JP4838929B2 - 基板の処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は基板を所定方向に搬送しながら洗浄などの処理を行う基板の処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液晶表示装置や半導体装置の製造工程においては、基板としての液晶用ガラス基板や半導体ウエハを高い清浄度で洗浄することが要求される工程がある。
【0003】
このような基板を洗浄する方式としては、洗浄液中に複数枚の基板を浸漬するデイップ方式や基板に向けて洗浄液を噴射して一枚づつ洗浄する枚葉方式があり、最近では高い清浄度が得られるとともに、コスト的に有利な枚葉方式が採用されることが多くなってきている。
【0004】
枚葉方式の1つとしてロ−ル状の洗浄ブラシを用いたブラシ洗浄装置が知られている。このブラシ洗浄装置は基板を搬送機構によって所定方向に搬送するとともに、その搬送途中に、上記被洗浄基板の表裏両面に接触しながら回転駆動される、処理部を構成する複数の洗浄ブラシを配置し、洗浄液を供給しながら各洗浄ブラシを回転駆動することで、上記基板に付着した微粒子を洗浄除去するようにしている。
【0005】
このようなブラシ洗浄装置によれば、ロ−ルブラシのブラシ毛が基板に付着した微粒子を擦り落とすので、高い清浄度が得られる。ところで、基板は所定の厚さを有するばかり、洗浄ブラシによる洗浄作用を得るために洗浄ブラシの周速度を基板の搬送速度と異なる速度、通常速い速度に設定したり、上下一対の洗浄ブラシの一方を基板の搬送方向に対して逆方向に回転するなどのことが行われる。
【0006】
そのため、搬送されてきた基板の先端の幅方向全長が洗浄ブラシに接触したとき、基板はその厚さや一対の洗浄ブラシの一方が基板の搬送方向と逆方向に回転駆動されていることによって一対の洗浄ブラシ間に円滑に入り込まないということがある。
【0007】
また、一対の洗浄ブラシが基板の搬送方向と同方向に回転駆動されている場合には、基板の搬送速度と洗浄ブラシの周速度との差によって生じる接触力で、基板が洗浄ブラシによって引き込まれる引き込み現象が生じたり、基板の後端が洗浄ブラシから離れるときには洗浄ブラシから受ける接触力によって搬送速度よりも速い速度で押出される押出し現象が生じる。
【0008】
このような現象が生じると、基板の搬送速度が一定しなくなるため、洗浄むらが生じるなということがある。
【0009】
そこで、従来は、図7に示すように基板1を搬送する搬送機構を、下部駆動軸2に設けられ基板1の下面の幅方向両端部を支持する下部搬送ローラ3と、上部駆動軸4に設けられ上記基板1の上面の幅方向両端部に接触するOリング5が外周面に取着された上乗せローラ6とで構成し、基板を下部搬送ローラ3とOリング5とで挟持搬送するということが行われている。
【0010】
それによって、搬送される基板1が一対の洗浄ブラシ間に入り込むときや離れるときに、上記上乗せローラ6のOリング5による挟持力で基板1を一定の速度で搬送できるようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、搬送機構によって搬送される基板1は、上述したように上面の幅方向両端部だけが上乗せローラ6に取着されたOリング5によって押圧されている。そのため、基板1の上面とOリング5との接触面積が小さく、十分な接触抵抗が得られないから、上乗せローラ6によって十分な挟持力が得られず、基板1の搬送を円滑に行えないということがある。
【0012】
基板1の搬送を円滑に行うため、基板1の上面に対してOリング5を強く押し付け、接触抵抗の増大を図ることが考えられる。しかしながら、Oリング5を基板1の端部に強く押圧すると、基板1に荷重が局部的に集中することになるため、基板1の端部に割れや欠けを招くということがある。
【0013】
とくに、基板が大型化すればする程、基板1が一対の洗浄ブラシ間に入り込むときや離れるときの搬送速度が変動しやすくなるから、それを防止するためにはOリング5による押圧力を強くしなければならなくなり、その結果、基板の割れや欠けを招き易くなる。
【0014】
この発明は、基板に荷重を局部的に集中させず、その基板が処理部に入るときや出るときに搬送速度が大きく変動するのを防止できるようにした基板の処理装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、基板を搬送する搬送機構と、この搬送機構によって搬送される基板に所定の処理を行う処理部とを具備し、
上記搬送機構は、基板の下面に接触する下部搬送ローラと、この下部搬送ローラと対向する位置に配置され基板の上面の幅方向全長に接触して上記下部搬送ローラとで上記基板を挟持して水平方向に直線搬送する上部搬送ローラとを有し、
上記上部搬送ローラは、軸方向中心部で左右に分割された一対のブラシ部を有し、これらのブラシ部は上記基板との接触によって基板の幅方向中心部から端部に向かう方向に回転する逆向きの螺旋状に設けられていることを特徴とする基板の処理装置にある。
【0016】
請求項2の発明は、上記下部搬送ローラと上部搬送ローラは、同じ周速度で回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置にある。
【0018】
請求項3の発明は、上記処理部は、基板の上面と下面とをブラシ洗浄するための下部洗浄ブラシと上部洗浄ブラシであって、これら洗浄ブラシの一方は基板の搬送方向に対して逆方向に回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置にある。
【0019】
この発明によれば、上部ローラを基板の幅方向全長にわたって接触させるようにしたから、基板に局部的な集中荷重を加えることなく大きな接触抵抗が得られるため、基板の割れや欠けを招くことなく、基板を一定の搬送速度で搬送することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図4はこの発明の第1の実施の形態を示す。この第1の実施の形態は処理装置としてのブラシ洗浄装置を示し、このブラシ洗浄装置は図1に示すように液晶装置用のガラス基板などの基板1を矢印Aで示す方向へ搬送する搬送機構11を有する。この搬送機構11は、図3に示すように基板1の搬送方向に沿って所定間隔で配置され架台12に軸受12aを介して回転自在に支持された複数の下部搬送ローラ14が設けられている。
【0022】
この下部搬送ローラ14は下部駆動軸13を有する。この下部駆動軸13には、基板1の下面の幅方向を所定間隔で支持する所定の幅寸法の円盤状をなした複数の支持部15及び基板1の幅方向両端部に係合して基板1の蛇行を防止する、上記支持部15よりも大径な部分を有する一対の押え部16とからなる。
【0023】
下部搬送ローラ14の上方には上部搬送ローラ18が上記下部搬送ローラ14と軸線を平行にして設けられている。上部搬送ローラ18は上記架台12に軸受12aを介して回転自在に設けられた上部駆動軸17を有し、この上部駆動軸17には軸方向中心部で左右に分割された一対のブラシ部21,22が設けられている。各ブラシ部21,22は、金属製のホルダ23にブラシ毛24が保持されていて、このホルダ23を上記上部駆動軸17に螺旋状に巻回して形成されている。
【0024】
一対のブラシ部21,22のブラシ毛24の上記上部駆動軸17に対する巻回方向は図2及び図3に示すように逆方向であって、しかもその巻回方向は上部駆動軸17が回転駆動されて矢印A方向に搬送される基板1に対して接触したときに、この基板1の幅方向中心部から端部に向かう方向に回転するようになっている。
【0025】
それによって、上部搬送ローラ18の一対のブラシ部21,22は、下部搬送ローラ14の支持部15と押え部16とで基板1の上下面を幅方向ほぼ全長にわたって挟持して搬送する機能だけでなく、基板1の上面や各ブラシ部21,22に付着した塵埃を基板1の幅方向中心部から両端部へ排出する機能及び基板1を直進させる機能も備えている。つまり、上部搬送ローラ18を一対のブラシ部21,22に分けずに全長にわたって巻き方向が同一方向の螺旋状にすると、その巻き方向に基板1を移動して直進させることができなくなるが、一対のブラシ部21,22のブラシ毛24の巻回方向を逆方向にしたことで、基板1を直進させることができる。
【0026】
下部駆動軸13と上部駆動軸17との一端部には互いに噛合した同じ歯数の一対の第1の従動ギヤ25aがそれぞれ嵌着され、下部駆動軸13の他端部には第2の従動ギヤ25bが嵌着されている。第2の従動ギヤ25bには第1の駆動源26によって回転駆動される駆動ギヤ27が噛合している。したがって、各駆動軸13,17に設けられた各搬送ローラ14,18は、第1の駆動源26によって図1に矢印で示すように基板1の搬送搬送方向と同方向、つまり下部搬送ローラ14は時計方向で、上部搬送ローラ18は反時計方向に同じ周速度で回転駆動されるようになっている。
【0027】
上記搬送機構11の中途部の二箇所にはそれぞれ処理部としての第1のブラシ洗浄部28と第2のブラシ洗浄部29とが設けられている。各ブラシ洗浄部28,29の上流側と下流側に対をなす上記下部搬送ローラ14と上記上部搬送ローラ18とがそれぞれ配置されている。
【0028】
図4に示すように、各ブラシ洗浄部28,29は下部駆動軸31と上部駆動軸32とを有する。下部駆動軸31と上部駆動軸32とは、軸線を上下方向に所定間隔で平行にして上記架台12に軸受12aを介して回転自在に支持されている。
【0029】
各駆動軸31,32には下部洗浄ブラシ33と上部洗浄ブラシ34が設けられている。一対の駆動軸31,32は、洗浄ブラシ33,34間に基板1がないときに互いのブラシ毛33a,34aが接触する間隔で配設されている。この状態を図4に示す。
【0030】
各駆動軸31,32の一端部には第3の従動ギヤ35が嵌着されている。一対の第3の従動ギヤ35は間には上記架台12に回転自在に支持された支軸36aに嵌着された中間ギヤ36に噛合している。下部駆動軸31の他端部には第4の従動ギヤ37が嵌着されている。この第4の従動ギヤ37には第2の駆動源38によって回転駆動される駆動ギヤ39が噛合している。
【0031】
それによって、上記第2の駆動源38が作動すると、下部洗浄ブラシ33と上部洗浄ブラシ34とが基板1の搬送方向に対して異なる方向に回転駆動されるようになっている。
【0032】
この実施の形態では、図1に矢印で示すように第1のブラシ洗浄部28の下部洗浄ブラシ33と上部洗浄ブラシ34はともに反時計方向に回転駆動され、第2のブラシ洗浄部29の下部洗浄ブラシ33と上部洗浄ブラシ34はともに時計方向に回転駆動されるようになっている。
【0033】
なお、図1において、39は、第1のブラシ洗浄部28の上流側と第2のブラシ洗浄部29の下流側にそれぞれ回転自在に配置され搬送される基板を支持するための支持ローラである。
【0034】
さらに、図1に示すように、各ブラシ洗浄部28,29には、搬送される基板1の上面と下面に向けて処理液を噴射するノズル体40が設けられている。
【0035】
このような構成の処理装置によれば、基板1は搬送機構11の下部搬送ローラ14と上部搬送ローラ18とによって上下面が挟持されて矢印A方向に搬送される。そして、基板1は、第1のブラシ洗浄部28及び第2のブラシ洗浄部29に入り込むときや送り出されるときに、下部洗浄ブラシ33と上部洗浄ブラシ34との回転方向に応じて受ける回転力によって搬送速度が大きく変動する虞がある。
【0036】
しかしながら、基板1を搬送する搬送機構11は、下部搬送ローラ14と上部搬送ローラ18を有し、上部搬送ローラ18は基板1の上面の幅方向全長にわたって接触している。つまり、基板1は下部搬送ローラ14の支持部15と、上部搬送ローラ18の一対のブラシ部21,22によって幅方向全長が挟持されて搬送される。基板1は幅方向全長が挟持されることで、十分に大きな挟持力で挟持搬送されることになる。
【0037】
したがって、基板1が第1、第2のブラシ洗浄部28,29に入り込むときやこれらブラシ洗浄部28,29から送り出されるときに、各ブラシ洗浄部28,29の洗浄ブラシ33,34からこれらの回転方向に応じた力を受けても、支持部15とブラシ部21,22とによる挟持力によって基板1の搬送速度が大きく変動するのが防止される。つまり、基板1はほぼ一定の搬送速度でブラシ洗浄部28,29に送り込まれるとともに、これらブラシ洗浄部28,29から送り出されるから、各ブラシ洗浄部28,29での基板1の洗浄に洗浄むらが生じるのを防止することができる。
【0038】
基板1を各ブラシ部28,29に送り込んだり、送り出される際に、基板1を一定の搬送速度で搬送できるようにするための挟持力を得るため、上部搬送ローラ18の一対のブラシ部21,22を基板1の幅方向全長にわたって接触させるようにした。
【0039】
そのため、基板1に対する単位長さ当たりの接触力を大きくしなくとも、基板1全体としては大きな挟持力(搬送力)を得ることができる。つまり、大きな挟持力を得るために、基板1に局部的に大きな荷重を加えずにすむから、基板1に割れや欠けが発生するのを防止することもできる。
【0040】
上部搬送ローラ18に設けられた一対のブラシ部21,22は逆向きの螺旋状であって、搬送される基板1と回転しながら接触することで、この基板1の幅方向中心部から端部に向かう方向に回転する。
【0041】
そのため、塵埃が基板1の上面に付着していたり、基板1の上面からブラシ部21,22に転移したりしても、それらの塵埃は上部搬送ローラ18の一対のブラシ部21,22の回転方向に沿って基板1の幅方向両端部へ送り出されるから、基板1の上面に塵埃が付着残留するのを防止することができるばかりか、基板1を直進させることができる。
【0042】
各ブラシ洗浄部28,29の一対の洗浄ブラシ33,34は同じ回転方向(基板1の搬送方向に対して逆方向)に回転駆動され、しかも一対の洗浄ブラシ33,34間から基板1が搬出されると、これらのブラシ毛33a,34aが接触する間隔で配置されている。
【0043】
そのため、一対の洗浄ブラシ33,34間から基板1が搬送されると、互いの洗浄ブラシ33,34のブラシ毛33a,34aが擦れ合うから、これらのブラシ毛に付着した塵埃を効率よく除去することができる。
【0044】
図5にこの発明の第2の実施の形態、図6にこの発明の第3の実施の形態を示す。これらの実施の形態は処理部の変形例であって、第2の実施の形態の処理部は、基板1の上下面に向けて高圧ノズル41によって洗浄液を基板1の上下面に噴射するジェット洗浄部42であり、第3の実施の形態の処理部は一対のエアーナイフ43によって高圧エアーを噴射して基板1の上下面の水切りを行う水切り部44である。
【0045】
これらの処理部においても、搬送機構11によって搬送される基板1がジェット洗浄部42から噴射される洗浄液やエアーナイフ43から噴射される高圧エアーの力を受けても、その搬送速度が大きく変動するのを防止することができるから、基板1を均一に洗浄したり、乾燥することができる。
【0046】
また、上記第1の実施の形態では搬送機構の上部搬送ローラに一対のブラシ部を設けて基板を下部搬送ローラとで挟持するようにしたが、上部搬送ローラの上部駆動軸にはブラシ部に代わりロール状スポンジを設けるようにしてもよく、要は基板を傷付けることなく幅方向全長を挟持できる構成であればよい。
【0047】
また、下部搬送ローラは円盤状の複数の支持ローラを所定間隔で設けたが、円盤状の支持ローラに代わり、基板の下面の幅方向全長にわたって接触するロール状としてもよく、下部搬送ローラは上部搬送ローラから受ける押圧力によって基板が下方へ撓むのを防止できればよい。
【0048】
【発明の効果】
この発明によれば、上部搬送ローラを基板の幅方向全長にわたって接触させるようにした。
【0049】
そのため、基板に局部的な集中荷重を加えることなく下部搬送ローラと上部搬送ローラとによって大きな接触抵抗が得られるため、基板の割れや欠けを招くことなく、基板を上部搬送ローラと下部搬送ローラとで挟持して一定の搬送速度で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す処理装置の概略的構成を示す側面図。
【図2】処理装置の第1のブラシ洗浄部を示す平面図。
【図3】下部搬送ローラと上部搬送ローラとを示す正面図。
【図4】ブラシ洗浄部を示す正面図。
【図5】この発明の第2の実施の形態を示す処理部としてのジェット洗浄部を示す説明図。
【図6】この発明の第3の実施の啓太を示す処理部としての水切り部を示す説明図。
【図7】従来の基板の搬送構造を示す説明図。
【符号の説明】
1…基板
11…搬送機構
14…下部搬送ローラ
18…上部搬送ローラ
21,22…ブラシ部
28…第1の洗浄ブラシ部
29…第2の洗浄ブラシ部
33…下部洗浄ブラシ
34…上部洗浄ブラシ
Claims (3)
- 基板を搬送する搬送機構と、この搬送機構によって搬送される基板に所定の処理を行う処理部とを具備し、
上記搬送機構は、基板の下面に接触する下部搬送ローラと、この下部搬送ローラと対向する位置に配置され基板の上面の幅方向全長に接触して上記下部搬送ローラとで上記基板を挟持して水平方向に直線搬送する上部搬送ローラとを有し、
上記上部搬送ローラは、軸方向中心部で左右に分割された一対のブラシ部を有し、これらのブラシ部は上記基板との接触によって基板の幅方向中心部から端部に向かう方向に回転する逆向きの螺旋状に設けられていることを特徴とする基板の処理装置。 - 上記下部搬送ローラと上部搬送ローラは、同じ周速度で回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
- 上記処理部は、基板の上面と下面とをブラシ洗浄するための下部洗浄ブラシと上部洗浄ブラシであって、これら洗浄ブラシの一方は基板の搬送方向に対して逆方向に回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
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