以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による発電機1を含む風力発電システム100の構成について説明する。なお、発電機1は、本発明の「回転電機」の一例である。
図1に示すように、風力発電システム100は、発電機1と、ナセル2と、ロータハブ3と、ブレード4と、タワー(支持柱)5とにより構成されている。発電機1は、ナセル2の内部に収容されている。また、ロータハブ3は、発電機1の後述するシャフト21に接続されている。また、ロータハブ3には、複数のブレード4が取り付けられている。また、ナセル2は、タワー5に取り付けられている。
次に、図2〜図9を参照して、本発明の第1実施形態による発電機1の構成について説明する。
図2に示すように、発電機1は、ステータ10と、ロータ20とを備えている。ステータ10は、ロータ20の外周面に対向するように所定の空間(ギャップ)を隔てて配置されている。また、ステータ10は、ロータ20を取り囲む円筒形状を有している。また、ステータ10は、複数のスロット11aが形成されたステータコア11と、巻線12とにより構成されている。なお、複数のスロット11aは、ステータコア11の内周に沿って略等角度間隔で配置されている。また、巻線12は、スロット11a間に、集中巻または分布巻によって巻回されている。
ロータ20は、シャフト21と、ロータホイール22と、ロータヨーク23と、ロータコア24とにより構成されている。なお、シャフト21は、本発明の「回転軸部」の一例である。
シャフト21は、ロータホイール22の中央部近傍に設けられるシャフト挿入穴22aに挿入されることにより、ロータ20の中心を貫通してX方向(図1参照)(以下、軸方向と呼ぶ)に延びるように設けられている。また、ロータホイール22は、シャフト21を取り囲むとともに、ロータヨーク23の内周面に接する円板状に形成されている。このロータホイール22には、軸方向に貫通する複数の開口部22bが設けられている。また、ロータヨーク23は、シャフト21を取り囲むとともに、円板状のロータホイール22の外周部に接する内周面を有する円筒形状に形成されている。なお、図5および図6に示すように、円筒形状のロータヨーク23の軸方向の長さLは、円板状のロータホイール22の厚みtよりも大きくなるように構成されている。
図2に示すように、ロータコア24は、ロータヨーク23の外周面上に配置される内周面を有する円筒形状を有している。また、ロータコア24は、図5および図6に示すように、軸方向に重なるように積層された複数の電磁鋼板により構成されている。第1実施形態では、ロータコア24は、軸方向の中央部において2つに分割されている。すなわち、ロータコア24は、軸方向に重なるように配置されたロータコア24a(軸方向の一方側(図1の矢印A方向側)のロータコア24)と、ロータコア24b(軸方向の他方側(図1の矢印B方向側)のロータコア24)とにより構成されている。なお、ロータコア24aおよび24bは、本発明の「第1ロータコア」および「第2ロータコア」の一例である。
図2〜図4に示すように、ロータコア24aおよび24bには、それぞれ、複数の永久磁石30および31が回転方向(以下、周方向と呼ぶ)に沿って間隔を隔てて周状に埋め込まれている。このように永久磁石30(31)が埋め込まれたロータコア24a(24b)の構造は、一般に、IPM(Interior Permanent Magnet)構造と呼ばれている。
ここで、第1実施形態では、図2および図3に示すように、ロータコア24aは、永久磁石30を有する第1磁極部241aと、永久磁石30を有さない第2磁極部242aとが1つずつ交互に周状に配置されることにより構成されている。同様に、第1実施形態では、図4に示すように、ロータコア24bは、永久磁石31を有する第1磁極部241bと、永久磁石31を有さない第2磁極部242bとが1つずつ交互に周状に配置されることにより構成されている。
なお、後述するように、複数の永久磁石30は、共に、半径方向の着磁方向が同一となるように(外周側がN極となるように)着磁されている。また、複数の永久磁石31は、共に、半径方向の着磁方向が同一(永久磁石30とは反対の着磁方向)となるように(外周側がS極となるように)着磁されている。このように半径方向の着磁方向が同一となるように複数の永久磁石30(31)が周状に配置されたロータコア24a(24b)の構造は、一般に、コンシクエントポール構造と呼ばれている。
また、第1実施形態では、図3および図4に示すように、第1磁極部241a(241b)は、永久磁石30(31)の外周側を覆う磁石被覆部243と、永久磁石30(31)の両側端面を露出する2つの空隙244と、2つの空隙244のそれぞれに対応するように設けられる2つの連結部245とを含むように構成されている。
磁石被覆部243の外周側の表面は、軸方向から見て、永久磁石30(31)の中央部に対応する部分を頂部とする凸形状を有するように形成されている。また、空隙244の連結部245側でかつ第2磁極部242側の角部244aは、円弧状の断面形状を有するように形成されている。また、連結部245は、磁石被覆部243と、第1磁極部241a(241b)に隣接する2つの第2磁極部242a(242b)とをロータコア24a(24b)の外周に沿って連結する薄肉状に形成されている。なお、第1実施形態では、連結部245の半径方向の厚みt1は、磁石被覆部243の半径方向の厚みt2よりも小さくなるように構成されている。たとえば、連結部245の半径方向の厚みt1は、約1mm以上約1.5mm以下であるとともに、磁石被覆部243の中央部の半径方向の厚みt2は、約3mm以上約4mm以下である。
また、第1実施形態では、図3、図4および図8に示すように、第1磁極部241a(241b)には、空隙244に連続するように、永久磁石30(31)を取り付けるための孔部246a(246b)が設けられている。この孔部246a(246b)には、永久磁石30(31)の後述する傾斜部30a(31a)のうちのロータコア24a(24b)の内周側の部分と当接することにより係合する一対の係合部247が設けられている。これら一対の係合部247の間の周方向の幅は、ロータコア24a(24b)の内周側から外周側に向かうにしたがって徐々に小さくなるように構成されている。
また、第1実施形態では、永久磁石30(31)は、軸方向から見て略台形形状の断面を有するように形成されている。すなわち、永久磁石30(31)の両側端面には、永久磁石30(31)の周方向の幅がロータコア24a(24b)の内周側から外周側に向かうにしたがって徐々に小さくなるように傾斜部30a(31a)が設けられている。
また、第1実施形態では、ロータコア24aの第1磁極部241aに埋め込まれる永久磁石30と、ロータコア24bの第1磁極部241bに埋め込まれる永久磁石31とは、外周側において互いに異なる極性を有するように着磁されている。具体的には、図3に示すように、永久磁石30は、ロータコア24aの孔部246aに接着剤などを介して取り付けられた状態で、外周側がN極となるように着磁されている。また、図4に示すように、永久磁石31は、ロータコア24bの孔部246bに接着剤などを介して取り付けられた状態で、外周側がS極となるように着磁されている。
また、第1実施形態では、図3〜図6に示すように、ロータコア24aとロータコア24bとは、回転方向に所定の角度(電気角で180度)ずれた状態で軸方向に重なるように配置されている。すなわち、ロータコア24aとロータコア24bとは、ロータコア24aの第1磁極部241aとロータコア24bの第2磁極部242bとが対応するとともに、ロータコア24aの第2磁極部242aとロータコア24bの第1磁極部241bとが対応するように配置されている。なお、ロータコア24aおよび24bの軸方向の長さは、それぞれ、ロータヨーク23の軸方向の長さLの半分の長さ(L/2)となっている。
また、第1実施形態では、図2〜図4に示すように、ロータコア24a(24b)は、複数のコア部240を含むように周方向に分割可能に構成されている。これら複数のコア部240の境界部分は、ロータコア24a(24b)の第2磁極部242a(242b)に対応する部分に配置されている。具体的には、複数のコア部240の境界部分は、第2磁極部242a(242b)の磁気的な境界部分(第2磁極部242a(242b)の周方向の中心部)に配置されている。すなわち、複数のコア部240の境界部分は、ロータコア24(24a)の内部において永久磁石30により発生される静磁界の線対称軸(図7の直線l1参照)に重なるように配置されている。
また、第1実施形態では、図3および図4に示すように、複数のコア部240の境界部分は、4つの第2磁極部242a(242b)毎に配置されている。すなわち、複数のコア部240は、4つの第2磁極部242a(242b)の各々の間に配置されている3つの第1磁極部241a(241b)を含むように構成されている。なお、図2〜図4および図8に示すように、複数のコア部240は、それぞれ、円筒形状のロータコア24a(24b)を略等角度間隔に分割した略同一の形状(軸方向から見て略円弧形状)を有するように形成されている。
また、図2〜図7に示すように、ロータコア24a(24b)の内周部とロータヨーク23とは、ナット41と、ナット41に螺合するボルト42とにより締結されている。ナット41およびボルト42は、ロータコア24a(24b)の内周部の第2磁極部242a(242b)に対応する部分に配置されているとともに、ロータコア24a(24b)を構成する複数のコア部240の境界部分に配置されている。
ナット41は、図5および図6に示すように、ロータコア24a(24b)の内周部の後述するナット挿入穴240aに挿入されるように構成されている。また、ナット41は、ナット挿入穴240aに挿入された状態で軸方向に延びるように構成されている。具体的には、図9に示すように、ナット41は、長さL/2を有する直方体形状に形成されている。このナット41には、内面に雌ねじが形成されたねじ孔41aがナット41の延びる方向(軸方向)に沿って複数(第1実施形態では、2つ)設けられている。また、ボルト42は、ロータヨーク23の内周面の後述するボルト挿入穴23a(図5および図6参照)に挿入されるように構成されている。また、ボルト42は、ロータコア24a(24b)を構成するコア部240の後述する溝部240b(図3〜図8参照)を介してナット41のねじ孔41aに螺合するように構成されている。
ナット挿入穴240aは、図3、図4、図7および図8に示すように、ロータコア24a(24b)を構成するコア部240の内周部に複数設けられている。これら複数のナット挿入穴240aの各々は、軸方向から見てナット41と略同じ大きさを有する矩形形状に形成されている。また、溝部240bは、複数のナット挿入穴240aの各々に対応するように複数設けられている。これら複数の溝部240bの各々は、ナット挿入穴240aと、ロータコア24a(24b)を構成するコア部240の内周面とを接続する溝状に形成されている。なお、図8に示すように、溝部240bの溝幅W1は、ナット挿入穴240aの穴幅W2よりも小さくなるように構成されている。また、図3および図4に示すように、複数のナット挿入穴240aおよび溝部240bは、ロータコア24a(24b)の周方向に沿って略等角度間隔で配置されている。また、図5および図6に示すように、複数のナット挿入穴240aおよび溝部240bは、軸方向に沿って延びるように設けられている。
ボルト挿入穴23aは、図5および図6に示すように、円筒形状のロータヨーク23の内周面のうちのロータホイール22からはみ出した部分(ロータホイール22とロータヨーク23とが接している部分以外の部分)に、ロータヨーク23の内周面と外周面とを貫通するように設けられている。このボルト挿入穴23aは、ナット挿入穴240aにナット41が挿入された状態でナット41とボルト42とが螺合可能なように、ナット41の延びる方向(軸方向)に沿って複数(第1実施形態では、2つ)設けられている。
なお、図3、図4および図6〜図8に示すように、ロータコア24a(24b)を構成するコア部240の内周面には、軸方向に延びる第1キー挿入溝240cが形成されている。また、ロータヨーク23の外周面には、第1キー挿入溝240cに対応するように第2キー挿入溝23bが形成されている。これら第1キー挿入溝240cおよび第2キー挿入溝23bからなるキー挿入穴50には、平行キーなどからなるキー部材43が挿入されている。このキー挿入穴50は、ロータコア24a(24b)の内周部とロータヨーク23の外周部とが接する部分において、周方向に沿って略等角度間隔(図2参照)で複数配置されている。具体的には、キー挿入穴50は、ロータコア24a(24b)を構成するコア部240の内周部の周方向に沿った方向の中央部近傍に配置されている。
次に、図2〜図11を参照して、本発明の第1実施形態による発電機1のロータ20の組み立て手順について説明する。
まず、図2、図5および図6に示すように、シャフト21を円板状のロータホイール22のシャフト挿入穴22aに挿入するとともに、ロータホイール22の外周部に円筒形状のロータヨーク23を取り付ける。
次に、図2〜図4および図7に示すように、ロータヨーク23の外周面上に、複数のコア部240からなるロータコア24(ロータコア24aおよび24b)を取り付ける。具体的には、略円弧形状の複数のコア部240(図8参照)を、円筒形状のロータヨーク23の外周面上に周状に組み合わせて配置する。これにより、ロータヨーク23の外周面に接する内周面を有する円筒形状の2つのロータコア24aおよび24bを構成する。
なお、このとき、ロータコア24aに埋め込まれた永久磁石30と、ロータコア24bに埋め込まれた永久磁石31とが外周側において互いに異なる極性を有するようにロータコア24aおよび24bを構成する。具体的には、ロータコア24aに埋め込む永久磁石30の外周側の極性をN極とするとともに、ロータコア24bに埋め込む永久磁石31の外周側の極性をS極とするようにロータコア24aおよび24bを構成する。
また、このとき、ロータコア24aとロータコア24bとを回転方向に所定の角度(電気角で180度)ずらした状態で、ロータヨーク23の外周面上にロータコア24aおよび24bを軸方向に重ねて配置する。具体的には、ロータコア24aの第1磁極部241aとロータコア24bの第2磁極部242bとを対応させるとともに、ロータコア24aの第2磁極部242aとロータコア24bの第1磁極部241bとを対応させるように、ロータヨーク23の外周面上にロータコア24aおよび24bを配置する。
次に、ロータコア24a(24b)を構成するコア部240の溝部240bと、ロータヨーク23のボルト挿入穴23aとの位置を合わせる。また、ロータコア24a(24b)のコア部240の第1キー挿入溝240cと、ロータヨーク23の第2キー挿入溝23bとの位置を合わせる。
次に、図10に示すように、ロータヨーク23と、ロータヨーク23の外周面上に配置したロータコア24a(24b)の内周部とを、ナット41およびボルト42により締結する。具体的には、まず、ロータコア24a(24b)のコア部240のナット挿入穴240aに対して、直方体形状のナット41(図9参照)を軸方向に挿入する。そして、ロータヨーク23のボルト挿入穴23aに対してボルト42をロータヨーク23の内側から挿入する。そして、上記のように位置を合わせたロータヨーク23のボルト挿入穴23aおよびロータコア24a(24b)のコア部240の溝部240bを介して、ナット41のねじ孔41aにボルト42を螺合する。
最後に、図11に示すように、上記のように位置を合わせたロータコア24a(24b)のコア部240の第1キー挿入溝240cおよびロータヨーク23の第2キー挿入溝23bからなるキー挿入穴50に対して、平行キーなどからなるキー部材43を軸方向に挿入する。このようにして、本発明の第1実施形態による発電機1のロータ20の組み立てが行われる。
第1実施形態では、上記のように、ロータコア24(ロータコア24aおよび24b)を、複数のコア部240を含むように周方向に分割可能に構成する。これにより、円環状に打ち抜いた鋼板によりロータコア24を構成する場合に比べて、ロータコア24を製造する際に無駄になる材料をより少なくすることができるので、ロータコア24の材料の歩留まりを向上させることができる。また、一般に、風力発電システム100の発電機1に使用されるロータコア24は、サイズが大きいため、材料の無駄が発生しやすい。この場合に、第1実施形態では、ロータコア24の材料の歩留まりを向上させることができるので、風力発電システム100に適したロータコア24を提供することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、複数のコア部240の境界部分を、ロータコア24a(24b)の第2磁極部242a(242b)に対応する部分に配置する。これにより、永久磁石30(31)が取り付けられていない第2磁極部242a(242b)においてロータコア24a(24b)が分割されるので、ロータコア24a(24b)の磁気特性が低下するのを抑制することができる。その結果、発電機1の発電効率が低下するのを抑制することができる。また、永久磁石30(31)を取り付けるための孔部246a(246b)が設けられた第1磁極部241a(241b)においてロータコア24a(24b)が分割される場合と異なり、ロータコア24a(24b)の機械的強度が低下するのをより抑制することができる。また、ロータコア24a(24b)の組み立て精度をより向上させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、複数のコア部240の境界部分を、ロータコア24a(24b)の第2磁極部242a(242b)の磁気的な境界部分(図7の直線l1参照)に配置する。これにより、第2磁極部242a(242b)のうちの磁気的な影響の最も小さい部分においてロータコア24a(24b)が分割されるので、ロータコア24a(24b)の磁気特性が低下するのをより抑制することができる。その結果、発電機1の発電効率が低下するのをより抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、複数のコア部240の境界部分を、4つの第2磁極部242a(242b)毎に配置する。これにより、ロータコア24a(24b)を全ての第2磁極部242a(242b)において分割する場合に比べて、ロータコア24a(24b)の分割数をより少なくすることができるので、ロータコア24a(24b)を分割数が多くなることに起因してロータコア24a(24b)の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1磁極部241a(241b)の外周部近傍に、永久磁石30(31)と係合する係合部247を設ける。これにより、永久磁石30(31)を係合部247と係合させることにより、容易に、永久磁石30(31)を第1磁極部241a(241b)の外周部近傍に取り付けることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、永久磁石30(31)の側端面に、永久磁石30(31)の周方向の幅が内周側から外周側に向かうにしたがって徐々に小さくなるように傾斜部30aを設け、係合部247を、永久磁石30(31)の傾斜部30aと当接することにより係合するように構成する。これにより、永久磁石30(31)を係合部247から外れにくくすることができるので、永久磁石30(31)を第1磁極部241a(241b)の外周部近傍に強固に固定することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1磁極部241a(241b)の外周部近傍に、永久磁石30(31)の外周側の表面を覆う磁石被覆部243を設ける。これにより、磁石被覆部243により、ロータコア24が回転される際の遠心力によって永久磁石30(31)が外周側に外れるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、軸方向に重なるように配置したロータコア24aとロータコア24bとによりロータコア24を構成し、ロータコア24aの永久磁石30とロータコア24bの永久磁石31とを、外周側において互いに異なる極性を有するように着磁する。また、ロータコア24aの第1磁極部241aとロータコア24bの第2磁極部242bとが対応するとともに、ロータコア24aの第2磁極部242aとロータコア24bの第1磁極部241bとが対応するように、回転方向に所定の角度(電気角で180度)ずれた状態で軸方向に重なるようにロータコア24aとロータコア24bとを配置する。これにより、ロータコア24aとロータコア24bとからなるロータコア24には、軸方向から見て、外周側において互いに異なる極性を有するように着磁された永久磁石30および31が1つずつ交互に周状に配置されることになるので、ロータコア24から磁束をバランスよく発生させることができる。
(第2実施形態)
次に、図12および図13を参照して、本発明の第2実施形態による発電機1aのロータ20aの構成について説明する。この第2実施形態では、永久磁石30(31)が軸方向から見て略台形形状の断面を有するように形成される上記第1実施形態と異なり、永久磁石32(33)が軸方向から見て略長方形形状の断面を有するように形成される例について説明する。なお、発電機1aは、本発明の「回転電機」の一例である。
図12および図13に示すように、第2実施形態によるロータ20aのロータコア25は、ロータコア25aとロータコア25bとが回転方向に所定の角度(電気角で180度)ずれた状態で軸方向に重なって配置されることにより構成されている。なお、ロータコア25aおよび25bは、本発明の「第1ロータコア」および「第2ロータコア」の一例である。
ロータコア25a(25b)は、複数のコア部250を含むように周方向に分割可能に構成されている。これら複数のコア部250には、それぞれ、ナット41を挿入するためのナット挿入穴250aと、ボルト42を挿入するための溝部250bと、キー部材43を挿入するためのキー挿入穴51を構成する第1キー挿入溝250cとが形成されている。
また、ロータコア25a(25b)は、永久磁石32(33)を有する複数の第1磁極部251a(251b)と、永久磁石32(33)を有さない複数の第2磁極部252a(252b)とが1つずつ交互に周状に配置されることにより構成されている。なお、図12に示すように、第1磁極部251aの後述する孔部256aには、外周側がN極となるように着磁された永久磁石32が接着剤などを介して埋め込まれている。また、図13に示すように、第1磁極部251bの後述する孔部256bには、外周側がS極となるように着磁された永久磁石33が接着剤などを介して埋め込まれている。すなわち、ロータコア25aおよび25bは、共に、IPM構造で、かつ、コンシクエントポール構造を有するように構成されている。
図12および図13に示すように、第1磁極部251a(251b)は、永久磁石32(33)の外周側を覆う磁石被覆部253と、永久磁石32(33)の両側端面を露出する2つの空隙254と、2つの空隙254のそれぞれに対応するように設けられる2つの連結部255とを含むように構成されている。また、第1磁極部251a(251b)には、空隙254に連続するように、永久磁石32(33)を取り付けるための孔部256a(256b)が設けられている。
ここで、第2実施形態では、永久磁石32(33)は、軸方向から見て長方形形状の断面を有するように形成されている。すなわち、永久磁石32(33)の両側端面は、互いに略平行になるように構成された平行部32a(33a)が設けられている。
また、第2実施形態では、ロータコア25a(25b)の第1磁極部251a(251b)の孔部256a(256b)には、永久磁石32(33)の平行部32a(33a)のうちのロータコア25a(25b)の内周側の部分と当接することにより係合する一対の係合部257が設けられている。これら一対の係合部257の間の周方向の幅は、ロータコア25a(25b)の内周側と外周側とで略等しくなるように構成されている。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、永久磁石32(33)の両側端面が互いに略平行になるように略長方形形状の断面を有するように永久磁石32(33)を形成する。これにより、永久磁石32(33)を略長方形形状以外の形状(たとえば、扇形形状)に形成する場合と異なり、永久磁石32(33)を容易に製造することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図14〜図17を参照して、本発明の第3実施形態による発電機1bのロータ20bの構成について説明する。この第3実施形態では、永久磁石30(31)の外周側の表面が磁石被覆部243により覆われる上記第1実施形態と異なり、永久磁石30(31)の外周側の表面が露出される例について説明する。なお、発電機1bは、本発明の「回転電機」の一例である。
図14〜図17に示すように、第3実施形態によるロータ20bのロータコア26は、ロータコア26aとロータコア26bとが回転方向に所定の角度(電気角で180度)ずれた状態で軸方向に重なって配置されることにより構成されている。なお、ロータコア26aおよび26bは、本発明の「第1ロータコア」および「第2ロータコア」の一例である。
図14および図15に示すように、ロータコア26a(26b)は、複数のコア部260を含むように周方向に分割可能に構成されている。これら複数のコア部260には、それぞれ、ナット41を挿入するためのナット挿入穴260aと、ボルト42を挿入するための溝部260bと、キー部材43を挿入するためのキー挿入穴52を構成する第1キー挿入溝260cとが形成されている。
また、図14に示すように、ロータコア26aは、外周側がN極となるように着磁された永久磁石30を有する複数の第1磁極部261aと、永久磁石30を有さない複数の第2磁極部262aとが1つずつ交互に周状に配置されることにより構成されている。また、図15に示すように、ロータコア26bは、外周側がS極となるように着磁された永久磁石31を有する複数の第1磁極部261bと、永久磁石31を有さない複数の第2磁極部262bとが1つずつ交互に周状に配置されることにより構成されている。すなわち、ロータコア26aおよび26bは、共に、コンシクエントポール構造を有している。
ここで、第3実施形態では、図14〜図17に示すように、永久磁石30(31)は、永久磁石30(31)の外周側の表面が露出されるように、接着剤などを介して第1磁極部261a(261b)に取り付けられている。このように永久磁石30(31)の外周側の表面が露出されるように取り付けられたロータコア26a(26b)の構造は、一般に、SPM(Surface Permanent Magnet)構造と呼ばれている。したがって、この第3実施形態によるロータコア26aおよび26bは、共に、SPM構造で、かつ、コンシクエントポール構造を有している。
また、第3実施形態では、図14および図15に示すように、第1磁極部261a(261b)には、永久磁石30(31)を取り付けるための磁石取付部263a(263b)が設けられている。この磁石取付部263a(263b)は、ロータコア26a(26b)の内周側に向かって凹む凹形状に形成されている。また、磁石取付部263a(263b)には、永久磁石30(31)の傾斜部30a(31a)のうちのロータコア26a(26b)の内周側の部分と当接することにより係合する一対の係合部264が設けられている。
なお、第3実施形態では、第2磁極部262a(262b)は、ロータコア26a(26b)の外周側に向かって突出する凸形状に形成されている。図14に示すように、ロータコア26bの第2磁極部262bは、軸方向の一方側から見て、ロータコア26aの第1磁極部261aの永久磁石30に対して外側にはみ出るように形成されている。同様に、図15に示すように、ロータコア26aの第2磁極部262aは、軸方向の他方側から見て、ロータコア26bの第1磁極部261bの永久磁石31に対して外側にはみ出るように形成されている。
SPM構造を有する第3実施形態のロータコア26では、IPM構造を有する上記第1実施形態のロータコア24と異なり、永久磁石30(31)を取り付けるための孔部(上記第1実施形態の孔部246a(246b)(図3および図4参照))をロータコア26a(26b)に設ける必要がない。すなわち、ロータコア26a(26b)を製造する際に、永久磁石30(31)の外周側の表面を覆う部分(上記第1実施形態の磁石被覆部243(図3および図4参照))を設ける必要がない分、ロータコア26a(26b)を容易に製造することが可能である。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
また、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(参考例)
次に、図18および図19を参照して、本発明の参考例による発電機1cのロータ20cの構成について説明する。この参考例では、複数のコア部240の境界部分がロータコア24a(24b)の第2磁極部242a(242b)に対応する部分に配置される上記第1実施形態と異なり、複数のコア部270の境界部分がロータコア27a(27b)の第1磁極部271a(271b)に対応する部分に配置される例について説明する。なお、発電機1cは、本発明の「回転電機」の一例である。
図18および図19に示すように、参考例によるロータ20cのロータコア27は、ロータコア27aとロータコア27bとが回転方向に所定の角度(電気角で180度)ずれた状態で軸方向に重なって配置されることにより構成されている。なお、ロータコア27aおよび27bは、本発明の「第1ロータコア」および「第2ロータコア」の一例である。
ロータコア27a(27b)は、永久磁石30(31)を有する複数の第1磁極部271a(271b)と、永久磁石30(31)を有さない複数の第2磁極部272a(272b)とが1つずつ交互に周状に配置されることにより構成されている。なお、図18に示すように、第1磁極部271aの後述する孔部276aには、外周側がN極となるように着磁された永久磁石30が接着剤などを介して埋め込まれている。また、図19に示すように、第1磁極部271bの後述する孔部276bには、外周側がS極となるように着磁された永久磁石31が接着剤などを介して埋め込まれている。すなわち、ロータコア27aおよび27bは、共に、IPM構造で、かつ、コンシクエントポール構造を有するように構成されている。
図18および図19に示すように、ロータコア27a(27b)の第1磁極部271a(271b)は、永久磁石30(31)の外周側を覆う磁石被覆部273と、永久磁石30(31)の両側端面を露出する2つの空隙274と、2つの空隙274のそれぞれに対応するように設けられる2つの連結部275とを含むように構成されている。また、第1磁極部271a(271b)には、空隙274に連続するように、永久磁石30(31)を取り付けるための孔部276a(276b)が設けられている。この孔部276a(276b)には、永久磁石30(31)の傾斜部30a(31a)のうちのロータコア27a(27b)の内周側の部分と当接することにより係合する一対の係合部277が設けられている。
ここで、参考例では、ロータコア27a(27b)は、複数のコア部270を含むように周方向に分割可能に構成されている。これら複数のコア部270には、ナット41を挿入するためのナット挿入穴270aと、ボルト42を挿入するための溝部270bと、キー部材43を挿入するためのキー挿入穴53を構成する第1キー挿入溝270cとが形成されている。
また、参考例では、複数のコア部270の境界部分は、ロータコア27a(27b)の第1磁極部271a(271b)に対応する部分に配置されている。具体的には、複数のコア部270の境界部分は、第1磁極部271a(271b)の周方向の中心部に配置されている。また、複数のコア部270の境界部分は、3つの第1磁極部271a(271b)毎に配置されている。すなわち、複数のコア部270は、3つの第1磁極部271a(271b)の各々の間に配置されている2つの第2磁極部272a(272b)を含むように構成されている。
なお、参考例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
参考例では、上記のように、複数のコア部270の境界部分を、3つの第1磁極部271a(271b)毎に配置する。これにより、ロータコア27a(27b)を全ての第1磁極部271a(271b)において分割する場合に比べて、ロータコア27a(27b)の分割数をより少なくすることができる。その結果、ロータコア27a(27b)を分割することに起因してロータコア27a(27b)の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、参考例では、上記のように、複数のコア部270の境界部分を、ロータコア27a(27b)の第1磁極部271a(271b)の周方向の中心部(つまり、第1磁極部271a(271b)の磁気的な境界部分(図7の直線l2参照))に配置する。これにより、第1磁極部271a(271b)のうちの磁気的な影響の最も小さい部分においてロータコア27a(27b)を分割することができる。
なお、参考例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態および参考例では、本発明を風力発電システムの発電機に適用した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明は、風力発電システム以外の発電システムに用いられる発電機およびモータなどの回転電機全般に適用可能である。
また、上記第1〜第3実施形態および参考例では、複数のコア部の境界部分がロータコアの磁気的な境界部分に配置されている(たとえば、第1実施形態では、第2磁極部における静磁界の線対称軸(図7の直線l1参照)に配置されており、参考例では、第1磁極部における静磁界の線対称軸(図7の直線l2参照)に配置されている)例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数のコア部の境界部分がロータコアの磁気的な境界部分の近傍に配置されていてもよい。このように構成すれば、ロータコアのうちの磁気的な影響の最も小さい部分の近傍においてロータコアが分割されるので、ロータコアの磁気特性が低下するのを効果的に抑制することができる。なお、複数のコア部の境界部分は、ロータコアの磁気的な境界部分およびその近傍以外に配置されていてもよい。
また、上記第1実施形態では、複数のコア部の境界部分が4つの第2磁極部毎に(4つの第2磁極部の各々の間に配置された3つの第1磁極部を含むように)配置されている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、3つ以下の第2磁極部毎に配置されていてもよいし、5つ以上の第2磁極部毎に配置されていてもよい。
同様に、上記参考例では、複数のコア部の境界部分が3つの第1磁極部毎に(3つの第1磁極部の各々の間に配置された2つの第2磁極部を含むように)配置されている例を示したが、本発明では、複数のコア部の境界部分が2つ以下の第1磁極部毎に配置されていてもよいし、4つ以上の第1磁極部毎に配置されていてもよい。
また、上記第3実施形態では、SPM構造を有するロータコアに略台形形状の断面を有する永久磁石を取り付ける例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、図20および図21に示す変形例によるロータ20dのように、SPM構造を有するロータコア28に略長方形形状の断面を有する永久磁石32(33)を取り付けてもよい。
この第3実施形態の変形例では、図20および図21に示すように、ロータ20dのロータコア28は、コンシクエントポール構造で、かつ、SPM構造を有するロータコア28aとロータコア28bとが回転方向に所定の角度(電気角で180度)ずれた状態で軸方向に重なって配置されることにより構成されている。なお、ロータコア28aおよび28bは、本発明の「第1ロータコア」および「第2ロータコア」の一例である。
また、この第3実施形態の変形例では、ロータコア28a(28b)は、複数のコア部280を含むように周方向に分割可能に構成されている。また、ロータコア28a(28b)は、複数の第1磁極部281a(281b)と複数の第2磁極部282a(282b)とが1つずつ交互に周状に配置されることにより構成されている。このロータコア28a(28b)の第1磁極部281a(281b)には、略長方形形状の断面を有する永久磁石32(33)を取り付けるための凹状の磁石取付部283a(283b)が設けられている。なお、磁石取付部283a(283b)には、一対の係合部284が設けられている。これら一対の係合部284は、永久磁石32(33)の側端面の平行部32a(33a)のうちのロータコア28a(28b)の内周側の部分と係合するように構成されている。
この第3実施形態の変形例のように構成すれば、永久磁石32(33)を略長方形形状以外の形状(たとえば、扇形形状)に形成する場合と異なり、永久磁石32(33)を容易に製造することが可能なSPM構造を有するロータコア28a(28b)を提供することができる。
また、上記第1〜第3実施形態および参考例では、コンシクエントポール構造を有する2つのロータコア(第1ロータコアおよび第2ロータコア)によりロータを構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、図22および図23に示す変形例のように、コンシクエントポール構造を有する1つのロータコアによりロータを構成してもよい。
たとえば、図22に示す第1、第2および参考例の変形例では、永久磁石34が埋め込まれたIPM構造の1つのロータコア29aによりロータ20eが構成されている。また、図23に示す第3実施形態の変形例では、外周側の表面が露出するように取り付けられた永久磁石35を有するSPM構造の1つのロータコア29bによりロータ20fが構成されている。
また、上記第1〜第3実施形態および参考例では、ロータハブが発電機の回転軸に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図24に示す変形例による風力発電システム101のように、ロータハブ3と発電機1との間にギアボックス6を設けてもよい。