JP3704010B2 - 永久磁石式モータ及び永久磁石固定方法 - Google Patents

永久磁石式モータ及び永久磁石固定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、界磁として永久磁石を用いる永久磁石式モータに関し、特に、永久磁石式モータの回転子に永久磁石を固定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば回転子の外周面上から突出する複数の突極同士の間や、回転子の内部に貫設された磁石装着孔等に、永久磁石を装着して固定する場合、例えば稀土類磁石等のように焼結体からなり、脆性を有する永久磁石では、圧入して装着することはできないため、例えば突極同士の間や磁石装着孔等の寸法が永久磁石の寸法よりも大きくなるように、所定のクリアランスを設けておく必要がある。そして、永久磁石が装着された後には、このクリアランス分の隙間を埋めるようにして接着剤等を充填する。
ところで、回転子が回転すると永久磁石に遠心力が作用して、永久磁石が回転子の外周側へ変位しようとする。このため、永久磁石の内周面が接着剤等で回転子に接着されていても、例えば磁石装着孔の外周面と永久磁石の外周面との間、或いは突極同士の間に挿入された永久磁石の外周面と、突極同士の間から永久磁石が脱落するのを防止するために各突極の外周端から周方向に突出して設けられた爪部との間に、隙間等が残っていたり、接着剤等が入り込んでいると、回転子の回転時において、永久磁石が、磁石装着孔の外周面或いは突極の爪部に当接する位置まで、外周側へと変位したり、接着剤が固化して形成された接着層が、永久磁石の外周面と、磁石装着孔の外周面或いは突極の爪部との間に挟まれて圧壊してしまう恐れがある。
【0003】
このため、接着剤等を充填する場合には、予め、永久磁石の外周面を磁石装着孔の外周面或いは突極の爪部に当接させて、外周側へ変位しようとする永久磁石に対して機械的強度を確保しておき、永久磁石の内周面側に接着剤等を充填する方法が知られている。
図8は上述した従来技術の一例による永久磁石の固定方法により永久磁石1を固定してなる回転子2の要部斜視図であり、図9は図8に示すA−A線断面図であって、回転子2に永久磁石1を固定する際に用いる磁石装着装置3の要部側断面図である。
略円柱状の回転子2には、例えば、外周面上の周方向に所定の間隔を置いて複数の突極4,…,4が設けられており、隣り合う突極4,4の間に永久磁石1が装着されている。また、各突極4の外周端には周方向に突出した爪部5が設けられており、隣り合う突極4,4の間から永久磁石1が外周側に脱落するのを防止している。
また、磁石装着装置3は、隣り合う突極4,4の間に挿入された永久磁石1を、回転軸線O方向における両端部1a,1aにて、両側から挟み込むようにして挟持する挟持部6,6を備えて構成されている。
【0004】
以下に、この磁石装着装置3を用いて、回転子2に永久磁石1を固定する方法について説明する。
先ず、隣り合う突極4,4の間に永久磁石1を挿入する。
次に、磁石装着装置3の挟持部6,6で永久磁石1の両端部1a,1aを挟持して、永久磁石1を回転子2の外周側に変位させる。
そして、永久磁石1の外周面が突極4の爪部5に当接した時点で、永久磁石1の内周面1Bと、隣り合う突極4,4の間の着座面4Aとの間に画成された隙間に接着剤を加圧注入する。
次に、接着剤を加熱等して硬化させた後に、磁石装着装置3を永久磁石1から取り外す。
以上の手順を、回転子2に装着する複数の永久磁石1,…,1ごとに繰り返し行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような従来技術の一例による永久磁石の固定方法では、複数の永久磁石1,…,1ごとに磁石装着装置3を設置する必要があり、煩雑な手間が掛かるという問題がある。
また、接着剤を加圧注入するための特別な装置が必要であって、装置全体が複雑化するという問題がある。
しかも、例えば永久磁石1の両端部1a,1a等において、接着剤が所望の位置からはみ出した状態で硬化してしまうことを防止する手段が必要となり、接着剤によって、例えば永久磁石1と磁石装着装置3の挟持部6,6が固着されてしまう等の不具合が発生することを防止する必要があり、より一層、煩雑な手間が掛かるという問題ある。
さらに、接着剤が所望の位置からはみ出てしまった場合には、例えば表面処理等の新たな作業が必要になるという問題がある。
【0006】
一方、回転子の内部に貫設された磁石装着孔等に永久磁石を装着して固定した場合は、遠心力が作用した永久磁石の外周面は、磁石装着孔の外周面に面当たりして押しつけられるため、上述した従来技術の一例のように、突極4の爪部5に遠心荷重が集中することはなく、永久磁石の外周側に接着層が形成されていても、この接着層が圧壊することは抑制される。
このため、接着剤等を充填する際に、上述した従来技術の一例のように、磁石装着装置3を用いて永久磁石を磁石装着孔内の外周側に変位させておく必要はなく、複数の永久磁石ごとに磁石装着装置3を設置する手間を省くことができる。
しかしながら、上述した従来技術の一例と同様に、接着剤を加圧注入したり、所望の位置からはみ出した接着剤を処理する等の煩雑な手間が必要になる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、回転子に永久磁石を装着して固定する際に、専用の装置や煩雑な作業を必要とせず、永久磁石式モータの製作に要する費用を削減すると共に、制作工程を簡略化して生産性を向上させることが可能な永久磁石式モータ及び永久磁石固定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の永久磁石式モータ(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石式モータ10,20)は、永久磁石(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石15)を有する回転子(例えば、後述する実施の形態においては回転子12,22,32,42)と、この回転子を回転させる回転磁界を発生する固定子(例えば、後述する実施の形態においては固定子11)とを備えた永久磁石式モータであって、前記回転子の本体(例えば、後述する実施の形態においては着座面14A、又は磁石装着孔43の内周面43B)と、前記永久磁石の少なくとも内周部(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石15の内周面15B)との間には、不可逆的に熱膨張してなる樹脂材(例えば、後述する実施の形態においては樹脂材17)が備えられており、前記永久磁石の外周側には、前記回転子と一体に形成されて前記永久磁石が外周側へ変位するのを規制する磁石保持部材(例えば、後述する実施の形態においては爪部16、又は磁石装着孔43の外周面43A)が備えられており、前記樹脂材は、前記永久磁石を前記磁石保持部材に向かい押圧し、前記回転子は前記固定子に向かって突出する突極(例えば、後述する実施の形態においては突極14)を備えており、前記突極の外周部には周方向に突出する前記磁石保持部材(例えば、後述する実施の形態においては爪部16)が設けられており、前記永久磁石は前記突極に対して周方向に隣接して配置され、前記永久磁石の外周部(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石15の外周面15A)は前記固定子に向かって露出しており、前記永久磁石の周方向の端部(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石15の端部15a)は前記磁石保持部材と前記回転子の本体との間に挟み込まれるように配置され、前記端部は前記磁石保持部材に当接していることを特徴としている。
【0008】
上記構成の永久磁石式モータによれば、回転子本体と磁石保持部材との間に永久磁石を装着する際に、例えば隙間等が設けられていても、樹脂材17を所定温度に加熱することで不可逆的に熱膨張させて、この隙間を無くすことができる。
これにより、樹脂材の加熱以前においては、回転子の本体と磁石保持部材との間に、容易に永久磁石を挿入することができ、樹脂材の加熱後には、永久磁石を安定に固定することができる。しかも、樹脂材は永久磁石を外周側に向かって押圧した状態で固定するため、回転子の回転に伴って永久磁石に遠心力が作用しても、例えば樹脂材が永久磁石によって押し潰されることは無く、永久磁石の固定状態を良好に維持することができる。
【0010】
また、樹脂材によって永久磁石の端部が磁石保持部材に押圧固定されているため、回転子が回転して永久磁石に遠心力が作用した場合でも、機械的強度を確保することができ、隣り合う突極の間に安定に永久磁石を保持しておくことができる。
【0011】
また、請求項に記載の本発明の永久磁石固定方法は、永久磁石式モータ(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石式モータ10,20)の回転子(例えば、後述する実施の形態においては回転子12,22,32,42)に永久磁石を固定する永久磁石固定方法であって、前記回転子の本体(例えば、後述する実施の形態においては着座面14A、又は磁石装着孔43の内周面43B)と、前記永久磁石の少なくとも内周部(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石15の内周面15B)との間に、不可逆的に熱膨張可能な樹脂材(例えば、後述する実施の形態においては樹脂材17)を配置して、前記樹脂材を所定温度に加熱して不可逆的に熱膨張させ、前記樹脂材によって、前記永久磁石を、前記回転子と一体に形成されて前記永久磁石が外周側へ変位するのを規制する磁石保持部材(例えば、後述する実施の形態においては爪部16、又は磁石装着孔43の外周面43A)に向かい押圧し、前記回転子は前記固定子に向かって突出する突極(例えば、後述する実施の形態においては突極14)を備え、前記突極の外周部には周方向に突出する前記磁石保持部材(例えば、後述する実施の形態においては爪部16)を設け、前記永久磁石を前記突極に対して周方向に隣接して配置し、前記永久磁石の外周部(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石15の外周面15A)を前記固定子に向かって露出させ、前記永久磁石の周方向の端部(例えば、後述する実施の形態においては永久磁石15の端部15a)を前記磁石保持部材と前記回転子の本体との間に挟み込まれるように配置し、前記端部を前記磁石保持部材に当接させることを特徴としている。
【0012】
このような永久磁石固定方法によれば、例えば、専用の装置等を用いて永久磁石を外周側に変位させておいたり、永久磁石を固定するための接着剤等を加圧注入する作業が必要なく、永久磁石式モータの製作に要する費用を削減することができる。
しかも、樹脂材の加熱処理は、全ての永久磁石を回転子に装着した後に、一度だけ行えば良く、例えば、一個毎の永久磁石に対して個別に加熱処理を行う必要がないため、製作工程を簡略化して生産性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の永久磁石式モータの一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る永久磁石式モータ10の固定子11の一部を破断して示す要部斜視図であり、図2は図1に示す永久磁石式モータ10の略1/4円の平面図である。
本実施の形態による永久磁石式モータ10は、いわゆる永久磁石式の交流同期モータをなすものであって、略円筒状の固定子11と、この固定子11の内部に配置されて回転軸線O周りに回転可能とされた略円柱状の回転子12とを備えて構成されている。
略円筒状の固定子11は、その内周面上から径方向内側に向かって突出すると共に、回転軸線O方向に沿って伸びる複数のティース13,…,13を備えており、これらのティース13,…,13は周方向に所定間隔をおいて配置されており、各ティース13には固定子コイル(図示せず)がその中心軸を径方向に向けて巻回されている。
【0014】
略円柱状の回転子12は、例えば、珪素鋼板からなる複数の略円板状の磁性体と、複数の略円板状の電気的絶縁材とが、回転軸線Oと同軸に交互に積層されて形成されている。
回転子12は、その外周面上から径方向外側に向かって突出すると共に、回転軸線O方向に沿って伸びる複数の突極14,…,14を備えている。
そして、これらの突極14,…,14は周方向に所定間隔をおいて配置されており、隣り合う突極14,14の間に挟み込まれるようにして、回転軸線O方向に沿って伸びる略長方形板状の永久磁石15が装着されており、永久磁石15の外周面15Aが、固定子11の内周面に向かって露出している。
突極14には、その外周部から周方向の外側に向かって突出する2つの爪部16,16が設けられており、隣り合う突極14,14において、互いに対向する爪部16,16は、永久磁石15の周方向の両端部15a,15a近傍において外周面15Aに当接して、いわば永久磁石15を内周側に向かって押さえつけるようになっている。
【0015】
そして、永久磁石15の内周面15Bと、隣り合う突極14,14の間に形成された着座面14Aとの間には、例えば着座面14Aを覆うようにして、不可逆的に熱膨張可能な板状の樹脂材17が備えられている。
この樹脂材17は、例えば、一度だけ所定の温度に加熱されることで、内部に多数の気孔が形成されて発泡状態となり、その外形寸法が増大して不可逆的に熱膨張し、冷却後でもその体積を減少させることがないようになっている。
さらに、樹脂材17は接着性を有しており、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば住友スリーエム社製AF−3024とされている。
これにより、樹脂材17は永久磁石15の内周面15Bと着座面14Aとを接着して固定すると共に、永久磁石15を外周側に向かって押圧して、永久磁石15の外周面15Aを突極14の爪部16に押圧固定している。
【0016】
ここで、熱膨張後の樹脂材17の径方向の厚さt、すなわち永久磁石15の外周面15Aが突極14の爪部16に当接した状態での永久磁石15の内周面15Bと着座面14Aとの間の距離tは、特に限定されるものではないが、例えば0.8≦t≦0.9mm程度に設定されている。但し、この距離tはできるだけ小さな値であることが好ましく、永久磁石15を隣り合う突極14,14の間に挿入するために必要とされる所定のクリアランスc、例えば0.1≦c≦0.2mm程度を確保することを考慮して、より好ましくは、0.2≦t≦0.4mm程度に設定される。
さらに、熱膨張する以前での樹脂材17の厚さt0は、特に限定されるものではないが、例えば約0.7mm以下とされており、より好ましくは、上述した所定のクリアランスcと等しくなるように設定されている。
なお、この樹脂材17は、所定の温度、例えば180℃程度まで加熱されると、径方向に対して加熱前に比べて約2.4〜2.6倍程度まで膨張可能である。ただし、樹脂材17を不可逆的に熱膨張させるのに必要な温度は、特に限定されるものではないが、永久磁石15が減磁することを防ぐために、好ましくは200℃以下とされている。
また、樹脂材17は、特に限定されるものではないが、例えば電気的絶縁性を有しており、好ましくは電気的絶縁性と耐熱性とを有している。ここで、耐熱性を有する場合、その適用可能な温度範囲は、特に限定されるものではないが、例えば200℃以下において、電気的絶縁性が著しく悪化したり、或いは変形や溶融等を起こすことがないものが好ましい。
【0017】
なお、突極14の外周面14B及び永久磁石15の外周面15Aは、例えば回転軸線Oを中心とする所定の同一外径を有しており、両外周面14B,15Aは、固定子11のティース13の内周面に対して所定の間隔をおいて近接配置されている。そして、永久磁石15は、例えば径方向に磁化されており、周方向に所定の間隔をおいて配置された複数の永久磁石15,…,15は、隣り合う永久磁石15,15の磁化方向が互いに反対方向となるように、すなわち外周側がN極とされた永久磁石15には、外周側がS極とされた他の永久磁石15が隣接するように配置されている。
【0018】
本実施の形態による永久磁石式モータ10は上記構成を備えており、次に、この永久磁石式モータ10の製作過程において、特に、永久磁石15を回転子12に固定する方法について添付図面を参照しながら説明する。ここで、図3(a)〜(c)は、永久磁石15を回転子12に装着して固定するまでの各工程について示す図である。
【0019】
先ず、図3(a)に示すように、回転子12の外周側にて、隣り合う突極14,14の間に形成された着座面14A上を被覆するようにして、板状の樹脂材17を接着する。
次に、図3(b)に示すように、隣り合う突極14,14の間に永久磁石15を挿入して、永久磁石15の内周面15Bを樹脂材17に接着させる。
次に、樹脂材17を所定の温度、例えば180℃程度まで加熱して、不可逆的に熱膨張させる。
これにより、図3(c)に示すように、永久磁石15が外周側に向かって変位させられ、永久磁石15の外周面15Aが、隣り合う突極14,14にて互いに対向する爪部16,16に押圧固定される。
【0020】
上述したように、本実施の形態による永久磁石式モータ10によれば、永久磁石15の外周面15Aが突極14の爪部16に当接した状態で固定されているため、回転子12が回転して永久磁石15に遠心力が作用した場合でも、機械的強度を確保した状態で、隣り合う突極14,14の間に安定に永久磁石15を保持しておくことができる。
さらに、樹脂材17は不可逆的に熱膨張するだけなので、例えば永久磁石式モータ10の運転時に温度が上昇した場合であっても、樹脂材17の体積は変化することが無く、しかも、耐熱性を有するため、変形や溶融等が生じることが無く、永久磁石式モータ10の運転状態に左右されずに、永久磁石15を突極14の爪部16に、安定に押圧固定することができる。
さらに、樹脂材17は電気的絶縁性を有していることから、回転子12において、複数の電気的絶縁材と共に積層構造をなす複数の磁性体同士の間に、電気的な導通経路を形成してしまうことを防ぐことができ、渦電流損を低減することで回転子12の温度上昇や鉄損を低減して、永久磁石式モータ10を低損失、かつ高効率にて運転することができる。
【0021】
また、本実施の形態による永久磁石固定方法によれば、例えば、予め永久磁石15を外周側に変位させて、永久磁石15の外周面15Aと突極14の爪部16とを当接させておく必要がないことから、永久磁石15を変位させるための専用の装置等が必要なく、しかも、樹脂材17は加熱以前において例えば板状等の形状を有する固体状態であり、例えば粘性を有する液体状の接着剤等を加圧注入するための専用の装置等も必要ないことから、永久磁石式モータ10の製作に要する費用を削減することができる。
しかも、複数の永久磁石15,…,15を装着する際にも、これら全ての永久磁石15,…,15及び樹脂材17,…,17を、複数の隣り合う突極14,…,14の間に装着した後に、一度だけ加熱処理を行うだけで済み、例えば、一個毎の永久磁石15に対して個別に加熱処理を行う必要がなく、製作工程を簡略化して生産性を向上させることができる。
【0022】
なお、本実施形態においては、着座面14Aを覆うようにして板状の樹脂材17が備えられるとしたが、これに限定されず、図4に示す本実施形態の第1変形例に係る回転子22のように、着座面14A上に複数、例えば2つの板状の樹脂材17,17が所定の間隔おいて離間して配置されていても良い。さらに、図5に示す本実施形態の第2変形例に係る回転子32のように、永久磁石15の内周面15Bに加えて側面15Cを取り囲むようにして樹脂材17が配置されても良く、この場合は、隣り合う突極14,14の間に固定される永久磁石15の安定性を、より一層、向上させることができる。
なお、本実施形態においては、永久磁石15を回転子12に固定する際に、先ず着座面14A上を樹脂材17で被覆してから、隣り合う突極14,14の間に永久磁石15を挿入するとしたが、これに限定されず、図6に示す本実施形態の第3変形例に係る回転子12の分解図のように、先ず、永久磁石15の内周面15B上を被覆するように樹脂材17を接着して、これらの永久磁石15及び樹脂材17を、隣り合う突極14,14の間に挿入しても良い。
ただし、上述した実施形態のように、先ず、着座面14A上を樹脂材17で被覆してから、次に、永久磁石15を挿入する方法の場合は、例えば樹脂材17が接着性を有していたり、屈曲等の変形しやすいシート状であったり、或いは積層構造を有する回転子12本体の表面に、例えば多少の凹凸等がある場合でも、隣り合う突極14,14の間に十分なスペースがあるために、樹脂材17を装着しやすいという利点がある。
【0023】
なお、本実施形態においては、永久磁石15の外周面15Aが固定子11の内周面に向かって露出しているとしたが、これに限定されず、図7に示す本実施形態の第4変形例に係る永久磁石式モータ20の略1/4円の平面図のように、回転子42の外周部近傍において、複数の永久磁石15,…,15が周方向に所定の間隔をおいて埋め込まれていても良い。
すなわち、この交流モータ20は、固定子11と、回転子42とを備えて構成されており、略円柱状の回転子42は、例えば珪素鋼板からなる複数の略円板状の磁性体と、複数の略円板状の電気的絶縁体とが、回転軸線O方向に沿って交互に積層されて形成されている。そして、回転子22の内部であって外周部近傍には、回転軸線O方向に沿って伸びる複数の磁石装着孔43,…,43が、周方向に所定の間隔をおいて貫設されている。
磁石装着孔43は、回転軸線O方向に対する断面が、例えば略長方形状に形成されており、この磁石装着孔43の内周面43Bと永久磁石15の内周面15Bとの間には、板状の樹脂材17が備えられている。そして、樹脂材17によって永久磁石15の内周面15Bと磁石装着孔43の内周面43Bとが接着固定されると共に、永久磁石15が外周側に向かって押圧されて、永久磁石15の外周面15Aが磁石装着孔43の外周面43Aに面当たりするように押しつけられている。
なお、この永久磁石式モータ20においては、永久磁石15の外周面15Aと磁石装着孔43の外周面43Aとの間に樹脂材17が入り込んでいても良い。
【0024】
なお、本実施形態においては、樹脂材17は、接着性を有しているとしたが、これに限定されず、接着性の無いものであっても良い。要するに、永久磁石15を外周側に向かい押圧していれば良く、このような作用が、永久磁石式モータ10,20の運転状態に応じて消滅することが無ければよい。なお、この場合、回転軸線Oと平行な方向に関しては、永久磁石15の両端部を適宜の固定部材等によって、例えば両側から挟み込む等により、機械的に固定しておけば良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明の永久磁石式モータによれば、回転子の本体と磁石保持部材との間に、容易に永久磁石を挿入することができ、永久磁石を安定に固定することができる。
さらに機械的強度を確保して、隣り合う突極の間に安定に永久磁石を保持しておくことができる。
また、請求項に記載の本発明の磁石固定方法によれば、永久磁石式モータの製作に要する費用を削減することができ、製作工程を簡略化して生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る永久磁石式モータの固定子の一部を破断して示す要部斜視図である。
【図2】 図1に示す永久磁石式モータの略1/4円の平面図である。
【図3】 永久磁石を回転子に固定する各工程について示す図である。
【図4】 本実施形態の第1変形例に係る回転子の要部平面図である。
【図5】 本実施形態の第2変形例に係る回転子の要部平面図である。
【図6】 本実施形態の第3変形例に係る回転子と永久磁石を分解して示す要部平面図である。
【図7】 本実施形態の第4変形例に係る永久磁石式モータの略1/4円の平面図である。
【図8】 従来技術の一例による永久磁石の固定方法により永久磁石を固定してなる回転子の要部斜視図である。
【図9】 図8に示すA−A線断面図であって、回転子に永久磁石を固定する際に用いる磁石装着装置の要部側断面図である。
【符号の説明】
10,20 永久磁石式モータ
11 固定子
12,22,32,42 回転子
14 突極
15 永久磁石
16 爪部(磁石保持部材)
17 樹脂材
43 磁石装着孔

Claims (2)

  1. 永久磁石を有する回転子と、この回転子を回転させる回転磁界を発生する固定子とを備えた永久磁石式モータであって、
    前記回転子の本体と、前記永久磁石の少なくとも内周部との間には、不可逆的に熱膨張してなる樹脂材が備えられており、
    前記永久磁石の外周側には、前記回転子と一体に形成されて前記永久磁石が外周側へ変位するのを規制する磁石保持部材が備えられており、
    前記樹脂材は、前記永久磁石を前記磁石保持部材に向かい押圧し、
    前記回転子は前記固定子に向かって突出する突極を備えており、前記突極の外周部には周方向に突出する前記磁石保持部材が設けられており、
    前記永久磁石は前記突極に対して周方向に隣接して配置され、前記永久磁石の外周部は前記固定子に向かって露出しており、
    前記永久磁石の周方向の端部は前記磁石保持部材と前記回転子の本体との間に挟み込まれるように配置され、前記端部は前記磁石保持部材に直接当接していることを特徴とする永久磁石式モータ。
  2. 永久磁石式モータの回転子に永久磁石を固定する永久磁石固定方法であって、
    前記回転子の本体と、前記永久磁石の少なくとも内周部との間に、不可逆的に熱膨張可能な樹脂材を配置して、
    前記樹脂材を所定温度に加熱して不可逆的に熱膨張させ、
    前記樹脂材によって、前記永久磁石を、前記回転子と一体に形成されて前記永久磁石が外周側へ変位するのを規制する磁石保持部材に向かい押圧し、
    前記回転子は前記固定子に向かって突出する突極を備え、前記突極の外周部には周方向に突出する前記磁石保持部材を設け、
    前記永久磁石を前記突極に対して周方向に隣接して配置し、前記永久磁石の外周部を前記固定子に向かって露出させ、
    前記永久磁石の周方向の端部を前記磁石保持部材と前記回転子の本体との間に挟み込まれるように配置し、前記端部を前記磁石保持部材に直接当接させることを特徴とする永久磁石固定方法。
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