JP4837066B2 - 波動伝搬回路を設計する方法、および該方法を実行するコンピュータプログラム - Google Patents

波動伝搬回路を設計する方法、および該方法を実行するコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は入力した信号光を変換し希望の信号光を取り出す平面光回路、波導伝搬回路を最適化するための設計方法および該設計方法を実行するためのコンピュータプログラムに関する。
光通信システムの更なる大容量化、高速化に伴い、高度な機能を果たす光デバイスを安価に提供する重要性が高まっている。平面基板上に作製された光回路は設計上の自由度が高く、量産性・安定性に優れているため上記要請に応える光デバイスを提供できることから、研究開発が世界的に進んでいる。
従来の平面光回路の一例を図40乃至42に示す。図40に示す平面回路は、入力光導波路171と、入力光導波路171に光学的に結合された出力光導波路172とで構成されている(例えば、特許文献1参照)。図40に示す平面光回路は、出力光導波路172をパラボラ形状に設計することで、平面光回路に出力信号光のフィールド分布を調整する機能を付与している。
しかしながら、この設計手法では入力信号光の基底モードとそれに結合した2次モードのみしか取り扱えなかったため、信号光のフィールド分布を調整するレンズとしての特性は低かった。また、2次モードを徐々に生成する構成であるために、平面光回路のサイズが大きくなるという問題が生じていた。
また、テーパ形状の光導波路および光ファイバとの接続部分を周期的に分断した構成とすることでスポットサイズ変換機能を付与した平面光回路が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、光信号が伝搬する光導波路を周期的に分断しているため分断面における信号光の反射が避けられないという問題があり、スポットサイズ変換器以外の用途に応用することができないという課題があった。
また、光導波路の幅が非周期的に増減を繰り返す構成とすることでスポットサイズ変換機能を付与した平面光回路が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、光導波路幅が信号光の伝搬方向に沿って急激な増減を繰り返す構成となっており、このために平面光回路の作製が非常に難しいという課題があった。
図41に、従来の交差形光導波路を備えた光回路の構成を示す。交差形光導波路は、光回路における基本構成要素の一つとして必要不可欠なものである。図41に示す光回路260は、2つの入力光導波路261、2つの出力光導波路264、及び2つの入力導波路261と2つの出力導波路264とをそれぞれ結ぶ導波路の重なり部分である光導波路交差部265を備える。光デバイスの小型化を図るためには入力光導波路261と出力光導波路264の交差角266を小さくする必要があるが、交差角266を小さくするに従い光導波路交差部265における光結合損失が増加し、クロストーク特性が低くなるという問題が生じていた。
光導波路交差部の光導波路の幅を光導波路交差部以外の光導波路の幅より小さくすることで光導波路交差部におけるスポットサイズを光導波路交差部以外の光導波路におけるスポットサイズより大きくすることにより、光導波路交差部における光結合損失を低減した交差形光導波路が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このような交差形光導波路の構造においても交差角が30°より小さい場合には十分な光結合損失の低減効果が得られないという課題があった。
図42は、従来の光分岐回路の構造例を示している。光通信システムの適用領域拡大に伴い、信号光を分岐、合分波、スイッチングするための平面光回路の重要性はますます高まっている。特に、信号光を分岐又は合波する光分岐回路は、光回路における基本構成要素の一つとして必要不可欠なものである。
図42に示す光分岐回路は、入力光導波路371,光導波路分岐部372,分岐光導波路373a、373b及び出力光導波路374a、374bで構成されている(例えば、非特許文献3参照)。入力光導波路371に入力された信号光は、光導波路分岐部372及び分岐光導波路373a、373bで分岐されて、出力光導波路374a、374bへと導かれる。図42に示したような光分岐回路は、その形状からY分岐回路とも呼ばれる。
上記の通り、光通信システムの急速な普及に伴い、光信号を分岐したり光路を切り替えたり、あるいは波長毎に合分波するための光回路の重要性が増している。高性能な光通信システムを構築し提供するためには、高性能な光回路を設計し実現することが必須である。
光回路は、チャネル光導波路、テーパ光導波路、スラブ光導波路などの個別光回路要素を組み合わせることで設計できる。しかし、このような設計方法を用いるとすると、たとえば極めて長さの小さなスポットサイズ変換器など、従来の光回路要素の組み合わせで実現できない機能を発現することはできない。このような場合、従来は遺伝的アルゴリズムなどのトライアンドエラー型の最適化手法を用いた光回路の設計が行われていた。
図43は従来の遺伝的アルゴリズムによる光回路の設計方法を表す図である(例えば、非特許文献4参照)。
図43の従来のアルゴリズムは、屈折率分布群の初期値を与える工程301と、遺伝的アルゴリズムにより屈折率分布群を変化させる工程302と、変化させた屈折率分布群を、実際に光を伝搬させて評価する工程303と、良好な屈折率分布群を選別する工程304と、得られた屈折率分布が所望の特性を満たしているか判断する工程305とを含んでいる。最初に工程301、工程302、工程303、工程304、工程305と進み、工程305で所望の特性が得られていなければ、所望の特性が得られるまで工程302から工程304までを繰り返すアルゴリズムである。
ここで、従来のアルゴリズムの工程302では屈折率分布群を遺伝的アルゴリズムに従い改変するが、この改変が良い方向への変化か否かは、工程305で実際に光を伝搬させるまでは分からなかった。
図44AおよびBは従来の遺伝的アルゴリズムにより設計された光回路(この例はスポットサイズ変換器)を示す(例えば、非特許文献2)。
図44AおよびBに示す光回路は、一定の厚さを有するコア401がクラッド層402の中に埋め込まれた構造を有する。
光伝搬方向をz軸としたとき、図44Aは、x軸方向からy軸上の屈折率分布を観察した図面であり、図44Bは、y軸方向からx軸上の屈折率分布を観察した図面である。図44AおよびBに示す従来の光回路では、図44Bに示したように、屈折率分布をz軸方向に一定の長さを持つセグメント(この例では3μm)に分割して、各セグメントのx軸方向の幅を遺伝的アルゴリズムにより調整することで、光回路の最適化は実現される。
特開平9−297228号公報(第7図) 特開平5−60929号公報
Z.Waissman、外1名,「Analysis of Periodically Segmented Waveguide Mode Expanders」,Journal of Lightwave Technology,1995年10月,Vol.13,No.10,(第1図) Michael M.Spuhler、外4名,「A Very Short Planar Silica Spot-Size Converter Using a Nonperiodic Segmented Waveguide」,Journal of Lightwave Technology,1998年9月,Vol.16,No.9(第1図、第2図) Katsunari Okamoto,「Fundamentals of Optical Waveguides」 2000年 Academic Press(第7,15図) B. Plaum,外3名,"Optimization of waveguide bends and bent mode converters using a genetic algorithm" ,25th International Conference on Infrared and Millimeter Waves (IRMMW2000), Sept. 12-15, 2000
図40に関連して説明した光導波路の伝播モードを基底として設計している従来の平面光回路については、実現できる光フィールドに制限があり、また、光導波路の分断により機能を実現している従来の平面光回路については、導波路幅の急激な変化によって反射光などが生じてしまい、透過型デバイスとして利用できないという問題があった。これらの平面光回路では、極細の光導波路を実現する必要があり、作製が非常に困難であるという問題があった。
また、図41に関連して説明した、従来の交差形光導波路を含む光回路には、光導波路交差部における光結合損失が大きいという問題があった。
図42に関連して説明した、従来の光分岐回路では、Y分岐回路の長さを短くして小型化するためには、分岐角375を大きくする必要がある。分岐角375が大きい場合は、光導波路分岐部372において光導波路のコアの幅が急激に拡大する構造となる。このとき、光導波路分岐部372で高次モードが励起される結果、信号光の光結合損失が大きくなるという問題があった。
また、上述の高次モードの発生により、信号光の分岐比が所望の設計値から外れて、分岐比が不安定になるという課題があった。これらの理由により、光分岐回路をさらに小型化するのには限界があった。また、従来の光分岐回路では、信号光に基底モードに加えて1次モードが混入していた場合にも、実際の分岐比は所望の設計値から外れ、分岐比の精度が大きく劣化するという課題もあった。
このように、従来の光分岐回路には、分岐部における光結合損失が大きく、分岐比が不安定であるという問題があった。
本発明の一側面によれば、従来の光回路製作技術を使って製作することが可能な、低損失で分岐比が安定な光分岐回路が提供される。また、本発明の一側面によれば、従来の光分岐回路より分岐角を大きくした、全体としてさらえに小型化された光分岐回路が提供される。
図44AおよびBに関連して説明した従来の光回路の設計方法では、トライアンドエラー型のアルゴリズムを用いていたために、光回路を変化させるたびに光回路に入力フィールドを入力して、伝搬後の出力フィールドを評価する必要があった。このように、従来の光回路の設計方法には、ある部分の屈折率を増やすか減らすかについて必ず波動伝搬の計算を行う必要があったので、計算時間が非常に大きくなるという問題があった。
さらに、計算時間が大きくなるという理由から、従来の光回路の設計方法では、光回路を自由に改変して検討を行うことは極めて困難であった。
例えば、図44AおよびBに示す従来の光回路では、屈折率分布をセグメントに分割しx軸方向の幅だけを変えていた(例えば、非特許文献2参照。)。これは、このような制限を加えない限り計算時間が膨大になってしまい現実的に解くことができなかったからである。
本発明の一側面は、基板上に形成されたコアとクラッドからなる平面光回路であって、信号光を入力する1つ以上の入力光導波路と、入力された前記信号光の一部である基底モードを高次モードあるいは放射モードの少なくともいずれか一方に結合するモード結合手段、あるいは高次モードあるいは放射モードの少なくともいずれか一方を基底モードに再結合するモード再結合手段と、信号光を出力させる1つ以上の出力光導波路とを備え、前記モード結合手段および前記モード再結合手段は、コアの幅および高さの少なくとも一方が連続的に変動する光導波路であることを特徴とする。
本発明によれば、既存の平面光回路作製プロセスで容易に作製することが可能な、信号光の伝搬損失を低減した、入力した信号光を変換し希望の信号光を取り出すことができる平面光回路が提供される。
本発明の一側面は、基板上に形成されたコアとクラッドからなる光導波路レンズを含む平面光回路であって、該光導波路レンズは、信号光を入力する1つ以上の入力光導波路と、入力された前記信号光の一部を高次モードと放射モードとに結合するモード結合手段と、前記モード結合手段により前記高次モードと前記放射モードとに結合された前記信号光を出力信号光に再結合するモード再結合手段と、前記出力信号光を出力させる1つ以上の出力光導波路とを備え、前記モード結合手段および前記モード再結合手段は、コアの幅および高さの少なくとも一方が連続的に変動する光導波路であることを特徴とする。
本発明によれば、既存の平面光回路作製プロセスで容易に作製することが可能な、信号光の伝搬損失を低減した、光導波路レンズを含む平面光回路が提供される。
本発明の一側面は、基板上に形成されたコアとクラッドからなる2つ以上の光導波路が交差する交差形光導波路を含む平面光回路であって、該交差形光導波路は、信号光を入力する2つ以上の入力光導波路と、入力された前記信号光の一部を高次モードと放射モードとに結合するモード結合手段と、前記モード結合手段により前記高次モードと前記放射モードとに結合された前記信号光を出力信号光に再結合するモード再結合手段と、前記出力信号光を出力させる2つ以上の出力光導波路と、前記入力導波路から前記出力導波路に向けて直線的に延びる2つの仮想光導波路が重なり合う部分である光導波路交差部とを備え、前記モード結合手段及び前記モード再結合手段は、コアの幅が連続的に変動する光導波路であり、前記光導波路交差部は、当該光導波路交差部の前記入力光導波路側の端と当該光導波路交差部の中心部との間の位置における光導波路のコアの幅が、当該光導波路交差部の前記入力光導波路側の端の光導波路のコアの幅及び当該光導波路交差部の中心部における光導波路のコアの幅より大きく、当該光導波路交差部の中心部と当該光導波路交差部の前記出力光導波路側の端との間の位置における光導波路のコアの幅が、当該導波路交差部の中心部における光導波路のコアの幅及び当該光導波路交差部の前記出力光導波路側の端における光導波路のコアの幅より大きいことを特徴とする。
本発明によれば、低損失でクロストーク特性の高い交差形光導波路を含む平面光回路が提供される。
本発明の一側面は、基板上に構成されたコアおよびクラッドからなる光分岐回路を含む平面光回路であって、該光分岐回路は、信号光を入力する1本の入力光導波路と、入力された前記信号光の一部を高次モードと放射モードとに結合するモード結合手段と、前記モード結合手段により前記高次モードと放射モードと結合された前記信号光を出力信号光に再結合するモード再結合手段と、前記出力信号光を出力する2以上の出力光導波路とを備え、前記モード結合手段および前記モード再結合手段は、コアの幅が連続的に変動する光導波路であることを特徴とする。
本発明によれば、従来の光回路製作技術を使って製作することが可能な、低損失で分岐比が安定な光分岐回路を含む平面光回路が提供される。また、本発明の一側面によれば、従来の光分岐回路より分岐角を大きくした、全体としてさらえに小型化された光分岐回路を含む平面光回路が提供される。
本発明の一側面は、基板上に形成されたコアとクラッドからなるスラブ型カプラを含む平面光回路であって、該スラブ型カプラは、光信号を入出力する1本以上の第1の入出力光導波路と、前記第1の入力光導波路に光学的に接続されたスラブ光導波路と、前記スラブ光導波路に光学的に接続された光信号を入出力する2本以上の第2の入出力光導波路とを備え、前記第2の入出力光導波路が、入出力された前記信号光の一部を高次モードおよび放射モードの少なくともいずれか一方に結合して前記スラブ光導波路端で平面波へと変換するモード結合手段を備えており、前記モード結合手段は、コアの幅が連続的に変動する光導波路であることを特徴とする。
本発明によれば、既存の平面光回路作製プロセスで容易に作製することが可能な、低損失なスラブ型カプラを含む平面光回路が提供される。
本発明の一側面は、基板上に形成されたコアとクラッドからなるアレイ導波路格子フィルタを含む平面光回路であって、該アレイ導波路格子フィルタは、信号光を入力する1本以上の入力光導波路と、前記入力光導波路と光学的に接続された第1のスラブ光導波路と、前記第一のスラブ光導波路と光学的に接続された所定の導波路長差で順次長くなるアレイ光導波路と、前記アレイ光導波路に光学的に接続された第2のスラブ光導波路と、前記第2のスラブ光導波路に光学的に接続された1本以上の出力光導波路とを備え、前記前記アレイ光導波路の各々の光導波路は、前記第一のスラブ光導波路に光学的に接する部分に高次モードおよび放射モードを信号光に再結合するモード再結合手段と、前記第二のスラブ光導波路に光学的に接する部分に信号光を高次モードおよび放射モードに結合するモード結合手段を備え、前記モード結合手段および前記モード再結合手段は、コアの幅が連続的に変動する光導波路であることを特徴とする。
本発明によれば、既存の平面光回路作製プロセスで容易に作製することが可能な、低損失なアレイ導波路格子フィルタを含む平面光回路が提供される。
本発明の一側面は、入力フィールドから所望の出力フィールドを得るための波導伝搬回路を、コンピュータを用いて設計する方法であって、前記波動伝搬回路における伝搬媒体の屈折率分布の初期値を前記コンピュータの記憶手段に格納する屈折率分布初期化工程と、前記伝達媒体の波動伝搬方向の任意の位置を最適化位置に設定する工程と、前記入力フィールドが前記波動伝搬回路の入口から前記最適化位置まで順伝搬したときのフィールドと、前記所望の出力フィールドが前記波動伝搬回路の出口から前記最適化位置まで逆伝搬したときのフィールドとを計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する最適化位置入出力フィールド計算工程と、前記入力フィールドが順伝搬したときのフィールドと前記所望の出力フィールドが逆伝搬したときのフィールドとの波面が一致するように前記最適化位置における屈折率分布を調整する屈折率分布改変工程とを含み、前記最適化位置を波動伝搬方向に変化させながら、前記最適化位置設定工程、最適化位置入出力フィールド計算工程、および前記屈折率分布改変工程を繰り返すことを特徴とする。
本発明の一側面は、入力フィールドから所望の出力フィールドを得るための波導伝搬回路を、コンピュータを用いて設計する方法であって、前記波導伝搬回路における伝搬媒体の屈折率分布の初期値を前記コンピュータの記憶手段に格納する屈折率分布初期化工程と、前記波動伝搬回路の出口を最適化位置に設定する工程と、前記入力フィールドが前記波動伝搬回路の入口から出口まで順伝搬したときのフィールド分布を計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する順伝搬入力フィールド分布計算工程と、前記出力フィールドが前記波動伝搬回路の出口から前記最適化位置まで逆伝搬したときのフィールドを計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する逆伝搬最適化位置出力フィールド計算工程と、前記入力フィールドが順伝搬したときのフィールドと前記所望の出力フィールドが逆伝搬したときのフィールドとの波面が一致するように前記最適化位置における屈折率分布を調整する屈折率分布改変工程とを含み、前記最適化位置を波動伝搬方向に沿って前記出口から前記入口まで順次変化させながら、前記逆伝搬最適化位置出力フィールド計算工程および前記屈折率分布改変工程を繰り返すことを特徴とする。
本発明の一側面は、入力フィールドから所望の出力フィールドを得るための波導伝搬回路を、コンピュータを用いて設計する方法であって、前記波動伝搬回路における伝搬媒体の屈折率分布の初期値を前記コンピュータの記憶手段に格納する屈折率分布初期化工程と、前記波動伝搬回路の入口を最適化位置に設定する工程と、前記出力フィールドが前記波動伝搬回路の出口から入口まで逆伝搬したときのフィールド分布を計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する逆伝搬出力フィールド分布計算工程と、前記入力フィールドが前記波動伝搬回路の入口から前記最適化位置まで順伝搬したときのフィールドを計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する順伝搬最適化位置入力フィールド計算工程と、前記入力フィールドが順伝搬したときのフィールドと前記所望の出力フィールドが逆伝搬したときのフィールドとの波面が一致するように前記最適化位置における屈折率分布を調整する屈折率分布改変工程とを含み、前記最適化位置を波動伝搬方向に沿って前記入口から前記出口まで順次変化させながら、前記順伝搬最適化位置入力フィールド計算工程および前記屈折率分布改変工程を繰り返すことを特徴とする。
本発明によれば、最適化された波動伝搬回路を高速に設計する方法、および該方法を実行するコンピュータプログラムが提供される。
また、本発明の一側面の波導伝搬回路の設計方法を用いることで、トライアンドエラー型ではない、決定論的な波動伝搬回路の設計方法が提供される。
さらに、本発明の一側面によれば、高速に波動伝搬回路の最適化する方法が提供される。
第1の実施形態の光導波路レンズ(平面光回路)の構成図である。 第1の実施形態の光導波路レンズ(平面光回路)の信号光の伝搬損失の波長依存性を示す図である。 第2の実施形態の光導波路レンズ(平面光回路)の構成図である。 第3の実施形態の平面光回路の平面図である。 第3の実施形態の平面光回路の断面図である。 第3の実施形態の平面光回路の作製過程を示す図である。 第3の実施形態の光回路の作製過程を示す図である。 第3の実施形態の光回路の作製過程を示す図である。 第3の実施形態の光回路の作製過程を示す図である。 第4の実施形態の平面光回路の構成を表す図である。 第4の実施形態の別の平面光回路の構成を表す図である。 第4の実施形態及び従来例の交差形光導波路の伝搬損失の波長依存性を示す図である。 第4の実施形態及び従来例の交差形光導波路のクロストーク特性の波長依存性を示す図である。 第4の実施形態の平面光回路の屈折率分布を決定するための計算手順を示すフローチャートである。 第5の実施形態の交差平面光回路の構成図である。 第5の実施形態の交差平面光回路の信号光の伝搬損失の波長依存性を示す図である。 第6の実施形態の交差平面光回路の構成を表す図である。 第7の実施形態の光分岐回路の構成を表す図である。 第7の実施形態の別の光分岐回路の構成を表す図である。 第7の実施形態の光分岐回路及び従来例の光分岐回路の伝搬損失の波長依存性を示す図である。 第7の実施形態の光分岐回路の屈折率分布を決定するための計算手順を示すフローチャートである。 第8の実施形態の光分岐回路の構成を表す図である。 第8の実施形態の光分岐回路の伝搬損失の波長依存性を示す図である。 第9の実施形態のスラブ型カプラの構成図である。 第9の実施形態のスラブ型カプラの特性を表す図である。 第10の実施形態のアレイ導波路格子フィルタの構成図である。 第10の実施形態のアレイ導波路格子フィルタの拡大図である。 第10の実施形態のアレイ導波路格子フィルタの拡大図である。 第10の実施形態のアレイ導波路格子フィルタの特性を表す図である。 第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法のアルゴリズムを示す図である。 第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の初期値を表す図である。 第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の与え方を表す図である。 第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の与え方を表す図である。 第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の改変量を表す図である。 第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の特性を表す図である。 第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法のアルゴリズムを示す図である。 第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の初期値を表す図である。 第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の与え方を表す図である。 第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の与え方を表す図である。 第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の屈折率分布を表す図である。 第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の特性を表す図である。 第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の特性を表す図である。 第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法のアルゴリズムを示す図である。 第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の初期値を表す図である。 第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の与え方を表す図である。 第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における屈折率分布の与え方を表す図である。 第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の屈折率分布を表す図である。 第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の特性を表す図である。 従来の平面光回路の構成を表す図である。 従来の交差形光導波路の構成を表す図である。 従来のY分岐導波路の構成を表す図である。 従来の波動伝搬回路の設計方法のアルゴリズムを示す図である。 従来の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の例である。 従来の波動伝搬回路の設計方法により設計された光回路の例である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、実施形態において、同一機能を有する部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。
さらに、以下の実施形態では平面光回路はシリコン基板上に形成された石英系ガラス光導波路であるとした。これは、このような組み合わせにすると、安定で加工性に優れた平面光回路を提供できるからである。しかしながら、本発明はこの組み合わせに限定されるものではなく、半導体光導波路、ポリマー光導波路など、これ以外の基板およびガラス膜を用いても勿論構わない。
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる光導波路レンズ(平面光回路)を基板に対して垂直方向から見た平面図である。z軸は信号光の伝搬方向を示している。ここで、図1は光導波路レンズとしたが、これは、本発明にかかる平面光回路が、レンズなど伝播モードのみで実現するのが難しい機能を実現するのに優れているからである。しかしながら、本発明にかかる平面光回路は、本実施形態に限定されるものではなく、スポットサイズ変換器など他の機能を有する平面光回路として構成することができる。
図1に示すように、第1の実施形態にかかる光導波路レンズ(平面光回路)は、信号光を入力させる入力光導波路111と、入力光導波路111に入力された信号光の一部を高次モードと放射モードとに結合させるモード結合手段112と、モード結合手段112において光学的に結合された高次モードおよび放射モードを、位相を考慮して出力信号光に再結合させるモード再結合手段113と、モード再結合手段113において光学的に再結合された出力信号光を出力させる出力光導波路114から構成されている。
モード結合手段112およびモード再結合手段113は、光導波路のコアの幅が非周期的になめらかにまたは連続的に変動する光導波路で構成されている。
図1に示す光導波路レンズの変動する光導波路のコアの幅の構成方法について説明する。変動する光導波路のコアの幅は波動伝達媒体の基本概念を適用して決定する。ここでは、光回路へ適用することから、波動伝達媒体中を伝搬する「波動」は「光」である。波動伝達媒体にかかる理論は、一般の波動方程式に基づいて、媒質の特性を指定するものであり、一般の波動においても原理的に成り立ち得るものである。
入力光導波路111から入力された信号光のフィールドを、入力光導波路111側から出力光導波路114側へ伝搬させたフィールド(順伝搬光)をΨ、出力光導波路114から出力される希望の信号光のフィールドの位相を反転させたフィールドを出力光導波路114側から入力光導波路111側へ伝搬させたフィールド(逆伝搬光)をΦ*とする。
このとき、図1に示すz軸の各位置での順伝搬光Ψと逆伝搬光Φ*の位相差が最小となるような屈折率分布を与えれば入力させた信号光を希望の出力信号光に変換するための最適な光導波路レンズ(平面光回路)を構成することができる。
具体的には、図1に示すz軸の各位置で、コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差(Ψ−Φ*)を計算する。
コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差が正である場合(Ψ−Φ*>0)、光導波路のコア幅を拡大することでΨとΦ*の位相差を最小化することが可能である。
また、コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差が負である場合(Ψ−Φ*<0)、光導波路のコア幅を縮小することでΨとΦ*の位相差を最小化することが可能である。
このような構成方法に基づき、z軸の各位置で順伝搬光Ψと逆伝搬光Φ*の位相差が最小となるような光導波路のコアの幅をそれぞれ計算により求めることで、入力させた信号光を希望の出力信号光に変換するための最適な光導波路レンズ(平面光回路)を構成することができる。
ここで、信号光伝搬方向に対して光導波路のコアの幅の変動が急峻である場合は、平面光回路の作製が困難になるという問題が生じる。したがって、光導波路のコアの幅の変動は、連続的であり、なめらかであり、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±8.0μmであることが望ましい。さらに、光導波路のコアの幅の変動の最適値は、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり−4.0〜+4.0μmの範囲内になることがより望ましい。
図1に示す光導波路レンズ(平面光回路)は、次のような手順により作製することができる。まずSi基板上に火炎堆積法などによってSiO2下部クラッド層を堆積し、次にGeO2をドーパントとして添加したSiO2ガラスのコア層を堆積する。次に、光導波路のコアの幅の変動がなめらかになるように、図1に示すようなパターンを用いてコア層をエッチングして光導波路部分を作製する。最後に、再びSiO2上部クラッド層を堆積する。
図2に、本発明の平面光回路を光導波路レンズとして構成したときの信号光の伝搬損失の波長依存性を示す。これは、光導波路のコアの幅の変動を1μm当たり−4.0〜+4.0μmの範囲内になるように制限した場合の光導波路レンズによるものである。図2より、波長帯域1300〜1600nmにおいて信号光の伝搬損失が0.1dB程度に低減され、十分に良好な特性が得られることが分かる。
(第2の実施形態)
次に、図3を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態にかかる光導波路レンズ(平面光回路)は、第1の実施形態にかかる光導波路レンズ(平面光回路)の変形である。
図3は、第2の実施形態にかかる光導波路レンズ(平面光回路)を基板に対して垂直方向から見た平面図である。z軸は信号光の伝搬方向を示す。モード結合手段112とモード再結合手段113がモード結合・再結合手段131として一体となって構成されている。なお、変動する導波路のコアの幅は、第1の実施形態の光導波路レンズ(平面光回路)と同じ方法で構成することができる。
図3に示すように、モード結合手段112およびモード再結合手段113は図1に示すようなそれぞれ独立した構成である必要はなく、入力光導波路111と、モード結合手段112とモード再結合手段113が一体となったモード結合・再結合手段131と、出力光導波路114が、この順に光学的に結合した構成とすることができる。
(第3の実施形態)
次に、図4ないし6を参照して第3の実施形態を説明する。
上記実施形態では、光導波路のコアの幅が基板に対して平行な方向内で変動する平面光回路の例を示したが、本発明にかかる第3の実施形態の平面光回路は、導波路のコアの幅が基板に対して垂直方向に、すなわち深さ方向に変動する例を示す。
導波路のコアの幅が基板に対して垂直方向に変動しても、同様な効果を得ることができる。信号光は深さ方向の方に分布が広がりやすい性質を有しているため、むしろ深さ方向に変動した方がより大きな効果、伝搬に伴う損失を低減する効果が向上する。
図4および図5に、深さ方向に光導波路のコアの幅が変動した導波路(平面光回路)の例を示す。図4は基板に対して垂直方向から見た平面図である。図5は、図4のVIIIにおける断面図である。
図6A乃至6Dに作製方法を示す。基板110上にポリマークラッド116を通常の方法で形成させ、その上に、コアとなる感光性の樹脂115を塗布する。紫外光等を上面から照射しながらスキャンする。その際、コアとなるべき部分のみ照射し樹脂化させて硬化させる(図6A)。その後、未硬化部分をリンスするとコアとなるべき部分のみが残る(図6B)。
この後、図6Aで塗布したコアとなる感光性の樹脂を塗布した膜厚と同じ膜厚になるよう、また残ったコアとなるべき部分と同じ膜厚となるようクラッドとなる屈折率の低い感光性樹脂106を塗布し全面照射して硬化させ、均一平面102を得る(図示せず)。
さらにこの均一平面102上にコアとなる感光性の樹脂115を塗布し、紫外光等を上面から照射しながらスキャンして、コアとなるべき部分のみ樹脂化させて硬化させる(図6C)。その後リンスしてクラッドとなる樹脂を塗布して硬化させる過程を繰り返すことによって、図5に示す深さ方向にコアの幅が変動する導波路を得ることができる(図6D)。
この導波路を用いた平面光回路は、平面方向にコア幅が変化する導波路を用いた平面回路と同じように、伝搬損失を測定すると、0.03dBが得られる。
(第4の実施形態)
図7乃至図11を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。
図7は、本発明にかかる第4の実施形態の交差型光導波路(平面光回路)を基板に対して垂直方向から見た平面図である。図7に示すように、本実施形態の平面光回路210は、信号光を入力する2つの入力光導波路211、入力光導波路211に入力された信号光の一部を高次モード又は放射モードに結合させるモード結合手段212、モード結合手段212において光学的高次モード又は放射モードに結合された信号光を、位相を考慮して出力信号光に再結合させるモード再結合手段213、モード再結合手段213において光学的に再結合された出力信号光を出力させる2つの出力光導波路214、及び入力導波路211から出力導波路214に向けて直線的に延びる2つの仮想光導波路211’又は出力導波路214から入力導波路211に向けて直線的に延びる2つの仮想光導波路214’が重なり合う光導波路交差部215を備える。
図7に示す平面光回路210において、モード結合手段212、モード再結合手段213、および光導波路交差部215の位置は、これに限られるものではなく、それぞれが重なり合わないように構成することもできる。さらに、コアの幅が変動しない光導波路を介在させることもできる。
図7及び図8において、z軸は信号光の伝搬方向を示している。また、w1,w2,w3,w4,w5は、図に示したz軸上の座標z1,z2,z3,z4,z5(z1<z2<z3<z4<z5)における光導波路のコアの幅をそれぞれ示している。座標z1は、光導波路交差部215の入力導波路211の端に対応する。座標z5は、光導波路交差部215の出力導波路214の端に対応する。座標z3は、光導波路交差部215の略中心に対応する。また、本実施形態における、交差角216は、仮想光導波路211’と214’の交差角をいう。
次に、図11を参照して、図7に示すモード結合手段212及びモード再結合手段213における変動する光導波路コア幅の設計方法について説明する。変動する光導波路のコア幅は波動伝達媒体の基本概念を適用して決定する。ここでは、光回路へ適用することから、波動伝達媒体中を伝搬する「波動」は「光」である。波動伝達媒体に係る理論は一般の波動方程式に基づいて媒質の特性を指定するものであり、一般の波動においても原理的に成り立ち得るものである。
変動する光導波路のコア幅の設計方法を説明するためには記号を用いる方が利便性がよいので、各量を表すために以下のような記号を用いることとする。尚、対象とされる光(フィールド)は、単一状態の光には限定されないので、複数の状態の光が重畳された光を対象とされ得るべく、個々の状態の光にインデックスjを充てて一般的に表記する。以下の説明において、光の伝搬方向の座標軸をz軸(z=0が入射面、z=zeが出射面)、光の伝搬方向に対する横方向の座標軸をx軸とする。
Ψj(x):j番目の入射フィールド(複素ベクトル値関数であり、入射面において設定する強度分布及び位相の分布、ならびに、波長及び偏波により規定される。)
Φj(x):j番目の出射フィールド(複素ベクトル値関数であり、出射面において設定する強度分布及び位相の分布、ならびに、波長及び偏波により規定される。)
尚、Ψj(x)及びΦj(x)は、光回路中で強度増幅、波長変換、偏波変換が行われない限り、光強度の総和は同じ(あるいは無視できる程度の損失)であり、それらの波長も偏波も同じである。
{Ψj(x),Φj(x)}:入出力ペア(入出力のフィールドの組み。)
{Ψj(x),Φj(x)}は、入射面及び出射面における、強度分布及び位相分布ならびに波長及び偏波により規定される。
{nq}:屈折率分布(光回路設計領域全体の値の組。)
与えられた入射フィールド及び出射フィールドに対して屈折率分布を1つ与えたときに光のフィールドが決まるので、q番目の繰り返し演算で与えられる屈折率全体に対するフィールドを考える必要がある。そこで、(x,z)を不定変数として、屈折率分布全体をnq(x,z)と表しても良いが、場所(x,z)における屈折率の値nq(x,z)と区別するために、屈折率分布全体に対しては{nq}と表す。
core:光導波路におけるコア部分のような、周囲の屈折率に対して高い屈折率の値を示す記号。
clad:光導波路におけるクラッド部分のような、ncoreに対して低い屈折率の値を示す記号。
Ψj(z,x,{nq}):j番目の入射フィールドΨj(x)を屈折率分布{nq}中をzまで伝搬させたときの、場所(x,z)におけるフィールドの値。
Φj(z,x,{nq}):j番目の出射フィールドΦj(x)を屈折率分布{nq}中をzまで逆伝搬させたときの、場所(x,z)におけるフィールドの値。
本実施形態において、光導波路のコア幅は、すべてのjについてΨj(ze,x,{nq})=Φj(x)、又はそれに近い状態となるように{nq}が与えられる。「入力ポート」及び「出力ポート」とは、入射端面及び出射端面におけるフィールドの集中した「領域」であり、例えば、その部分に光ファイバを接続することにより、光強度をファイバに伝搬できるような領域である。ここで、フィールドの強度分布及び位相分布は、j番目のものとk番目のものとで異なるように設計可能であるので、入射端面及び出射端面に複数のポートを設けることができる。
さらに、入射フィールドと出射フィールドの組を考えた場合、その間の伝搬により発生する位相が、光の周波数によって異なるので、周波数が異なる光(すなわち波長の異なる光)については、位相を含めたフィールド形状が同じであるか直交しているかの如何にかかわらず、異なるポートとして設定することができる。ここで、電磁界は、実数ベクトル値の場で、かつ波長と偏光状態をパラメータとして有するが、その成分の値を一般的な数学的取り扱いが容易な複素数で表示し、電磁波の解を表記する。
また、以下の計算においては、フィールド全体の強度は1に規格化されているものとする。j番目の入射フィールドΨj(x)及び出射フィールドΦj(x)に対し、伝搬フィールドと逆伝搬フィールドとをそれぞれの場所の複素ベクトル値関数として、Ψj(z,x,{n})及びΦj(z,x,{n})と表記する。これらの関数の値は、屈折率分布{n}により変化するため、屈折率分布{n}がパラメータとなる。
記号の定義により、Ψj(x)=Ψj(0,x,{n})、及び、Φj(x)=Φj(ze,x,{n})となる。これらの関数の値は、入射フィールドΨj(x)、出射フィールドΦj(x)、及び屈折率分布{n}が与えられれば、ビーム伝搬法などの公知の手法により容易に計算することができる。
以下に、空間的な屈折率分布を決定するためのアルゴリズムを説明する。図11に波動伝達媒体の空間的な屈折率分布を決定するための計算手順を示す。この計算は、繰り返し実行されるので、繰り返し回数をqで表し、(q−1)番目までの計算が実行されているときのq番目の計算の様子が図示されている。
(q−1)番目の計算によって得られた屈折率分布{nq-1}をもとに、各j番目の入射フィールドΨj(x)及び出射フィールドΦj(x)について、伝搬フィールドと逆伝搬フィールドとを数値計算により求め、その結果を各々、Ψj(z,x,{nq-1})及びΦj(z,x,{nq-1})と表記する(ステップS22)。これらの結果をもとに、各場所(z,x)における屈折率nq(z,x)を、次式により求める(ステップS24)。
ここで、右辺第2項中の記号「・」は、内積演算を意味し、Im[]は、[]内のフィールド内積演算結果の虚数部分を意味する。尚、記号「*」は複素共役である。係数αは、nq(z,x)の数分の1以下の値をさらにフィールドの組の数で割った値である。Σjは、インデックスjについて和をとるという意味である。ステップS22とS24とを繰り返し、伝搬フィールドの出射面における値Ψj(ze,x,{n})と出射フィールドΦj(x)との差の絶対値が、所望の誤差djよりも小さくなると(ステップS23:YES)計算が終了する。尚、ステップS21において、q←(q+1)は、現在のqの値に1を加算した値を新たなqとすることを意味する。
以上の計算では、屈折率分布の初期値{n0}は適当に設定すればよいが、この初期値{n0}が予想される屈折率分布に近ければ、それだけ計算の収束は早くなる(ステップS20)。また、各jについてΦj(z,x,{nq-1})及びΨj(z,x,{nq-1})を計算するにあたっては、パラレルに計算が可能な計算機の場合は、jごと(すなわち、Φj(z,x,{nq-1})及びΨj(z,x,{nq-1})ごと)に計算すればよいので、クラスタシステム等を利用して計算の効率化を図ることができる(ステップS22)。また、比較的少ないメモリで計算機が構成されている場合は、式(1)のインデックスjについての和の部分で、各qで適当なjを選び、その分のΦj(z,x,{nq-1})及びΨj(z,x,{nq-1})のみを計算して、以降の計算を繰り返すことも可能である(ステップS22)。以上の演算において、Φj(z,x,{nq-1})とΨj(z,x,{nq-1})の値とが近い場合には、式(1)中の
は位相差に対応する値となり、この値を減少させることで所望の出力を得ることが可能である。すなわち、光導波路のコア幅の決定に際しては、(q−1)番目の計算結果の屈折率分布におけるコアとクラッドの境界面において
の値が小さくなるようにコア幅を拡大もしくは縮小すれば良い。
上述した光導波路のコア幅決定のための演算内容を要約すると次のようになる。入力光導波路211の入力ポートから入力された信号光のフィールドを、入力光導波路211側から出力光導波路214側へ伝搬させたフィールド(順伝搬光)をΨ、出力光導波路214の所望の出力ポートから出力される所望の信号光のフィールドの位相を反転させたフィールドを出力光導波路214側から入力光導波路211側へ伝搬させたフィールド(逆伝搬光)をΦ*とする。このとき、図7に示すz軸は各位置で順伝搬光Ψと逆伝搬光Φ*の位相差が最小となるような屈折率分布を与えれば入力させた信号光を所望の出力信号光に変換するための最適な光回路を構成することができる。具体的には、図7に示すz軸の各位置で、コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差(Ψ−Φ*)を計算する。コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差が正である場合(Ψ−Φ*>0)、光導波路のコア幅を拡大することでΨとΦ*の位相差を最小化することが可能である。また、コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差が負である場合(Ψ−Φ*<0)、光導波路のコア幅を縮小することでΨとΦ*の位相差を最小化することが可能である。このような設計方法に基づき、z軸の各位置で順伝搬光Ψと逆伝搬光Φ*の位相差が最小となるような光導波路幅をそれぞれ計算により求めることで、最適な光回路を構成することができる。
ここで、信号光伝搬方向に対して光導波路幅の変化が急峻である場合は、光回路の作製が困難になるという問題が生じる。従って、光導波路のコアの幅の変動は、連続的であり、なめらかであり、信号光の波長を考慮し、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±8.0μmの範囲内であることが望ましい。さらに、±4.0以内に制限しても十分な効果が得られる。
次に、光導波路交差部215の設計について説明する。光導波路交差部215の光導波路のコアの幅は、光導波路交差部215の入力光導波路211側の端(z=z1)と光導波路交差部215の中心部(z=z3)との間の位置(z=z2)における光導波路のコアの幅w2が、光導波路交差部215の入力光導波路211側の端(z=z1)における光導波路のコアの幅w1及び光導波路交差部215の中心部(z=z3)における光導波路のコアの幅w3より大きく(すなわち、w1<w2かつw2>w3)、光導波路交差部215の中心部(z=z3)と光導波路交差部215の出力光導波路214側の端(z=z5)との間の位置(z=z4)における光導波路のコアの幅w4が導波路交差部215の中心部(z=z3)における光導波路のコアの幅w3及び光導波路交差部215の出力光導波路214側の端(z=z5)における光導波路のコアの幅w5より大きく(すなわち、w3<w4かつw4>w5)構成されている。
このような構成とすることにより、光導波路交差部215を伝搬する信号光の高次モード又は放射モードが所望の出力ポート以外の出力光導波路214から出力されることを避ける効果が生じ、交差部におけるクロストーク特性を大きく改善することができる。
図7に示す平面光回路は、次のような手順により作製することができる。まずSi基板上に火炎堆積法などによってSiO2下部クラッド層を堆積し、次にGeO2をドーパントとして添加したSiO2ガラスのコア層を堆積する。次に、前記設計に基づく図7に示すようなパターンを用いてコア層をエッチングして光導波路部分を作製する。最後に、再びSiO2上部クラッド層を堆積する。
図7に示す平面光回路は、光導波路のコアの幅の変動幅の上限を、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±4.0μmとして設計したものである。入力導波路及び出力導波路のコアの幅は7μmである。平面光回路内の導波路のコアの厚さは6μmである。
モード結合手段212及びモード再結合手段213のz軸方向の長さは、100μmオーダである。ただし、モード結合手段212及びモード再結合手段213のz軸方向の長さは、交差角216に依存するため、厳密に定まるものではない。
図8に示す平面光回路は、本実施形態の別の平面光回路のであって、光導波路のコアの幅の変動幅の上限を、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±8.0μmとして設計した点で、図7に示す平面光回路と異なる。
尚、光導波路のコアの幅を変動させた場合に、コアの幅の変動に伴い導波路が部分的に消滅する箇所を含む場合がある。すなわち、本実施形態の平面光回路は、モード結合手段212及びモード再結合手段213が、コアの幅が部分的に0となる光導波路で構成される場合があり、このような構成であっても以下に説明する効果を得ることができる。
図9に、本発明にかかる第4の実施形態の平面光回路及び従来例の交差形光導波路の信号光の伝搬損失の波長依存性をそれぞれ示す。本発明にかかる第4の実施形態の平面光回路は、モード結合手段及びモード再結合手段における光導波路のコアの幅の変動を信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±8.0μmの範囲内になるように制限して構成した場合の平面光回路における、信号光の伝搬損失の波長依存性である。尚、交差形光導波路の交差角は10°である。図9より、波長帯域1300〜1600nmにおいて信号光の伝搬損失が0.1dB程度に低減されていることが分かる。
このように、設計で光導波路幅の変動を1μm当たり±8.0μmの範囲内になるように制限した場合でも、十分な光結合損失の低減効果が得られる。また、図9では交差角10°の場合における結果を示しているが、交差角が小さいほど光結合損失の低減効果は大きくなる。
図10に、本発明にかかる第4の実施形態の平面光回路及び従来例の交差形光導波路のクロストーク特性の波長依存性をそれぞれ示す。本発明にかかる第4の実施形態の平面光回路は、モード結合手段及びモード再結合手段における光導波路のコアの幅の変動を信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±8.0μmの範囲内になるように制限して構成した場合の平面光回路における、交差形光導波路のクロストーク特性の波長依存性である。尚、交差形光導波路の交差角は10°である。
図10より、波長帯域1300〜1600nmにおいてクロストークが45〜49dB程度に改善されたことが分かる。このように、設計で光導波路幅の変動を1μm当たり±8.0の範囲内になるように制限した場合でも、十分に良好なクロストーク特性が得られる。また、図10では交差角10°の場合における結果を示しているが、交差角が小さいほどクロストーク特性の向上に及ぼす効果は大きくなる。具体的には交差角が3°の場合でも、十分な光結合損失の低減効果が得られることを確認している。
さらに、本実施形態では、交差角が90°以上の場合であっても、十分な光結合損失の低減効果を得ることができる。例えば、図7または図8において、交差角216を150°〜177°(すなわち、交差角216の捕角を3°〜30°)とした場合であっても、交差角216を3°〜30°とした場合と同様に、十分な光結合損失の低減効果を得ることができる。
以上説明したように、従来の交差形光導波路においては、交差角が30°以下の場合、交差部における光結合損失が大きくクロストーク特性は低かったが、本発明を用いれば交差角が30°以下の場合においても光結合損失を低減し、クロストーク特性を改善することができ、これに限定されるものではないが、例えば、交差角が3〜30°または150°〜177°の範囲の交差型光導波路を有する平面光回路を提供することができる。
(第5の実施形態)
次に、図12および図13を参照して、第5の実施形態を説明する。
図12は、本発明にかかる第5の実施形態にかかる交差平面光回路を基板に対して垂直方向から見た平面図である。ここで、図12では交差光導波路としたが、これは、本発明にかかる平面光回路が、交差損失低減に非常に有効に機能するからである。しかしながら、本発明にかかる平面光回路は、本実施形態に限定されるものではなく、光合分岐など他の機能を有する平面光回路として構成することができる。
図12に示すように、第5の実施形態にかかる交差型光導波路(平面光回路)は、2つの入力光導波路111と、入力光導波路111に入力された信号の一部を高次モードと放射モードとに結合させるモード結合手段112と、モード結合手段112において光学的に結合された高次モードおよび放射モードを、位相を考慮して出力信号光に再結合させるモード再結合手段113と、モード再結合手段113において光学的に再結合された出力信号光を出力させる2つの出力光導波路114と、コアと等しい屈折率を有する1箇所以上の島状のコア部分141から構成される。
モード結合手段112およびモード再結合手段113は、幅が非周期的になめらかに変動する光導波路で構成されている。
また、図12に示すように、第5の実施形態にかかる交差型光導波路(平面光回路)は、光導波路のコアの幅が変動しているのみならず、ΨとΦ*の位相差が最小となるような光導波路のコア以外の部分にコアと同じ屈折率を有する島状のコア部分141を1箇所以上点在させることができる。さらに、導波路のコアの幅が0となる(消失している)箇所を存在させることができる。
ここで、ΨとΦ*は、それぞれ、入力光導波路111から入力された信号光のフィールドを入力光導波路111側から出力光導波路114側へ伝搬させたフィールド(順伝搬光)、出力光導波路114から出力される希望の信号光のフィールドの位相を反転させたフィールドを出力光導波路114側から入力光導波路111側へ伝搬させたフィールド(逆伝搬光)である。
この図12に示す交差平面光回路の変動する光導波路のコアの幅は、第1の実施形態において説明した構成方法を用いて構成することができる。
この場合、島状のコア部分141を具備しない構成と比較して、信号光波長が1550nmの場合における伝搬損失が0.3dBから0.1dBへと大きく改善する。
しかし、コアと同じ屈折率を有する島状のコア部分141のサイズが小さい場合、平面光回路の作製が困難になるという問題を伴う。また、サイズが小さすぎる場合、信号光が島上のコア部分を通過してしまうため、平面光回路の特性の向上が期待できない。従って、既存の作製プロセスを用いて作製する平面光回路の特性を上記構成で向上させるためには、コアと同じ屈折率を有する島状のコア部分141の一辺の長さを信号光の波長の1/10程度以上、1μm程度以下にする必要がある。例えば、信号光の波長が1.55μmの場合、島状のコア部分141の一辺の長さは0.15μm程度の大きさが必要である。このような条件を付しても、十分に良好な特性を得ることができる。
図13は、本発明にかかる平面光回路を交差型導波路としたときの、入力光導波路111の1つのポートに入力された信号光の伝搬損失の波長依存性を示している。図13より、波長帯域1300〜1600nmにおいて信号光の伝搬損失が0.1dB程度に低減されたことが分かる。
(第6の実施形態)
次に図14を参照して本発明にかかる第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態にかかる交差型光導波路(平面光回路)は、第5の実施形態にかかる交差型光導波路(平面光回路)の変形である。
図14は、第6の実施形態にかかる交差型光導波路(平面光回路)を基板に対して垂直方向から見た平面図である。ここで、図14では交差型光導波路としたが、これは、本発明にかかる平面光回路が、交差損失低減に非常に有効に機能するからである。しかしながら、本発明にかかる平面光回路は、この例に限定されるものではなく、光合分岐など他の機能を有する平面光回路として構成することができる。
図14に示す交差平面光回路は、2つの入力光導波路111と、入力光導波路111に入力された信号の一部を高次モードと放射モードとに結合させるモード結合手段112と、モード結合手段112において光学的に結合された高次モードおよび放射モードを、位相を考慮して出力信号光に再結合させるモード再結合手段113と、モード再結合手段113において光学的に再結合された出力信号光を出力させる2つの出力光導波路114と、コアと等しい屈折率を有する1箇所以上の島状のコア部分141と、クラッドと等しい屈折率を有する1箇所以上の島状のクラッド部分161から構成される。
また、図14に示すように、第四の実施形態にかかる交差平面光回路は、光導波路のコアの幅の変動のみならず、前記ΨとΦ*の位相差が最小となるように光導波路のコア内にクラッドと同じ屈折率を有する島状のクラッド部分161を1箇所以上点在させることができる。
ここで、ΨとΦ*は、それぞれ、入力光導波路111から入力された信号光のフィールドを入力光導波路111側から順方向に伝搬させたフィールド、出力光導波路114から出力される希望の信号光のフィールドの位相を反転させたフィールドを出力光導波路114側から逆方向に伝搬させたフィールドである。
この場合、島状部分161を具備しない構成と比較して、信号光波長が1550nmの場合における伝搬損失が0.3dBから0.07dBへと大きく改善する。
この図14に示す交差平面光回路の変動する光導波路のコアの幅は、第1の実施形態において説明した構成方法を用いて構成することができる。
しかし、クラッドと同じ屈折率を有する島状クラッド部分161のサイズが小さい場合、平面光回路の作製が困難になるという問題を伴う。また、サイズが小さすぎる場合、信号光が島上のクラッド部分を通過してしまうため、平面光回路の特性の向上が期待できない。従って、既存の作製プロセスを用いて作製する平面光回路の特性を上記構成で向上させるためには、クラッドと同じ屈折率を有する島状のクラッド部分161の一辺の長さを信号光の波長の1/10程度以上、1μm程度以下にする必要がある。このような条件を付しても、十分に良好な特性が得られる。
尚、図14には、コアと等しい屈折率を有する1箇所以上の島状のコア部分141とクラッドと等しい屈折率を有する1箇所以上の島状のクラッド部分161がそれぞれ存在しているが、これらは同時に存在する必要はなく、クラッドと等しい屈折率を有する1箇所以上の島状のクラッド部分161のみが存在する構成でもよい。
(第7の実施形態)
図15乃至18を参照して本発明にかかる第7の実施形態を説明する。
図15は、本発明に係る第7の実施形態の光分岐回路(平面光回路)を基板に対して垂直方向から見た平面図である。z軸は信号光の伝搬方向を示している。図15に示すように、第7の実施形態にかかる光分岐回路は、信号光を入力させる1本の入力光導波路311と、入力光導波路311に入力された信号光の一部を高次モードまたは放射モードに結合させるモード結合手段312と、モード結合手段312に光学的に結合した高次モード又は放射モードを、位相を考慮して再結合させるモード再結合手段313と、モード再結合手段313に光学的に結合した信号光を分岐する2本以上の分岐光導波路314a、314bと、分岐光導波路314a、314bに光学的に結合した信号光を出力させる2本以上の出力光導波路315a、315bから構成されている。また、本実施形態では、2本の出力光導波路315a、315bのそれぞれの中心を通る2本の直線を入力光導波路311側に延長した場合に、これら2直線が成す交差角を光分岐回路の分岐角316とする。また、w1はモード再結合手段313中において、信号光伝播方向に沿って隣接する分岐光導波路314a、314bの最小間隔を示している。
入力光導波路311および2本の出力光導波路315a、315bは、本発明にかかる光分岐回路の外部にある光ファイバにそれぞれ接続されている。モード結合手段312は、入力導波路311から連続する光導波路で構成され、さらにモード再結合手段313中の光導波路へと連続的に接続されている。また、モード再結合手段313中の光導波路は途中で分岐して、2本以上の分岐光導波路314a、314bを構成している。分岐光導波路314a、314bは、信号光の伝播方向に向かって出力光導波路315a、315bにそれぞれ連続的に接続されている。尚、モード結合作用とモード再結合作用はモード結合手段およびモード再結合部手段の境界部分近傍では、その果たしている作用が連続的に変化しているため、モード結合手段312とモード再結合手段313との間で、その境界は明確に規定していない。したがって、図15においてはモード結合手段312とモード再結合手段313が一部重複した記載となっている。
本発明においては、モード結合手段312およびモード再結合手段313内の各光導波路は、それぞれ、そのコア幅が非周期的に変動する構成となっている。すなわち、従来技術のように光分岐回路内各部の光導波路が一定コア幅の直線・曲線のみで構成されるのではなく、光導波路のコア幅が非周期的に変動することを特徴としている。従来技術による光分岐回路においては、分岐比の変動の原因となる高次モードの発生を抑えるために、光導波路はコア幅が一定の直線、曲線、またはテーパなどの単純な形状のみで構成されていた。これに対して、本発明にかかる光分岐回路においては、コア幅を非周期的に変動させることにより、従来避けられていた高次モードを敢えて発生させ、その後再結合させている点に特徴がある。すなわち、後に詳細に説明するように、計算機による繰り返し演算によって非周期的に変動する光導波路のコア幅を求めることで、直線、曲線、テーパ等の既存の要素形状から離れて、回路要素の形状を設計する。これにより、光結合損失が小さく、分岐比が安定して、従来の光分岐回路より格段に小さい光分岐回路が実現可能である。
以下、図18を参照して、図15に示すモード結合手段312及びモード再結合手段313における、非周期的に変動する光導波路コア幅の設計方法について説明する。変動する光導波路のコア幅は、波動伝達媒体の基本概念を適用して決定する。ここでは、波動伝達媒体の基本概念を光回路へ適用することから、波動伝達媒体中を伝搬する「波動」は「光」である。波動伝達媒体にかかる理論は、一般の波動方程式に基づいて媒質の特性を指定するものであり、一般の波動においても原理的に成り立ち得るものである。変動する光導波路のコア幅の設計方法を説明するためには記号を用いることにより見通しが良くなるので、各量を表すために以下のような記号を用いる。
尚、本発明の分岐回路の設計の対象とされる光(フィールド)は、単一状態の光には限定されない。そこで、複数の状態の光が重畳された光を対象とされ得るべく、個々の状態の光にインデックスjを充てて一般的に表記する。以下の説明においては、図15に示すように、光の伝搬方向の座標軸をz軸(z=0が入射面、z=zeが出射面)、光の伝搬方向に対して垂直で光分岐回路の形成面に平行な方向の座標軸をx軸とする。
・Ψj(x):j番目の入射フィールド(複素ベクトル値関数であり、入射面(z=0)において設定する強度分布および位相分布、ならびに、波長及び偏波により規定される。)
・φj(x):j番目の出射フィールド(複素ベクトル値関数であり、出射面(z=ze)において設定する強度分布および位相分布、ならびに、波長及び偏波により規定される。)
尚、Ψj(x)及びφj(x)は、光回路中で強度増幅、波長変換、偏波変換が行われない限り、光強度の総和は同じ(あるいは無視できる程度の損失)であり、Ψj(x)及びφj(x)の波長も偏波も同じである。
・{Ψj(x)、φj(x)}:入出力ペア(入出力のフィールドの組み。)
{Ψj(x)、φj(x)}は、入射面及び出射面における、強度分布及び位相分布ならびに波長及び偏波により規定される。
・{nq}屈折率分布(光回路設計領域全体の値の組。)
与えられた入射フィールド及び出射フィールドに対して、屈折率分布を1つ与えたときに光のフィールドが決まるので、q番目の繰り返し演算で与えられる屈折率分布全体に対するフィールドを考える必要がある。そこで、(z、x)で不定変数として、屈折率分布全体をnq(z、x)と表しても良いが、場所(z、x)における屈折率の値nq(z,x)と区別するために、屈折率分布全体に対しては{nq}と表す。
・Ψj(z、x、{nq}):j番目の入射フィールドΨj(x)を屈折率分布{nq}中をzまで伝搬させたときの、場所(z、x)におけるフィールド値。
・φj(z、x、{nq}):j番目の出射フィールドφj(x)を屈折率分布{nq}中をzまで逆伝搬させたときの、場所(z、x)におけるフィールド値。
本実施形態において、光導波路のコア幅は、すべてのjについてΨj(ze、x、{nq})=φj(x)、またはそれに近い状態となるように屈折率分布{nq}が与えられる。「入力ポート」及び「出力ポート」とは、入射端面(z=0)及び出射端面(z=ze)におけるフィールドの集中した「領域」であり、例えば、その部分に光ファイバを接続することにより、信号光をファイバに伝搬できるような領域である。ここで、フィールドの強度分布及び位相分布は、j番目のものとk番目のものとで異なるように設計可能であるので、入射端面及び出射端面に複数のポートを設けることができる。さらに、入射フィールドと出射フィールドの組を考えた場合、入射端面と出射端面との間の伝搬により発生する位相差が、光の周波数によって異なるので、周波数が異なる光(すなわち波長の異なる光)については、位相を含めたフィールド形状が同じであるか直交しているかの如何にかかわらず、異なるポートとして設定することができる。
ここで、電磁界は、実数ベクトル値の場で、波長と偏光状態をパラメータとして有するが、その成分の値を一般的な数学的取り扱いが容易な複素数で表示し、電磁波の解を表記する。また、以下の計算においては、フィールド全体の強度は1に規格化されているものとする。
j番目の入射フィールドΨj(x)及び出射フィールドφj(x)に対し、伝搬フィールドと逆伝搬フィールドとをそれぞれの場所の複素ベクトル値関数として、Ψj(z、x、{n})及びφj(z、x、{n})と表記する。これらの関数の値は、屈折率分布{n}により変化するため、屈折率分布{n}がパラメータとなる。記号の定義によりΨj(x)=Ψj(0、x、{n})、及びφj(x)=φj(ze、x、{n})となる。これらの関数の値は、入射フィールドΨj(x)、出射フィールドφj(x)、及び屈折率分布{n}が与えられれば、ビーム伝搬法などの公知の手法により容易に計算することができる。以下に、空間的な屈折率分布を決定するためのアルゴリズムを説明する。
図18は、波動伝達媒体の空間的な屈折率分布を決定するための計算手順を示す。この計算は、繰り返し実行されるので、繰り返し回数をqで表し、(q−1)番目までの計算が実行されているときのq番目の計算が図18の計算手順に示されている。(q−1)番目の計算によって得られた屈折率分布{nq-1}をもとに、各j番目の入射フィールドΨj(x)及び出射フィールドφj(x)について、伝搬フィールドと逆伝搬フィールドとを数値計算により求め、その結果を各々、Ψj(z、x、{nq-1})及びφj(z、x、{nq-1})と表記する(ステップS32)。これらの結果をもとに、各場所(z、x)における次式により求められる屈折率nq(z、x)に基づいて、位相差に対応する値を最小にするよう光導波路幅を拡大または縮小させる(ステップS34)。
ここで、上式(1)は、第4の実施形態に関連して説明した式(1)と同一であり、右辺第2項中の記号「・」は、内積演算を意味し、Im[]は、[]内のフィールド内積演算結果の虚数部分を意味する。尚、記号「*」は複素共役である。係数αは、nq(z、x)の数分の1以下の値をさらにフィールドの組の数で割った値である。Σjは、インデックスjについて和をとるという意味である。ステップS32とS34とを繰り返し、伝搬フィールドの出射面における値Ψj(ze、x、{n})と出射フィールドφj(x)との差の絶対値が、所望の誤差djよりも小さくなると(ステップS33:YES)計算が終了する。
以上の計算では、屈折率分布の初期値{n0}は適当に設定すればよいが、この初期値{n0}が予想される屈折率分布に近ければ、それだけ計算の収束は早くなる(ステップS30)。また、各jについてφj(z、x、{nq-1})及びΨj(z、x、{nq-1})を計算するにあたっては、パラレルに計算が可能な計算機の場合は、jごと(すなわち、φj(z、x、{nq-1})及びΨj(z、x、{nq-1})ごと)に計算すればよいので、クラスタシステム等を利用して計算の効果化を図ることができる(ステップS32)。また、比較的少ないメモリで計算機が構成されている場合は、式(1)のインデックスjについての和の部分で、各繰り返し計算ステップqにおいて、対象としたすべてのインデックスjの中から適切なインデックスjを選び、選択されたインデックスjの分のφj(z、x、{nq-1})及びΨj(z、x、{nq-1})のみを計算して、以降の計算を繰り返すことも可能である(ステップS32)。
以上の演算において、φj(z、x、{nq-1})とΨj(z、x、{nq-1})の値とが近い場合には、式(1)中のIm[φj(z、x、{nq-1})*・Ψj(z、x、{nq-1})]は伝搬フィールドと逆伝搬フィールドの位相差に対応する値となる。この位相差の値を減少させることで所望の出力を得ることが可能である。すなわち、光導波路のコア幅の決定に際しては、(q−1)番目の計算結果の屈折率分布におけるコアとクラッドの境界面において、Im[φj(z、x、{nq-1})*・Ψj(z、x、{nq-1})]の値が小さくなるようにコア幅を拡大もしくは縮小すれば良い(ステップS34)。
上述した波動伝達媒体における一般波動方程式に基づいた演算内容を、本発明にかかる光分岐回路において光導波路のコア幅を決定する観点から要約すると、次のようになる。入力光導波路311の入力ポートから入力された信号光のフィールドを、入力光導波路311側から出力光導波路315側へ伝搬させたフィールド(順伝搬光)をΨ、出力光導波路315の所望の出力ポートから出力される所望の信号光フィールドの位相を反転させたフィールドを、出力光導波路315側から入力光導波路311側へ伝搬させたフィールド(逆伝搬光)をφ*とする。ここで、設計する光分岐回路の出力ポートの数がN本である場合を考える。各出力ポートにおける所望の出射フィールドを、出力ポート位置を考慮してN回重ね合わせ、この重ね合わせたフィールドを出射端面における所望のフィールドとすることで、光分岐回路の設計が可能となる。このとき、図15に示すz軸の各位置で順伝搬光Ψと逆伝搬光φ*の位相差が最小となるような屈折率分布を与えれば、入力させた信号光をN本の出力ポートからそれぞれ出力される所望の出力信号光に変換するための最適な光分岐回路を構成することができる。
より具体的には、図15に示すz軸の各位置で、コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差(Ψ−φ*)を計算する。コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差が正である場合(Ψ−φ*>0)、光導波路のコア幅を拡大することでΨとφ*の位相差を最小化することが可能である。また、コアとクラッドの境界面における順伝搬光と逆伝搬光の位相差が負である場合(Ψ−φ*<0)、光導波路のコア幅を縮小することでΨとφ*の位相差を最小化することが可能である。
上述したように、光導波路のコア幅のみを変化させることにより、波動の散乱を抑制しし、信号光の伝播損失の小さい光回路を設計することができる。
ここで、分岐光導波路314a、314bのコア幅の変動により、隣接するこれらの光導波路の間隔が狭くなる場合には、光回路の作製が困難になるという問題が生じる。従って、隣接する分岐光導波路314a、314bの光導波路間距離の最小値w1は、既存の光回路作製プロセスを使用することを考慮し、w1≧1.0μmを満たすことが望ましい。また、信号光伝搬方向に対して光導波路幅の変化が急峻である場合は、光回路の作製が困難になるという問題が生じる。従って、光導波路のコアの幅の変動は、連続的でなめらかであることが望ましい。さらに、後述するように信号光の波長を考慮して、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±8.0μmの範囲内であることが望ましい。
一般に、光通信に用いられる信号光の波長は、1.3〜1.6μmの範囲である。ここで、光導波路幅の変動が信号光の波長と比較して極端に大きい場合、信号光が基板に対して垂直の方向に散乱されてしまう。このため、信号光の伝播損失が増加する。従って、本発明の特徴である高次モードを励起させ、かつ信号光の散乱を抑制するためには、光導波路幅の変動量を、波長の数倍程度、具体的には±8.0μm以内にするのが効果的である。尚、後述するように、コア幅の変動量を、±4.0μm以内に制限した場合であっても充分な効果が得られる。
図15に示す光分岐回路は、次のような手順により作製した。まずSi基板上に火炎堆積法などによってSiO2下部クラッド層を堆積し、次にGeO2をドーパントとして添加したSiO2ガラスのコア層を堆積した。次に、前述した設計に基づく図15に示すようなパターンを用いてコア層をエッチングして光導波路部分を作製した。最後に、再びSiO2上部クラッド層を堆積した。
図15に示す光分岐回路は、モード結合手段312及びモード再結合手段313における光導波路のコアの幅の変動量の上限を、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±4.0μm、分岐光導波路314a、314bにおける隣接する光導波路の最小間隔w1を1.0μm、分岐角316を2.5°として設計したものである。入力光導波路311及び出力光導波路315のコアの幅は7μmである。光分岐回路内の光導波路のコアの厚さは6μmである。コアの屈折率は1.45523,クラッドの屈折率は1.44428とした。尚、光導波路のコアの幅を変動させた場合に、コアの幅の変動に伴い光導波路が部分的に消滅する箇所を含むことがある。すなわち、本実施形態の光回路は、モード結合手段312及びモード再結合手段313が、コアの幅が部分的に0となる光導波路で構成される場合があり、このような構成であっても、十分な光結合損失の低減効果が得られる。
図16は、本実施形態の別の光分岐回路である。3本の分岐光導波路314a、314b、314c及び出力光導波路315a、315b、315cを備えている点で、図15に示す光分岐回路と異なる。尚、実施形態としては2本および3本の分岐光導波路及び出力光導波路の場合を示したが、これらがそれぞれN本の場合でも実施可能であることはいうまでもない。
図17は、本発明にかかる第7の実施形態にかかる光分岐回路及び従来例の光分岐回路の信号光の伝搬損失の波長依存性をそれぞれ示している。これは、モード結合手段312及びモード再結合手段313における光導波路のコアの幅の変動量を信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±4.0μmの範囲内になるように制限し、且つ隣接する分岐光導波路314a、314bの最小間隔w1を1.0μmに制限して設計した場合である。尚、光分岐回路の分岐角316は2.5°である。
図17より、波長帯域1300〜1600nmにおいて、信号光の伝搬損失は0.1dB程度であり、従来技術による光分岐回路と比較して伝播損失が大幅に低減されている。このように、光導波路幅の変動量を1μm当たり±4.0μmの範囲内になるように設計条件を制限し、且つ隣接する分岐光導波路314a、314bの最小間隔w1を1.0μmに制限しても、十分な光結合損失の低減効果が得られる。変動量を±4.0μmに抑えることにより、従来の光回路作製プロセスを利用して、大幅な光結合損失の低減を実現できる。
尚、本実施形態では、コアはクラッドに埋設された例を示しているが、リッジ形状のコアであっても本発明の効果を充分に得ることができる。
(第8の実施形態)
次に図19および20を参照して本発明にかかる第8の実施形態を説明する。
図19は、本発明にかかる第8の実施形態にかかる光分岐回路を基板に対して垂直方向から見た平面図である。z軸は信号光の伝搬方向を示している。図19に示すように、第8の実施形態にかかる光分岐回路は、入力光導波路311と、モード結合手段312と、モード再結合手段313と、2本以上の分岐光導波路314a、314bと、2本以上の出力光導波路315a、315bから構成されており、入力光導波路311とモード結合手段312及びモード再結合手段313には、信号光に含まれる1次モードを除去する機能を付している。1次モード除去機能を備える光導波路のコア幅は、第7の実施形態に関して述べたモード結合手段312およびモード再結合手段313と同じ計算手法を用いて設計することが可能である。すなわち、入力光導波路311に入力した信号光中の基底モードには番号0、1次モードには番号1をそれぞれ付すと、光導波路のコア幅の決定に際して、(q−1)番目の計算結果の屈折率分布におけるコアとクラッドの境界面においてIm[φ0(z、x、{nq-1})*・Ψ0(z、x、{nq-1})]の値が小さく、且つIm[φ1(z、x、{nq-1})*・Ψ1(z、x、{nq-1})]の値が大きくなるようにコア幅を拡大もしくは縮小すれば良い。
ここで、信号光伝搬方向に対して光導波路幅の変化が急峻である場合は、光回路の作製が困難になるという問題が生じる。従って、光導波路のコアの幅の変動は、連続的でなめらかであり、信号光の波長を考慮し、信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±8.0μmの範囲内であることが望ましい。さらに、±4.0μm以内に制限しても、後述するように本発明の充分な効果が得られる。図19に示す光分岐回路は、第7の実施形態に示した光分岐回路と同じ手順により作製した。
図20は、本発明にかかる第8の実施形態にかかる光分岐回路に、入力信号光として入力光導波路311の基底モードおよび1次モードの信号光を入力した場合の、信号光伝搬損失の波長依存性をそれぞれ示している。これは、前記モード結合手段312およびモード再結合手段313における光導波路のコアの幅の変動を信号光伝搬方向の単位長さ(1μm)当たり±4.0μmの範囲内になるように制限して設計した場合である。尚、光分岐回路の分岐角316は2.5°である。
図20より、波長帯域1300〜1600nmにおいて、基底モードの伝搬損失が0.1dB程度しかないのに対し、1次モードの伝搬損失は16dB以上であることが分かる。従って、光分岐回路への入力信号光に1次モードが含まれていても、1次モード除去機能を備えた光導波路によって1次モードが十分に減衰される。したがって、出力光導波路315a、315bには基底モードのみが結合する結果、光分岐回路の分岐比は一定に保たれる。このように、光導波路幅の変動量を1μm当たり±4.0μmの範囲内になるように設計条件を制限しても、1次モードが十分に減衰されるため、従来の光回路作製プロセスを使用しながら、光分岐回路の分岐比の安定化効果が得られる。
尚、本実施形態では、コアはクラッドに埋設された例を示しているが、リッジ形状のコアであっても本発明の効果を充分に得ることができる。
(第9の実施形態)
図21および22を参照して本発明にかかる第9の実施形態を説明する。
図21は、第9の実施形態のスラブ型カプラ(平面光回路)510の構造を示す。基板上に、3本の第一の入力光導波路511a、511b、511cと、スラブ光導波路520と、4本の第2の入出力光導波路514a、514b、514c、514dが配置されている。また、第2の入出力光導波路には、コアの幅および高さの少なくとも一方が連続的に変動する光導波路によるモード結合領域512が設けられている。
ここで、本実施形態のスラブ型光カプラは、シリコン基板上に形成された石英系光導波路により実現した。これは、この組み合わせが信頼性に優れたスラブ型光カプラを提供できるからである。しかしながら本発明はこの例に限定されるものではなく、基板及び光導波路の組み合わせは上記以外の組み合わせを用いてももちろんかまわない。
また、本実施形態のスラブ型光カプラは、コアとクラッドの比屈折率差0.3%の光導波路を用いて実現した。これは、この比屈折率差を用いることで光ファイバとの接続損失の小さなスラブ型光カプラを提供できるからである。しかしながら本発明はこの例に限定されるものではなく、比屈折率差は0.75%や1.5%など別の値でももちろんかまわない。
さらに、本実施形態のスラブ型光カプラでは、第1の入出力光導波路511の数を3本、第2の入出力光導波路514の数を4本としたが、第一の入力光導波路511は1本以上であればよく、第2の入出力光導波路514は2本以上であればよい。これはたとえば、第1の入出力光導波路511の数は1本でも良いし、第2の入出力光導波路514の数は16本でも9本でもかまわない。
次に、本実施形態の動作について説明する。第1の入出力光導波路511に入力された光信号は、スラブ光導波路520で広がり、スラブ光導波路端では振幅がガウス型形状をした平面波となる。この平面波は第2の入出力光導波路を励起することになるが、モード結合領域を有しない通常のスラブ型カプラでは、第2の入出力光導波路514の基底モードと平面波の形状の違いから光信号の一部が第2の入出力導波路の高次モードまたは放射モードとして捨てられることになる。ここで、本実施形態のスラブ型光カプラでは第2の入出力光導波路がモード結合手段を備えているので、従来では捨てられる光信号も基底モードに結合されて、第2の入出力光導波路の基底モードとして出力されることになり、結果、損失が低減できる。
図22は、図21に示す本実施形態のスラブ型光カプラと従来のスラブ型光カプラの損失を比較した結果である。従来のスラブ型光カプラの構成では、上述のようにスラブ光導波路と第2の入出力光導波路の接続点で一部の信号光が捨てられるので、損失が生じてしまうが、本実施形態のスラブ型光カプラではほとんど損失無く光を分岐できていることが分かった。
(第10の実施形態)
図23A、23B、23Cを参照して本発明に係る第10の実施形態を説明する。
図23A、23B、23Cに本発明にかかる第10の実施形態のアレイ導波路格子フィルタ(平面光回路)610の構造を示す。基板上に、16本の入力光導波路611と、該入力光導波路に光学的に接続された第一のスラブ光導波路612と、該スラブ光導波路に光学的に接続されたアレイ導波路614と、該アレイ導波路に光学的に接続された第二のスラブ光導波路616と、該スラブ光導波路に光学的に接続された16本の出力光導波路617が配置されている。また、アレイ導波路614と第一のスラブ光導波路612との接続部分613、およびアレイ導波路614と第二のスラブ光導波路616との接続部分615には、それぞれコアの幅および高さの少なくとも一方が連続的に変動する光導波路によるモード結合領域(図23B,図23C)が設けられている。
ここで、本実施形態のアレイ導波路格子フィルタは、シリコン基板上に形成された石英系光導波路により実現した。これは、この組み合わせが信頼性に優れたアレイ導波路格子フィルタを提供できるからである。しかしながら本発明はこの例に限定されるものではなく、基板及び光導波路の組み合わせは別の組み合わせを用いてももちろんかまわない。
また、本実施形態のアレイ導波路格子フィルタは、コアとクラッドの比屈折率差0.75%の光導波路を用いて実現した。これは、この比屈折率差を用いることで光導波路の最小曲げ半径を5mmとすることができ、小型なアレイ導波路格子フィルタを提供できるからである。しかしながら本発明はこの例に限定されるものではなく、比屈折率差は0.4%や1.5%など別の値でももちろんかまわない。
さらに、本実施形態のアレイ導波路格子フィルタでは、第1の入出力光導波路611の数を16本であり、第2の入出力光導波路617の数を16本としたが、第一の入力光導波路611は1本以上であればよく、第2の入出力光導波路617は2本以上であればよい。これはたとえば、第1の入出力光導波路611の数は1本でも良いし、第2の入出力光導波路617の数は32本でも40本でもかまわない。
次に、本発明にかかる第10実施例の動作について説明する。入力光導波路611に入力された光信号は、第1のスラブ光導波路612で広がり、第1のスラブ光導波路端では振幅がガウス型形状をした平面波となる。この平面波はアレイ光導波路614を励起することになるが、図23Bに示すモード結合領域を有しない従来のアレイ導波路格子フィルタでは、アレイ光導波路の基底モードと平面波の形状の違いから光信号の一部がアレイ導波路の高次モードないし放射モードとして捨てられることになる。ここで、本実施形態のアレイ導波路格子フィルタではアレイ光導波路614がモード結合領域(図23B)を備えているので、従来では捨てられる光信号も基底モードに結合されて、第2の入出力光導波路の基底モードとして出力されることになり、結果、損失が低減できる。
また、アレイ導波路614を伝搬した光信号は、第2のスラブ光導波路616に入力される。ここでモード結合領域を有しない通常のアレイ導波路格子フィルタでは、入力される光フィールドは各アレイ光導波路の基底モードが整列した形状となり、アレイ導波路のピッチに相当する周期を有する。スラブ光導波路における光伝搬では、入力フィールドと出力フィールドはフーリエ変換の関係にあるので、本来集光する位置における主ピークとともにアレイ導波路ピッチに応じたサブピークが生じ、サブピークへと導かれる光パワーが損失になってしまう。ここで、本実施形態のアレイ導波路格子フィルタではアレイ光導波路614がモード結合領域(図23C)を備えているので、アレイ導波路614からの光は第2のスラブ導波路616の端面でアレイ導波路ピッチに相当する周期を持たないようにでき、その結果サブピークの出現が抑制できて、損失が低減できる。
図24は、図23Aに示す本発明にかかる第10の実施形態のアレイ導波路格子フィルタと従来のアレイ導波路格子フィルタの損失を比較した結果である。従来のアレイ導波路格子フィルタの構成では上述のように第1のスラブ光導波路とアレイ導波路格子の接合点、およびアレイ導波路と第2のスラブ光導波路との接合点で一部の信号光が捨てられるので、損失が生じてしまうが、本実施形態のアレイ導波路格子フィルタではその損失を大幅に低減できることがわかる。
(第11の実施形態)
図25乃至図29を参照して、本発明に係る第11の実施形態を説明する。
また、以下の実施形態では、波動伝搬回路の波動伝搬方向をz軸とし、z軸に直交する2軸をx軸、y軸として、波動の入口位置をz=0、波動の出口位置をz=Lとする。
加えて、本実施形態では、波動として光波を取り扱い、波動伝搬回路として光回路を取り扱う。これは、光波でもマイクロ波でもミリ波でも、波動伝搬回路の設計方法として本質的な差異はないからである。本発明は勿論この例に限定されるものではなく、波動伝搬回路はマイクロ波回路でもミリ波回路でも勿論構わない。
さらに、以下に示す本実施形態では、光回路の具体例として、石英ガラスのクラッド層に埋め込まれた一定の厚さの石英ガラスのコアからなる石英ガラス光導波路による平面光回路を取り扱う。これは、この構造が精密な光回路を提供でき、本発明の効果が顕著に現れた光回路を提供できるからである。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、材料はポリマーや半導体など別の材料であっても良い。また光回路の構造は、構造の一部または全部が三次元的変化する別の構造であってもよい。
図25に本発明にかかる第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法のアルゴリズムを示す。本実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、屈折率分布n(x,y,z)の初期値を決定してコンピュータのメモリに格納する工程311と、最適化位置を光伝搬方向の位置z=z0に設定する工程312と、入力フィールドΦ(x,y,0)が入口z=0から最適化位置z=z0まで順伝搬したときのフィールドΦ(x,y,z0)、及び所望の出力フィールドΨ(x,y,L)が出口z=Lから最適化位置z=z0まで逆伝搬したときのフィールドΨ(x,y,z0)を計算してコンピュータのメモリに格納する工程313と、入口から最適化位置まで順伝搬した入力フィールドと出口から最適化位置まで逆伝搬した出力フィールドとの波面が一致するようにコンピュータで屈折率分布n(x,y,z0)を改変する工程314と、最適化位置の走査が終了したかを判断する工程315を含んでいる。工程315の判断結果が満足するまで工程312〜315を繰り返す。
ここで、本実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程311および工程313の結果をコンピュータのメモリに格納するとしたが、これはこの方法が高速にコンピュータにより計算できる手法を提供できるからである。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、工程311よび工程313の結果は、ハードディスクなど他のコンピュータが読み取り可能な記憶装置に格納してもよい。
次に式を用いて、第11の実施形態の最適化方法について説明する。本発明の波動伝搬回路の設計方法には、波動伝達媒体の基本概念を適用する。波動伝達媒体に係る理論は一般の波動方程式に基づいて媒質の特性を指定するものであり、一般の波動においても原理的に成り立ち得るものである。本実施形態では光回路へ適用することから、波動伝達媒体中を伝搬する「波動」は「光」である。
工程313において計算される入力フィールドΦ(x,y,0)を入口z=0から最適化位置z=z0まで順伝搬させたときのフィールドΦ(x,y,z0)は、z=0からz=z0に至る波動伝搬演算子をH1として、次式で与えられる。
Φ(x,y,z0)=H1Φ(x,y,0) (2)
また、工程313において計算される出力フィールドΨ(x,y,L)を出口z=Lから最適化位置z=z0まで逆伝搬させたときのフィールドΨ(x,y,z0)は、z=z0からz=Lに至る波動伝搬演算子をH2として、次式で与えられる。
Ψ*(x,y,z0)=Ψ*(x,y,L)H2 (3)
*ここでは複素共役を表しており、フィールドの進行方向が逆方向であることを示している。
さて、工程313により求められたフィールドΦ(x,y,z0)およびΨ(x,y,z0)の結合定数は、
と表される。ここで、H21がz=z0からz=Lに至る波動伝搬演算子であることを考慮すると、式(4)は
と書くことができる。
ここで、式(5)の右辺は、入力フィールドを入口より伝搬させたときに出口で得られるフィールドΦ(x,y,L)と、所望の出力フィールドΨ(x,y,L)との結合係数を表している。すなわち、両フィールドの波面が一致するように最適化位置の屈折率分布n(x,y,z0)を変形すれば、フィールドΦ(x,y,z0)とΨ*(x,y,z0)との結合定数が向上するので、入力フィールドを入口より伝搬させたときに出口で得られるフィールドΦ(x,y,L)は所望の出力フィールドΨ(x,y,L)に近づく。
このように、図25に示した第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法によれば、フィールドΦ(x,y,z0)およびΨ*(x,y,z0)の波面が一致するように屈折率分布n(x,y,z0)を改変することで、入力フィールドを所望の出力フィールドへ近づけることができる。
第11の実施形態の波動伝搬回路の設計法では決定論的に屈折率分布を与えることができるので、屈折率分布を変えてみて入力フィールドを伝搬させて結果から判断するトライアンドエラー的な手法と比較して、波動伝搬回路の最適化の大幅な高速を実現できる。
図26は、第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法における光回路の屈折率分布の初期値を示している。図26に示した光回路では、一定膜厚のコア451がクラッド層452に埋め込まれた構造になっている。クラッド層452の屈折率は1.44428であり厚さは60μm、コア451の屈折率は1.45523で厚さは6μmである。コア451は、直線光導波路453と扇状光導波路454とから構成されている。直線光導波路453の長さは600μm、幅は7μmであり、扇状光導波路454の長さは400μm、幅は32μmである。光回路の入口はz=0、出口はz=L=1000μmである。また、図26において、最適化位置は符号455で示されている。
続いて、図25に示した第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法に従って波動伝搬回路の最適化を行った。ここで、入力フィールドは直線光導波路453の基底モードのフィールドとし、所望の出力フィールドは光回路が二分岐回路として働くように、前記基底モードが18μm離れて平行したフィールドとした。ここで、第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、光回路が二分岐として働くように最適化を行ったが、これは三分岐でも四分岐でも、あるいはスポットサイズ変換や導波路交差損失低減など別の機能でも勿論構わない。
また、本実施形態では、最適化位置455を扇状の領域454からランダムに選択し、選択した最適化位置455の最適化する走査を行った。z=0からz=Lまでのすべての領域が走査されなくてもよい。しかしながら、最適化位置455はどのようにスキャンしてもよく、z=0からz=Lまでのすべての領域を走査してもよい。
さらに、図25に示す第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程313のフィールド計算は有限差分時間領域法を用いてコンピュータにより行った。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、フィールド計算はビーム伝搬法で行っても、モードマッチング法でおこなっても、別の計算法を用いて行っても勿論構わない。
加えて、図25に示す第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程314において、波面を一致させるために位相差に比例した屈折率分布n(x,y,z0)を与えた。図27AおよびBは、この屈折率分布の与え方を示している。図27Aは、入力フィールドを順伝搬させたフィールドと所望の出力フィールドを逆伝搬させたフィールドの位相差であり、図27Bは、この位相差に比例する屈折率分布である。このように、位相差を補償するような屈折率分布を与えることで、順伝搬させたフィールドと逆伝搬させたフィールドの結合係数を向上させることができ、結果として、入力フィールドを入力したときの出力を所望のフィールドに近づけることが可能となる。
ここで、図25に示す第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、位相差に比例する屈折率分布を与えるとしたが、本発明はこの例に限定されるものではなく、少なくとも部分的に波面を一致させるような屈折率の与え方であれば、他の屈折率分布を与えても勿論構わない。
なお、図27AおよびBに示したようなアナログ的な屈折率変化は、たとえば石英ガラス光導波路の場合には紫外線照射を用いて実現することができる。
図28は、図25に示した第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法を用いて波動伝搬回路の最適化を行った後の、屈折率分布の初期値からの屈折率調整量を表している。図28中の縦軸の正の部分が屈折率を増加した箇所であり、負の部分が屈折率を減少した部分である。実際の屈折率は、この値にコアの屈折率1.45523を加えた値となる。図28に示す屈折率調整量は、本実施形態の波動伝搬回路の設計方法を用いて、最適化位置455がz=0からz=Lまでのすべての領域を走査されるまで屈折率分布nを改変して得られた結果である。
ただし、図26に示した石英ガラス光導波路の場合では屈折率を減少させることは困難である。したがって、石英ガラス光導波路の場合には、紫外線照射を照射して屈折率を変化させる前の状態における導波路のコアおよびクラッドの屈折率を等しく作製し、屈折率を減少したい部分では屈折率増加を小さくし、屈折率を増加させたい部分では屈折率増加を大きくすることで、設計どおりの屈折率分布を実現することができる。
図29は、図25に示した第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法を用いて最適化を行った波動伝搬回路の伝達特性を示している。図29に示すように、入力された光フィールドが設計どおり二分岐されていることが分かる。この場合の損失は0.1dB以下であり、良好な特性が得られることを確認した。
(第12の実施形態)
図30乃至図34(AおよびB)を参照して、本発明に係る第11の実施形態を説明する。
また、以下の実施形態では、波動伝搬回路の波動伝搬方向をz軸とし、z軸に直交する2軸をx軸、y軸として、波動の入口位置をz=0、波動の出口位置をz=Lとする。
図30に本発明にかかる第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法のアルゴリズムを示す。図30に示す第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、屈折率分布n(x,y,z)の初期値を決定してコンピュータのメモリに格納し、最適化位置を出口に設定する工程316と、入力フィールドΦ(x,y,0)が入口z=0から出口z=Lまで順伝搬したときのフィールド分布Φ(x,y,z)を計算してコンピュータのメモリに格納する工程317と、改変された屈折率分布において出力フィールドΨ(x,y,z)を微小距離Δzだけ逆伝搬させてコンピュータのメモリに格納する工程318と、入口から最適化位置まで順伝搬した入力フィールドと、出口から最適化位置まで逆伝搬した出力フィールドとの波面が一致するようにコンピュータにより屈折率分布を改変する工程314と、最適化位置を微小距離Δzだけ入口側にシフトする工程319と、最適化位置が入口に到達したか判断する工程320を含んでおり、最適化位置が出口から入口に至るまで工程318、工程314、工程319、工程320を繰り返している。
ここで、図30の本発明の第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程316、工程317および工程318の結果をコンピュータのメモリに格納するとしたが、これはこの方法が高速にコンピュータにより計算できる手法を提供できるからである。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、工程316、工程317および工程318の結果は、ハードディスクなど他のコンピュータが読み取り可能な記憶装置に格納しても勿論構わない。
このようなアルゴリズムを用いても、図25に示した第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法と同様に、波動伝搬回路の最適化を図ることができる。
さらに、図30に示す第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法を用いることで、入力フィールドが順伝搬したときのフィールドを工程317において一括して計算してコンピュータのメモリに格納しておけるので、計算時間のさらなる高速化を図ることができる。
図31は、図30に示した第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法の工程311において用いた屈折率分布の初期値である。図31に示すように、一定膜厚のコア451がクラッド層452に埋め込まれており、コアは一辺が1μmのモザイク状の構造になっている。クラッド層452の屈折率は1.44428であり厚さは60μm、コア451の屈折率は1.45523で厚さは6μmである。光回路の入口はz=0、出口はz=L=100μmである。
続いて、図30に示した第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法に従って波動伝搬回路の最適化を行った例を示す。ここで、入力フィールドは幅7μm、厚さ6μmの光導波路の基底モードのフィールドとし、所望の出力フィールドは光回路が波長フィルタとして働くように、波長1.3μmに対してはx=20μmの位置に、波長1.55μmに対してはx=−20μmの位置に、前記基底モードのフィールドが出力されるようにした。このように、本発明の波動伝搬回路の設計方法によれば、所望の出力フィールドとして複数の波長を用いることができる。複数の波長を用いる場合には、複数の波長による合成された波面を考えれば一波長の場合と全く同様の手順で設計することができる。
なお、本発明にかかる第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、光回路が波長フィルタとして働くように最適化を行ったが、これは別の機能でも勿論構わない。
また、図30に示した第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程317および工程318のフィールド計算は三次元ビーム伝搬法を用いてコンピュータにより行った。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、有限差分時間領域方やモードマッチング法など別の手法を用いてフィールド計算を行っても勿論構わない。
加えて、図30に示す本発明の第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程314において、波面を一致させるために閾値Tを0radと定めて、これより大きな位相差の箇所にはコアを、小さな位相差の箇所にはクラッドを配設することとした。図32AおよびBは、このような屈折率分布の与え方を示している。このように位相の大小に応じた屈折率分布を与えることで、順伝搬させたフィールドと逆伝搬させたフィールドの結合係数を向上させることができ、結果として、入力フィールドを入力したときの出力を所望のフィールドに近づけることが可能となる。さらに、このような屈折率分布の与え方をすることで、コアとクラッド層の二種類の材料、二種類の屈折率からなる作製が容易な波動伝搬回路を提供することができる。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、たとえば位相の大小に応じて三種類の屈折率を与えるなど、全く別の屈折率分布の与え方をしても勿論構わない。
屈折率分布を与える場合、コアのサイズが波動の波長に比べて大きいほど、波動伝搬回路の特性が劣化する。また、コアのサイズが小さくなるほど、波動伝搬回路の作製には困難性が伴う。したがって、図32AおよびBの屈折率分布の与え方では、コアのサイズが波動の波長程度の大きさになるという制限を課した。すなわち、本実施形態では、信号波長が1.3μm、1.5μm程度であることを考慮して、コアのサイズが波動の波長程度となるように、コアのサイズが1μm角より小さくなる場合にはクラッド層の配設を行わないという制限を課した。これは、このようにある程度以上のサイズを有するコア及びクラッド層からなる光回路とすることにより、作製が容易な波動伝搬回路を提供できるからである。このようにしても、本発明の効果を得ることができる。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、コアのサイズは、作製可能な300nm以上であり、かつ入力される波動の波長との関係において、決定すればよい。
図33は、図30に示した第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により最適化を行った波動伝搬回路の屈折率分布を示している。ここで、図33の波動伝搬回路を得るために、図30のアルゴリズムを24回適用した。このように、本発明の波動伝搬回路の設計方法は、複数回適用することで良好な特性を得ることができる。
図34AおよびBは、図30に示した第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により波動伝搬回路の最適化を行い、それに基づいて通常の火炎堆積法で作製した石英製の波動伝搬回路の特性を示している。図34Aは、波長1.3μmを入力したときのフィールド分布であり、図34Bは波長1.55μmを入力したときのフィールド分布である。図33に示しているように、波長によって異なる位置に集光する波動伝搬回路が実現されている。
(第13の実施形態)
図35乃至図39を参照して、本発明にかかる第13の実施形態を説明する。
また、以下の実施形態では、波動伝搬回路の波動伝搬方向をz軸とし、z軸に直交する2軸をx軸、y軸として、波動の入口位置をz=0、波動の出口位置をz=Lとする。
図35は、本発明にかかる第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法のアルゴリズムを示す。図35に示す第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、屈折率分布n(x,y,z)の初期値を決定してコンピュータのメモリに格納し、最適化位置を入口に設定する工程321と、所望の出力フィールドΨ(x,y,L)が出口z=Lから入口z=0まで逆伝搬したときのフィールド分布Ψ(x,y,z)を計算してコンピュータのメモリに格納する工程322と、入口から最適化位置まで順伝搬した入力フィールドと、改変された屈折率分布において入力フィールドΦ(x,y,z)を微小距離Δzだけ順伝搬させてコンピュータのメモリに格納する工程323と、出口から最適化位置まで逆伝搬した出力フィールドとの波面が一致するようにコンピュータにより屈折率分布を改変する工程314と、最適化位置を微小距離Δzだけ出口側にシフトする工程324と、最適化位置が入口に到達したか判断する工程325を含んでおり、最適化位置が入口から出口に至るまで工程323、工程314、工程324および工程325を繰り返している。
ここで、図35の第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程321、工程322および工程323の結果をコンピュータのメモリに格納するとしたが、これはこの方法が高速にコンピュータにより計算できる手法を提供できるからである。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、工程321、工程322および工程323の結果は、ハードディスクなど他のコンピュータが読み取り可能な記憶装置に格納しても勿論構わない。
このようなアルゴリズムを用いても、図25に示した本発明の第11の実施形態の波動伝搬回路の設計方法と同様に、波動伝搬回路の最適化を図ることができる。
さらに、図35に示す第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法を用いることで、出力フィールドが順伝搬したときのフィールドを工程322において一括して計算してコンピュータのメモリに格納しておけるので、図30に示した本発明の第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法と同じく、計算時間の高速化を図ることができる。
図36は、図35に示した第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法の工程311において用いた屈折率分布の初期値である。図36に示すように、一定膜厚のコア451がクラッド層452に埋め込まれており、クラッド層452の屈折率は1.44428であり厚さは60μm、コア451の屈折率は1.45523で厚さは6μmである。光回路の入口はz=0、出口はz=L=1000μmである。
続いて、図35に示した第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法に従って波動伝搬回路の最適化を行った例を示す。ここで、入力フィールドは幅7μm、厚さ6μmの光導波路の基底モードのフィールドとし、所望の出力フィールドは光回路が導波路レンズとして働くように、出力後100μm離れた位置に焦点を結ぶように設計した。
なお、本発明の第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、光回路が導波路レンズとして働くように最適化を行ったが、これは別の機能でもよい。
また、図35に示した第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程322および工程323のフィールド計算は三次元ビーム伝搬法を用いてコンピュータにより行った。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、有限差分時間領域方やモードマッチング法など別の手法を用いてフィールド計算を行っても勿論構わない。
加えて、図35に示す第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法では、工程314において、波面を一致させるために閾値Tを0radと定めて、コアとクラッドの境界のみについて、これより大きな位相差の箇所では、もともとクラッドであった位置にコアを配設し(コアを追加し)、小さな位相差の箇所では、もともとコアであった位置にコアを配設せずクラッドとする(コアを取り除く)こととした。
図37AおよびBは、このような屈折率分布の与え方を示している。このようにコアとクラッドの境界のみで屈折率分布を変化させることで、上下方向へ波動が散逸しがたい、損失の良好な波動伝搬回路を提供することができる。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、たとえば導波路中央へクラッド層を配設することを許すなど、別の屈折率分布の与え方をしても勿論構わない。
さらに、図37AおよびBの屈折率分布の与え方では、光伝搬方向のコア幅の変化割合を60度以下とした。すなわちコア幅の光伝搬方向に対する最大傾きを60度以下とした。これは、このような制限を与えることでさらに波動の散逸の少ない波動伝搬回路を提供できるからである。しかしながら本発明はこの例に限定されるものではなく、別の角度で制限を与えても、制限を与えなくても勿論構わない。
図38は、図35に示す本発明の第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により最適化を行った波動伝搬回路の屈折率分布を示している。ここで、図38の波動伝搬回路を得るために、図35に示した第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法と、図30に示した本発明の第12の実施形態の波動伝搬回路の設計方法を交互に15回適用した。このように、交互に適用することで、波動伝搬回路全体にわたって均一に屈折率分布の改変を行え、良好な特性を得ることができる。このように、本発明の第一乃至三の実施形態の波動伝搬回路の設計方法の選択的組み合わせおよび/または繰り返しにより最適化を行うことができる。
図39は、図35に示す本発明の第13の実施形態の波動伝搬回路の設計方法により最適化を行った波動伝搬回路の特性を示している。図39は、図38の導波路レンズを二対用いてスラブ光導波路により200μm離して対向させて損失を測定したものであり、広い波長域にわたって良好な特性が得られていることが分かる。

Claims (8)

  1. 入力フィールドから所望の出力フィールドを得るための波動伝搬回路を、コンピュータを用いて設計する方法であって、
    前記波動伝搬回路における伝搬媒体の屈折率分布の初期値を前記コンピュータの記憶手段に格納する屈折率分布初期化工程と、
    前記伝搬媒体の波動伝搬方向の任意の位置を最適化位置に設定する工程と、
    前記入力フィールドが前記伝搬媒体の入口から前記最適化位置まで順伝搬したときのフィールドと、前記所望の出力フィールドが前記伝搬媒体の出口から前記最適化位置まで逆伝搬したときのフィールドとを計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する最適化位置入出力フィールド計算工程と、
    前記入力フィールドが順伝搬したときのフィールドと前記所望の出力フィールドが逆伝搬したときのフィールドとの波面が近づくように前記最適化位置における屈折率分布を調整する屈折率分布改変工程と、
    前記最適化位置を波動伝搬方向に変化させながら、前記最適化位置設定工程、最適化位置入出力フィールド計算工程、および前記屈折率分布改変工程を繰り返す工程とを含み、
    前記屈折率分布改変工程は、
    前記入力フィールドが前記伝搬媒体へ入射する方向を波動伝搬方向、前記最適化位置の座標をz、前記波動伝搬方向に垂直な方向の座標をx、前記伝搬媒体の屈折率分布を{n}、波動の状態のインデックスをj、前記入力フィールドが前記伝搬媒体の入口から前記最適化位置まで順伝搬したときのフィールドを順伝搬光フィールドΨ(z,x,{n})、前記所望の出力フィールドが前記伝搬媒体の出口から前記最適化位置まで逆伝搬したときのフィールドを逆伝搬光フィールドΦ(z,x,{n})としたとき、
    (q−1)番目の計算によって得られた屈折率分布{nq-1}をもとにしたときの前記座標zの各々について、前記伝搬媒体のコアとクラッドの境界面における2箇所の座標xのそれぞれで、前記順伝搬光フィールドΨ(z,x,{nq−1})と前記逆伝搬光フィールドΦ(z,x,{nq-1})との間の位相差に対応する値として
    Im[Φ(z,x,{nq-1})・Ψ(z,x,{nq−1})]
    を求め、ここで、前記記号「*」は複素共役であり、記号「・」は内積演算であり、Im[]は[]内のフィールド内積演算結果の虚数成分であり、当該2箇所の座標xのそれぞれを、当該座標xにおいて求めた位相差に対応する値がである場合に前記伝搬媒体のコアの幅または高さをx軸方向に拡大する方向に変化させ、前記座標xにおいて求めた位相差に対応する値がである場合に前記伝搬媒体のコアの幅または高さをx軸方向に縮小する方向に変化させることにより、屈折率分布{n}を調整する工程であり、
    前記繰り返す工程は、前記伝搬媒体のコアとクラッドの境界面における前記順伝搬光フィールドと前記逆伝搬光フィールドとの間の位相差が所定の誤差以下となるまで、前記最適化位置設定工程、前記最適化位置入出力フィールド計算工程、および前記屈折率分布改変工程を繰り返すことを特徴とする方法。
  2. 入力フィールドから所望の出力フィールドを得るための波動伝搬回路を、コンピュータを用いて設計する方法であって、
    前記波動伝搬回路における伝搬媒体の屈折率分布の初期値を前記コンピュータの記憶手段に格納する屈折率分布初期化工程と、
    前記伝搬媒体の出口を最適化位置に設定する工程と、
    前記入力フィールドが前記伝搬媒体の入口から出口まで順伝搬したときのフィールド分布を計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する順伝搬入力フィールド分布計算工程と、
    前記出力フィールドが前記伝搬媒体の出口から前記最適化位置まで逆伝搬したときのフィールドを計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する逆伝搬最適化位置出力フィールド計算工程と、
    前記入力フィールドが順伝搬したときのフィールドと前記所望の出力フィールドが逆伝搬したときのフィールドとの波面が近づくように前記最適化位置における屈折率分布を調整する屈折率分布改変工程と、
    前記最適化位置を波動伝搬方向に沿って前記出口から前記入口まで順次変化させながら、前記逆伝搬最適化位置出力フィールド計算工程および前記屈折率分布改変工程を繰り返す工程とを含み、
    前記屈折率分布改変工程は、
    前記入力フィールドが前記伝搬媒体へ入射する方向を波動伝搬方向、前記最適化位置の座標をz、前記波動伝搬方向に垂直な方向の座標をx、前記伝搬媒体の屈折率分布を{n}、波動の状態のインデックスをj、前記入力フィールドが前記伝搬媒体の入口から前記最適化位置まで順伝搬したときのフィールドを順伝搬光フィールドΨ(z,x,{n})、前記所望の出力フィールドの位相を反転させたフィールドが前記伝搬媒体の出口から前記最適化位置まで逆伝搬したときのフィールドを逆伝搬光フィールドΦ(z,x,{n})としたとき、
    (q−1)番目の計算によって得られた屈折率分布{nq-1}をもとにしたときの前記座標zの各々について、前記伝搬媒体のコアとクラッドの境界面における2箇所の座標xのそれぞれで、前記順伝搬光フィールドΨ(z,x,{nq−1})と前記逆伝搬光フィールドΦ(z,x,{nq-1})との間の位相差に対応する値として
    Im[Φ(z,x,{nq-1})・Ψ(z,x,{nq−1})]
    を求め、ここで、前記記号「*」は複素共役であり、記号「・」は内積演算であり、Im[]は[]内のフィールド内積演算結果の虚数成分であり、当該2箇所の座標xのそれぞれを、当該座標xにおいて求めた位相差に対応する値がである場合に前記伝搬媒体のコアの幅または高さをx軸方向に拡大する方向に変化させ、前記座標xにおいて求めた位相差に対応する値がである場合に前記伝搬媒体のコアの幅または高さをx軸方向に縮小する方向に変化させることにより、屈折率分布{n}を調整する工程であり、
    前記繰り返す工程は、前記伝搬媒体のコアとクラッドの境界面における前記順伝搬光フィールドと前記逆伝搬光フィールドとの間の位相差が所定の誤差以下となるまで、前記最適化位置設定工程、前記逆伝搬最適化位置出力フィールド計算工程、および前記屈折率分布改変工程を繰り返すことを特徴とする方法。
  3. 入力フィールドから所望の出力フィールドを得るための波動伝搬回路を、コンピュータを用いて設計する方法であって、
    前記波動伝搬回路における伝搬媒体の屈折率分布の初期値を前記コンピュータの記憶手段に格納する屈折率分布初期化工程と、
    前記伝搬媒体の入口を最適化位置に設定する工程と、
    前記出力フィールドが前記伝搬媒体の出口から入口まで逆伝搬したときのフィールド分布を計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する逆伝搬出力フィールド分布計算工程と、
    前記入力フィールドが前記伝搬媒体の入口から前記最適化位置まで順伝搬したときのフィールドを計算し、前記コンピュータの記憶手段に格納する順伝搬最適化位置入力フィールド計算工程と、
    前記入力フィールドが順伝搬したときのフィールドと前記所望の出力フィールドが逆伝搬したときのフィールドとの波面が近づくように前記最適化位置における屈折率分布を調整する屈折率分布改変工程と、
    前記最適化位置を波動伝搬方向に沿って前記入口から前記出口まで順次変化させながら、前記順伝搬最適化位置入力フィールド計算工程および前記屈折率分布改変工程を繰り返す工程とを含み、
    前記屈折率分布改変工程は、
    前記入力フィールドが前記伝搬媒体へ入射する方向を波動伝搬方向、前記最適化位置の座標をz、前記波動伝搬方向に垂直な方向の座標をx、前記伝搬媒体の屈折率分布を{n}、波動の状態のインデックスをj、前記入力フィールドが前記伝搬媒体の入口から前記最適化位置まで順伝搬したときのフィールドを順伝搬光フィールドΨ(z,x,{n})、前記所望の出力フィールドの位相を反転させたフィールドが前記伝搬媒体の出口から前記最適化位置まで逆伝搬したときのフィールドを逆伝搬光フィールドΦ(z,x,{n})としたとき、
    (q−1)番目の計算によって得られた屈折率分布{nq-1}をもとにしたときの前記座標zの各々について、前記伝搬媒体のコアとクラッドの境界面における2箇所の座標xのそれぞれで、前記順伝搬光フィールドΨ(z,x,{nq−1})と前記逆伝搬光フィールドΦ(z,x,{nq-1})との間の位相差に対応する値として
    Im[Φ(z,x,{nq-1})・Ψ(z,x,{nq−1})]
    を求め、ここで、前記記号「*」は複素共役であり、記号「・」は内積演算であり、Im[]は[]内のフィールド内積演算結果の虚数成分であり、当該2箇所の座標xのそれぞれを、当該座標xにおいて求めた位相差に対応する値がである場合に前記伝搬媒体のコアの幅または高さをx軸方向に拡大する方向に変化させ、前記座標xにおいて求めた位相差に対応する値がである場合に前記伝搬媒体のコアの幅または高さをx軸方向に縮小する方向に変化させることにより、屈折率分布{n}を調整する工程であり、
    前記繰り返す工程は、前記伝搬媒体のコアとクラッドの境界面における前記順伝搬光フィールドと前記逆伝搬光フィールドとの間の位相差が所定の誤差以下となるまで、前記最適化位置設定工程、前記順伝搬最適化位置入力フィールド計算工程、および前記屈折率分布改変工程を繰り返すことを特徴とする方法。
  4. 入力フィールドから所望の出力フィールドを得るための波動伝搬回路を、コンピュータを用いて設計する方法であって、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の波動伝搬回路の設計方法を実行することにより得られる調整された前記屈折率分布を、請求項2および請求項3に記載の方法のいずれか一方の屈折率分布初期化工程における屈折率分布の初期値として、請求項2および請求項3のいずれかに記載の方法を実行し、
    請求項2および請求項3に記載の方法のいずれか一方を実行することにより得られる調整された前記屈折率分布を、他方の屈折率分布初期化工程における屈折率分布の初期値として、請求項2および請求項3に記載の方法を交互に繰り返すことを特徴とする方法。
  5. 請求項2乃至4のいずれかに記載の方法であって、前記入力フィールドおよび/または前記所望の出力フィールドが複数の波長からなることを特徴とする方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法であって、前記フィールド計算工程または前記フィールド分布計算工程が、ビーム伝搬法、有限差分時間領域法、およびモードマッチング法のいずれかであることを特徴とする方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  8. 請求項7に記載のコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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