JP2008263151A - 液浸露光用液体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長193.4nmにおける透過率が高く、また、露光による劣化がおこり難く、さらに液体の再利用性に優れる。
【解決手段】液浸露光に用いられるデカリンを含む液浸露光用液体であって、該trans−デカヒドロナフタレンは5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であり、その製造方法は、デカリンを精密蒸留により精製し5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンを得た後、このデカリンを濃硫酸洗浄による精製および吸着剤を用いる吸着法による精製の少なくとも1つの精製法により精製する。
【選択図】なし
【解決手段】液浸露光に用いられるデカリンを含む液浸露光用液体であって、該trans−デカヒドロナフタレンは5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であり、その製造方法は、デカリンを精密蒸留により精製し5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンを得た後、このデカリンを濃硫酸洗浄による精製および吸着剤を用いる吸着法による精製の少なくとも1つの精製法により精製する。
【選択図】なし
Description
本発明はtrans−デカヒドロナフタレン(以下、デカリンと略称する)を含む液浸露光用液体およびその製造方法に関する。
半導体素子等を製造するのに際し、フォトマスクとしてのレチクルのパターンを投影光学系を介して、フォトレジストが塗布されたウエハ上の各ショット領域に転写するステッパー型、またはステップアンドスキャン方式の投影露光装置が使用されている。
投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度の理論限界値は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い投影露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。
このように、半導体素子等の製造分野においては、従来、露光光源の短波長化、開口数の増大により集積回路の微細化要求に応えてきており、現在では露光光源としてArFエキシマレーザ(波長193.4nm)を用いた1L1S(1:1ラインアンドスペース)ハーフピッチ90nmノードの量産化が検討されている。しかしながら、更に微細化が進んだ次世代のハーフピッチ65nmノードあるいは45nmノードについてはArFエキシマレーザの使用のみによる達成は困難であるといわれている。そこで、これらの次世代技術についてはF2エキシマレーザ(波長157nm)、EUV(波長13nm)等の短波長光源の使用が検討されている。しかしながら、これらの光源の使用については技術的難易度が高く、現状ではまだ使用が困難な状況にある。
投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度の理論限界値は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い投影露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。
このように、半導体素子等の製造分野においては、従来、露光光源の短波長化、開口数の増大により集積回路の微細化要求に応えてきており、現在では露光光源としてArFエキシマレーザ(波長193.4nm)を用いた1L1S(1:1ラインアンドスペース)ハーフピッチ90nmノードの量産化が検討されている。しかしながら、更に微細化が進んだ次世代のハーフピッチ65nmノードあるいは45nmノードについてはArFエキシマレーザの使用のみによる達成は困難であるといわれている。そこで、これらの次世代技術についてはF2エキシマレーザ(波長157nm)、EUV(波長13nm)等の短波長光源の使用が検討されている。しかしながら、これらの光源の使用については技術的難易度が高く、現状ではまだ使用が困難な状況にある。
ところで、上記の露光技術においては、露光されるウエハ表面にはフォトレジスト膜が形成されており、このフォトレジスト膜にパターンが転写される。従来の投影露光装置では、ウエハが配置される空間は屈折率が1の空気または窒素で満たされている。
屈折率nの液体を投影露光装置のレンズとウエハの間に満たし、適当な光学系を設定することにより、解像度の限界値および焦点深度をそれぞれn分の1、n倍にすることが理論的に可能である。例えば、ArFプロセスで、レンズとウエハの間に満たす液体として水を使用すると波長193.4nmの光の水中での屈折率nはn=1.44であるから、空気または窒素を媒体とする露光時と比較し、解像度が69.4%、焦点深度が144%となる光学系の設計が理論上可能となる。
このように露光するための放射線の実効波長を短波長化し、より微細なパターンを転写できる投影露光する方法を液浸露光といい、今後のリソグラフィーの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィーには、必須の技術と考えられている。
屈折率nの液体を投影露光装置のレンズとウエハの間に満たし、適当な光学系を設定することにより、解像度の限界値および焦点深度をそれぞれn分の1、n倍にすることが理論的に可能である。例えば、ArFプロセスで、レンズとウエハの間に満たす液体として水を使用すると波長193.4nmの光の水中での屈折率nはn=1.44であるから、空気または窒素を媒体とする露光時と比較し、解像度が69.4%、焦点深度が144%となる光学系の設計が理論上可能となる。
このように露光するための放射線の実効波長を短波長化し、より微細なパターンを転写できる投影露光する方法を液浸露光といい、今後のリソグラフィーの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィーには、必須の技術と考えられている。
本願出願人は、液浸露光方法において、従来の純水よりも屈折率が大きく、優れた透過性を有し、フォトレジスト膜あるいはその上層膜成分(とりわけ親水性成分)の溶出や溶解を防ぎ、レンズを浸食せずレジストパターンの生成時の欠陥を抑えることができ、液浸用液体として使用した場合、より解像度および焦点深度の優れたパターンを形成できる液浸露光用液体の提供を目的として、種々の化合物について検討を行なった結果、遠紫外領域における吸収が小さく、液浸露光用液体として好適な高屈折率を有するデカリンなどの脂環式飽和炭化水素化合物について出願している(特許文献1)。
しかし、公知の方法で合成され、または市場で入手できるデカリンは、一般に遠紫外領域に大きな吸収を有する不純物を有し、このために、上記化合物を液浸露光用液体に用いた場合、透過率の不足により、感度低下に伴うスループットの低下、液体の光吸収による液体の発熱による屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題が生じる場合があった。
しかし、公知の方法で合成され、または市場で入手できるデカリンは、一般に遠紫外領域に大きな吸収を有する不純物を有し、このために、上記化合物を液浸露光用液体に用いた場合、透過率の不足により、感度低下に伴うスループットの低下、液体の光吸収による液体の発熱による屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題が生じる場合があった。
このため、脂環式飽和炭化水素化合物には、非常に微量であっても透過率に大きく影響する炭素−炭素不飽和結合または芳香族環を有する化合物、カルボニル基、水酸基等の官能基を有する化合物が不純物として僅かに存在しているためと考えられることから、処理温度の異なる複数の硫酸洗浄処理工程を含み、少なくとも最終硫酸洗浄処理工程の処理温度が該洗浄処理工程より前の処理工程の処理温度よりも低い処理温度で処理することを特徴とする方法を本発明者等は既に提案している(特許文献2)。
また、吸着剤を用いて脂環式飽和炭化水素化合物を精製する方法が開示されている(特許文献3および4)。
しかしながら、デカリンは、上記精製方法であっても不純物に由来すると考えられる吸収のため露光波長(193.4nm)における透過率が十分でなく、また、露光により透過率劣化が起こりやすいという問題があった。
WO2005/114711
特願2006−329265
WO2005/119371
WO2006/115268
また、吸着剤を用いて脂環式飽和炭化水素化合物を精製する方法が開示されている(特許文献3および4)。
しかしながら、デカリンは、上記精製方法であっても不純物に由来すると考えられる吸収のため露光波長(193.4nm)における透過率が十分でなく、また、露光により透過率劣化が起こりやすいという問題があった。
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、波長193.4nmにおける透過率が高く、また、露光による劣化がおこり難く、さらに液体の再利用性に優れる液浸露光用液体の提供を目的とする。
発明者らは種々の検討の結果、デカリンの精製を行ない高純度化し、特定の不純物を除去することにより波長193.4nmにおける透過率が高く、露光劣化が起こり難く、再利用性に優れる液浸露光用液体が得られることを見出し発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、液浸露光に用いられるデカリンを含む液浸露光用液体であって、該trans−デカヒドロナフタレンは5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であることを特徴とする。
すなわち本発明は、液浸露光に用いられるデカリンを含む液浸露光用液体であって、該trans−デカヒドロナフタレンは5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であることを特徴とする。
また、液浸露光に用いられる上記5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンの製造方法は、原料デカリンを精密蒸留する精密蒸留工程、濃硫酸を用いて洗浄する濃硫酸洗浄工程、および吸着剤を用いて精製する吸着工程から選ばれる少なくとも1つの精製工程を有することを特徴とする。
また、上記デカリンの製造方法は、原料デカリンの精密蒸留により、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンを精製する精密蒸留工程と、この精密蒸留工程後に濃硫酸洗浄工程および吸着剤を用いて精製する吸着工程から選ばれる少なくとも1つの精製工程とを有することを特徴とする。
また、上記デカリンの製造方法は、原料デカリンの精密蒸留により、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンを精製する精密蒸留工程と、この精密蒸留工程後に濃硫酸洗浄工程および吸着剤を用いて精製する吸着工程から選ばれる少なくとも1つの精製工程とを有することを特徴とする。
本発明のデカリンは、精製により高純度化し、波長193.4nmにおける吸収の原因となる5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるので、液浸露光用液体として使用するのに際し露光による液体の劣化が起こり難く、液体の再利用性に優れる。
本発明の液浸露光用液体はデカリンを主成分とする。好ましくはデカリン単体である。このデカリンは、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満のデカリン(以下、精製デカリンと略称する)であり、好ましくはそれぞれ5ppm未満、特に好ましくはそれぞれ1ppm未満である。精製デカリン中の5−メチルオクタヒドロインデン、シクロデセンの含有量がそれぞれ10ppmをこえると波長193.4nmにおける透過率が低下する。なお、精製デカリン中の5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量はガスクロマトグラフィーを用いて定量できる。
精製デカリンは、市販品として得られるかまたは公知の方法で製造した原料デカリンを精製する方法で製造することができる。
精製デカリンは、市販品として得られるかまたは公知の方法で製造した原料デカリンを精製する方法で製造することができる。
精製デカリンの製造方法は、原料デカリンを精密蒸留する精密蒸留工程、濃硫酸を用いて洗浄する濃硫酸洗浄工程、および吸着剤を用いて精製する吸着工程から選ばれる少なくとも1つの精製工程により製造することができる。
精密蒸留する場合、その精密蒸留は5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンとデカリンとの沸点差を考慮して、その分離に必要な理論段数以上の理論段数を有する蒸留塔で行なうことが好ましい。本発明においては、精密蒸留の際の理論段数として10段以上が好ましい。好ましくは30段以上、さらに好ましくは50段以上である。また、該精密蒸留は適当な温度条件下で行なうことが好ましい。蒸留温度が高くなると化合物の酸化反応等により吸収の低減効果が小さくなる傾向にある。好ましい蒸留温度は30〜120℃、特に好ましい蒸留温度は30〜80℃である。上記の温度範囲での蒸留を行なうために、デカリンの精密蒸留は減圧下で行なう。
減圧蒸留を行なった場合、蒸留後適当な不活性気体で常圧にもどしそのまま保存することが好ましい。これにより、保存中の空気酸化を防ぐことができる。
精密蒸留する場合、その精密蒸留は5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンとデカリンとの沸点差を考慮して、その分離に必要な理論段数以上の理論段数を有する蒸留塔で行なうことが好ましい。本発明においては、精密蒸留の際の理論段数として10段以上が好ましい。好ましくは30段以上、さらに好ましくは50段以上である。また、該精密蒸留は適当な温度条件下で行なうことが好ましい。蒸留温度が高くなると化合物の酸化反応等により吸収の低減効果が小さくなる傾向にある。好ましい蒸留温度は30〜120℃、特に好ましい蒸留温度は30〜80℃である。上記の温度範囲での蒸留を行なうために、デカリンの精密蒸留は減圧下で行なう。
減圧蒸留を行なった場合、蒸留後適当な不活性気体で常圧にもどしそのまま保存することが好ましい。これにより、保存中の空気酸化を防ぐことができる。
また、上記原料を硫酸洗浄する場合、硫酸としては発煙硫酸、濃硫酸、および濃度80重量%以上の硫酸を使用できる。好ましくは濃度95重量%以上の濃硫酸である。硫酸濃度が80重量%未満であると硫酸洗浄による不純物の除去が困難となる。また、硫酸は空気中で放置すると吸湿して劣化するため、乾燥雰囲気下あるいは窒素雰囲気下で保存することが好ましい。
上記硫酸洗浄処理は原料化合物を硫酸と混合することにより行なう。混合は一回の処理であっても、複数回の処理であってもよく、また、処理温度の異なる複数の洗浄処理工程を含んでもよい。
硫酸洗浄に用いる硫酸の量はデカリン100体積部に対し、25〜100体積部、好ましくは25〜75体積部、更に好ましくは25〜50体積部である。100体積部をこえても洗浄効果は変わらず、硫酸の使用量が増大するのみで好ましくない、また25体積部未満の場合、精製効率が低下する。
濃硫酸洗浄は−10℃〜40℃の温度下で行なうことが好ましい。より好ましい洗浄温度は−10℃〜10℃である。攪拌温度が40℃をこえると系内で好ましくない化学反応が起こり波長193.4nmにおける透過率が低下する傾向にある。また、攪拌時間は30分〜3時間。好ましくは30分〜1時間である。攪拌時間が3時間をこえると系内で好ましくない化学反応が起き、液体の波長193.4nmにおける透過率が低下する傾向にある。
硫酸洗浄後、必要に応じてアルカリ中和、水洗を行なうことが好ましい。アルカリによる中和を行なった場合、例えば濃硫酸と不純物として存在する芳香族炭化水素との反応により生じたスルホン酸成分を効率よく除去することができる。用いるアルカリとしては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩は脂環式飽和炭化水素に不純物として溶解する場合が少ないので好ましい。アルカリ洗浄後は脱イオン水による洗浄を行なうことが好ましい。洗浄により、アルカリ中に含まれる金属イオン等の不純物を除去することができる。
上記硫酸洗浄処理は原料化合物を硫酸と混合することにより行なう。混合は一回の処理であっても、複数回の処理であってもよく、また、処理温度の異なる複数の洗浄処理工程を含んでもよい。
硫酸洗浄に用いる硫酸の量はデカリン100体積部に対し、25〜100体積部、好ましくは25〜75体積部、更に好ましくは25〜50体積部である。100体積部をこえても洗浄効果は変わらず、硫酸の使用量が増大するのみで好ましくない、また25体積部未満の場合、精製効率が低下する。
濃硫酸洗浄は−10℃〜40℃の温度下で行なうことが好ましい。より好ましい洗浄温度は−10℃〜10℃である。攪拌温度が40℃をこえると系内で好ましくない化学反応が起こり波長193.4nmにおける透過率が低下する傾向にある。また、攪拌時間は30分〜3時間。好ましくは30分〜1時間である。攪拌時間が3時間をこえると系内で好ましくない化学反応が起き、液体の波長193.4nmにおける透過率が低下する傾向にある。
硫酸洗浄後、必要に応じてアルカリ中和、水洗を行なうことが好ましい。アルカリによる中和を行なった場合、例えば濃硫酸と不純物として存在する芳香族炭化水素との反応により生じたスルホン酸成分を効率よく除去することができる。用いるアルカリとしては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩は脂環式飽和炭化水素に不純物として溶解する場合が少ないので好ましい。アルカリ洗浄後は脱イオン水による洗浄を行なうことが好ましい。洗浄により、アルカリ中に含まれる金属イオン等の不純物を除去することができる。
吸着剤を用いて精製する場合、吸着剤としてはシリカゲル、アルミナ、ゼオライト、活性炭などが挙げられる。吸着法としては上記の吸着剤を適当な時間原料デカリンに浸漬させる方法、吸着剤をカラムに充填して原料デカリンを通過させるカラムクロマトグラフィー法が挙げられる。
また、上記の精密蒸留、濃硫酸処理および吸着処理は、窒素またはアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。この場合不活性ガス中の酸素濃度、有機成分濃度が低いことが好ましく、好ましい酸素濃度は1000ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
また、上記の精密蒸留、濃硫酸処理および吸着処理は、窒素またはアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。この場合不活性ガス中の酸素濃度、有機成分濃度が低いことが好ましく、好ましい酸素濃度は1000ppm以下、更に好ましくは10ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
本発明の精製デカリンは、上記の方法で精製することにより、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンを入手した後、更に適当な方法で精製することが好ましく、この場合の精製方法としては濃硫酸洗浄、適当な吸着剤を用いた吸着法が挙げられる。
好ましい方法は、原料デカリンの精密蒸留により、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンを精製した後に、濃硫酸洗浄および/または吸着剤を用いて精製することである。
好ましい方法は、原料デカリンの精密蒸留により、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるデカリンを精製した後に、濃硫酸洗浄および/または吸着剤を用いて精製することである。
本発明の精製デカリンは低極性化合物であるため酸素、窒素等の気体の溶解度が高い。このため、これらの気体の溶存の影響を受けやすく、たとえば大気雰囲気下で放置した場合、溶存酸素の吸収または溶存酸素が光により励起されて生じるオゾンの吸収、あるいは溶存酸素の関与する酸化反応等により例えば193nmの透過率の低下が起こる傾向がある。このため、これらの化合物は脱気処理を施し、窒素、アルゴン等の不活性で吸収の少ない気体中で保存することが好ましい。具体的には保存液体中の酸素濃度が100ppm以下であることが好ましく、更に好ましくは10ppm以下になるように処理することが好ましい。また、露光前に脱酸素できない場合は、特に1ppm以下が好ましく、さらに好ましくは10ppb以下である。
以下、本発明の精製デカリンを用いた液浸露光方法について説明する。
本発明の精製デカリンは、上記に述べたように不活性気体中で保存することが好ましいが、その際の容器としては、容器成分または容器のふたの成分(例えば、プラスチックに配合される可塑剤等)の溶出のない容器で保存することが好ましい。好ましい容器の例としては例えば材質がガラス、金属(例、SUS)、陶器、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー)、PTFE/PDD(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)等のフッ素樹脂である容器が挙げられるが、特に好ましくは材質がガラス、フッ素樹脂の容器である。
また、好ましい容器のふたの例としては、例えば材質がポリエチレンで可塑剤を含まないふたや、材質がガラス、金属(例、SUS)、陶器、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー)、PTFE/PDD(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)等のフッ素樹脂であるふたが挙げられる。
また、容器から露光機に送液時に使用する配管については、上記と同様の溶出の起こらない配管であることが好ましく、好ましい配管の材質としてはガラス、金属、陶器等が挙げられる。
本発明の精製デカリンは、液浸露光に用いた場合、微粒子、気泡(マイクロバブル)がパターンの欠陥等の原因となることから、微粒子および気泡の原因となる溶存気体の除去を露光前にしておくことが好ましい。
微粒子の除去方法としては適当なフィルターを用いてろ過する方法が挙げられる。フィルターとしては、微粒子の除去効率がよく、かつろ過時に溶出による、露光波長における吸収の変化のない材質を用いたフィルターが好ましい。好ましいフィルター材質としては、例えばガラス、金属(例えば、SUS、銀)、および金属酸化物、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー)、PTFE/PDD(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が挙げられる。また、フィルターのハウジング、コア、サポート、プラグ等の周辺部の材質についても、上記のフィルターの好ましい材質の中から選択される材質であることが好ましい。
溶存気体の除去方法としては、例えば減圧脱気法、超音波脱気法、気体透過性膜による脱気法、各種のデガッサーを用いた脱気法等が挙げられる。
本発明の精製デカリンは露光時は光学系の一部となるため、液体の屈折率などの光学的性質の変化の影響のない環境で使用することが好ましい。例えば、液体の光学特性に影響を与える温度、圧力等を一定にした環境下で使用することが好ましい。例えば温度については好ましくは、±0.1℃、更に好ましくは±0.01℃の範囲で管理することが好ましい。
また、本発明の液体を用いた液浸露光は、大気雰囲気下で行なうことも可能であるが、上述のように、本発明の液体に対する酸素の溶解度が高く、露光波長における吸収特性に影響を与える場合があるため、露光波長における吸収の少なく、液体と化学反応を起こさない不活性気体中で露光することが好ましい。好ましい該不活性気体としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。
また、空気中の有機成分による汚染による液体の露光波長における吸収特性の変化を防ぐ観点から、使用雰囲気中の有機成分濃度を一定レベル以下に管理することが好ましい。この有機成分濃度の管理方法としては、上記不活性気体雰囲気に高純度のものを用いるほか、有機成分を吸着するフィルター、各種ガス精製管(装置)を使用する方法等が挙げられる。濃度管理のためには、定期的に周辺雰囲気の分析を行なうことが好ましいが、この目的には例えばガスクロマトグラフィーを用いた種々の分析法を用いることができる。
本発明の精製デカリンは、上記に述べたように不活性気体中で保存することが好ましいが、その際の容器としては、容器成分または容器のふたの成分(例えば、プラスチックに配合される可塑剤等)の溶出のない容器で保存することが好ましい。好ましい容器の例としては例えば材質がガラス、金属(例、SUS)、陶器、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー)、PTFE/PDD(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)等のフッ素樹脂である容器が挙げられるが、特に好ましくは材質がガラス、フッ素樹脂の容器である。
また、好ましい容器のふたの例としては、例えば材質がポリエチレンで可塑剤を含まないふたや、材質がガラス、金属(例、SUS)、陶器、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー)、PTFE/PDD(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)等のフッ素樹脂であるふたが挙げられる。
また、容器から露光機に送液時に使用する配管については、上記と同様の溶出の起こらない配管であることが好ましく、好ましい配管の材質としてはガラス、金属、陶器等が挙げられる。
本発明の精製デカリンは、液浸露光に用いた場合、微粒子、気泡(マイクロバブル)がパターンの欠陥等の原因となることから、微粒子および気泡の原因となる溶存気体の除去を露光前にしておくことが好ましい。
微粒子の除去方法としては適当なフィルターを用いてろ過する方法が挙げられる。フィルターとしては、微粒子の除去効率がよく、かつろ過時に溶出による、露光波長における吸収の変化のない材質を用いたフィルターが好ましい。好ましいフィルター材質としては、例えばガラス、金属(例えば、SUS、銀)、および金属酸化物、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー)、PTFE/PDD(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が挙げられる。また、フィルターのハウジング、コア、サポート、プラグ等の周辺部の材質についても、上記のフィルターの好ましい材質の中から選択される材質であることが好ましい。
溶存気体の除去方法としては、例えば減圧脱気法、超音波脱気法、気体透過性膜による脱気法、各種のデガッサーを用いた脱気法等が挙げられる。
本発明の精製デカリンは露光時は光学系の一部となるため、液体の屈折率などの光学的性質の変化の影響のない環境で使用することが好ましい。例えば、液体の光学特性に影響を与える温度、圧力等を一定にした環境下で使用することが好ましい。例えば温度については好ましくは、±0.1℃、更に好ましくは±0.01℃の範囲で管理することが好ましい。
また、本発明の液体を用いた液浸露光は、大気雰囲気下で行なうことも可能であるが、上述のように、本発明の液体に対する酸素の溶解度が高く、露光波長における吸収特性に影響を与える場合があるため、露光波長における吸収の少なく、液体と化学反応を起こさない不活性気体中で露光することが好ましい。好ましい該不活性気体としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。
また、空気中の有機成分による汚染による液体の露光波長における吸収特性の変化を防ぐ観点から、使用雰囲気中の有機成分濃度を一定レベル以下に管理することが好ましい。この有機成分濃度の管理方法としては、上記不活性気体雰囲気に高純度のものを用いるほか、有機成分を吸着するフィルター、各種ガス精製管(装置)を使用する方法等が挙げられる。濃度管理のためには、定期的に周辺雰囲気の分析を行なうことが好ましいが、この目的には例えばガスクロマトグラフィーを用いた種々の分析法を用いることができる。
露光領域の液浸の液体供給方法としては、mooving pool法、seimming stage法、Local Fill法(局所液浸方式)が知られているが(特別セミナー液浸露光技術(2004年5月27日開催)セミナーテキスト参照)、局所液浸法が液浸露光用液体の使用量が少なくてすむため好ましい。
精製デカリンを用いた液浸露光用の最終(対物)レンズ材料としては現行のCaF2あるいはfused silicaがその光学特性から好ましい。他の好ましいレンズ材料としてはたとえば高周期アルカリ土類金属Mのフッ素塩および一般式CaxM1-xF2で表される塩、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属の酸化物等が好ましく、該材料を用いた場合、CaF2(n@193nm=1.50)、fused silica(n@193nm=1.56)と比較してレンズの屈折率が高くなるため、とりわけ開口数が1.5をこえる高NAのレンズを設計、加工する際に好ましい。
本発明の精製デカリンは、レジスト成分の抽出が極めて少ないため使用後に再利用することができる。露光時のレジスト膜からの溶出等の影響が無視できるレジスト(またはレジスト上層膜)を用いた場合、本発明の液体は精製することなく再利用できるが、その場合は、脱気、ろ過等の処理を行なった後再利用することが好ましい。これらの処理はインラインで行なうことが工程を簡易化の観点から好ましい。
また、使用時に上記のレジスト膜からの溶出等が1回の使用で無視できるレベルであっても、使用回数が一定回数をこえた場合、蓄積された不純物の影響により、液体の物性が変化することが予想されるため、一定回数使用後に回収、精製を行なうことが好ましい。
該精製の方法としては、水洗処理、酸洗浄、アルカリ洗浄、精密蒸留、適当なフィルター(充填カラム)を用いた精製、ろ過等の方法および、上記に述べた本発明の液体の精製法、あるいはこれらの精製法の組み合わせによる方法が挙げられる。この中で、水洗処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、精密蒸留あるいはこれらの精製法の組み合わせにより精製を行なうのが好ましい。
上記アルカリ洗浄は精製デカリンに溶出した露光により発生した酸の除去、酸洗浄は本発明の液体に溶出したレジスト中の塩基性成分の除去、水洗処理は本発明の液体に溶出したレジスト膜中の光酸発生剤、塩基性添加剤、露光時に発生した酸等の溶出物の除去に対して有効である。
精密蒸留については、上記添加剤のうち低揮発性の化合物の除去に対して有効な他、露光時にレジスト中の保護基の分解により発生する疎水性成分を除去するのに有効である。
精製デカリンを用いた液浸露光用の最終(対物)レンズ材料としては現行のCaF2あるいはfused silicaがその光学特性から好ましい。他の好ましいレンズ材料としてはたとえば高周期アルカリ土類金属Mのフッ素塩および一般式CaxM1-xF2で表される塩、CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属の酸化物等が好ましく、該材料を用いた場合、CaF2(n@193nm=1.50)、fused silica(n@193nm=1.56)と比較してレンズの屈折率が高くなるため、とりわけ開口数が1.5をこえる高NAのレンズを設計、加工する際に好ましい。
本発明の精製デカリンは、レジスト成分の抽出が極めて少ないため使用後に再利用することができる。露光時のレジスト膜からの溶出等の影響が無視できるレジスト(またはレジスト上層膜)を用いた場合、本発明の液体は精製することなく再利用できるが、その場合は、脱気、ろ過等の処理を行なった後再利用することが好ましい。これらの処理はインラインで行なうことが工程を簡易化の観点から好ましい。
また、使用時に上記のレジスト膜からの溶出等が1回の使用で無視できるレベルであっても、使用回数が一定回数をこえた場合、蓄積された不純物の影響により、液体の物性が変化することが予想されるため、一定回数使用後に回収、精製を行なうことが好ましい。
該精製の方法としては、水洗処理、酸洗浄、アルカリ洗浄、精密蒸留、適当なフィルター(充填カラム)を用いた精製、ろ過等の方法および、上記に述べた本発明の液体の精製法、あるいはこれらの精製法の組み合わせによる方法が挙げられる。この中で、水洗処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、精密蒸留あるいはこれらの精製法の組み合わせにより精製を行なうのが好ましい。
上記アルカリ洗浄は精製デカリンに溶出した露光により発生した酸の除去、酸洗浄は本発明の液体に溶出したレジスト中の塩基性成分の除去、水洗処理は本発明の液体に溶出したレジスト膜中の光酸発生剤、塩基性添加剤、露光時に発生した酸等の溶出物の除去に対して有効である。
精密蒸留については、上記添加剤のうち低揮発性の化合物の除去に対して有効な他、露光時にレジスト中の保護基の分解により発生する疎水性成分を除去するのに有効である。
上記精製デカリンは、単独でも、また他の液浸露光用液体との混合物であっても使用できる。好ましい例としては、単独で使用する場合である。単独で使用することにより、液浸露光条件を設定しやすくなる。
また、他の液浸露光用液体との混合物として使用することにより、例えば屈折率、透過率等の光学特性値、接触角、比熱、粘度、膨張率等の物性値を所望の値にすることができる。
本目的に使用される精製デカリン以外の液体としてはその他の液浸露光可能な溶剤の他、各種の消泡剤、界面活性剤等を使用することができ、バブルの低減や、表面張力のコントロールに有効である。
また、他の液浸露光用液体との混合物として使用することにより、例えば屈折率、透過率等の光学特性値、接触角、比熱、粘度、膨張率等の物性値を所望の値にすることができる。
本目的に使用される精製デカリン以外の液体としてはその他の液浸露光可能な溶剤の他、各種の消泡剤、界面活性剤等を使用することができ、バブルの低減や、表面張力のコントロールに有効である。
上記精製デカリンを用いて、液浸露光がなされる。
基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜が形成される。基板は、例えばシリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等を用いることができる。また、レジスト膜の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の反射防止膜を形成しておくことができる。
使用されるフォトレジストは、特に限定されるものではなく、レジストの使用目的に応じて適時選定することができる。フォトレジストの樹脂成分としては、酸解離性基を含む高分子が挙げられる。該酸解離性基は露光により分解しないことが好ましく、とりわけ、該分解後生成物が露光条件下で揮発し、本発明の液体に溶出しないものであることが好ましい。これらの高分子の例としては、高分子側鎖に脂環族基、ラクトン基およびこれらの誘導体等を含む樹脂、ヒドロキシスチレン誘導体等を含む樹脂等が挙げられる。
特に高分子側鎖に脂環族基、ラクトン基およびこれらの誘導体を含む樹脂を用いるフォトレジストが好ましい。これらのフォトレジストは、縮合3環構造を有する飽和炭化水素化合物と類似する化学構造を含むので、本発明の精製デカリンとの親和性に優れる。また、フォトレジスト膜を溶出させたり溶解させたりしない。
基板上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜が形成される。基板は、例えばシリコンウエハ、アルミニウムで被覆したウエハ等を用いることができる。また、レジスト膜の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の反射防止膜を形成しておくことができる。
使用されるフォトレジストは、特に限定されるものではなく、レジストの使用目的に応じて適時選定することができる。フォトレジストの樹脂成分としては、酸解離性基を含む高分子が挙げられる。該酸解離性基は露光により分解しないことが好ましく、とりわけ、該分解後生成物が露光条件下で揮発し、本発明の液体に溶出しないものであることが好ましい。これらの高分子の例としては、高分子側鎖に脂環族基、ラクトン基およびこれらの誘導体等を含む樹脂、ヒドロキシスチレン誘導体等を含む樹脂等が挙げられる。
特に高分子側鎖に脂環族基、ラクトン基およびこれらの誘導体を含む樹脂を用いるフォトレジストが好ましい。これらのフォトレジストは、縮合3環構造を有する飽和炭化水素化合物と類似する化学構造を含むので、本発明の精製デカリンとの親和性に優れる。また、フォトレジスト膜を溶出させたり溶解させたりしない。
フォトレジストの例としては、樹脂成分として酸解離性基を含む高分子と、酸発生剤と、酸拡散制御剤等の添加剤を含有する化学増幅型のポジ型またはネガ型レジスト等を挙げることができる。
本発明の精製デカリンを用いる場合、特にポジ型レジストが好ましい。化学増幅型ポジ型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、重合体中の酸解離性有機基が解離して、例えばカルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本発明の精製デカリンを用いる場合、特にポジ型レジストが好ましい。化学増幅型ポジ型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、重合体中の酸解離性有機基が解離して、例えばカルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
フォトレジスト膜は、フォトレジスト膜を形成するための樹脂組成物を適当な溶媒中に、例えば0.1〜20重量%の固形分濃度で溶解したのち、例えば孔径30nm程度のフィルターでろ過して溶液を調製し、このレジスト溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布方法により基板上に塗布し、予備焼成(以下、「PB」という。)して溶媒を揮発することにより形成する。なお、この場合、市販のレジスト溶液をそのまま使用できる。該、フォトレジスト膜は、液浸上層膜および液浸露光用液体よりも高屈折率であることが好ましく、具体的にはフォトレジスト膜の屈折率nRESが1.65以上の範囲にあるのが好ましい。特にNAが1.3以上の場合nRESは1.75より大きいことが好ましくこの場合NAの増大に伴う露光光のコントラスト低下を防ぐことができる。
なお、液浸露光方法においては、フォトレジスト膜上に更に液浸用上層膜を形成することができる。
なお、液浸露光方法においては、フォトレジスト膜上に更に液浸用上層膜を形成することができる。
液浸用上層膜としては、露光光の波長に対して十分な透過性とフォトレジスト膜とインターミキシングを起こすことなくフォトレジスト膜上に保護膜を形成でき、更に液浸露光時に使用される上記液体に溶出することなく安定な被膜を維持し、現像前に剥離することができる膜であれば使用することができる。この場合、該上層膜が現像液であるアルカリ液に容易に溶解する膜であれば現像時に剥離されることから好ましい。
アルカリ可溶性を付与するための置換基としては、ヘキサフルオロカルビノール基およびカルボキシル基の少なくとも1つの基を側鎖に有する樹脂であることが好ましい。
該液浸用上層膜は、同時に多重干渉防止機能を有することが好ましく、この場合、該液浸用上層膜の屈折率nOCは以下に示す数式であることが好ましい。
nOC=(nlq×nRES)0.5
ここで、nlqは液浸露光用液体の屈折率を、nRESはレジスト膜の屈折率をそれぞれ表す。
上記液浸上層膜は、液浸上層膜用樹脂組成物をレジスト膜上にレジスト膜とインターミキシングしない溶剤に0.01〜10%の固形分濃度で溶解した後、フォトレジスト膜の形成時と同様の方法により塗布、予備焼成を行なうことにより形成することができる。
アルカリ可溶性を付与するための置換基としては、ヘキサフルオロカルビノール基およびカルボキシル基の少なくとも1つの基を側鎖に有する樹脂であることが好ましい。
該液浸用上層膜は、同時に多重干渉防止機能を有することが好ましく、この場合、該液浸用上層膜の屈折率nOCは以下に示す数式であることが好ましい。
nOC=(nlq×nRES)0.5
ここで、nlqは液浸露光用液体の屈折率を、nRESはレジスト膜の屈折率をそれぞれ表す。
上記液浸上層膜は、液浸上層膜用樹脂組成物をレジスト膜上にレジスト膜とインターミキシングしない溶剤に0.01〜10%の固形分濃度で溶解した後、フォトレジスト膜の形成時と同様の方法により塗布、予備焼成を行なうことにより形成することができる。
以下の実施例において、透過率は、日本分光社製V7100を用いて光路長が2cmおよび1cmの2種類のセルで波長193.4nmの吸光度測定を行ない、両者の差を1cmあたりの吸光度とした。この値をもとにランベルトベールの法則に基づき1mmあたりの透過率を算出した。
また、純度測定用のガスクロマトグラフィーの分析条件は、装置名;Agilent6890(Agilent社製)、カラム;液相TC1701、膜厚1.0μm、カラムサイズ0.25mm×30m(ジーエルサイエンス社製)、キャリアガス;He 1ml/分、カラム温度;50℃〜280℃、昇温速度 10℃/分である。また純度の測定は、上記測定条件で5−メチルオクタヒドロインデン(RT 11.7分)、シクロデセン(RT 11.85分)のピーク面積と全ピーク面積との比を算出した。
また、純度測定用のガスクロマトグラフィーの分析条件は、装置名;Agilent6890(Agilent社製)、カラム;液相TC1701、膜厚1.0μm、カラムサイズ0.25mm×30m(ジーエルサイエンス社製)、キャリアガス;He 1ml/分、カラム温度;50℃〜280℃、昇温速度 10℃/分である。また純度の測定は、上記測定条件で5−メチルオクタヒドロインデン(RT 11.7分)、シクロデセン(RT 11.85分)のピーク面積と全ピーク面積との比を算出した。
実施例1
市販のデカリン2000gを段数40段の蒸留塔で精密蒸留することにより5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がガスクロマトグラフィー検出限界(1ppm)未満のデカリン留分300gを得た。得られた留分の入ったフラスコを減圧にして窒素で常圧に戻す操作を3回行ない溶存空気を窒素置換した。本液体をEK−1とする。上記方法により測定したEK−1の波長193.4nmにおける透過率は99.2%/mmであった。
市販のデカリン2000gを段数40段の蒸留塔で精密蒸留することにより5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がガスクロマトグラフィー検出限界(1ppm)未満のデカリン留分300gを得た。得られた留分の入ったフラスコを減圧にして窒素で常圧に戻す操作を3回行ない溶存空気を窒素置換した。本液体をEK−1とする。上記方法により測定したEK−1の波長193.4nmにおける透過率は99.2%/mmであった。
実施例2
EK−1と同様の方法で得たデカリン100gに濃硫酸20gを加え10℃で30分攪拌した。攪拌後濃硫酸はデカンテーションにより除去した。同様の操作を2回行なった後得られた液体を2mmHg減圧下で蒸留し、窒素で常圧に戻した。本液体をEK−2とする。EK−2の波長193.4nmにおける透過率は99.3%/mmであった。
EK−1と同様の方法で得たデカリン100gに濃硫酸20gを加え10℃で30分攪拌した。攪拌後濃硫酸はデカンテーションにより除去した。同様の操作を2回行なった後得られた液体を2mmHg減圧下で蒸留し、窒素で常圧に戻した。本液体をEK−2とする。EK−2の波長193.4nmにおける透過率は99.3%/mmであった。
実施例3
EK−1と同様の方法で得たデカリン100gをシリカゲル15gを充填したカラムに通過させ、液体80gを得た。本液体をEK−3とする。EK−3の波長193.4nmにおける透過率は99.3%/mmであった。
EK−1と同様の方法で得たデカリン100gをシリカゲル15gを充填したカラムに通過させ、液体80gを得た。本液体をEK−3とする。EK−3の波長193.4nmにおける透過率は99.3%/mmであった。
比較例1
市販のデカリン100gをシリカゲル15gを充填したカラムに通過させ、液体80gを得た。本液体をHK−1とする。HK−1の波長193.4nmにおける透過率は85.3%/mmであった。また、上記ガスクロマトグラフィー条件で分析した結果、5−メチルオクタヒドロインデンが20ppm、シクロデセンが25ppmであった。
市販のデカリン100gをシリカゲル15gを充填したカラムに通過させ、液体80gを得た。本液体をHK−1とする。HK−1の波長193.4nmにおける透過率は85.3%/mmであった。また、上記ガスクロマトグラフィー条件で分析した結果、5−メチルオクタヒドロインデンが20ppm、シクロデセンが25ppmであった。
実施例4〜6、比較例2
EK−1、EK−2、EK−3、HK−1にArFレーザー2000mJを照射し波長193.4nmにおける透過率を測定した。また、照射後サンプルを実施例2と同様の方法で濃硫酸洗浄、単蒸留を行ない波長193.4nmにおける透過率を測定した。結果を表1に示す。
EK−1、EK−2、EK−3、HK−1にArFレーザー2000mJを照射し波長193.4nmにおける透過率を測定した。また、照射後サンプルを実施例2と同様の方法で濃硫酸洗浄、単蒸留を行ない波長193.4nmにおける透過率を測定した。結果を表1に示す。
実施例7
市販のデカリン2000gを段数30段の蒸留塔で精密蒸留することにより5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ12ppm、11ppmのデカリン留分800gを得た。この留分をHK−2とする。HK−2を実施例2と同様の方法で濃硫酸洗浄することにより5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ8ppm、8ppmの液体EK−4を得た。
上記EK−4を2mmHg減圧下で蒸留し、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ8ppm、1ppmの液体EK−5、および5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ1ppm、8ppmの液体EK−6を得た。
波長193.4nmにおける透過率を測定したところ、HK−2の透過率が92.0%/mm、EK−4の透過率が99.0%/mm、EK−5の透過率が99.1%/mm、EK−6の透過率が99.1%/mmであった。
市販のデカリン2000gを段数30段の蒸留塔で精密蒸留することにより5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ12ppm、11ppmのデカリン留分800gを得た。この留分をHK−2とする。HK−2を実施例2と同様の方法で濃硫酸洗浄することにより5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ8ppm、8ppmの液体EK−4を得た。
上記EK−4を2mmHg減圧下で蒸留し、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ8ppm、1ppmの液体EK−5、および5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ1ppm、8ppmの液体EK−6を得た。
波長193.4nmにおける透過率を測定したところ、HK−2の透過率が92.0%/mm、EK−4の透過率が99.0%/mm、EK−5の透過率が99.1%/mm、EK−6の透過率が99.1%/mmであった。
本発明の液浸露光用液体は、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満である精製デカリンであるので、液浸露光用液体として使用するのに際し露光による液体の劣化が起こり難く、液体の再利用性に優れる。そのため、今後更に微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造に極めて好適に使用することができる。
Claims (3)
- 液浸露光に用いられるtrans−デカヒドロナフタレンを含む液浸露光用液体であって、
前記trans−デカヒドロナフタレンは5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であることを特徴とする液浸露光用液体。 - 原料trans−デカヒドロナフタレンを精密蒸留する精密蒸留工程、濃硫酸を用いて洗浄する濃硫酸洗浄工程、および吸着剤を用いて精製する吸着工程から選ばれる少なくとも1つの精製工程を有することを特徴とする請求項1記載のtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法。
- 原料trans−デカヒドロナフタレンの精密蒸留により、5−メチルオクタヒドロインデンおよびシクロデセンの含有量がそれぞれ10ppm未満であるtrans−デカヒドロナフタレンを精製する精密蒸留工程と、この精密蒸留工程後に濃硫酸洗浄工程および吸着剤を用いて精製する吸着工程から選ばれる少なくとも1つの精製工程とを有することを特徴とする請求項1記載のtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法。
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