JP4837544B2 - 脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法及び繊維処理剤組成物 - Google Patents

脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法及び繊維処理剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は、脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法及び還元剤による脱染後の繊維に適用される繊維処理剤組成物に関する。
一般に、酸化染料、アンモニア等を含有する染色キャリア物質と過酸化水素等の酸化剤から構成される繊維を染色する染毛剤組成物が知られている。また、かかる染毛剤組成物により染色された繊維に対し、還元剤の還元作用により脱染するための脱染剤組成物が知られている。かかる脱染剤組成物により脱染された繊維は、数時間又は数日経過すると繊維中に残存する単量体又は低重合体が空気酸化によって再び変色(例えば、黒色化)するという問題があった。そこで、従来より特許文献1に記載されるように脱染処理後に繊維中に残存する単量体又は低重合体となった主要中間体の再重合を防止する物質としてα−オキソカルボン酸が使用されている。
特開平11−310521号公報(段落番号[0051])
ところが、酸化による変色を防止するために使用されるα−オキシカルボン酸は強酸であるため、α−オキシカルボン酸が配合される液剤のpHは低く維持される。そのため、α−オキシカルボン酸を用いた毛髪処理後に再びアルカリ剤、酸化剤等が配合される染毛剤又は脱色剤を使用する場合に染色性又は脱色性が低下するという問題が生じた。また、主要中間体の再重合を防止する目的でα−オキシカルボン酸が配合される処理剤が毛髪に適用される場合、強酸により頭皮が刺激を受けるという問題が生じた。その一方、上述した影響を低減するために単にα−オキシカルボン酸の配合量を少なくすると、繊維中に残存する単量体又は低重合体となった主要中間体が再染色時又は脱色時に酸化剤により再重合され、染色性又は脱色性に影響を与えるという問題が生じた。
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により染色された繊維に対し脱染剤が適用された後に適用される繊維処理剤組成物において、還元糖を配合することにより上記課題が解決されることを見出したことによりなされたものである。その目的とするところは、脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法、及び還元剤により脱染された繊維に対し適用される繊維処理剤組成物において、脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下を抑制することができる繊維処理剤組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法は、アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により繊維を染色する工程次に(A)還元剤を含有する脱染剤組成物を用いて、前記(A)還元剤の還元作用により染色された繊維を脱染する工程、次に(B)還元糖を含有する繊維処理剤組成物を用いて、脱染された繊維を処理する工程を含む
請求項2記載の発明は、請求項1記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法において、前記(B)還元糖は単糖類である。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法において、前記単糖類はキシロースである。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法において、前記(A)還元剤はアスコルビン酸類である。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法において、前記繊維処理剤組成物は、さらに(C)毛髪浸透剤を含有する。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法において、前記(C)毛髪浸透剤は、芳香族アルコールである。
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法において、前記繊維処理剤組成物中における前記(C)毛髪浸透剤に対する前記(B)還元糖の質量比が0.1〜5である。
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7記載のいずれか一項記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法において、アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により繊維を染色する工程、次に(A)還元剤を含有する脱染剤組成物を用いて、前記(A)還元剤の還元作用により染色された繊維を脱染する工程、次に(B)還元糖を含有する繊維処理剤組成物を用いて、脱染された繊維を処理する工程、次に酸化剤が含有される染毛剤又は脱色剤を用いて、前記繊維処理剤組成物により処理された繊維をさらに処理する工程を含む
請求項9記載の発明の繊維処理剤組成物は、アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により染色された繊維に対し、(A)還元剤の還元作用により脱染するための脱染剤組成物が適用された後に適用される繊維処理剤組成物において、(B)還元糖及び(C)毛髪浸透剤として芳香族アルコールを含有する。
本発明によれば、脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法、及び還元剤により脱染された繊維に対し適用される繊維処理剤組成物において、脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下を抑制することができる。
以下、本発明の繊維処理剤組成物を毛髪処理剤組成物として具体化した一実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の毛髪処理剤組成物は、(B)成分として還元糖を含有する。また、(B)還元糖等の有効成分の毛髪への浸透性を向上させるために(C)成分として毛髪浸透剤が配合されることが好ましい。本実施形態の毛髪処理剤組成物は、アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により染色された毛髪に対し、(A)還元剤の還元作用により脱染するための脱染剤組成物が適用された後の毛髪に適用される。
(B)成分である還元糖は、脱染処理後の再染色等の処理を阻害することなく空気酸化による変色を防止するため配合される。還元糖とは遊離又はヘミアセタール結合したアルデヒド基又はケトン基をもつ糖であり、アミノ酸又はタンパク質等のアミノ基とメイラード反応性を有する糖である。(B)還元糖として、遊離の単糖類、還元性二糖類、還元性オリゴ糖が挙げられる。遊離の単糖類として、グリセルアルデヒド及びジヒドロキシアセトン等のトリオース類、エリスロース等のテトロース類、リボース、キシロース、アラビノース等のペントース類、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース等のヘキソース類、セドヘプツロース等のヘプトース類等が挙げられる。還元性二糖類として、マルトース、セロビオース、イソマルトース、ゲンチオビオース等のホモビオース、及びメリビオース、ラクトース、マルツロース、ラクツロース等のヘテロビオースが挙げられる。還元性オリゴ糖として、デンプンやグリコーゲンのα−アミラーゼ分解物であるマルトトリオース等が挙げられる。これらの(B)還元糖は、単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの(B)還元糖の中でも、空気酸化防止効果が優れるとともに単位質量当たりの還元力が高い遊離の単糖類が好ましく、入手の容易性からキシロースがより好ましい。
(B)還元糖の毛髪処理剤組成物中における配合量は、構成糖残基又は単位質量当たりの還元力を測定することによって決定され、キシロース等のペントース類の場合では0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜10質量%である。この含有量が0.5質量%未満であると、脱染処理後の変色を十分に抑制することができないおそれがある。一方、この含有量が30質量%を超えて配合されると、べたつき等の毛髪の感触が低下するおそれがある。
(C)毛髪浸透剤としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコールが挙げられる。その他にエチルカルビトール、フェネチルアルコール、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、エチルカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの(C)毛髪浸透剤は、単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの(C)毛髪浸透剤の中でも、有効成分の浸透性の高い芳香族アルコールが好ましく、入手の容易性からベンジルアルコール及びベンジルオキシエタノールがより好ましい。
(C)毛髪浸透剤の毛髪処理剤組成物中における配合量は、1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。この含有量が1質量%未満であると有効成分の毛髪浸透促進効果が得られないおそれがある。一方、30質量%を超えて配合すると毛髪の感触を低下させるおそれがある。また、液剤の安定性の悪化を招くおそれがある。
また、上記(B)成分及び(C)成分との相乗効果による変色防止効果を得るためには、毛髪処理剤組成物中における(C)毛髪浸透剤と(B)還元糖(キシロースの場合)との配合比が1:0.1〜5((C)毛髪浸透剤に対する(B)還元糖(キシロースの場合)の質量比が0.1〜5)であることが好ましく、1:0.1〜3であることがより好ましく、1:0.3〜2が最も好ましい。かかる配合比は構成糖残基又は単位質量当たりの還元力を測定することによって決定される。
さらに、毛髪中に残存する脱染剤組成物由来の(A)還元剤の再染毛又は脱色処理による染色性又は脱色性の低下を抑制するためにアルカリ剤及び酸化剤から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
アルカリ剤は、毛髪中に残存する脱染剤組成物由来の(A)還元剤の作用を抑制するために配合される。アルカリ剤の具体例としては、アンモニア、アルカノールアミン、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。これらの中で、アルカリ作用に優れ、臭気の少ないアルカノールアミンが好ましく使用される。これらのアルカリ剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらのアルカリ剤の配合量は、毛髪中に残存する脱染剤組成物由来の(A)還元剤の作用を抑制するために毛髪処理剤組成物のpHが8〜12の範囲となる量に設定されることが好ましい。
酸化剤は、毛髪中に残存する脱染剤組成物由来の(A)還元剤の作用を抑制するために配合される。酸化剤の具体的としては、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムおよび過酸化水素等が挙げられる。また、アスコルビン酸オキシダーゼ等の還元剤分解酵素を使用することによっても同様の効果を得ることができる。これらの中で、酸化作用の優れる臭素酸ナトリウム、過酸化水素が好ましく使用される。その配合量は、毛髪処理剤組成物の全量を100質量%として、好ましくは0.1〜15.0質量%である。
毛髪処理剤組成物には、その他の成分として、水、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、pH調整剤等を配合することができる。
水は各成分の溶媒又は分散媒として適量配合される。
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与するという観点から、配合されることが好ましい。油性成分としては、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類、炭化水素等が挙げられる。
油脂としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。これらの油性成分は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。その他、毛髪処理剤組成物には、上記各成分の溶媒又は分散媒として水が配合され、各成分の濃度が調整される。
更に、その他の成分としてはカルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマー、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、ジアリル第4級化アンモニウム塩重合物誘導体等に代表されるカチオン性誘導体等のカチオン性ポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合体等の両性ポリマー等の水溶性ポリマー、メチルパラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤、セラミド類、ビタミン類、PPT類、キレート剤、香料等を配合することができる。
毛髪処理剤組成物は、液状、ミスト状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等の形状にすることが可能である。この毛髪処理剤組成物は、シャンプー、リンス、トリートメント、整髪剤等のヘアケア剤に適用してもよい。この毛髪処理剤組成物は、毛髪に適用した後に水や温水で洗い流して使用してもよく、毛髪に付着した同処理剤を水や温水で洗い流さないで使用してもよい。
本願発明の毛髪処理剤組成物は、アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料が含有される染毛剤組成物により染色された毛髪に対し、(A)還元剤が配合される脱染剤組成物を用いて脱染処理された後の毛髪に適用される。次に、本実施形態で使用される脱染剤組成物について説明する。
本実施形態において使用される脱染剤組成物は脱染剤第1剤(以下、脱染第1剤という。)と脱染剤第2剤(以下、脱染第2剤という。)とから構成されている。脱染第2剤には、水等が含有される。この脱染第2剤は液状、ゲル状又はクリーム状の組成物である。一方、脱染第1剤には、(A)還元剤が含有される。この脱染第1剤は固体状の組成物である。脱染第1剤と脱染第2剤が、使用の際に混合調製されることにより、脱染第1剤に含有する(A)還元剤が脱染第2剤に溶解した脱染混合物を得ることができる。
<脱染第2剤>
脱染第2剤には、水の他に、水溶性ポリマー、界面活性剤、油性成分等の上記毛髪処理剤組成物に記載のその他の成分を適宜配合することができる。
水は、脱染第1剤に含有される(A)還元剤の可溶化剤として配合される。水溶性ポリマーは、脱染剤に適度な粘度を与える増粘剤として配合される。具体的には、上述した毛髪処理剤組成物に配合されるカチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、両性ポリマー等が挙げられる。油性成分は安定した乳化状態を形成させるために配合される。界面活性剤は脱染第2剤の安定性を向上させるために配合される。
<脱染第1剤>
脱染第1剤には、(A)還元剤としてのアスコルビン酸類等の他に、フマル酸、分散剤等を配合することができる。
(A)還元剤は、後述する毛髪を染色している酸化染料の酸化重合により生成した多核化合物を還元するために配合される。(A)還元剤は、その還元作用によって重合割合の低い多核化合物を解重合又は非共鳴化させ、多核化合物を容易に解重合又は非共鳴化させることができる。(A)成分の具体例としては、アスコルビン酸類、チオグリコール酸類、システイン類、メルカプト化合物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩等が挙げられる。
アスコルビン酸類としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、これらの塩及び誘導体が挙げられる。アスコルビン酸塩及びエリソルビン酸塩の具体例としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスコルビン酸モノエタノールアミン、アスコルビン酸ジエタノールアミン、エリソルビン酸ナトリウム等が挙げられる。アスコルビン酸誘導体及びエリソルビン酸誘導体の具体例としては、アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、エリソルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、ラウリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル、プロピオン酸アスコルビル、酒石酸アスコルビル、クエン酸アスコルビル、コハク酸アスコルビル、安息香酸アスコルビル、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビルエチル、アスコルビン酸アラントイン、アスコルビン酸キトサン、アスコルビン酸メチルシラノール、テトラデシルヘキシルアスコルビル、アミノプロピルアスコルビルフォスフェート、アスコルビン酸ポリペプタイド、アスコルビルグルコシド、アスコルビルメチルシラノールペクチネート等が挙げられる。
チオグリコール酸類としては、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩及びチオグリコール酸のエステルが挙げられる。チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸ナトリウム等が挙げられる。チオグリコール酸のエステルとしては、グリセリンチオグリコレート等が挙げられる。
システイン類としては、システイン、システイン塩酸塩、N−アセチル−L−システイン等が挙げられる。
メルカプト化合物としては、チオグリセロール、チオ乳酸、チオリンゴ酸、システアミン等が挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。亜硫酸水素塩としては、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。チオ硫酸塩としては、チオ硫酸、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの(A)還元剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
これらの(A)還元剤の中でも、重合割合の低い多核化合物を解重合又は非共鳴化させる作用に優れることから、好ましくはアスコルビン酸類である。また、還元剤としてアスコルビン酸類を配合した場合、脱染第1剤及び脱染混合物における臭気を低減することができるとともに、脱染処理後の毛髪における毛髪損傷度を低減させることもできる。
フマル酸は、重合割合の低い多核化合物の解重合又は非共鳴化によって生成する成分の再酸化を抑制し、毛髪の再着色を抑制するために配合される。
分散剤は、アスコルビン酸類等が凝集して塊状態を形成することを抑制し、脱染第1剤と脱染第2剤の混合調製の際、脱染第2剤中における脱染第1剤の分散性を向上させるために配合される。分散剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、タルク、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン等が挙げられる。
<脱染混合物>
脱染剤組成物を使用する際に、脱染第1剤と脱染第2剤を所定の割合で混合調製することによって(A)還元剤が水に溶解した脱染混合物を得ることができる。脱染混合物は酸化染料が配合される染毛剤組成物により染色された毛髪に適用される。次に、本実施形態で使用される染毛剤組成物について説明する。
次に、本実施形態において使用される染毛剤組成物は、染毛剤第1剤(以下、染毛第1剤という)と染毛剤第2剤(以下、染毛第2剤という)とよりなる。染毛第1剤には、酸化染料、アルカリ剤等が含有される。染毛第2剤は酸化剤等が含有される。
<染毛第1剤>
酸化染料は、酸化剤による酸化重合によって発色可能な化合物を示し、具体的には、主要中間体及びカプラーに分類される。主要中間体は、アミノ基を有する化合物が使用される。かかる主要中間体のアミノ基と(B)還元糖のアルデヒド基又はケト基が反応することにより(メイラード反応)、酸化染料化合物同士の再結合は抑制される。つまり、脱染処理後において、毛髪中に単量体又は低重合体の形で残存する酸化染料の再重合及びかかる再重合に由来する変色を防止することができる。
アミノ基を有する主要中間体の具体例としては、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール及びそれらの塩類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。これらの主要中間体は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
カプラーとしては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、それらの塩類等が挙げられる。これらのカプラーは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
この酸化染料は、様々な色調に変化させることができることから、主要中間体から選ばれる少なくとも一種及びカプラーから選ばれる少なくとも一種から構成されることが好ましい。その他、「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料及び酸化染料以外の染料として直接染料等を適宜、配合することもできる。
染毛混合物中における酸化染料の含有量は、好ましくは0.02〜25質量%、より好ましくは0.2〜15質量%である。この含有量が0.02質量%未満であると、十分な染色性が得られないおそれがある。一方、25質量%を超えて配合しても、染色性は向上せず経済的ではない。染毛混合物中における主要中間体の含有量は、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。染毛混合物中におけるカプラーの含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
アルカリ剤は、染毛第2剤に配合される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させることにより毛髪に対する染料の浸透性を向上させ、染色性を向上させるために配合される。アルカリ剤の具体例としては、アンモニア、アルカノールアミン、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。
これらのアルカリ剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。このアルカリ剤の配合量は、染毛第1剤のpHが8〜12の範囲となる量に設定することが好ましい。染毛第1剤のpHが8未満では、染毛第1剤を染毛第2剤と混合したときに過酸化水素の作用を十分に促進することができない場合がある。一方、pHが12を超えると、染毛剤組成物を毛髪に施したとき毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。
この染毛第1剤には、上記毛髪処理剤組成物に記載の油性成分、界面活性剤等のその他の成分を適宜配合することができる。また、酸化染料が配合される染毛剤組成物は、酸化染料が酸化剤により酸化重合される際、脱染剤により脱染され易い重合割合の低い多核化合物が生成されるように還元剤であるアスコルビン酸類、亜硫酸塩等の重合抑制剤が適宜配合されることが好ましい。
この染毛第1剤の剤型は、水溶液、分散液、乳化液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等特に限定されない。
<染毛第2剤>
この染毛第2剤には酸化剤が含有される。また、この染毛第2剤にはその他の成分として酸化染毛剤の染毛第2剤に通常用いられる成分が含有される。
酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色すると共に、染毛第1剤に配合される酸化染料を酸化して発色させるために配合される。酸化剤は、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムおよび過酸化水素等が挙げられる。その配合量は、染毛第2剤全量を100質量%として、好ましくは0.1〜15.0質量%である。
この染毛第2剤には、上記染毛第1剤に記載のその他の成分を適宜配合することができる。また、酸化剤として過酸化水素を配合した場合、過酸化水素の分解を抑制するために、安定化剤を配合することが好ましい。安定化剤の具体例としては、尿素、フェナセチン、スズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル、8−オキシキノリン、リン酸等が挙げられる。
この染毛第2剤の剤型は、水溶液、分散液、乳化液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等特に限定されない。
<染毛混合物>
酸化染毛剤を使用する際に、上記の染毛第1剤及び染毛第2剤を所定の割合で混合調製することによって染毛混合物を得ることができる。この染毛混合物の剤型は、液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状等特に限定されない。
次に、上記のように構成された本実施形態の毛髪処理剤組成物の作用を説明する。
まず、上記染毛混合物を毛髪に刷毛、櫛等の塗布具を用い塗布する。それにより、アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料の酸化重合により生成した多核化合物の発色により毛髪が染色される。次に、染色された毛髪に対し、上記脱染混合物を刷毛、櫛等の塗布具を用い塗布する。ここで、毛髪を染色している多核化合物は、(A)還元剤の還元作用によって解重合(分解)又は非共鳴化される。本願発明の毛髪処理剤組成物は酸化染料の酸化重合により生成した多核化合物の発色により染色された毛髪に対し、還元剤の還元作用により脱染するための脱染剤組成物が適用された後の毛髪に塗布される。本願発明の毛髪処理剤組成物は刷毛、櫛等の塗布具により毛髪に塗布される。ここで、毛髪処理剤組成物中に配合される(B)還元糖により脱染処理後に毛髪中に残存する単量体又は低重合体となった主要中間体の再酸化が抑制される。その後、酸化染料、アルカリ剤及び酸化剤が配合される染毛剤組成物を適用した染毛処理又は酸化剤及びアルカリ剤が配合される脱色剤組成物を適用した脱色処理が施される。なお、本実施形態の毛髪処理剤組成物が適用された後に適用される染毛剤組成物又は脱色剤組成物中に配合される酸化染料、アルカリ剤及び酸化剤は、上述した各具体的化合物を適用することができる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態では、酸化染料の酸化重合により生成した多核化合物の発色により染色された毛髪に対し、還元剤の還元作用により脱染するための脱染混合物が適用された後の毛髪に適用される毛髪処理剤組成物において、(B)還元糖を配合した。したがって、(B)還元糖により、脱染処理後に毛髪中に残存する単量体又は低重合体となった主要中間体のアミノ基と(B)還元糖のアルデヒド基又はケト基が結合することにより(メイラード反応)、主要中間体の酸化による再重合(変色)が抑制される。
(2)また、それにより酸化剤が配合される染毛剤又は脱色剤が脱染後に再適用される場合に染色性又は脱色性に影響を与えることがない。
(3)また、それにより脱染処理後の空気酸化による経時的な変色を防止することができる。
(4)本実施形態では、残存する単量体又は低重合体となった主要中間体の再酸化を防止するために強酸であるα−オキソカルボン酸の代わりに中性である(B)還元糖を配合した。したがって、脱染剤組成物が頭皮に適用された場合には頭皮への刺激を低減させることができる。
(5)また、それによりアルカリ剤が配合される染毛剤又は脱色剤を脱染後に使用する場合に染色性又は脱色性の低下を抑制することができる。
(6)本実施形態において、毛髪処理剤組成物に(C)毛髪浸透剤を配合した。したがって、(B)還元糖の毛髪中への浸透性が向上され、主要中間体の再酸化防止の効果が一層向上する。
(7)本実施形態において、(B)還元糖として単糖類を用いた場合、還元性二糖類や還元性オリゴ糖を使用する場合と比較して、構成糖残基当たりの還元力が高いため少量で本発明の効果を発揮することができる。例えば、還元性二糖類であるマルトースは構成糖である二分子のグルコースのうち一分子の還元基は結合に使用されているため、還元性を有する残基は一つのみである。そのため単糖類であるグルコースと比較して構成糖残基当たりの還元力は約半分となる。マルトースにおいて、単糖類であるグルコースと同等の還元力を得ようとする場合、グルコースの約2倍量(質量%)必要となる。
(8)本実施形態において、(B)還元糖としてキシロースを用いた場合、ヘキソース類やヘプトース類と比較して単位質量当たりの還元力が優れるため、少量で本発明の効果を発揮することができる。また、キシロースは他の単糖類と比較して効果に優れるとともに安価であるため入手が容易である。
(9)本実施形態の毛髪処理剤組成物において、さらにアルカリ剤及び酸化剤から選ばれる少なくとも一種を配合した。したがって、脱染後に酸化染料を使用して再染色処理を施す場合、又は酸化剤を使用して脱色処理を施す場合に染色性又は脱色性の低下を一層抑制することができる。
(10)本実施形態において、毛髪処理剤組成物のpHを5〜12に調節した。したがって、脱染後に酸化染料を使用して再染色処理を施す場合、又は酸化剤を使用して脱色処理を施す場合に染色性又は脱色性の低下を一層抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、毛髪処理剤組成物は毛髪に適用された。しかしながら、毛髪以外の人毛、羊毛、羽毛等の酸化染料によって染色され得るその他の繊維に適用し、繊維処理剤組成物として使用してもよい。
・上記実施形態において、毛髪処理剤組成物は、酸化染毛剤、酸化剤及びアルカリ剤が含有される染毛剤組成物の前処理剤として、又は酸化剤及びアルカリ剤が含有される脱色剤組成物の前処理剤として適用してもよい。かかる場合、染毛処理又は脱色処理を施すときにのみ毛髪処理剤組成物を適用すればよい。また、(B)成分により強酸であるα-オキシカルボン酸を含有することなく残存する単量体又は低重合体となった主要中間体の再重合を防止することができるため、かかる再染毛処理又は脱色処理による染色性又は脱色性に影響を与えることがない。
・上記実施形態において、毛髪処理剤組成物に配合される各成分を分割し、複数剤型として構成してもよい。
・上記実施形態において、脱染剤組成物を脱染第1剤及び脱染第2剤として構成し、使用直前に混合する構成とした。この他に、アスコルビン酸類、水等の脱染剤組成物を構成する成分をすべて配合した溶液から構成される1剤式の脱染剤としてもよい。また、粉末状等の固体状の還元剤を脱染剤とし、この脱染剤を使用者が水に溶解させて毛髪に適用するように構成してもよい。また、脱染第1剤及び脱染第2剤を構成する成分を任意に分割し、3剤式以上に構成してもよい。
・上記実施形態において、染毛剤組成物を染毛第1剤及び染毛第2剤として構成し、使用直前に混合する構成とした。しかしながら、さらに染毛第1剤及び染毛第2剤を構成する各成分を分離して3剤式以上に構成してもよい。例えば、酸化染料を配合する染毛第1剤、アルカリ剤を配合する染毛第2剤及び酸化剤を配合する染毛第3剤からなる染毛剤組成物が挙げられる。かかる構成において、酸化染料をアルカリ剤が配合される染毛第2剤とは別に構成したことにより、酸化染料の保存安定性を高めることができる。また、染毛剤組成物を構成する各成分を使用直前にすべて混合して作成する1剤式として構成してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
表1に示される各成分を混合することにより各実施例及び比較例の毛髪処理剤組成物を調整した。これら毛髪処理剤組成物について、溶液のpH、脱染後の再酸化率、感覚刺激、明度を評価した。なお、表1における各成分の配合を示す数値の単位は質量%である。
Figure 0004837544
<脱染後の再酸化率>
表2に示す各成分を混合して、染毛第1剤及び染毛第2剤を調製することにより、染毛剤組成物としての酸化染毛剤を得た。続いて、それらの染毛第1剤と染毛第2剤を1:1の質量比で混合調製し、染毛混合物を得た。得られた染毛混合物をミディアムブラウン毛の人毛毛束(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温にて30分間放置した。次に、毛束に付着した染毛混合物を水で洗い流した後、シャンプーを2回、リンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。なお、表2における各成分の配合を示す数値の単位は質量%である。
Figure 0004837544
また、表3に示す各成分を混合して、脱染第1剤及び脱染第2剤を調製することにより脱染剤組成物を得た。続いて、脱染第1剤と脱染第2剤を1:10の質量比で混合調製し、脱染混合物を得た。これらの脱染混合物を染色処理が施された毛束に刷毛を用いて塗布し、室温で30分間放置した。次に、毛束に付着した脱染混合物を水で洗い流した後、シャンプーを2回、リンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥し、これらの脱染処理が施された毛束について、分光測色計(ミノルタ株式会社製、型番:CM−508d)でL***値(L1、a1及びb1)を測定した。なお、表3における各成分の配合を示す数値の単位は質量%である。
Figure 0004837544
上記のように脱染処理された毛束について、表1に示される各成分を混合することにより得られる各実施例及び比較例の毛髪処理剤組成物を適用した。得られた毛髪処理剤組成物を脱染処理後の人毛毛束に刷毛を用いて塗布し、室温にて30分間放置した。次に、それぞれの毛束に付着した毛髪処理剤組成物を水で洗い流した後、温風で乾燥した後、一日間放置した。
上記のように各毛髪処理剤組成物により処理された毛束について、表4に示す各成分を混合して、脱色第1剤及び脱色第2剤を調製することにより得られる脱色剤組成物を適用した。脱色剤組成物は、脱色第1剤と脱色第2剤を1:1の質量比で混合調製し、脱色混合物として毛髪に適用した。脱色混合物を刷毛を用いて塗布し、室温にて30分間放置した。次に、毛束に付着した脱色混合物を水で洗い流した後、シャンプーを2回、リンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥し、これらの脱色処理が施された毛束について、上記の分光測色計でL***値(L2、a2及びb2)を測定した。なお、表4における各成分の配合を示す数値の単位は質量%である。
Figure 0004837544
未処理の毛束、脱染処理後の毛束及び脱色処理後の毛束におけるL***値から、下記の(1)式によって未処理の毛束と脱染処理後の毛束の色差(ΔE1)及び未処理の毛束と脱色処理後の毛束の色差(ΔE2)を算出した。
ΔEi={(Li−L02+(ai−a02+(bi−b021/2…(1)
i:脱染処理後の毛束又は脱色処理後の毛束のL*
i:脱染処理後の毛束又は脱色処理後の毛束のa*
i:脱染処理後の毛束又は脱色処理後の毛束のb*
0,a0,b0:未処理の毛束のL*値、a*値及びb*
次に、ΔE1及びΔE2から下記の(2)式によって脱染後再酸化率[%]を算出した。
脱染後再酸化率[%]=(1−ΔE1/ΔE2)×100…(2)
再酸化率が低い値であるほど、脱色処理において毛髪中に残存する単量体又は低重合体となった主要中間体による変色が少ないことを示す。各実施例及び各比較例における脱染後再酸化率の算出結果を表1に示す。
<明度>
表1に示される各成分を混合することにより得られる各実施例及び比較例の各毛髪処理剤組成物を黒毛の人毛毛束(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温にて30分間放置した。次に、ぞれぞれの毛束に付着した毛髪処理剤組成物を水で洗い流した後、温風で乾燥した後、これらの毛髪処理剤組成物が施された毛束について、分光測色計(ミノルタ株式会社製、型番:CM−508d)でL***値(L1、a1及びb1)を測定した。
次に、表4に示す各成分を混合して、脱色第1剤及び脱色第2剤を調製することにより、脱色剤組成物を得た。続いて、それらの脱色第1剤と脱色第2剤を1:1の質量比で混合調製し、脱色混合物を得た。これらの脱色混合物を各毛髪処理剤組成物で処理が施された毛束に刷毛を用いて塗布し、室温で30分間放置した。
次に、毛束に付着した脱色混合物を水で洗い流した後、シャンプーを2回、リンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥し、これらの脱色処理が施された毛束について、分光測色計(ミノルタ株式会社製、型番:CM−508d)でL***値(L1、a1及びb1)を測定した。
脱色処理後のL値から脱色処理前のL値を差し引いた値であるΔL値によって明度の評価を行った。なお、このLは、L表色系(JIS Z 8729−1994に記載)のLであって、ΔL値が大きいほど脱色処理において脱色阻害が少ないことを示す。各実施例及び各比較例における明度の算出結果を表1に示す。
<感覚刺激>
上腕部に各実施例及び比較例の毛髪処理剤組成物を塗布し、10分後にパネラー5名が感じた刺激を以下の3段階で官能評価を行った。刺激を感じない場合を3点、やや痛み、しみる等の刺激を感じる場合を2点、及び痛み、しみる等の刺激を感じる場合を1点の3段階で採点した。5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均点が2.6点以上の場合を「良好:○」、1.6点以上2.5点以下の場合を「やや悪い:△」、及び1.5点以下の場合を「悪い:×」とし、感覚刺激の評価結果とした。それらの評価結果を表1に示す。
表1に示される結果より、還元糖としてキシロース又はグルコースが配合される実施例1〜3はグリオキシル酸(α−オキソカルボン酸)が配合されないため比較例4に比べpHが中性付近に保たれることが確認される。そのため、実施例1〜3において、感覚刺激は「良好」に保たれることが確認される。また、実施例1〜3は還元糖により脱染後再酸化率が低く維持されることが確認される。また、実施例2に示されるように、毛髪浸透剤としてベンジルアルコールが配合される場合には、脱染後再酸化率がさらに低く維持されることが確認される。一方、比較例2の還元糖が配合されない場合、比較例3の還元糖の代わりにトレハロースを使用した場合は、脱染後再酸化率を低く維持することができないことが確認される。
また、比較例4に示されるようにグリオキシル酸が配合される場合は、脱染後再酸化率を低く抑えることは可能であるが、それと同時に脱色後の明度を良好に保つことができないことが確認される。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記繊維処理剤組成物において、さらにアルカリ剤及び酸化剤から選ばれる少なくとも一種が含有され、pHが5〜12である繊維処理剤組成物。
(b)前記酸化剤が臭素酸ナトリウム及び過酸化水素から選ばれる少なくとも一種である繊維処理剤組成物。したがって、この(a)及び(b)に記載の発明によれば、脱染後に酸化染料を使用して再染色処理を施す場合、又は酸化剤を使用して脱色処理を施す場合に染色性又は脱色性の低下を一層抑制することができる。

Claims (9)

  1. アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により繊維を染色する工程、
    次に(A)還元剤を含有する脱染剤組成物を用いて、前記(A)還元剤の還元作用により染色された繊維を脱染する工程、
    次に(B)還元糖を含有する繊維処理剤組成物を用いて、脱染された繊維を処理する工程を含む脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  2. 前記(B)還元糖は単糖類である請求項1記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  3. 前記単糖類はキシロースである請求項2記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  4. 前記(A)還元剤はアスコルビン酸類である請求項1から請求項3のいずれか一項記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  5. 前記繊維処理剤組成物は、さらに(C)毛髪浸透剤が含有される請求項1から請求項4のいずれか一項記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  6. 前記(C)毛髪浸透剤は、芳香族アルコールである請求項5記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  7. 前記繊維処理剤組成物中における前記(C)毛髪浸透剤に対する前記(B)還元糖の質量比が0.1〜5である請求項5又は請求項6記載の脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  8. アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により繊維を染色する工程、
    次に(A)還元剤を含有する脱染剤組成物を用いて、前記(A)還元剤の還元作用により染色された繊維を脱染する工程、
    次に(B)還元糖を含有する繊維処理剤組成物を用いて、脱染された繊維を処理する工程、
    次に酸化剤が含有される染毛剤又は脱色剤を用いて、前記繊維処理剤組成物により処理された繊維をさらに処理する工程を含む脱染後の染色処理又は脱色処理における染色性又は脱色性の低下抑制方法
  9. アミノ基を有する主要中間体を含んでなる酸化染料により染色された繊維に対し、(A)還元剤の還元作用により脱染するための脱染剤組成物が適用された後に適用される繊維処理剤組成物において、
    (B)還元糖及び(C)毛髪浸透剤として芳香族アルコールを含有する繊維処理剤組成物。
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