントに分割し、
    前記溝用成形駒は、前記溝部の径方向の深さ寸法が、前記セグメントの最大の厚みの寸法よりも小さくなる寸法を有する整流子の製造方法。
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