JP4837663B2 - 造影画像化のためのガス充填微小胞組成物 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、診断的および/または治療的画像化における造影剤としての使用に適したガス充填微小胞組成物、該組成物の使用を特徴とする診断的/治療的画像化方法、および組成物の製剤方法に関する。
発明の背景
近年における超音波造影剤の急速な発展により、多くの種々の製剤が生成されており、これらはヒトまたは動物体の器官および組織の超音波造影画像化に有用である。これらの物質は、例えばBモード像形成(後方散乱組織特性の空間分布に基づく)またはドップラー信号処理(血液または液体流量パラメータを測定するための超音波エコーの連続波またはパルスドップラー処理に基づく)に用いる医学的超音波検査装置の使用と併せて主に静脈内または動脈内注射剤として用いるように設計される。
超音波造影剤として有用な注射用製剤のクラスとしては、水性媒体中に分散した直径数ミクロンを有する気泡の懸濁液が含まれる。
特に興味深いものは、適切な添加剤、例えば乳化剤、油剤、増粘剤もしくは糖を用いるか、または気体もしくはその前駆体を種々の系中に取り込むか、もしくはカプセル化することにより安定化される気泡である。これらの安定化された気泡は一般に、当業者に「微小胞」と称されており、二つの主な範疇に分けることができる。
安定化された気泡または微小胞の第一の範疇は一般に、当業者に「微小気泡」と称されており、気液界面(gas to liquid interface)にて処理される安定化両親媒性物質を含む非常に薄い膜(フィルム)により気/液界面にて結合している、水性懸濁液を含む。微小気泡懸濁液は典型的に、粉末両親媒性物質、例えば凍結乾燥の予め成形されたリポソームまたは凍結乾燥もしくは噴霧乾燥のリン脂質溶液と、空気または他の気体とを接触させた後、水性担体と接触させることにより撹拌しながら調製され、次いで好ましくはその調製の直後に投与され得る微小気泡懸濁液を生成する。
気体微小気泡の水性懸濁液およびその調製の例は、例えば米国特許US 5,271,928、US 5,445,813、US 5,413,774、US 5,556,610、5,597,549、US 5,827,504、国際公開公報WO 97/29783および同時係属の国際特許出願PCT/IB04/00243に開示され、これらは本明細書にそのまま引用される。
微小胞の第二の範疇は一般に、当業者に「マイクロバルーン」または「マイクロカプセル」と称されており、気泡が液体または天然もしくは合成ポリマーの固体物質膜により囲まれている懸濁液を含む。マイクロカプセルおよびその調製の例は、例えば米国特許US 5,711,933およびUS 6,333,021に開示され、これらは本明細書にそのまま引用される。
微小胞製剤は、他の因子の中で、そのそれぞれの平均粒度および粒度分布(微小胞集団が平均粒度の前後にどのように散らばるかの目安を与える)によっても特徴付けられる。微小胞製剤の粒度分布は一般に、その平均粒度値を中心とするガウシアン様分布に擬することができる。
造影画像化は、ある周波数における超音波プローブにより放射された超音波に当たったときに共振するガス充填微小胞の能力に基づき、従って超音波プローブにより検出される対応するエコー信号を反射した後、画像化する。造影剤のエコー応答がその組織または器官のエコー応答に関してむしろ固有であるので、容器に含まれる造影剤は、周囲の組織または器官に関して容易に画像化することができる。ガス充填微小胞の共振容量は、他の因子の中で、透過された電磁波の周波数を有するその粒度の適合性にも依存する。一般的な目安として、より小さな微小胞はより高い周波数にて共振するが、より大きな微小胞はより低い周波数にて共振する。さらに、反射したエコーの強度は一般に、その予め決定された適合可能な次元を有する微小胞の濃度に比例し、該濃度は例えば、該微小胞に取り込まれた気体の全容積として表される。
出願人は現在、特異的な造影剤について、好ましい粒度範囲、および決定された伝送周波数に適切に応答する対応する粒度分布を定義することができることを観察した。出願人により観察されたように、低周波数(例えば約1.5〜約3.5 MHz)において、該粒度分布は典型的に、比較的大きなメジアン径(例えば約4μmのDV50)を有し、一般に、比較的広く;選択された低周波数超音波に当てたときに、十分に多数の微小胞が共振に利用することができるので、従来の広く分布したガス充填微小胞が一般に、これらの低周波数にて造影画像化に用いることができる事実とこの観察は一致する。一方、より高い周波数(例えば5 MHz以上)において、適切に応答する微小胞の粒度分布は、実質的に狭い。さらに、その狭い分布は一般に、対応する比較的小さなDV50値(例えば約1〜2.5μm)と関連し、小さな微小胞がより高い周波数にて共振するという事実と一致する。この観察はまた、そこに含まれる小次元微小胞のフラクションが比較的低いので、従来の広く分布した微小胞製剤が一般に、高周波数の造影画像化においてはるかに低く応答する事実とも一致する。従って、超音波画像化について高伝送周波数を用いたとき、比較的小さなメジアン次元(特にDV50)とともに比較的狭い粒度分布を有する適切に測定されたガス充填微小胞製剤は、有効な造影画像化に用いるべきであるが、該製剤は、低伝送周波数にて用いたときには有効ではない。
一般に、比較的低い伝送周波数(例えば0.5〜2 MHz)は、例えば心臓適用についての深部体内領域にて超音波検査分析に用いられるが、比較的高い伝送周波数(例えば5〜7および10〜15 MHzまで)は一般に、腹部(例えば腎臓、肝臓など)または表面分析(例えば眼科、胸部分析など)に用いられる。より高い伝送周波数(例えば15〜20 MHzおよび80 MHzまで)はまた、特定の適用、例えば血管内超音波画像化に用いることもできる。
出願人は現在、異なる周波数を有する少なくとも二つの選択された超音波に対して有効なエコー応答を提供するために適切な新規組成物を見出した。出願人により観察されたように、その有効なエコー応答は、ガス充填微小胞製剤の粒度分布を適切に調整することにより得ることができる。有利に、該製剤は、比較的小さな粒度を有する有効量の微小胞を含み、従ってそれぞれ比較的高い選択伝送周波数に応答し、比較的大きな粒度を有する有効量の微小胞はそれぞれ比較的低い選択伝送周波数に応答し、それでも大きな粒度の有効量の微小胞は高い選択伝送周波数における小さな粒度の微小胞の応答を過剰に減衰しないように十分に低いものである。
国際特許出願WO 98/32468は、超音波圧に対する異なる感受性を有する微小粒子を含む二種以上の気体を含む組成物を開示する。好ましい組成物は、比較的軟カプセル化された殻を有する第一タイプの微小粒子(例えばリン脂質殻を有する微小気泡)および比較的硬カプセル化された物質を有する第二タイプの微小粒子(例えばポリマーまたはタンパク質殻で覆われたマイクロカプセル)を含むものである。特に、該特許の実施例1は、式:
-O-(CH2)a-CO-O-CH(CH3)-O-CO-(CH2)a-CO-O(CH2)b-CO-
[式中、aは9〜19の整数であり、bは1〜8の整数である]
で示される繰り返し単位からなるポリマーを含むマイクロカプセルとともに水素化卵ホスファチジルセリン(hydrogenated egg phosphatidylserine)を含む微小気泡の混合物を開示する。
国際公開公報WO01/68150は、ポリアルキルシアノアクリル化ポリマーを含む安定化膜を有するマイクロカプセルを開示する。
発明の概要
本発明の態様は、少なくとも二つの異なるガス充填微小胞の製剤を含む診断的および/または治療的画像化のための組成物に関し、その少なくとも二つの異なる製剤は、互いに少なくとも2 MHz、好ましくは少なくとも3 MHzだけ異なる非線形超音波検査応答のそれぞれのピークを有する。
好ましい具体的態様により、その非線形超音波検査応答のそれぞれのピークは、約1.5〜約10 MHzである。好ましくは、該組成物は、3 MHz以下、より好ましくは1.5〜3 MHzの非線形超音波検査応答のピークを有する微小胞の第一製剤、および5 MHz以上、より好ましくは5〜10 MHzの非線形超音波検査応答のピークを有する微小胞の第二製剤を含む。
さらに好ましい具体的態様により、その微小胞の異なる製剤は、異なるメジアン径を有するそれぞれの粒度分布を有する。好ましくは、その粒度分布は、容積(DV50)におけるそれぞれの少なくとも第一および少なくとも第二メジアン径により定義され、その第一および第二DV50は、少なくとも0.5μm、より好ましくは少なくとも1.0μmおよびさらにより好ましくは少なくとも1.5μmの値により互いに異なる。好ましくは、微小胞の集団について10μmの直径まで計算され、その微小胞に含まれる気体の全容積の少なくとも95%は、8ミクロン以下の直径を有する微小胞に含まれる。さらに好ましい具体的態様により、少なくとも二つのセットの少なくとも一つの微小胞は、その容積における平均直径と数における対応する平均直径とのそれぞれの比(DV/DN)により定義される粒度分布を有し、その少なくとも一つのガス充填微小胞のセットは、1.2〜3、好ましくは1.2〜2のDV/DN比を有する。
本発明の別の態様は、診断的画像化に使用するためのガス充填微小胞を含有する組成物に関し、該ガス充填微小胞の粒度分布は、0.16以上のボーリー(Bowley)歪度を有する。好ましくは、該微小胞に含まれる気体の全容積の少なくとも95%は、8ミクロン以下の直径を有する微小胞に含まれる。本明細書の記載および特許請求の範囲において、ボーリー歪度は、8μmまでの直径を有する微小胞の集団において、ガス充填微小胞製剤または組成物の容積粒度分布の実験的プロットにて計算する。
本発明の別の態様は、第一伝送周波数に対する非線形超音波検査応答のピークを有するガス充填微小胞を含有する組成物に、第二伝送周波数に対する増強された超音波検査応答を与える方法であって、該組成物と、その第二周波数への非線形超音波検査応答のそれぞれのピークを有するガス充填微小胞の第二組成物とを混合することを含む方法に関する。好ましくは、該第一および第二周波数は、互いに少なくとも2 MHz、より好ましくは少なくとも3 MHzだけ異なる。
本発明のさらなる態様は、少なくとも二つの異なる伝送周波数に対する有効な超音波検査応答を有する超音波造影剤を製造する方法であって、互いに少なくとも2 MHz、好ましくは少なくとも3 MHzだけ異なる非線形超音波検査応答のそれぞれのピークを有する少なくとも二つの異なるガス充填微小胞の製剤を混合することを含む方法に関する。好ましくは、その少なくとも二つの異なるガス充填微小胞の製剤は、その少なくとも二つの異なる伝送周波数に対する有効な応答に適合したそれぞれの異なる粒度分布を有する。
本発明のさらなる態様は、上記に定義される有効量の組成物を患者に投与することを含む診断的および/または治療的画像化の方法に関する。
詳細な記述
ガス充填微小胞の次元および粒度分布は、多くのパラメータにより特徴付けることができ、最も多く用いられるものは、数における平均直径DNおよび容積における平均直径DVである。数における直径は平均数次元の微小胞の目安を提供する一方、容積における直径は微小胞に取り込まれる気体の全容積がその集団中にどれだけ分布しているかの情報を提供する。ガス充填微小胞の集団を特徴付けるためのさらなる有用なパラメータは、DV50、DV90またはDV95直径である。これらのパラメータは、上記の値以下の直径を有する微小胞に取り込まれている気体の百分率(それぞれ50、90または95%)を示す。従って、例えばDV90=10μmは、言及されている微小胞製剤の気体の全容積の90%が10μm以下の直径を有する微小胞に含まれていることを意味する。DV50値は、粒度分布の容積におけるメジアン径を定義する。理論上、単粒化された(mono-sized)微小胞が同一のDNおよびDVまたはDV50値を示す一方、実験的な製剤における狭いまたは広い粒度分布は、それぞれDN値とDV値の間の対応する小さいまたは大きい差を決定し、従って、対応する種々のDV/DN比を有するだろう。従って、DV/DN比の値は、ガス充填微小胞のある集団の粒度分布がその平均値の前後にどれだけ分散しているかを見積もるために用いることができ;一般に、粒度分布が広ければ広いほど、DV/DN比の値は大きい。従って例えば、大きな気泡(例えば8μmを超える直径を有する気泡)を実質的に有さない主に小さな微小胞(例えば2μm前後の直径を有する微小胞)を含む集団は、対応する比較的低いDV/DN比を有するDN値に近いDV値を示すだろう。逆に、それでもわずかな比率で大きな気泡を有する主に小さな微小胞を含む集団は、対応するより高いDV/DN比を有するより高いDV値を示すだろう。一般に、約2未満のDV/DN比を示す微小胞の集団は、狭く分布していると考えることができ;これらの微小胞はまた、「測定された」微小胞と称することもできる。他方、約3以上のDV/DN比を示す微小胞の集団は一般に、広い分布を有すると考えることができる。
Figure 1および2は、本発明の態様の利点の例を示し、それにより、少なくとも二つの異なるガス充填微小胞製剤を組み合わせて、少なくとも二つの異なる伝送周波数に有効な超音波検査応答が得られる。Figure 1において、実線11は、広い粒度分布(BM)を有する微小胞の典型的な集団における微小胞の粒度に関する気体容積の正規化分布の略図を示す。破線12は、1.9μmのDV50値を有する、狭く分布した微小胞(NM1)の第一集団における気体容積の正規化分布の略図を示し、その粒度分布は、第一伝送周波数f1に対する有効な応答に適合する。点線13は、4.1μmのDV50値を有する、比較的より狭く分布した微小胞(NM2)の第二集団における気体容積の正規化分布の略図を示し、その粒度分布は、第二伝送周波数f2に対する有効な応答に適合する。分類するために、対称なガウシアン分布は、BM、NM1およびNM2の粒度分布の略図に導入されるが、以下の明細書に説明されているように、実験的な粒度分布パターンは一般に、その対称な分布に関して大体変形することができる。
選択伝送周波数f1はBMまたはNM1の微小胞を当てるとき、該周波数と適合できる次元を有する微小胞のそれぞれの部分(すなわち主に伝送周波数と適合できる粒度の前後にて定義されるスライスS1に含まれるもの)は、測定された強度を有するエコー信号を共振し、反射するだろう。反射されたエコー信号の強度は、12(NM1)または11(BM)におけるS1により定義されたそれぞれの領域に含まれる気体の容積に実質的に比例するだろう。Figure 1から推測されるように、12にて定義されるS1の領域に含まれる気体の容積は、11にて定義される同じスライスに含まれる対応する気体の容積よりずっと大きく、従って、より強く反射されたエコーおよび最終的により良い画像処理が得られる。同様の観察は、より低い第二伝送周波数f2をBMまたはNM2のスライスS2における適合可能な微小胞に当てたときになすことができる。
Figure 2において、実線21は、NM1とNM2とを1:1容積比にて混合することにより得られた混合組成物(CC)中の気体容積の正規化分布の略図を示す。破線22は、先の製剤BMの微小胞における気体容積の正規化粒度分布を示す。この図から推断できるように、本発明の態様による混合組成物は、有効な容積の気体を二つの伝送周波数f1およびf2と適合可能な粒度の微小胞にて利用できるものにする。一方、従来のBM製剤の使用は、伝送周波数f2のみとの組合せに制限されよう。特定の場合には、BMに関してCCにおける周波数f1と適合可能なより高い量の微小胞は、対応するより高いエコー応答を生成させるだろう。このより高いエコー応答は、比較的大きな量のより大きな微小胞の存在下においても有効なエコー造影画像化をもたらし、これは、さらに選択される周波数に応答し、伝送信号および反射信号の両方の減衰に主に寄与する。スライスS1のそれぞれの領域におけるBMの応答はその気体の全容積を増大させる(すなわちより高い量のBM製剤を用いる)ことにより理論的に増大することができるが、しかしこの増大は実践に所望ではないことがあることは特筆に値する。第一の理由は、一般に、そのいずれの可能な副作用も避けるために、造影剤をできるだけ低い濃度で保つことが好ましい(常に許容される画像化増強を有する)ことである。他の理由は、BMにおける気体の全容積の増大は大きな微小胞のフラクションの対応する増大を決定するであろうことであり、これは超音波信号の許容されない減衰を決定するだろう。
出願人により観察されるように、本発明の組成物の粒度分布パターン(横座標として微小胞粒度と縦座標として正規化された容積百分率とを有するグラフにプロットした場合)は、単一の微小胞製剤により定義される典型的な粒度分布パターンに関してむしろ固有である。一般に、この後者は事実、実質的にガウシアン分布と一致することができ、ガウシアン様分布とも称され、その右半分部分に、一般にわずかに分散した分布を有する。対称的なガウシアン分布からの分布の偏差、すなわちばらつきは、「歪度」などの従来のパラメータを用いて示すことができる。当業者に知られているように、歪度は対称、またはより正確には、分布またはデータセットの対称の欠如の尺度である。歪度についての着実な尺度は、文献に見ることができる。歪度の有用な係数は、「歪度のボーリー係数」(Elements of statistics, New York: Charles Scribner's Sons, 1920)であり、これは「四分位歪度係数」としても知られており、式:
BS=(Q3-2Q2+Q1)/(Q3-Q1) (1)
[式中、Qiは分布のi番目の四分位である]
で定義される。従って、Figure 10に示されるように、微小胞製剤の気体容積分布の場合、Q1は取り込まれる気体の全容積の25%までを取り込むより大きな直径の微小胞に対応し、Q2は取り込まれる気体の全容積の50%までを取り込むより大きな直径の微小胞に対応し、Q3は取り込まれる気体の全容積の75%までを取り込むより大きな直径の微小胞に対応する。いずれの対称な分布についてもBS=0であることが式(1)およびFigure 10から理解することができる。分母Q3-Q1は、BSについての最大値(すなわち1)が極右歪度を示すが、BSについての最小値(すなわち-1)が極左歪度を示すような係数を設計し直す。
出願人は、少なくとも二つの異なる伝送周波数に用いるのに適切な組成物が一般に、そのそれぞれの右半分部分にてかなり顕著なばらつきを有することを現在観察している。従って、本発明の別の態様により、本発明による組成物は、0.16よりも高く、好ましくは少なくとも0.18以上、およびより好ましくは少なくとも0.20以上、例えば0.40までのBS値を有する。本発明による組成物を特徴付ける目的のために、ボーリー歪度の値は、本明細書において、ほとんど未制御でない大きな粒度の微小胞の所望でない分布により測定されるいずれの可能な計算ミスも回避するために、0μm〜8μmの範囲の粒度にて計算される。従って本明細書および特許請求の範囲に示されるすべての値のBSは、8μmまでの直径の微小胞のみを含む計算を示す。好ましくは、該BS値を有する組成物の微小胞の安定化膜は、ポリアルキルシアノアクリル酸ポリマーを含まない。
かなり奇妙なことに、いくつかの場合には、混合組成物の分布パターンの中心部分は実質的に平坦であるが、他の特定の場合には、その中心部分にて極小が観察することができる(Figure 2に示される図式的分布におけるような場合)。
本発明の好ましい具体的態様によれば、上記BS値を有する組成物は、二つ以上の異なるガス充填微小胞製剤を混合することにより有利に得ることができる。本発明の好ましい具体的態様において、大きな粒度の微小胞の所望でない減衰効果を最小限にするために、特にかなり高い伝送周波数にて操作したときには、本発明のガス充填微小胞組成物に含まれる気体の全容積の少なくとも95%(DV95)は、8ミクロン以下の直径を有する微小胞に含まれる。本発明の目的のために、該DV95値を測定するために、10μmまでの直径を有する微小胞のみを計算のために考慮する。特に、混合組成物のDV95値は、7μm以下、好ましくは6.5μm以下、およびより好ましくは6μm以下、例えば約4μmまでである。
本発明による混合組成物の製造に適したガス充填微小胞は、生理学的に許容される液体担体に懸濁液として典型的に含まれる、ガス充填微小気泡またはガス充填マイクロカプセルなどの当業者に知られているいずれの種類の微小胞でもあることができる。好ましくは、該微小胞は微小気泡である。
用語「生理学的に許容される」としては、その意味の範囲内において、その有機体の健康または正常な機能に悪影響を与えないで、またはそれを実質的に改変しないで(例えばいずれの許容されない毒性の状態も決定しないで、いずれの極端なもしくは制御できないアレルギー反応ももたらさないで、またはいずれの異常な病理学的病態もしくは疾患状態も決定しないで)、選択された量にて患者に投与することができる、いずれの化合物、物質または製剤も含まれる。
微小気泡
本明細書に定義されるように、ガス充填微小気泡は、気体/液体界面に配置される両親媒性化合物を含む薄膜により安定化される水性懸濁液中にて分散される気体の泡を含む。その安定化膜は、ときどき当業者に「一過性の膜」と称されており、一般に5 nm未満、典型的に約2〜3 nmの厚さを有し、従って実質的に単分子層を意味することが多い。
微小気泡の膜に含まれる両親媒性化合物は、合成または天然の生体適合性化合物であることができ、例えばフィルム形成脂質、特にリン脂質を含むことができる。両親媒性化合物の例としては、例えばリン脂質;リゾリン脂質;パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸またはオレイン酸などの脂肪酸;キチン、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドンまたは「ペグ化脂質」とも称されるポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー結合脂質(lipids bearing polymer);スルホン化された単糖、二糖、オリゴ糖または多糖類結合脂質;コレステロール、硫酸コレステロールまたはヘミコハク酸コレステロール;ヘミコハク酸トコフェロール;エーテルまたはエステル架橋脂肪酸を有する脂質;ポリマー化脂質;リン酸ジアセチル;リン酸ジセチル;セラミド;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレン脂肪酸ステアリン酸塩など)、ポリオキシエチレン脂肪アルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチル化ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールポリエチレングリコールリシノール酸塩、エトキシル化大豆ステロール、エトキシル化ヒマシ油または酸化エチレン(EO)および酸化プロピレン(PO)ブロックコポリマー;酪酸コレステロール、イソ酪酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、酢酸ラノステロール、パルミチン酸エルゴステロールまたはn-酪酸フィトステロールなどのステロール脂肪酸エステル;コレステロールグルクロニド、ラノステロールグルクロニド(glucoronide)、7-デヒドロコレステロールグルクロニド(glucoronide)、エルゴステロールグルクロニド(glucoronide)、グルコン酸コレステロール、グルコン酸ラノステロールまたはグルコン酸エルゴステロールなどの糖酸のステロールエステル;ラウリルグルクロニド(glucoronide)、ステアロイルグルクロニド(glucoronide)、ミリストイルグルクロニド(glucoronide)、グルコン酸ラウリル、グルコン酸ミリストイルまたはグルコン酸ステアロイルなどの糖酸およびアルコールのエステル;ラウリン酸スクロース、ラウリン酸フルクトース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、グルクロン酸、グルコン酸またはポリウロン酸などの糖と脂肪酸とのエステル;サルササポゲニン、スミラゲニン、ヘデラゲニン(hederagenin)、オレアノール酸またはジギトキシゲニンなどのサポニン;トリパルミチン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、ジミリスチン酸グリセロール、トリミリスチン酸グリセロール、ジラウリン酸グリセロール、トリラウリン酸グリセロール、ジパルミチン酸グリセロールなどのグリセロールまたはグリセロールエステル;n-デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールまたはn-オクタデシルアルコールなどの長鎖アルコール;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;ジガラクトシルジグリセリド;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシ-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;ジガラクトシルジグリセリド;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシ-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;6-(5-コレステン-3β−イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシル-1-チオ-β-D-マンノピラノシド;12-(((7'-ジエチルアミノクマリン-3-イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカン酸;N-[12-(((7'-ジエチルアミノクマリン-3-イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカノイル]-2-アミノパルミチン酸;N-スクシニルジオレイルホスファチジルエタノールアミン;1,2-ジオレイル-sn-グリセロール;1,2-ジパルミトイル-sn-3-スクシニルグリセロール;1,3-ジパルミトイル-2-スクシニルグリセロール;1-ヘキサデシル-2-パルミトイルグリセロホスホエタノールアミンまたはパルミトイルホモシステイン;例えばN-ステアリルアミン、N,N'-ジステアリルアミン、N-ヘキサデシルアミン、N,N'-ジヘキサデシルアミン、N-ステアリルアンモニウムクロリド、N,N'-ジステアリルアンモニウムクロリド、N-ヘキサデシルアンモニウムクロリド、N,N'-ジヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)などの少なくとも1の(C10-C20)、好ましくは(C14-C18)のアルキル鎖を含むアルキルアミンまたはアルキルアンモニウム塩;例えば1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DSTAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DPTAP)、1,2-オレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DSDAP)などの、(C3-C6)アルキレン架橋によりN原子に連結した、1または好ましくは2の(C10-C20)、好ましくは(C14-C18)のアシル鎖を含む第三級または第四級アンモニウム塩;およびその混合物または組合せが挙げられる。
成分の組合せおよび微小気泡の製造工程に応じて、上記例示化合物を、微小気泡の膜を形成させるための主な化合物として、または単純な添加物として用いることができ、従って少量でのみ存在する。
好ましい具体的態様により、微小気泡の膜を形成する少なくとも一つの化合物は、他のいずれの上記フィルム形成物質とも適宜混合してもよいリン脂質である。本明細書の記載により、用語「リン脂質」は、いずれの両親媒性リン脂質化合物、最終的な微小気泡懸濁液中、気体−水境界表面にて物質の安定化フィルムを形成することができる分子(典型的に単分子層の形態にて)も包含するものである。従って、これらの物質はまた、当業者に「フィルム形成リン脂質」とも称されている。
両親媒性リン脂質化合物は典型的に、少なくとも1のリン酸基と少なくとも1、好ましくは2の親油性長鎖炭化水素基とを含む。
適切なリン脂質の例としては、脂肪酸の1または好ましくは2(同じか、または異なる)の残基およびリン酸を有するグリセロールのエステルが挙げられ、ここに、リン酸残基は順に、例えばコリン(ホスファチジルコリン−PC)、セリン(ホスファチジルセリン−PS)、グリセロール(ホスファチジルグリセロール−PG)、エタノールアミン(ホスファチジルエタノールアミン−PE)、イノシトール(ホスファチジルイノシトール)などの親水基に結合している。脂肪酸の残基を一つのみ有するリン脂質のエステルは一般に、当業者にリン脂質の「リゾ」体または「リゾリン脂質」と称される。リン脂質に存在する脂肪酸残基は一般に、典型的に12〜24、好ましくは14〜22の炭素原子を含む長鎖脂肪酸であり;脂肪族鎖は1以上の不飽和を含むことができるか、または好ましくは完全に飽和である。リン脂質に含まれる適切な脂肪酸の例は、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸である。好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびアラキン酸などの飽和脂肪酸を用いる。
リン脂質のさらなる例は、ホスファチジン酸、すなわち脂肪酸を有するグリセロール-リン酸のジエステル;スフィンゴミエリンなどのスフィンゴ脂質、すなわち脂肪酸を有するグリセロールジエステルの残基がセラミド鎖により置き換えられているホスファチジルコリン類似体;カルジオリピン、すなわち脂肪酸を有する1,3-ジホスファチジルグリセロールのエステル;ガングリオシドGM1(もしくはGM2)またはセレブロシドなどの糖脂質;グルコリピド(glucolipid);スルファチドおよびグリコスフィンゴ脂質である。
本明細書において、用語「リン脂質」は、単独でまたは混合物としてのいずれかで用いることができる、天然、半合成または合成的に製造されたいずれかの生成物を含む。
天然リン脂質の例は、典型的に大豆または卵黄レシチンなどの天然レシチン(ホスファチジルコリン(PC)誘導体)である。
半合成リン脂質の例は、天然レシチンの部分的にまたは完全に水素化された誘導体である。好ましいリン脂質は、ホスファチジルコリン、エチルホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールまたはスフィンゴミエリンの脂肪酸ジエステルである。
好ましいリン脂質の例は、例えばジラウロイル-ホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホスファチジルコリン(DAPC)、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイル-ホスファチジルコリン(DOPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホスファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホスファチジルコリン(PSPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイル-ホスファチジルグリセロール(DLPG)およびそのアルカリ金属塩、ジアラキドイルホスファチジル-グリセロール(DAPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)およびそのアルカリ金属塩、ジオレオイル-ホスファチジルグリセロール(DOPG)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)およびそのアルカリ金属塩、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)およびそのアルカリ金属塩、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイルホスファチジン酸(DAPA)およびそのアルカリ金属塩、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイル ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ジオレイルホスファチジル-エタノールアミン(DOPE)、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン(DAPE)、ジリノレイルホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSP)、およびジステアロイルスフィンゴミエリン(DSSP)、ジラウロイル-ホスファチジルイノシトール(DLPI)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(DAPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジオレオイル-ホスファチジルイノシトール(DOPI)である。
用語「リン脂質」はさらに、修飾リン脂質、例えば親水基が順に、別の親水基に結合しているリン脂質を含む。修飾リン脂質の例は、ポリエチレングリコール(PEG)で修飾されたホスファチジルエタノールアミン、すなわち親水性エタノールアミン部分が種々の分子量(例えば300〜5000ダルトン)のPEG分子に連結しているホスファチジルエタノールアミン、例えばDPPE-PEG(またはDSPE-、DMPE-もしくはDAPE-PEG)、すなわちそこに結合しているPEGポリマーを有するDPPE(またはDSPE、DMPEもしくはDAPE)である。例えばDPPE-PEG2000は、そこに結合している平均分子量約2000のPEGポリマーを有するDPPEを意味する。
特に好ましいリン脂質は、DAPC、DSPC、DPPA、DSPA、DMPS、DPPS、DSPSおよびエチル-DSPCである。最も好ましくは、DPPSまたはDSPCである。
リン脂質の混合物はまた、例えばDPPE、DPPC、DSPCおよび/またはDAPCとDSPS、DPPS、DSPA、DPPA、DSPG、DPPG、エチル-DSPCおよび/またはエチル-DPPCとの混合物も用いることができる。
好ましい具体的態様において、リン脂質は、微小気泡の安定化膜の主成分であり、これはガス充填微小気泡の膜を形成する構成成分の総量の少なくとも50%(w/w)の量である。いくつかの好ましい具体的態様において、実質的に膜の全体(すなわち少なくとも90%であり、100重量%まで)は、リン脂質を形成することができる。
リン脂質は、上記いずれの両親媒性化合物との混合物にても都合良く用いることができる。従って、例えばコレステロール、エルゴステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、トコフェロール、没食子酸プロピルもしくはパルミチン酸アスコルビルなどの脂質、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸およびその誘導体などの脂肪酸、またはブチル化ヒドロキシトルエンおよび/または他の非リン脂質化合物は、適宜0〜50重量%、好ましくは25%までの範囲の割合で上記1以上のリン脂質に加えることができる。特に好ましくは、パルミチン酸である。
好ましい具体的態様によれば、本発明の組成物を形成する微小気泡の膜は、全(正または負の)正味の電荷を有する化合物を含む。該化合物は、荷電した両親媒性物質、好ましくは脂質またはリン脂質であることができる。
全体的に負電荷を有するリン脂質の例は、誘導体、特に脂肪酸ジエステル誘導体、DMPS、DPPS、DSPSなどのホスファチジルセリン誘導体;DMPA、DPPA、DSPAなどのホスファチジン酸誘導体;DMPG、DPPGおよびDSPGなどのホスファチジルグリセロール誘導体、またはDMPI、DPPIもしくはDPPIなどのホスファチジルイノシトール誘導体である。修飾リン脂質、特にDMPE-PEG1000、DMPE-PEG2000、DMPE-PEG3000、DMPE-PEG4000、DMPE-PEG5000、DPPE-PEG1000、DPPE-PEG2000、DPPE-PEG3000、DPPE-PEG4000、DPPE-PEG5000、DSPE-PEG1000、DSPE-PEG2000、DSPE-PEG3000、DSPE-PEG4000、DSPE-PEG5000、DAPE-PEG1000、DAPE-PEG2000、DAPE-PEG3000、DAPE-PEG4000またはDAPE-PEG5000などのPEG修飾ホスファチジルエタノールアミンもまた、負電荷を有する分子として用いることができる。上記リン脂質のリゾ体、例えばリゾホスファチジルセリン誘導体(例えばリゾ-DMPS、-DPPSまたは-DSPS)、リゾホスファチジン酸誘導体(例えばリゾ-DMPA、-DPPAまたは-DSPA)およびリゾホスファチジルグリセロール誘導体(例えばリゾ-DMPG、-DPPGまたは-DSPG)もまた、負電荷を有する化合物として有利に用いることができる。負に荷電した脂質の例は、コール酸塩、デオキシコール酸塩またはグリココール酸塩などの胆汁酸塩;および例えばパルミチン酸塩、ステアリン酸塩、1,2-ジパルミトイル-sn-3-スクシニルグリセロール塩または1,3-ジパルミトイル-2-スクシニルグリセロール塩などの(C12-C24)、好ましくは(C14-C22)脂肪酸塩である。
好ましくは、負に荷電した化合物は、DPPA、DPPS、DSPG、DSPE-PEG2000、DSPE-PEG5000またはその混合物から選択される。
負に荷電した構成成分は典型的に、一価(例えばアルカリ金属またはアンモニウム)、二価(例えばアルカリ土類金属)または三価(例えばアルミニウム)であることができる対応する陽性対イオンと結合している。好ましくは、対イオンは、Li+、Na+またはK+、より好ましくはNa+などのアルカリ金属カチオンから選択される。
全体的に正の電荷を有するリン脂質の例は、エチルホスファチジルコリンの誘導体、特にエチルホスファチジルコリンと、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPCまたはDSEPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DPPCまたはDPEPC)などの脂肪酸とのジエステルである。負の対イオンは、好ましくはハロゲンイオン、特に塩素または臭素イオンである。正に荷電した脂質の例は、例えばモノまたはジステアリルアンモニウムクロリド、モノまたはジヘキサデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)などの、少なくとも1の(C10-C20)、好ましくは(C14-C18)のアルキル鎖を含む、ハロゲン対イオン(例えば塩素または臭素)とのアルキルアンモニウム塩である。正に荷電した脂質のさらなる例は、例えば1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DSTAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DPTAP)、1,2-オレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DSDAP)などの、(C3-C6)アルキレン架橋によりN原子に結合した、1または好ましくは2の、(C10-C20)、好ましくは(C14-C18)の、アシル鎖を含む、ハロゲン対イオン(例えば塩素または臭素)との第三級または第四級アンモニウム塩である。
DSEPC、DPEPCおよび/またはDSTAPは、好ましくは微小気泡膜における正に荷電した化合物として用いる。
正に荷電した構成成分は典型的に、対応する負の対イオンと結合しており、これは一価(例えばハロゲン)、二価(例えば硫酸塩)または三価(例えばリン酸塩)であることができる。好ましい対イオンは、F-(フッ素)、Cl-(塩素)またはBr-(臭素)などのハロゲンイオンから選択される。
中性および荷電した化合物、特にリン脂質および/または脂質の混合物は、満足に微小気泡膜を形成させるために用いることができる。荷電した脂質またはリン脂質の量は、脂質およびリン脂質の総量に関して約95モル%〜約1モル%、好ましくは80モル%〜20モル%に変化することができる。
中性リン脂質および荷電した脂質またはリン脂質の好ましい混合物は、例えばDPPG/DSPC、DSTAP/DAPC、DPPS/DSPC、DPPS/DAPC、DPPE/DPPG、DSPA/DAPC、DSPA/DSPCおよびDSPG/DSPCである。
他の賦形剤または添加物は、微小気泡の安定化膜の形成に必ずしも含まれないで(もしくは部分的にのみ含まれていて)、微小気泡の乾燥製剤中に存在するか、またはその再構成物について用いられる水性担体と一緒に加えることができる。これらとしては、pH調整剤、浸透圧調節剤、粘性促進剤、乳化剤、充填剤などが挙げられ、通常の量にて用いることができる。例えばポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシエチレングリコールならびにそのコポリマーのような化合物を用いることができる。粘性促進剤または安定化剤の例は、線状および架橋の多糖およびオリゴ糖、糖質、親水性ポリマー様ポリエチレングリコールから選択される化合物である。
ガス充填微小気泡の製造は凍結乾燥またはスプレー乾燥工程を含むことができるので、凍結防止効果および/または溶解保護(lyoprotective)効果を有する薬物および/または充填剤、例えばグリシンなどのアミノ酸;炭水化物、例えばスクロース、マンニトール、マルトース、トレハロース、グルコース、ラクトースもしくはシクロデキストリンなどの糖、またはデキストランなどの多糖;またはポリエチレングリコールなどのポリグリコールなどの溶解保護添加物を製剤中に含むことは有利であることができる。
本発明による組成物の微小気泡は、当業者に知られるいずれの方法によっても製造することができる。典型的に、製造方法は、好ましくは該物質を含む水性または有機性懸濁液の凍結乾燥(フリーズドライ)による上記両親媒性物質を含む乾燥粉末物質の製造を含む。
例えばWO 91/15244に記載されているように、フィルム形成両親媒性化合物は、いずれのリポソーム形成方法によってもまず層状体に変換することができる。この終わりに、フィルム形成脂質および適宜他の添加物(例えば粘性促進剤、非フィルム形成界面活性剤、電解質など)を含む水溶液は、高速機械的均質化のため、または音響的周波数もしくは超音波周波数下における超音波処理のために用いることができ、次いでその後ガスの存在下貯蔵される遊離した流動性散剤を形成するために凍結乾燥することができる。例えばUS 5,597,549に開示される任意の洗浄工程は、凍結乾燥前に行うことができる。
別の具体的態様(例えばUS 5,597,549に記載)によれば、フィルム形成化合物および親水性安定化剤(例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、グリコール酸、リンゴ酸またはマルトール)は、有機溶媒(例えば第三級ブタノール、2-メチル-2-ブタノールまたはC2Cl4F2)に溶解させることができ、溶液を凍結乾燥して乾燥粉末を形成させることができる。
好ましくは、同時係属の国際特許出願WO2004/069284に開示されているように、リン脂質(上記のものから選択され、少なくとも一つの上記荷電したリン脂質を含む)および溶解保護剤(例えば先に記載のもの、特に炭水化物、糖アルコール、ポリグリコールおよびその混合物)は、水の水不混和性有機溶媒(例えば分枝または直鎖のアルカン、アルケン、シクロ-アルカン、芳香族炭化水素、アルキルエーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、ペルフルオロ炭化水素またはその混合物)との乳剤を撹拌しながら分散させることができる。乳剤は、少なくとも一つのリン脂質の存在下、水性媒体および溶媒を、例えば超音波処理、振盪、高圧均質化、マイクロミキシング(micromixing)、膜乳化、高速撹拌または高せん断混合などの当業者に知られているいずれの適切な乳剤生成法に用いることによっても得ることができる。例えばPolytron(登録商標)PT3000などのローター−ステーター(rotor-stator)ホモジナイザーを用いることができる。ローター−ステーターホモジナイザーの撹拌速度は、乳剤の成分、乳剤の容積、有機溶媒の相対容積、乳剤を入れる容器の直径および乳剤中の溶媒の微液滴の所望の最終直径に応じて選択することができる。あるいは、マイクロミキシング法は、例えば第一吸入口を通してミキサーに有機溶媒を導入し(例えば0.05〜5 ml/分の流速にて)、第二吸入口を通して水相を導入する(例えば2〜100 ml/分の流速にて)ことにより、混合物を乳化するために用いることができる。次いで、次の瞬間にて容器から取り出され、マイクロミキサーに導入された水相が乳化溶媒の増大した量を含むように、マイクロミキサーの排出口を、水相を含む容器につなぐ。溶媒の全容積を加えたとき、容器からの乳剤をマイクロミキサーに通して再循環のもと、さらに予め定められた時間、例えば5〜120分間、乳剤の完了を可能にすることができる。乳剤技術に応じて有機溶媒は、乳化工程の間、または乳化工程の開始前すぐに、段階的に導入することができる。あるいは、水性媒体は乳化工程の間、または乳化工程の開始前すぐに水不混和性溶媒に段階的に加えることができる。好ましくは、リン脂質は、水性媒体中にて分散させた後、この後者を有機溶媒と混合する。あるいは、リン脂質を有機溶媒中にて分散することができるか、または乳化工程の前もしくはその間、水性−有機性混合物を別々に加えることができる。そのようにして得られたマイクロエマルジョンは、リン脂質物質(および適宜他の両親媒性フィルム形成化合物および/または添加物)により取り囲まれ、安定化されている溶媒の微液滴を含み、次いで従来の技術により凍結乾燥し、凍結乾燥された物質を得、これは貯蔵し(例えば適切な気体の存在下バイアル中にて)、水性担体と再構成して最終的にガス充填微小気泡懸濁液(ここに、微小気泡の次元および粒度分布は、実質的に微液滴の懸濁液の次元および粒度分布と同程度である)を得ることができる。
ガス充填微小気泡のさらなる製造工程は、所望の気体の存在下、リン脂質(および適宜他の両親媒性フィルム形成化合物および/または添加物)を含む水性媒体を制御された高撹拌エネルギー(例えばローター−ステーターミキサーを用いる)下に置き、得られた分散体を凍結乾燥して再構成可能な乾燥生成物を得ることにより、ガス微小気泡分散体を生成することを含む。この工程の例は、例えばWO97/29782に与えられており、これは本明細書に引用される。
スプレー乾燥技術(例えばUS 5,605,673に開示)もまた、乾燥散剤を得るために用いることができ、生理学的に水性の担体と接触して再構成可能であり、ガス充填微小気泡を得ることができる。
いずれの上記技術によっても得られる乾燥または凍結乾燥された生成物は一般に、散剤またはケーキの形態であろうし、所望の気体と接触させて貯蔵(例えばバイアル中にて)することができる。生成物は、典型的に注射可能である適切な生理学的に許容される水性液体担体中にて容易に再構成することができ、懸濁液の穏やかな撹拌後、ガス充填微小気泡を形成する。適切な生理学的に許容される液体担体は滅菌水、食塩水などの水溶液(注射用の最終生成物が低張でないように有利に平衡を保つことができる)または塩もしくは糖などの一つ以上の等張性調節物質の溶液、糖アルコール、グリコールまたは他の非イオン性ポリオール物質(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)である。
最終的に再構成された微小気泡の平均の次元および粒度分布は一般に、製造工程のパラメータに適切に作用することにより測定することができる。一般に、最終製剤の平均粒度および粒度分布の異なる値は、異なる膜安定化リン脂質の選択および/または(工程により必要なとき)異なる有機溶媒および/またはその異なる容積(水相の容積と比べて)の選択により得ることができる。さらに、WO2004/069284またはWO97/29782に開示されている具体的な製造工程について、混合速度の変化は一般に、最終微小気泡製剤の種々の平均の次元をもたらす(典型的に混合速度が高くなればなるほど、得られる微小気泡は小さくなる)。
マイクロカプセル
本明細書に定義されているガス充填マイクロカプセルは物質膜(material envelope)を有する微小胞を含み、その厚さは一般に、フィルム膜を安定化する微小気泡の厚さよりもはるかに厚い。該膜を形成する物質(例えばポリマー性、タンパク質性、水不溶性脂質性またはそのいずれかの組合せであることができる)に応じて、その厚さは、一般に少なくとも50 nm、典型的に少なくとも100 nm、数百ナノメートル(例えば300 nm)までである。
マイクロカプセルの好ましい例は、ポリマー、好ましくは生分解性ポリマーを含む安定化膜、または例えば本明細書にそのまま引用されるUS 5,711,933およびUS 6,333,021に記載の生分解性水不溶性脂質を含む安定化膜を有するものである。タンパク質性膜を有する、すなわちUS-A-4,276,885またはEP-A-0 324 938に記載の天然タンパク質(アルブミン、ヘモグロビン)で作られた、マイクロカプセルもまた、用いることができる。
注射用マイクロカプセルの膜を形成するポリマーは、好ましくは親水性、生分解性の生理学的に両立可能なポリマーである。天然または合成であることができる該ポリマーの例は、実質的に不溶な多糖(例えばキトサンまたはキチン)、ポリシアノアクリレート、ポリラクチドおよびポリグリコリドおよびそのコポリマー、ラクチドとγ-カプロラクトンまたはδ-バレロラクトンなどのラクトンとのコポリマー、エチレンオキシドとラクチドとのコポリマー、ポリエチレンイミン、ポリペプチド、およびゼラチン、コラーゲン、グロブリンまたはアルブミンなどのタンパク質である。上記で引用されるUS 5,711,933に記載の他の適切なポリマーとしては、ポリ-(オルト)エステル、ポリ乳酸およびポリグリコール酸およびそのコポリマー(例えばDEXON(登録商標), Davis&Geck, Montreal, Canada);ポリ(DL-ラクチド-co-γ-カプロラクトン)、ポリ(DL-ラクチド-co-δ-バレロラクトン)、ポリ(DL-ラクチド-co-γ-ブチロラクトン)、ポリアルキルシアノアクリレート;ポリアミド、ポリヒドロキシブチレート;ポリジオキサノン;ポリ-β-アミノケトン;ポリホスファゼン;およびポリ無水物が挙げられる。ポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸などのポリアミノ酸もまた、用いることができ、ならびに低級アルコールまたはグリコールとの部分的エステルなどのその誘導体も用いることができる。メチオニン、ロイシン、バリン、プロリン、グリシン、アラニンなどの他のアミノ酸とのコポリマーもまた用いることができる。制御された生分解性を有するポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸の誘導体(例えばWO87/03891, US 4,888,398またはEP 130935に記載のものであり、すべて本明細書にそのまま引用される)もまた用いることができる。これらのポリマー(および他のアミノ酸とのコポリマー)は、以下の種類の式:
-(NH-CHA-CO)w-(NH-CHX-CO)y-
[式中、Xは、アミノ酸残基の側鎖(例えばメチル、イソプロピル、イソブチルまたはベンジル)を示し;Aは式:-(CH2)n COOR1 R2 -OCOR、-(CH2)n COO-CHR1COOR、-(CH2)n CO(NH-CHX-CO)m NH-CH(COOH)-(CH2)p COOHで示される基またはそのそれぞれの無水物であり(ここに、R1およびR2はHまたは低級アルキルであり、Rはアルキルまたはアリールであり;またはRおよびR1は置換または非置換結合メンバーにより一緒に連結し、5員または6員環を提供し;n、mおよびpは5を超えない、より低い整数である);wおよびyは5000以上の分子量を有するために選択される整数である]を有する。
非生分解性ポリマー(例えば消化管中にて用いられるマイクロカプセルの製造のため)は、ポリオレフィン(ポリスチレン)、アクリル樹脂(ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル)、ポリエステル(ポリカーボネート)、ポリウレタン、ポリウレアおよびそのコポリマーなどのほぼ水に不溶性の生理学的に許容される生体耐性ポリマーから選択することができる。ABS(アクリル-ブタジエン-スチレン)は好ましいコポリマーである。
マイクロカプセルを形成するのに有用な生分解性水不溶性脂質は、例えばモノ-、ジ-またはトリ-グリセリド、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステロールなどのステロール、蝋およびその混合物を含む。モノ-、ジ-およびトリ-グリセリドとしては、主にモノ-、ジ-およびトリ-ラウリン化合物ならびに対応する-ミリスチン、-パルミチン、-ステアリン、-アラキン(-arachidin)および-ベヘニン誘導体が挙げられる。モノ-、ジ-およびトリ-アラキン、-パルミチン、-ステアリンおよびジパルミトイルモノオレイルグリセリドなどの混合トリグリセリドは部分的に有用であり;トリパルミチンおよびトリステアリンが好ましい。脂肪酸としては、12炭素原子以上を有する固体(室温、約18-25℃にて)脂肪酸(好ましくは飽和)、例えばラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、セバシン酸、ミリスチン酸、セロチン酸、メリシン酸およびエルカ酸およびその脂肪酸エステルが挙げられる。好ましくは、脂肪酸およびそのエステルは、他のグリセリドとの混合物にて用いる。
ステロールは、好ましくは他のグリセリドおよびまたは脂肪酸との混合物にて用いられ、コレステロール、フィトステロール、ラノステロール、エルゴステロールなど、およびステロールと上記脂肪酸とのエステルから選択されるが;コレステロールが好ましい。
好ましい生分解性脂質は、トリパルミチン、トリアラキン、トリステアリンまたは上記トリグリセリドの混合物などのトリグリセリドである。
適宜上記生分解性ポリマーの75重量%までを、マイクロカプセルの膜を形成する生分解性水不溶性脂質と一緒に混合することができる。有利に、イオン性ポリマー(すなわちその構造にイオン性部分を有するポリマー)、好ましくは生分解性イオン性ポリマーもまた、マイクロカプセルの安定化膜を形成するために用いることができ、従って所望の全正味電荷をそれに与えることができる。イオン性ポリマーは安定化膜の主な成分として用いることができるか、またはそれらは種々の量(例えば2〜80重量%)にて非イオン性ポリマーと混合することができる。適切なイオン性ポリマーは、例えば四級化アミンなどの四級化窒素原子を含むポリマー、またはカルボン酸、サルフェート、スルホネートまたはホスホネート部分を含むポリマーである。適切なイオン性ポリマーの例としては、制限されないが、ポリエチレンイミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ{ビス(2-クロロエチル)エーテル-alt-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ウレア}四級化(ポリクオタニウム(登録商標)-2)、ポリ(4-ビニルピリジニウムトリブロミド)、ヒドロキシエチルセルロースエトキシレート四級化(ポリクオタニウム(登録商標)-4、ポリ(p-キシレンテトラヒドロチオフェニウムクロリド)、ポリ(L-リジン)、キチン、ジエチレンアミノエチルデキストラン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレン-alt-マレイン酸)、ポリ(アミノ酸)、アルギン酸、ポリ(ウリジル酸)、ヒアルロン酸、すなわちポリ(β-グルクロン酸-alt-β-N-アセチルグルコサミド)、ポリ(ガラクツロン酸)、ポリ(ビニルアセテート-co-クロトン酸)、DNA、ポリ(3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物-co-4,4'-オキシジアニリン)、ポリ(イソプレン-グラフト(graft)-マレイン酸モノメチルエーテル)、グルタミン酸とグルタミン酸アルキルとのコポリマー、ヘパリン、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化ポリ(イソフタル酸)、ポリ(ビニルスルホン酸カリウム)、ポリ(ビニル硫酸カリウム)、コンドロイチンサルフェートA、デキストランサルフェート、フコイダン、ポリリン酸、ポリリン酸ナトリウム、ポリビニルホスホン酸ナトリウム、ポリ-L-リジン臭化水素酸塩、キトサン、キトサンサルフェート、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸およびリグニンスルホン酸塩が挙げられる。
従来の添加物もまた、分散性、弾性および水浸透性などのその物理的性質を改変するために、マイクロカプセルの膜に組み込むことができる。特に、有効量の両親媒性物質は、その安定性を増大させるために、該マイクロカプセルの製造のために製造される乳剤に加えることができる。該物質は、上記の脂質、リン脂質および修飾リン脂質などの両親媒性化合物の中で有利に選択することができる。
加えられる両親媒性物質は、有利に全正味電荷を有する化合物であることができる。好ましい荷電した脂質、リン脂質および修飾リン脂質は、先に記載のものである。好ましい荷電した化合物の量は、存在するとき、安定化膜を形成する物質の総量の約2%〜40%である。
特にマイクロカプセルの製造に用いられる他の賦形剤または添加物は、再分散剤または粘性促進剤などを膜に組み込むことができる。
生分解性ポリマー含有マイクロカプセルは、例えば本明細書に引用されるUS 5,711,933に開示されている方法により製造することができ、これは(a)水中油型乳剤として疎水相の液滴を水相中に得るために、疎水性有機相を水相中に乳化すること;(b)ポリマーが該液滴の回りに層を形成するように、水相に不溶な揮発性溶媒中の少なくとも一つのポリマーの溶液を該乳剤に加えること;(c)次いで該ポリマーの膜によりカプセル化される疎水相のコアを有する樹脂(ここに、該樹脂は水相において懸濁する)を形成し、該樹脂が液滴の回りの界面沈殿によりポリマーが沈殿するように、該揮発性溶媒を濃縮すること;(d)該懸濁液を減圧にすることによる濃縮により該カプセル化された疎水相を留去すること;および(e)その濃縮された疎水相を適切な気体で置き換えることを含む。
生分解性脂質含有マイクロカプセルは、例えばUS 6,333,021(本明細書に引用される)に開示される方法、水中油型乳剤を製造するために、有機溶媒に溶解したマイクロカプセル膜の一つ以上の固体構成成分の混合物を水担体相中にて分散させることにより製造することができる。乳剤水相は、乳剤を安定化するために用いられる有効量の両親媒性物質を含むことができる。
次いで、上記のある量の再分散剤および/または凍結防止剤もしくは溶解保護剤を水相中にて有機溶液の極めて小さな液滴の乳剤に加えた後、-30℃以下の温度にて凍結する。いずれの都合の良い再分散剤も用いることができ;糖、アルブミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)およびエチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー(例えばPluronic(登録商標)またはSynperonic(登録商標))またはその混合物から選択される再分散剤が好ましい。粒子凝集を予防するために加えられる再分散剤は、マイクロカプセルが合体していない乾燥したすぐに分散可能な散剤の形態であるときに特に有用である。次いで凍結した乳剤を減圧にして凍結乾燥、すなわち液滴からの有機溶媒の昇華および担体相の水の昇華により留去した後、凍結乾燥生成物を所望の気体と接触させる。
次いで穏やかに撹拌しながら乾燥散剤を適切な水性担体と接触させることにより、マイクロカプセルを再構成することができる。
生体適合性ガス
いずれの生体適合性ガス、ガス前駆体またはその混合物を上記微小胞に満たすために用いることができる。
ガスは、例えば空気;窒素;酸素;二酸化炭素;水素;亜酸化窒素;ヘリウム、アルゴン、キセノンまたはクリプトンなどの希ガスまたは不活性ガス;Xe133またはKr81などの放射性ガス;過分極ヘリウム、過分極キセノンまたは過分極ネオンなどの過分極希ガス;低分子量炭化水素(例えば7炭素原子までを含む)、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンもしくはイソペンタンなどのアルカン、シクロブタンもしくはシクロペンタンなどのシクロアルカン、プロペン、ブテンもしくはイソブテンなどのアルケン、またはアセチレンなどのアルキン;エーテル;ケトン;エステル;ハロゲン化ガス、好ましくはフッ素化ガス、またはハロゲン化、例えばフッ素化もしくはペルフルオロ低分子量炭化水素(例えば7炭素原子までを含む);または上記いずれかの混合物を含むことができる。ハロゲン化炭化水素を用いるとき、該化合物中の好ましくは少なくともいくつか、より好ましくはすべてのハロゲン原子がフッ素原子である。
フッ素化ガス、特にペルフルオロガスは、特に超音波画像化の分野において好ましい。フッ素化ガスとしては、少なくとも一つのフッ素原子を含む物質、例えばフッ素化炭化水素(1以上の炭素原子およびフッ素を含む有機化合物);六フッ化硫黄;フッ素化ケトン、好ましくはペルフルオロケトン、例えばペルフルオロアセトン;およびフッ素化エーテル、好ましくはペルフルオロエーテル、例えばペルフルオロジエチルエーテルが挙げられる。好ましい化合物は、例えば本明細書に引用されるEP 0554 213に開示されるように、SF6またはペルフルオロカーボン(ペルフルオロ炭化水素)などのペルフルオロガス、すなわち特に安定な微小気泡懸濁液を形成するために知られる、すべての水素原子がフッ素原子により置き換えられている炭化水素である。
用語「ペルフルオロカーボン」としては、飽和、不飽和および環状ペルフルオロカーボンが挙げられる。生体適合性の、生理学的に許容されるペルフルオロカーボンの例は、ペルフルオロメタン、ペルフルオロエタン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン(例えば適宜ペルフルオロ-イソブタンなどの他の異性体と混合していてもよいペルフルオロ-n-ブタン)、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサンまたはペルフルオロヘプタンなどのペルフルオロアルカン;ペルフルオロプロペン、ペルフルオロブテン(例えばペルフルオロブタ-2-エン)またはペルフルオロブタジエンなどのペルフルオロアルケン;ペルフルオロアルキン(例えばペルフルオロブタ-2-イン);およびペルフルオロシクロアルカン(例えばペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロメチルシクロブタン、ペルフルオロジメチルシクロブタン、ペルフルオロトリメチルシクロブタン、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロメチルシクロペンタン、ペルフルオロジメチルシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサンおよびペルフルオロシクロヘプタン)である。好ましい飽和ペルフルオロカーボンは、式CnFn+2(ここに、nは1〜12、好ましくは2〜10、最も好ましくは3〜8およびさらにより好ましくは3〜6である)を有する。適切なペルフルオロカーボンとしては、例えばCF4、C2F6、C3F8、C4F8、C4F10、C5F12、C6F12、C6F14、C7F14、C7F16、C8F18およびC9F20が挙げられる。
特に好ましいガスは、SF6またはCF4、C2F6、C3F8、C4F8、C4F10もしくはその混合物から選択されるペルフルオロカーボンであり;SF6、C3F8またはC4F10が特に好ましい。
上記ガスのいずれの割合の混合物を用いることもまた、有利であることができる。例えば混合物は、窒素、空気または二酸化炭素などの通常のガス、および安定な微小気泡懸濁液を形成するガス、例えば上記の六フッ化硫黄またはペルフルオロカーボンを含むことができる。適切なガス混合物の例は、例えばWO 94/09829に見ることができ、これは本明細書に引用される。次の組合せは特に好ましい:気体(A)と(B)の混合物(ここに、ガス(B)は、フッ素化ガス、好ましくはSF6、CF4、C2F6、C3F6、C3F8、C4F6、C4F8、C4F10、C5F10、C5F12またはその混合物から選択され、(A)は空気、酸素、窒素、二酸化炭素またはその混合物から選択される)。気体(B)の量は、全混合物の約0.5%〜約95%v/v、好ましくは約5%〜80%を示すことができる。
ある特定の状況では、前駆体を気体物質(すなわちインビボにてガスに変換することができる物質)に含むことは所望であることができる。好ましくは、気体前駆体およびそれに由来する気体は、生理学的に許容される。気体前駆体は、pH活性、光活性、温度活性などであることができる。例えばいくつかのペルフルオロカーボンは温度活性気体前駆体として用いることができる。ペルフルオロペンタンまたはペルフルオロヘキサンなどのこれらのペルフルオロカーボンは、室温(または薬物が製造および/または貯蔵される温度)を超えるが体温を超えない液/気相遷移温度を有し;従ってそれらは液/気相遷移を受け、ヒト体内にて気体に変換される。
超音波検査について、生体適合性ガスまたはガス混合物は、好ましくは空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、クリプトン、キセノン、アルゴン、メタン、ハロゲン化炭化水素(ペルフルオロカーボンおよび六フッ化硫黄などのフッ素化ガスなど)またはその混合物から選択される。都合良く、ペルフルオロカーボン(特にC4F10またはC3F8)またはSF6を用いることができ、適宜空気または窒素と混合してもよい。
MRIにおける使用について、微小胞は、好ましくは過分極ネオン、過分極ヘリウム、過分極キセノンまたはその混合物などの過分極希ガスを含み、適宜空気、CO2、酸素、窒素、ヘリウム、キセノンまたは上記定義されているいずれのハロゲン化炭化水素とも混合してもよい。
シンチグラフィーにおける使用について、微小胞は、好ましくはXe133またはKr81またはその混合物などの放射性ガスを含み、適宜空気、CO2、酸素、窒素、ヘリウム、クリプトンまたは上記定義されているいずれのハロゲン化炭化水素とも混合してもよい。
改変微小胞
本発明による組成物に有用な微小胞は、適宜標的リガンド、診断剤および/または生物活性剤を含有して(例えば含んでいるか、または結合している)いてもよい。
用語「標的リガンド」には、その意味の範囲内において、生体内のいずれの生物学的または病理学的部位への本発明の組成物の微小胞の標的活性(例えば選択的結合を含む)も有するか、または促進することができる、いずれの化合物、部分または残基も含まれる。標的リガンドが結合することができる標的としては、例えば心筋組織(心筋細胞および心臓ミオサイトなど)、膜性組織(内皮組織および上皮組織など)、薄層、結合組織(間質組織など)または腫瘍などの組織;血栓;および例えばペプチドホルモンについての細胞表面レセプターなどのレセプター、神経伝達物質、抗原、補体断片、および免疫グロブリンおよびステロイドホルモンについての細胞質レセプターが挙げられる。
標的リガンドは、合成、半合成または天然であることができる。標的リガンドとして供しうる物質または材料としては、例えば抗体、抗体フラグメント、レセプター分子、レセプター結合分子、グリコタンパク質およびレクチンなどのタンパク質;オリゴペプチドおよびポリペプチドなどのペプチド;ペプチド模倣薬;単糖および多糖などのサッカリド;ビタミン;ステロイド、ステロイド類似体、ホルモン、補因子、生物活性剤およびヌクレオシド、ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドなどの遺伝物質が挙げられるが、これらに限定されない。
適切な標的および標的リガンドの例は、例えば米国特許番号6,139,819に開示されており、これは本明細書に引用されている。
標的リガンドは、それ自体微小胞の他の成分と混合される化合物であることができ、または微小胞の生成に用いられる両親媒性分子に結合する化合物であることができる。
ある好ましい具体的態様において、標的リガンドは共有結合により微小胞の両親媒性分子に結合することができる。そのような場合には、両親媒性分子に存在している必要がある特異的な反応部分は、それにカップリングする特定の標的リガンドに依存するだろう。例として、標的リガンドがアミノ基により両親媒性分子に連結することができるとき、両親媒性分子についての適切な反応部分は、イソチオシアネート基(チオウレア結合を形成するだろう)、反応性エステル(アミド結合を形成するため)、アルデヒド基(アルキルアミン結合に還元されるイミン結合の生成のため)などであることができ;標的リガンドがチオール基により両親媒性分子に連結することができるとき、両親媒性分子についての適切な補完的反応部分としては、ハロアセチル誘導体またはマレイミド(チオエーテル結合を形成するため)が挙げられ;そして標的リガンドがカルボン酸基により両親媒性分子に連結することができるとき、両親媒性分子についての適切な反応部分はアミンおよびヒドラジド(アミドまたはアルキルアミド結合を形成するため)であることができる。従って、所望の標的リガンドと共有結合するために、微小胞を形成する両親媒性化合物の少なくとも一部は適切な反応部分を含み、補完的な官能基を含む標的リガンドは、例えば微小胞の両親媒性成分を含むディスパージョンに加えることにより、既知の技術に従ってそれに連結するだろう。両親媒性化合物は所望の標的リガンドと混合した後に微小胞を製造することができ、そのようにして得られた混合物は微小胞の製造工程に用いることができる。あるいは、標的リガンドは微小胞の製造工程の間、それぞれの両親媒性化合物に連結することができる。
別の具体的態様により、標的リガンドはまた、物理的および/または静電相互作用により微小胞に適切に結合することもできる。例として、補完的部分について高い親和性および選択性を有する官能基部分は、両親媒性分子に導入することができるが、該補完的部分は標的リガンドに連結するだろう。例えば、アビジン(またはストレプトアビジン)部分(ビオチンについて高い親和性を有する)は、リン脂質に共有結合することができるが、補完的ビオチン部分は適切な標的リガンド、例えばペプチドまたは抗体に組み込むことができる。従って、ビオチン標識標的リガンドはアビジン−ビオチンカップリング系により微小胞のアビジン標識リン脂質に結合するだろう。あるいは、リン脂質および標的リガンドはともに、ビオチン部分を与えることができ、次いでアビジン(二つのビオチン部分を架橋することができる二官能性成分である)により互いにカップリングすることができる。リン脂質とペプチドとのビオチン/アビジンカップリングの例もまた、上記にて引用されているUS 6,139,819に開示されている。あるいは、ファンデルワールス相互作用、静電相互作用および他の連結方法により、標的リガンドは両親媒性分子に連結または結合することができる。
別の具体的態様により、標的リガンドは、微小胞を形成する成分と混合して、例えば国際特許出願WO 98/18501または99/55383(これらはともに本明細書に引用されている)に開示されているリポペプチドなどの微小胞構造を最終的に組み込む化合物となることができる。
あるいは、まず、標的リガンドの対応する補完的部分と相互作用することができる適切な部分を有する化合物を含む微小胞を製造することができ;その後、所望の標的リガンドが微小胞懸濁液に加えられ、微小胞の対応する補完的部分に結合する。微小胞が目的としうる適切な具体的な標的の例は、例えば活性化血小板上のフィブリンおよびGPIIbIIIa結合レセプターである。実際に、フィブリンおよび血小板は、一般に「血栓」、すなわち血流中にて形成され、血管閉塞を引き起こしうる凝塊中に存在する。適切な結合ペプチドは、例えば上記に引用されているUS 6,139,819に開示されている。さらにフィブリン標的に特異的な結合ペプチドは、例えば国際特許出願WO 02/055544に開示されており、これは本明細書に引用されている。
重要な標的の他の例としては、キナーゼドメイン領域(KDR)およびVEGF(血管内皮増殖因子)/KDR複合体などの脆弱なプラーク中のレセプターおよび腫瘍特異的レセプターが挙げられる。KDRまたはVEGF/KDR複合体に適切な結合ペプチドは、例えば国際特許出願WO 03/74005およびWO 03/084574に開示されており、これらは本明細書に引用される。
用語「診断剤」には、その意味の範囲内において、患者の内部領域を画像化し、および/または患者における疾患の有無を診断するための方法に関連して使用することができるいずれの化合物、組成物または粒子も含まれる。特に、本発明の組成物における微小胞に組み込まれるか、またはこれと結合する診断剤は、磁気共鳴画像化法、X線法、特にコンピュータ断層撮影法、光学的画像化法、放射性画像化法または分子画像化法などの診断法に関連して画像化を促進することができる任意の化合物、組成物または粒子である。適切な診断剤の例は、例えばマグネタイトナノ粒子、イオメプロール(登録商標)などのヨード化合物、または疎水性ガドリニウム錯体などの常磁性イオン錯体である。
用語「治療剤」には、その意味の範囲内において、患者における疾患の治療方法などのいずれの治療用途にても用いることができるいずれの物質、組成物または粒子、ならびにインビトロおよび/またはインビボにおける生物学的効果を及ぼすことができるか、または及ぼさなければならないいずれの物質も含まれる。従って、治療剤には、患者におけるいずれの病態(疾病、苦痛、疾患の病巣または損傷など)の治療(診断、予防、緩和、鎮痛または治癒など)においても用いることができるいずれの化合物または物質も含まれる。治療剤の例は、薬物、医薬、生物活性剤、細胞毒性剤、化学療法剤、放射線治療剤、タンパク質、オリゴペプチドおよびポリペプチドなどの天然または合成ペプチド、ビタミン、ステロイド、およびヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドおよびプラスミドなどの遺伝物質である。これらのうち、薬物または医薬が好ましい。
適切な治療剤の例としては、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、酢酸ロキサチジン、パントプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾールまたはスクラルファートなどの抗潰瘍薬;臭化プロパンテリン、カミロフィン(アカミロフェニン)、ジシクロミン、ヒヨスチン・ブチルブロミド、メベベリン、シサプリド、オキシブチニン、ピペンゾラート・メチルブロミド、ドロタベリン、メトクロプラミド、臭化クリジニウム、イソプロパミドまたは臭化オキシフェノニウムなどの内臓弛緩薬または運動促進薬;パンクレアチン、パパイン、ペプシンまたはアミラーゼなどの酵素または駆風薬;ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、L-オルニチンまたはシリマリンなどの肝胆汁性製剤;クロニジン、メチルドーパ、ニトロプルシド・ナトリウム、テトラゾシン、ドキサゾシン、(DI)ヒドララジンまたはプラゾシンなどの降圧剤;エスモロール、セリプロロール、アテノロール、ラベタロール(labetolol)、プロプラノロール、メトプロロール、カルベジロール、ソタロール、オクスプレノロール(oxyprenolol)またはビソプロロールなどのベータ遮断薬;フェロジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン、ベニジピン、ベラパミル、アムロジピンまたはラシジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬;エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、ペリンドプリル、ベナゼプリルまたはカプトプリルなどのアンジオテンシン変換酵素阻害剤;ロサルタン・カリウムなどのアンジオテンシンII阻害剤;ニコランジルなどのカリウムチャネル活性化剤;ヒドロクロロチアジド、キシパミド、ブメタニド、アミロリド、スピロノラクトン、インダパミド、トリアムテレン、クロパミド、フロセミドまたはクロルタリドンなどの利尿薬および抗利尿薬;二硝酸イソソルビド(isoscorbide dinitrate)、オキシフェドリン、5-一硝酸イソソルビド、ジルチアゼム、四硝酸エリトリチル、トリメタジジン、リドフラジン、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸グリセリンまたはジラゼプなどの抗狭心症薬;抱合卵胞ホルモン、ジオスミン、メナフトン、メナジオン、血液凝固酵素、エタンシラート(シダンアミン(cydanamine))、ルチン・フラボノイドまたはアドレノクロム・モノセミカルバゾンなどの凝固剤;チクロピジン、ワルファリン、ストレプトキナーゼ、フェニンジオン、rtpa、ウロキナーゼ、バソプレシン、ニコウマロン(nicoumalone)、ヘパリン、低分子量ヘパリン、多硫酸ムコ多糖またはジピリダモールなどの抗凝固剤 抗血栓剤または抗血小板剤;キニジン、ジソピラミド、プロカインアミド、リグノカイン(リドカイン)、メキシレチン、アミオダロン、アデノシン、プロパフェノンなどの抗不整脈薬;メフェンテルミン、ジゴキシン、ドーパミン、ドブタミンもしくはノルアドレナリン、イソクスプリンなどの血管拡張薬、ニコチン酸キサンチノール、ナイリドリンHCl、ペントキシフィリン(オクスペンチフィリン(oxpentifylline))またはシクランデレートなどの心不全および心臓ショックにおける薬物;デスラネシド(deslaneside)、ジギトキシン、ジゴキシンまたはジギタリンなどの強心配糖体;ベンジルペニシリン、プロカインペニシリン(G)、ベンザチンペニシリン(G)、フェノキシメチルペニシリン、ペニシリンG/V、バカンピシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、アンピシリン(適宜スルバクタムまたはプロベネシドと併用してもよい)、クロキサシリン、またはアモキシシリン(適宜ブロムヘキシン、クロキサシリン、カルボシステインまたはクラブラン酸と併用してもよい)などのペニシリン;
ナリジクス酸、ペフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ロメフロキサシン、セフチゾキシムなどのセファロスポリン、セフロキシム、セフィキシム、セフォタキシム、セファクロール、セフトリアキソン・ナトリウム、セファドロキシル、セファレキシン、(適宜ブロムヘキシンHClまたはプロベネシドと併用してもよい)セファゾリン、セファロリジン、セフタジジムまたはセフォルペラゾン(ceforperazone)などのキノロンまたはフルオロキノロン;スルホンアミド、スルファモキソール(sulphamoxole)、スルファジメトキシン(sulphadimehtoxine)、コトリファモール(cotrifamole)、コトリモキサゾール、トリメトプリム、ゲンタマイシンなどのアミノグリコシド、トブラマイシン、ネオマイシン、アミカシン、シソマイシン、カナマイシン、ネチルミシン、ポリミキシン-bなどのポリミキシン、硫酸コリスチンなどのスルホンアミド類;クロラムフェニコール;テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、デメクロサイクリン、オキシテトラサイクリンなどのテトラサイクリン類;エリスロマイシン、(適宜ブロムヘキシンと併用してもよい)、クラリスロマイシン、バンコマイシン、リンコマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、ロキシスロマイシン、クリンダマイシン、セフピロム、テイコプラニン(テイコマイシン(teichomycin)a2)、アバカビル、ラミブジン、アシクロビル、アマンタジン、インターフェロン、リバビリン、スタブルジン(stavurdine)、ラミブジンまたはジドブジン(azt)などの抗ウィルス剤などのマクロライド;キニーネ、プログアニル、クロロキン、プリマキン、アモジアキン、アーテメーター、アーテスネート、メフロキン、ピリメタミン、アーテエーテル(arteether)、メパクリンなどの抗マラリア薬;シクロセリン、カプレオマイシン、エチオナミド、プロチオナミド、イソニアジド(inh)、リファンピシン、適宜inhと併用してもよいリファンピシン、イソニアジド、ピラジナミドおよび/またはエタンブトールなどの抗結核薬;エタンブトール(適宜イソニアジドと併用してもよい)、ストレプトマイシンまたはピラジナミド;ピペラジン、ニクロサミド、パモ酸ピランテル、レバミゾール、ジエチルカルバマジン、テトラミゾール、アルベンダゾール、プラジカンテル、グルコン酸アンチモンナトリウムまたはメンベンダゾール(membendazole)などの駆虫剤および抗寄生虫薬(antiinfestive);ダプソンまたはクロファジミンなどの抗ハンセン菌薬;チニダゾール、メトロニダゾール(適宜フラゾリドンまたはノルフロキサシンと併用してもよい)、ジロキサニド・フロエート、セクニダゾール、ヒドロキシキノロン、デヒドロエメチン、オルニダゾールまたはフラゾリドンなどの抗嫌気性菌薬(antianaerobic)、抗原虫薬または抗アメーバ薬(antiamoebic);フルコナゾール、ケトコナゾール、ハマイシン、テルビナフィン、エコナゾール、アンフォテリシン-b、ナイスタチン、クロトリマゾール、グリセオフルビン、ミコナゾールまたはイトラコナゾールなどの抗真菌剤;ビタミン;塩酸ドキサプラムなどの吸収促進薬;イソプレナリン、サルブタモール(アルブテロール)、オルシプレナリン、エフェドリン、硫酸テルブタリン、サルメテロール、アミノフィリン、テロフィリン(therophylline)、ジプロピオン酸ベクロメタゾンまたはプロピオン酸フルチカゾンなどの抗喘息薬;テルフェナジン、アステミゾール、ロラタジン、クレマスチン、マレイン酸ジメチンデン(dimethindene maletate)、塩酸フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、クロルフェニラミン、マレイン酸アザタジン、メトジラジン、マレイン酸フェニラミン、ジフェンヒドラミンまたはセトリジン(cetrizine)などの抗アレルギー薬;
チザニジン・メトカルバモール、カリソプロドール、バレタメート、バクロフェン、クロルメザノンまたはクロルゾキサゾンなどの骨格筋弛緩薬;臭化オキシフェノニウム、臭化プロパンテリン、ジクロミン(diclomine)、ヒヨスチン・ブチルブロミド、メベベリン、ドロタベリン(drotaverine)、臭化クリジニウム、イソプロパミドまたはカミロフィン二塩酸塩などの平滑筋弛緩薬;ナプロキセン、メフェナム酸、ニメスリド、ジクロフェナク、テノキシカム、イブプロフェン(適宜パラセタモールと併用してもよい)、メロキシカム、アスピリン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトプロラク(ketoprolac)、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、インドメタシンまたはピロキシカムなどの非ステロイド系抗炎症薬;ナイトロジェンマスタード化合物(例えばシクロホスファミド、トロホスファミド、イオホスファミド(iofosfamide)、メルファランまたはクロラムブシル)、アジリジン(例えばチオエパ(thioepa))、N-ニトロソウレア(N-nitrosurea)誘導体(例えばカルムスチン、ロムスチンまたはニムスチン)、白金化合物(例えばスピロプラチン、シスプラチンおよびカルボプラチン)、プロカルバジン、ダカルバジン・メトトレキサート、アドリアマイシン、マイトマイシン、アンサマイトシン(ansamitocin)、シトシン・アラビノシド、アラビノシル・アデニン、メルカプトポリリジン、ビネリスチン(vineristine)、ブスルファン、クロラムブシル、メルファラン(例えばPAM、L-PAMまたはフェニルアラニンマスタード)、メルカプトプリン、ミトタン、塩酸プロカルバジンダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、エピルビシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、ミトキサントロン、ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、アミノグルテチミド、エストラムスチンリン酸ナトリウム、フルタミド、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m-AMSA)、アスパラギナーゼ(L-アスパラギナーゼ)エルウィニア(Erwina)アスパラギナーゼ、エトポシド(VP-16)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、テニポシド(VM-26)、硫酸ビンブラスチン(VLB)、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、パクリタキセル(タキソール)、メトトレキサート、アドリアマイシン、アラビノシル、ヒドロキシウレアなどの抗腫瘍薬;葉酸アンタゴニスト(例えばアミノプテリン、メトトレキサート(methotraxate))、プリンおよびピリミジン塩基のアンタゴニスト(例えばメルカプトプリン、チオグアニン、フルオロウラシルまたはシタラビン);パレゴリック、コデイン、モルヒネ、アヘン、アモバルビタール、アモバルビタールナトリウム、アプロバルビタール、ブトバルビタールナトリウム、抱水クロラール、エスクロルビノール、エチナメート、塩酸フルラゼパム、グルテチミド、塩酸メトトリメプラジン、メチプリロン、塩酸ミダゾラム、パラアルデヒド、ペントバルビタール、セコバルビタールナトリウム、タルブタール、テマゼパムまたはトリアゾラムなどの麻薬、鎮静剤または鎮痛剤;
ブピバカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プロカインまたはテトラカイン、ドロペリドール、エトミデート、ドロペリドールを含むクエン酸フェンタニル、塩酸ケタミン、メトヘキシタールナトリウムまたはチオペンタールなどの局所または全身麻酔薬;アトラクリウムメシレート、ガラミントリエチオダイド、臭化ヘキサフルオレニウム、ヨウ化メトクリン、臭化パンクロニウム、塩化スクシニルコリン、塩化ツボクラリンまたは臭化ベクロニウムなどの神経筋遮断薬;または成長ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベータメタゾン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、フルニソリド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンまたは酢酸フルドロコルチゾンなどのホルモン系用治療薬が挙げられる。
本発明の組成物を形成する微小胞はまた、例えばリポソームまたはミセルなどの他の成分と結合することもできる。該成分は、単に微小胞と一緒に混合することができるか、または微小胞の安定化膜との物理的および/または化学的相互作用、例えば共有結合、静電もしくはイオン相互作用、ファンデルワールス相互作用、疎水性もしくは親水性相互作用により、会合体を形成することができる。これらの結合した微小胞組成物およびその製剤の例は、例えば米国特許番号6,258,378および国際特許出願WO2005/063305およびWO2005/063306に開示されており、これらはすべて本明細書に引用される。微小胞と結合可能なまたは結合するこれらの成分は、該結合した成分により微小胞に結合する、上記いずれの標的リガンド、生物活性剤の診断剤も順に有することができる。例えばマグネタイトナノ粒子は、該粒子を安定化させて水溶液中にて分散したままにするために、上記の荷電した両親媒性物質を微小胞に結合させるために、該両親媒性物質と混合することができる(例えば本明細書に引用されるUS 5,545,395に開示されている)。あるいは、ガドリニウム錯体は例えばヨーロッパ特許EP 804 251(本明細書に引用される)に開示されている適切なミセル形成化合物と混合することができ、形成されたミセルは微小胞に結合することができる。同様に、治療剤はミセル懸濁液またはリポソーム懸濁液として製造することができ、そのようなものとして微小胞に結合することができる。
微小胞組成物の製造
本発明による組成物は、当業者に知られている方法(例えば上記いずれかの製造方法)により製造されたガス充填微小胞の二つ以上の異なる製剤、ならびに微小胞製剤の二つ以上の前駆体(例えば乳剤または乾燥化合物として)を混合することにより有利に得ることができる。
本明細書および特許請求の範囲の内容の範囲内において、ガス充填微小胞の少なくとも二つの製剤を意味する用語「異なる」には、その意味の範囲内において、その製造のための少なくとも一つの異なる工程パラメータ(撹拌速度、温度、圧力、安定化膜の化学成分および/または工程溶媒など)を用いることにより得られる微小胞製剤が含まれる。従って、混合される微小胞製剤は、少なくとも二つの異なる伝送周波数に有効に応答する所望の最終混合組成物を得るために、その化学的組成物(例えば安定化膜の組成物)および/またはその物理的パラメータ(例えば安定化膜の厚さ、微小胞の平均粒度および/またはその粒度分布)において異なるであろう。好ましくは、その少なくとも二つの異なるセットの微小胞は異なるDV50値を有する。
これらの製剤は、最終混合組成物を具体的な診断的必要性に適切に合わせるために、例えばその関連する組成物、平均容量および/または粒度分布に応じて、所望の異なる相対容積比で混合することができる。
好ましくは、混合された微小胞製剤のそれぞれのDV50値は、互いに少なくとも0.5μm、より好ましくは少なくとも1.0μm、さらにより好ましくは少なくとも1.5μm、例えば5.0μmの差まで、具体的な診断的必要性に応じて異なる。好ましい具体的態様にて、その少なくとも二つの微小胞製剤のうち少なくとも一つは、相対的に狭い粒度分布を有し、これは混合組成物の最終粒度分布のより良い制御を可能にする。特に、該分布は、好ましくは、約1.2〜3、好ましくは1.2〜2のDV/DN比により定義される。相対的に狭い粒度分布を有する微小胞製剤のみの使用は、造影剤が用いられることが期待される関連する伝送周波数が互いに相対的に近い(例えば3 MHz以下)ときに特に好ましい。これは、実際にエコー信号の反射に寄与しない(またははるかに小さい程度において寄与する)、中間の粒度(すなわち二つの製剤のそれぞれの選択される平均値の間)を有する微小胞の数を減少するために役立つことができる。
上記のように、本発明の混合組成物のDV95値(0〜10μmの範囲にて計算)は、好ましくは約8μm以下、より好ましくは7μm以下、さらにより好ましくは6μm以下である。
混合微小胞組成物を製造する適切な方法は、微小胞中に取り込まれる所望の容積の気体を含むそれぞれの容積の懸濁液を混合することにより、微小胞のそれぞれの再構成された懸濁液を混合することである。
あるいは、微小胞製剤のそれぞれの前駆体は、それぞれの製剤の可能性により決定される混合比にて混合し、それぞれの診断的に有効な容積のガス充填微小胞を提供することができる。例えば少なくとも二つの別に得られた凍結乾燥製剤(例えば上記いずれかの製造方法により得られる)は、乾燥散剤の形態にて混合することができ、混合された凍結乾燥製剤のその後の再構成は、最終的な所望の混合組成物を提供するだろう。さらに、好ましい具体的態様により、WO2004/069284に開示される方法により得ることができる二つ以上のマイクロエマルジョン(または例えば上記WO 97/29782に開示されるように、気体の存在下高速にてリン脂質含有懸濁液を混合することにより得ることができる二つ以上の懸濁液)を、所望の相対容積で混合し、次いで凍結乾燥し、生理学的に許容される液体担体中にて最終的に再構成し、所望の混合組成物を得ることができる。
微小胞組成物(またはその前駆体)およびその次の混合物の製剤を分離するための別法として、混合組成物は「一体型」工程を用いることにより有利に得ることができ、該工程により混合組成物は異なる工程パラメータを同じ製造混合物に適用することにより形成される。この方法は、混合微小気泡組成物のいくつかの製造方法の場合に特に有用であることができる。
例えば、リン脂質の存在下、ある速度(例えばローターステーターミキサーにより12000 rpmにて)にて水と有機溶媒を均質化し、それぞれのDV50値を有する微液滴の第一集団を得ることにより、上記WO2004/069284に開示される方法により、第一の乳剤を製造することができる。次いで、溶媒の別のアリコート(同じまたは異なる)および適宜リン脂質(同じまたは異なる)を、形成された乳剤に加えた後、これをより低速度(例えば8000 rpm)にて均質化し、そうしてそれぞれ一般に第一集団より高いDV50値を有する微液滴の第二集団を得、これを第一集団とよく混合する。
同様に、マイクロミキシング工程を用いるとき、第一の乳剤(それぞれDV50値を有する)は、該乳剤を所定の再循環速度にて所定の相対容積の溶媒で循環することにより製造することができ;次いで別の(同じまたは異なる)容積の同じまたは異なる溶媒を加えることにより再循環速度を低下させ、より高いDV50値を有する第二の「統合」乳剤を得る。本工程は、不連続的(すなわち最初の均質化を止め、工程パラメータをリセットし、第二の均質化を行うことによる)または連続的(別の溶媒を加える間工程を止めずに均質化パラメータを変化させることによる)方法のいずれかにて行うことができる。
さらに、特にマイクロミキシング工程の場合において、工程パラメータを徐々に改変することができ(例えば再循環速度は20分で20〜10 ml/minに毎分0.5 ml/minの変化量で段階的に減少することができる)、従って、異なる平均粒度を有する相対的に多くの微小気泡製剤の組合せにより形成される最終組成物を得ることができる。段階的に変化する代わりに、再循環速度の連続的変化もまた用いることができ;この場合、対応する実質的に無限数の異なる平均粒度を有するよく混合された微小気泡製剤が得られるだろう。
上記乳剤工程と同様にして、他の製造方法もまた、適切に改変されて、本発明の混合組成物の「一体型」製造方法をもたらすことができる。従って、例えば第一セットのガス充填微小胞は、リン脂質(および適宜他の両親媒性フィルム形成化合物および/または添加物)を含む水性媒体に所望の気体の存在下、最初に制御された撹拌エネルギー(例えばローター−ステーターミキサーを用いて)を与えることにより製造することができ;次いで同じ懸濁液(同じまたは別のリン脂質を適宜添加する)を最初のものよりも低い第二の撹拌エネルギーを与え、より大きな第二のセットの微小気泡を得る。
次いで、上記いずれかの「一体型」方法により得られる混合組成物の前駆体は、上記のように従来法により凍結乾燥して乾燥散剤を得た後;最終混合組成物を凍結乾燥した残渣の再構成により得ることができる。
いずれの場合においても、すなわち混合組成物が二つの別に製造された微小胞製剤を混合することにより得られる場合、または上記いずれかの「一体型」工程により得られる場合においても、最終混合組成物は、これらの製剤がどのように混合されるかにかかわらず、混合組成物を形成する異なる微小胞製剤の組合せに由来する固有の粒度分布パターンを示すだろう。
従って、そのようにして得られた混合組成物における微小胞の粒度分布は、選択される異なる作業周波数にて有効な応答を有する造影剤を与えるのに適切であろう。
本混合組成物は特に、かなり異なる伝送周波数にて用いるのに適しているが、その選択される周波数にて著しく良い画像化促進を示す。有利なことに、本発明は、相対的に広範な頻度にて有効に用いることができる「多目的」超音波造影剤を製造することを可能にする。組成物の粒度分布は、例えば現在用いられる超音波プローブにより放出される二つ以上の異なる超音波周波数、典型的に1.5〜15 MHz、好ましくは1.5〜10 MHzにて有効に働くように合わせることができる。また、低周波数は、0.5 MHz(例えば特定の心臓適用について)ならびに他の具体的な適用(血管内超音波画像化など)についてより高周波数、例えば約80 MHzまでの低下などを包含することができる。
近年の超音波造影−画像化方法は、超音波造影剤(UCA)としてのガス充填微小胞の非線形散乱特性を活用する。文献(例えばEatock et al., Journal of the Acoustical Society of America, vol.77(5), pp1692-1701, 1985)より、非線形散乱は共鳴粒度よりも小さいまたはそれに近い微小胞の集団のみおよび共鳴粒度の半分の微小胞に主に有意である。「共鳴粒度の半分」は、伝送超音波の中心周波数の2倍に等しい共鳴周波数を有する微小胞の粒度である。
ガス充填微小胞に基づく超音波造影剤を含む容積を画像化するとき、組織エコーに対する微小胞エコーの検出能は、微小胞により非線形的に散乱されるレベルにより増強され、問題のプローブと領域の間に局在する微小胞により引き起こされる減衰により軽減される。伝送経路に沿った減衰は、ガス充填微小胞の非線形応答の生成に使用可能な超音波エネルギーを減少し;受信経路に沿った減衰は、超音波プローブに達することができるエコーエネルギーを除去する。
特定の伝送周波数にて広範な微小胞粒度を含む懸濁液の場合、共鳴粒度よりも大きな微小胞は、非線形(例えば第二高調波)エコー信号に有効な方法で寄与せずに、伝送−受信減衰に主に寄与する。逆に、該伝送周波数にて、非線形画像化についての全般的な音響応答は、共鳴粒度に近い平均粒度以下、好ましくは共鳴粒度と半分(half)共鳴粒度との平均粒度により測定された微小胞粒度の狭い分布の使用によって利益を得ることができる。従って、選択伝送周波数について、該周波数に対して最適な全般的音響応答(すなわち選択された該伝送周波数における非線形超音波検査応答のピーク)を有する微小胞粒度の分布、特に第二高調波散乱および低減衰を定義することができる。
最適な全般的音響応答を有する粒度分布を定義するための適切なパラメータの例は、「第二調波散乱−減衰比」または「STARH」である。STARH、次いで対応する粒度分布を、例えばFig. 3に図式的に例示されている方法により計算することができる。該方法により、選択された基本波周波数f1を有する超音波への微小胞組成物の応答(Resp. f1)は、まず、当分野に知られているモデル、例えば他のパラメータの中で、粘弾性パラメータおよび微小胞の安定化膜の厚さも考慮する文献(Morgan et al., IEEE Trans. Ultrason. Ferr. Freq. Control, vol. 47(6), pp. 1494, 2000)により記載されたもの(これは一般にその化学的組成物により決定される)を有する微小胞粒度の関数として刺激される。次いでこの第一刺激は、それぞれの第二調波周波数f2における微小胞の対応する非線形応答(non-L resp. f2)を計算するために用いる。次に、基本波周波数f1における減衰(Atten. f1)は、変換器から微小胞の容積を通した興味の領域への超音波の伝播(前方伝播(forward propagation))により、微小胞粒度の関数として計算する。最終的に、第二調波周波数f2における減衰(Atten. f2)は、興味の領域から微小胞の容積を通した変換器への超音波の伝播(後方伝播(backward propagation))により、微小胞粒度の関数として計算する。基本波周波数f1における減衰は、例えば上記と同じモデルまたは文献(Gorce et al., Invest. Radiol., vol.35(11), pp 661, 2000)により記載されるものなどの他のモデルにより計算することができる。第二調波周波数f2における減衰は、例えばGorceらにより記載のものと同じモデルにより計算することができる。
用いられる計算方法に関わらず、non-L resp f2、Atten. f1およびAtten. f2の計算値を一緒に集め(例えばfigure 3に例示される操作様式による)、微小胞粒度の関数としてSTARHを計算する。該STARHに基づき、微小胞の粒度分布は、選択された周波数における最適な音響応答(STARH)を有するベスト・フィット法(best fit procedure)により構築することができる。例えば、figure 4は、それぞれ2 MHz(実線)および6 MHz(点線)あたりの周波数における最適な音響応答(すなわち非線形超音波検査応答のピーク)を有する模擬容積粒度分布を例示する、リン脂質安定化微小気泡について計算されたfigure 3に記載の手順の結果を示す。
従って、これらまたは他のシミュレーションは、選択伝送周波数にて非線形超音波検査応答のピークを有する最適な粒度分布を十分に良い近似で見積もることができ;次いで、これらの結果は、選択されたセットの伝送周波数に有効に応答する発明の混合組成物を具体的に調整するために用いることができる。しかし、特定の診断用途のために用いられる最終伝送周波数の知識がないときにも、本明細書の教示に基づき、一般的な「多応答」混合組成物は、それにもかかわらず相対的に異なるメジアン(DV50)粒度値を有する少なくとも二つの異なるセットの微小胞を混合することにより容易に製造することができる。
以下は、DV50、D/DNおよび非線形超音波検査応答の対応するピークのそれぞれの値(ピーク)により特徴付けられる、リン脂質に基づく実験的なガス充填微小気泡製剤のいくつかの例である:
Figure 0004837663
従って、上記製剤を混合して、異なる伝送周波数に有効に応答する混合組成物を得ることができる。以下は、該微小気泡製剤のガス(RVG)のそれぞれの相対的容積を混合することにより得られうる混合組成物の実例である:
組成物1: 製剤4/製剤2, RVG = 27/73;
組成物2: 製剤4/製剤2, RVG = 43/57;
組成物3: 製剤5/製剤1, RVG = 53/47;
組成物4: 製剤5/製剤1, RVG = 37/63;
組成物5: 製剤6/製剤3/製剤1, RVG = 30/35/35;
組成物6: 製剤6/製剤3/製剤1, RVG = 25/35/40。
それぞれの平均粒度の違いに加えて、他のパラメータ、例えば安定化膜の厚さおよび粘弾性特性(および本質的に化学的な組成物)もまた、少なくとも二つの異なる周波数に有効に応答する混合組成物を提供するために変化させることができる。例えば微小気泡の製剤(第一伝送周波数に応答)は、マイクロカプセルの製剤(第二伝送周波数に応答)と混合することができる。しかし、好ましい具体的態様により、本発明の混合組成物を形成するために混合された微小胞は、実質的に同じタイプ、すなわち微小気泡またはマイクロカプセルのいずれかである。より好ましくは、混合組成物を形成する微小胞は、ガス充填リン脂質安定化微小気泡である。
一般に、本発明による混合組成物を形成する単一製剤は、さらなる化学的、生物学的および/または物理的パラメータ、例えばそれらの音圧への耐性、それらの静脈内投与後の血液中の半減期、それらの特異的な組織、器官もしくは細胞に標的化もしくは作用する容量、および/または診断剤および/または生物活性剤の可能な包含において異なりうる。
本発明による混合組成物は、好ましくは乾燥粉末形態にて貯蔵され、そのようなものとして有利に二成分診断用および/または治療用キットに詰めることができる。キットは好ましくは、選択された微小胞形成ガスと接触させた凍結乾燥組成物を含む第一容器、および生理学的に許容される水性担体を含む第二容器からなる。適切な担体の例は、水、典型的に滅菌のピロゲン不含水(中間体、凍結乾燥生成物における汚染をできるだけ阻止するため)、食塩水などの水溶液(これは注射用最終生成物が低張でないように有利に平衡を保つことができる)、または塩もしくは糖、糖アルコール、グリコールもしくは他の非イオン性ポリオール物質などの物質を調節する一つ以上の等張化剤(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液である。該二成分キットとしては、二つの別々の容器または二重チャンバー容器を挙げることができる。前者の場合、該容器は好ましくは、従来のセプタムで封をしたバイアル(ここに、凍結乾燥した残渣を含むバイアルは、担体液体が適宜予め充填していてもよいシリンジを用いて注射することができるセプタムで封をする)である。次いで、そのような場合、第二成分の容器として用いられるシリンジはまた、造影剤を注射するためにも用いられる。後者の場合、二重チャンバー容器は好ましくは、二重チャンバーシリンジであり、凍結乾燥物(lyophilisate)が一旦再構成された後、適切に混合または穏やかに撹拌すると、該容器は造影剤を注射するために直接用いることができる。
本発明の造影剤は、特に超音波および磁気共鳴などの種々の診断用および/または治療用画像化法に用いることができる。用語「治療用画像化」は、その意味の範囲内において、(例えば選択された標的部位または組織への生物活性化合物の送達のために)造影画像化剤の使用を含み、インビトロおよび/またはインビボにて生物学的効果を及ぼすことができるか、または及ぼす義務がある、患者の疾患の治療のためのいずれの方法も含む。他の可能な診断用画像化用途としては、シンチグラフィー、光画像化(light imaging)およびX線位相造影画像化などのX線画像化が挙げられる。種々の画像化法は、所望の三次元画像化法が用いることができる場合には、例えば基本波および高調波Bモード画像化、パルスまたは位相反転画像化および基本波および高調波ドップラー画像化などの超音波用途に用いることができる。本発明による微小胞は典型的に、例えばそれらのそれぞれの組成物、画像化される組織もしくは器官および/または選択される画像化法に応じて、約0.01〜約1.0μlのガス/患者kgの濃度にて投与することができる。この一般的濃度範囲は、例えばシグナルがカラードップラーまたは出力パルス反転などにおいて非常に低い容量にて観察することができるときに、具体的な画像化用途に応じてもちろん変化することができる。
次の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するだろう。
実施例
次の実施例において、微小気泡の粒度分布、容積濃度および数(凍結乾燥し、水相で再構成した後)は、0.7〜20μmの測定範囲にて30μm開口で適合したCoulter Counter Mark II装置を用いて測定する。
実施例の微小胞組成物について計算されたDV95値は、10μmの直径までの微小胞の集団のみを考慮に入れて測定する。
ボーリー歪度(BS)の値は、8μmの直径までの微小胞の集団のみを考慮に入れて先に記載の公式により計算する。
実施例1
第一乳剤(E1a)は、以下の手順により得る:
ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)20 mgを10%(w/w)マンニトール水溶液20 mlに加える。懸濁液を65℃にて15分間加熱した後、室温(22℃)まで冷却する。ペルフルオロヘプタン(8%v/v)をこの水相に加え、直径約4 cmのビーカー中にて8500 rpmにて1分間高速ホモジナイザー(Polytron T3000、プローブ直径3 cm)を用いることにより、乳化する。
第二乳剤(E1b)は、高速均質化を12000 rpmにて1分間行うことを除いて、上記手順を用いることにより得る。両方の乳剤は、75℃にて1.5時間加熱し、室温まで冷却し、遠心分離(10分間、800〜1200 rpm、シグマ遠心分離機3K1010)し、過剰のリン脂質を除去する。分離した微液滴を回収し、同じ初期容積の10%マンニトール中にて再懸濁する。
次いで、二つの乳剤を異なる割合にて混合し、三つの混合乳剤CE1A、CE1BおよびCE1Cを得る(第1表を参照のこと)。
Figure 0004837663
次いで、各乳剤(二つの単一乳剤と三つの混合乳剤)を、それぞれ100 ml丸底容器中−45℃にて5分間別々に凍結させた後、Christ-Alpha 2-4凍結乾燥機中0.2 mbarの圧力下、室温にて凍結乾燥する。
それぞれ得られたケーキを、ペルフルオロ-n-ブタンと窒素の混合物(35/65 v/v)を含む雰囲気にさらした後、初期容積の2倍の水中にて穏やかに手で撹拌しながら分散させ、それぞれ微小気泡の懸濁液M1a、M1b、CM1A、CM1BおよびCM1Cを得る。Coulterカウンターを用いて、蒸留水で再構成した後に得られた微小気泡懸濁液を分析する。対応する乳剤から得られた微小気泡懸濁液の粒度分布は、figure 5a-5c(M1aについて細い実線、M1bについて点線、およびそれぞれの図中の各混合組成物、すなわちfig. 5aのCM1A、fig. 5bのCM1Bおよびfig. 5cのCM1Cについて太い実線)に示す。これらのグラフに示されるように、微小気泡製剤M1aおよびM1b(乳剤E1aおよびE1bから得られる)は、それぞれ約2.77μmおよび1.64μmのDV50値を示し(それぞれ約3 MHzおよび約6 MHzにおける非線形超音波検査応答のピークを有する)、混合製剤CM1A-CM1Cは対応する中間の粒度分布を示す。これらの図から、混合製剤の粒度分布の特異なパターン、特に、混合製剤CM1Cの場合における約1.5μm〜約3.5μmに広がる水平状態を観察することができる。
混合組成物について計算されるそれぞれのBSおよびDV95値は以下のとおりであった:
CM1A: BS = 0.20; DV95 = 4.2
CM1B: BS = 0.19; DV95 = 4.6
CM1C: BS = 0.19; DV95 = 4.8
実施例2
第一懸濁液(S2a)は、プロピレングリコールとグリセロールの混合物(3:10 w/w)5.4%(w/w)を含む水100 mlにDPPS200 mgを加えることにより調製する。得られた混合物を振盪し、80℃まで5分間加熱し、室温まで冷却した後、水浴に繋いだ二重壁反応容器中に導入し、温度を維持する。反応容器を直列ローターステーター混合系(Megatron MT40-Kinematica)に繋ぐ。ペルフルオロ-n-ブタンガス(F2 Chemicals, Preston Lancashire UK)を、Y型連結により反応容器と混合系との間の液体流中に導入する。溶液を25000 rpm、室温にて3分間均質化する。得られた微小気泡懸濁液を100 mlシリンジ中に移し、終夜のデカンテーション後、低相を除去し、10%マルトース水溶液に置き換える。
第二懸濁液S2bは、17000 rpm、0〜5℃の温度にて3分間溶液を均質化することのみ異なる上記手順により得る。
二つの懸濁液のアリコートを異なる相対比にて混合し、第二表に例示される三つの混合微小気泡製剤CS2A、CS2BおよびCS2Cを得る。
Figure 0004837663
各製剤1 mlをそれぞれ10 mlの平底バイアル中に導入する。バイアルを−45℃にて1時間冷却し、凍結乾燥(凍結乾燥機Christ Epsilon 2-12DS−主乾燥: −5℃/0.1mBar/5h〜最終乾燥: 25℃/0.1mBar/10h)し、ペルフルオロ-n-ブタンの雰囲気中にて栓をし、封をする。
それぞれの最終微小気泡製剤M2a(S2a由来)、M2b(S2b由来)、CM2A(CS2A由来)、CM2B(CS2B由来)およびCM2C(CS2C由来)を得るために、水5 mlを、セプタムを通して各バイアルに加え、バイアルを穏やかに混合する。微小気泡粒度分布を実施例1のようにCoulterカウンターを用いて測定する。
製剤M2aおよびM2bは、それぞれ約6 MHzおよび約3 MHzの非線形超音波検査応答のピークを有する、それぞれ約1.64および2.81μmのDV50値を示す。
Figures 6a-6cは、二つの単一製剤M2aおよびM2bの粒度分布(それぞれ細い実線および点線)と比較して、それぞれの各混合組成物CM2A(fig. 6a)、CM2B(fig. 6b)およびCM2C(fig. 6c)の粒度分布(太い実線)を示す。この場合にも、特に特異な(台形様)粒度分布パターンが、figures 6a-6cの混合製剤、特に実質的に平坦な部分を示す製剤6aの場合に、観察することができる。混合組成物について計算されたそれぞれのBSおよびDV95値は以下のとおりであった:
CM2A: BS = 0.22; DV95 = 5.7
CM2B: BS = 0.32; DV95 = 5.3
CM2C: BS = 0.31; DV95 = 4.8
実施例3
DPPS20 mgを10%(w/w)マンニトール水溶液20 mlに加える。懸濁液を65℃にて15分間加熱した後、室温(22℃)まで冷却する。ペルフルオロヘプタン(0.6 ml−2.9%v/v)を水性懸濁液に加え、8500 rpmにて1分間高速ホモジナイザー(Polytron T3000、プローブ直径3 cm)を用いることにより、直径約4 cmのビーカー中にて乳化し、第一乳剤(E3a)を得る。
第二乳剤(E3b)は、ペルフルオロヘプタン(1ml−4.8%)を水相に加え、12000 rpmにて1分間乳化することを除いて、同じ手順により得る。
第三乳剤(CE3A)は、ペルフルオロヘプタン1 mlをまず、水性懸濁液に加え、12000 rpmにて1分間水相中にて乳化することを除いて、同じ手順により得;次いで撹拌を止め、さらにペルフルオロヘプタン0.6 mlを乳剤に加え、8500 rpmの混合速度にてさらに1分間混合物を乳化する。
第四乳剤(CE3B)は、ペルフルオロヘプタン0.8 mlをまず、水性懸濁液に加え、12000 rpmにて1分間乳化することを除いて、同じ手順により得;次いで撹拌を止め、さらにペルフルオロヘプタン0.8 mlを乳剤に加え、8500 rpmの混合速度にてさらに1分間混合物を乳化する。
それぞれ得られた乳剤は75℃にて1.5時間加熱し、室温まで冷却した後、遠心分離(10分、1200 rpm、シグマ遠心分離機3K1010)し、過剰のリン脂質を除去する。分離した微液滴を回収し、同じ初期容積の10%マンニトール中にて再懸濁させる。
次いで、それぞれの第四乳剤10 mlを別々に−45℃にて5分間それぞれ100 ml丸底容器中にて凍結させた後、Christ-Alpha 2-4凍結乾燥機中0.2 mbarの圧力下、室温にて凍結乾燥する。
各ケーキをペルフルオロ-n-ブタン/窒素(35/65 v/v)ガス混合物を含む雰囲気にさらした後、2倍の初期容積の水中にて穏やかに手で撹拌することにより分散させる。Coulterカウンターを用いて、蒸留水で再構成後に得られた微小気泡懸濁液を分析する。
Figure 7は、それぞれ太い点線および細い点線の微小気泡製剤M3a(E3a由来)およびM3b(E3b由来)、およびそれぞれ太い実線および細い実線の混合組成物CM3A(CE3A由来)およびCM3B(CE3B由来)の粒度分布を示す。
製剤M3aおよびM3bは、それぞれ約3.5 MHzおよび約6 MHzの非線形超音波検査応答ピークを有する、それぞれ約2.53および1.58μmのDV50値を示す。
混合組成物について計算されるそれぞれのBSおよびDV95値は以下の通りであった:
CM3A: BS = 0.24; DV95 = 3.7
CM3B: BS = 0.24; DV95 = 4.6
実施例4
第一乳剤(E4a)は、以下の手順により得る:
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)およびジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)は、それぞれ0.5 mg/mlの濃度にてマンニトールの10%水溶液40 ml中70℃にて導入する。室温まで冷却した後、この懸濁液を、マイクロミキサー(Interdigital Micro-mixer, Institut fur Microtechnik Mainz GmbH, Germany)中20 ml/minの流速にて再循環する。次いでシクロオクタン3.2 mlを、0.2 ml/minの速度にて第二チャネルを通して注入する。得られた乳剤をマイクロミキサー中にて20分間再循環させる。
第二乳剤(E4b)は、再循環流速が10 ml/minであることを除いて、上記手順を用いることにより得る。
両方の得られた乳剤は別々に加熱(120℃、30分)した後、室温まで冷却する。
次いで二つの乳剤のアリコートを4/1または4/3の容積比にて混合し、それぞれの混合乳剤CE4AおよびCE4Bを得る。
単一および混合乳剤を、最終的に1 mlアリコートにてDIN 8Rバイアル中に分配し、凍結乾燥(Telstar Lyobeta-35凍結乾燥機)する。凍結乾燥終了後、ペルフルオロブタン/窒素混合物(35/65 v/v)を凍結乾燥機に導入し、バイアルに栓をする。
蒸留水で再構成し、それぞれの微小気泡製剤M4a(E4a由来)、M4b(E4b由来)、CM4A(CE4A由来)およびCM4B(CE4B由来)を得る。
製剤M4aおよびM4bは、それぞれ約6 MHzおよび約3.5 MHzの非線形超音波検査応答のピークを有する、それぞれ約1.9および2.7μmのDV50値を示す。次のBSおよびDV95値は混合組成物について測定した:
CM4A: BS = 0.20; DV95 = 4.6μm
CM4B: BS = 0.17; DV95 = 6.8μm
Figure 8は、M4a(細い実線)およびM4b(点線)のものと比較した微小気泡製剤CM4Bの粒度分布(太い実線)を示す。
実施例5
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)およびジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)を、マンニトールの10%水溶液40 ml中70℃にて、それぞれ0.5 mg/mlの濃度にて導入する。室温まで冷却した後、この懸濁液をマイクロミキサー(Interdigital Micro-mixer, Institut fur Microtechnik Mainz GmbH, Germany)中、20 ml/minの流速にて再循環する。次いでシクロオクタン1.6 mlを0.2 ml/minの流速にて第二チャネルを通して注入する。得られた乳剤は、20分間マイクロミキサー中にて再循環する。次いで再循環速度を10 ml/minまで減少し、第二の量のシクロオクタン1.6 mlを0.2 ml/minの流速にてマイクロミキサーの第二チャネルに導入する。乳剤を10 ml/minの流速にて20分間再循環する。得られた乳剤を集め、加熱(120℃、30分)し、1 mlアリコートにてDIN 8Rバイアル中に分配し、凍結乾燥(Telstar Lyobeta-35凍結乾燥機)する。凍結乾燥終了後、ペルフルオロブタン/窒素混合物(35/65 v/v)を凍結乾燥機に導入し、バイアルに栓をする。
Coulterカウンターを用いて、蒸留水で再構成後に得られた微小気泡懸濁液を分析する。
得られた微小気泡製剤の粒度分布(BS = 0.19, DV95 = 4.9μm)は、実施例4の製剤M4aおよびM4b(それぞれ細い実線および点線)と説明的に比較し、figure 9に太い実線で示す。
実施例6
本発明による超音波造影剤(UCA)(実施例1により製造された組成物CM1B)の超音波検査応答は、二つの異なる伝送周波数2 MHzおよび10 MHzにて、市販のUCA、Sonovue(登録商標)(Bracco International B.V.)の応答と比較する。Figure 13はSonovue(登録商標)の粒度分布(実線)と比較したCM1Bの粒度分布(点線)を示す。第3表は、二つのUCAのDv95値およびBSを示す。
Figure 0004837663
二つのUCAの異なる懸濁液を異なる容積のUCAを0.9%NaCl800 mLに加えることにより調製し、二つの異なる伝送周波数にて試験される種々の濃度の二つのUCAを得る。
第一の実験(2 MHz 伝送周波数)について、figure 11に図式的に示される構成を採用する。この構成は、ビーカー111を含み、これに組織様幻像112(モデル番号528, ATS Laboratories Inc., Bridgeport, CT)を入れ、それぞれのUCA懸濁液113に浸す。興味の領域(ROI)114を変換器115から約7.5 cmの距離Aにて定義し、UCAを通して長い伝播経路など(例えば左心室を通した模擬画像化)の第二調波散乱を測定するために使用する。それゆえ、このROIからのデータは第二調波散乱−減衰比についての尺度として解釈することができる。示されていないがPA230E位相アレイプローブを有するMegas超音波系(Esaote, Florence, Italy)を2 MHzの伝送周波数にて使用する。焦点距離を6.5 cmとし、深さを25 cmとして、空洞を含むUCAの範囲内における反射を最小限にする。水中における較正測定から計算された機構的指標(MI)は0.11である。組織様幻像物質の約3.5 cmの厚さBなどの対応する値は0.071である。高周波(RF)データの収集のための光ファイバーリンクを通して、Megas超音波系をFemmina基盤に接続させる(Scabia et al.「Hardware and software platform for processing and visualization of echographic radio-frequency signals」; IEEE Trans. Ultra. Ferr. Freq. Contr., 49(10), 1444-1452, 2002)。RFデータをPCに保存し、Matlab(バージョン6.5; The Mathworks Inc., Natick, MA)によりオフラインで処理する。平均パワースペクトル密度は、ROIにて第二調波周波数(4 MHz)のあたりで帯域幅0.6 MHzで計算する。測定中、マグネティック・スターラー106を用いて、UCAを連続的に撹拌し続ける。取得の間、変換器をMegasから外して過剰暴露および起こり得る泡の破壊を防ぐ。UCAなしの測定を行い、バックグラウンド・ノイズを定量する。
第二の実験について、対照パルス系列(CPS)モードにおける10 MHzにて、Megas超音波系を15L8-S線形アレイプローブを有するSequoia超音波系(Siemens Medical Systems)に置き換える。組織様幻像を除去し、変換器から約2 cmの距離にROIをシフトすることのみ異なり、figure 11に示されるものと同じ構成を用いる。焦点距離を2.5 cmとし、深さを8 cmとして、空洞を含むUCAの範囲内における反射を最小限にする。水中における較正測定から計算されたMIは0.13である。ビデオ画像をデジタルビデオ(DV)カセットに保存し、グレースケール線形化を可能にするビデオ濃度測定プログラムを用いてオフラインで分析し、薬剤濃度に比例するシグナルを得る。取得の間、Sequoia系をフリーズモードに設定して過剰暴露および起こり得る泡の破壊を防ぐ。UCAなしの測定を行い、バックグラウンド・ノイズを定量する。
Figures 12aおよび12bは、それぞれMegas(2 MHz)およびSequoia(10 MHz)系で測定した薬剤濃度の関数としてのエコー電力(echo power)、すなわち第二調波散乱−減衰比を示す。点線はSonovue(登録商標)について観察された結果を示し、実線はCM1B製剤についての結果を示す。これらのfigureに示されるように、両方の薬剤は、高濃度(>0.0001μl/ml)におけるCM1Bについてのわずかに改善された性能を有し、2 MHzにて非常に類似の性能を示す。10 MHzにて、CM1B製剤は、用いられる全範囲の濃度についてのSonovue(登録商標)の著しい改善を示す。特に低および中濃度(<0.0002μl/ml)にて、CM1B製剤の第二調波散乱−基本波比は、Sonovue(登録商標)のものよりもほぼ6 dB高い(ほぼ4倍)。
Figure 1は、相対的な微小胞粒度分布を図式的に示す。
Figure 2は、通常の製剤の図式的に広い粒度分布と比較した本発明の組成物の粒度分布を図式的に示す。
Figure 3は、選択伝送周波数についての最適な粒度分布を計算する図式的な方法を示す。
Figure 4は、計算された最適な粒度分布を示す。
Figures 5は、実施例による実験的な製剤の粒度分布を示す。
Figures 6は、実施例による実験的な製剤の粒度分布を示す。
Figures 7は、実施例による実験的な製剤の粒度分布を示す。
Figures 8は、実施例による実験的な製剤の粒度分布を示す。
Figures 9は、実施例による実験的な製剤の粒度分布を示す。
Figure 10は、ボーリー歪度を定義するパラメータの説明を示す。
Figure 11は、微小気泡製剤のエコー電力応答の測定についての実験的構成を図式的に示す。
Figure 12は、異なる伝送周波数における実験的な微小気泡製剤の相対的なエコー電力応答を示す。
Figure 13は、市販の超音波造影剤と比較した本発明の組成物の粒度分布を示す。

Claims (13)

  1. 少なくとも二つの異なるガス充填微小胞製剤の混合物を含有し、その少なくとも二つの異なる製剤が両親媒性物質のフィルム層により安定化された微小気泡であり、異なるメジアン径を有するそれぞれの粒度分布を有し、
    該メジアン径が容積(D V50 )においてそれぞれ第一および第二のメジアン直径により定義され、
    (a) 該第一および第二のD V50 が互いに少なくとも0.5μmの値だけ異なり、
    (b) 10μmまでの直径を有する微小胞の母集団により決定される微小胞に含まれる全容積の少なくとも95%のガスが、8μm以下の直径を有する微小胞中に含まれる、診断的および/または治療的画像化のための組成物。
  2. 第一および第二のDV50が互いに少なくとも1.0μmの値だけ異なる、請求項記載の組成物。
  3. 少なくとも二つのセットの微小胞が容積における平均直径と数における対応する平均直径とのそれぞれの比により定義される粒度分布(DV/DN)を有し、少なくとも一つのセットのガス充填微小胞が1.2〜3のDV/DN比を有する、請求項1または2のいずれか記載の組成物。
  4. 両親媒性物質がリン脂質である、請求項記載の組成物。
  5. 生理学的に許容される水性担体をさらに含有する、請求項1〜のいずれか記載の組成物。
  6. ガス充填微小胞が生理学的に許容される水性担体と接触する際に再構成可能な乾燥粉末形態である、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  7. ガス充填微小胞が標的リガンド、診断剤、生物活性剤またはそのいずれの組合せも含有する、請求項1〜のいずれか記載の組成物。
  8. 少なくとも一つのガス充填微小胞の製剤が標的リガンド、診断剤、生物活性剤またはそのいずれの組合せも含有する、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  9. なくとも二つの異なるガス充填微小胞の製剤またはその前駆体を混合することを特徴とし、
    その少なくとも二つの異なる製剤が両親媒性物質のフィルム層により安定化された微小気泡であり、異なるメジアン径を有するそれぞれの粒度分布を有し、
    該メジアン径が容積(D V50 )においてそれぞれ第一および第二のメジアン直径により定義され、
    (a) 該第一および第二のD V50 が互いに少なくとも0.5μmの値だけ異なり、
    (b) 10μmまでの直径を有する微小胞の母集団により決定される微小胞に含まれる全容積の少なくとも95%のガスが、8μm以下の直径を有する微小胞中に含まれる、
    少なくとも二つの異なる伝送周波数に対して診断的に有効な超音波検査応答を有する造影剤を製造する方法。
  10. 前駆体が医薬的に許容される液体担体における再構成の際に微小胞製剤を形成する乾燥粉末形態である、請求項記載の方法。
  11. 前駆体が水と水と混合できない有機溶媒との乳剤中にてリン脂質を分散させることにより得られるマイクロエマルジョンであり、該乳剤が溶解保護剤の存在下における凍結乾燥の際に微小胞製剤を形成し、次いで医薬的に許容される液体担体中にて再構成される、請求項記載の方法。
  12. ガス充填微小胞またはその前駆体の少なくとも二つの異なる製剤が、異なる工程パラメータを同じ製剤混合物に適用することにより混合製剤として直接得られる、請求項11記載の方法。
  13. 乾燥粉末形態における請求項1〜のいずれかに記載の組成物および生理学的に許容される水性担体を含む、診断的および/または治療的キット。
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