JP4837334B2 - 永久磁石式回転子 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、永久磁石片の表面に接着剤をコーティングした後に、この永久磁石片をロータ鉄心に挿入する技術が開示されている。
また、特許文献2に開示された技術では、予め永久磁石片の表面に設けたコーティング層を全ての単位鉄心の磁石収容孔の径方向外側の内面に密着させるのは困難であり、一部の単位鉄心に過大な荷重がかかるという問題を解決することはできない。
そこで、この発明は、永久磁石片の遠心力による荷重をロータ鉄心を構成する全ての鋼板に均一に作用させることができる永久磁石式回転子の製造方法を提供するものである。
を備えることを特徴とする。
このように構成することにより、永久磁石片の径方向外側の外周面を、ロータ鉄心の軸方向全長に亘って平滑層の径方向内側の面に当接させることができるので、永久磁石式回転子の回転時に永久磁石片の遠心力による荷重を外周コアを構成する全ての鋼板に均一に作用させることができ、一部の鋼板に過大な荷重が加わるのを阻止することができる。
また、永久磁石片と外周コアとの間をボンド磁石からなる平滑層で隙間なく埋めているので、磁石磁束の減少を抑えることができる。
また、平滑層を形成する時点では外周コアの内側に内周コアが嵌合されていないので、平滑層の形成が極めて容易に実施できる。
このように構成しても、永久磁石式回転子の回転時に永久磁石片の遠心力による荷重を外周コアを構成する全ての鋼板に均一に作用させることができ、一部の鋼板に過大な荷重が加わるのを阻止することができる。
このように構成することにより、永久磁石片の径方向外側の外周面を、ロータ鉄心の軸方向全長に亘って平滑層の径方向内側の面に当接させることができるので、永久磁石式回転子の回転時に永久磁石片の遠心力による荷重を外周コアを構成する全ての鋼板に均一に作用させることができ、一部の鋼板に過大な荷重が加わるのを阻止することができる。
また、永久磁石片と保持部との間をボンド磁石からなる平滑層で隙間なく埋めているので、磁石磁束の減少を抑えることができる。
また、平滑層を形成する時点では外周コアの内側に内周コアが嵌合されていないので、平滑層の形成が極めて容易に実施できる。
このように構成しても、永久磁石式回転子の回転時に永久磁石片の遠心力による荷重を外周コアを構成する全ての鋼板に均一に作用させることができ、一部の鋼板に過大な荷重が加わるのを阻止することができる。
このように構成することにより、ロータ鉄心の材料歩留まりを向上することができる。
このように構成することにより、内周コアと外周コアの周方向の位置決めが容易に且つ正確にできる。
このように構成することにより、隣接する分割コア同士の径方向の位置決めが容易に且つ正確にできる。
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記内周コアは非積層構造の一部材で構成されていることを特徴とする。
このように構成することにより、内周コアにおける磁石挿入用開口部の内壁を平滑にすることができ、且つ、該磁石挿入用開口部の寸法精度や形状精度を上げることができる。
また、永久磁石片と外周コアとの間をボンド磁石からなる平滑層で隙間なく埋めているので、磁石磁束の減少を抑えることができるので、回転子を小型にすることができる。
また、平滑層を形成する時点では外周コアの内側に内周コアが装着されていないので、平滑層の形成が極めて容易に実施できる。
請求項2に係る発明によれば、永久磁石式回転子の回転時に永久磁石片の遠心力による荷重を外周コアを構成する全ての鋼板に均一に作用させることができ、一部の鋼板に過大な荷重が加わるのを阻止することができるので、永久磁石式回転子を小型化することができる。
また、永久磁石片と保持部との間をボンド磁石からなる平滑層で隙間なく埋めているので、磁石磁束の減少を抑えることができるので、回転子を小型にすることができる。
また、平滑層を形成する時点では外周コアの内側に内周コアが装着されていないので、平滑層の形成が極めて容易に実施できる。
請求項4に係る発明によれば、永久磁石式回転子の回転時に永久磁石片の遠心力による荷重を外周コアを構成する全ての鋼板に均一に作用させることができ、一部の鋼板に過大な荷重が加わるのを阻止することができるので、永久磁石式回転子を小型化することができる。
請求項6に係る発明によれば、内周コアと外周コアの周方向の位置決めが容易に且つ正確にできるので、永久磁石式回転子を精度よく組み立てることができる。
請求項7に係る発明によれば、隣接する分割コア同士の径方向の位置決めが容易に且つ正確にできるので、永久磁石式回転子を精度よく組み立てることができる。
請求項8に係る発明によれば、内周コアにおける磁石挿入用開口部の内壁を平滑にすることができ、且つ、該磁石挿入用開口部の寸法精度や形状精度を上げることができるので、永久磁石式回転子の組み立て手順として外周コアを装着する前に内周コアに永久磁石片を仮固定する場合に、永久磁石片の内周コアへの取り付け位置精度が向上し、永久磁石式回転子を精度よく組み立てることができる。
[実施例1]
初めに、この発明に係る永久磁石式回転子の製造方法の実施例1を図1および図2の図面を参照して説明する。
永久磁石式回転子(以下、回転子と略す)1Aは、ロータシャフト2と、ロータシャフト2に固定されたロータ鉄心3と、ロータ鉄心3に固定された焼結磁石からなる永久磁石片4を主要構成としている。
ロータ鉄心3は、環状の内周コア10と、この内周コア10の外側に嵌合された環状の外周コア20とからなり、内周コア10と外周コア20はいずれも珪素鋼板(電磁鋼板)を多数積層して構成されている。内周コア10の中央には円形の貫通孔11が設けられており、この貫通孔11にロータシャフト2が圧入固定されている。外周コア20の外周面は真円形をなしている。
詳述すると、図2に示すように、内周コア10の外周面には径方向内側に凹む凹部11が所定間隔おきに設けられ、外周コア20の内周面には径方向外側に凹む凹部21が内周コア10の凹部11に対向して設けられており、対向する凹部11,21同士が連結して磁石収容孔30が形成される。磁石収容孔30において径方向内側の内壁31と周方向両側の内壁32,33は直線的な平坦面に形成されており、径方向外側の内壁34は外周コア20の外周面に略平行な円弧面に形成されている。
外周コア20において凹部21よりも径方向外側の部分は、永久磁石片4を保持する保持部22になっており、隣り合う保持部22,22は、保持部22よりも径方向内側に突出する連結部23によって連結されている。つまり、外周コア20は保持部22と連結部23が交互に配置されるとともに、これらが一体化されて構成されている。
まず、珪素鋼板を打ち抜き加工して内周コア10と外周コア20の素材を必要枚数用意し、それら素材をそれぞれ所定枚数積層して積層方向にかしめ、凹部11の周方向位置を一致させた内周コア10と、凹部21の周方向位置を一致させた外周コア20を形成する。
次に、外周コア20の凹部21の径方向外側の内壁(つまり、磁石収容孔30の径方向外側の内壁34となる部分)にボンド磁石を隙間なく塗布し乾燥させて平滑層70を形成する。その際、平滑層70が固化する前に、治具を用いて平滑層70の径方向内側の面71を永久磁石片4の径方向外側の外周面4aと同じ曲率からなる平滑な円弧面に形成する。このように形成した平滑層70の径方向内側の面71は、外周コア20の積層方向に対しても面一になる。また、平滑層70を形成する時点では外周コア20の内側に内周コア10が嵌合されていないので、平滑層70の形成が極めて容易に実施できる。
この回転子1Aによれば、永久磁石片4の径方向外側の外周面4aが、ロータ鉄心3の軸方向全長に亘って、平滑層70の径方向内側の面71に面接触しているので、回転子1Aの回転時に永久磁石片4の遠心力による荷重を外周コア20を構成する全ての珪素鋼板に均一に作用させることができ、一部の珪素鋼板に過大な荷重が加わらなくなる。
また、永久磁石片4と保持部22との間をボンド磁石からなる平滑層70で隙間なく埋めているので、磁石磁束の減少を抑えることができ、回転子1Aを小型にすることができる。さらに、磁石収容孔30内での永久磁石片4のガタ付きを阻止することができるので、回転子1Aを回転したときに永久磁石片4が磁石収容孔30の内壁や平滑層70をたたくこともなく、異音発生を防止することができ、この回転子1Aを備えた回転電機(例えばモーター等)の静粛性を向上させることができる。
また、実施例1では内周コア10の外周面に設けた凹部11と、外周コア20の内周面に設けた凹部21を対向させて連結することにより磁石収容孔30を形成したが、内周コア10の外周面に径方向外側に突出する凸部を設け、この凸部の先部を外周コア20の凹部21内に挿入し、該凸部と凹部21の間を磁石収容孔にすることも可能である。
また、実施例1では内周コア10と外周コア20をいずれも珪素鋼板の積層体で構成したが、内周コア10については積層構造ではない一部材(無垢材)で構成してもよく、むしろその方が好ましい。内周コア10を非積層構造の一部材で構成すると、内周コア10における磁石収容孔30の内壁31,32,33を平滑に形成することができ、且つ、磁石収容孔30の寸法精度や形状精度を上げることができるので、外周コア20を装着する前に内周コア10に永久磁石片4を仮固定する場合に、永久磁石片4の内周コア10への取り付け位置精度が向上し、回転子1Aを精度よく組み立てることができる。
次に、この発明に係る永久磁石式回転子の製造方法の実施例2を図3から図7の図面を参照して説明する。
実施例2における回転子1Bも、実施例1のものと同様、ロータシャフト2と、ロータシャフト2に固定されたロータ鉄心3と、ロータ鉄心3に固定された焼結磁石からなる永久磁石片4を主要構成としている。
詳述すると、図4に示すように、分割コア40は内周コア部50と、この内周コア部50の外側に嵌合された外周コア部60とからなり、内周コア部50と外周コア部60はいずれも珪素鋼板(電磁鋼板)を多数積層して構成されている。そして、分割コア40を円環状に連結したときに、内周コア部50が連結して環状の内周コア10が形成され、外周コア部60が連結して環状の外周コア20が形成される。換言すると、ロータ鉄心3は、環状の内周コア10と、この内周コア10の外側に嵌合された環状の外周コア20とから構成されている
また、外周コア部60の外周面61も円弧状をなし、分割コア40を円環状に連結したときに、外周面61同士が連結して真円形の外周コア20の外周面を形成する。
詳述すると、内周コア部50の外周面中央には径方向外側に突出する凸部52が設けられ、外周コア部60の内周面中央には径方向外側に凹む凹部62が内周コア部50の凸部52に対向して設けられており、この凸部52の先部が外周コア部60の凹部62内に挿入されて、凸部52と凹部62の間が磁石収容孔30になっている。
外周コア部60において凹部62よりも径方向外側の部分は、永久磁石片4を保持する保持部63になっており、保持部63の周方向両側は保持部63よりも径方向内側に突出する連結部64,64になっている。したがって、磁石収容孔30は、内周コア10(内周コア部50)と外周コア20(外周コア部60)の保持部63および連結部64,64の間に形成されている。
このようにして分割コア40を円環状に連結すると、互いに隣接する外周コア部60,60の連結部64,64同士が接続され、外周コア20は保持部63と接続された連結部64,64とが交互に配置されるとともに、これらが一体化される。換言すると、ロータ鉄心3は、連結部64において周方向に分割された分割コア40を環状に連結して構成されている。
一方、閉塞層80は、外周コア部60の内側に内周コア部50を嵌合した後であって磁石収容孔30に永久磁石片4を収容した後に形成されたものである。
まず、珪素鋼板を打ち抜き加工して内周コア部50と外周コア部60の素材を必要枚数用意し、それら素材をそれぞれ所定枚数積層して積層方向にかしめ、凸部52の周方向位置を一致させた内周コア部50と、凹部62の周方向位置を一致させた外周コア部60を形成する。
次に、内周コア部50の凸部52に設けられた注入用凹溝53から、永久磁石片4と内周コア部50との間に形成される空間に、ボンド磁石を隙間なく注入し固化して閉塞層80を形成し、磁石収容孔30内での永久磁石片4の移動を不能にする。これで分割コア40が完成する。
この回転子1Bによれば、永久磁石片4の径方向外側の外周面4aが、ロータ鉄心3の軸方向全長に亘って、平滑層70の径方向内側の面71に面接触しているので、回転子1Bの回転時に永久磁石片4の遠心力による荷重を外周コア20を構成する全ての珪素鋼板に均一に作用させることができ、一部の珪素鋼板に過大な荷重が加わらなくなる。
また、永久磁石片4と内周コア部50との間をボンド磁石からなる閉塞層80で隙間なく埋めているので、磁石収容孔30内で永久磁石片4がガタ付かず、回転子1Bを回転したときに永久磁石片4が磁石収容孔30の内壁や平滑層70や閉塞層80をたたくこともないので、異音発生を防止することができ、この回転子1Bを備えた回転電機(例えばモーター等)の静粛性を向上させることができる。
この実施例2では、内周コア部50に嵌合凸部55aと嵌合凹部56aを設けるとともに、外周コア部60に嵌合凸部66aと嵌合凹部67aを設けて、それぞれを嵌合させて分割コア40を環状に連結しているが、嵌合凸部と嵌合凹部は内周コア部50のと外周コア部60のいずれか一方にあれば足り、他方を省略することも可能である。さらに、閉塞層80はなくして、内周コア部50の凸部52における径方向外側の壁面を永久磁石片4の径方向内側の壁面に密接させてもよい。図5は、外周コア部60に嵌合凸部66aと嵌合凹部67aを設けず、且つ、閉塞層80を設けない例における分割コア40の正面図である。
また、実施例2では、内周コア部50の外周面中央に凸部52を設け、この凸部52の先部を外周コア部60の凹部62内に挿入して、凸部52と凹部62の間を磁石収容孔30としたが、図7に示すように、内周コア部50の外周面に凹部57を設け、この凹部57と外周コア部60の内周面に設けた凹部62を対向配置させて、これらの間を磁石収容孔30としてもよい。
また、実施例2では内周コア10(内周コア部50)と外周コア20(外周コア部60)をいずれも珪素鋼板の積層体で構成したが、内周コア10(内周コア部50)については積層構造ではない一部材(無垢材)で構成してもよく、むしろその方が好ましい。
3 ロータ鉄心
4 永久磁石片
10 内周コア
20 外周コア
22 保持部
23 連結部
30 磁石収容孔(磁石挿入用開口部)
40 分割コア
54a 嵌合凹部
55 側壁
55a 嵌合凸部
56 側壁
56a 嵌合凹部
63 保持部
64 連結部
65a 嵌合凸部
66 側壁
66a 嵌合凸部
67 側壁
67a 嵌合凹部
70 平滑層
Claims (8)
- 鋼板を多数積層してなるロータ鉄心の外周近傍に設けられた複数の磁石挿入用開口部にそれぞれ永久磁石片が収容されてなる永久磁石式回転子の製造方法であって、
前記ロータ鉄心は内周コアとその外側に配置される環状の外周コアとに分割され、
前記磁石挿入用開口部は前記内周コアと前記外周コアとの間に形成されており、
焼結磁石からなる前記永久磁石片の装着前に、予め前記外周コアにおける前記磁石挿入用開口部の内壁にボンド磁石を塗布し前記永久磁石片の外周面と同じ形状の内周面を備えるよう形成した前記ボンド磁石からなる平滑層を、前記外周コアにおける前記磁石挿入用開口部の前記内壁に密着して設ける工程と、
前記平滑層の前記内周面または前記内周コアの前記磁石挿入用開口部に前記永久磁石片を装着し、前記外周コアの内周側に前記内周コアを装着する工程と、
を備えることを特徴とする永久磁石式回転子の製造方法。 - 前記平滑層をボンド磁石に代えて樹脂で形成することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転子の製造方法。
- 鋼板を多数積層してなるロータ鉄心の外周近傍に設けられた複数の磁石挿入用開口部にそれぞれ永久磁石片が収容されてなる永久磁石式回転子の製造方法であって、
前記ロータ鉄心は内周コアとその外側に配置される環状の外周コアとに分割され、
前記外周コアは、前記永久磁石片を外側から保持する保持部と、隣り合う2つの前記保持部を連結し該保持部よりも径方向内側に突出する連結部とが一体に形成されてなり、
前記磁石挿入用開口部は前記内周コアと前記外周コアの保持部および連結部の間に形成されており、
焼結磁石からなる前記永久磁石片の装着前に、予め前記保持部における前記磁石挿入用開口部の内壁にボンド磁石を塗布し前記永久磁石片の外周面と同じ形状の内周面を備えるよう形成した前記ボンド磁石からなる平滑層を、前記保持部における前記磁石挿入用開口部の前記内壁に密着して設ける工程と、
前記平滑層の前記内周面または前記内周コアの前記磁石挿入用開口部に前記永久磁石片を装着し、前記外周コアの内周側に前記内周コアを装着する工程と、
を備えることを特徴とする永久磁石式回転子の製造方法。 - 前記平滑層をボンド磁石に代えて樹脂で形成することを特徴とする請求項3に記載の永久磁石式回転子の製造方法。
- 前記ロータ鉄心は、前記連結部において周方向に分割された複数の分割コアを環状に連結してなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の永久磁石式回転子の製造方法。
- 前記内周コアと前記連結部には互いに嵌合して前記内周コアと前記外周コアを連結する嵌合凹部と嵌合凸部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の永久磁石式回転子の製造方法。
- 前記分割コアの周方向両側の側壁には、互いに嵌合して隣り合う2つの前記分割コア同士を連結する嵌合凹部と嵌合凸部が設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の永久磁石式回転子の製造方法。
- 前記内周コアは非積層構造の一部材で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の永久磁石式回転子の製造方法。
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