JP4844123B2 - 露光装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、投影光学系と基板との間を液体で満たした状態で、投影光学系を介して基板を露光する露光装置、及び、この露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
本願は、2003年7月9日に出願された特願2003−272615号、及び、2003年7月28日に出願された特願2003−281182号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短くなるほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長は、KrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k・λ/NA … (1)
δ=±k・λ/NA … (2)
ここで、λは、露光波長、NAは、投影光学系の開口数、k、kはプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足する恐れがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば、国際公開第99/49504号パンフレット(特許文献1)に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たし、液体中での露光光の波長が、空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。なお、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、上記文献1の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
国際公開第99/49504号パンフレット
ところで、投影光学系の最も基板側の光学部材の端面(終端面)と基板表面との間に液体を満たした状態においては、基板を保持する基板ステージの移動等によって生じる振動が液体を介してその終端の光学部材に伝わり、投影光学系と液体とを介して基板上に投影されるパターン像が劣化してしまう可能性がある。また、その液体の圧力変化により、投影光学系に力が加わり、投影光学系が変動して基板上に投影されるパターン像が劣化してしまう可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、一方の振動が他方に伝わらないように2つの物体を結合する装置を提供することを第1の目的とする。また、投影光学系と基板との間を液体で満たして露光する際のパターン像の劣化を抑えることができる露光装置、及びこの露光装置を用いるデバイス製造方法を提供することを第2の目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、実施の形態に示す図1〜図17に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号は、その要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の第1の態様は、投影光学系(PL)と基板(P)との間を液体(50)で満たして基板(P)を露光する露光装置であって、投影光学系(PL)は、液体(50)と接する光学部材(60)を含む第1群(60)と、その第1群(60)とは異なる第2群(MPL)とを含み、液体(50)の圧力変化の影響を受けて変化する第1群(60)の位置が第2群(MLP)に対して所定の位置関係を維持するように、第1群(60)の位置調整する駆動機構を備え、第1群を支持する第1支持部材(47)と、第2群(MPL)を支持し、第1支持部材(47)とは異なる第2支持部材(42)と、基板(P)を保持し、かつ光学部材(60)が液体(50)と接触している間、光学部材(60)に対して移動可能な基板ステージ(PST)とを備える。
本態様によれば、投影光学系のうち、液体に接する光学部材を含む第1群と、それとは異なる第2群とを、第1支持部材及び第2支持部材のそれぞれで分離して支持するようにしたので、第1群と第2群とを振動に関して分離することができる。したがって、第1群の振動が第2群に伝わることを防止でき、パターン像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。
本発明の第2の態様は、投影光学系(PL)と基板(P)との間を液体(50)で満たし、投影光学系(PL)と液体(50)とを介して基板(P)上にパターン像を投影することによって基板(P)を露光する露光装置であって、投影光学系(PL)は、液体(50)と接する光学部材を含む第1群(60)と、その第1群(60)とは異なる第2群(MPL)とを含み、第1群(60)を動かす駆動機構(48)により第2群(MPL)に対する第1群(60)の位置調整を行う。
本態様によれば、投影光学系のうちの液体に接する光学部材を含む第1群を、その第1群とは異なる第2群に対して所望の位置に位置決めできるので、投影光学系と基板との間に液体が満たされていても、パターン像の劣化が防止され、高い精度を有するデバイスを製造することができる。
本発明の第3の態様は、第1物体(LS2)と第2物体(108)とを結合する結合装置(160)であって、第1物体(LS2)と第2物体(108)とを結合するパラレルリンク機構(160、161)と、第1物体(LS2)及び第2物体(108)のうちの一方の振動が他方に伝わらないように、パラレルリンク機構(160、161)に内蔵された防振機構(167、172、173、174)とを備える。
本態様によれば、第1物体と第2物体とを、防振機構を内蔵したパラレルリンク機構で結合することで、一方の振動(変動)が他方に伝わることを防止できる。また、パラレルリンク機構を駆動することで、第1物体と第2物体との相対位置の維持・調整を行うことができる。
本発明の第4の態様は、投影光学系(PL2)と基板(P2)との間の少なくとも一部を液体(101)で満たし、投影光学系(PL2)と液体(101)とを介して基板(P2)上にパターンの像を投影することによって基板(P2)を露光する露光装置(EX2)において、投影光学系(PL2)は、液体(101)と接する光学部材を少なくとも含む第1群(102)と、その第1群(102)とパターンとの間に配置される第2群(MPL2)とを含み、前記露光装置は、第1群(102)を保持する第1保持部材(LS2)と、第1保持部材(LS2)とは分離して、第2群(MPL2)を保持する第2保持部材(PK2)と、第1保持部材(LS2)と第2保持部材(PK2)とを支持するフレーム部材(108)とを備える。
本態様によれば、液体と接する光学部材を含む第1群とそれとは異なる第2群とを、第1保持部材及び第2保持部材のそれぞれで分離して保持するようにしたので、第1群と第2群とを振動に関して分離することができる。したがって、液体に起因する第1群を保持する第1保持部材の振動が第2群を保持する第2保持部材に伝わることを防止でき、パターンの像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。
また、例えば基板ステージの位置情報を計測するための干渉計システムの参照鏡(固定鏡)が第2保持部材に取り付けられている構成の場合、第2保持部材に振動が伝わらないようにすることで、基板ステージの位置情報の計測やその計測結果に基づく位置制御を精度良く行うことができる。
本発明の第5の態様は、投影光学系(PL2)と液体(101)を介して基板(P2)上に露光光を照射することによって基板を露光する露光装置(EX2)であって、投影光学系(PL2)は、液体(101)と接する光学部材を含む第1群(102)と、その第1群とパターンとの間に配置される第2群(MPL2)とを含み、露光装置(EX2)は、第1群(102)を保持する第1保持部材(LS2)と、第1保持部材(LS2)とは分離して、第2群(MPL2)を保持する第2保持部材(PK2)と、第1保持部材(LS2)を支持するためのフレーム部材(108)と、第1保持部材(LS2)とフレーム部材(108)の少なくとも一方の振動を抑制するための防振機構(161)を有し、第1保持部材とフレーム部材とを連結する連結機構(160)とを備える。
本態様によれば、液体と接する光学部材を含む第1群とそれとは異なる第2群とを、第1保持部材及び第2保持部材のそれぞれで分離して保持するようにしたので、第1群と第2群とを振動に関して分離することができる。したがって、例えば液体に起因する第1群を保持する第1保持部材の振動が第2群を保持する第2保持部材に伝わることを防止でき、パターンの像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。
本発明の第6の態様は、投影光学系(PL2)と液体(101)とを介して基板(P2)上に露光光を照射することによって基板を露光する露光装置(EX2)において、基板(P)の露光中に、基板(P)上の一部のみに液浸領域(AR2)を形成する液浸機構(110,120)を備え、投影光学系(PL2)は、液体と接する光学部材を含む第1群(102)と、その第1群とパターンとの間に配置される第2群(MPL2)とを含み、第1群(102)と第2群(MPL2)とは振動的に分離して支持されている。
本態様によれば、液体と接する光学部材を含む第1群とそれとは異なる第2群とが振動に関して分離して支持されているので、例えば液体に起因する第1群の振動が第2群に伝わることを防止でき、パターンの像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。
また、本発明の第7の態様は、デバイス製造方法であって、上記記載の露光装置(EX)を用いる。
本発明の露光装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。 投影光学系の先端部と液体供給装置及び液体回収装置との位置関係を示す図である。 供給ノズル及び回収ノズルの配置例を示す図である。 投影光学系の支持構造の第1の実施形態を示す概略図である。 第1群の支持構造の一例を示す概略図である。 投影光学系の支持構造の第2の実施形態を示す概略図である。 本発明の露光装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。 投影光学系の先端部と液体供給機構及び液体回収機構との位置関係を示す図である。 供給ノズル及び回収ノズルの配置例を示す図である。 結合装置を示す概略斜視図である。 結合装置を構成するリンク部の断面図である。 第1群の位置情報を計測する計測手段を示す概略構成図である。 干渉計の一例を示す図である。 図13に示すダブルパス干渉計の特徴を説明するための模式図である。 干渉計の光路を示す模式図である。 第1群の位置情報を計測する計測手段の他の実施例を示す図である。 半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
以下、本発明の露光装置及びデバイス製造方法について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではなく、例えば、これら実施形態の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。
(露光装置の第1実施形態)
図1は、本発明に係る露光装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は、半導体ウエハ上にレジストを塗布したものを含み、「マスク」は、基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体50を供給する液体供給装置1と、基板P上の液体50を回収する液体回収装置2とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給装置1から供給した液体50により投影光学系PLの投影領域を含む基板P上の一部に液浸領域を形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの先端部の光学素子60の先端面(最下面)7と基板Pの表面との間を局所的に液体50で満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体50及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって基板Pを露光する。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージMSTは、マスクMを支持するものであって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわち、XY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTは、リニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは、制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計によりリアルタイムで計測され、計測結果は、制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、複数の光学素子(レンズ)で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。
投影光学系PLは、その先端側(基板P側)に配置され、液体50と接する光学部材を含む光学素子(第1群)60と、光学素子60とマスクMとの間に配置された複数の光学素子を含む投影光学系本体(第2群)MPLとを有している。投影光学系本体MPLは鏡筒PKに支持されており、光学素子60は、鏡筒PKから分離して支持されている。光学素子60及び投影光学系本体MPLの支持構造の詳細に関しては後述する。なお、本実施形態において、第1群を構成する光学素子60は、1つの光学部材(レンズ)により構成されているものとする。
基板ステージPSTは、基板Pを支持するものであって、基板Pを基板ホルダを介して保持するZステージ51と、Zステージ51を支持するXYステージ52とを備えている。Zステージ51及びXYステージ52を含む基板ステージPSTは、ステージベース53に支持されている。基板ステージPSTは、リニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは、制御装置CONTにより制御される。Zステージ51を駆動することにより、Zステージ51に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置が制御される。また、XYステージ52を駆動することにより、基板PのXY方向における位置(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向の位置)が制御される。すなわち、Zステージ51は、基板Pのフォーカス位置及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込み、XYステージ52は、基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。なお、ZステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。
基板ステージPST(Zステージ51)上には基板ステージPSTと一体的に移動する移動鏡54が設けられている。また、移動鏡54に対向する位置にはレーザ干渉計55が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び、回転角は、レーザ干渉計55によりリアルタイムで計測され、計測結果は、制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計55の計測結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板Pの位置決めを行う。
露光装置EXは、投影光学系PLの先端面(光学素子60の先端面)7と基板Pとの間の空間56に所定の液体50を供給する液体供給装置1と、空間56の液体50を回収する液体回収装置2とを備えている。液体供給装置1は、投影光学系PLと基板Pとの間の少なくとも一部を液体50で満たすためのものであって、液体50を収容するタンク、加圧ポンプなどを備えている。液体供給装置1には供給管3の一端部が接続され、供給管3の他端部には供給ノズル4が接続されている。液体供給装置1は、供給管3及び供給ノズル4を介して空間56に液体50を供給する。
液体回収装置2は、吸引ポンプ、回収した液体50を収容するタンクなどを備えている。液体回収装置2には回収管6の一端部が接続され、回収管6の他端部には回収ノズル5が接続されている。液体回収装置2は、回収ノズル5及び回収管6を介して空間56の液体50を回収する。空間56に液体50を満たす際、制御装置CONTは、液体供給装置1を駆動し、供給管3及び供給ノズル4を介して空間56に対して単位時間当たり所定量の液体50を供給するとともに、液体回収装置2を駆動し、回収ノズル5及び回収管6を介して単位時間当たり所定量の液体50を空間56より回収する。これにより、投影光学系PLの先端面7と基板Pとの間の空間56に液体50が配置される。
本実施形態において、液体50には純水が用いられる。純水は、ArFエキシマレーザ光のみならず、露光光ELを例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)とした場合、この露光光ELを透過可能である。
図2は、露光装置EXの投影光学系PLの下部、液体供給装置1、及び液体回収装置2などを示す正面図である。図2において、投影光学系PLの最下端の光学素子60は、先端部60Aが走査方向に必要な部分だけを残してY軸方向(非走査方向)に細長い矩形状に形成されている。走査露光時には、先端部60Aの直下の矩形の投影領域にマスクMの一部のパターン像が投影され、投影光学系PLに対して、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、XYステージ52を介して基板Pが+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピングによって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で各ショット領域に対する露光処理が順次行われる。本実施形態では、基板Pの移動方向と平行に、基板Pの移動方向と同一方向に液体50が流れる。
図3は、投影光学系PLのレンズ60の先端部60Aと、液体50をX軸方向に供給する供給ノズル4(4A〜4C)と、液体50を回収する回収ノズル5(5A、5B)との位置関係を示す図である。図3において、レンズ60の先端部60Aの形状は、Y軸方向に細長い矩形状となっており、投影光学系PLのレンズ60の先端部60AをX軸方向に挟むように、+X側に3つの供給ノズル4A〜4Cが配置され、−X側に2つの回収ノズル5A、5Bが配置されている。そして、供給ノズル4A〜4Cは供給管3を介して液体供給装置1に接続され、回収ノズル5A、5Bは回収管4を介して液体回収装置2に接続されている。また、供給ノズル4A〜4Cと回収ノズル5A、5Bとをほぼ180°回転した配置に、供給ノズル8A〜8Cと、回収ノズル9A、9Bとが配置されている。供給ノズル4A〜4Cと回収ノズル9A、9BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル8A〜8Cと回収ノズル5A、5BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル8A〜8Cは供給管10を介して液体供給装置1に接続され、回収ノズル9A、9Bは回収管11を介して液体回収装置2に接続されている。
図4は、投影光学系PLの支持構造を説明するための概略図である。
なお、図4では、説明を簡単にするために、液体50、液体供給装置1、及び液体回収装置2などは省略されている。図4において、露光装置EXは、投影光学系本体MPLを支持するメインフレーム42と、メインフレーム42及び基板ステージPST(Zステージ51及びXYステージ52)を支持するベースフレーム43とを備えている。投影光学系本体MPLを保持する鏡筒PKの外周にはフランジ41が設けられており、投影光学系本体MPLは、このフランジ41を介してメインフレーム(第2支持部材)42に支持されている。
メインフレーム42とベースフレーム43との間には防振装置44が配置されており、この防振装置44によって、ベースフレーム43の振動が投影光学系本体MPLを支持するメインフレーム42に伝わらないように、メインフレーム42とベースフレーム43とが分離されている。ベースフレーム43は、クリーンルームの床面上に脚部45を介してほぼ水平に設置されている。
ベースフレーム(第2ベース部材)43上には、防振装置46を介してステージベース(第1ベース部材)53が支持されている。この防振装置46によって、ベースフレーム43の振動がステージベース53に伝わらないように、またステージベース53の振動がベースフレーム43に伝わらないように、ベースフレーム43とステージベース53とが分離されている。
ステージベース53上にはエアベアリングなどを用いて基板ステージPSTが非接触支持されており、基板ステージPSTは、不図示のリニアモータを用いてステージベース53上を二次元的に移動可能となっている。ステージベース53上には支持フレーム(第1支持部材)47が設けられており、光学素子60を保持する筐体(レンズセル)61が支持フレーム47で支持されている。このように、光学素子60(筐体61)を保持する支持フレーム47と投影光学系本体MPLを支持するメインフレーム42とは、防振装置44、46を介して互いの振動が伝わらないように分離されている。
なお、図4に示す構成において、支持フレーム47とステージベース53との間に防振装置44、46と同様の防振装置を設けてもよいし、ゴム等の弾性部材を配置して支持フレーム47とステージベース53との間に伝わる振動を減衰させるようにしてもよい。
図5は、投影光学系PLの光学素子60付近の拡大図である。
支持フレーム47と光学素子60を保持する筐体61との間にはボイスコイルモータ(駆動機構)48が配置されており、支持フレーム47はボイスコイルモータ48を介して筐体61を非接触支持しており、ボイスコイルモータ48の駆動により、筐体61に保持された光学素子60は、Z軸方向に移動可能となっている。また、メインフレーム42には干渉計(計測装置)71が配置されており、筐体61に取り付けられた測定ミラー49aと鏡筒PKに取り付けられた測定ミラー49bとからの反射光を受光して、投影光学系本体MPLと光学素子60との間隔を計測している。ボイスコイルモータ48を例えば互いに120°間隔で筐体61と支持フレーム47との間に3個配置して、それぞれを独自に駆動してZ軸方向への移動と投影光学系MPLに対する傾斜とが可能に構成されている。ボイスコイルモータ48は、干渉計71の計測結果に基づいて、投影光学系本体MPLと光学素子60とが所定の位置関係(所定間隔)を維持するように制御される。
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターンを基板Pに露光する手順について説明する。
マスクMがマスクステージMSTにロードされるとともに、基板Pが基板ステージPSTにロードされた後、制御装置CONTは、液体供給装置1を駆動し、空間56に対する液体供給動作を開始する。そして、矢印Xa(図3参照)で示す走査方向(−X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管3、供給ノズル4A〜4C、回収管4、及び回収ノズル5A、5Bを用いて、液体供給装置1及び液体回収装置2により液体50の供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが−X方向に移動する際には、供給管3及び供給ノズル4(4A〜4C)を介して液体供給装置1から液体50が投影光学系PLと基板Pとの間に供給されるとともに、回収ノズル5(5A、5B)、及び回収管6を介して液体50が液体回収装置2に回収され、光学素子60と基板Pとの間を満たすように−X方向に液体50が流れる。一方、矢印Xbで示す走査方向(+X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管10、供給ノズル8A〜8C、回収管11、及び回収ノズル9A、9Bを用いて、液体供給装置1及び液体回収装置2により液体50の供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが+X方向に移動する際には、供給管10及び供給ノズル8(8A〜8C)を介して液体供給装置1から液体50が投影光学系PLと基板Pとの間に供給されるとともに、回収ノズル9(9A、9B)、及び回収管11を介して液体50が液体回収装置2に回収され、光学素子60と基板Pとの間を満たすように+X方向に液体50が流れる。この場合、例えば液体供給装置1から供給ノズル4を介して供給される液体50は基板Pの−X方向への移動に伴って空間56に引き込まれるようにして流れるので、液体供給装置1の供給エネルギーが小さくても液体50を空間56に容易に供給できる。そして、走査方向に応じて液体50を流す方向を切り替えることにより、+X方向、又は−X方向のどちらの方向に基板Pを走査する場合にも、光学素子60の先端面7と基板Pとの間を液体50で満たすことができ、高い解像度及び広い焦点深度を得ることができる。
ここで、ボイスコイルモータ48のコイル部を冷却して所定の温度に設定する冷却装置を設けてもよい。その場合、その冷却装置の冷媒を水とし、液体50の温度を所定に設定する温調装置と一部を共用するようにしてもよい。
また、干渉計71は、投影光学系本体MPLを保持する鏡筒PKと光学素子60を保持する筐体61との間隔を常時監視しており、基板ステージPSTの振動や液体50の圧力変化などによって、その間隔が変化した場合には、干渉計71の計測結果に基づいてボイスコイルモータ48により筐体61に保持された光学素子60が動かされ、投影光学系本体MPLと光学素子60との間隔(位置関係)が所定状態に維持される。
このように、本実施形態においては、投影光学系本体MPLを支持するメインフレーム42と光学素子60を保持する支持フレーム47とが振動的に分離されており、光学素子60に伝わった振動が投影光学系本体MPLに伝わることを防止できる。また、光学素子60は、ボイスコイルモータ48を介して支持フレーム47に非接触支持され、支持フレーム47からの振動が遮断されているため、X軸及びY軸方向の位置が安定しているばかりでなく、ボイスコイルモータ48によってZ軸方向の位置が制御されているので、投影光学系本体MPLに対して光学素子60を所望状態に位置決めできる。したがって、投影光学系PLの光学素子60と基板Pとの間を液体50で満たして液浸露光を実行する場合にも、パターン像の劣化を起こすことなく、所望のパターン像を基板P上に形成することができる。また、基板ステージPSTをモニタする干渉計55やマスクステージMSTをモニタする干渉計(不図示)とともに用いられる参照ミラーが鏡筒PKに設けられている場合には、光学素子60の振動が鏡筒PKに伝わらないので、各干渉計の計測誤差を防止することができる。
なお、測定ミラーを投影光学系本体MPLと筐体61とのそれぞれに複数設け、投影光学系本体MPLと筐体61との間隔のみならず、相対傾斜やX軸方向、及びY軸方向の相対位置を計測するようにしてもよい。また、その計測結果に基づいて、ボイスコイルモータ48によって光学素子60を傾斜させたり、X軸方向、Y軸方向に移動するようにしてもよい。また、本実施形態においては、光学素子60を動かす構成であるが、投影光学系本体MPLを動かすようにしてもよい。また、光学素子60の変動によって基板P上に投影されるパターン像の投影状態(結像状態)が変化する場合には、投影光学系本体MPLを構成する複数の光学部材の一部を動かして、その投影状態の変化を補正するようにしてもよい。
またさらに、上述の第1実施形態においては、計測装置として干渉計システム(49a,49b,71)を用いているが、投影光学系本体MPLと光学素子60との位置関係が所定の精度で計測できるものであれば、別の方式の計測装置を用いてもよい。例えば、鏡筒PKと筐体61とのそれぞれに配置された計測マークの相対的な位置情報を光学的に計測する計測装置を上述の干渉計システムの代わりに使用することもできる。
図6は、投影光学系の支持構造の別の形態を示す概略図である。
本実施形態においては、光学素子60を保持した筐体61を支持する支持フレーム47′がベースフレーム43に取り付けられている点が、図4を参照して説明した投影光学系の支持構造の実施形態と異なっている。本実施形態においても、投影光学系本体MPLを支持するメインフレーム42と光学素子60を保持する支持フレーム47′とが振動的に分離されており、光学素子60に伝わった振動が投影光学系本体MPLに伝わることがなく、また投影光学系本体MPLと光学素子60との位置関係が所定状態に維持されているので、投影光学系PLの光学素子60と基板Pとの間を液体50で満たして液浸露光を実行する場合にも、パターン像の劣化を起こすことなく、所望のパターン像を基板P上に形成することができる。
なお、投影光学系本体MPLと光学素子60とが振動的に分離されていれば、それぞれの支持部材(フレーム)は、上述の各実施形態に限定されるものではない。
また、上記実施形態において、筐体61は、1つの光学素子60のみを保持するようになっているが、光学素子60を含む複数の光学素子を保持するようにしてもよい。また、上述の実施形態においては、光学素子60と、マスクMと光学素子60との間の投影光学系本体MPLとの二群に投影光学系PLを分けているが、三群以上に分離するようにしてもよいし、光学素子60を含む第1群を、その第1群と隣り合わない群との相対位置を所定状態に維持するようにしてもよい。
上記各実施形態において、上述したノズルの形状は特に限定されるものでなく、例えば先端部60Aの長辺について2対のノズルで液体50の供給又は回収を行うようにしてもよい。なお、この場合には、+X方向、又は−X方向のどちらの方向からも液体50の供給及び回収を行うことができるようにするため、供給ノズルと回収ノズルと上下に並べて配置してもよい。
(露光装置の第2実施形態)
図7は、本発明に係る露光装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
図7において、露光装置EX2は、マスクM2を支持するマスクステージMST2と、基板P2を支持する基板ステージPST2と、マスクステージMST2に支持されているマスクM2を露光光EL2で照明する照明光学系IL2と、露光光EL2で照明されたマスクM2のパターン像を基板ステージPST2に支持されている基板P2に投影露光する投影光学系PL2と、露光装置EX2全体の動作を統括制御する制御装置CONT2とを備えている。更に、露光装置EX2は、マスクステージMST2及び投影光学系PL2を支持するメインコラム103を備えている。メインコラム103は、床面に水平に載置されたベースプレート4上に設置されている。メインコラム103には、内側に向けて突出する上側段部(上側支持部)103A及び下側段部(下側支持部)103Bが形成されている。
本実施形態の露光装置EX2は、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P2上に液体101を供給する液体供給機構110と、基板P2上の液体101を回収する液体回収機構120とを備えている。露光装置EX2は、少なくともマスクM2のパターン像を基板P2上に転写している間、液体供給機構110から供給した液体101により投影光学系PL2の投影領域AR1を含む基板P2上の一部に液浸領域AR2を形成する。具体的には、露光装置EX2は、投影光学系PL2の先端部(終端部)の光学部材(光学素子)102と基板P2の表面との間に液体101を局所的に満たし、この投影光学系PL2と基板P2との間の液体101及び投影光学系PL2を介してマスクM2のパターン像を基板P2上に投影することによって、この基板P2を露光する。
本実施形態では、露光装置EX2としてマスクM2と基板P2とを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつ、マスクM2に形成されたパターンを基板P2に露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PL2の光軸AX2と一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクM2と基板P2との同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は、半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は、基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系IL2は、メインコラム103の上部に固定された支持コラム105により支持されている。照明光学系IL2は、マスクステージMST2に支持されているマスクM2を露光光EL2で照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光EL2を集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光EL2によるマスクM2上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM2上の所定の照明領域は、照明光学系IL2により均一な照度分布の露光光EL2で照明される。照明光学系IL2から射出される露光光EL2としては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態において、液体101には純水が用いられる。純水は、ArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMST2は、マスクM2を支持するものであって、その中央部にマスクM2のパターン像を通過させる開口部134Aを備えている。メインコラム103の上側段部103Aには、防振ユニット106を介してマスク定盤131が支持されている。マスク定盤131の中央部にも、マスクM2のパターン像を通過させる開口部134Bが形成されている。マスクステージMST2の下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)132が複数設けられている。マスクステージMST2は、エアベアリング132によりマスク定盤131の上面(ガイド面)131Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等のマスクステージ駆動機構により、投影光学系PL2の光軸AX2に垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMST2上の+X側の所定位置には移動鏡135が設けられている。また、移動鏡135に対向する位置にはレーザ干渉計136が設けられている。同様に、不図示ではあるが、マスクステージMST2上の+Y側にも移動鏡が設けられ、これに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられている。マスクステージMST2上のマスクM2の2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)は、レーザ干渉計136によりリアルタイムで計測され、計測結果は、制御装置CONT2に出力される。制御装置CONT2は、レーザ干渉計136の計測結果に基づいてマスクステージ駆動機構を駆動することでマスクステージMST2に支持されているマスクM2の位置決めを行う。
投影光学系PL2は、マスクM2のパターンを所定の投影倍率βで基板P2に投影露光するものである。本実施形態において、投影光学系PL2は、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PL2は、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。投影光学系PL2は、その終端側(基板P2側)に配置され、液体101と接する光学部材(第1群)102と、光学部材102とパターンを有するマスクM2との間に配置された複数の光学素子を含む光学群(第2群)MPL2とを備えている。なお、本実施形態において、第1群は光学部材102のみ、すなわち1つのレンズ素子(光学素子)のみを含む。レンズ素子102は、金属製のレンズセル(第1保持部材)LS2に保持されている。レンズセルLS2は、金属製であって、レンズセルLS2とレンズ素子102との間には不図示のばね機構が介在している。一方、光学群MPL2は、鏡筒(第2保持部材)PK2で保持されている。レンズセルLS2と鏡筒PK2とは分離している。
鏡筒PK2の外周部にはフランジ部FLG2が設けられている。また、メインコラム103の下側段部103Bには、防振ユニット107を介して鏡筒定盤108が支持されている。そして、フランジ部FLG2が鏡筒定盤108に係合することによって、光学群MPL2を保持する鏡筒PK2が鏡筒定盤(フレーム部材)108に支持される。
レンズ素子102を保持したレンズセルLS2は、後に詳述する結合装置160によって鏡筒定盤108に結合されており、結合装置160を介して鏡筒定盤108に支持された構成となっている。レンズセルLS2に保持されたレンズ素子102は、結合装置160により、鏡筒PK2に保持された光学群MPL2に対して可動となっている。
投影光学系PL2を構成する複数の光学素子のそれぞれは螢石あるいは石英で形成されており、一部の光学素子の曲面には非球面研磨が施されている。特に、レンズ素子102を螢石で形成すると、この螢石は、そのままでは長期間に水によって浸食されてしまうので、適当な薄膜でコートしつつ親和性を高めておく。これにより、レンズ素子102の液体接触面のほぼ全面に液体101を密着させることができ、レンズ素子102と基板P2との間の光路を液体101で確実に満たすことができる。なお、レンズ素子102は、水との親和性が高い石英であってもよい。また、レンズ素子102の液体接触面にコーティング等の親水(親液)処理を施して、液体101との親和性をより高める場合、液浸領域AR2から水を除去した乾燥状態においては、レンズ素子102の液体接触面から水分が素早く逃げるような特殊な膜構造(例えば電界を印加すると分子配列が変化したり、わずかな電流を流すると温度上昇する膜等)にしてもよい。
基板ステージPST2は、基板ホルダPH2を介して基板P2を吸着保持して移動可能に設けられており、その下面には複数の非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)142が設けられている。ベースプレート104上には、防振ユニット109を介して基板定盤141が支持されている。基板ステージPST1は、エアベアリング142により基板定盤141の上面(ガイド面)141Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等の基板ステージ駆動機構により、投影光学系PL2の光軸AX2に垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に、基板ステージPST2は、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能に設けられている。基板ステージ駆動機構は、制御装置CONT2により制御される。基板ステージPST2は、基板P2のフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板P2の表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PL2の像面に合わせ込むとともに、基板P2のX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
基板ステージPST2(基板ホルダPH2)上の+X側の所定位置には基板ステージPST2と一体的に移動する移動鏡180が設けられ、鏡筒PK2の+X側の所定位置には参照鏡(固定鏡)181が設けられている。また、移動鏡180に対向する位置にはレーザ干渉計182が設けられている。レーザ干渉計182は、移動鏡180に測長ビーム(測定光)を照射するとともに、参照鏡181に参照ビーム(参照光)をミラー183A、183Bを介して照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づく移動鏡180及び参照鏡181それぞれからの反射光は、レーザ干渉計182の受光部で受光され、レーザ干渉計182はこれら光を干渉し、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、参照鏡181を基準とした移動鏡180の位置(座標)や変位を計測する。参照鏡181は、鏡筒PK2に支持され、移動鏡180は、基板ホルダPH2(基板ステージPST2)に支持されている。同様に、不図示ではあるが、基板ステージPST2上及び鏡筒PK2の+Y側にも移動鏡及び参照鏡が設けられ、これらに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計182によりリアルタイムで計測され、計測結果は、制御装置CONT2に出力される。制御装置CONT2は、レーザ干渉計182の計測結果に基づいてリニアモータを含む基板ステージ駆動機構を駆動することで基板ステージPST2に支持されている基板P2の移動や位置決めを行う。
また、基板ステージPST2(基板ホルダPH2)上には、基板P2を囲むように補助プレート143が設けられている。補助プレート143は基板ホルダPH2に保持された基板P2の表面とほぼ同じ高さの平面を有している。基板P2のエッジ領域を露光する場合にも、補助プレート143により投影光学系PL2の下に液体101を保持することができる。
基板ステージPST2は、Xガイドステージ144によりX軸方向に移動自在に支持されている。基板ステージPST2は、Xガイドステージ144に案内されつつXリニアモータ147によりX軸方向に所定ストロークで移動可能である。Xリニアモータ147は、Xガイドステージ144にX軸方向に延びるように設けられた固定子147Aと、この固定子147Aに対応して設けられ基板ステージPST2に固定された可動子147Bとを備えている。そして、可動子147Bが固定子147Aに対して駆動することで基板ステージPST2がX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPST2は、Xガイドステージ144に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPST2は、Xガイドステージ144に非接触支持された状態でXリニアモータ147によりX軸方向に移動する。
Xガイドステージ144の長手方向両端には、このXガイドステージ144を基板ステージPST2とともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ148が設けられている。Yリニアモータ148のそれぞれは、Xガイドステージ144の長手方向両端に設けられた可動子148Bと、この可動子148Bに対応して設けられた固定子148Aとを備えている。
そして、可動子148Bが固定子148Aに対して駆動することでXガイドステージ144が基板ステージPST2とともにY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ148のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ144は、θZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ148により基板ステージPST2がXガイドステージ144とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
基板定盤141のX軸方向両側のそれぞれには、Xガイドステージ144のY軸方向への移動を案内するガイド部149が設けられている。ガイド部149は、ベースプレート104上に支持されている。一方、Xガイドステージ144の下面の長手方向両端部のそれぞれには凹形状の被ガイド部材145が設けられている。ガイド部149は、被ガイド部材145と係合し、ガイド部149の上面(ガイド面)と被ガイド部材145の内面とが対向するように設けられている。ガイド部149のガイド面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)146が設けられており、Xガイドステージ144は、ガイド部149のガイド面に対して非接触支持されている。
図8は、液体供給機構110、液体回収機構120、及び投影光学系PL2先端部近傍を示す拡大図である。
液体供給機構110は、投影光学系PL2と基板P2との間へ液体101を供給するものであって、液体101を送出可能な液体供給部111と、液体供給部111に供給管115を介して接続され、この液体供給部111から送出された液体101を基板P2上に供給する供給ノズル114とを備えている。供給ノズル114は、基板P2の表面に近接して配置されている。液体供給部111は、液体101を収容するタンク、加圧ポンプ、及び供給する液体101の温度を調整する温度調整装置等を備えており、供給管115及び供給ノズル114を介して基板P2上に液体101を供給する。液体供給部111の液体供給動作は、制御装置CONT2により制御され、制御装置CONT2は、液体供給部111による基板P2上に対する単位時間あたりの液体供給量を制御可能である。
液体回収機構120は、液体供給機構110によって供給された基板P2上の液体101を回収するものであって、基板P2の表面に近接して配置された回収ノズル121と、回収ノズル121に回収管124を介して接続された液体回収部125とを備えている。液体回収部125は、吸引ポンプ、及び回収した液体101を収容可能なタンク等を備えている。液体回収部125に回収された液体101は、例えば廃棄されたり、あるいはクリーン化されて液体供給部111等に戻され再利用される。
基板P2上に液浸領域AR2を形成する際、制御装置CONT2は、液体供給部111を駆動し、供給管115及び供給ノズル114を介して単位時間当たり所定量の液体101を供給するとともに、液体回収部125を駆動し、回収ノズル121及び回収管124を介して単位時間当たり所定量の液体101を回収する。これにより、投影光学系PL2の終端部のレンズ素子102と基板P2との間に液体101の液浸領域AR2が形成される。
なお、図7及び図8の一部断面図に示すように、液体供給機構110及び液体回収機構120は、鏡筒定盤108に対して分離して支持されている。これにより、液体供給機構110及び液体回収機構120で生じた振動が、鏡筒定盤108を介して投影光学系PL2に伝わることがない。
図9は、液体供給機構110及び液体回収機構120と投影光学系PL2の投影領域AR1との位置関係を示す平面図である。投影光学系PL2の投影領域AR1は、Y軸方向に細長い矩形状(スリット状)となっており、その投影領域AR1をX軸方向に挟むように、+X側に3つの供給ノズル114A〜114Cが配置され、−X側に2つの回収ノズル121A、121Bが配置されている。そして、供給ノズル114A〜114Cは供給管115を介して液体供給部111に接続され、回収ノズル121A、121Bは、回収管124を介して液体回収部125に接続されている。また、供給ノズル114A〜114Cと回収ノズル121A、121Bとをほぼ180°回転した配置に、供給ノズル114A’〜114C’と、回収ノズル121A’、121B’とが配置されている。供給ノズル114A〜114Cと回収ノズル121A’、121B’とはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル114A’〜114C’と回収ノズル121A、121BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル114A’〜114C’は、供給管115’を介して液体供給部111に接続され、回収ノズル121A’、121B’は、回収管124’を介して液体回収部125に接続されている。
図10は、レンズセルLS2と鏡筒定盤108とを結合する結合装置160を示す斜視図である。
結合装置160は、アクチュエータユニット162をそれぞれ有する複数のリンク部161を並列に設けたパラレルリンク機構により構成されている。本実施形態において、結合装置160は6つのリンク部161からなる6自由度パラレルリンク機構であり、レンズセルLS2は、キネマティックに支持されている。本実施形態において、リンク部161は、2つずつをペアとしてほぼ120°間隔で配置されている。なお、6つのリンク部161は、等間隔で配置されてもよいし、不等間隔で配置されてもよい。
リンク部161は、レンズセルLS2に球面軸受163を介して連結された第1連結部材164と、鏡筒定盤108に球面軸受165を介して連結された第2連結部材166とを備えている。第1、第2連結部材164、166は、軸状部材であり、アクチュエータユニット162を構成する筒状部材167に対して軸方向に移動可能に設けられている。そして、アクチュエータユニット162の駆動により、第1、第2連結部材164、166は、アクチュエータユニット162の筒状部材167に対して軸方向に可動であり、これによりリンク部161は球面軸受163と球面軸受165との間隔を維持、あるいは変更(伸縮)することができる。
結合装置160は、リンク部161のそれぞれを伸縮させることによって、鏡筒定盤108に対するレンズセルLS2の姿勢を維持、調整可能である。このとき、光学群MPL2を保持した鏡筒PK2は、鏡筒定盤108に支持されており、レンズ素子102は、レンズセルLS2に保持されているため、結合装置160は、リンク部161のそれぞれを伸縮させることによって、実質的に光学群MPL2に対するレンズ素子102の姿勢を維持、調整可能である。
図11は、リンク部161の断面図である。
図11において、リンク部161は、筒状部材167と、筒状部材167に対して移動可能(出没可能)に設けられた軸状部材である第1、第2連結部材164、166とを備えている。第1、第2連結部材164、166の先端部164A、166Aのそれぞれには球面軸受163、165が設けられている。第1、第2連結部材164、166のそれぞれと筒状部材167との間には、非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)168、169がそれぞれ介在している。なお、非接触軸受として磁気などを利用した他方式のベアリングを用いることもできる。エアベアリング168は、筒状部材167の内面のうち第1連結部材164と対向する位置において軸方向に2つ並んで設けられている。同様に、エアベアリング169も、筒状部材167の内面のうち第2連結部材166と対向する位置において軸方向に2つ並んで設けられている。これらエアベアリング168、169は、筒状部材167の内面に沿って筒状に設けられている。エアベアリング168、169には、筒状部材167内部に形成された流路170を介して、気体供給源171より圧搾気体(エア)が供給される。第1、第2連結部材164、166はエアベアリング168、169により筒状部材167に対して非接触支持されている。
第1連結部材164と筒状部材167との間には、第1連結部材164を駆動する駆動機構として第1ボイスコイルモータ172が配置されている。本実施形態において、筒状部材167の内面に沿って第1ボイスコイルモータ172を構成するコイル部172Aが設けられ、第1連結部材164の外周面に沿ってマグネット部172Bが設けられている。そして、第1ボイスコイルモータ172の駆動によりローレンツ力を発生して、筒状部材167に非接触支持されている第1連結部材164がその軸方向に移動可能となっている。
同様に、第2連結部材166と筒状部材167との間には、第2連結部材166を駆動する駆動機構として第2ボイスコイルモータ173が配置されている。第2ボイスコイルモータ173を構成するコイル部173Aが筒状部材167の内面に沿って設けられ、マグネット部173Bが第2連結部材166の外周面に沿って設けられている。そして、第2ボイスコイルモータ173の駆動によりローレンツ力を発生して、筒状部材167に非接触支持されている第2連結部材166がその軸方向に移動可能となっている。
リンク部161は、ボイスコイルモータ172、173によりローレンツ力を用いて第1、第2連結部材164、166を移動することにより、第1連結部材164の先端部164Aと第2連結部材166の先端部166Aとの距離を変えることができる。すなわち、リンク部161は、伸縮可能である。
第1連結部材164と第2連結部材166とは非接触に連結されており、その間の空間部174は、筒状部材167に形成された流路175を介してバキューム装置176に接続している。
バキューム装置176の駆動により空間部174は、負圧に設定される。これにより、第1連結部材164にレンズセルLSが連結され、第2連結部材166に鏡筒定盤108が連結された状態において、レンズセルLS2及び第1連結部材164の自重等により第1連結部材164が第2連結部材166に対して離れる方向に力を受けても、それに抗して非接触に連結されている第1連結部材164と第2連結部材166との間に引っ張り合う力が働くことになる。なお、投影光学系PL2を上下逆さにしてレンズセルLS2を保持する場合には、第1連結部材164と第2連結部材166との間の空間部174は陽圧化すればよい。
第1連結部材164の後端部164B、すなわち第1連結部材164のうち空間部174に配置された所定位置には、筒状部材167に対する第1連結部材164の位置情報を計測する位置計測装置である第1エンコーダ177が設けられている。同様に、第2連結部材166の後端部166B、すなわち第2連結部材166のうち空間部174に配置された所定位置には、筒状部材167に対する第2連結部材166の位置情報を計測する位置計測装置である第2エンコーダ178が設けられている。第1、第2エンコーダ177、178それぞれの計測結果は制御装置CONT2に出力される。ここで、第1エンコーダ177により、第1連結部材164と筒状部材167との相対位置情報が計測され、第2エンコーダ178により、第2連結部材166と筒状部材167との相対位置情報が計測されるので、制御装置CONT2は、これら第1、第2エンコーダ177、178の計測結果に基づいて、第2連結部材166に対する第1連結部材164の位置情報を求めることができる。このとき、第1連結部材164は、レンズ素子102を保持するレンズセルLS2に連結されており、第2連結部材166は、光学群MPL2を保持する鏡筒PK2を支持する鏡筒定盤108に連結されている。したがって、制御装置CONT2は、第2連結部材166に対する第1連結部材164の位置情報を求めることで、実質的に鏡筒定盤108(光学群MPL2)に対するレンズセルLS2(レンズ素子102)の位置情報を求めることができる。
そして、制御装置CONT2は、6つのリンク部62のそれぞれに設けられている第1、第2エンコーダ177、178の計測結果に基づいて、鏡筒定盤108(光学群MPL2)に対するレンズセルLS2(レンズ素子102)の姿勢情報を求めることができる。
本実施形態では、リンク部161を伸縮させる際(第1連結部材164の先端部164Aと第2連結部材166の先端部166Aとの距離を変える際)、第1ボイスコイルモータ172のみを駆動し、第2ボイスコイルモータ173は、駆動しない。そして、第1連結部材164がエアベアリング168により筒状部材167に対して非接触支持されているため、第1連結部材164の先端部164Aと第2連結部材166の先端部166Aとの距離を変えるために、ボイスコイルモータ172を駆動したとき、その与えた力積を筒状部材167の質量で除した量だけ、筒状部材167が第1連結部材164の移動方向とは反対の方向に移動する。この筒状部材167の移動により、第1連結部材164を移動するための、あるいは第1連結部材164の移動後の姿勢を保つためのボイルコイルモータ172の駆動に伴う反力が相殺される。すなわち、この筒状部材167は、所謂カウンタマスとしての機能を有している。カウンタマスとしての筒状部材167の作用により、第1連結部材164を介してレンズセルLS2を動かしたことにより生じる振動が吸収され、その振動が鏡筒定盤108に伝わらないようになっている。
また、例えば、液体101を介してレンズセルLS2に力が加わった際には、レンズセルLS2の姿勢を保つため、すなわち第1連結部材164が動かないようにするためにボイスコイルモータ172が駆動する。このとき、ボイスコイルモータ172が第1連結部材164に力を与えた方向とは逆方向に筒状部材167が移動して、ボイスコイルモータ172の駆動に伴う反力が相殺される。この場合にも、筒状部材167の作用により、レンズセルLS2に生じた振動が吸収され、その振動が鏡筒定盤108に伝導するのを防止できる。
次に、上述した露光装置EX2を用いてマスクM2のパターンを基板P2に露光する手順について説明する。
マスクM2がマスクステージMST2にロードされるとともに、基板P2が基板ステージPST2にロードされた後、制御装置CONT2は、液体供給機構110の液体供給部111を駆動し、供給管115及び供給ノズル114を介して単位時間あたり所定量の液体101を基板P2上に供給する。また、制御装置CONT2は、液体供給機構110による液体101の供給に伴って液体回収機構120の液体回収部125を駆動し、回収ノズル121及び回収管124を介して単位時間あたり所定量の液体101を回収する。これにより、投影光学系PL2の先端部のレンズ素子102と基板P2との間に液体101の液浸領域AR2が形成される。そして、制御装置CONT2は、照明光学系IL2によりマスクM2を露光光EL2で照明し、マスクM2のパターンの像を投影光学系PL2及び液体101を介して基板P2に投影する。
走査露光時には、投影領域AR1にマスクM2の一部のパターン像が投影され、投影光学系PL2に対して、マスクM2が−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板ステージPST2を介して基板P2が+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、1つのショット領域への露光終了後に、基板P2のステッピングによって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で各ショット領域に対する露光処理が順次行われる。本実施形態では、基板P2の移動方向と平行に、基板P2の移動方向と同一方向に液体101を流すように設定されている。つまり、矢印Xa2(図9参照)で示す走査方向(−X方向)に基板P2を移動させて走査露光を行う場合には、供給管115、供給ノズル114A〜114C、回収管124、及び回収ノズル121A、121Bを用いて、液体供給機構110及び液体回収機構120による液体101の供給及び回収が行われる。すなわち、基板P2が−X方向に移動する際には、供給ノズル114(114A〜114C)より液体101が投影光学系PL2と基板P2との間に供給されるとともに、回収ノズル121(121A、121B)より基板P2上の液体101が回収され、投影光学系PL2の先端部のレンズ素子102と基板Pとの間を満たすように−X方向に液体101が流れる。一方、矢印Xb2(図9参照)で示す走査方向(+X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管115’供給ノズル114A’〜114C’、回収管124’、及び回収ノズル121A’、121B’を用いて、液体供給機構110及び液体回収機構120による液体101の供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが+X方向に移動する際には、供給ノズル114’(114A’〜114C’)より液体101が投影光学系PL2と基板P2との間に供給されるとともに、回収ノズル121’(121A’、121B’)より基板P2上の液体101がその周囲の気体ともに回収され、投影光学系PL2の先端部のレンズ素子102と基板P2との間を満たすように+X方向に液体101が流れる。この場合、例えば供給ノズル114を介して供給される液体101は、基板P2の−X方向への移動に伴ってレンズ素子102と基板P2との間に引き込まれるようにして流れるので、液体供給機構110(液体供給部111)の供給エネルギーが小さくても液体101をレンズ素子102と基板P2との間に容易に供給できる。そして、走査方向に応じて液体101を流す方向を切り替えることにより、+X方向、又は−X方向のどちらの方向に基板P2を走査する場合にも、レンズ素子102と基板P2との間を液体101で満たすことができ、高い解像度及び広い焦点深度を得ることができる。
ここで、走査露光するための基板ステージPST2のXY方向への移動やフォーカス・レベリング調整のためのZ軸方向及び傾斜方向(θX、θY方向)への移動により基板P2側で生じる振動成分が、液浸領域AR2の液体101を介してレンズ素子102に伝わる場合がある。また、基板P2を走査した場合、液浸領域AR2の液体101の粘性抵抗によりレンズ素子102を動かす場合も考えられる。その場合、投影光学系PL2と液体101とを介して基板P2上に投影されるパターン像が劣化してしまう可能性がある。
ところが、液体101と接するレンズ素子102と光学群MPL2とを、レンズセルLS2及び鏡筒PK2のそれぞれで分離して保持するようにしたので、レンズ素子102と光学群MPL2とを振動に関して分離することができる。したがって、レンズ素子102に伝わった振動が、光学群MPL2に伝わることを抑制できる。
レンズ素子102に振動が作用したとき、レンズ素子102が動いて光学群MPL2との相対位置を変動させ、それに伴ってパターン像の劣化を招くおそれがある。このとき、結合装置160を構成するリンク部161に設けられた第1、第2エンコーダ177、178の計測結果に基づいて、制御装置CONT2は、光学群MPL2に対するレンズ素子102の姿勢情報を求める。
制御装置CONT2は、その求めた姿勢情報に基づいて各リンク部161の第1ボイスコイルモータ172を駆動することにより、光学群MPL2に対するレンズ素子102の位置(姿勢)を所望状態に維持することができる。つまり、制御装置CONT2は、第1、第2エンコーダ177、178の計測結果に基づいて、光学群MPL2に対するレンズ素子102の姿勢を所望状態に維持するために第1ボイスコイルモータ172を駆動するフィードバック制御を行う。これにより、レンズ素子102に振動が作用してそのレンズ素子102が動いて光学群MPLに対する相対位置を変動させようとしても、光学群MPL2とレンズ素子102との位置関係を常に一定に保つことができ、レンズ素子102の振動が光学群MPLに伝わらないようにすることができる。
このとき、制御装置CONT2は、6つのリンク部161のそれぞれに設けられているエンコーダ177、178の計測結果に基づいて演算処理を行い、光学群MPL2に対するレンズ素子102のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向に関する各位置情報を求める。また、制御装置CONT2は、6つのリンク部161のそれぞれを伸縮させることにより、光学群MPL2に対するレンズ素子102のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向に関する各位置を制御する。
そして、第1ボイスコイルモータ172を駆動したときに発生する振動は、リンク部171に内蔵された防振機構であるカウンタマスとしての筒状部材167の作用により吸収されるため、光学群MPL2に対して鏡筒定盤108及び鏡筒PK2を介して振動が伝わらないようにすることができる。したがって、基板P2上に投影されるパターン像の劣化を防止することができる。
また、光学群MPL2及びそれらを保持する鏡筒PK2に振動が伝わらないようにすることで、基板ステージPST2の位置情報を計測するための干渉計システムの参照鏡(固定鏡)181が鏡筒PK2に取り付けられていても、基板ステージPST2の位置情報の計測、及びその計測結果に基づいた位置制御を精度良く行うことができる。
本実施形態では、リンク部161を伸縮させてレンズセルLS2に保持されたレンズ素子102の姿勢制御を行う際、上述したように、第1ボイスコイルモータ172のみを駆動し、第2ボイスコイルモータ173は駆動しない。つまり、レンズ素子102の姿勢制御を行う際、第1ボイスコイルモータ172のみに制御用電力を供給し、第2ボイルコイルモータ173には電力を殆ど(あるいは全く)供給しない。そして、レンズ素子102の姿勢制御を行うために第1ボイスコイルモータ172を図11中、例えば矢印J1側に移動した際、筒状部材167は矢印J2側に移動する。このとき、鏡筒定盤108に連結されている第2連結部材166は移動しない。ここで、走査露光条件によっては筒状部材167が例えば矢印J2方向のみに移動し続ける可能性があり、その場合、第1、第2連結部材164、166と筒状部材167との相対位置が大きくずれ、やがて筒状部材167から第1連結部材164が外れてしまう可能性が生じる。そこで、制御装置CONT2は、第1、第2連結部材164、166と筒状部材167との相対位置が許容値以上にずれたとき、第2ボイスコイルモータ173を駆動し、筒状部材167の位置を補正する。ここで、第2ボイスコイルモータ173を駆動は、例えば基板交換時や、第1のショット領域を露光した後とその次の第2のショット領域を露光する前との間の時間など、露光動作中以外のタイミングで行えばよい。なお、露光中においてレンズ素子102(レンズセルLS2)の姿勢制御を第1ボイスコイルモータ172によって行う際、バキューム装置176は、空間部174の圧力を一定に維持している。
本実施形態では、第1連結部材164と第2連結部材166との間の空間部174を負圧に設定することで、レンズセルLS2及び第1連結部材164の自重等により第1連結部材164が第2連結部材166に対して離れる方向に力を受けても、非接触に連結されている第1連結部材164と第2連結部材166との相対位置(距離)を維持している。ここで、ボイスコイルモータ172、173に電力を供給し続けることで、レンズセルLS2及び第1連結部材164の自重を受けることもできるが、その場合ボイスコイルモータに供給される電力量が多くなり、発熱の可能性が生じる。リンク部161は、投影光学系PL2の像面近傍に配置されるものであるため、発熱により基板P2上に投影されるパターン像の劣化を招く可能性がある。
そこで、レンズセルLS2及び第1連結部材164の自重を、空間部174を負圧にすることで受けることで、ボイルコイルモータに供給する電力は、レンズセルLS2(レンズ素子102)の姿勢制御をするための電力のみでよい。したがって、ボイスコイルモータに供給する電力量を抑えることができ、発熱の不都合を抑制することができる。
なお、ボイスコイルモータ172、173の発熱によるパターン像への影響を抑えるために、このボイスコイルモータ172、173を温度調整(冷却)するための温度調整装置を設けるようにしてもよい。
空間部174を設けたことにより、その空間部174の気体の弾性作用によって、レンズセルLS2側から鏡筒定盤108側に伝わろうとする振動の高周波成分を低減することができる。
そして、ボイスコイルモータにより、振動の比較的低周波成分を低減することで、リンク部161(結合装置160)は、広い周波数帯域において除振効果を得ることができる。このように、ボイスコイルモータを使ったアクティブ防振(能動的防振)と、空間部174の気体の弾性作用を使ったパッシブ防振(受動的防振)とを組み合わせることで、レンズ素子102に作用した振動が光学群MPL2に伝わることを効果的に抑えることができる。
なお、空間部174を負圧にすることでレンズセルLS2及び第1連結部材164の自重を受ける構成の他に、例えばバネ部材で第1連結部材164と第2連結部材166とを連結するようにしてもよい。
なお、上記実施形態において、レンズセルLS2は、1つのレンズ素子102のみを保持するようになっているが、複数のレンズ素子(光学素子)を保持するようにしてもよい。
また、第2実施形態の露光装置においても、投影光学系PLを、光学素子102と、マスクMと光学素子102との間の投影光学系本体MPL2との二群に分けているが、三群以上に分離するようにしてもよい。
なお、上記実施形態において、リンク部161の第2連結部材166は、鏡筒定盤108に連結されているが、他の部材、例えばコラム103(下側段部103B)に連結されてもよい。
なお、上記実施形態において、レンズ素子102の姿勢制御(光学群MPL2に対するアクティブ防振制御)は、エンコーダ177、178によるレンズ素子102の位置計測結果に基づいて行われるフィードバック制御であるが、その場合、制御に遅れが生じる可能性がある。そこで、露光前に、走査露光時における露光装置EX2や液体101の挙動に関する物理量を予め求め、その求めた物理量に基づいて、露光時にリンク部161(ボイスコイルモータ172)を駆動することでレンズ素子102の姿勢制御を行うフィードフォワード制御を採用し、アクティブ防振することも可能である。なお、フィードバック制御とフィードフォワード制御とを組み合わせることも可能である。
フィードフォワード制御を行う場合、予めテスト露光を行い、複数の物理量の導出を行う。すなわち、露光装置EX2の系の同定実験を行い、その系の物理量を含む動特性を求める。同定実験では、液体供給機構110及び液体回収機構120を使ってレンズ素子102と基板P2との間に液浸領域AR2を形成した状態で基板ステージPST2を走査し、上記エンコーダ177、178やレーザ干渉計182を使って物理量を検出する。なお、同定実験中においては当然のことながらボイスコイルモータ172、173は駆動されない。検出する物理量としては、露光シーケンス中での時刻、基板P2の位置、速度、及び加速度、レンズ素子102の位置、速度、及び加速度、レンズ素子102と基板P2との相対位置、相対速度、及び相対加速度等が挙げられる。これら位置、速度、及び加速度は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の全て(6自由度)に関する値が検出される。更に、検出する物理量として、供給する液体1の量(体積、質量)等も挙げられる。同定実験で検出された上記複数の物理量は制御装置CONT2に記憶される。制御装置CONT2は、検出した物理量に基づいて、ボイスコイルモータ172(173)を駆動するための制御量(制御用電力)を決定し、その決定した物理量に基づいて、光学群MPL2に対する防振を行うようにボイスコイルモータ172を駆動しつつ本露光を行う。このように、制御装置CONT2は、ボイスコイルモータ172を使って、露光装置EX2自身の動特性(動作)に応じて防振を行うが可能であり、光学群MPL2とレンズ素子102との位置関係を所望状態に維持することができる。
ところで、上述したように、制御装置CONT2は、複数のリンク部161のそれぞれを伸縮させることによってレンズ素子102の姿勢を制御可能である。そこで、制御装置CONT2は、リンク部161を伸縮させて光学群MPL2に対するレンズ素子102の姿勢を積極的に制御することで、投影光学系PL2を介して基板P2上に形成されるパターンの像を調整することができる。そして、レンズ素子102を駆動することで、像面、像位置、及びディストーションのうちの少なくとも1つを制御することができる。レンズ素子102を駆動することでパターンの像を調整することにより、例えば投影光学系PL2の像面と基板P2表面とを合致させるときに、大重量の基板ステージPST2を駆動する構成に比べて、比較的軽量のレンズ素子102を駆動すればよいので、高速な応答を得ることができる。もちろんその場合、基板ステージPST2とレンズ素子102との双方を駆動するようにしてもよい。
上記実施形態では、6つのリンク部161のそれぞれに設けられたエンコーダ177、178の計測結果に基づいてレンズ素子102の姿勢を求める構成である。このとき、制御装置CONT2は、6つのリンク部161のエンコーダ177、178の計測結果に基づいて演算処理を行うことでレンズ素子102の姿勢情報を求めるため、リンク部161等の装置取り付け誤差などによって位置計測誤差(演算誤差)が生じる場合がある。そこで、図12に示すように、レーザ干渉計システムを有する計測装置190により、光学群MPL2に対するレンズ素子102の位置情報を計測するようにしてもよい。制御装置CONT2はその計測装置190の計測結果に基づいて、リンク部161それぞれを伸縮させ、レンズ素子102の姿勢を制御する。レーザ干渉計システムにより光学群MPL2に対するレンズ素子102の位置情報を、演算処理を介さずに直接的に求めることができるので、レンズ素子102の位置情報を精度良く求めることができる。
図12において、計測装置(レーザ干渉計システム)190は、レンズセルLS2の+X側の所定位置に設けられた移動鏡191と、鏡筒PK2の+X側の所定位置に設けられた参照鏡(固定鏡)192と、移動鏡191及び参照鏡192に対向する位置に設けられたレーザ干渉計193とを備えている。レーザ干渉計193は、移動鏡191に測長ビーム(測定光)を照射するとともに、参照鏡192に参照ビーム(参照光)を照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づく移動鏡191及び参照鏡192それぞれからの反射光は、レーザ干渉計193の受光部で受光され、レーザ干渉計193はこれら光を干渉し、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、参照鏡192を基準とした移動鏡191の位置(座標)を計測する。参照鏡192は、鏡筒PK2に設けられ、移動鏡91は、レンズセルLS2に設けられているため、レーザ干渉計193は、鏡筒PK2に対するレンズセルLS2のX軸方向の位置を計測することができる。同様に、不図示ではあるが、レンズセルLS2及び鏡筒PK2の+Y側にも移動鏡及び参照鏡が設けられ、これらに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられており、このレーザ干渉計により鏡筒PK2に対するレンズセルLS2のY軸方向の位置を計測することができる。また、例えばレーザ干渉計193よりY軸方向に並んだ少なくとも2つのビームを移動鏡191及び参照鏡192に照射することにより、鏡筒PK2に対するレンズセルLS2のθZ方向の位置を計測することができる。
更に、鏡筒PK2には、鏡筒PK2の周方向において互いに異なる複数(3箇所)の所定位置にレーザ干渉計194(194A〜194C)がそれぞれ取り付けられている。但し、図12には3つのレーザ干渉計194A〜194Cのうちの1つのレーザ干渉計194Aが代表的に示されている。また、レンズセルLS2の上面において各レーザ干渉計194と対向する位置には移動鏡195が取り付けられており、各レーザ干渉計194からは、移動鏡195に対してZ軸方向に平行な測長ビームが照射される。なお、レーザ干渉計194に対応する参照鏡は鏡筒PK2に取り付けられているか、あるいはレーザ干渉計194に内蔵されており、図12には図示されていない。レーザ干渉計194は、鏡筒PK2に対するレンズセルLS2のZ軸方向の位置を計測することができる。また、3つのレーザ干渉計194それぞれの計測結果に基づいて、鏡筒PK2に対するレンズセルLSのθX、θY方向の位置を計測することができる。
上記各レーザ干渉計の計測結果は、制御装置CONT2に出力される。制御装置CONT2は、上記各レーザ干渉計の計測結果、すなわち、鏡筒PK2に対するレンズセルLS2のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向に関する各位置情報に基づいて、複数のリンク部161のそれぞれを伸縮することで、鏡筒PK2に対するレンズセルLS2のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向に関する各位置を制御することができる。
なお、本実施形態では、計測装置190は、レンズセルLS2と鏡筒PK2との位置関係を計測しているが、レンズセルLS2は、レンズ素子102を保持し、鏡筒PK2は、光学群MPL2を保持しているため、レンズセルLS2と鏡筒PK2との位置関係を計測することと、レンズ素子102と光学群MPL2との位置関係を計測することとは実質的に同等である。したがって、制御装置CONT2は、計測装置190の計測結果に基づいて、レンズ素子102と光学群MPL2との位置関係を求めることができる。
なお、本実施形態におけるレーザ干渉計は所謂ダブルパス干渉計である。
図13は、干渉計193の概略構成図である。
なお、他の干渉計194、184等も、図13に示す干渉計と同等の構成を有する。干渉計193は、光束を射出する光源220と、光源220より射出され、反射ミラー223を介して入射された光束を測長ビーム191Aと参照ビーム192Aとに分割する偏光ビームスプリッタ224と、偏光ビームスプリッタ224と移動鏡191との間に配置され、偏光ビームスプリッタ224からの測長ビーム191Aが通過するλ/4板225(225A、225B)と、偏光ビームスプリッタ224と参照鏡192との間に配置され、反射ミラー227を介した偏光ビームスプリッタ224からの参照ビーム192Aが通過するλ/4板226(226A、226B)と、移動鏡191で反射され偏光ビームスプリッタ224を介した測長ビーム191A、及び参照鏡192で反射され偏光ビームスプリッタ224を介した参照ビーム192Aのそれぞれが入射されるコーナーキューブ228と、偏光ビームスプリッタ224で合成された測長ビーム191Aの反射光及び参照ビーム192Aの反射光の合成光(干渉光)を受光する受光部230とを備えている。
光源220から偏光ビームスプリッタ224に入射された光束は、測長ビーム191Aと参照ビーム192Aとに分割される。このうち測長ビーム191Aは、λ/4板225Aを通過した後、移動鏡191に照射される。λ/4板225Aを通過することで、直線偏光の測長ビーム191Aは円偏光に変換された後、移動鏡191に照射される。移動鏡191に照射された測長ビーム191Aの反射光は再びλ/4板225Aを通過した後、偏光ビームスプリッタ224に入射し、コーナーキューブ228に送光される。コーナーキューブ228を介した測長ビーム191Aは、再び偏光ビームスプリッタ224に入射し、λ/4板225Bを通過した後、移動鏡191に照射される。その反射光は、λ/4板225Bを再び通過した後、偏光ビームスプリッタ224に入射する。一方、偏光ビームスプリッタ224から射出された参照ビーム192Aは、反射ミラー227を介してλ/4板226Aを通過した後、参照鏡192に照射される。参照ビーム192Aは、円偏光にて参照鏡192に照射され、その反射光は、再びλ/4板226Aを通過した後、偏光ビームスプリッタ224に入射し、コーナーキューブ228に送光される。コーナーキューブ228を介した参照ビーム192Aは、再び偏光ビームスプリッタ224に入射し、λ/4板226Bを通過した後、参照鏡192に照射される。その反射光はλ/4板226Bを再び通過した後、偏光ビームスプリッタ224に入射される。λ/4板225Bを通過した測長ビーム191A及びλ/4板226Bを通過した参照ビーム192Aは、偏光ビームスプリッタ224で合成された後、受光部230に受光される。このように、本実施形態の干渉計193は、移動鏡(参照鏡)に対して測長ビーム(参照ビーム)を2回照射する所謂ダブルパス干渉計により構成されており、移動鏡191がたとえ傾いた場合であっても、その移動鏡191からの測長ビームの反射光の進行方向に変化がないという特徴を有している。
図14は、ダブルパス干渉計の模式図である。
図14では、移動鏡191に照射される測長ビーム191Aについてのみ図示されており、λ/4板などは省略されている。
図14において、光源220から射出された光束は、反射ミラー223を介して偏光ビームスプリッタ224に入射される。測長ビーム191Aは、偏光ビームスプリッタ224の反射面で反射した後、移動鏡191の反射面に照射され、その反射光は、偏光ビームスプリッタ224及びコーナーキューブ228を介して移動鏡191の反射面に2回照射された後、受光部230に受光される。このとき、移動鏡191の反射面の傾きがない場合(Y軸に対する角度が0度である場合)、測長ビーム191Aは、図14の破線で示すように進行し、偏光ビームスプリッタ224から射出され受光部230に向かう射出光束は、偏光ビームスプリッタ224に対して入射する入射光束と平行となる。一方、移動鏡191の反射面が角度θ傾いている場合、測長ビームは、図14の一点鎖線191A’で示すように進行するが、この場合においても、偏光ビームスプリッタ224からの射出光束は、入射光束と平行となる。つまり、移動鏡191の反射面の傾きがある場合とない場合とでの射出光束それぞれの進行方向は同じとなる。したがって、図15に示す模式図のように、移動鏡191に測長ビーム191Aを1回照射する構成である場合、移動鏡191に傾きがあると、傾きがない状態に対してその反射光の進行方向が変化し、受光部230に受光されない不都合が生じるが、図14を参照して説明したように、ダブルパス干渉計によれば、移動鏡191がたとえ傾いてもその反射光を受光部230で受光することができる。
なお、図12を参照して説明した実施形態においては、レーザ干渉計193、194を有する計測装置190は、鏡筒PK2とレンズセルLS2との位置関係を計測しているが、レンズ素子102の所定位置に、照射された測長ビームを反射可能な反射面を有する反射部材を設け、その反射面にレーザ干渉計より測長ビームを照射するようにしてもよい。例えば、図16に示すように、レンズ素子102のうちレーザ干渉計193からの測長ビームが照射される位置に反射面を有するミラー部材を取り付けたり、レーザ干渉計194からの測長ビームが照射される位置に金属蒸着膜を設けその膜表面を反射面としてもよい。例えばレンズセルLS2とレンズ素子102との間にばね機構(フレクチャ)が介在している構成の場合においてレンズセルLS2とレンズ素子102とが仮に位置ずれしたとき、図12を参照して説明した実施形態のようにレンズセルLS2の位置計測結果に基づいてパターン像を調整するためにレンズ素子102の姿勢を制御しようとすると、パターン像を所望の状態に制御できない可能性が生じるが、図16に示すように、レンズ素子102自体に反射面を形成し、その反射面を使ってレンズ素子102の位置を計測することで、レンズ素子102の位置情報を正確に求めることができる。
なお、上述の実施形態においては、計測装置190として干渉計システムを用いているが、別の方式の計測装置を用いてもよい。例えば、レンズセルLS2に形成された計測マークの位置情報を光学的に計測する計測装置を上述の干渉計システムの代わりに使用することもできる。
また、結合装置160によってレンズ素子102が移動可能なので、例えば液体101をレンズ素子102と基板P2との間に満たす際、結合装置160を使ってレンズ素子102を予め上昇して基板P2とレンズ素子102との距離を十分に開けておき、次いで、基板P2上に液体を配置し、その後、結合装置160を駆動してレンズ素子102を下降して基板P2とレンズ素子102とを接近させることで、レンズ素子102と基板P2との間に液浸領域AR2を形成するといったことが可能となる。この場合、レンズ素子102を下降する際に、レンズ素子102を傾斜方向から基板P2に接近(下降)することで、例えば液体101中に気泡が存在していた場合、その気泡を除去できる可能性がある。また、露光前において基板P2上に液体101を供給する際、液体供給機構110を使わずに、例えば液体供給機構110とは別の位置に設けられた液体供給装置を使って基板P2上に液体101を配置するといったことが可能となる。
上記実施形態において、上述したノズルの形状は特に限定されるものでなく、例えば投影領域AR1の長辺について2対のノズルで液体101の供給又は回収を行うようにしてもよい。なお、この場合には、+X方向、又は−X方向のどちらの方向からも液体101の供給及び回収を行うことができるようにするため、供給ノズルと回収ノズルと上下に並べて配置してもよい。
また、上述の実施形態においては、パラレルリンク機構を用いた2つの物体の結合装置を、レンズセルLS2の支持に用いているが、これに限らず、基板ホルダPH2の支持などに用いるようにしてもよい。
上述したように、上記各実施形態における液体50、101は、純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P、P2上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板P、P2の表面、及び投影光学系PL、PL2の先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。
そして、波長が193nm程度の露光光EL、EL2に対する純水(水)の屈折率nは、ほぼ1.44であるため、露光光EL、EL2の光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P、P2上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち、約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PL、PL2の開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PL、PL2の先端にレンズ60、102が取り付けられているが、投影光学系PL、PL2の先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PL、PL2の光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、各実施形態の液体50、101は、水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光EL、EL2の光源がFレーザである場合、このFレーザ光は水を透過しないので、この場合、液体50、101としては、Fレーザ光を透過可能な、例えばフッ素系オイルや過フッ化ポリエーテル(PFPE)等のフッ素系の液体を用いればよい。また、液体50、101としては、その他にも、露光光EL、EL2に対する透過性があって、できるだけ屈折率が高く、投影光学系PL、PL2や基板P、P2表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
なお、上記各実施形態の基板P、P2としては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PL、PL2と基板P、P2との間を局所的に液体で満たす露光装置を採用しているが、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する液浸露光装置にも本発明を適用可能である。
露光装置EX、EX2としては、マスクM、M2と基板P、P2とを同期移動してマスクM、M2のパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクM、M2と基板P、P2とを静止した状態でマスクM、M2のパターンを一括露光し、基板P、P2を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は、基板P、P2上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、ウエハ等の被処理基板を別々に載置してXY方向に独立に移動可能な2つのステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平10−163099号及び特開平10−214783号(対応米国特許6,341,007、6,400,441、6,549,269及び6,590,634)、特表2000−505958号(対応米国特許5,969,441)あるいは米国特許6,208,407に開示されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、それらの開示を援用して本文の記載の一部とする。
露光装置EX、EX2の種類としては、基板P、P2に半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。ステージにリニアモータを用いた例は、米国特許5,623,853及び5,528,118に開示されており、それぞれ本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、これらの文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
各ステージPST、PST2、MST、MST2の駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ、電磁力により各ステージPST、PST2、MST、MST2を駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、PST2、MST、MST2に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、PST2、MST、MST2の移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。この反力の処理方法は、例えば、米国特許5,528,118(特開平8−166475号公報)に詳細に開示されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、この文献の記載内容を援用して本文の記載の一部とする。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。この反力の処理方法は、例えば、米国特許第5,874,820(特開平8−330224号公報)に詳細に開示されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、この文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
本実施形態の露光装置EX、EX2は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。
各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は、温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図17に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
本発明は、投影光学系と基板との間を液体で満たし、前記投影光学系と前記液体とを介して前記基板上にパターン像を投影することによって前記基板を露光する露光装置であって、前記投影光学系は、前記液体と接する光学部材を含む第1群と、その第1群とは異なる第2群とを含み、その第1群と第2群とは振動的に分離して支持されるので、投影光学系と基板との間に液体を満たした状態においても、パターン像の劣化を抑えることができ、高い精度を有するデバイスを製造することができる。
42・・・メインフレーム(第2支持部材)、47・・・支持フレーム(第1支持部材)、
48・・・ボイスコイルモータ(駆動機構)、50、101・・・液体、
60・・・光学部材、第1群、102・・・第1群、
108・・・鏡筒定盤(第2物体)、フレーム部材)、160・・・結合装置、連結機構、
パラレルリンク機構、161・・・リンク部(防振機構)、パラレルリンク機構、
167、172、173、174・・・防振機構、
110・・・液体供給機構(液浸機構)、120・・・液体回収機構(液浸機構)、
AR2・・・液浸領域、EX、EX2・・・露光装置、
LS2・・・レンズセル(第1物体、第1保持部材)、
MPL、MPL2・・・投影光学系本体(第2群)、P、P2・・・基板、
PK2・・・鏡筒(第2保持部材)、PL、PL2・・・投影光学系

Claims (15)

  1. 投影光学系と基板との間を液体で満たして基板を露光する露光装置であって、
    前記投影光学系は、前記液体と接する光学部材を含む第1群と、その第1群とは異なる第2群とを含み、
    前記液体の圧力変化の影響を受けて変化する前記第1群の位置が前記第2群に対して所定の位置関係を維持するように、前記第1群の位置を調整する駆動機構を備え、前記第1群を支持する第1支持部材と、
    前記第2群を支持し、前記第1支持部材とは異なる第2支持部材と、
    前記基板を保持し、かつ前記光学部材が前記液体と接触している間、前記光学部材に対して移動可能な基板ステージとを備える。
  2. 請求項1記載の露光装置であって、
    前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、互いに振動が伝わらないように分離している。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の露光装置であって、
    前記基板ステージを移動可能に非接触支持する第1ベース部材を備え、
    前記第1支持部材は、前記第1ベース部材に取り付けられている。
  4. 請求項1又は請求項2記載の露光装置であって、
    前記基板ステージを移動可能に非接触支持する第1ベース部材と、
    前記第1ベース部材を支持する第2ベース部材とを備え、
    前記第1支持部材は、前記第2ベース部材に取り付けられている。
  5. 請求項4記載の露光装置であって、
    前記第1ベース部材と前記第2ベース部材とは、互いに振動が伝わらないように分離している。
  6. 請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の露光装置であって、
    前記光学部材は、レンズを含む。
  7. 請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の露光装置であって、
    前記光学部材は、平行平面板を含む。
  8. 投影光学系と液体とを介した露光光で基板を露光する露光装置であって、
    前記投影光学系は、前記液体と接する光学部材を含む第1群と、その第1群と前記パターンとの間に配置される第2群とを含み、
    前記液体の圧力変化の影響を受けて変化する前記第1群の位置が、前記第2群に対して所定の位置関係を維持するように、前記第1群の位置を調整する調整機構を備え、かつ前記第1群と前記第2群とを振動的に分離して支持する支持機構と、
    前記基板の露光中に、前記基板の表面の一部に液浸領域を形成する液浸機構と、
    前記基板を保持し、前記基板の露光中、前記光学部材に対して前記基板を移動可能な基板ステージとを備える。
  9. 請求項8の露光装置であって、
    前記光学部材は、平行平面板を含む。
  10. 請求項8の露光装置であって、
    前記光学部材は、レンズを含む。
  11. 請求項8から請求項10のうちいずれか一項に記載の露光装置であって、
    前記支持機構は、前記第1群を支持する第1支持部材と、前記第2群を支持し、前記第1支持部材とは異なる第2支持部材とを有する。
  12. 請求項11記載の露光装置であって、
    前記基板ステージを移動可能に非接触支持する第1ベース部材を備え、
    前記第1支持部材は、前記第1ベース部材に取り付けられている。
  13. 請求項11記載の露光装置であって、
    前記基板ステージを移動可能に非接触支持する第1ベース部材と、
    前記第1ベース部材を支持する第2ベース部材とを備え、
    前記第1支持部材は、前記第2ベース部材に取り付けられている。
  14. 請求項13記載の露光装置であって、
    前記第1ベース部材と前記第2ベース部材とは、互いに振動が伝わらないように分離している。
  15. デバイス製造方法であって、
    請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の露光装置を用いる。
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