JP3992826B2 - 再分散性アクリル系エマルジョン粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段重合により得られたソープフリーのアクリル系エマルジョンを乾燥してなる再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法に関し、既調合のセメント混和剤、粉末塗料、粉末接着剤等に好適に使用でき、再分散性、耐水性、耐アルカリ性、造膜性等の応用物性に優れた再分散性アクリル系エマルジョン粉末、及び該再分散性アクリル系エマルジョン粉末を効率よく製造し得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂エマルジョンを乾燥することにより製造される再分散性合成樹脂エマルジョン粉末は、合成樹脂エマルジョンと比べて以下のような利点を有する。即ち、前記再分散性合成樹脂エマルジョン粉末は、粉末であることから、取扱いが容易であり、輸送に便利であり、更に使用時に水に添加し攪拌するだけで水中に再分散するため、接着剤、塗料用バインダー、セメント製品等への混入剤等として広く利用できるという利点を有する。
【0003】
ところで、前記合成樹脂エマルジョンとしては、ビニルアセテート系樹脂エマルジョンが一般に多く知られているが、前記ビニルアセテート系樹脂の場合、耐アルカリ性に劣るため、用途が制限されてしまうという問題がある。
【0004】
また、前記合成樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂エマルジョンも知られており、前記アクリル系樹脂エマルジョンは、前記ビニルアセテート系樹脂よりも耐アルカリ性に優れるという利点がある。
しかし、前記アクリル系樹脂エマルジョンは、乳化剤として界面活性剤を使用して製造する必要があり、前記アクリル系樹脂エマルジョンを乾燥して得たエマルジョン粉末は、水への再分散性がないという問題がある。
【0005】
一方、水への再分散性を考慮して、界面活性剤を用いず、保護コロイドとして機能するPVAを前記乳化剤として用いて乳化重合を行い、前記アクリル系樹脂エマルジョンを製造することも行われている。ところが、この場合、前記アクリル系樹脂エマルジョンの製造原料であるアクリル系単量体は前記PVAにグラフトし易く、該アクリル系単量体がグラフトしたPVAは、親水性が低下し、保護コロイド能が低下してしまう等の問題がある。
【0006】
そこで、種々の水溶性物質、例えば、メラミンホルムアルデヒドスルホネート縮合物(特公昭51−46126号公報)、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー(特公平4−59324号公報)、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー(特開平4−288335号公報)、フェノールホルムアルデヒドスルホネート縮合物(特開平3−56536号公報)、ゼラチン、デキストリン等の特殊保護コロイド(特公平3−54973号公報)、ポリカルボン酸(特開昭62−129356号公報)等を前記アクリル系エマルジョンに混合し、上記問題を解消することが提案されている。
【0007】
しかしながら、これらの水溶性物質を用いた場合、得られるアクリル系樹脂エマルジョン粉末の湿潤状態における耐水性、接着性等の応用物性が低下してしまう。また、アクリル系樹脂以外の物質を多量に添加するとアクリル系樹脂の性能が劣化してしまう。その結果、前記アクリル系樹脂エマルジョン粉末の用途が制限されてしまうという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、既調合のセメント混和剤、粉末塗料、粉末接着剤等に好適に使用でき、再分散性、耐水性、耐アルカリ性、造膜性等の応用物性に優れた再分散性アクリル系エマルジョン粉末を効率よく製造し得る方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとエチレン性不飽和単量体(但し、エチレン性不飽和カルボン酸は除く)と重合性不飽和基を2個以上有するモノマーを水性媒体中で共重合して架橋構造を有する核を形成する第一段重合工程と、該核の存在下、エチレン性不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを乳化重合して該核上に表層を形成する最終段重合工程とを少なくとも含む多段重合により得られた水性エマルジョンを、乾燥することを特徴とする再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法である。
<2> ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が、第一段重合工程における全単量体に対し5〜30重量%である前記<1>に記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法である。
<3> エチレン性不飽和カルボン酸の使用量が、最終段重合工程における全単量体に対し5〜50重量%である前記<1>又は<2>記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法である。
【0012】
前記<1>に記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法の場合、第一段重合工程において、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとエチレン性不飽和単量体(但し、エチレン性不飽和カルボン酸は除く)と重合性不飽和基を2個以上有するモノマーを水性媒体中で共重合して架橋構造を有する核を形成する。前記第一段重合工程においては、親水性基であるヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、先行して重合して保護コロイドとして機能するため、前記乳化剤を用いる必要がなく、ソープフリーの状態で重合反応が進行され、更に、重合性不飽和基を2個以上有するモノマーは、核の内部で架橋構造を取り易く、最終段重合工程において、重合反応に供されるエチレン性不飽和カルボン酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルが前記核の内部に極めて侵入しにくく、該核上で確実に乳化重合して表層を形成する。そして、最終段重合工程において、前記核の存在下、エチレン性不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを乳化重合して該核上に表層を形成する。このとき、前記核は架橋構造を有しているため、最終段重合工程において、重合反応に供されるエチレン性不飽和カルボン酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、前記核の内部に侵入せず、該核上で乳化重合して表層を形成する。加えて、前記最終段重合工程においては、親水性基であるカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和カルボン酸は、重合した後、前記カルボキシル基が表層の表面に配向し、該のカルボキシル基が解離して電気二重層を形成してエマルジョン粒子を安定化させ、エマルジョン粒子全体の安定性がより向上する。即ち、より安定なソープフリーの状態で重合反応が進行される。この多段重合により水性エマルジョンが得られる。得られた水性エマルジョンを乾燥することにより、再分散性アクリル系エマルジョン粉末が製造される。
【0013】
前記<2>に記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法の場合、前記ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が、第一段工程における全単量体に対し5〜30重量%であるため、ソープフリーの状態で製造を行うことができ、親水性がより向上するため、得られるエマルジョン粉末の再分散性が向上する。前記<3>に記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法の場合、前記エチレン性不飽和カルボン酸の使用量が、最終段重合工程における全単量体に対し5〜50重量%であるため、ソープフリーの状態で製造を行うことができ、より向上するため、得られるエマルジョン粉末の再分散性が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法の説明を行う。
【0015】
本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法においては、第一段重合工程と最終段重合工程とを少なくとも含む多段重合により得られた水性エマルジョンを乾燥する。
なお、本発明においては、前記第一段重合工程と前記最終段重合工程との間に、目的に応じて適宜、第二段重合工程、第三段重合工程、・・・第n段重合工程等を含んでいてもよい。第二段重合工程、第三段重合工程等は、例えば、前記第一段重合工程、前記最終段重合工程と同様にして行うことができる。
本発明において、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末は、前記再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法における重合工程の段数に対応した積層構造を有する。即ち、二段重合工程の場合、核上に表層が形成されてなる二層構造を有し、三段重合工程の場合、核上に第一層と第二層(表層)とがこの順に形成されてなる三層構造を有し、多段重合工程の場合、核上に第一層、第二層、・・・、表層がこの順に形成されてなる多層構造を有する。
【0016】
−第一段重合工程−
前記第一段重合工程は、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとエチレン性不飽和単量体(但し、エチレン性不飽和カルボン酸は除く)と重合性不飽和基を2個以上有するモノマーを、必要に応じて適宜選択したその他の成分の存在下、水性媒体中で共重合して架橋構造を有する核を形成する工程である。
【0017】
前記ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシブチルメタクリレート(HBMA)、ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、これらの中でも、保護コロイド機能に優れ、再乳化性を効果的に付与できる点でヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)などが好ましい。
【0018】
前記エチレン性不飽和単量体(但し、エチレン性不飽和カルボン酸を除く。)としては、特に制限はなく乳化重合可能な公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、α位で分岐した飽和カルボン酸のビニルエステル類、ビニルホスフェート、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜12の(メタ)クリル酸エステルが好ましく、具体的には、エチルアクリレート(EA)、エチルメタクリレート(EMA)、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、プロピルアクリレート(PA)、プロピルメタクリレート(PMA)、ブチルアクリレート(BA)、ブチルメタクリレート(BMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)などが好適に挙げられる。
更に、本発明においては、内部架橋構造を取りやすい重合性不飽和基を2個以上有するモノマーを含有することも必要である。前記重合性不飽和基を2個以上有するモノマーとしては、例えば、ジビニル化合物、ジ(メタ)アクリレート化合物、トリ(メタ)アクリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジアリル化合物、トリアリル化合物、テトラアリル化合物などが挙げられ、具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(EDMA)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリットトリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルジシアヌレート、テトラアリルオキシエタン(TAE)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも、共重合のし易さ、重合安定性、均一な架橋の点で、テトラアリルオキシエタン(TAE)、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(EDMA)が好ましい。
【0019】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋性モノマー、重合開始剤、重合調整剤などが挙げられる。さらに、本発明ではソープフリーで重合を行うことを特徴とするが、再乳化性を低下させない範囲で乳化剤を使用することができる。
【0020】
前記架橋性モノマーとしては、例えば、官能基を有するモノマーなどが挙げられ、該官能基を有するモノマーとしては、アルコキシシリル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、メチロール基含有モノマー、ニトリル基モノマー、アミド基含有モノマーなどが挙げられる。
【0021】
前記重合開始剤としては、通常の乳化重合に使用できるものであれば特に制限なく使用でき、例えば、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸ナトリウム(SPS)、過硫酸アンモニウム(APS)等の無機過酸化物、有機過酸化物、アゾ系開始剤、過酸化水素、ブチルパーオキサイド等の過酸化物、及びこれらと還元剤とを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、これらの中でも、皮膜物性や強度増強に悪影響を与えず重合が容易な点で過硫酸アンモニウム(APS)が好ましい。
【0022】
前記重合調整剤としては、連鎖移動剤やバッファーなどが挙げられ、これらは、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
前記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、アセトフェノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等の炭素数2〜8のカルボン酸類、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル(TGO)、チオグリセロール等のメルカプタン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バッファーとしては、例えば、酢酸ソーダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記水性媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水とアルコールなどの水溶性溶剤混合液などが挙げられる。
【0024】
前記ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量としては、第一段重合工程で使用する全単量体に対し、5〜30重量%が好ましく、7〜20重量%がより好ましい。
前記使用量が、30重量%を超えると重合安定性が低下し、得られる再分散性アクリルエマジョン粉末の耐水性が低下することがあり、5重量%未満であると保護コロイド適性に欠けることがある。
【0025】
前記第一段重合工程におけるエチレン性不飽和単量体の使用量としては、第一段重合工程で使用する全単量体に対し、65〜95重量%が好ましい。
前記使用量が、95重量%を超えると再乳化性が低下することがあり、65重量%未満であると重合安定性が低下し、かつ得られる再分散性アクリルエマジョン粉末の耐水性が低下することがある。
【0026】
前記その他の成分として前記架橋性モノマーを用いる場合、該架橋性モノマーの使用量としては、第一段重合工程で使用する全単量体に対し通常、0.1〜5重量%であり、1〜3重量%が好ましい。
前記架橋性モノマーの使用量が、0.1重量%未満であると架橋性が不十分になることがあり、5重量%を超えると安定性が低下し、ゲル化することがある。
前記その他の成分として、前記重合開始剤、前記重合調整剤、乳化剤などを用いる場合、これらの使用量としては、本発明の目的を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
前記共重合の反応条件としては、特に制限はなく、共重合成分の種類、目的等に応じて適宜選択することができる。
【0028】
前記第一段重合工程は、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、公知の重合缶等の反応器に、前記ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、前記エチレン性不飽和単量体(但し、エチレン性不飽和カルボン酸は除く)の全量又は一部とを、所望量の前記水性媒体(例えば、水)と共に仕込み、昇温し、前記重合開始剤を添加して重合反応を開始させることにより行うことができる。なお、最初の仕込みで、前記エチレン性不飽和単量体(但し、エチレン性不飽和カルボン酸は除く)の全量を仕込まなかった場合は、その残量を滴下して第一段重合工程における重合反応を進行させることができる。
前記第一段重合工程においては、親水性基であるヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがポリマー化し、保護コロイドとして機能するため、乳化剤を用いる必要がなく、ソープフリーの状態で重合反応を進行させることができる。
【0029】
以上の第一段重合工程により、前記ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと前記エチレン性不飽和単量体との共重合体を含有し、架橋構造(「ゲル構造」と言うことがある)を有する核が形成される。
前記核は、架橋構造を有するため、耐水性、強度、耐溶剤性に優れ、後述の最終段重合工程において乳化重合を行っても、この最終段重合工程で用いる単量体が該核の内部に侵入するのを抑制する。このため、前記最終段重合工程で用いる単量体は、前記核上で乳化重合し、該核上に表層を形成する。
【0030】
本発明においては、前記核における、トルエンに不溶性の部分が、該核の少なくとも20重量%(20重量%以上)である場合に、該核が架橋構造を有していることとする。本発明においては、前記核における、トルエンに不溶性の部分が、該核の少なくとも50重量%(50重量%以上)であるのが好ましく、該核の少なくとも80重量%(80重量%以上)であるのが特に好ましい。
前記核における、トルエンに不溶性の部分の割合が、該核の20重量%未満であると、架橋構造が十分でないため、表層の重合工程で用いるモノマーが該核の内部に侵入し易く、そこで重合するため、特にエチレン性不飽和カルボン酸を表層に多く分布することにより発現する再乳化性付与効果が低下することがある。
【0031】
前記架橋構造の検証は、例えば、前記核の重量に対する、トルエンで溶解した後の該核の重量の割合(重量%)を求めることにより行うことができる。具体的には、前記第一段重合工程で得られた共重合体を乾燥させフィルム化してその重量を測定し、これを室温で24時間トルエン抽出して残存フィルムの重量を測定する。これを下記式を用いて前記トルエン不溶分率(%)を算出することができる。
トルエン不溶分率(%)=(抽出前のフィルム重量(g) −抽出後のフィルム重量(g))/抽出前のフィルム重量(g) ×100
【0032】
前記第一段重合工程における重合反応の終了後に、必要に応じて第二段重合工程、第三段重合工程等を行い、以下の最終段重合工程における重合反応を開始する。
【0033】
−最終段重合工程−
前記最終段重合工程においては、前記核の存在下、エチレン性不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを、乳化重合して該核上に表層を形成する工程である。
【0034】
前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、これらの中でも、再乳化性の付与や共重合性に優れる点でメタクリル酸(MAA)が好ましい。
【0035】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、前記第一段重合工程で例示したものが挙げられる。
【0036】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記エチレン性不飽和カルボン酸及び/又は前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマー、前記重合開始剤、前記重合調整剤、乳化剤などが挙げられる。
【0037】
前記エチレン性不飽和カルボン酸及び/又は前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、α位で分岐した飽和カルボン酸のビニルエステル類、ビニルホスフェート、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、2−ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリル酸アルコキシエチル、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の多官能シラン系単量体等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは、接着力や耐水性の向上などの機能性を付与するために共重合させるものである。
【0038】
前記その他の成分として、前記第一段重合工程で使用した、前記重合開始剤、前記重合調整剤、前記乳化剤などが使用でき、これらは特に制限はなく、公知の物の中から適宜選択すればよい。
【0039】
前記エチレン性不飽和カルボン酸の使用量としては、最終段重合工程における全単量体にに対し、5〜50重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
前記使用量が、50重量%を超えると耐水性がなく、アルカリ存在下で増粘、ゲル状化することがあり、5重量%未満であると再乳化性が得られないことがある。
前記(メタ)アクリル酸エステルの使用量としては、最終段重合工程における全単量体に対し、50〜95重量%が好ましく、70〜90重量%がより好ましい。
前記使用量が、95重量%を超えるとエチレン性不飽和カルボン酸の使用量が不足するため再乳化性が得られないことがあり、50重量%未満であると得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末の耐アルカリ性や耐久性、耐水性が低下することがある。
【0040】
前記その他の成分として前記エチレン性不飽和カルボン酸及び/又は前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマーを用いる場合、該モノマーの使用量としては、再乳化性エマルジョン粉末の最低造膜温度(MFT)が30℃以下できれば15℃以下になることを考慮しながら決定しなければならない。通常、50重量%以下であり、30重量%以下が好ましい。
前記モノマーの使用量が、50重量%を超えるとアクリル系単量体の使用量が減ることになり、耐久性が低下することがある。
前記その他の成分として、前記重合開始剤、前記重合調整剤、前記乳化剤などを用いる場合、これらの使用量としては、本発明の目的を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
なお、前記重合工程の段数が二段の場合、前記第一段重合工程における核と、第二段重合工程における表層との重量比(核/表層)としては、90〜20/10〜80が好ましく、70〜30/30〜70がより好ましい。
前記重量比が、前記第一段重合工程における核の重量が最終重合体の重量に対し90を超えると表面層が少なくなり再乳化性が低下することがあり、前記第一段重合工程における核の重量が最終重合体の重量に対し20を下回ると第一段の重合工程で生成する保護コロイド量が少なくなり安定に重合ができなくなることがある。一方、前記重量比が前記数値範囲内にあると、表層に起因する再乳化性と、核に起因する再分散性アクリル系エマルジョン粉末の耐水性、強度付与等とのバランスを良好にすることができる。
【0042】
前記乳化重合の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バッチ式乳化重合、モノマー滴下式乳化重合、乳化モノマー滴下式乳化重合、などのいずれであってもよい。
【0043】
前記乳化重合の反応条件としては、特に制限はなく、共重合成分の種類、目的等に応じて適宜選択することができる。
【0044】
以上の多段重合により、均一な乳白色の水性エマルジョンが得られる。
前記最終段重合工程においては、エチレン性不飽和カルボン酸が共重合すると、粒子の表面に親水性基であるカルボキシル基が配向し、粒子の保護成分として機能するため、乳化剤を用いる必要がなく、ソープフリーの状態で乳化重合反応を進行させることができる。
所望により、pH調整剤、防腐剤、可塑剤などを添加することができる。これらは特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択すればよい。
次に、該水性エマルジョンを乾燥させる。
【0045】
−乾燥−
前記乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、凝析後の温風乾燥などが挙げられる。
これらの中でも、生産コスト、省エネルギー、再乳化性の点で噴霧乾燥が好ましい。
【0046】
前記噴霧乾燥の場合、その噴霧形式としては、特に制限はなく、例えばディスク式、ノズル式などが挙げられる。また、前記噴霧乾燥の熱源としては、例えば、熱風、加熱水蒸気などが挙げられる。前記噴霧乾燥の条件としては、噴霧乾燥基の大きさ、種類、エマルジョンの濃度、粘度、流量等に応じて適宜選択すればよいが、温度としては、80〜150℃程度である。
前記噴霧乾燥の場合、例えば、まず前記水性エマルジョン中の不揮発分を調整し、噴霧乾燥機のノズルより連続的に供給し、霧状にしたものを温風により粉末化させる。
【0047】
なお、本発明においては、その際、ブロッキング防止剤として適宜選択した公知の不活性な無機又は有機粉末、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、無水珪酸、珪酸アルミニウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト等を使用することができる。これらの中でも、平均粒径が0.01〜0.5μm程度の無水珪酸、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム等が好ましい。これらの粉末は、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末に対して2〜30重量%程度であるのが好ましい。
【0048】
なお、本発明においては、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末の水への再分散性をより向上させる観点から、前記噴霧乾燥前の水性エマルジョンに、水溶性添加剤を添加してもよい。
前記水溶性添加剤の使用量としては、前記噴霧乾燥前の水性エマルジョンの固形分に対し、5〜50重量%が好ましい。前記添加量が、50重量%を超えると再分散性アクリル系エマルジョン粉末の耐水性が十分でなく、5重量%未満であると、再分散性向上の効果が十分でないことがある。
【0049】
前記水溶性添加剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、澱粉誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性アルキド樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性ウレア樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性グアナミン樹脂、水溶性ナフタレンスルホン酸樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリオール樹脂、水溶性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
以上により、本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末が製造される。本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法によると、極めて効率よく本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末を製造することができる点で有利である。
【0051】
本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末は、前記ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと前記エチレン性不飽和単量体との共重合体を含有し、架橋構造を有する核上に、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと前記エチレン性不飽和カルボン酸との共重合体を含有する表層を有してなる。
【0052】
本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末は、従来のアクリル系樹脂エマルジョン粉末と異なり、PVA保護コロイド系ビニルアセテート樹脂エマルジョン粉末並みの再分散性を有する点で有利である。
このため、本発明の再分散性アクリル系エマルジョン粉末は、再分散性、耐水性、耐アルカリ性、造膜性等の応用物性に優れ、既調合のセメント混和剤として、あるいは粉末塗料や粉末接着剤等として、好適に使用することができる。
【0053】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
−第一段重合工程−
下記組成のモノマー組成物A−1の5重量部、下記組成の触媒組成物C−1の100重量部と水170重量部を反応器に仕込み、内温80℃で10分間初期重合させた。その後、モノマー組成物A−1の95重量部を2時間かけて滴下し、重合反応させた。
−−モノマー組成物A−1−−
メチルメタクリレート(MMA)・・・・・・・・・・・ 45重量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)・ 10重量部
ブチルアクリレート(BA)・・・・・・・・・・・・・ 40重量部
テトラアリルオキシエタン(TAE)・・・・・・・・・ 2重量部
−−触媒組成物C−1−−
過硫酸アンモニウム(APS)・・・・・・・・・・・・0.6重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10重量部
【0055】
−第二段重合工程−
上記第一段重合工程における反応液に、下記組成の触媒組成物C−2の100重量部を添加し、下記組成のモノマー組成物A−2の100重量部を1.5時間かけて滴下し、乳化重合させた。そして、内温80℃で1時間重合反応を熟成し、完結させた。その後、10%水酸化ナトリウム水溶液で反応液のpHを約9に調整した。
−−モノマー組成物A−2−−
メチルメタクリレート(MMA)・・・・・・・・・・・ 13重量部
ブチルアクリレート(BA)・・・・・・・・・・・・・ 32重量部
メタクリル酸(MAA)・・・・・・・・・・・・・・・ 10重量部
チオグリコール酸オクチル(TGO)・・・・・・・・・0.1重量部
−−触媒組成物C−2−−
過硫酸アンモニウム(APS)・・・・・・・・・・・・0.4重量部
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10重量部
【0056】
−噴霧乾燥−
以上の二段重合により水性エマルジョンを得た。この水性エマルジョンを噴霧乾燥させ、再分散性アクリル系エマルジョン粉末を製造した。
【0057】
以上により得られた再分散性アクリル系エマルジョン粉末について、以下の評価を行った。
【0058】
<架橋構造の検証>
前記架橋構造の検証は、以下のようにして行った。
各例の核の重合工程のみを行い1時間熟成して重合を終了させる。得られたエマルジョンを剥離紙上に流し、40℃で16時間乾燥させフィルムを得、このフィルムの重量を測定した。次に、このフィルムをトルエンに浸漬して室温下で24時間放置してトルエン可溶性分を抽出処理した。抽出処理後のフィルムをデシケーター中に12時間放置し、フィルム中のトルエンを蒸発させ重量を測定した。得られた測定結果を下記式よりトルエン不溶分率(%)を算出した。その結果を表2に示した。
トルエン不溶分率(%)=(抽出前のフィルム重量(g) −抽出後のフィルム重量(g))/抽出前のフィルム重量(g) ×100
【0059】
<再分散性>
得られた再分散性アクリル系エマルジョン粉末30重量部を、脱イオン水100重量部に添加して、攪拌機を用いて十分に攪拌し、該脱イオン水中に再分散させた。この再分散液をガラス容器に入れ室温で放置した。このときの再分散性を以下の基準にて評価した。その結果を表2に示した。
○・・・均一な再分散液が得られ、エマルジョン粉末の沈降が僅かしか観られない状態
×・・・再分散液が相分離し、透明な液の相と沈降したエマルジョン粉末の相とが観られる状態
【0060】
<造膜性>
再分散液をガラス板上にアプリケーターで均一に塗布し、室温で12時間乾燥させ膜を形成させた。得られた膜の状態を以下の基準にて評価した。その結果を表2に示した。
○・・・均一で強靱な膜が形成された状態
×・・・膜が形成できないか、脆い膜が形成された状態
【0061】
その結果、実施例1で得られた再分散性アクリル系エマルジョン粉末における核のトルエンに不溶性の部分は、該核の100重量%であった。また、再分散性は○であった。造膜性は○であった。
【0062】
(実施例2〜6)
実施例1において、モノマー組成物A−1を表1に示す通りに変更した外は実施例1と同様にして行った。得られた再分散性アクリル系エマルジョン粉末について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0063】
(比較例1)
実施例1において、モノマー組成物A−1を表1に示す通りに変更し、乳化剤を表1に示す通り使用した外は実施例1と同様にして行った。得られた再分散性アクリル系エマルジョン粉末について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0064】
(比較例2)
実施例1において、モノマー組成物A−1を表1に示す通りに変更した外は実施例1と同様にして行った。得られた再分散性アクリル系エマルジョン粉末について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0065】
(比較例3)
実施例1において、モノマー組成物A−2を表1に示す通りに変更した外は実施例1と同様にして行った。得られた再分散性アクリル系エマルジョン粉末について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
なお、表1において、MMAはメチルメタクリレートを表し、BAはブチルアクリレートを表し、Stはスチレンを表し、2−HEMAは2ーヒドロキシエチルメタクリレートを表し、2ーHPMAは2ーヒドロキシプロピルメタクリレートを表し、TAEはテトラアリルオキシエタンを表し、EDMAはエチレングリコールジメタクリレートを表し、MAAはメタクリル酸を表し、TGOはチオグリコール酸オクチルを表し、APSは過硫酸アンモニウムを表す。
【0068】
【表2】
【0069】
表2の結果からも明らかな通り、第一段重合工程においてヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いず、核がヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー単位として含む共重合体を含有しない比較例1では、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末の再分散性が不十分である。また、第一段重合工程において架橋構造を有する核を形成せず、核が本発明における架橋構造を有しない比較例2では、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末の再分散性及び造膜性が不十分である。また、第二段重合工程においてエチレン性不飽和カルボン酸を用いず、表層がエチレン性不飽和カルボン酸をモノマー単位として含む共重合体を含有しない比較例3では、得られる再分散性アクリル系エマルジョン粉末の再分散性及び造膜性が不十分である。
一方、本発明の実施例の再分散性アクリル系エマルジョン粉末は、いずれも再分散性及び造膜性に優れていた。
【0070】
【発明の効果】
本発明によると、前記従来における問題を解決し、既調合のセメント混和剤、粉末塗料、粉末接着剤等に好適に使用でき、再分散性、耐水性、耐アルカリ性、造膜性等の応用物性に優れた再分散性アクリル系エマルジョン粉末を効率よく製造し得る方法を提供することができる。
Claims (3)
- ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとエチレン性不飽和単量体(但し、エチレン性不飽和カルボン酸は除く)と重合性不飽和基を2個以上有するモノマーを水性媒体中で共重合して架橋構造を有する核を形成する第一段重合工程と、該核の存在下、エチレン性不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを乳化重合して該核上に表層を形成する最終段重合工程とを少なくとも含む多段重合により得られた水性エマルジョンを、乾燥することを特徴とする再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法。
- ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が、第一段重合工程における全単量体に対し5〜30重量%である請求項1に記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法。
- エチレン性不飽和カルボン酸の使用量が、最終段重合工程における全単量体に対し5〜50重量%である請求項1又は2記載の再分散性アクリル系エマルジョン粉末の製造方法。
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