JP4849831B2 - ポリエステル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はポリエステル樹脂の製造方法に関し、より詳しくは、チタン触媒を用いるポリエステル樹脂の製造方法及びそれにより製造されたポリエステル樹脂に関する。
一般に、ポリエステル樹脂は、低価で且つ機械的・化学的物性やガス遮断性などに優れるため、各種容器、フィルム、繊維などの製造に幅広く使用されている。ポリエステル樹脂の重合にはアンチモン触媒を広く使用しているが、アンチモン触媒は、非環境的な重金属を含むだけでなく、適正反応性を得るためのアンチモンの含量が樹脂に対し数百ppmに達する。このように、多量使用されるアンチモン触媒により、ポリエステル樹脂にヘイズが発生し、放射や成形時にアンチモンが析出されて設備の洗浄周期が短くなり、容器への成形時、高温の内容物によってアンチモンが抽出される恐れがある。環境親和的なポリエステル重合触媒としてはゲルマニウムを使用しているが、ゲルマニウムは高価なので商業的に有用でない。反面、チタン触媒は、環境親和的で低価で且つ反応性が非常に優れるため、数ppm未満を添加しても適正の重合反応性が得られるので、アンチモン触媒の問題点を改善できる触媒として従来より多く注目されている。しかし、アンチモン触媒の使用に比べて、チタン触媒の使用は、樹脂の熱安定性が良くなく、色調が黄色になり、オリゴマー含量が増加するという問題点がある。
前記問題点を解消するために、日本国特開2002-293909号では、チタンとリン化合物を反応させてチタン触媒の活性を制御し、整色剤としてコバルト化合物の代りに少量の顔料を添加することにより、ポリエステルの反応性を改善し、樹脂の色調を調節し、主に繊維用途のポリエステル製造方法を開示している。日本国特開2000-72959号及び2000-72960号は、スズを第2触媒として使用し、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を使用することで、曲げ弾性が改善されたポリエステル共重合体の製造方法を開示している。日本国特開2000-109552号はチタン-アルミニウム複合触媒を、日本国特開2000-128969号、2000-169683号及び2001-288262号は、チタン-ケイ素複合触媒を使用し、主にポリエステル樹脂の繊維放射性を改善する方法を開示している。また、日本国特開2001-200044号及び2001-200046号は、リン(P)/チタンのモル比と触媒の投入順序を制御し、ポリエステル樹脂の色調と反応性を調節する方法と、マグネシウムやゲルマニウム触媒をチタンと混合使用する方法とを開示している。また、日本国特開2001-48973号、2001-55434号、2001-64377号、2001-64378号、2001-89555号及び2001-98063号は、チタン水酸化物又はチタンと他の金属化合物との複合物質を触媒として使用することを開示しており、触媒造成及び調製条件によって溶融、固相重合速度及び成形物のヘイズのような物性を改善できると記載しているが、樹脂或いは成形物の色調については記載していない。以上のように、従来の技術は、主にチタンと共に助触媒を使用したり、複合触媒を製造することにより、チタン触媒の問題点を解消しようとした。
日本国特開2002-293909号 日本国特開2000-72959号 日本国特開2000-72960号 日本国特開2000-109552号 日本国特開2000-128969号 日本国特開2000-169683号 日本国特開2001-288262号 日本国特開2001-200044号 日本国特開2001-200046号 日本国特開2001-48973号 日本国特開2001-55434号 日本国特開2001-64377号 日本国特開2001-64378号 日本国特開2001-89555号 日本国特開2001-98063号
従って、本発明の目的は、ポリエステル樹脂の重合にチタン触媒の使用により発生する諸般問題点を解消できるポリエステル樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、色調に優れ、アセトアルデヒド及びオリゴマーの含量が少ないポリエステル樹脂の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、チタン触媒の存在下において、ジメチルテレフタレートの加水分解により得られるテレフタル酸またはそのエステル誘導体を含むジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる工程を含むポリエステル樹脂の製造方法を提供する。ここで、前記テレフタル酸は、4-CBAの含量が3ppm以下であり、p-トルイン酸の含量が25ppm以下であることが好ましく、前記ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、チタン触媒を用いたポリエステル樹脂の重合条件の最適化と共に、テレフタル酸などの重合原料自体の品質(特に、色調及び副産物の含量)を向上させることで、チタン触媒の使用時の短所を克服しようとした結果、ジメチルテレフタレート(DMT)を加水分解して得られる高純度テレフタル酸(HPTA)を重合原料として使用し、触媒構成及び反応条件を適切に制御すれば、色調とオリゴマー量が改善されたポリエステル樹脂を製造できることを見い出して本発明を完成するに至った。従って、本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法は、チタン触媒の存在下において、ジメチルテレフタレートの加水分解により得られるテレフタル酸またはそのエステル誘導体を含むジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる工程を含む。
ポリエステル樹脂の製造に広く使用されているテレフタル酸(PTA)は、世界的にアモコ(Amoco)プロセスによって製造され、アモコプロセスにより製造されたテレフタル酸は、一般的に10〜20ppmの4-CBA(4-carboxybenzaldehyde)と、50〜60ppmのp-トルイル酸(toluic acid)とを副産物として含む。本発明では、ジメチルテレフタレートを加水分解して副産物の量が著しく減少されたテレフタル酸(HPTA)を得て、これをポリエステル樹脂の製造に使用する。ジメチルテレフタレートの加水分解は、過量の水、好ましくはジメチルテレフタレートに対しモル比で3〜4倍の純水をジメチルテレフタレートと混合し、これを250〜300℃、好ましくは260〜270℃の温度、及び40〜70bar、好ましくは50〜60barの圧力で10〜20時間反応させて行われる。このとき、水の使用量が、前記範囲未満であればジメチルテレフタレートの加水分解が円滑に行われず、前記範囲を超過すれば特別な利益なしに、反応後純粋なテレフタル酸を分離する工程が面倒になる。また、前記加水分解の温度、圧力及び時間が、前記範囲未満であればジメチルテレフタレートの加水分解が充分行われず、前記範囲を超過すれば不純物の含量が多くなるか非経済的である。このような加水分解過程が完了すれば、水溶液の中のメタノールを蒸発させ、テレフタル酸を結晶化した後、遠心分離法などを用いて純粋なテレフタル酸が得られる。本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法に使用されるテレフタル酸(HPTA)は、4-CBAの含量が3ppm以下であり、p-トルイル酸の含量が25ppm以下であることが好ましく、4-CBA及びp-トルイル酸の含量が前記範囲を超過すれば良好な色調を持つポリエステル樹脂が得られない恐れがある。このように、不純物の含量が少ないテレフタル酸(HPTA)を使用することで、チタン触媒を使用する場合にも、色調に優れ、オリゴマー含量の減少されたポリエステル樹脂が得られる。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法に使用されるジカルボン酸成分は、前記高純度テレフタル酸(HPTA)及びそのエステル(ester)誘導体の以外にも、必要に応じて他のジカルボン酸成分をさらに含むことができる。前記他のジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸(trimellitic acid)、ピロメリト酸(pyromellitic acid)、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、4,4-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸 、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸及びそれらのエステル形成誘導体が挙げられ、これらのジカルボン酸の1種又は2種以上がテレフタル酸及びそのエステル誘導体と共に共重合されることができる。前記高純度テレフタル酸(HPTA)と他のジカルボン酸成分とが共用される場合、高純度テレフタル酸の含量は、全体のジカルボン酸成分に対し10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは30モル%以上である。もし、前記高純度テレフタル酸の含量が10モル%未満であれば、色度及び不純物の含量の側面において充分な効果が得られない。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法に使用されるジオール(diol)成分としては、エチレングリコール(ethylene glycol)を使用することが好ましいが、エチレングリコールと共に、必要に応じて他のジオール成分を混合して使用することもできる。前記他のジオール成分としては、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-シクロヘキサンジメチロール(cyclohexane dimethylol)、1,4-シクロヘキサンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシレングリコール(xylene glycol)、4,4-ジヒドロキシビフェニル(dihydroxy biphenyl)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(2,2-bis(4-hydroxy phenyl)propane)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(2,2-bis(4-hydroxy phenyl)sulfone)などの芳香族ジオールが挙げられ、これらのジオールの1種または2種以上がエチレングリコールと共に共重合されることができる。
ポリエステル樹脂の製造方法の自体は、通常のポリエステル重合方法からあまり逸脱しない。まず、DMTを加水分解して得たテレフタル酸またはそのエステル誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを必要に応じて適正割合で配合し、エステル化反応またはエステル交換反応を行い、低重縮合物を製造する。通常、エステル化反応に参加する全てのジカルボン酸1モルに対しジオールの量は1.05〜2モルであり、好ましくは1.05〜1.4モルである。ジオールの量が多すぎれば副反応を促進させてジエチレングリコールのような好ましくない副反応物が生成されることがあり、ジオールの量が少なすぎればエステル化反応が不充分に進行されたり反応時間が遅れることがある。ポリエステル重合時にリン(P)化合物を添加することが好ましいが、その投入時期はエステル反応の初期又は末期や、重縮合反応の初期が適当であり、使用量はテレフタル酸を基準として0.00001〜0.1モル%のリン(P)原子を含むことが好ましく、より好ましくは0.001〜0.02モル%を含む。本発明に使用される代表的なリン(P)化合物としては、亜リン酸(phophorous acid)、リン酸(phophoric acid)、リン酸トリフェニル(triphenyl phosphate)、リン酸トリメチル(trimethyl phosphate)、リン酸トリエチル(triethyl phophate)、リン酸トリブチル(tributyl phsphate)、リン酸モノブチル(monobutyl phosphate)、リン酸ジブチル(dibutyl phosphate)、リン酸ジオクチル(dioctyl phosphate)、リン酸トリノニルフェニル(trinonylphenyl phosphate)、亜リン酸ベンジル、メチル亜リン酸メチルエステル、フェニル亜リン酸エチルエステルなどが挙げられる。
重縮合工程に使用される触媒のチタン化合物としては、テトラ-n-チタン酸プロピル(tetra-n-propyl titanate)、テトラ-I-チタン酸プロピル(tetra-I-propyl titanate)、テトラ-n-チタン酸ブチル(tetra-n-butyl titanate)、テトラ-t-チタン酸ブチル(tetra-t-butyl titanate)、酢酸チタン、水酸チタンなどと複金属系チタン触媒が好ましい。前記複金属触媒に使用されるチタンの以外の第2金属としては、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、コバルト、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、リチウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、ホウ素、ガリウム、スカンジウム、イットリウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ランタン、ルテニウム、ロジウム、パラジウムなどが挙げられる。チタン触媒の投入時期は、エステル反応の初期又は末期や重縮合反応の初期が好ましく、使用量は、テレフタル酸を基準として0.0001〜0.05モル%が好ましく、より好ましくは0.001〜0.01モル%である。また、前記チタン触媒は、最終ポリエステル樹脂内におけるチタンの含量が0.1〜100ppmとなるように添加され、前記第2金属成分は、最終ポリエステル樹脂内における金属の含量が1〜100ppmとなるように添加されることが好ましい。もし、前記樹脂内のチタン及び金属の含量が、前記範囲未満であれば充分な触媒効果が得られず、前記範囲を超過すればポリエステル樹脂の物性が良くないという短所がある。また、助触媒としては、カルシウム、アンチモン、鉛、マンガン、スズ、ゲルマニウム、セリウム、亜鉛、マグネシウム、リチウム、セシウム、ジルコニウムなどを投入でき、整色剤としては、コバルト化合物や有機又は無機トナーを投入でき、必要に応じてヒンダードフェノール系(hindered phenol)の酸化防止剤を投入できる。触媒と添加剤の投入後は、順次減圧して250〜300℃で適正の固有粘度に到達するまで重縮合反応を進行させる。本発明において固有粘度の範囲は0.3〜1.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.4〜0.8dl/gである。溶融重合時の固有粘度が、1.0dl/gを超過すればアセトアルデヒドや環状3量体のような副産物が増加し、0.4dl/g未満であれば機械的強度が不良になり、固相重合にて固有粘度をさらに上昇させる時にも固相重合の時間が長くなるという短所がある。
前記のように、溶融重縮合により得られる樹脂に、必要に応じて固相重合をさらに行って固有粘度を一層向上できる。製造されたポリエステル樹脂は、射出ブロー(blow)成形、放射、キャスティングなどの通常の方法により、容器、フィルム、繊維などの最終製品に成形でき、アセトアルデヒドや環状3量体などの副産物が少ないので、ボトル(Bottle)等の各種の食品容器の製造に好適である。
本発明に係るポリエステル樹脂の製造方法は、ポリエステル樹脂の重合にチタン触媒の使用により発生する諸般問題点を解消でき、特に、色調に優れ、アセトアルデヒド及びオリゴマーの含量が少ないポリエステル樹脂の製造に有用である。
以下、具体的な実施例及び比較例によって本発明をより詳細に説明する。下記の実施例は本発明を具体的に説明するためのもので、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。下記の実施例に使用された各種物性の分析法は次の通りである。
1.固有粘度(Intrinsic viscosity:IV)
チップ(chip)状の樹脂試料0.36gを、濃度が1.2g/dlとなるようにo-クロロフェノール溶媒に150℃で15分間溶解した後、ウッベローデ粘度計を用いて35℃で原液との相対粘度(ηrel)を測定し、これから比粘度(specific viscosity)ηsp(=ηrel-1)を算出した後、ハギンス(Huggins)式を用いて樹脂の固有粘度(IV)を計算した。
2.カルボン末端基値
試料0.1gを、濃度が1.0g/dlとなるようにベンジルアルコールに200℃で10分間溶解した後、窒素で冷却し、クロロホルム5mlを加えた後、標準化した0.1N NaOHを添加して、溶液が黄色から紅色になるまでのNaOH消耗量を求め、これからカルボン末端基値を計算した。
3.金属原子の含量
試料2gを混合酸で完全溶解した後、誘導結合プラズマ発光分光分析法によって金属原子の含量を求めた。
4.樹脂色調
樹脂試料を円周上の測色用セル(cell)に一定量充填し、Lab表色系においてハンター(hunter)の彩度式色座標bを反射法にて3回測定して平均値を求めた。
5.フリーフォーム色調
樹脂を170℃で12時間真空乾燥し、射出成形機(ASB150、日精樹脂工業社製)に投入して、高さ145mm、外径28mm、厚さ4mm、重量48gのフリーフォームを射出ブロー成形(シリンダー温度275℃、成形サイクル23秒)した。得られたフリーフォーム本体部の色調をヘイズメーター(300A、日本電色社製)を用いて3回測定後、平均値を求めた。
6.アセトアルデヒドの含量
色調測定時と同様にして製造したフリーフォームを凍結粉砕後、粉砕物約1gを20ml容器に入れ、150℃で40分間加熱して得られるアセトアルデヒドの量をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、純粋なアセトアルデヒドの希釈液値と比較してその絶対値を求めた。
7.環状3量体の含量
樹脂またはフリーフォーム試料をクロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール混合溶媒に溶解後、クロロホルムを加えて希釈し、メタノールを加えて樹脂を再析出させた。溶液を蒸発乾燥した後、さらにジメチルホルムアミドで溶解後、環状3量体の量を液体クロマトグラフィーで定量した。
純粋なジメチルテレフタレート(DMT)11700重量部を3560重量部の水と共に260℃、60barで約10時間反応させ、テレフタル酸とメタノールが混合された水溶液を得た。水溶液の中のメタノールを蒸発後、水溶液を結晶化容器に移送してテレフタル酸を結晶化させ、遠心分離法にて結晶化したテレフタル酸を水溶液から分離した。分離されたテレフタル酸の乾燥後の4-CBAとp-トルイン酸の含量は各々2及び18ppmであった。4-CBAとp-トルイン酸の含量はNHOHに溶解後にキャピラリーイオン分析機(capillary ion analyzer)で測定した。乾燥されたテレフタル酸(HPTA)9960重量部、エチレングリコール5208重量部のスラリー(slurry)をエステル化反応器に入れ、温度及び圧力を各々250℃、1.0kgf/cmで維持させた。反応生成物の中の水とエチレングリコール混合液を継続反応器の外部に抜き出しながら、滞留時間が400分となるようにした。続いて、リン酸トリメチルをテレフタル酸1モルを基準としてリン(P)原子が0.012モル%となるように投入し、重縮合触媒としてチタン-ケイ素からなる複金属触媒をチタン原子が0.006モル%となるように投入した後、反応物を重縮合反応器に移送した。重縮合反応は280℃、1.0torrで83分間行われ、得られたポリエステルの固有粘度は0.59dl/gであった。得られたポリエステル樹脂を160℃で2時間放置して結晶化させ、結晶化した樹脂を固相重合反応器に移送した後、継続窒素を流しながら210℃で固有粘度が0.80dl/gとなるように滞留させた結果、ハンターの色座標b(color-b)が5.7であるポリエステル樹脂を得た。固相重合された樹脂を用いて分析法に紹介されている方式にてフリーフォームを射出し、射出したフリーフォームの色調(color-b)、アセトアルデヒド、環状3量体の含量を各々測定して、その結果を表1に示す。
テレフタル酸の中、50モル%はDMTから得られたHPTAを使用し、残り50モル%は4-CBAとp-トルイン酸が各々10及び55ppmであるアモコプロセスで製造された一般のPTAを使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。得られたポリエステル樹脂の各種物性を測定して、その結果を表1に示す。
比較例1
テレフタル酸として実施例2に記載された一般のPTA100%を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。得られたポリエステル樹脂の各種物性を測定して、その結果を表1に示す。
比較例2及び3
テレフタル酸として実施例2に記載された一般のPTA100%を使用し、触媒として各々ゲルマニウムとアンチモンを使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。得られたポリエステル樹脂の各種物性を測定して、その結果を表1に示す。
Figure 0004849831
前記表1において、AA及びCTは各々アセトアルデヒド及び環状3量体を意味する。前記表1から、本発明の実施例によって製造されたポリエステル樹脂は、チタン触媒を使用する比較例1によって製造された樹脂よりも、アセトアルデヒド、環状3量体などの不純物の含量が相対的に少なく、色度に優れることが分かり、ゲルマニウムとアンチモンを使用した比較例2及び3と比較しても、不純物の含量及び色度が同等以上であることが分かる。

Claims (7)

  1. チタン触媒の存在下において、ジメチルテレフタレートの加水分解により得られるテレフタル酸またはそのエステル誘導体を含むジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる工程を含むポリエステル樹脂の製造方法であって、
    前記ジメチルテレフタレートの加水分解が、ジメチルテレフタレートに対しモル比で3〜4倍の純水をジメチルテレフタレートと混合し、これを250〜300℃の温度、及び40〜70barの圧力で10〜20時間反応させて行われ、
    前記テレフタル酸が、4-CBAの含量が3ppm以下であり、p-トルイル酸の含量が25ppm以下である、前記製造方法。
  2. 前記ジカルボン酸成分は、前記テレフタル酸と共に、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらの混合物からなる群より選ばれるジカルボン酸成分をさらに含む請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 前記テレフタル酸の含量は、全体のジカルボン酸成分に対し10モル%以上である請求項2に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 前記触媒は、チタン、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、コバルト、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、リチウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、ホウ素、ガリウム、スカンジウム、イットリウム、ハフニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ランタン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及びこれらの混合物からなる群より選ばれる金属を含む複金属系触媒である請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 前記ポリエステル樹脂は、チタンの含量が0.1〜100ppmである請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  6. 前記反応は、コバルト化合物、有機トナー、無機トナー及びこれらの混合物からなる群より選ばれる整色剤の存在下で行われる請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 前記ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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