JP4850128B2 - 建具 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された障子の戸閉装置は、障子に設けられたピン部材と、上枠に設けられてピン部材を係止可能なトリガと、このトリガを障子の閉方向に付勢するばね(弾性部材)と、ばねの付勢力と逆向きに減衰力を発揮するダンパーとを有して構成されている。そして、この戸閉装置では、障子を閉じる際にピン部材をトリガが係止し、ばねの復元力によって障子が閉方向に移動されるとともに、全閉終了間際においてダンパーの減衰力によって障子の移動速度が減速されてから、障子が全閉されるようになっている。
ここで、引き戸や片引き窓等の建具では、障子の召合せ框と枠の召合せ側縁部(例えば、縦骨や、固定障子の召合せ框)が重なって障子が閉じるようになっており、逆に障子の戸先框と枠の召合せ側縁部とが重なって障子が全開する形態が一般的である。そして、障子を全閉する際に戸先框と枠との当接は利用者から判別しやすいのに対して、障子を全開する際に戸先框と召合せ側縁部との重なりは利用者から判別しにくい。このような障子の開操作時において、例え従来の戸閉装置の減速機構を用いたとしても、障子の全開間際において減速させることはできても、戸先框と召合せ側縁部とが重なる際の障子の移動速度については必ずしも十分に減速させることができず、指詰めの可能性がある。
このような構成によれば、第2開放位置から全開位置までの区間において、減速部材を作動させないか、あるいは小さな減衰力しか発揮させないことで、前述のように第2開放位置までに停止させるか十分に減速させた障子を再度開放操作する際の抵抗を小さくすることができ、全開位置まで開放する際の操作性を向上させることができる。
ここで、減衰力発揮部としては、各種のダンパー装置が利用可能であり、例えば、エアダンパーやオイルダンパー、摩擦ダンパーなどが利用できる。
このような構成によれば、作動部材に設けた傾斜面に減速部材の摺接部を摺接させるか転動部を転動させることにより、減速部材の突没部が突没移動して減衰力発揮部にて減衰力が発揮するようにしたことで、比較的簡単な構造で作動部材および減速部材を構成することができる。また、障子のスライド方向に対して傾斜した傾斜面によって突没部が突没移動することで、その突没方向を障子のスライド方向と交差した方向に設定することができ、例えば、障子側に減速部材を設ける場合には、召合せ框や戸先框の長手方向に突没方向を合わせて、これらの框に内蔵するように減速部材を設置することもできる。
このような構成によれば、作動部材を上枠に設け、減速部材を召合せ框の上部に設けたことで、これらの各部材に埃やゴミ等が付着しにくくでき、継続的な動作の安定性を確保することができる。さらに、作動部材を障子の開放方向前方側に設けるとともに、障子の開放方向に向かって下方に下がる傾斜面としたことで、減速部材が作動する際に傾斜面から減速部材を介して障子に作用する力が、障子の内部に向かって開放方向後方斜め下方となるため、障子の浮き上がりを防止して走行安定性を確保することができる。すなわち、前述のような傾斜面からの力が障子の上部後方に作用した場合には、この力が障子全体を回転させるように作用し、障子前方側に浮き上がりが生じる可能性があるが、前述のように作動部材および減速部材を配置することで、障子の浮き上がりを確実に防止することができる。
このような構成によれば、第2開放位置から全開位置までの区間に対応して作動部材にフラット面を設けたことで、この区間においては、減速部材の摺接部がフラット面に摺接するかまたは転動部がフラット面に沿って転動するのみで、突没部が突没移動せずに減衰力発揮部の減衰力が発揮されず、障子の開閉操作の抵抗を小さくすることができる。
このような構成によれば、枠体または障子と作動部材本体との間に副作動部材を介挿することで傾斜面の高さ、つまり減速部材との当接距離を調節することができる。従って、枠体や障子の製造誤差や建て込み誤差、あるいは障子を枠体に建て込む際の戸車調整によって生じる作動部材と減速部材との距離変化に応じて、適宜な枚数の副作動部材を用いることで、所定の作動区間にて所定の減衰力を発揮させることができる。さらに、利用者の好みに応じて作動部材と減速部材との当接距離を調節することで、開閉操作の操作性が良好にできる。そして、副作動部材に副傾斜面が形成されていることで、減速部材の摺接部または転動部が副傾斜面から作動部材本体の傾斜面へスムーズに移動し、突没部の突没移動および減衰力発揮部の動作を円滑にして障子の開閉操作性を良好にすることができる。さらに、副作動部材に形成された副傾斜面が作動部材本体の傾斜面と連続する、つまり副傾斜面が作動部材本体よりも外側に露出して形成されていることで、この副傾斜面部分を引っ掛けて副作動部材を作動部材本体と枠体または障子との間から引き抜くようにもでき、作動部材本体の傾斜面を高さ調節する際の調節作業が容易にできる。
このような構成によれば、前述のように第2開放位置までに停止させるか十分に減速させた障子を再度開放操作して全開位置まで開放した際に、障子ストッパーによって障子の開放移動を規制することで、全開位置において障子を確実に停止させることができる。ここで、前記作動部材が前記枠体に設けられている場合には、この作動部材に隣接して障子ストッパーが設けられていることが好ましく、さらに作動部材と障子ストッパーとが連続した一部材で構成されていてもよい。また、障子ストッパーは着脱可能に設けられていてもよく、障子ストッパーを取り外せば、全開位置を超えて障子を移動させることができ、戸先框を枠体開口の召合せ側縁部からずらすことで、例えば錠装置(クレセント錠や錠受け)の位置調節などが実施できるようになる。
図1は、本発明の実施形態に係る建具である片引き窓1を示す室内側の正面図である。図2は、片引き窓1を示す縦断面図である。図3は、片引き窓1を示す横断面図である。 図1〜図3において、片引き窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁開口部に設けられて建物の室内空間と室外空間とを仕切る建具であり、枠体である窓枠2と、この窓枠2の内部に左右スライド開閉自在に支持された障子10とを備えて構成されている。窓枠2は、四周枠組みされた上枠3、下枠4、および左右の縦枠5,6と、上枠3および下枠4間に架設された縦骨7と、上枠3、下枠4、縦枠6、および縦骨7で囲まれた内部に適宜な押縁を介して固定された固定面材であるガラスパネル(複層ガラス)8とを有している。この窓枠2は、一方(図1、3中、左側)の縦枠5、縦骨7、上枠3および下枠4で囲まれた開口9を有している。そして、上枠3、下枠4、および左右の縦枠5,6は、それぞれアルミ形材製の枠室内部材3A,4A,5A,6Aおよび枠室外部材3B,4B,5B,6Bと、これらを連結する樹脂製の断熱部材3C,4C,5C,6Cとを有して構成されており、すなわち窓枠2は、いわゆる断熱窓枠である。
以下、第1および第2の減速装置21,22について、図4〜図9も参照して詳しく説明する。
図4は、片引き窓1の上部を示す側面図である。図5は、第1減速装置21を示す側面図である。図6および図7は、それぞれ第2減速装置22を示す側面図である。図8および図9は、第1および第2の減速装置21,22の減速部材23,25を示す側面図および断面図である。
(1)すなわち、閉鎖時における障子10の移動速度を第1減速装置21によって減速させ、縦框13と縦枠5との間の指詰め等が防止できるとともに、開放時における障子10の移動速度を第2減速装置22によって減速させ、縦框13と縦骨7との間の指詰め等が防止できる。
例えば、前記実施形態においては、片引き窓1を例示したが、本発明の建具はこのような片引き窓1に限られず、玄関用の引き戸や、屋内居室用の引き戸等であってもよく、また、障子が上下に開閉移動自在に設けられた上げ下げ窓であってもよい。さらに、前記実施形態では、片引き窓1に第1および第2の減速装置21,22を設けたが、本発明の建具においては、第1減速装置21は必須ではなく適宜省略してもよい。
また、前記実施形態では、第1および第2の減速装置21,22の減速部材23,25を障子10に設け、作動部材24,26を上枠3に設けたが、これに限らず、減速部材23,25が窓枠2側に設けられ、作動部材24,26が障子10側に設けられていてもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (6)
- 開口を有した枠体と、この枠体にスライド開閉自在に支持される障子とを備えた建具であって、
前記障子は、全閉状態において、前記枠体開口の戸先側縁部に当接する戸先框と、前記枠体開口の召合せ側縁部の見込み方向に重なる召合せ框とを少なくとも備え、前記全閉状態から前記戸先框が前記召合せ側縁部の見込み方向と重なる全開位置までの間を開閉移動可能に構成され、
前記枠体および障子の一方には、減衰力を発揮して当該障子のスライド速度を減速させる減速部材が設けられ、他方には、前記減速部材に当接して作動させる作動部材が設けられ、これらの減速部材および作動部材は、前記障子を開放操作した際の第1開放位置から当該減速部材が作動開始し、第1開放位置から第2開放位置までの作動区間において当該減速部材が所定の減衰力を発揮するように設置され、
前記第2開放位置において、前記戸先框と前記召合せ側縁部との隙間寸法が15mm〜80mmに設定され、
前記作動部材は、前記障子のスライド方向に対して傾斜しかつ前記作動区間に対応した長さの傾斜面を有するとともに、前記傾斜面が形成された作動部材本体と、この作動部材本体と前記枠体または障子との間に介挿される少なくとも1つの副作動部材とを有して構成され、
前記副作動部材には、前記作動部材本体の傾斜面と連続する副傾斜面が形成されている建具。 - 前記第2開放位置から全開位置までの区間は、前記減速部材が作動しない非作動区間に設定されるか、または前記作動区間で発揮される減衰力よりも小さな減衰力を前記減速部材が発揮する弱作動区間に設定されている請求項1に記載の建具。
- 前記減速部材は、減速部材本体と、この減速部材本体に対して突没自在に支持された突没部と、この突没部の突没移動に伴い減衰力を発揮する減衰力発揮部と、前記突没部の先端に設けられて前記作動部材の傾斜面に摺接する摺接部または前記傾斜面に沿って転動する転動部とを有して構成されている請求項1または請求項2に記載の建具。
- 前記作動部材は、前記枠体の上枠における前記障子の開放方向前方側に設けられ、前記減速部材は、前記召合せ框の上部に設けられ、
前記傾斜面は、前記障子の開放方向に向かって下方に下がる傾斜を有して形成され、前記第1開放位置から第2開放位置への前記障子の移動に伴い、前記減速部材の突没部が前記減速部材本体に没入するように構成されている請求項3に記載の建具。 - 前記作動部材は、前記傾斜面に連続して前記第2開放位置から全開位置までの区間に対応した長さを有しかつ前記障子のスライド方向に平行なフラット面を有して構成されている請求項3または請求項4に記載の建具。
- 前記枠体における前記障子の開放方向前方側には、全開位置の障子の召合せ框に当接して当該障子の開放移動を規制する障子ストッパーが設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の建具。
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