JP4130797B2 - 毛髪処理方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、脱染性能を向上することができる毛髪処理方法を提供することにある。
請求項3に記載の発明の毛髪処理方法では、染毛第1剤及び染毛第2剤を混合して染毛剤組成物を調製する調製工程と、前記染毛剤組成物を毛髪に塗布して所定時間放置することにより染毛処理が施される染色工程と、前記染毛処理された染色毛髪に脱染剤組成物を塗布して所定時間放置することにより前記染色毛髪に脱染処理が施される脱染工程とを備え、前記染毛剤組成物は(A)成分として脂肪族カルボン酸を0.5〜30重量%含有してなり、さらに前記染毛第1剤は酸化染料、アルカリ剤、及び(B)成分として重合抑制剤を含有するとともに、前記染毛第2剤は酸化剤を含有し、前記染毛剤組成物中における前記重合抑制剤の含有量が0.4〜10重量%であり、前記脱染剤組成物は還元剤として前記(B)成分を含有することを要旨とする。
請求項4に記載の発明の毛髪処理方法では、請求項3に記載の発明において、前記(A)成分は高級脂肪酸であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明の毛髪処理方法では、請求項4に記載の発明において、前記(A)成分は、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリシノール酸から選ばれる少なくとも一種であることを要旨とする。
本実施形態の毛髪処理方法は、調製工程、染色工程及び脱染工程を備えている。調製工程は、染毛第1剤及び染毛第2剤を混合して染毛剤組成物を調製する工程である。染色工程は、染毛剤組成物を毛髪に塗布した後、所定時間放置することにより染毛処理を施す工程である。脱染工程は、染毛処理された染色毛髪に脱染剤組成物を塗布した後、所定時間放置することにより染色毛髪に脱染処理を施す工程である。
<染毛剤組成物>
染毛剤組成物は、染毛第1剤及び染毛第2剤から構成される。この染毛剤組成物には、(A)成分として第一級アルコール(A1)、脂肪族カルボン酸(A2)及び芳香族カルボン酸(A3)の各成分から選ばれる少なくとも一種が含有される。染毛第1剤には酸化染料、アルカリ剤、及び(B)成分として重合抑制剤が含有され、染毛第2剤には酸化剤が含有される。
[染毛第1剤]
酸化染料は、酸化剤による酸化重合によって発色可能な化合物を示し、具体的には主要中間体及びカプラーに分類される。ここで、酸化染料が酸化重合することによって生成する化合物を多核化合物という。多核化合物の具体例としては、単一種の酸化染料による単独重合体及び複数種の酸化染料による共重合体である。毛髪はこれらの多核化合物によって染色される。
メルカプト化合物としては、チオグリセロール、チオ乳酸、チオリンゴ酸、システアミン等が挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。亜硫酸水素塩としては、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。チオ硫酸塩としては、チオ硫酸、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
水は各成分の溶媒又は分散媒として適量配合される。
油脂類の具体例としては、ホホバ油、オリーブ油のグリセライド等、ロウ類の具体例としては、ミツロウ、ラノリン等、炭化水素類の具体例としては、流動パラフィン、固形パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等が挙げられる。エステル類の具体例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等、シリコーン類の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
[染毛第2剤]
染毛第2剤に含有される酸化剤は、(A1)第一級アルコールを酸化可能なものである。また、この酸化剤は酸化染料を酸化重合させるとともに、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの酸化剤の中でも、(A1)成分に対する酸化力に優れるとともにメラニンの脱色力に優れることから、好ましくは過酸化水素である。
<脱染剤組成物>
本実施形態の脱染剤組成物は、脱染第1剤及び脱染第2剤から構成される。脱染第1剤には水等が含有され、この脱染第1剤は液状、ゲル状又はクリーム状の組成物である。一方、脱染第2剤には還元剤等が含有され、この脱染第2剤は粉末状の組成物である。脱染剤組成物は、脱染第1剤及び脱染第2剤が所定の割合で混合されることによって得られる。この脱染剤組成物の剤型は、液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状等特に限定されない。
[脱染第1剤]
脱染第1剤には、水の他に、染毛第1剤に記載のその他の成分(O)を適宜配合することができる。水は、脱染第2剤に含有される還元剤の溶媒として配合される。脱染第1剤には、脱染剤組成物に適度な粘度を与えるために、上記染毛第1剤に記載の水溶性高分子化合物を配合することが好ましい。また、脱染第1剤には、安定性を向上させるために、上記染毛第1剤に記載の油性成分及び界面活性剤を配合することが好ましい。
[脱染第2剤]
脱染第2剤には、還元剤の他に、フマル酸、分散剤等を配合することができる。還元剤は、毛髪を染色している多核化合物を還元するために配合される。還元剤は、その還元作用によって重合割合の低い多核化合物を解重合又は非共鳴化させる化合物をいう。この還元剤は、上記染毛第1剤に記載の(B)成分である。これらの還元剤の中でも、解重合又は非共鳴化させる作用に優れることから、好ましくはアスコルビン酸類、チオグリコール酸類、システイン類、メルカプト化合物、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩及びチオ硫酸塩から選ばれる少なくとも一種、より好ましくはアスコルビン酸類及びシステイン類から選ばれる少なくとも一種、さらに好ましくはアスコルビン酸類である。アスコルビン酸を配合した場合、脱染第2剤及び脱染剤組成物における臭気を低減することができるとともに、脱染処理後の毛髪における毛髪損傷度を低減することができる。脱染第2剤には、重合割合の低い多核化合物の解重合又は非共鳴化によって生成する成分の再酸化を抑制し、毛髪の再着色を抑制するためにフマル酸が配合されることが好ましい。
・ 本実施形態の毛髪処理方法においては、調製工程、染色工程及び脱染工程を備えている。調製工程では、染毛第1剤及び染毛第2剤を混合して染毛剤組成物を調製している。染毛剤組成物中には(A)成分が含有され、染毛第1剤には酸化染料、アルカリ剤、及び(B)成分が含有されるとともに染毛第2剤には酸化剤が含有されている。染色工程ではこの染毛剤組成物によって染毛処理が施され、脱染工程では還元剤として(B)成分を含有する脱染剤組成物によって脱染処理が施されている。この毛髪処理方法の場合、染色工程では毛髪の大部分が重合割合の低い多核化合物によって染色され、脱染工程では多核化合物の発色が高い割合で失われる。従って、脱染性能を向上することができる。
・ 前記実施形態における脱染剤組成物は、脱染第1剤及び脱染第2剤から構成されている。この他に、(B)還元剤、水等を含有する1剤型の脱染剤組成物としてもよい。また、(B)還元剤を含有する脱染剤組成物を使用者が水に溶解させて毛髪に適用するように構成してもよい。
(1) 染毛剤組成物及び脱染剤組成物から構成される染毛脱染セット剤であって、前記染毛剤組成物は染毛第1剤及び染毛第2剤から構成され、前記染毛剤組成物は(A)成分として第一級アルコール、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸から選ばれる少なくとも一種を含有してなり、さらに前記染毛第1剤は酸化染料、アルカリ剤、及び(B)成分として重合抑制剤を含有するとともに前記染毛第2剤は酸化剤を含有し、前記脱染剤組成物は還元剤として前記(B)成分を含有する染毛脱染セット剤。
(各処方例、各参考例、比較例1及び比較例2)
表1に示す各成分を混合して、染毛第1剤及び染毛第2剤を調製した。続いて、各例における染毛第1剤及び染毛第2剤を1:1の重量比で混合して、染毛剤組成物を調製した。各例の染毛剤組成物をミディアムブラウン毛の人毛毛束(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温にて30分間放置した。次に、毛束に付着した染毛剤組成物を水で洗い流した後、シャンプーを2回、リンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理が施されたこれらの染色毛束について、分光測色計(ミノルタ株式会社製、型番:CM−508d)でL*a*b*値(L1、a1及びb1)を測定した。以下、表中における各成分の配合を示す数値の単位は重量%である。
Li:染色毛束又は脱染毛束のL*値
ai:染色毛束又は脱染毛束のa*値
bi:染色毛束又は脱染毛束のb*値
L0,a0,b0:順に未処理の毛束のL*値、a*値及びb*値
次に、ΔE1及びΔE2から下記の(2)式によって脱染率[%]を算出した。
各例における脱染率の算出結果を表3に示す。また、各例における毛髪損傷度及び堅牢性の評価を下記に示す方法で行った。これらの評価結果を表3に示す。
<毛髪損傷度の評価>
脱染毛束について、毛の根元から20〜30mmの部分に結び目を作り、毛束の両端に一定条件で張力を加えた。次に、10名のパネラーが走査型電子顕微鏡によって結び目部分におけるキューティクルの浮き上がり状態を観察し、キューティクルがほとんど浮き上がらず、非常に損傷が少ない(4点)、キューティクルの最外層の一部のみが浮き上がっており、損傷が少ない(3点)、キューティクルの最外層が全体的に浮き上がっており、損傷がややある(2点)及びキューティクルのほとんどが浮き上がっており、損傷がある(1点)の4段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が3.6点以上を「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下を「良好:○」、1.6点以上2.5点以下を「やや不良:△」及び1点以上1.5点以下を「不良:×」とし、評価結果とした。
<堅牢性の評価>
染毛処理から1日後の染毛毛束を50℃の1%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(500ml)に15分間浸漬した後、毛束を十分に水洗し、風乾させることによって洗浄処理を施した。10名のパネラーが洗浄処理前の毛束と洗浄処理後の毛束を目視にて観察し、退色がほとんど確認できない(4点)、退色が少ない(3点)、退色がやや目立つ(2点)及び退色が目立つ(1点)の4段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が3.6点以上を「優れる:◎」、2.6点以上3.5点以下を「良好:○」、1.6点以上2.5点以下を「やや不良:△」及び1点以上1.5点以下を「不良:×」とし、評価結果とした。
Claims (6)
- 染毛第1剤及び染毛第2剤を混合して染毛剤組成物を調製する調製工程と、前記染毛剤組成物を毛髪に塗布して所定時間放置することにより染毛処理が施される染色工程と、前記染毛処理された染色毛髪に脱染剤組成物を塗布して所定時間放置することにより前記染色毛髪に脱染処理が施される脱染工程とを備え、前記染毛剤組成物は(A)成分として第一級の高級アルコール、芳香族アルコール及び芳香族カルボン酸から選ばれる少なくとも一種を含有してなり、さらに前記染毛第1剤は酸化染料、アルカリ剤、及び(B)成分として重合抑制剤を含有するとともに、前記染毛第2剤は酸化剤を含有し、
前記染毛剤組成物中における前記重合抑制剤の含有量が0.4〜10重量%であり、
前記脱染剤組成物は還元剤として前記(B)成分を含有する毛髪処理方法。 - 前記(A)成分はステアリルアルコール、ベンジルアルコール及び安息香酸から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の毛髪処理方法。
- 染毛第1剤及び染毛第2剤を混合して染毛剤組成物を調製する調製工程と、前記染毛剤組成物を毛髪に塗布して所定時間放置することにより染毛処理が施される染色工程と、前記染毛処理された染色毛髪に脱染剤組成物を塗布して所定時間放置することにより前記染色毛髪に脱染処理が施される脱染工程とを備え、前記染毛剤組成物は(A)成分として脂肪族カルボン酸を0.5〜30重量%含有してなり、さらに前記染毛第1剤は酸化染料、アルカリ剤、及び(B)成分として重合抑制剤を含有するとともに、前記染毛第2剤は酸化剤を含有し、
前記染毛剤組成物中における前記重合抑制剤の含有量が0.4〜10重量%であり、
前記脱染剤組成物は還元剤として前記(B)成分を含有する毛髪処理方法。 - 前記(A)成分は高級脂肪酸である請求項3に記載の毛髪処理方法。
- 前記(A)成分は、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリシノール酸から選ばれる少なくとも一種である請求項4に記載の毛髪処理方法。
- 前記(B)成分はアスコルビン酸類である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の毛髪処理方法。
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