JP4830303B2 - 液浸露光用液体の製造方法およびリサイクル方法 - Google Patents
液浸露光用液体の製造方法およびリサイクル方法 Download PDFInfo
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Description
投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度の理論限界値は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い投影露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。
また、露光を行なう際には、解像度と同様に焦点深度も重要となる。解像度R、および焦点深度δの理論限界値はそれぞれ以下の数式で表される。
R=k1・λ/NA (i)
δ=k2・λ/NA2 (ii)
ここで、λは露光波長、k1、k2はプロセス係数であり、NAは投影光学系の開口数であり空気の屈折率を1とした場合、下式(ii')で定義される。すなわち同じ解像度Rを得る場合には短い波長を有する放射線を用いた方が大きな焦点深度δを得ることができる。
NA=sinθ(θ=レジスト表面への露光光の最大入射角) (ii')
上記に述べたように、これまでは、露光光源の短波長化、開口数の増大により集積回路の微細化要求に応えてきており、現在では露光光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた1L1S(1:1ラインアンドスペース)ハーフピッチ90nmノードの量産化が検討されている。しかしながら、更に微細化が進んだ次世代のハーフピッチ65nmノードあるいは45nmノードについてはArFエキシマレーザの使用のみによる達成は困難であるといわれている。そこで、これらの次世代技術についてはF2エキシマレーザ(波長157nm)、EUV(波長13nm)等の短波長光源の使用が検討されている。しかしながら、これらの光源の使用については技術的難易度が高く、現状ではまだ使用が困難な状況にある。
R=k1・(λ/n)/NA (iii)
δ=k2・nλ/NA2 (iv)
ここで、NAは実際の投影光学系の開口数ではなく、上記式(ii')で定義される定数を意味する(正確には投影光学系の開口数NA'はNA'=nsinθ(nは上記と同じ定義)で表される。)
上式は、屈折率nの液体を投影露光装置のレンズとウエハの間に満たし、適当な光学系を設定することにより、解像度の限界値及び、焦点深度をそれぞれn分の1、n倍にすることが理論的に可能であることを意味している。例えば、ArFプロセスで、上記媒体として水を使用すると波長193nmの光の水中での屈折率nはn=1.44であるから、空気または窒素を媒体とする露光時と比較し、解像度Rは69.4%(R=k1・(λ/1.44)/NA)、焦点深度は144%(δ=k2・1.44λ/NA2)となる光学系の設計が理論上可能である。
このように露光するための放射線の実効波長を短波長化し、より微細なパターンを転写できる投影露光する方法を液浸露光といい、今後のリソグラフィーの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィーには、必須の技術と考えられ、その投影露光装置も知られている(特許文献1参照)。
純水は半導体製造工場ではその入手が容易であり、環境的にも問題がない。また、温度調整が容易で、露光中に生じる熱による基板の熱膨張を防ぐことができるとして、ArF用液浸の液体として採用されており(特許文献2参照)、65nmハーフピッチノードのデバイスの量産への採用が確実となっている。
一方で、純水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤として、メチルアルコール等を添加した液体も知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、純水を使用することにより、フォトレジスト膜に水が浸透し、フォトレジストパターンの断面形状がT−トップ形状となる形状劣化を生じたり、解像度が低下したりすることがある。また、フォトレジストを構成する光酸発生剤、塩基性添加剤、露光により発生した酸等の水溶性成分が水へ溶出することにより、T−トップ形状等の形状劣化が起こり、解像度、焦点深度の低下、ブリッジ欠陥が生じたり、現像後パターンに欠陥が生じたり、レンズ表面が汚染されることもある。
このため、フォトレジスト膜と水とを遮断する目的で、フォトレジスト膜上に上層膜を形成する方法があるが、露光に対する十分な透過性やフォトレジスト膜とのインターミキシング性など十分でない場合があり、工数が複雑になる問題もある。更に、レンズ材料に従来用いられているCaF2が水により浸食されることが報告されており(非特許文献1)、このため、レンズ表面をコーティングするコーティング材が必要になるという問題も生じている。
一方、上記の式(iii)で示したように解像度の限界はArFドライ露光の約1.44倍であることから、より微細化が進む特にハーフピッチ45nm以下の次世代技術においてはその使用が困難になることが予測されている。
本目的を達成する方法として、例えば、水に各種の塩を溶解し屈折率を高める試みがなされている(非特許文献2)。しかしながらこのアプローチは塩の濃度制御が困難である他、水同様に水溶性成分の溶出による現像欠陥、レンズの汚染、等の問題がある。
一方、F2露光用に検討が進められているペルフルオロポリエーテルなどのフッ素系不活性液体は、例えば193nmにおいて屈折率が小さいため該波長での使用が困難である。また、波長589nmにおいて高屈折率であるとの理由で顕微鏡用の液浸露光液体として従来知られている有機臭素化物、ヨウ素化物は、例えば193nmにおける透過性が悪いと共にフォトレジスト膜に対する安定性に劣る。
しかしながら、公知の方法で合成された脂環式飽和炭化水素化合物、または市場で入手できる脂環式飽和炭化水素化合物は、一般に遠紫外領域に大きな吸収を有する不純物を有し、このために、上記脂環式飽和炭化水素化合物を液浸露光用液体に用いた場合、透過率の不足により、感度低下に伴うスループットの低下、液体の光吸収による液体の発熱による屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題が生じる場合があった。また、上記液体を液浸露光用液体として用いた場合、製造ロット間の純度ばらつきによる光学特性のばらつきによる、デフォーカス、露光量のバラつきによる露光余裕度(EL)の低下等の問題が生じる場合があった。
すなわち、本発明の製造方法は、投影光学系のレンズと基板との間に満たされた液体を介して露光する液浸露光装置または液浸露光方法に用いられる液浸露光用液体の製造方法であって、該液浸露光用液体の原料となる炭化水素化合物を容器内に収容する工程と、該炭化水素化合物を硫酸洗浄する工程とを含むことを特徴とする。
また、上記硫酸洗浄する工程後に蒸留精製する工程とを含むことを特徴とする。
また、上記炭化水素化合物が脂環式飽和炭化水素化合物であることを特徴とする。
本発明の液浸露光用液体のリサイクル方法は、投影光学系のレンズと基板との間に満たされた液体を介して露光する液浸露光装置または液浸露光方法に用いられる液浸露光用液体のリサイクル方法であって、上記液浸露光装置または液浸露光方法に用いられる液浸露光用液体が上記製造方法で得られた液体であり、用いられた該液体を回収し、精製した後、再利用することを特徴とする。
また、上記精製が硫酸洗浄する工程を含むことを特徴とする。
液浸露光用液体として使用できる脂環式飽和炭化水素化合物について、下記式(1−1)〜式(1−9)により説明する。
R1における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。2つ以上のR1が相互に結合して環構造を形成する例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数3〜14の脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。−Si(R9)3基を構成するR9、および−SO3R10基を構成するR10としては、炭素数1〜10のアルキル基を表し、このアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
式(1−1)においてR1の置換基としては、193nmの放射線透過率に優れているとの観点から炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素置換飽和炭化水素基が好ましい。
上記置換基の中で、炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環族飽和炭化水素基が、より高屈折率が得られ、レジストとの相互作用が少なく、レジスト中の水溶性成分の溶出による欠陥の生成、レンズ材料への浸食がおこりにくく、特に好ましい。
また、好ましいn1、n2は1〜3であり、特に好ましいn1、n2は1または2であり、好ましいaは0、1または2であり。aとしては特に0である場合、例えば193nmにおける屈折率が高くなるため特に好ましい。
式(2−1)における具体例としては、上記(1−1−16)、(1−1−18)、(1−1−19)、(1−1−20)、(1−1−33)、(1−1−34)、(1−1−35)、(1−1−36)、(1−1−37)、(1−1−38)で挙げた化合物が挙げられる。
この中で、置換機を有さない化合物が例えば193nmにおける屈折率が高くなるため好ましく、式(2−1)における特に好ましい例としては、cis−デカリン、trans−デカリンが挙げられる。
R2は、式(1−1)のR1と同一である。
式(1−2)においてR2の置換基としては193nmの放射線透過率に優れているとの観点から炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素置換飽和炭化水素基が好ましい。
上記置換基の中で、炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環族飽和炭化水素基が、(1−1)におけるR1と同様の理由から好ましい。
好ましいn3は2〜4、特に好ましくは2または3であり、好ましいn4は1〜3、特に好ましくは1または2であり、好ましいbは0または1または2である。bとしては特に0であることが、例えば193nmにおける屈折率が高くなるため好ましい。好ましい(1−2)の具体例を以下に示す。
R3およびR4は、式(1−1)のR1と同一である。
式(1−3)においてR3およびR4の置換基としては193nmの放射線透過率に優れているとの観点から炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素置換飽和炭化水素基が好ましい。
上記置換基の中で、炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環族飽和炭化水素基が、(1−1)におけるR1と同様の理由から好ましい。
好ましいn5およびn6は1〜3、特に好ましくは1または2であり、cおよびdは0または1または2である。cおよびdは特に両方が0であることが例えば193nmにおける屈折率が高くなるため好ましい。好ましい化合物(1−3)の具体例を以下に示す。
R5は、式(1−1)のR1と同一である。
式(1−4)においてR5の置換基としては193nmの放射線透過率に優れているとの観点から炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素置換飽和炭化水素基が好ましい。
上記置換基の中で、炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基が、(1−1)のR1と同様の理由から好ましい。
好ましいeは0または1または2であり、n7は、1〜3、特に好ましくは1または2である。特にeが0である場合が例えば193nmにおける屈折率が高くなるため好ましい。
好ましい化合物(1−4)の例を以下に示す。
好ましい化合物(2−2)、(2−2')の具体例としては上記(1−4−1)〜(1−4−6)の化合物が挙げられる。
特に好ましい具体例としては、exo−テトラヒドロジシクロペンタジエンが挙げられる。
R6は、式(1−1)のR1と同一である。
式(1−5)においてR6の置換基としては193nmの放射線透過率に優れているとの観点から炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素置換飽和炭化水素基が好ましい。
上記置換基の中で、炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環族飽和炭化水素基が、式(1−1)のR1と同様の理由で好ましい。
好ましいfは1または2である。また、置換基の位置は、橋頭位が好ましい。
式(1−5)における好ましい例としては以下の一般式で表される化合物が挙げられる。
R8およびR8'は、式(1−1)のR1と同一である。
式(1−6)においてR8およびR8'の置換基としては193nmの放射線透過率に優れているとの観点から炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素置換飽和炭化水素基が好ましい。
上記置換基の中で、炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環族飽和炭化水素基が、式(1−1)におけるR1と同様の理由で好ましい。
好ましいgおよびhは0、1または2であり、n8およびn9は1〜3、特に好ましくは1または2である。
好ましい化合物(1−6)の具体例を以下に示す。
R11およびR12の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数1〜10のフッ素置換炭化水素基、−Si(R9)3基、または−SO3R10基は、式(1−1)における脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、フッ素置換炭化水素基、−Si(R9)3基、−SO3R10基と同一である。
式(1−7)においてR11およびR12の置換基としては193nmの放射線透過率に優れているとの観点から炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基、炭素数3〜14の脂環式飽和炭化水素基、シアノ基、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素置換飽和炭化水素基が好ましい。
また、Xの炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基が挙げられ、炭素数3〜14の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサンに由来する2価の基等が挙げられる。
式(1−7)において、Xは単結合が好ましい。好ましい化合物(1−7)の具体例を以下に示す。
上記炭素数2以上のアルキル基は、炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。上記炭素数3以上の脂環式炭化水素基は、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基が好ましく、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等が挙げられる。炭素数2〜10のフッ素置換炭化水素基、−Si(R9)3基、または−SO3R10基は、式(1−1)におけるフッ素置換炭化水素基、−Si(R9)3基、−SO3R10基と同一である。2つ以上のR13が相互に結合して形成する環構造は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式(1−8)における好ましい化合物の具体例を以下に示す。
R14は、式(1−1)におけるR1と同一である。また、好ましいR14はR1のそれと同一である。
式(1−9)における好ましい化合物の具体例を以下に示す。
原料となる化合物は、市販の化合物として入手できるか、あるいは、既存の種々の合成法により入手可能な原料から製造することができる。以下、原料となる化合物の製造法について具体例を挙げて説明する。
例えば、式(2−1)で示した化合物については、石炭コークス炉からでる乾留油、石油系の接触改質油および流動接触分解油、更にはエチレンの製造副生成物のナフサ分解油等に含まれているナフタレンまたは、ナフタレン誘導体を適当な触媒を用いて、接触水素化により核水添することにより製造することができる。
上記、接触改質油、流動改質油、ナフサ分解油にはナフタレン、アルキルナフタレンの他、ベンゼン、アルキルベンゼン、フェナントレン、アントラセン、その他の多環芳香族およびその誘導体、ベンゾチオフェンおよびその誘導体等の硫黄含有化合物、ピリジンおよびその誘導体等の窒素含有化合物が含有されており、原料となるナフタレン及びナフタレン誘導体はこれらの混合物から分離精製することにより得ることができる。
また、これらの金属触媒は適当な担体に担持して使用することが好ましく、この場合触媒が担体上に高分散されることにより、水素化の反応速度があがる他、特に、高温、高圧条件下における活性点劣化を防止し、また、触媒毒に対する抵抗力が向上する。
該担体としては、SiO2、γ−Al2O3、Cr2O3、TiO2、ZrO2、MgO、ThO2、珪藻土、活性炭等を好適に使用することができる。
また、上記接触水素化の方法としては、溶剤を用いない気相法および原料を適当な溶剤に溶解して反応させる液相法を用いることができる。この中で、気相法がコストおよび反応速度に優れるため好ましい。
気相法を用いる場合、触媒としてはニッケル、白金等が好ましい。使用する触媒の量は多いほど反応速度があがるが、コストの面から好ましくない。したがって、反応速度を速め、反応を完結させるためには触媒量を少なくし、温度および水素圧が高い条件で反応させることが好ましい。具体的には触媒量が原料ナフタレン(ナフタレン誘導体)対比0.01〜10重量部で水素圧が5〜15MPa、反応温度は100℃〜400℃程度で反応させるのが好ましい。
また、例えば特許文献(特開2003−160515)に記された方法によりニッケルまたは白金、パラジウム系触媒を用いて中間体のテトラリンからナフタレンを除去する方法により、マイルドな条件で目的物を得ることもできる。
上記の反応において、反応転化率は好ましくは90%以上、更に好ましくは99%以上である。上記反応後、以下の方法により、未反応原料、触媒等の不純物を除去する。
上記ジシクロペンタジエンは一般にナフサの熱分解生成物中のいわゆるC5留分中に多量に含まれるシクロペンタジエンを2量化することにより製造されている。上記ジシクロペンタジエンは、例えば水添反応の触媒毒となる含硫黄成分の含有量が少ないことが好ましく、具体的には、ジシクロペンタジエン中に存在する含硫黄成分が好ましくは500ppb以下、更に好ましくは50ppb以下である。含硫黄成分の量が500ppbであると後工程における水添反応が阻害されやすくなる。
ここで、該含硫黄成分とは例えば、遊離硫黄、元素状硫黄、硫化水素、メルカプタン類、ジスルフィド類、チオフェンなどの無機または有機化合物の形態で存在する硫黄元素の総量を意味し、硫黄化学発光検出器(SCD)を備えたガスクロマトグラフィー等で分析することができる。該硫黄留分は例えば特開2001−181217の方法により除去することができる。該ジシクロペンタジエンの水添は公知の炭素―炭素2重結合の水添触媒を用いて行なうことができる。該水添方は例えば特開昭60−209536、特開2004−123762に開示されている方法により行なうことができる。上記の水添後に蒸留を行なうことによりテトラヒドロジシクロペンタジエンを得ることができるが、例えばexo体を選択的に得るには各種ルイス酸を用いて異性化する方法が知られている。本異性化は例えば、ルイス酸としてハロゲン化アルミニウム、硫酸等を用いた方法により行なうことができる(特開2002−255866)。本反応において、副生成物としてアダマンタンが生成することが知られているが、アダマンタンが多量に存在した場合、193nmにおける透過率が低下するため、最終液体に共存するアダマンタンの量は0.5%以下、好ましくは0.1%、更に好ましくは0.05%以内にする必要がある。該アダマンタンは上記異性化反応の条件を適当に設定するかあるいは、各種公知の精製方法により除去することができる。
これらの容器は反応前に脱イオン水および飽和炭化水素化合物あるいはアセトニトリル等の透明性溶剤で洗浄することが好ましい。
硫酸処理は窒素等の不活性雰囲気下で行なうのが好ましい。空気中で硫酸処理反応を行なうと空気中の酸素による酸化および硫酸が水を吸収するため精製効率が低下する。
該硫酸洗浄の温度は精製する脂環式飽和炭化水素によって、適当な温度条件下で行なうことが好ましい。好ましくは5℃〜20℃である。5℃未満であると混合効率が低下し、20℃をこえると混合効率は上昇するが、副反応がおこりやすくなる。
硫酸洗浄に用いる硫酸の量は脂環式飽和炭化水素に対し、重量比で0.01当量から1.0当量、好ましくは0.02当量から0.5当量、更に好ましくは0.02当量から0.2当量である。1.0当量をこえると、大量の未反応の濃硫酸が生じ好ましくない、また0.01当量未満の場合、精製効率が低下する。
用いるアルカリとしては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩は脂環式飽和炭化水素に不純物として溶解する場合が少ないので好ましい。
アルカリ洗浄後は脱イオン水による洗浄を行なうことが好ましい。洗浄により、アルカリ中に含まれる金属イオン等の不純物を除去することができる。
硫酸処理については好ましくは2回〜10回、更に好ましくは3回〜10回行なう。処理回数が大きいほど精製効率は高まるが、製造プロセスが煩雑になり、また、製造コストが高くなる。
中和、水洗については硫酸処理毎に行なうことにより精製効率を高めることができる。例えば、1回の硫酸処理に対して1回〜5回、好ましくは1回〜2回の中和、水洗を行なう。
また、該中和、水洗は、硫酸処理を適当な回数行なった後、最後に行なうだけでもよい。この場合1回〜5回、好ましくは1回〜2回の中和、水洗を行なう。水洗については洗浄後の水の液性が中性になるまで行なうことが好ましい。
蒸留温度が150℃をこえると不純物と硫酸の反応生成物あるいは、原料の脂環式飽和炭化水素と硫酸との反応により生じた酸化生成物が分解し、不飽和炭化水素化合物等の不飽和化合物を生成し透過率が低下する原因となる。
蒸留は脂環式飽和炭化水素の沸点と蒸留温度に応じて適当な圧力に減圧して行なうことが好ましい。好ましい圧力は1mmHg〜30mmHg、更に好ましくは1mmHg〜10mmHgである。
蒸留中に空気中の酸素で酸化されるのを防ぐため、該蒸留は窒素等の不活性気流下で行なうことが好ましい。
減圧蒸留を行なった場合、蒸留後適当な不活性気体で常圧にもどしそのまま保存することが好ましい。これにより、保存中の空気酸化を防ぐことができる。
蒸留の段数は不純物と脂環式飽和炭化水素の沸点差に応じて適当な段数を持つ蒸留塔で蒸留を行うことが好ましい。
蒸留は金属除去に対しても有効である。
蒸留の容器の部材はスアテンレス(SUS)、ガラス、ポリテトラフルオロエチレンに代表されるフッ素樹脂等の脂環式飽和炭化水素液体により部材が侵されたり、可塑剤の流出したりしないものが好ましい。
蒸留塔は蒸留を行なう前に、炭化水素、アセトニトリル等の有機溶剤、水により洗浄することが好ましい。有機溶剤による洗浄は吸収源となる有機成分、水洗は、金属成分の除去に有効である。
上記化合物は、液浸露光装置が作動する温度において液体であり、屈折率は純水よりも高いことが前述した(iii)式、(iv)式の理由で好ましい。
具体的には、屈折率が水と露光前のレジスト膜(または液浸用上層膜)との間の値であり、かつ水と比較してより高い値であることが望ましく、波長193nmにおける屈折率が1.45〜1.8、好ましくは1.6〜1.8の範囲、波長248nmにおける屈折率が1.38〜1.65、好ましくは1.5〜1.65の範囲である。また、25℃において、D線(波長589nm)における屈折率が1.4以上、好ましくは1.4〜2.0、更に好ましくは1.40〜1.65の範囲である。
また、本観点から、本化合物の比熱は大きい値であることが好ましく、具体的には比熱の値は0.1cal/g・℃以上であることが好ましく、更に好ましくは0.30cal/g・℃以上である。
また、上記化合物は、その屈折率が色収差による影響を受けにくいことが好ましく、露光波長周辺における屈折率の波長依存性が小さいことが好ましい。
193nmにおける透過率は、光路長1mmの透過率が70%以上であることが望ましく、特に望ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。この場合、透過率が70%以下であると液体の光吸収により生じた熱エネルギーによる発熱が起こりやすくなり、温度上昇による屈折率変動による光学像のデフォーカス、および歪が生じやすくなる。また、液体の吸収により、レジスト膜に到達する光量が減少し、スループットの大幅な低下を引き起こす原因となる。
また、粘性係数が大きくなった場合液中の気泡(ナノバブル、マイクロバブル)の生成が起こりやすくなり、また、該気泡の寿命が長くなるため好適でない。
また、本発明の製造方法による液体とレンズ材料との接触角が90°をこえる場合レンズ表面と液体の間に気泡が生じる傾向がある。
また、特に現在水の液浸露光で用いられているのと同様の、局所液浸法による液浸でステップアンドスキャン方式の露光機に使用する場合、スキャン時の液体の飛散が問題となるため、本発明の製造方法による液体は表面張力が高いことが望ましい。具体的には20℃における表面張力は好ましくは5dyn/cm〜90dyn/cm、更に好ましくは20dyn/cm〜80dyn/cmである。
本発明の製造方法による液体とレジスト表面との接触角が好適でない場合、適当な液浸上層膜を使用することにより接触角を改善することができる。特に本発明の製造方法による液体は低極性であるため、高極性上層膜を用いることにより接触角を高くすることができる。
また、人体、環境に対する有害性が低いことが好ましく具体的には、人体に対する有害性に関しては、急性毒性が低く、発がん性、変異原性、催奇形性、生殖毒性等のない化合物が好ましい。具体的には、例えば、許容濃度が、好ましくは30ppm以上、更に好ましくは70ppm以上であり、Ames試験の結果は陰性である液体が望ましい。環境に対する有害性については、残留性、生態蓄積性のない化合物が望ましい。
特に、193nm等の露光波長において、吸光度が大きいオレフィンを含有する化合物、芳香族環を含有する化合物、硫黄(スルフィド、スルホキシド、スルホン構造)、ハロゲン、カルボニル基、エーテル基を含有する化合物等の割合は0.01重量%未満であることが好ましく、0.001重量%未満であることが特に好ましい。
また、本化合物からなる液体は半導体集積回路製造工程に使用されるものであることから、金属または金属塩含有量が低いことが好ましく、具体的には好ましくは金属含量が100ppb以下、更に好ましくは1.0ppb以下である。
また、本液体中の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。酸素濃度が100ppmをこえると溶存酸素による酸化反応等による透過率低下が起こりやすい傾向にある。
また、本液体は特に偏光露光を行なう場合、旋光性を有すると光学コントラスト低下の原因となるため、旋光性を有さない液体であることが好ましい。具体的には、本液体を構成する化合物が旋光性を有しない(光学活性でない)化合物であることが好ましく、液体の構成化合物が旋光性を有する(光学活性な)化合物である場合には等量の光学異性体を含有し(ラセミ体として存在し)、液体全体として光学活性を有しないことが好ましい。
液浸露光用液体は、上記に述べたように不活性気体中で保存することが望ましいが、その際の容器としては、容器成分または容器のふたの成分(例えば、プラスチックに配合される可塑剤等)の溶出のない容器で保存することが望ましい。好ましい容器の例としては例えば材質がガラス、金属(例、SUS)、陶器である容器が挙げられるが、特に好ましくは材質がガラスの容器である。
また、好ましい容器のふたの例としては、例えば材質がポリエチレンで可塑剤を含まないふたや、材質がガラス、金属(例、SUS)、陶器であるふたが挙げられる。
また、容器から露光機に送液時に使用する配管については、上記と同様の溶出の起こらない配管であることが望ましく、好ましい配管の材質としてはガラス、金属、陶器等が挙げられる。
液浸露光用液体は、液浸露光に用いた場合、微粒子、気泡(マイクロバブル)がパターンの欠陥等の原因となることから、微粒子および気泡の原因となる溶存気体の除去を露光前にしておくことが好ましい。
微粒子の除去方法としては適当なフィルターを用いてろ過する方法が挙げられる。フィルターとしては、微粒子の除去効率がよく、かつろ過時に溶出による、露光波長における吸収の変化のない材質を用いたフィルターが好ましい。好ましいフィルター材質としては、例えばガラス、金属(例えば、SUS、銀)、および金属酸化物が挙げられる。
溶存気体の除去方法としては、例えば減圧脱気法、超音波脱気法、気体透過性膜による脱気法、各種のデガッサーを用いた脱気法等が挙げられる。
液浸露光用液体は露光時は光学系の一部となるため、液体の屈折率などの光学的性質の変化の影響のない環境で使用することが望ましい。例えば、液体の光学特性に影響を与える温度、圧力等を一定にした環境下で使用することが望ましい。例えば温度については好ましくは、±0.1℃、更に好ましくは±0.01℃の範囲で管理することが望ましい。
また、本発明の製造方法による液体を用いた液浸露光は、大気雰囲気下で行なうことも可能であるが、上述のように、液浸露光用液体に対する酸素の溶解度が高く、露光波長における吸収特性に影響を与える場合があるため、露光波長における吸収の少なく、液体と化学反応を起こさない不活性気体中で露光することが望ましい。好ましい該不活性気体としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。
また、空気中の有機成分による汚染による液体の露光波長における吸収特性の変化を防ぐ観点から、使用雰囲気中の有機成分濃度を一定レベル以下に管理することが好ましい。この有機成分濃度の管理方法としては、上記不活性気体雰囲気に高純度のものを用いるほか、有機成分を吸着するフィルター、各種ガス精製管(装置)を使用する方法等が挙げられる。濃度管理のためには、定期的に周辺雰囲気の分析を行なうことが好ましいが、この目的には例えばガスクロマトグラフィーを用いた種々の分析法を用いることができる。
本液体を用いた液浸露光用の最終(対物)レンズ材料としては現行のCaF2あるいはfused silicaがその光学特性から好ましい。他の好ましいレンズ材料としてはたとえば高周期アルカリ土類金属Mのフッ素塩および一般式CaxM1-xF2で表される塩、アルカリ土類金属Mの酸化物等が好ましく、具体的には、BaF2、CaO、SrO、BaO等が好ましい。該材料を用いた場合、CaF2(n@193nm=1.50)、fused silica(n@193nm=1.56)と比較してレンズの屈折率が高くなるため、とりわけ開口数が1.5をこえる高NAのレンズを設計、加工する際に好ましい。
本発明の製造方法で得られた液浸露光液体は、使用後に再利用することができる。露光時のレジスト膜からの溶出等の影響が無視できるレジスト(またはレジスト上層膜)を用いた場合、本発明の液体は精製することなく再利用できるが、その場合は、脱気、ろ過等の処理を行なった後再利用することが好ましい。これらの処理はインラインで行なうことが工程を簡易化の観点から好ましい。
また、使用時に上記のレジスト膜からの溶出等が1回の使用で無視できるレベルであっても、使用回数が一定回数をこえた場合、蓄積された不純物の影響により、液体の物性が変化することが予想される。とりわけ、透過率は微量不純物の影響を受けやすいため特に変化しやすく、この場合、透過率の変動により、デフォーカス、露光量バラつきによる露光余裕度(EL)の低下等を引き起こす。したがって、一定回数使用後に回収、精製を行なうことが好ましい。
本発明の液体は、上述の精製を行った液体であるため、純度が高い。また、レジスト成分とりわけ、揮発性不純物の溶出が少ないため、簡便な方法で回収、精製を行うことにより、液体の光学特性を再現性よく回復し、液体を再利用することができる。
該精製の方法としては、水洗処理、酸洗浄(硫酸洗浄)、アルカリ洗浄、精密蒸留、適当なフィルター(充填カラム)を用いた精製、ろ過等の方法および、上記に述べた本発明の液体の精製法、あるいはこれらの精製法の組み合わせによる方法が挙げられる。この中で、水洗処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、精密蒸留あるいはこれらの精製法の組み合わせにより精製を行なうのが好ましい。
上記アルカリ洗浄は液浸露光用液体に溶出した露光により発生した酸の除去、酸洗浄は液浸露光用液体に溶出したレジスト中の塩基性成分の除去、水洗処理は液浸露光用液体に溶出したレジスト膜中の光酸発生剤、塩基性添加剤、露光時に発生した酸等の溶出物の除去に対して有効である。
本発明で開示した濃硫酸洗浄工程を含む精製法は上記回収、精製においても有効であり、本方法により、樹脂中の酸解離性保護基の分解または、液体への放射線の照射により生じる光反応生成物である炭素、炭素不飽和結合を有する不純物の除去を有効にできるため、透過率の変動を防ぐことが可能である。
精密蒸留については、上記添加剤のうち低揮発性の化合物の除去に対して有効な他、露光時にレジスト中の保護基の分解により発生する疎水性成分を除去するのに有効である。
また、本発明の製造方法により得られた液体は必要に応じて本発明以外の液体と混合して使用することができ、そうすることにより、例えば屈折率、透過率等の光学特性値、接触角、比熱、粘度、膨張率等の物性値を所望の値にすることができる。
本目的に使用される本発明以外の液体としてはその他の液浸露光可能な溶剤の他、各種の消泡剤、界面活性剤等を使用することができ、バブルの低減や、表面張力のコントロールに有効である。
基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜が形成される。基板は、例えばシリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等を用いることができる。また、レジスト膜の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の反射防止膜を形成しておくことができる。
使用されるフォトレジストは、特に限定されるものではなく、レジストの使用目的に応じて適時選定することができる。フォトレジストの樹脂成分としては、酸解離性基を含む高分子が挙げられる。該酸解離性基は露光により分解しないことが好ましく、とりわけ、該分解後生成物が露光条件下で揮発し、本発明の液体に溶出しないものであることが好ましい。これらの高分子の例としては、高分子側鎖に脂環族基、ラクトン基およびこれらの誘導体等を含む樹脂、ヒドロキシスチレン誘導体等を含む樹脂等が挙げられる。
特に高分子側鎖に脂環族基、ラクトン基およびこれらの誘導体を含む樹脂を用いるフォトレジストが好ましい。これらのフォトレジストは、脂環式炭化水素化合物または珪素原子を環構造中に含む環式炭化水素化合物と類似する化学構造を含むので、本発明の液浸露光用液体との親和性に優れる。また、フォトレジスト膜を溶出させたり溶解させたりしない。
本発明の製造方法による液浸露光用液体を用いる場合、特にポジ型レジストが好ましい。化学増幅型ポジ型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、重合体中の酸解離性有機基が解離して、例えばカルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
なお、液浸露光方法においては、フォトレジスト膜上に更に液浸用上層膜を形成す
ることができる。
nOC=(nlq×nRES)0.5
ここで、nlqは液浸用液体の屈折率を、nRESはレジスト膜の屈折率をそれぞれ表す。
具体的には、nOCは1.6〜1.9の範囲であるのが好ましい。
上記液浸上層膜は、液浸上層膜用樹脂組成物をレジスト膜上にレジスト膜とインターミキシングしない溶剤に0.01〜10%の固形分濃度で溶解した後、フォトレジスト膜の形成時と同様の方法により塗布、予備焼成を行なうことにより形成することができる。
液浸露光に用いられる放射線は、使用されるフォトレジスト膜およびフォトレジスト膜と液浸用上層膜との組み合わせに応じて、例えば可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線の如き各種放射線を選択使用することができる。特にArFエキシマレーザ(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザ(波長248nm)が好ましい。
また、レジスト膜の解像度、パターン形状、現像性等を向上させるために、露光後に焼成(以下、「PEB」という。)を行なうことが好ましい。その焼成温度は、使用されるレジスト等によって適宜調節されるが、通常、30〜200℃程度、好ましくは50〜150℃である。
次いで、フォトレジスト膜を現像液で現像し、洗浄して、所望のレジストパターンを形成する。
あらかじめ30分間の窒素バブリングを行なったtrans−デカリン(東京化成品社製)116.45gと濃硫酸(濃度96重量%)34.8gを、ポリテトラフルオロエチレン製攪拌ばねおよび窒素導入口を備え付けた500mlの3つ口フラスコに投入し、フラスコ内を30分かけて窒素置換した。その後、窒素気流下30分間、混合液を激しく攪拌した。攪拌後、液体を500ml分液ロートに移し、濃硫酸を除去後、飽和炭酸水素ナトリウムで1回、脱イオン水で2回有機層を洗浄した。こうして得られた有機層液体を再び3つ口フラスコに移液し、上記硫酸処理、アルカリ洗浄、脱イオン水洗浄を更に3回繰り返した。こうして得られた有機層を炭酸水素ナトリウム10gが入ったマイヤーフラスコに投入し、窒素バブリングを行ないながら30分間乾燥させた。本液体の一部をサンプリングして193nmの透過率を測定したところ69.1%(1cm)(96.4%(1mm))であった。デカンテーションで乾燥剤を除去後、本液体をウイッドマー精留塔を備え付けた蒸留装置で、蒸留釜にキャピラリーで窒素を導入しながら、減圧度2−3mmHgで減圧蒸留を行なった。蒸留時の釜温度46−55℃であり、蒸気温度31−37℃の留出分104.0gを受けフラスコに回収した。蒸留後、窒素を導入し圧力を常圧に戻し、一部をサンプリングして193nmの透過率およびガスクロマトグラフィーの測定を行なった。193nmの透過率は82.1%(1cm)(98.0%(1mm))、ガスクロマトグラフィー純度(FID面積比)は99.90%であった。また、溶存酸素濃度をガスクロマトグラフィー(検出器TCD)で測定したところ検出限界(1ppm)以下であった。本液体をEK−1とする。
なお、比較として、EK−1と同様の方法で露光後H1ウエハーに接触させた水(接触前の透過率99.0%)をろ過後、減圧蒸留し、蒸留後窒素により常圧に戻すことにより、窒素飽和した。193nmにおける透過率を測定したところ95.1%であった。
あらかじめ30分間の窒素バブリングを行ったexo−テトラヒドロジシクロペンタジエン(東京化成品社製)130.45gと濃硫酸(濃度96重量%)38.7gを、ポリテトラフルオロエチレン製攪拌ばねおよび窒素導入口を備え付けた500mlの3つ口フラスコに投入し、フラスコ内を30分かけて窒素置換した。その後、窒素気流下30分間、混合液を激しく攪拌した。攪拌後、液体を500ml分液ロートに移し、濃硫酸を除去後、飽和炭酸水素ナトリウムで1回、脱イオン水で2回有機層を洗浄した。こうして得られた有機層液体を再び3つ口フラスコに移液し、上記硫酸処理、アルカリ洗浄、脱イオン水洗浄を更に3回繰り返した。こうして得られた有機層を炭酸水素ナトリウム10gが入ったマイヤーフラスコに投入し、窒素バブリングを行ないながら30分間乾燥させた。本液体の一部をサンプリングして193nmの透過率を測定したところ193nmの透過率は67.6%(1cm)(96.2%(1mm))であった。デカンテーションで乾燥剤を除去後、本液体をウイッドマー精留塔を備え付けた蒸留装置で、蒸留釜にキャピラリーで窒素を導入しながら、減圧度2−3mmHgで減圧蒸留を行なった。蒸留時の釜温度46−55℃であり、蒸気温度31−37℃の留出分104.0gを受けフラスコに回収した。蒸留後、窒素を導入し圧力を常圧に戻し、一部をサンプリングして193nmの透過率およびガスクロマトグラフィーの測定を行なった。193nmの透過率は82.8%(1cm)(98.1%(1mm))、ガスクロマトグラフィー純度(FID面積比)は99.90%であった。また、溶存酸素濃度をガスクロマトグラフィー(検出器TCD)で測定したところ検出限界(1ppm)以下であった。本液体をEK−2とする。
窒素置換した簡易グローブバック中であらかじめ窒素置換したジシクロヘキシル(Aldrich社製)をグローブバッグ中でガラスコーティングしたマグネティックスターラーを投入した50mlナスフラスコに投入し、続いて濃硫酸(濃度96重量%)3.5mlを投入した。その後、混合液を激しく攪拌した。その後デカンテーションにより濃硫酸を除去した。こうして得た液体に更に3.5mlの濃硫酸を投入し、上記と同様の硫酸処理を計10回行なった。こうして得た液体の193nmの透過率を洗浄4回目、8回目、10回目に行なったところ以下の値であり、10回洗浄後には193nmの透過率75.7%(1cm)(97.3%(1mm))の液体を得た。本方法で得た洗浄回数4回目の液体をEK−3、洗浄回数10回目の液体をEK−4とする。結果を表1に示す。
屈折率のロット間差の測定
屈折率の製造ロット間差を調査するために、あらかじめ30分間の窒素バブリングを行なったtrans−デカリン(東京化成品社製)を実施例1の方法で2ロット製造し、液体EK−5、EK−6を得た。EK−5およびEK−6の194.227nmにおける屈折率を1サンプルにつき3回測定し、屈折率のロット依存性を評価した。結果を表2に示す。
本発明方法で得られた液浸露光用液体を2光束干渉簡易露光機を用いたパターニング実験により評価した。この評価をするために、以下に示す感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成した。また、その一部に以下に示す液浸用上層膜を形成した。比較例2のデカリンは濃硫酸洗浄を行なわない未精製品である。
参考例1
感放射線性樹脂組成物に用いる樹脂を以下の方法で得た。
液浸用上層膜を形成する樹脂を以下の方法で得た。
感放射線性樹脂組成物を以下の方法で得た。
表3に示す樹脂、酸発生剤、酸拡散制御剤、溶剤を混合、均一溶液とした後、孔径200nmのメンブランスフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(F1)を調製した。表3において、部は重量基準である。
なお、用いた酸発生剤(B)、酸拡散制御剤(C)、溶剤(D)を以下に示す。
酸発生剤(B)
B−1:トリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
酸拡散制御剤(C)
C−1:2−フェニルベンズイミダゾール
溶剤(D)
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
液浸用上層膜組成物を以下の方法で得た。
表4に示す樹脂、溶剤を混合して均一溶液とした後、孔径200nmのメンブランスフィルターでろ過することにより液浸用上層膜組成物(G−1)を調製した。表4において、n−BuOHはノルマルブタノールを表し、部は重量基準である。
評価用レジスト膜(H−1およびH−2)を以下の方法で得た。
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート、PB(90℃、60秒)により下層反射防止膜ARC29(ブルーワサイエンス社製)の塗布を行ない、膜厚29nmの塗膜を形成した後、同条件で表5に示す感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜(膜厚80nm)を形成した(H−1)。
また、上記と同様の方法で感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜(膜厚80nm)を形成した後、このレジスト膜上に、表4に示す液浸用上層膜組成物(G−1)をスピンコート、PB(130℃、90秒)により膜厚32nmの上層膜を形成した(H−2)。
評価用レジスト膜を塗布したウエハに対して、2光束干渉型ArF液浸用簡易露光装置(ニコン(株)社製、35nm1L/1S用、TE偏光露光使用)のレンズ、ウエハ間(ギャップ0.7mm)に上記精製後液浸用液体を挿入して露光を行ない、その後、ウエハ上の液浸用液体空気乾燥により除去し、本ウエハをCLEAN TRACKACT8ホットプレートにてPEB(115℃、90秒)を行ない、同CLEAN TRACKACT8のLDノズルにてパドル現像(60秒間)、超純水にてリンスを行ない現像後基板を走査型電子顕微鏡(日立計測器(株)社製)S−9360でパターンを観察した。測定結果を表6に示す。
(2)感度
上記露光実験において、所望の線幅が得られた時の露光量(J)を感度とした。測定結果を表6に示す。
(3)パターン形状
上記の露光実験において良好な矩形のパターンが得られた場合良好、それ以外を形状不良とした。測定結果を表6に示す。
(4)ロット間差の比較実験
上記、2光束干渉露光実験と同様の方法で、液浸用液体としてEK−5、EK−6を用いて露光を行ない、感度および形状を比較した。測定結果を表6に示す。
Claims (4)
- 投影光学系のレンズと基板との間に満たされた液体を介して遠紫外線を露光する液浸露光装置または液浸露光方法に用いられる液浸露光用液体の製造方法であって、
該液浸露光用液体の原料となる炭化水素化合物を容器内に収容する工程と、
該炭化水素化合物を硫酸洗浄する工程とを含み、前記炭化水素化合物が脂環式飽和炭化水素化合物であることを特徴とする液浸露光用液体の製造方法。 - 前記硫酸洗浄する工程後に蒸留精製する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の液浸露光用液体の製造方法。
- 投影光学系のレンズと基板との間に満たされた液体を介して遠紫外線を露光する液浸露光装置または液浸露光方法に用いられる液浸露光用液体のリサイクル方法であって、
前記液浸露光装置または液浸露光方法に用いられる液浸露光用液体が請求項1記載の製造方法で得られた液体であり、用いられた前記液体を回収し、精製した後、再利用することを特徴とする液浸露光用液体のリサイクル方法。 - 前記精製が硫酸洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項3記載の液浸露光用液体のリサイクル方法。
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