JP4834935B2 - フランジ付き紙容器の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、内面に、熱可塑性プラスチックシートを密着させたフランジ付き紙容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるフランジ付き紙容器の製法は、従来から種々の手法が提案されている。例えば、実公昭51−31202号公報であったり、特公昭57−46411号公報であったり、更には特開平9−254280号公報である。
【0003】
また、これらの製法によって得られたフランジ付き紙容器に、つくだ煮や昆布あるいは総菜など水分を含んだ食品などを収納する場合は、内容物の密度の関係上、落とし蓋して、内容物を圧迫して収納する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの製法であっても、紙容器成形後に、紙容器のフランジが上反りし、見栄えが悪く、商品価値を損なうという問題があった。また、成形後の紙容器に落とし蓋を嵌合させて、この紙容器のフランジに落とし蓋のフランジを熱シールする際にも、同様に紙容器のフランジが上反りし、見栄えが悪く、商品価値を損なうという問題があった。
【0005】
これらの現状を踏まえて本発明者は、可能な限り紙容器のフランジを水平にし、見栄えが可及的に改善される手法を模索した。そこで、まず、上反りが起きる原因を、紙容器成形時と、落とし蓋のシール時とでそれぞれ究明した。その結果、紙容器成形時での大きな要因の一つとしては、板紙とその片面に積層されるプラスチックシートの熱負荷後の収縮率の相違であることがわかった。つまり、トレー成形時には、大きな熱が両者に与えられるが、その後、冷却される間にプラスチックシートがより大きな割合で収縮する。そのため、紙容器のフランジに、これを内方に強く引き込む応力が作用することによって、紙容器のフランジが立ち上がることがわかった。
【0006】
また、落とし蓋シール時は、先にも説明したとおり、落とし蓋を紙容器に押しこむ関係上、この押し込み応力によって紙容器の開口部周辺の側壁が下方に引き込まれる現象が見られる。その結果、紙容器のフランジの内縁部分が成形用型のエッジよりも下方に引き込まれ気味になり、これが原因でフランジが立ち上がることがわかった。
【0007】
本発明者は、この新知見に基づき更なる検討を重ねた。その結果、フランジにこの大きな収縮率のプラスチックシートによる引込み力、更には落とし蓋の押し込みによる引込み力のいずれもを中和させる手法を採用することによって、紙容器のフランジを可及的に水平な姿勢に加工できる手段を開発したので、ここに提案する。
【0008】
したがって、この発明は、フランジ付き紙容器のフランジを、紙容器成形後や落とし蓋シール後にも常に水平にできるフランジ付き紙容器の製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的な課題を解決するために、第1の発明は、フランジ付き紙容器を、この紙容器の外形とほぼ同じ形状の凹部を有する型内に設置し、次いでこの成型用型内に設置された紙箱の上にフランジも含めた大きさの熱可塑性のシール材を載置し、次いで前記紙容器のフランジと当該フランジ上に載置されているシール材を下反り状に加熱押圧しながら、このシール材を前記フランジに熱接着させるようにしたものである。
【0010】
また、第2の発明は、フランジ付き紙箱を、この紙箱の外形とほぼ同じ形状の凹部を有する成型用型内に設置し、紙箱の上面より一回り大きい熱可塑性のプラスチックシートをこの成型用型内に設置された紙箱の上面に載置し、次いで紙箱のフランジと当該フランジ上に載置されている前記熱可塑性のプラスチックシートを下反り状に加熱押圧しながらこの熱可塑性のプラスチックシートを熱接着させるとともに、熱可塑性のプラスチックシートを上から加熱し、真空成形法ないしは圧空成形法により紙箱の内面に密着させるよう
にしたものである。
【0011】
更に、第3の発明は、内面に熱可塑性のプラスチックシートが積層されたフランジ付き紙トレーを、この紙トレーの外形とほぼ同じ形状の凹部を有する型内に設置し、紙トレーの上方から、周囲にフランジを備えた落とし蓋をこの成型用型内に設置された紙トレーの上面から押し込み、次いでこの紙トレーのフランジと当該フランジ上に載置されている落とし蓋のフランジを下反り状に加熱押圧しながらこの落とし蓋のフランジを紙トレーのフランジに熱接着させるようにしたものである。
【0012】
【作用】
上記のように、この発明によれば、紙容器のフランジと当該フランジ上に載置されているシール材を押圧して下反り状にして加熱することによって、フランジ付き紙容器のフランジ下反り状(逆反り状)にある状態で、その上から、例えば熱可塑性プラスチックシートあるいは落とし蓋といった、シール材、このフランジに熱接着る製造方法が採られる。その結果、フランジへのシール材の熱融着後、このフランジが上反りしても、本来的に下反り姿勢のフランジであるから、上反りすることで、うまく水平な姿勢となる。
【0013】
また、熱可塑性プラスチックシートが積層されたフランジ付き紙箱の製造にあたっても、紙箱のフランジと当該フランジ上に載置されている熱可塑性のプラスチックシートを押圧して下反り状にして加熱することによって、紙箱のフランジを下反り状にしながらこの熱可塑性のプラスチックシートを熱接着る製造方法が採用される。その結果、紙トレー成形後にフランジが上反りしても、本来的に下反り姿勢のフランジであるから、上反りすることで、うまく水平な姿勢となる。
【0014】
更に、フランジ付き紙トレーに落とし蓋を押し込み、互いにフランジを熱融着するにあたっても、フランジ付き紙トレーのフランジと当該フランジ上に載置されている落とし蓋のフランジを押圧して下反り状にして加熱することによって、この紙トレーのフランジを下反り状にしながらこの落とし蓋のフランジを熱接着する製造方法が採用される。その結果、紙トレーのフランジが上反りしても、本来的に下反り姿勢のフランジであるから、上反りすることで、うまく水平な姿勢となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明のフランジ付き紙容器の製造方法を、内面に熱可塑性プラスチックシートを積層する紙トレーの製造方法に適用した場合について、図面に従って、詳細に説明する。
【0016】
図1〜3に示されるように、まず、紙箱1を成形用型2の凹部2A内に設置する。次いでフランジ1Aも含めて、この紙箱1の上に、シール材3の一例である、熱可塑性プラスチックシート3Aを載置する。次いで、図2に明示する通り、シールバー4を用いて、紙箱1のフランジ1Aと熱可塑性プラスチックシート3Aをヒートシールなどの方法で押圧して接着する(プレシール)、と同時に熱風5で熱可塑性プラスチックシート3Aを加熱軟化する(プレヒートアップ)。このとき、成形用型2のフランジ載置面2Bは、型の外側ほど下位に位置する傾斜面に形成されているとともに、シールバー4の下面4Aもこのフランジ載置面2Bの傾斜に合わせて斜面に形成されているので、このシールバー4をフランジ1A上から押圧することで、フランジ1Aは下反り姿勢となり、この姿勢で熱可塑性プラスチックシート3Aがフランジ1Aに熱融着されることになる。その後、例えば真空ポンプのような真空源により吸引管6、吸引孔7を通じて成型用型2内の空気を吸引する。これによって、成型用型2内の空気は紙箱1の側面1Bと互いの重ね片1D(図4参照)との間の隙間などを通って吸引され、その内部は真空状態になる。その結果、加熱軟
化された熱可塑性プラスチックシート3Aは圧力により湾曲して紙箱1の内面に密着し、紙箱1と一体化される。フランジ1Aは、熱可塑性プラスチックシート3Aの収縮に伴い、上反りしてくる。しかし、この上反り量を見越して、予め下反り状にして成形されるので、成形後の上反りによって、丁度好ましい水平姿勢になり、図3に示されるような、好適な紙トレーTが得られる(真空成形方法)。
【0017】
なお、この発明に採用される紙トレーTは、図4に示されるような構成から成る紙箱が採用される。この紙箱を形成するブランク8は、側面1B、底面1C、側面1Bに連設された重ね片1D、そして側面1Bの上端縁に連設されたフランジ1Aとから成る。このブランク8は、板紙を打ち抜いて各部が構成され、これを折曲げ線1Eに沿って折り込み、組み立てて紙箱1とする。重ね片1Dは隣接する側面1Bへ糊付けされても良いが、糊付けせずに単に折り曲げ、組み立てられているものでも良い。板紙は、コートボール、バージン紙等が好ましい。
【0018】
また、熱可塑性プラスチックシート3Aは、真空成形法、圧空成形法などで深絞り成形できる素材が望ましい。
【0019】
成型用型2は、図1〜2に示されるように、紙箱1の外形とほぼ同じ形状の凹部2Aが備わり、また、この凹部2Aの角部には、吸引孔7が設けられ、各吸引孔7は一つの吸引管6に連通され、真空源(図外)に接続される。また、この成型用型2の凹部2Aの上部周縁の近傍にはシールバー4が設けられ、シールバー4の内側には下方に向けて熱風5を吹き付けることができるヒーター9が設けられている。
【0020】
紙箱1のフランジ1Aを載置するために、この成型用型2の凹部2Aの周縁上面に形成されるフランジ載置面2Bは、図1〜2に示されるように、成形用型2の外側ほど下位に位置する傾斜面に形成されている。これに合わせてシールバー4の下面4Aもこのフランジ載置面2Bの傾斜に合わせて斜面に形成されている(図1)。したがって、このシールバー4フランジ1A上からこのフランジ1Aと熱可塑性プラスチックシート3Aを押圧することで、フランジ1Aは下反り姿勢となり、この姿勢で熱可塑性プラスチックシート3Aがフランジ1A上に熱融着されることになる。
【0021】
この成形用型2のフランジ載置面2Bの傾斜角は、15度〜45度の範囲が望ましい。図例は、いずれも30度の場合を示す。
15度以下であると、水平姿勢が得られず、上反りとなり、45度以上であると、逆に下反りとなり、いずれの場合も望ましいフランジ1Aの水平姿勢は得られず、見栄えが悪いという結果を得た。実験の結果、理想的には、15度から30度の範囲内であれば、所期の望ましい水平なフランジ姿勢が得られることがわかった。
【0022】
(第2の実施の形態)
次に、この発明のフランジ付き紙容器の製造方法を、上記の製法によって得られた紙トレーTに落とし蓋を押し込んで密封する、食品詰め込み作業度時の紙容器製造方法に適用した場合について、図面に従って、詳細に説明する。
【0023】
図5〜7に示されるように、あらかじめつくだ煮や昆布あるいは総菜などの食品Fが充填された紙トレーTを、型10の凹部10A内に納める。この紙トレーTは、改めていうまでもなく、前記第1の実施の形態に示された製法によって得られたもので、紙箱1の内面に熱可塑性プラスチックシート3Aが積層されて成形されたものである。次いでこの紙トレーTの上に、熱可塑性プラスチックシートで形成され、周縁にフランジ11Aが備わった, シール材3の一例である、落とし蓋11を載置する。次いで、押圧機12でこの落とし蓋11を紙トレーT内に、収容食品を圧迫するようにして押し込む。同時に、この押
圧機12の脇に設けられているシールバー4を用いて、図6に明示する通り、紙トレーTのフランジ1Aとこの落とし蓋11のフランジ11Aをヒートシールなどの方法で押圧して接着する。このとき、型10のフランジ載置面10Bは、型の外側ほど下位に位置する傾斜面に形成されているとともに、シールバー4の下面4Aもこのフランジ載置面10Bの傾斜に合わせて斜面に形成されている。したがって、このシールバー4をフランジ1Aの上方から押圧すると、フランジ1Aは下反り姿勢となり、この姿勢で落とし蓋11のフランジ11Aが紙トレーTのフランジ1Aに熱融着される。紙トレーTのフランジ1Aは、落とし蓋11の押し込みに伴って上反りしてくる。しかし、この上反り量を見越して、あらかじめ下反り状にして互いのフランジ1A、11Aが熱融着されるので、落とし蓋装着後の上反りによって、ちょうど好ましい水平姿勢になる。その結果、図7に示されるような、好適な紙トレーTが得られる。
【0024】
この第2の実施の形態においても、型10のフランジ載置面10Bの傾斜角は、前記第1の実施の形態に示された数値と同じである。つまり、15〜45度の範囲で、好ましくは15〜30度の範囲内である。
【0025】
【発明の効果】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
請求項1記載のフランジ付き紙容器の製造方法によれば、フランジの上反り量を見越して、下反り姿勢にしてシール材を熱融着させることによって、フランジへシール材を熱融着した後、このフランジが上反りしても、フランジはうまく水平な姿勢に保たれる。その結果、従来の製法と違って、見栄えの良いフランジ姿勢をもった紙容器を得ることができ、その商品価値を格段に向上できる。
【0026】
また、請求項2記載のフランジ付き紙容器の製造方法は、熱可塑性プラスチックシートが積層されたフランジ付き紙箱の製造にあたっても、紙箱のフランジを下反り状にしながらこの熱可塑性のプラスチックシートを熱接着させる製造方法を採用するので、紙トレー成形後にフランジが上反りしても、フランジはうまく水平な姿勢となり、その商品価値を格段に向上できる。
【0027】
更に、請求項3記載のフランジ付き紙容器の製造方法は、フランジ付き紙トレーに落とし蓋を押し込み、互いにフランジを熱融着する製造方法にあっても、この紙トレーのフランジを下反りにしながらこの落とし蓋のフランジを熱接着させる手段が採用されているので、紙トレーに落とし蓋を押圧嵌合させた後に、フランジが上反りしても、フランジはうまく水平な姿勢となり、その商品価値を格段に向上できる。
【0028】
なお、この発明は、先に提示した特開平9−254280号公報に開示された紙トレーあるいはその製造方法に適用されることによって、理想的な効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るフランジ付き紙容器の製造方法の第1の実施の形態を示し、作用の説明図である。
【図2】 本発明に係るフランジ付き紙容器の製造方法の第1の実施の形態を示し、作用の説明図である。
【図3】 本発明に係るフランジ付き紙容器の製造方法の第1の実施の形態によって得られた紙トレーの断面図である。
【図4】 本発明に係るフランジ付き紙容器の製造方法の第1の実施の形態に採用されるブランク
の一例を示す平面図である。
【図5】 本発明に係るフランジ付き紙容器の製造方法の第2の実施の形態を示し、作用の説明図である。
【図6】 本発明に係るフランジ付き紙容器の製造方法の第2の実施の形態を示し、作用の説明図である。
【図7】 本発明に係るフランジ付き紙容器の製造方法の第2の実施の形態によって得られた紙トレーの断面図である。
【符号の説明】
1…紙箱,1A,11A…フランジ,2…成型用型,2B,10B…フランジ載置面,3…シール材,3A…熱可塑性プラスチックシート,10…型,11…落とし蓋,F…食品,T…紙トレー。

Claims (3)

  1. フランジ付き紙容器を、この紙容器の外形とほぼ同じ形状の凹部を有する型内に設置し、次いでこの成型用型内に設置された紙箱の上にフランジも含めた大きさの熱可塑性のシール材を載置し、次いで前記紙容器のフランジと当該フランジ上に載置されているシール材を下反り状に加熱押圧しながら、このシール材を前記フランジに熱接着させるようにしたことを特徴とするフランジ付き紙容器の製造方法。
  2. フランジ付き紙箱を、この紙箱の外形とほぼ同じ形状の凹部を有する成型用型内に設置し、紙箱の上面より一回り大きい熱可塑性のプラスチックシートをこの成型用型内に設置された紙箱の上面に載置し、次いで紙箱のフランジと当該フランジ上に載置されている前記熱可塑性のプラスチックシートを下反り状に加熱押圧しながらこの熱可塑性のプラスチックシートを熱接着させるとともに、熱可塑性のプラスチックシートを上から加熱し、真空成形法ないしは圧空成形法により紙箱の内面に密着させるようにしたことを特徴とするフランジ付き紙容器の製造方法。
  3. 内面に熱可塑性のプラスチックシートが積層されたフランジ付き紙トレーを、この紙トレーの外形とほぼ同じ形状の凹部を有する型内に設置し、紙トレーの上方から、周囲にフランジを備えた落とし蓋をこの成型用型内に設置された紙トレーの上面から押し込み、次いでこの紙トレーのフランジと当該フランジ上に載置されている落とし蓋のフランジを下反り状に加熱押圧しながらこの落とし蓋のフランジを紙トレーのフランジに熱接着させるようにしたことを特徴とするフランジ付き紙トレーの製造方法。
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