JP2005318765A - 回転子鉄心および回転子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機の高速運転に伴う大きな遠心力や、可変速運転に伴って頻繁に変動する遠心力が作用した場合であっても、回転子を構成する磁石のガタつきや飛散を未然に防止することが可能で、またコスト的に安価であり、さらに耐腐食性が優れた回転子鉄心および回転子の提供。
【解決手段】中心軸上に軸孔2Aを有する一体の円筒状中実金属体から成り、該円筒状中実金属体の外周域に磁石3を中心軸に沿って収容保持する磁石装着部を有するとともに、該磁石装着部の収容幅を円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、円筒状中実金属体における径外方向への磁石の移動を阻止するよう構成している。さらに、回転子鉄心を構成する円筒状中実金属体の表面に、防錆被膜を設けている。
【選択図】図3
【解決手段】中心軸上に軸孔2Aを有する一体の円筒状中実金属体から成り、該円筒状中実金属体の外周域に磁石3を中心軸に沿って収容保持する磁石装着部を有するとともに、該磁石装着部の収容幅を円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、円筒状中実金属体における径外方向への磁石の移動を阻止するよう構成している。さらに、回転子鉄心を構成する円筒状中実金属体の表面に、防錆被膜を設けている。
【選択図】図3
Description
本発明は、外周域に磁石を装着して成る電動機の回転子を構成する回転子鉄心、および回転子鉄心の外周域に磁石を装着して成る電動機の回転子に関するものである。
例えば、電動機の一態様である交流電動機は、高速運転や可変速運転を目的とした箇所に多々使用されており、上記交流電動機においては、その回転子を構成する回転子鉄心が堅牢であることに加え、運転に伴って大きな遠心力や頻繁に変動する遠心力が作用した状況でも、回転子鉄心に設置した磁石が堅固に保持されることが要求され、さらには電気特性が良好であること、耐腐食性が優れていること、製造コストが安価であること等が求められている。
ここで、電動機の回転子を構成する回転子鉄心としては、金属薄板から打抜き形成された所定枚数の鉄心片を積層して成るものが知られているが、上記構造の回転子鉄心は十二分に堅牢であるとは言い難い等の問題があるため、昨今では回転子鉄心を一体の金属体から構成した回転子が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
図10に示す回転子Aは、中心に軸孔Boを有する一体の金属体から成る筒状鉄心Bと、該筒状鉄心Bの外周に設けられた所定個数の磁石M、M…とを備えており、これら磁石M、M…を筒状鉄心Bの外周にネジNを介して取り付けたスペーサS、S…で挟んで固定し、上記磁石M、M…およびスペーサS、S…の外周を熱収縮性の合成樹脂から成る外装円筒Cで被覆して構成されている。
実開平1−76174号公報
上述した構成の回転子Aにおいては、金属体から成る中央部の筒状鉄心B自身は確かに堅牢となるものの、上記筒状鉄心Bの外周に磁石M、M…を固定する際には、複数個のスペーサS、S…を筒状鉄心Bにネジ止めせねばならず、上記磁石Mの設置作業が極めて煩雑となるばかりでなく、筒状鉄心Bの外周に設けられた磁石M、M…は、合成樹脂から成る外装円筒Cで覆われているものの、筒状鉄心Bにネジ止めされたスペーサS、S…により保持されているのみなので、電動機の高速運転に伴う大きな遠心力や、可変速運転に伴って頻繁に変動する遠心力が作用した場合、筒状鉄心Bに対するスペーサS、S…の取り付けが緩んでしまい、磁石Mのガタつきが生じたり、最悪の場合には磁石Mが飛散して多大な損傷を招来する虞れがあった。
本発明は上述した実状に鑑みて、電動機の高速運転に伴う大きな遠心力や、可変速運転に伴って頻繁に変動する遠心力が作用した場合であっても、回転子を構成する磁石のガタつきや飛散を未然に防止することが可能で、またコスト的に安価であり、さらに耐腐食性が優れた回転子鉄心および回転子の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するべく、請求項1の発明に関わる回転子鉄心は、外周域に磁石を装着して成る電動機の回転子を構成する回転子鉄心において、中心軸上に軸孔を有する一体の円筒状中実金属体から成り、該円筒状中実金属体の外周域に磁石を中心軸に沿って収容保持する磁石装着部を有するとともに、該磁石装着部の収容幅を円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、円筒状中実金属体における径外方向への磁石の移動を阻止するよう構成したことを特徴としている。
請求項2の発明に関わる回転子鉄心は、請求項1の発明に関わる回転子鉄心において、円筒状中実金属体を鉄または鉄合金から構成したことを特徴としている。
請求項3の発明に関わる回転子鉄心は、請求項1または請求項2の発明に関わる回転子鉄心において、磁石装着部に中心軸に沿った方向への磁石の移動を阻止する壁部を備えたことを特徴としている。
請求項4の発明に関わる回転子鉄心は、請求項1〜請求項3の何れか1つの発明に関わる回転子鉄心において、円筒状中実金属体の表面に防錆被膜を設けたことを特徴としている。
請求項5の発明に関わる回転子鉄心は、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の回転子鉄心において、円筒状中実金属体の表面に絶縁被膜を設けたことを特徴としている。
請求項6の発明に関わる回転子鉄心は、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の回転子鉄心において、円筒状中実金属体の外周面に、上記円筒状中実金属体の周方向に沿って延びる凹凸を設けたことを特徴としている。
請求項7の発明に関わる回転子は、回転子鉄心の外周域に磁石を装着して成る電動機の回転子において、中心軸上に軸孔を有する一体の円筒状中実金属体から成り、該円筒状中実金属体の外周域に磁石を中心軸に沿って収容保持する磁石装着部を有するとともに、該磁石装着部の収容幅を円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、円筒状中実金属体における径外方向への磁石の移動を阻止するよう構成した回転子鉄心を具備し、この回転子鉄心における磁石装着部に磁石を装着して成ることを特徴としている。
請求項1の発明に関わる回転子鉄心によれば、外周域に磁石装着部を形成した一体の円筒状中実金属体から回転子鉄心を構成したことで、該回転子鉄心は極めて堅牢なものとなり、併せて磁石装着部の収容幅を円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、筒状中実金属体における径外方向への磁石の移動を阻止したことで、電動機の高速運転に伴う大きな遠心力や、可変速運転に伴って頻繁に変動する遠心力が作用した場合であっても、回転子を構成する磁石のガタつきや飛散を未然に防止することが可能となる。
請求項2の発明に関わる回転子鉄心によれば、請求項1の発明に関わる回転子鉄心と同様の効果に併せ、回転子鉄心を構成する円筒状中実金属体を鉄または鉄合金から形成したことによって、回転子鉄心、回転子、延いては電動機の低コスト化を達成することが可能となる。
請求項3の発明に関わる回転子鉄心によれば、請求項1または請求項2の発明に関わる回転子鉄心と同様の効果に併せ、磁石装着部に磁石の移動を阻止する壁部を設けたことにより、回転子鉄心に対する磁石の取付け作業が簡易となるとともに、回転子鉄心に対する磁石の脱落を抑制することが可能となる。
請求項4の発明に関わる回転子鉄心によれば、請求項1〜請求項3の何れか1つの発明に関わる回転子鉄心と同様の効果と併せ、回転子鉄心を構成する円筒状中実金属体の表面に防錆被膜を設けたことにより、例えば高温で多湿な環境等においても錆びの発生が防止され、優れた耐腐食性を発揮することで電動機の長期に亘る稼動が可能となる。
請求項5の発明に関わる回転子鉄心によれば、請求項1〜請求項4の何れか1つの発明に関わる回転子鉄心と同様の効果と併せ、回転子鉄心を構成する円筒状中実金属体の表面に絶縁被膜を設けたことにより、上記円筒状中実金属体における渦電流損を減少させることができ、もって回転子鉄心における電気特性の向上、延いては電動機における性能の向上を達成することが可能となる。
請求項6の発明に関わる回転子鉄心によれば、請求項1〜請求項5の何れか1つの発明に関わる回転子鉄心と同様の効果と併せ、回転子鉄心を構成する円筒状中実金属体の表面に周方向の凹凸を形成したことにより、上記円筒状中実金属体における表面部の電気抵抗が高まることで渦電流損が減少することとなり、もって回転子鉄心における電気特性の向上、延いては電動機における性能の向上を達成することが可能となる。
請求項7の発明に関わる回転子によれば、外周域に磁石装着部を形成した一体の円筒状中実金属体から回転子鉄心を構成したことで、該回転子鉄心は極めて堅牢なものとなり、併せて上記回転子鉄心における磁石装着部の収容幅を円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、回転子鉄心における径外方向への磁石の移動を阻止したことで、電動機の高速運転に伴う大きな遠心力や、可変速運転に伴って頻繁に変動する遠心力が作用した場合であっても、回転子を構成する磁石のガタつきや飛散を未然に防止することが可能となる。
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に関わる回転子鉄心および回転子の第1の実施例を示しており、この実施例における回転子1は、回転子鉄心2の外周域に所定個数(本実施例では6個)の磁石3、3…を設置することにより構成されている。
図1〜図3は、本発明に関わる回転子鉄心および回転子の第1の実施例を示しており、この実施例における回転子1は、回転子鉄心2の外周域に所定個数(本実施例では6個)の磁石3、3…を設置することにより構成されている。
上記回転子1を構成する回転子鉄心2は、鉄(純鉄、軟鉄等)または鉄合金(ニッケル−鉄合金等)から成る一体の円筒状中実金属体によって構成されており、その中央域には、出力軸(図示せず)の装着される軸孔2Aが中心軸o−o上に沿って貫通形成されている。
また、回転子鉄心2における外周域、詳しくは回転子鉄心2の外周面に臨む位置には、磁石3、3…を装着するための磁石装着溝(磁石装着部)2G、2G…が、互いに等しい中心角で所定数(実施例では6箇所に)配列形成されている。
これら磁石装着溝2G、2G…は、回転子鉄心2の外周面に開放された凹溝であり、上記回転子鉄心2の中心軸o−oに沿って延在し、かつ回転子鉄心2の全長に亘って形成され、該回転子鉄心2の両端面に臨んで開放されている。
さらに、上記磁石装着溝2Gは、相対向する側面2s、2sが互いに傾斜して成る凹溝、すなわち所謂アリ溝であって、周方向における収容幅が回転子鉄心(円筒状中実金属体)2の径外方向に向けて狭く成るよう形成されている。
一方、回転子鉄心2の磁石装着溝2G、2G…に装着される磁石3、3…は、上記回転子鉄心2の全長と同寸法の棒状を呈しており、上記磁石装着溝2Gに装着された状態において、回転子鉄心2の中心軸o−oに沿って延在している。
また、上記磁石3の横断面形状は、磁石装着溝2Gの横断面形状と対応しており、上記磁石装着溝2Gに装着された状態において、磁石3の側面3s、3sは磁石装着溝2Gの側面2s、2sと密着している。
さらに、上記磁石3、3…は、図2中において矢印で示す如く、回転子鉄心2の端面側から磁石装着溝2Gに挿入され、接着樹脂を用いて磁石装着溝2G(回転子鉄心2)の所定位置に固定設置されている。
上述した如き実施例の構成によれば、回転子鉄心2を外周域に磁石装着部2G、2G…を形成した一体の円筒状中実金属体としたことで、回転子1の構成要素である上記回転子鉄心2は極めて堅牢なものとなり、併せて回転子鉄心2に対する径外方向への磁石3の移動を阻止すべく、磁石装着溝2Gの収容幅を回転子鉄心2の径外方向に向けて狭く設定したことで、電動機の高速運転に伴う大きな遠心力や、可変速運転に伴って頻繁に変動する遠心力が作用した場合であっても、回転子1を構成する磁石3、3…のガタつきや、上記磁石3、3…の飛散を未然に防止することが可能となる。
また、上述した構成によれば、回転子鉄心2の基体である円筒状中実金属体を、廉価である鉄または鉄合金から構成したことにより、回転子鉄心2、回転子鉄心2を構成要素とする回転子1、さらには回転子1を構成要素とする電動機(図示せず)の低コスト化を達成することが可能となる。
さらに、上述した構成によれば、回転子鉄心2を円筒状中実金属体から構成したことで、上記回転子鉄心2における磁石装着溝2G、2G…を、フライス加工等の簡便な研削機械加工によって形状精度良く、かつ生産性良く形成することができ、もって生産コストの低減を達成することが可能となる。
図4は、本発明に関わる回転子鉄心および回転子の第2の実施例を示しており、この実施例における回転子11は、回転子鉄心12の外周域に所定個数の磁石13、13…を設置することによって構成され、さらに回転子鉄心12における外表面(端面および外周面)には、例えばエポキシ系、ポリイミド系電着樹脂塗料から成る防錆被膜12Cが形成されている。
なお、上記防錆被膜12Cは、回転子鉄心12に磁石13、13…を装着する以前に、例えば電着塗装や粉体塗装によって回転子鉄心12の表面全体に形成され、上記防錆被膜12Cを形成したのち、回転子鉄心12に磁石13、13…を装着するものである。
ここで、上述した回転子11の構成は、回転子鉄心12の外表面に防錆被膜12Cを形成した以外、図1〜図3に示した第1の実施例における回転子1と変わるところはないので、回転子11の構成要素において上記回転子1と同一の作用を成すものには、図1〜図3の番号に10を加算した(10番台)の番号を附して詳細な説明を省略する。
上述した如き実施例の構成によれば、図1〜図3に示した第1の実施例と同様の効果と併せ、回転子鉄心(円筒状中実金属体)12の表面に防錆被膜12Cを設けたことで、例えば高温で多湿な環境等においても優れた耐腐食性を発揮することにより、回転子11を構成要素とする電動機の長期に亘る稼動が可能となる。
ここで、図4に示した防錆被膜12Cに換えて、回転子11を構成する回転子鉄心12の外表面に、例えばエポキシ系、ポリイミド系電着樹脂塗料から成る絶縁被膜を形成することも可能であり、この実施例については図4中の符号12Cを絶縁被膜と読み換えることで図示に代えるものとする。
上述した如き実施例の構成によれば、図1〜図3に示した第1の実施例と同様の効果と併せ、回転子鉄心(筒状中実金属体)12の表面に絶縁被膜12Cを設けたことで、円筒状中実金属体から成る回転子鉄心12の渦電流損を減少させることができ、もって回転子鉄心12における電気特性の向上、延いては回転子11を構成要素とする電動機の性能向上を図ることが可能となる。
また、図4に示した防錆被膜12Cに換えて、回転子11を構成する回転子鉄心12の外表面に、例えばエポキシ系、ポリイミド系電着樹脂塗料から成る防錆・絶縁兼用被膜を形成することも可能であり、この実施例については図4中の符号12Cを防錆・絶縁兼用被膜と読み換えることで図示に代えるものとする。
上述した如き実施例の構成によれば、図1〜図3に示した第1の実施例と同様の効果と併せ、回転子鉄心(筒状中実金属体)12の表面に防錆・絶縁兼用被膜12Cを設けたことにより、例えば高温で多湿な環境等においても優れた耐腐食性を発揮することで電動機の長期に亘る稼動が可能となり、また渦電流損を減少させ得ることで回転子鉄心12の電気特性、延いては電動機の性能向上を図ることが可能となる。
なお、図4を示して説明した各実施例においては、防錆被膜/絶縁被膜/防錆・絶縁被膜12Cを構成するものとしてエポキシ系、ポリイミド系電着樹脂塗料を例示しているが、所期の防錆性能および絶縁性能を満足するものであれば、これら樹脂塗料に限らず様々な材料を適宜に採用し得ることは言うまでもない。
図5は、本発明に関わる回転子鉄心および回転子の第3の実施例を示しており、この実施例における回転子21は、回転子鉄心22の外周域に所定個数の磁石23、23…を設置することによって構成され、さらに回転子鉄心22における外周面には、該回転子鉄心22の周方向に沿って延びる微小な凹凸部22Cが形成されている。
ここで、上述した回転子21の構成は、回転子鉄心22の外周面に微小な凹凸部22Cを形成した以外、図1〜図3に示した第1の実施例における回転子1と変わるところはないので、回転子21の構成要素において上記回転子1と同一の作用を成すものには、図1〜図3の番号に20を加算した(20番台)の番号を附して詳細な説明を省略する。
上述した如き実施例の構成によれば、図1〜図3に示した第1の実施例と同様の効果と併せ、回転子鉄心(円筒状中実金属体)22の外周面に微小な凹凸部22Cを形成したことで、円筒状中実金属体から成る回転子鉄心22の表面部の電気抵抗が高まることによって渦電流損が減少し、もって回転子鉄心22における電気特性の向上、延いては上記回転子鉄心22を構成要素とする電動機の性能向上を達成することが可能となる。
ここで、微小な凹凸部22Cの形成された回転子鉄心22の外周面に、絶縁被膜あるいは防錆・絶縁兼用被膜を形成することで、回転子鉄心22における更なる電気特性の向上、延いては電動機の更なる性能向上を図ることができる。
また、微小な凹凸部22Cの形成された回転子鉄心22の外表面に、防錆被膜あるいは防錆・絶縁兼用被膜を形成することで、例えば高温で多湿な環境等においても優れた耐腐食性を発揮するために電動機の長期に亘る稼動が可能となる。
図6および図7は、本発明に関わる回転子鉄心および回転子の第4の実施例を示しており、この実施例における回転子31は、回転子鉄心32の外周域に所定個数の磁石33、33…を設置することによって構成され、さらに回転子鉄心32における磁石装着溝32Gの端部には、該磁石装着溝32Gに装着された磁石33の、中心軸o−oに沿った方向への移動を規制する壁部32Sが形成されている。
ここで、上述した回転子31の構成は、磁石装着溝32Gの端部に壁部32Sが形成されている以外、図1〜図3に示した第1の実施例における回転子1と基本的に変わるところはないので、回転子31の構成要素において上記回転子1と同一の作用を成すものには、図1〜図3の番号に30を加算した(30番台)の番号を附して詳細な説明を省略する。
上述した如き構成によれば、図1〜図3に示した第1の実施例における同様の効果と併せ、磁石装着溝32Gの端部に壁部32Sを形成したことにより、磁石33を回転子鉄心32の端面側から磁石装着溝32Gに挿入して取付ける際、磁石33の端部が壁部32Sに当接することで、回転子鉄心32に対する磁石33の位置決めが成され、もって回転子鉄心32への磁石33の取付け作業が簡易なものとなる。
また、磁石33が磁石装着溝32Gに装着されている状態において、上記磁石33は壁部32Sによって移動を規制されるために、回転子鉄心32に対する磁石33の不用意な脱落を可及的に抑制することができる。
ここで、磁石装着溝32Gにおける壁部32は、上記磁石装着溝32Gを研削機械加工によって形成する際、回転子鉄心32における一方の端面からの磁石装着溝32Gの長手寸法を設定すること、言い換えれば一方の端面からの加工作業を他方の端面の手前で停止させることにより容易に形成することができる。
なお、耐腐食性や電気特性の向上を目的として、回転子鉄心32の外表面に防錆被膜、絶縁被膜、あるいは防錆・絶縁兼用被膜を形成することや、上記回転子鉄心32の外周面に微小な凹凸部を形成することも可能であり、さらに微小な凹凸部を形成した回転子鉄心32の外表面に、防錆被膜、絶縁被膜、あるいは防錆・絶縁兼用被膜を形成し得ることは言うまでもない。
図8および図9は、本発明に関わる回転子鉄心および回転子の第5の実施例を示しており、この実施例における回転子41は、回転子鉄心42における外周域に所定個数(本実施例では6個)の磁石43、43…を設置することにより構成されている。
回転子鉄心42における外周域、詳しくは回転子鉄心42の外周面から所定寸法だけ径内方向にシフトした位置には、磁石43、43…を装着するための磁石装着孔(磁石装着部)42G、42G…が、互いに等しい中心角で所定数(実施例では6箇所に)配列形成されている。
これら磁石装着孔42G、42G…は、回転子鉄心42の両端面に臨んで開放された貫通孔であり、上記回転子鉄心42の中心軸o−oに沿って延在し、かつ回転子鉄心42の全長に亘って形成されている。
さらに、上記磁石装着孔42Gは、相対向する側面42s、42sが互いに傾斜して成り、周方向における収容幅が回転子鉄心(円筒状中実金属体)42の径外方向に向けて狭く成るよう形成されている。
ここで、上述した回転子41の構成は、回転子鉄心42に形成した磁石装着孔(磁石装着部)42のレイアウト以外、図1〜図3に示した第1の実施例における回転子1と変わるところはないので、回転子41の構成要素において上記回転子1と同一の作用を成すものには、図1〜図3の番号に40を加算した(40番台)の番号を附して詳細な説明を省略する。
上述した如き構成によれば、図1〜図3に示した第1の実施例における効果、すなわち電動機の高速運転に伴う大きな遠心力や、可変速運転に伴って頻繁に変動する遠心力が作用した場合であっても、回転子41を構成する磁石43、43…のガタつきや、上記磁石43、43…の飛散を未然に防止し得る等の効果を奏することができる。
ここで、耐腐食性や電気特性の向上を目的として、回転子鉄心42の外表面に防錆被膜、絶縁被膜、あるいは防錆・絶縁兼用被膜を形成することや、上記回転子鉄心42の外周面に微小な凹凸部を形成することも可能であり、さらに微小な凹凸部を形成した回転子鉄心42の外表面に、防錆被膜、絶縁被膜、あるいは防錆・絶縁兼用被膜を形成し得ることは言うまでもない。
なお、上述した各実施例においては、回転子鉄心の外周域に6個の磁石を設置して成る回転子を例示しているが、上記磁石の設置個数を始めとする回転子の様々なレイアウトは、電動機における仕様等の種々の条件に基づいて適宜に設定し得ることは勿論である。
また、上述した各実施例においては、回転子鉄心の主体である円筒状中実金属体を構成する金属材料として、鉄の一例である純鉄、軟鉄、および鉄合金の一例であるニッケル−鉄合金を例示しているが、所期の電気特性や加工性等を満足する金属材料であれば、上述した鉄および鉄合金以外の様々な材料を採用し得ることは言うまでもない。
1…回転子、
2…回転子鉄心、
2A…軸孔、
2G…装着溝(装着部)、
3…磁石、
11…回転子、
12…回転子鉄心、
12G…装着溝(装着部)、
12C…防錆被膜/絶縁被膜/防錆・絶縁兼用被膜、
13…磁石、
21…回転子、
22…回転子鉄心、
22G…装着溝(装着部)、
22W…凹凸部、
23…磁石、
31…回転子、
32…回転子鉄心、
32S…壁部、
32G…装着溝(装着部)、
33…磁石、
41…回転子、
42…回転子鉄心、
42G…装着孔(装着部)、
43…磁石。
2…回転子鉄心、
2A…軸孔、
2G…装着溝(装着部)、
3…磁石、
11…回転子、
12…回転子鉄心、
12G…装着溝(装着部)、
12C…防錆被膜/絶縁被膜/防錆・絶縁兼用被膜、
13…磁石、
21…回転子、
22…回転子鉄心、
22G…装着溝(装着部)、
22W…凹凸部、
23…磁石、
31…回転子、
32…回転子鉄心、
32S…壁部、
32G…装着溝(装着部)、
33…磁石、
41…回転子、
42…回転子鉄心、
42G…装着孔(装着部)、
43…磁石。
Claims (7)
- 外周域に磁石を装着して成る電動機の回転子を構成する回転子鉄心であって、
中心軸上に軸孔を有する一体の円筒状中実金属体から成り、該円筒状中実金属体の外周域に前記磁石を前記中心軸に沿って収容保持する磁石装着部を有するとともに、該磁石装着部の収容幅を前記円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、前記円筒状中実金属体における径外方向への前記磁石の移動を阻止するよう構成したことを特徴とする回転子鉄心。 - 前記円筒状中実金属体は、鉄または鉄合金から成ることを特徴とする請求項1記載の回転子鉄心。
- 前記磁石装着部は、前記中心軸に沿った方向への前記磁石の移動を阻止する壁部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の回転子鉄心。
- 前記円筒状中実金属体は、表面に防錆被膜を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の回転子鉄心。
- 前記円筒状中実金属体は、表面に絶縁被膜を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の回転子鉄心。
- 前記円筒状中実金属体の外周面に、前記円筒状中実金属体の周方向に沿って延びる凹凸を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の回転子鉄心。
- 回転子鉄心の外周域に磁石を装着して成る電動機の回転子であって、
中心軸上に軸孔を有する一体の円筒状中実金属体から成り、該円筒状中実金属体の外周域に前記磁石を前記中心軸に沿って収容保持する磁石装着部を有するとともに、該磁石装着部の収容幅を前記円筒状中実金属体の径外方向に向けて狭く設定し、前記円筒状中実金属体における径外方向への前記磁石の移動を阻止するよう構成した回転子鉄心を具備し、
前記回転子鉄心における前記磁石装着部に、前記磁石を装着して成ることを特徴とする回転子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004135755A JP2005318765A (ja) | 2004-04-30 | 2004-04-30 | 回転子鉄心および回転子 |
Applications Claiming Priority (1)
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