JP4849753B2 - アクリル系エマルジョンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系エマルジョンの製造方法に関し、更に詳しくは、固形分50重量%以上の高濃度でも、重合安定性、エマルジョンの機械的安定性、凍結融解安定性、高温放置安定性に優れ、更にエマルジョン被膜の機械物性にも優れたアクリル系エマルジョンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、酢酸ビニル単量体の乳化重合では、エマルジョン粒子表面にポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を吸着させることにより、安定性に優れたエマルジョンを得ることができ、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度を変えることにより、所望の粘度のエマルジョンが得られることが知られている。
しかし、アクリル系単量体やスチレン系単量体、ジエン系単量体は、酢酸ビニル単量体と比べて重合時の安定性に乏しく、低濃度のエマルジョンでしか得られず、又、得られたエマルジョンにおいても放置安定性が得られないなどの問題があった。
【0003】
このような中、▲1▼特開平6−179705号公報では、アクリル系単量体、スチレン系単量体及びジエン系単量体の乳化重合の際に、保護コロイドとして末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールを用いることが、▲2▼特開平8−245706号公報では、アクリル系単量体、スチレン系単量体、ジエン系単量体より選ばれた少なくとも1種以上のエチレン性不飽和単量体の乳化重合に際して、重合反応が開始して以後、熟成を開始するまでの間に、特定量のポリビニルアルコールを添加することが、▲3▼特開2000−256424号公報では、アクリル酸エステル系モノマーをポリビニルアルコールの存在下に、粒子径0.5μm以下に乳化分散し、乳化重合させることが、それぞれ提案されている。
又、▲4▼特開平8−92306号公報では、ポリビニルアルコール系樹脂乳化剤及び重合開始剤を含む水性媒体中に、あらかじめポリビニルアルコール系樹脂乳化剤を用いてアクリル系単量体を乳化した前乳化液を滴下させながら、乳化重合を実施することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼開示技術では、メルカプト基を有するポリビニルアルコールを用いており、汎用のポリビニルアルコールに比較して原料が高価である上、しかも製造工程が煩雑になることからコストが高くなり、このような方法で得られたエマルジョンの用途が限定されるという問題があり、又、上記▲2▼開示技術では、乳化重合を開始させるときに乳化剤を使用しているために、各種用途に使用する場合に乳化剤がマイグレーションを起こし、物性に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
更に、上記▲3▼開示技術では、モノマー乳化物の粒子径を小さくするために特殊な装置を要する上、モノマー乳化物の粘度が高くなり扱いにくく、その結果40重量%を越えるような高濃度のエマルジョンが得られないという問題があった。
上記▲4▼開示技術では、約45%の濃度でも高粘度であり重合時の安定性(スケーリング)や粗粒子の点では充分ではなく、又、エマルジョンの保存安定性や耐水性、耐溶剤性については良好なエマルジョンが得られているものの、エマルジョンの機械的安定性や凍結融解安定性についてはまだまだ不充分であり、更なる改良が求められている。
【0006】
そこで、本発明ではこのような背景下において、固形分50重量%以上の高濃度でも、重合安定性、エマルジョンの機械的安定性、凍結融解安定性、高温放置安定性に優れ、更にエマルジョン被膜の機械物性にも優れたアクリル系エマルジョンの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者はかかる課題を解決すべく種々検討を重ねたところ、平均粒子径が0.3〜10μmである樹脂エマルジョン(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)の存在下で、アクリル系単量体(D)を重合するアクリル系エマルジョンの製造方法であって、樹脂エマルジョン(A)が、水と水溶性溶剤との混合溶媒中で、ポリビニルアルコール系樹脂(B)及び重合開始剤(C)の存在下に、アクリル系単量体(a1)を重合して得られた樹脂エマルジョン(A1)であり、水溶性溶剤が、炭素数1〜4のアルコール、アセトンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするアクリル系エマルジョンの製造方法が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明では、樹脂エマルジョン(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)の存在下で、アクリル系単量体(D)を重合するわけであるが、かかる樹脂エマルジョン(A)としては、平均粒子径が0.3〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは0.6〜3μmのものであればよい。該平均粒子径が0.3μm未満では高濃度のエマルジョンを得ようとすると重合安定性が低下したり、エマルジョンの各種安定性が低下することとなり、10μmを越えると粗粒子が増加するとともにエマルジョンの放置安定性が低下し本発明の効果を発揮しない。
【0010】
まず、樹脂エマルジョン(A)について、以下に説明する。
樹脂エマルジョン(A)としては、水炭素数1〜4のアルコール、アセトンから選ばれる少なくとも1種の水溶性溶剤との混合溶媒中で、ポリビニルアルコール系樹脂(B)及び重合開始剤(C)の存在下に、アクリル系単量体(a1)を重合して得られた樹脂エマルジョン(A1)であることが必要である。
【0011】
水溶性溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコールやアセトンが挙げられ、その中から少なくとも1種が用いられる。中でもエタノールが好適に用いられる。
かかる混合溶剤において、水と水溶性溶剤との含有割合としては、樹脂エマルジョン(A1)に含まれる全水の量:樹脂エマルジョン(A1)に含まれる全水溶性溶剤の量が9.5:0.5〜5:5(重量比)であることが好ましく、より好ましくは9.2:0.8〜6:4(重量比)、特に好ましくは9:1〜7:3(重量比)である。かかる混合割合が5:5未満では樹脂エマルジョン(A1)製造時の重合が不安定となるとともに、水溶性溶剤の量が多くなりその留去に時間がかかり不利となり、9.5:0.5を越えると樹脂エマルジョン(A1)製造時の重合安定性が低下し好ましくない。
【0012】
ポリビニルアルコール系樹脂(B)としては、特に制限されないが、通常、重合度は200〜5000、平均ケン化度は60〜99モル%のものが好ましく、より好ましい重合度は400〜3000、特には500〜2600であり、より好ましい平均ケン化度は75〜97モル%、特には80〜95モル%である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂(B)の重合度が200未満では重合安定性が低下したり、最終的に得られる塗膜の機械物性が低下したりすることとなり、5000を越えると樹脂エマルジョン(A)の粘度が高くなり、アクリル系単量体(D)の重合時の重合安定性が低下し好ましくない。平均ケン化度が60モル%未満では樹脂エマルジョン(A)の粘度が高くなり、アクリル系単量体(D)の重合時の重合安定性が低下し、99モル%を越えると樹脂エマルジョン(A)製造時の重合安定性が低下し好ましくない。
【0013】
ここで、ポリビニルアルコール系樹脂(B)とは、ポリ酢酸ビニルのケン化物である。又、それ以外にビニルエステル及びそれと共重合しうる単量体、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタドデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基を有する化合物、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等のオキシアルキレン基を有する不飽和単量体等との共重合体ケン化物が含まれるが、必ずしもこれに限定されるものではない。又、オキシアルキレンエーテル化、シアノエチル化、アセタール化、ウレタン化、エステル化、アセトアセチル化、スチルバゾリウム4級塩ペンダンド型等の、いわゆる「後変性」されたもの、更にはメルカプタン等で末端修飾したものであってもよい。
【0014】
重合開始剤(C)としては、特に制限されず、水溶性、油溶性のいずれのものも用いることが可能で、具体的には、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)等が挙げられる。中でも過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、及び各種レドックス系触媒(酸化剤としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸)が好適に用いられる。
【0015】
更に、本発明で用いられるアクリル系単量体(a1)としては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものであり、かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルや、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が9以上の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。中でも、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく用いられる。
【0016】
又、上記アクリル系単量体(a1)の他にスチレン系単量体やジエン系単量体を用いてもよい。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸等が挙げられ、ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられ、中でもスチレンが好ましく用いられる。
【0017】
更に、アクリル系単量体(a1)として、各種官能基含有単量体やその他共重合可能な単量体を含有してもよく、かかる官能基含有単量体としては、例えば、▲1▼カルボキシル基含有単量体、▲2▼水酸基含有単量体、▲3▼エポキシ基含有単量体、▲4▼アルコキシシリル基含有単量体、▲5▼アミド基やメチロール基、ケト基を含有する単量体、▲6▼多官能性モノマー等が挙げられる。
【0018】
▲1▼カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
▲2▼水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
▲3▼エポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0019】
▲4▼アルコキシシリル基含有単量体としては、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリポロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン等が挙げられる。
【0020】
▲5▼アミド基やメチロール基、ケト基を含有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ブトキシN−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0021】
▲6▼多官能性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシフォスフェート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート等が挙げられる。
これら官能基含有単量体は、1種又は2種以上併用して用いられる。
【0022】
上記の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等が特に好ましく用いられる。
【0023】
又、その他共重合可能な単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、アルキルビニルエーテル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
上記アクリル系単量体(a1)において、(メタ)アクリル酸エステル、官能基含有単量体、及びその他共重合可能な単量体の含有割合としては、(メタ)アクリル酸エステルが60〜100重量%、官能基含有単量体が0〜20重量%、共重合可能な単量体が0〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルが85〜100重量%、官能基含有単量体が0〜5重量%、共重合可能な単量体が0〜10重量%である。
【0025】
次に、樹脂エマルジョン(A1)を製造する方法を順に説明する。
〔1〕上記アクリル系単量体(a1)を、水又は、水と水溶性溶剤との混合溶媒中でポリビニルアルコール系樹脂(B)を用いて乳化させ、乳化液[I]を調製する。
得られる乳化液[I]の油溶成分の平均粒子径は0.5〜50μm、特には1〜20μmが好ましい。
【0026】
かかるポリビニルアルコール系樹脂(B)の配合量は、アクリル系単量体(a1)100重量部に対して2〜30重量部、特には4〜15重量部が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂(B)が2重量部未満では乳化液が不安定となり、樹脂エマルジョン(A1)製造時の重合が不安定となり、30重量部を越えると乳化液が高粘度となりアクリル系単量体(D)の重合時の重合安定性が低下し好ましくない。
又、水又は、水と水溶性溶剤との混合溶媒の配合量は、アクリル系単量体(a1)100重量部に対して70〜400重量部、特には100〜200重量部が好ましい。かかる配合量が70重量部未満では乳化液が高粘度となり又樹脂エマルジョン(A)製造時の重合が不安定となり、400重量部を越えると最終的に得られるエマルジョンの濃度が低くなり好ましくない。
【0027】
〔2〕〔1〕で得られる乳化液[I]を、水又は、水と水溶性溶剤との混合溶媒中で、重合開始剤(C)の存在下に、重合して樹脂エマルジョン(A1)を調製する。尚、重合缶には予めポリビニルアルコール系樹脂(B)水溶液を仕込んでおいてもよい。又、水溶性溶剤は、上記〔1〕又は〔2〕の工程の少なくとも一方に仕込まれていればよく、アクリル系単量体(a1)の重合系中に存在すればよい。
その方法としては、▲1▼乳化液[I]全量をそのまま昇温して重合する、▲2▼乳化液[I]の一部を昇温して重合を開始し、残りの乳化液[I](必要に応じて重合開始剤(C)も滴下)を滴下又は分割添加して重合を継続する、▲3▼反応缶に水又は、水と水溶性溶剤との混合溶媒、必要に応じて一部のポリビニルアルコール系樹脂(B)、及び重合開始剤(C)を仕込んで昇温した後、乳化液[I]を全量滴下又は分割添加して重合する等が挙げられるが、重合温度の制御が容易である点で、▲2▼、▲3▼の方法が好ましい。
【0028】
重合開始剤(C)の使用量は、アクリル系単量体(a1)100重量部に対して、0.05〜5重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜3重量部である。重合開始剤が0.05重量部未満では重合速度が遅くなり、5重量部を越えるとアクリル系単量体(D)の重合時の重合安定性が低下し好ましくない。
【0029】
尚、該重合開始剤(C)は重合缶内に予め加えておいてもよいし、重合開始直前に加えてもよいし、必要に応じて重合途中に追加添加してもよいし、又、乳化の前のアクリル系単量体(a1)に予め添加したり、該乳化後の乳化液[I]に添加してもよい。添加に当たっては重合開始剤(C)を別途溶媒に溶解して添加したり、溶解した重合開始剤(D)を更に乳化状にして添加してもよい。
又、必要に応じて、重合時に、重合時のpH調整のため、pH緩衝剤を併用してもよい。
【0030】
上記重合方法における重合条件としては、特に限定されないが、例えば、▲1▼の方法では、通常40〜100℃程度の温度範囲が適当であり、昇温開始後1〜8時間程度反応を行う。
▲2▼の方法では、乳化液[I]の5〜50重量%を40〜90℃で0.1〜4時間重合した後、残りの乳化液[I]を1〜5時間程度かけて滴下又は分割添加して、その後同温度で1〜3時間程度熟成する。
▲3▼の方法では、水又は、水と水溶性溶剤との混合溶媒を乳化液[I]の5〜100重量%となるように仕込み、必要に応じ更にポリビニルアルコール系樹脂(B)も仕込み、40〜90℃に昇温し、乳化液[I]を2〜5時間程度かけて滴下又は分割添加し、その後同温度で1〜3時間程度熟成する。
又、必要に応じて、水溶性溶剤を加熱留去してもよい。(水溶性溶剤の留去はアクリル系単量体(D)の重合後に行ってもよい。)
重合終了後は、必要に応じてアンモニア水等のアルカリ液を添加してpHを調整してもよい。
【0031】
かくして樹脂エマルジョン(A1)が得られるが、かかる樹脂エマルジョン(A1)の平均粒子径は、上記の如く0.3〜10μm、更には0.5〜5μmであることが好ましい。又、樹脂エマルジョン(A1)の樹脂分濃度は20〜60重量%とすることが好ましく、特には30〜55重量%が好ましい。
【0034】
かくして得られる平均粒子径が0.3〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは0.6〜3μmである樹脂エマルジョン(A)を用いて、本発明では、該樹脂エマルジョン(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)の存在下に、アクリル系単量体(D)を重合することにより、アクリル系エマルジョンが得られる。
ここで用いられるポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)としては、上記記載のものと同様のものが挙げられる。
又、アクリル系単量体(D)としては、上記アクリル系単量体(a1)と同様のものが挙げられる。具体的には、アクリル系単量体(D)としては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、更に必要に応じて、官能基含有単量体やその他共重合可能な単量体を含有するものである。
【0035】
かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルや、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が9以上の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。中でも、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく用いられる。
【0036】
又、上記アクリル系単量体(D)の他にスチレン系単量体やジエン系単量体を用いてもよい。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸等が挙げられ、ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられ、中でもスチレンが好ましく用いられる。
【0037】
更に、架橋性を有する単量体としては、例えば、▲1▼カルボキシル基含有単量体、▲2▼水酸基含有単量体、▲3▼エポキシ基含有単量体、▲4▼アルコキシシリル基含有単量体、▲5▼アミド基やメチロール基、ケト基を含有する単量体、▲6▼多官能性モノマー等が挙げられる。
【0038】
▲1▼カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
▲2▼水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
▲3▼エポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0039】
▲4▼アルコキシシリル基含有単量体としては、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリポロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン等が挙げられる。
【0040】
▲5▼アミド基やメチロール基、ケト基を含有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ブトキシN−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0041】
▲6▼多官能性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシフォスフェート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート等が挙げられる。
これら官能基含有単量体は、1種又は2種以上併用して用いられる。
【0042】
上記の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等が特に好ましく用いられる。
【0043】
その他共重合可能な単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、アルキルビニルエーテル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
上記アクリル系単量体(D)において、(メタ)アクリル酸エステル、架橋性を有する単量体、及びその他共重合可能な単量体の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルが60〜100重量%、架橋性を有する単量体が0〜20重量%、共重合可能な単量体が0〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルが85〜100重量%、架橋性を有する単量体が0〜5重量%、共重合可能な単量体が0〜10重量%である。
【0045】
上記で得られた樹脂エマルジョン(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)の存在下に、アクリル系単量体(D)を重合するに当たっては、特に限定されないが、上記アクリル系単量体(D)を、水媒体中でポリビニルアルコール系樹脂(B)の存在下に予備乳化させた乳化液[II]を用いて、これを樹脂エマルジョン(A)中で重合することが重合安定性の点から好ましい。
【0046】
更に、アクリル系単量体(D)を予備乳化させた乳化液[II]を重合するに際しては上記と同様の重合開始剤(C)が用いられる。
尚、該重合開始剤(C)は、重合缶内に予め加えておいてもよいし、重合開始直前に加えてもよいし、必要に応じて重合途中に追加添加してもよいし、又、乳化の前のアクリル系単量体(D)の混合液に予め添加したり、該乳化後の乳化液に添加してもよい。添加に当たっては重合開始剤(C)を別途溶媒に溶解して添加したり、溶解した重合開始剤(C)を更に乳化状にして添加してもよい。
【0047】
ポリビニルアルコール系樹脂(B)の配合量は、アクリル系単量体(D)100重量部に対して2〜30重量部とすることが好ましく、更に好ましくは4〜15重量部である。2重量部未満では、乳化液が不安定となるとともに重合安定性が低下し粗粒子の生成が多くなり、30重量部を越えると乳化液が高粘度となり、重合安定性が低下したり、得られたエマルジョンの各種安定性が悪くなり好ましくない。
【0048】
水の使用量については、アクリル系単量体(D)100重量部に対して、最終的に生成するエマルジョン中の水の量が50〜400重量部が好ましく、更には70〜200重量部が好ましく、50重量部未満では乳化液が高粘度となり、又、重合安定性も低下することとなり、400重量部を越えると得られるエマルジョンの濃度が低くなり好ましくない。
又、必要に応じて、重合時のpH調整のため、pH緩衝剤を併用してもよい。
【0049】
次に、乳化液[II]を前記の樹脂エマルジョン(A)中で昇温して重合を開始するのであるが、重合開始剤(C)の使用量は、アクリル系単量体(D)100重量部に対して0.05〜5重量部、特には0.1〜3重量部であることが好ましい。かかる使用量が上記範囲より少ない場合は重合速度が遅くなり、上記範囲を越えると樹脂の分子量が低くなり膜の機械物性が低下し好ましくない。
【0050】
重合に当たっては、例えば樹脂エマルジョン(A)と乳化液[II]を混合した後、そのまま昇温して重合する方法や分割して重合する方法、樹脂エマルジョン(A)中に乳化液[II]の一部を混合し昇温して重合を開始し、残りの乳化液[II]を全量滴下又は、分割、連続滴下して重合を継続する方法、樹脂エマルジョン(A)の存在下に乳化液[II]を滴下又は分割、連続滴下して重合する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚、重合缶に予め、ポリビニルアルコール系樹脂(B)水溶液や水を追加添加しておいてもよい。
重合条件としては、特に制限されないが、通常40〜90℃程度の範囲で行うことが好ましい。
【0051】
重合終了後は、必要に応じてアンモニア水等のアルカリ液を添加し、pH調整をしてもよい。以上により、本発明のアクリル系エマルジョンが得られる。
【0052】
得られたアクリル系エマルジョンの平均粒子径は0.5〜20μm、特には0.8〜10μmであることが好ましい。
又、本発明により得られたアクリル系エマルジョンは、固形分45重量%以上、特には50重量%以上といった高濃度のエマルジョンが安定かつ所望の粘度で得ることができる。
【0053】
上記で得られたアクリル系エマルジョンにおいては、樹脂エマルジョン(A)の含有量が、全固形分に対して固形分換算で1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。該含有量が1重量%未満では重合安定性が低下し、50重量%を越えると水溶性溶剤の量が多くなり留去に時間がかかる問題があり好ましくない。
【0054】
尚、上記アクリル系エマルジョンの製造方法において、乳化重合時に、ポリビニルアルコール系樹脂(B)以外に、必要に応じて、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等の各種界面活性剤も併用することができる。更に他の保護コロイド剤として、例えばセルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなど)、ポリアクリル酸誘導体、(無水)マレイン酸−ビニルエーテル共重合体、(無水)マレイン酸−酢酸ビニル共重合体なども適宜併用できる。
【0055】
本発明において得られたエマルジョンは、感光剤、紙、木材、プラスチックス、繊維等の接着剤、粘着剤、塗料、水性インク用のバインダー、セラミック、モルタル、石膏体、蛍光体等の無機材のバインダー、コーティング剤、紙のクリアーコート及び顔料コート剤、感熱記録紙用バインダー及びオーバーコート剤、繊維加工剤、モルタル混和剤、更には粉末化エマルジョン等として用いることができる。
【0056】
本発明のアクリル系エマルジョンの製造方法は、平均粒子径が0.3〜10μmである樹脂エマルジョン(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)の存在下で、アクリル系単量体(D)を重合するため、重合安定性、エマルジョンの機械的安定性、凍結融解安定性、高温放置安定性に優れ、更にエマルジョン被膜の機械物性にも優れたアクリル系エマルジョンを得ることができる。
【0057】
【実施例】
次に実施例によって本発明を具体的に説明する。尚例中「部」、「%」とあるのは重量基準である。
【0058】
実施例1
〔樹脂エマルジョン(A1)の調製(1段目重合)〕
メチルメタクリレート(a1)50部、n−ブチルアクリレート(a1)50部を含む混合液を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5部を水105部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、乳化液[I]210部を得た。該乳化液[I]の油溶成分の平均粒子径は5μmであった。尚、平均粒子径はダイナミック光散乱光度計「DLS−700」(大塚電子社製)を用い、散乱強度分布より算出した(以下同様)。
又、重合開始剤(C)として過硫酸アンモニウム0.2部を水3.8部に溶解し、開始剤液を調製した。
【0059】
次に、重合缶に、水25.2部とエタノール25部よりなる混合溶媒、pH緩衝剤として第二リン酸ソーダ0.3部、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)0.5部を仕込み加熱し、ポリビニルアルコール系樹脂(B)を溶解した後、内温を75℃に保ち、上記乳化液[I]21部、上記開始剤液の20%を添加し、30分間重合を行った。その後、残りの乳化液[I]189部及び残りの開始剤液を3時間かけて、滴下し重合を行った後、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行い、樹脂エマルジョン(A1)(平均粒子径0.7μm、樹脂分濃度40%)を得た。尚、樹脂分濃度は、樹脂エマルジョン1gを110℃で3時間乾燥した後の残分より算出した(以下同様)。
【0060】
〔アクリル系エマルジョンの調製(2段目重合)〕
次に、メチルメタクリレート(D)47.5部、n−ブチルアクリレート(D)47.5部よりなる混合物を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5.0部を水66.7部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、予備乳化を行い、乳化液[II]166.7部を得た。該乳化液[II]の油溶成分の平均粒子径は8μmであった。
【0061】
そして、重合缶に、水35.9部、pH緩衝剤として第二燐酸ソーダ0.3部、上記で得られた樹脂エマルジョン(A1)12.5部を仕込み加熱し、内温75℃に保ち、上記乳化液[II]166.7部、開始剤液(5%過硫酸アンモニウム水溶液)4.0部を3.5時間かけて滴下し重合を行い、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行った。
重合終了後、冷却し、10%アンモニア水でpHを6.0に調整し、固形分51%、粘度2000mPa・s、粒子径1.5μmのアクリル系エマルジョンを得た。尚、粘度は、B型粘度計を用い、25℃の条件下で測定した(以下同様)。
得られたアクリル系エマルジョンについて、以下の評価を行った。
【0062】
(重合安定性)
上記重合において、重合缶へのスケーリングの有無を観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・スケーリングが少ない
△・・・一部にスケーリング有り
×・・・スケーリングが多い
【0063】
(粗粒子量)
得られたアクリル系エマルジョン100gを100mesh網でろ過し、ろ過成分(凝集物:粗粒子)を100℃で3時間乾燥して、該粗粒子の重量(mg/Em100g)を測定した。
【0064】
(機械的安定性)
マロン式機械的安定性測定装置を用いて、得られたアクリル系エマルジョン50gに、荷重10kgで10分間負荷を与えた後、100mesh網でろ過し、網上に残留した凝固物を100℃で3時間乾燥して、該凝固物の重量(g/Em100g)を測定した。
【0065】
(凍結融解安定性)
得られたアクリル系エマルジョン50gを−15℃で16時間保ち凍結させた後、30℃で1時間融解し、その外観の状態を観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・変化なし
△・・・少し増粘が見られた
×・・・増粘が大きかった
【0066】
(高温放置安定性)
得られたアクリル系エマルジョンを50℃で3ヶ月間静置した後の沈降物や分離の有無を観察し、以下の通り評価した。
○・・・沈降物又は分離はなく、増粘もない
×・・・沈降物又は分離があるか、増粘がある
【0067】
(被膜の機械物性)
得られたアクリル系エマルジョンを、PETフィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、常温で乾燥させてエマルジョン被膜(厚さ:50μm)を作製した。
かかる被膜について、オートグラフを用い、20℃、65%RHの条件下にて、幅10mmのテストピースに対してチャック間隔10mm、伸張速度300mm/minで引張試験を行い、強度(kgf/cm2)及び伸度(%)を測定した。
【0068】
実施例2
〔樹脂エマルジョン(A1)の調製(1段目重合)〕
2−エチルヘキシルアクリレート(a1)50部、スチレン(a1)50部を含む混合液を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5部を水105部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、乳化液[I]210部を得た。該乳化液[I]の油溶成分の平均粒子径は4μmであった。
又、重合開始剤(C)として過硫酸アンモニウム0.2部を水3.8部に溶解し、開始剤液を調製した。
【0069】
次に、重合缶に、水25.2部とエタノール25部よりなる混合溶媒、pH緩衝剤として第二リン酸ソーダ0.3部、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)0.5部を仕込み加熱し、ポリビニルアルコール系樹脂(B)を溶解した後、内温を75℃に保ち、上記乳化液[I]21部、上記開始剤液の20%を添加し、30分間重合を行った。その後、残りの乳化液[I]189部及び残りの開始剤液を3時間かけて、滴下し重合を行った後、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行い、樹脂エマルジョン(A1)(平均粒子径0.6μm、樹脂分濃度40%)を得た。
【0070】
〔アクリル系エマルジョンの調製(2段目重合)〕
次に、2−エチルヘキシルアクリレート(D)47.5部、スチレン(D)47.5部よりなる混合物を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5.0部を水66.7部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、予備乳化を行い、乳化液[II]166.7部を得た。該乳化液[II]の油溶成分の平均粒子径は7μmであった。
そして、重合缶に、水35.9部、pH緩衝剤として第二燐酸ソーダ0.3部、上記で得られた樹脂エマルジョン(A1)12.5部を仕込み加熱し、内温75℃に保ち、上記乳化液[II]166.7部、開始剤液(5%過硫酸アンモニウム水溶液)4.0部を3.5時間かけて滴下し重合を行い、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行った。
合終了後、冷却し、10%アンモニア水でpHを6.0に調整し、固形分51%、粘度3000mPa・s、粒子径1.3μmのアクリル系エマルジョンを得た。
得られたアクリル系エマルジョンについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0071】
実施例3
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000,平均ケン化度88モル%)を、平均重合度600、平均ケン化度88モル%のポリビニルアルコール系樹脂に変更した以外は同様に行い、固形分51%、粘度500mPa・s、粒子径0.9μmのアクリル系エマルジョンを得た。
得られたアクリル系エマルジョンについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0072】
実施例4
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000,平均ケン化度88モル%)を、平均重合度2200、平均ケン化度94モル%のポリビニルアルコール系樹脂に変更した以外は同様に行い、固形分51%、粘度12000mPa・s、粒子径2.0μmのアクリル系エマルジョンを得た。
得られたアクリル系エマルジョンについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0073】
実施例5
実施例1において、〔樹脂エマルジョン(A1)の調製(1段目重合)〕を以下の如く行った以外は同様に行い、固形分51%、粘度500mPa・s、粒子径3.0μmのアクリル系エマルジョンを得た。
得られたアクリル系エマルジョンについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0074】
〔樹脂エマルジョン(A1)の調製(1段目重合)〕
メチルメタクリレート(a1)50部、n−ブチルアクリレート(a1)50部を含む混合液を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5部を水105部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、乳化液[I]210部を得た。該乳化液[I]の油溶成分の平均粒子径は5μmであった。
又、重合開始剤(C)として過硫酸アンモニウム0.2部を水3.8部に溶解し、開始剤液を調製した。
【0075】
次に、重合缶に、水10.2部とエタノール40部よりなる混合溶媒、pH緩衝剤として第二リン酸ソーダ0.3部、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)0.5部を仕込み加熱し、ポリビニルアルコール系樹脂(B)を溶解した後、内温を75℃に保ち、上記乳化液[I]21部、上記開始剤液の20%を添加し、30分間重合を行った。その後、残りの乳化液[I]189部及び残りの開始剤液を3時間かけて、滴下し重合を行った後、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行い、樹脂エマルジョン(A1)(平均粒子径2.0μm、樹脂分濃度40%)を得た。
【0076】
参考例1
実施例1において、〔樹脂エマルジョン(A2)の調製(1段目重合)〕を以下の如く行った以外は同様に行い、固形分51%、粘度5000mPa・s、粒子径2.0μmのアクリル系エマルジョンを得た。
得られたアクリル系エマルジョンについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0077】
〔樹脂エマルジョン(A2)の調製(1段目重合)〕
予め、重合開始剤(C)として過硫酸アンモニウム0.2部を水3.8部に溶解し、開始剤液を調製した。
次に、重合缶に、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5部、pH緩衝剤として第二リン酸ソーダ0.3部、水155.2部を仕込み加熱し、ポリビニルアルコール系樹脂(B)を溶解した後、内温を75℃に保ち、酢酸ビニル(a2)10部、上記開始剤の20%を添加し、30分間重合を行った。その後、酢酸ビニル(a2)90部及び残りの開始剤液を3時間かけて、滴下し重合を行った後、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行い、樹脂エマルジョン(A2)(平均粒子径1.0μm、樹脂分濃度40%)を得た。
【0078】
比較例1
実施例1において、〔樹脂エマルジョン(A1)の調製(1段目重合)〕を以下の如く行った。引き続き実施例1に準じて2段目重合を行おうとしたが、アクリル系単量体(D)の滴下時に凝集してしまい、アクリル系エマルジョンを得ることができなかった。
【0079】
〔樹脂エマルジョンの調製(1段目重合)〕
メチルメタクリレート(a1)50部、n−ブチルアクリレート(a1)50部を含む混合液を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5部を水105部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、乳化液[I]210部を得た。該乳化液[I]の油溶成分の平均粒子径は5μmであった。
又、重合開始剤(C)として過硫酸アンモニウム0.2部を水3.8部に溶解し、開始剤液を調製した。
【0080】
次に、重合缶に、水50.2部、pH緩衝剤として第二リン酸ソーダ0.3部、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)4部を仕込み加熱し、ポリビニルアルコール系樹脂(B)を溶解した後、内温を75℃に保ち、上記乳化液[I]21部、上記開始剤液の20%を添加し、30分間重合を行った。その後、残りの乳化液[I]189部及び残りの開始剤液を3時間かけて、滴下し重合を行った後、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行い、樹脂エマルジョン(平均粒子径0.25μm、樹脂分濃度40%)を得た。
【0081】
比較例2
実施例1において、〔樹脂エマルジョン(A1)の調製(1段目重合)〕を以下の如く行った以外は同様に行い、固形分51%、粘度500mPa・s、粒子径18μmのアクリル系エマルジョンを得、得られたアクリル系エマルジョンについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0082】
〔樹脂エマルジョンの調製(1段目重合)〕
メチルメタクリレート(a1)50部、n−ブチルアクリレート(a1)50部を含む混合液を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度2200、平均ケン化度94モル%)5部を水105部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、乳化液[I]210部を得た。該乳化液[I]の油溶成分の平均粒子径は5μmであった。
又、重合開始剤(C)として過硫酸アンモニウム0.2部を水3.8部に溶解し、開始剤液を調製した。
【0083】
次に、重合缶に、水10.2部とエタノール40部、pH緩衝剤として第二リン酸ソーダ0.3部、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度2200、平均ケン化度94モル%)0.5部を仕込み加熱し、ポリビニルアルコール系樹脂(B)を溶解した後、内温を75℃に保ち、上記乳化液[I]42部、上記開始剤液の10%を添加し、30分間重合を行った。その後、残りの乳化液[I]168部及び残りの開始剤液を3時間かけて、滴下し重合を行った後、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行い、樹脂エマルジョン(平均粒子径12μm、樹脂分濃度40%)を得た。
【0084】
比較例3
重合開始剤(C)として過硫酸アンモニウム0.2部を水3.8部に溶解し、開始剤液を調製した。
次に、メチルメタクリレート47.5部、n−ブチルアクリレート47.5部よりなる混合物を、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)5部を水66.7部に溶解した水溶液に撹拌下に添加し、予備乳化を行い、乳化液166.7部を得た。該乳化液の油溶成分の平均粒子径は8μmであった。
そして、重合缶に、水26.1部、pH緩衝剤として第二燐酸ソーダ0.3部を仕込み加熱し、内温75℃に保ち、上記乳化液166.7部、開始剤液4.0部を3.5時間かけて滴下し重合を行い、更に75℃で1.5時間追い込み重合を行った。
重合終了後、冷却し、10%アンモニア水でpHを6.0に調整し、固形分51%、粘度100000mPa・s、粒子径0.4μmのアクリル系エマルジョンを得た。
得られたアクリル系エマルジョンについて、以下の評価を行った。
【0085】
比較例4
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂(B)(平均重合度1000、平均ケン化度88モル%)を、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル(エチレンオキシドの含有量40モル%)に変更した以外は同様に行い、固形分51%、粘度700mPa・s、粒子径0.6μmのアクリル系エマルジョンを得、得られたアクリル系エマルジョンについて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例、参考例、比較例をそれぞれ表1に示す。
【0086】
〔表1〕
Figure 0004849753
【0087】
【発明の効果】
本発明では、平均粒子径が0.3〜10μmである樹脂エマルジョン(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)の存在下で、アクリル系単量体(D)を重合するアクリル系エマルジョンの製造方法であって、樹脂エマルジョン(A)が、水と水溶性溶剤との混合溶媒中で、ポリビニルアルコール系樹脂(B)及び重合開始剤(C)の存在下に、アクリル系単量体(a1)を重合して得られた樹脂エマルジョン(A1)であり、水溶性溶剤が、炭素数1〜4のアルコール、アセトンから選ばれる少なくとも1種であることにより、固形分50%以上の高濃度でも、重合安定性、エマルジョンの機械的安定性、凍結融解安定性、高温放置安定性に優れ、更にエマルジョン被膜の機械物性にも優れたアクリル系エマルジョンを得ることができる。

Claims (3)

  1. 平均粒子径が0.3〜10μmである樹脂エマルジョン(A)、ポリビニルアルコール系樹脂(B)、重合開始剤(C)の存在下で、アクリル系単量体(D)を重合するアクリル系エマルジョンの製造方法であって、
    樹脂エマルジョン(A)が、水と水溶性溶剤との混合溶媒中で、ポリビニルアルコール系樹脂(B)及び重合開始剤(C)の存在下に、アクリル系単量体(a1)を重合して得られた樹脂エマルジョン(A1)であり、
    水溶性溶剤が、炭素数1〜4のアルコール、アセトンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするアクリル系エマルジョンの製造方法。
  2. アクリル系単量体(D)が、予めポリビニルアルコール系樹脂(B)を用いて乳化した乳化液[II]として添加されることを特徴とする請求項記載のアクリル系エマルジョンの製造方法。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂(B)が、平均重合度200〜5000、平均ケン化度60〜99モル%であることを特徴とする請求項1または2記載のアクリル系エマルジョンの製造方法。
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