JP4827503B2 - 自動車のためのルーフ収容機構及び同機構を備えた自動車 - Google Patents

自動車のためのルーフ収容機構及び同機構を備えた自動車 Download PDF

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Description

本発明は自動車に関し、具体的には、一つのスタイルの自動車から別のスタイルの自動車へ変形可能な自動車に関する。
ハッチバック車、多目的車(multipurpose vehicle:MPV)、ステーションワゴン(estate car)、コンバーティブルのような様々なスタイルの自動車があることがよく知られている。
最近の生活様式の変化に伴い、自動車購入者の多くは、ある用途のために一つのスタイルの自動車を持ち、他の目的のために別のスタイルの自動車を持つことを望んでいる。例えば、ある人々は通勤又は楽しむためにツーシーターオープン(two seat open top)カーを運転したいと思うが、場合によっては、買い物やより多くの乗員を乗せるため、ステーションワゴン、ハッチバック、又はMPVの空間又は使途の広さを必要とすることもある。今のところ、そのような異なる車両を必要とする人は、二台以上の車を購入しなくてはならない。
本発明の目的は、非常にコンパクトで且つ、経済的及び簡便な方法で製造され得るルーフ収納機構を提供することである。
本発明によれば、ボディ構造体と、リア・ハード・ルーフ部材を含む少なくとも二つのルーフ部材を持つルーフ構造体とを持つ自動車のためのルーフ収容機構であって、上記リア・ハード・ルーフ部材が少なくとも一つの他のルーフ部材との組合わせで上記自動車の乗員室のためのカバーを形成する上昇位置から、収容位置へ、少なくとも上記リア・ルーフ部材を移動する作動が可能であり、被駆動部材により上記リア・ルーフ部材の一部に接続された無限駆動機構と、上記リア・ルーフ部材に固定されたガイド部材を誘導するガイド・トラックと、上記リア・ルーフ部材の上記上昇位置に対応する第一位置から上記リア・ルーフ部材の上記収容位置に対応する第二位置へ上記被駆動部材を移動させるように、上記無限駆動部材を選択的に移動させる駆動手段とを有し、上記無限駆動部材の上記移動が、上記ガイド・トラックに沿って上記第一位置から上記第二位置へと上記ガイド部材を移動させ、そして、上記リア・ルーフ部材を上記上昇位置から上記収容位置へ移動するために、上記リア・ルーフ部材を前方に回転し、前方に移動し、それから鉛直に傾斜した面を降下させる作動が可能である収容機構が提供される。
上記ガイド部材と上記被駆動部材とを互いの間隔を一定に保つようにリンクによって連結してもよい。この際、リンク部材が、上記ガイド部材を上記ルーフ部材に連結するために利用される連結部材の一部を形成するようにしてもよい。
上記ルーフ部材の動きを、上記無限駆動部材が動く軌跡と、上記無限駆動部材に対する上記ガイド・トラックの相対位置とによって決定してもよい。
本発明のルーフ収容機構は、リア・ルーフ部材を、前方に回転し、前方に移動し、それから鉛直に傾斜した面を降下する前に、上記他のルーフ部材の一つから分離するため、上記リア・ルーフ部材を後方移動する作動が可能である。
上記第一位置から上記第二位置への上記被駆動部材の移動が、最初に、上記他のルーフ部材から上記リア・ルーフ部材を分離するように第三位置への後方移動であり、次に、上記リア・ルーフ部材の前方回転を生じるように上記第三位置からだ第四位置への主に上方への移動であり、それから上記第四位置から第五位置への下方へ傾斜した面に沿っての前方移動であり、それから上記リア・ルーフ部材の上記前方回転を完了するための上記第五位置から第六位置への主に下方への移動であり、そして上記第六位置から上記第二位置への移動であるようにしてもよい。
各被駆動部材が、上記第四位置から上記第二位置まで逆L字状軌跡をたどり、そして上記ガイド部材が、上記第一位置と上記第二位置との間で逆L字状軌跡をたどるようにすることもできる。
被駆動部材が上記第二の位置から上記第一の位置へ移動するように、駆動手段が上記無限駆動部材を選択的に動かすように構成することもできる。
同時に、上記無限駆動部材の動きが、上記ガイド部材を上記第二位置から上記第一位置まで、上記ガイド・トラックに沿って動かすようにしてもよい。
上記無限駆動機構がチェーン駆動機構であり、上記無限駆動部材がエンドレス・チェーンであり、上記チェーン駆動機構が更に、フロント・アッパー・スプロケットと、リア・アッパー・スプロケットと、ロアー・スプロケットとを有し、上記リア・アッパー・スプロケットから上記フロント・アッパー・スプロケットへの上記エンドレス・チェーンの経路が下方へ傾斜した面に沿って前方に向いており、そして上記フロント・アッパー・スプロケットから上記ロアー・スプロケットへの上記エンドレス・チェーンの経路が鉛直方向の傾斜面に沿って主に下方に向いているように、上記の各スプロケットが配置されるようにしてもよい。
駆動部材は、油圧モーター及びスプロケットを駆動する電気モーターの一つであり得る。
上記ガイド・トラックが、上記無限駆動部材がたどる経路の少なくも一部と実質的に平行に配置される経路をたどるようにしてもよい。
上記ガイド・トラックが細長い溝であり、上記ガイド部材がその溝に係合するピンであってもよい。
ルーフ部材が、収容位置にあるとき、自動車の乗員室の中に置かれるのは好ましい。
その際、ルーフ部材を、収容位置において乗員室のシート列の後ろに置くことができる。
ルーフ収容部材は、ルーフ部材が前方に傾斜した位置に回転し、それから所定位置まで前方に移動した後に、収容位置に下げることができる。
本発明の第二の観点によれば、第一のシート列と、該第一のシート列の後方に位置する第二のシート列と、前述の本発明の第一の観点によるのルーフ収容機構とを持つ自動車であって、上記リア・ルーフ部材が収容位置にあるとき、上記自動車の乗員室内に位置し、そして上記第一のシート列と上記第二のシート列との間に配置される自動車が提供される。
本発明の自動車は、乗員室の各側に可動サイド・ウインドウを有し、上記リア・ルーフ部材がその上昇位置から動かされる前に、この各サイドウインドウが下げられるようにすることもできる。
ルーフ収容機構を、上記リア・ルーフ部材を上昇位置から収容位置へ移動するため、他のルーフ部材の一つの後縁の下を上記リア・ルーフ部材の前縁が移動するようにすることもできる。
リア・ルーフ部材を、収容位置にあるときに第二のシート列を部分的に覆うようにしてもよい。
本発明の自動車は、リア・ルーフ部材と、やはり上昇位置から収容位置へ移動可能なフロント・ルーフ部材を有するツーピース・ルーフ構造とを持ち、上記フロント・ルーフ部材が上記上昇位置にあるとき、上記リア・ルーフ部材と共同して自動車の乗員室のカバーを形成し、上記フロント・ルーフ部材が収容位置に移動したとき、上記第二のシート列を少なくとも部分的に覆うべく、自動車の後部において略水平に位置するようにしてもよい。
上記リア・ルーフ部材を上記上昇位置から上記収容位置に移動するため、上記フロント・ルーフ部材の後縁の下を上記リア・ルーフ部材の前縁が移動するようにすることもできる。
後方に移動した後、リア・ルーフ部材はその前縁が上記フロント・ルーフ部材の後縁の下方に位置するように少し前方に回転させられる場合もある。この場合、この部分的な前方回転の後、リア・ルーフ部材は上記フロント・ルーフ部材の後縁を通るように前方に移動させられる。そして、この前方移動と更なる回転が完了したとき、リア・ルーフ部材は垂直に傾いた面に沿って収容位置に下げられることになる。
リア・ルーフ部材がその収容位置に少なくとも部分的に動くまでは、フロント・ルーフ部材がその収容位置に向かって移動できないようにすることも可能である。
リア・ルーフ部材を、上記フロント・ルーフ部材がその収容位置に移動し始める前に、少なくとも部分的に上記フロント・ルーフ部材の下を通るような位置に移動させることも可能である。
図1乃至図13を詳細に参照すると、この場合、ハッチバックの形態若しくはスタイルであるが、MPVやステーションワゴンの形態若しくはスタイルをも採り得るツーボックスの自動車が示されている。ツーボックス自動車とは、エンジンルームと荷室との間に固定された隔壁を持たない乗員室を持つ自動車であることは、本技術分野の当業者によって理解されるだろう。荷室は、乗員室の一部として形成され、シート列の数に応じてフロント・シート又はリア・シートが、セパレーターとして使用される。
自動車1は、自動車1の前端部近くに置かれたボンネット2と、ボンネット2から上方及び後方に延び、その上端に、一対の支持ピラー又は「A」ピラーによって自動車の主下部車体構造に連結された車幅方向に延びるクロスレール4を持つウインドシールド3とを含む車体構造体を持つ。自動車は、上昇位置にあるときに(図1を参照)横クロスレール4に対して接触する前端を持つフロント・ルーフ部材5と、このフロント・ルーフ部材5と共に上昇位置にあるときに(図1を参照)フロント・ルーフ部材5の後端との間で密閉状態で係合する前端及び上昇位置にあるときの自動車の下部車体構造との密閉状態での接触のための下端を持つリア・ルーフ部材6とから構成される、ツーピースの可動ハード・ルーフ構造を持つ。
自動車1の下部車体構造は、車体構造全体の中で自動車1のウエストライン15上又はその下方に位置する部分である。ウエストライン15よりも上方は、自動車1に取り付けられたウインドウと、自動車1のルーフ構造体とから主として成り立つ上部車体構造である。したがって、上部車体構造はしばしば、車両の「温室」と呼ばれる。
リア・ルーフ部材6は、略平坦な主面と、その平坦面を自動車1の下部車体構造に連結するのに用いられる下方に垂れ下がる二つの側面部を持つ。
フロント・ルーフ部材5は、略平坦なパネルの形態で、両側が補強され、自動車1が水平面上にあるとき、略水平に配置される。
自動車1は、運転手又はいずれの乗員も乗員室12の両側から外を見ることができるように、自動車1の両側に取り付けられた可動フロント・サイド・ウインドウ13及び可動リア・サイド・ウインドウ14を持つ。図1に示すように、各ウインドウ13、14が上げられルーフ部材5、6が上昇位置にあるとき、可動サイド・ウインドウ13、14はそれらの上端において、前後ルーフ部材5、6の側部に取り付けられたシールと係合可能である。
リア・ルーフ部材6は、ヒンジ(図示せず)を用いて、その上端においてリア・ルーフ部材6に連結される上側テールゲート7を持つ。この場合、上側テールゲート7はガラスから作られるが、中にガラス・パネルが置かれる周縁フレームとして構成することもできることが理解されるであろう。
下側テールゲート8が、ヒンジ(図示せず)を用いて、下端において下部車体構造に連結される。上側テールゲート7と下側テールゲート8とは共同で、乗員室12の後部に位置する荷室11へのアクセスを得るためのハッチバック車両として自動車1が構成されるときに有用な分割されたテールゲート組立体を構成する。上側テールゲート7を持ち上げること、又は両方のテールゲート7、8を持ち上げることのいずれかにより、荷室11へのアクセスが可能となる。自動車1は、乗員荷室12(「一体の荷室・乗員室」と呼ばれることもある)に置かれた二つのシート列を持ち、乗員室12の前方を向いて置かれたドライバー用のシートを含む前列シート9と、若干数の乗員シートを含む後列シート10がある。
後列シート10を形成するシートの背もたれは、荷室11を乗員室12の残りの部分から分離するために用いられる。本技術分野においてよく知られているように、後列シート10の一つ以上の背もたれは、自動車の荷物積載容量を増加するため前方に折り畳むことができる。
フロント・ルーフ部材5用の収容機構20は、後で詳述する二つのアーム22、23の一つに駆動可能な状態で連結される電気モーターを含むように示されている。
図1において、ハッチバックタイプの自動車を示すべく両方のルーフ部材5、6が完全上昇位置にある自動車1が示されるが、ルーフ部材5、6は、更に他のスタイルの自動車を形成すべく、それぞれの上昇位置からそれぞれの収容位置へ移動可能である。
以下に、自動車をハッチバック・スタイルからオープントップ又はコンバーティブル・スタイルへ変形する過程を図2乃至図13を参照して説明するが、この変形プロセスは反転可能であり、自動車をコンバーティブルからハッチバックへ変形することもできることが理解されるであろう。
図2に、フロント及びリアのサイドウインドウ13、14が下部車体構造の中に途中まで下げられている、変形プロセスの第一工程の途中段階が示される。この工程が完全に完了したとき、フロント及びリアのサイドウインドウ13、14は、下部車体構造の中に完全に収められる。
図3に、リア・ルーフ部材6の前縁をフロント・ルーフ部材5の後縁から分離するように、リア・ルーフ部材6がフロント・ルーフ部材5から離れて後方にスライドする変形プロセスの次の工程が示されている。リア・ルーフ部材6は、リア・ルーフ部材6と隣接する下部車体構造との間に置かれたシール(図示せず)に対する負荷を軽減すべく、この後方への移動の間、後方に動くに従ってわずかに上方に移動させられるように配置されている。すなわち、リア・ルーフ部材6は、この工程の間、上方に傾いた面に沿って、主として後方に移動する。
図4に、自動車の各側においてアクセス・フラップ50が閉位置から上昇位置に持ち上げられる変形プロセスの次の工程が示されている。アクセス・フラップ50は、自動車の概ねウエストライン15上に配置され、リア・ルーフ部材6が前方に回動し始めるのを可能にすべく持ち上げられる必要がある。
その後、リア・ルーフ部材6は、その前縁がフロント・ルーフ部材5の後縁の高さよりも下に下がるよう前方に回動する。
図5に、リア・ルーフ部材6が更に前方に回動した変形プロセスの次の工程が示されている。
リア・ルーフ部材6は、今度は前方に移動させられる。リア・ルーフ部材6の動きは、リア・ルーフ部材6の前縁が、フロント・ルーフ部材5の後縁の下を通るように、同期又は設計される。この工程の間、リア・ルーフ部材6は、下方に傾いた面に沿って、前方且つ下方に移動させられる。この場合、下方に傾いた面は、リア・ルーフ部材6が最初に後方に移動させられるときに沿う、上方に傾いた面よりも上で且つ平行に位置する。しかしながら、この下方に傾いた面は、上方に傾いた面と平行に配置される必要はない。
図6に、変形プロセスの次の工程が示されている。そのときリア・ルーフ部材6が乗員室12内に下がる準備のために垂直に傾いた方向に置かれるように、リア・ルーフ部材6の前方への回動及び前方への移動が完了する。すなわち、リア・ルーフ部材6の相対的に平坦な主面が、垂直面に対して45度よりも小さな角度に置かれる。
図7にリア・ルーフ部材6が垂直に傾いた面に沿って下方に移行し、フロント・ルーフ部材5が上昇位置から収容位置に移動し始める、変形プロセスの次の工程が示されている。フロント・ルーフ部材5が略水平のまま、一部が収容されたリア・ルーフ部材6の上を通るよう、フロント・ルーフ部材5が常時、略同じ方向に保持されることを記しておく。
図8に、リア・ルーフが下方へ移動し続け、フロント・ルーフ部材5が円弧又は、フロント・ルーフ部材5を支持するために使用される二つのアーム22、23によって規定される曲線路に沿って後方に移動させられ続ける変形プロセスの次の工程が示されている。フロント・ルーフ部材の反対側に、図示されている二つのアーム22、23と同じように動く、もう二つのアームがあることが理解されるであろう。
図9において、変形プロセスの次の工程は、図8に関して記述した過程の続きである。
図10において、リア・ルーフ部材は完全収容位置に到達しており、乗員室内の前列シート9の後方に位置している。この位置においてリア・ルーフ部材が自動車1のウエストライン15よりも下方に位置することが判り、この位置においてリア・ルーフ部材が後列シートを視界から隠すことが理解されるであろう。収容されたときに占める空間が比較的小さく、外界から後列シートを保護し、そして恐らく最も重要なこととして、自動車1のウエストライン15よりも下の当初の荷物積載容量が殆ど同じままになるように自動車1の荷室を全く使用しないので、リア・ルーフ部材を、前列シートの後ろの例の垂直に近い方向に収容すると有利である。
図11において、フロント・ルーフ部材は、二つのアーム22、23により規定される軌跡に未だ従っているものの、その移動の後方限界位置にほぼ到達しており、移動を続けているが、その方向は下方に変わりつつある。
図12において、フロント・ルーフ部材5が収容位置に到達する前にアクセス・フラップ50が元の閉位置に復帰するよう、降下中のフロント・ルーフ部材5の丁度前で、アクセス・フラップ50が下方移動を開始する。先にサイドウインドウ13、14の上縁をシールするために使われていたフロント・ルーフ部材5の両側のシールが、各アクセス・フラップ50の対応するリップ55と係合するようになっているので、このことは重要である。一つのフラップ50上のリップ55が、図33に示される。
そのようなフラップがなければ、リア・ルーフ部材6の側部支持体が下部車体構造と接触することになり、リア・ルーフ部材が上昇位置から収容位置に移動できないので、各アクセス・フラップ50は重要である。リア・ルーフ部材6が完全に上昇位置にあるとき、リア・ルーフ部材の一部がフラップ50上にあるのでフラップ50はリア・ルーフ部材6が後方に動くまで上がることができないが、その後、リア・ルーフ部材6が後方に動くと、リア・ルーフ部材6が収容されるようリア・ルーフ部材6が前方に移動させられることを可能とすべく、フラップ50は持ち上げられる。各フラップ50は、上がるだけではなく、上がるにつれて外方に動くように、一端においてグース・ネック(goose neck)ヒンジアーム51(図32に示す)によって下部車体構造に連結される。
図33に示されるように、アクセス・フラップ50は、リア・サイド・ウインドウ14が上昇されたときにリア・サイド・ウインドウ14の内側シール52を支持するためにも、有用である。外側シール53は、自動車1のウエストライン又はその近傍の位置において、隣接する下部車体パネル材54によって支持される。
アクセス・フラップ50は、閉じられると隣接するリア・サイド・ウインドウ14の内側に位置するが、上昇位置では、リア・サイド・ウインドウ14の外側に位置することが理解されるであろう。
図29乃至31、図32及び図33は、右側アクセス・フラップ50の詳細図を示す。
図29乃至31において、インテリアトリムパネル60が、その中に形成され端部が開放した溝61を持つことが示されている。この開口端溝61はまず第一に、側面支持体、とりわけリア・ルーフ部材6を収容機構に連結するために使用されるプレート40を、上昇位置から移動可能とし、それから、フロント・ルーフ部材5が収容位置にあるとき、フロント・ルーフ収容機構20の後側アーム23を視界から隠すため、後側アーム23の一部が下部車体構造の内側の凹部(図示せず)に入るのを可能にするために使用される。したがって、溝61は、リア・ルーフ部材6の収容が行われることを許容するだけでなく、フロント・ルーフ部材5の収容も可能とするので、有益である。
図13において、リア・ルーフ部材6が前列シート9の後ろに収容され、フロント・ルーフ部材5が、自動車1の荷室11を覆うリアデッキを形成するように下部車体構造の後側に水平に収容されることにより、変形プロセスが完了する。自動車1は、通常のハッチバックから、ツーシーター・コンバーティブル若しくはオープントップ・スタイルの自動車に変形された。
ピックアップ又はコンバーティブル・スタイルのとき、上側テールゲート7は、もし必要ならば前列シートの後ろで風よけを形成するように開くことができる。図36は、乗員を搭載物品から分離すべく上側テールゲートが上げられたピックアップタイプの自動車1を示す。
自動車がコンバーティブル・スタイルを採るときであっても、荷室11は、下側テールゲート8を介して依然としてアクセス可能であり、自動車1がハッチバック・スタイルにあるときと同様又は同じ荷物積載能力を持つことが理解されるであろう。
上述の変形プロセスにおいて、自動車に必要な時間を最短にするように、フロント・ルーフ部材5は、リア・ルーフ部材6がその収容位置への移動を完了する前に、上昇位置から収容位置への移動を開始し、そして、逆方向の変形が生じるときは、リア・ルーフ部材6はフロント・ルーフ部材5がその上昇位置に完全に戻る前に、その上昇位置への復帰を開始するであろうが、必ずしもそうである必要はない。
例えば、自動車は、前述の形態で作動するようにも、フロント・ルーフ部材5がその上昇位置から移動することなくリア・ルーフ部材6がその収容位置へ完全に下げられる他の形態で作動するようにもできる。これは、第三の自動車スタイルを形成することができるという利点を持つ。リア・ルーフ部材6が完全に収容されたとき、自動車の荷室11は周囲に対して開放しており、そしてフロント・ルーフ部材5が依然としてその上昇位置にあるので、自動車はピックアップ・スタイルに変形されている。もし、積載空間が更に要求されるならば、この変形プロセスは、広い平坦な荷物積載面積を作り出すべく、後列シート10の一つの、好ましくは全てのシートの背もたれを前方に折り畳むことを含むこともできる。このピックアップ・スタイルへの変形は、ハッチバック・スタイルの自動車には収まりきらない、大きく嵩張った物品を積載することを可能にする点で有利である。
前後のルーフ部材5、6が、電子制御器(図示せず)によって制御され、ハッチバックからコンバーティブルへの自動式の完全変形、ピックアップ・スタイルのような中間状態への部分変形及び、ピックアップ・スタイルから他の二つのスタイルの一方への変形のような、種々の代替作動形態が考えられることが、理解されるであろう。
二つのシート列を持つハッチバック・スタイルの自動車に言及して本発明を説明したものの、MPVやステーションワゴンのような他のスタイルのツーボックス自動車にも本発明を適用することができる。これらの場合、リア・ルーフ部材は依然として乗員室内に収容されるであろうが、自動車が三列シートを持つ場合、第二シート列の後ろに収容され得る。そして、フロント・ルーフ部材は、パネル材の一つが上述したように自動車の後部に収容され、他のパネル材が、他の方法で収容又は、自動車から取り外し可能にされるよう、一つ以上のパネル材から構成され得る。
したがって、例えば、三列シートを持つMPVのスタイルの自動車は、この発明を利用することによって、二つのシート列を持つコンバーティブル・スタイル又は、二つのシート列を持つピックアップ・スタイルに変形され得る。
図34と図35に、前述のものと殆どの点で同一の自動車101が示される。前述の自動車1に対する唯一の大きな違いは、この自動車101がフロント・ルーフ部材105に備え付けられた物品搭載装置144を持っている点である。前述の通り、自動車101は上側テールゲート107、下側テールゲート108、リア・ルーフ部材106、車幅方向に延びるクロスレール104によって固定されたウインドシールド103、前列109だけ示されている二つのシート列、及びウエストライン115を持つ。
フロント及びリアのルーフ部材105、106の作動は前述の通りである。
この場合、物品搭載装置は箱145の形態の物品を搭載するための荷物ラック144であるが、スキーラック、自転車ラック、カヌーラック、ウインドサーフ艇ラック、梯子ラック又は、自動車101のルーフに物品を固定するための、他のあらゆるタイプの装置とすることもできる。
フロント・ルーフ部材105が収容位置から上昇位置、又はその反対に移動させられることが可能であるため、箱145のような重量物をフロント・ルーフ部材が収容位置(図34参照)にあるとき荷物ラック144に固定し、その後、フロント・ルーフ部材105を上昇位置(図35参照)に移動することができ、それによって、フロント・ルーフ部材が上昇している自動車101の荷物ラック144の上まで重量物を持ち上げる必要が無くなる。
これは、重量物を積み込む人の背部障害のリスクを軽減するという点で明らかに有利であり、そして、上昇したフロント・ルーフ部材105上までその物体を持ち上げる力はないが自動車101のウエストライン115までは持ち上げることが可能な人が、フロント・ルーフ部材105を下げることにより重量物145を首尾よく載置及び固定し、それから自動車の内部空間が完全に使用可能となるようにフロント・ルーフ部材105を上昇させるのを可能とする。
必要に応じて、物品145をフロント・ルーフ部材105と一緒に収容位置に運ぶことができることも理解されるであろう。
特に図14乃至図29を参照すると、フロント及びリアのルーフ部材5、6に用いられる収容機構20、30がより詳細に示されている。
フロント・ルーフ部材5用の収容機構20は、前側及び後側の「S」形アーム22、23と、電気モーター21(図1にのみ図示)とを有する。この場合、前側アーム22が、電気モーター21に連結される。しかしながら、代わりに後側アーム23を被駆動アームとすることも、もし必要ならば、両アーム22、23とも駆動することもできることが、理解されるであろう。自動車1の各側において、一対のアームとそのアームを動かすモーターがあることも理解されるであろう。
前側アーム22はその上端においてフロント・ルーフ部材5に枢着され、その下端において自動車1の下部車体構造の一部に枢着される。後側アーム23は、その上端においてフロント・ルーフ部材5に同様に連結され、その下端において自動車1の下部車体構造の一部に枢着される。
二つのアーム22、23の上側の枢着位置は、フロント・ルーフ部材5の重心を通る、フロント・ルーフ部材5の前端と後端との間の略中間に位置する車幅方向の平衡軸の近くに配置される。 この、二つのアーム22、23のフロント・ルーフ部材5への枢着位置の設定は、フロント・ルーフ部材5が二つのアーム22、23上で効果的に釣り合っていること及び、車幅方向に延びる軸周りにフロント・ルーフ部材5を回転させようとする大きな力がアーム22、23上に存在しないことを確かなものとするようにされる。もし、例えばフロント・ルーフ部材5がその後端の近くの位置で二つのアームに連結されるならば、連結点とフロント・ルーフ部材5の重心とのオフセットのため、二つのアーム22、23上に大きな回転モーメントが作用することが理解されるであろう。これは、共に望ましくない、より強いアーム及び、より大きく強力なモーターを要求することになるろう。
実施形態の中で示されているフロント・アーム22は、その上端においてフロント・ルーフ部材5の平衡軸よりもわずかに前方に枢着され、後側アーム23は、その上端においてフロント・ルーフ部材5の平衡軸よりもわずかに後方に枢着される。
もし、各アームがまっすぐであれば、フロント・ルーフ部材5の平衡軸の近くへ上側枢着位置が設定されていることにより、フロント・ルーフ部材5が上昇位置にあるとき、それらは、乗員室からの乗降に対して相当邪魔になることが理解されるであろう。両アーム共、側面から見たときに略「S」の形となる、ダブルクランク形状とされるのは、このためである。なぜなら、アームがそのように形作られるとき、アームは下部車体構造からフロント・ルーフ部材5へ横断する部分では略鉛直に上方へ延びているので、フロント・ルーフが上昇しているときに乗員室12からの乗降に大きな影響を与えないからである。上の湾曲は、乗降に対してアームが不利な影響を与えないことを確かなものとし、下側の湾曲はアームが略垂直に延びて、リア・サイド・ウインドウ14上を横切らないことを確かなものとする。
電気モーター21は前側アーム22に駆動可能な状態で連結され、ウォームギア(図示せず)に取り付けられた回転可能な出力シャフトと、前側アーム22に取り付けられた歯車(図示せず)とを持つ。ウォームギアの回転は、ウォームギアの回転方向に応じて後方又は前方のいずれかに、前側アーム22が対応して回転されるようにすることになる。
二つのアーム22、23が、フロント・ルーフ部材5及び下部車体構造と協力して、図1に示された上昇位置から図13に示された収容位置への移行の間中フロント・ルーフ部材5の向きが略同じになることを確かなものとするように配置される四節リンク機構を形成することが、理解されるであろう。しかしながら、フロント・ルーフ部材が、収納位置において、その下の下部車体構造に沿うような正しい角度に向くように、フロント・ルーフ部材が変動する際のそれの向きを変更することが必要に応じてできることも理解されるであろう。
フロント・ルーフ収容機構20の動作は簡単であり、フロント・ルーフ部材5が下げられる必要があるとき、モーターのスイッチが入れられ、相互に噛合されたウォームギアと歯車が、第一アーム22を反時計方向に回転し、それにより、フロント・ルーフ部材が曲線軌跡若しくは二つのアーム22、23の各長さによって規定される円弧に沿って後方に移動させられ、その後下方に移動させられる。その後、フロント・ルーフ部材5はその収容位置に到達し、下部車体構造、フロント・ルーフ部材5、アーム22、23の一つ、又はモーター21のいずれかにあるセンサーが、収容機構20に損傷が生じるのを防止すべくモーター21のスイッチを切るために使用される。フロント・ルーフ部材5が収容位置から上昇位置に戻ったときにモーター21のスイッチを切り、フロント・ルーフ部材5の前端が車幅方向に延びるクロスレール4に接触したときにモーター21のスイッチを切るための、類似のセンサーが提供される。センサーは、電気モーター21へ流れる電流が所定レベルよりも高くなったときを判定する電流センサー、又は接触センサー、あるいは近接センサーのいずれでもよい。
特に図14乃至図23を参照すると、リア・ルーフ部材6の収容機構30が示されている。
自動車1は、リア・ルーフ部材6の各側に、リア・ルーフ部材6を自動車1の乗員室12のカバーの一部を形成する上昇位置からリア・ルーフ部材によって覆われていた乗員室12の覆いをとる収容位置へ移動させるための、一対の後側収容機構30を持つ。
理解を容易にするため、自動車1の右側のリア・ルーフ収容機構30のみが詳細に説明されるが、左側面のルーフ収容機構も同様に構成されることは理解されるであろう。
収容機構30は、チェーン31上に近接するリンクを接続するために通常使用されるチェーンピンのうちの一つと入れ替えて使用されるドリブンピン38の形態の被駆動部材によってリア・ルーフ部材6の一部に駆動可能に連結されたチェーン31の形態の無限駆動部材を持つ、チェーン駆動形式の無限駆動機構を有する。ドリブンピン38は、反対側の面でリア・ルーフ部材6に締結されるプレート40の形態の連結部材に締結される。ガイドピン39の形態のガイド部材もまた、ドリブンピン38とガイドピン39との間に常時一定の距離が保たれるように、プレート40に締結される。
細長い溝32の形状のガイド・トラックが、ガイドピン39を所定の軌跡に沿って誘導するために提供される。ガイドピン39は溝32と係合し、それによってその動きは溝32によって与えられた軌跡によって決定及び制御される。他の形態のガイド・トラックも使用され得るが、単純な溝は製造が簡単でありコストがかからないので好ましいことは理解されるであろう。
電気モーターの形態の駆動手段35aは、ドリブンピン38をリア・ルーフ部材6が上昇位置にある位置に対応する第一の位置からリア・ルーフ部材6が収容位置にある位置に対応する第二の位置に移動させるべく、チェーン31が選択的に動かされるために使用される。
チェーン駆動機構は、チェーン31と噛合し電気モーター35aによって駆動される歯車35、チェーン31と噛合するロアー・スプロケット37、チェーン31と噛合し且つ、チェーン31の張り度合いを調節するためのチェーン調節手段(図示せず)によって可動にされたアイドラー歯車36、チェーン31と噛合するリア・アッパー・スプロケット33及び、チェーン31と噛合するフロント・アッパー・スプロケット34を更に有する。
図27に最適に示されているように、フロント・アッパー・スプロケット34及びリア・アッパー・スプロケット33のそれぞれは、共通の略水平の面上に置かれるように配置された回転軸を持っているが、チェーン31上の点がリア・アッパー・スプロケット33からフロント・アッパー・スプロケット34に移動する場合にチェーン31の経路が下方に傾くよう、フロント・アッパー・スプロケット34の直径は、リア・アッパー・スプロケット33よりも小さい。
同様に、モータードリブンスプロケット35が、チェーン31上の点がモータードリブンスプロケット35からリア・アッパー・スプロケット33に移動するときに斜め上方に動くように配置される。
ロアー・スプロケット37は、チェーン31上の点がフロント・アッパー・スプロケット34からロアー・スプロケット37に移動するとき垂直に傾いた下向きの軌跡をたどるように他の全てのスプロケット33、35、36よりも下方で且つ前方に配置される。ここで、垂直に傾くという用語は、その軌跡が垂直線に対して45度以下の角度で傾いていることを意味する。
実際には、この縦の傾斜角度を前列シート9に備え付けられた背もたれの傾斜角度と同じになるように設計することが望ましく、前列シート9の傾きがエンドストップ(end stop)によって制限されるか、又は、前列シート9の位置が自動車1のハッチバックタイプからの変形が開始したときに背もたれが自動的に所定の縦の傾斜角度に移動するようにコントロールされると好ましい。好ましい実施形態では、コンバーティブル・スタイルへの変形が開始したとき、乗員室12内の前列シート9の背もたれの傾きと前後方向の位置の両方が自動的に設定される。
溝32は、リア・アッパー・スプロケット33近傍の一つの端部からモータードリブンスプロケット35に関して前方に位置する膝状部又はコーナー部に向かって下方に傾いているチェーン31に対し、似ているがオフセットしている軌跡に沿って形成されており、そこから、フロント・アッパー・スプロケット34からロアー・スプロケット37へ向かって下方に垂直に傾いた軌跡に沿って形成される。この場合、その軌跡は、チェーン31が動く経路と平行に延びる。
チェーンガイド41、42は、少なくともリア・アッパー・スプロケット33からフロント・アッパー・スプロケット34及び、そこからロアー・スプロケット37までの間、チェーン31が所定の経路を動くことを確かなものとするために提供される。
モーター35aが他のスプロケット33、34、36、37の一つに締結される場合、スプロケット35が単純なアイドラ若しくはチェーン張力調整用アイドラになり得ることは理解されるであろう。
ドリブンピン38とガイドピン39との間の距離が固定されているため、リア・アッパー・スプロケット33の近傍の溝32の一端からフロント・アッパー・スプロケット34に延びる区間における溝32のチェーン31からの距離は、ドリブンピン38とガイドピン39との間の距離よりも小さくなければならない。チェーン31に取り付けられたドリブンピン38がリア・アッパー・スプロケット33とフロント・アッパー・スプロケット34の間に位置しガイドピン39が溝32の対応する区間にあるとき、ドリブンピン38とガイドピン39との間の距離と比較されるチェーン31と溝32との間の距離は、リア・ルーフ部材6の角度によって、ひとりでに決定される。ドリブンピン38とガイドピン39との間の距離は、リア・ルーフ部材6の角度を大きくし、ルーフを揺らしながら移動させ得る装置上の公差の影響を低減するのでドリブンピン38とガイドピン39との間の距離をチェーン31と溝32との間の距離よりも十分大きくするのが好ましい。
チェーン31及び溝32が動く軌跡は、リア・ルーフ部材6の動きを決定する。フロント・アッパー・スプロケット34を通り過ぎてリア・アッパー・スプロケット33からロアー・スプロケット37へ向かうチェーン31の経路は、比較的短く且つ殆ど水平の上部経路と、長くてより垂直な経路を持つ「逆L字」状をしている。溝32の軌跡も同様に、逆L字状である。
収容機構30の動作は以下の通りである。リア・ルーフ部材6が上昇位置にあるとき、ドリブンピン38とガイドピン39は図14に示す位置にある。これら両方の位置はそれぞれ、ドリブンピン38及びガイドピン39の第一位置として言及される。第一位置において、ドリブンピン38はモータードリブンスプロケット35とリア・アッパー・スプロケット33との間のチェーン31の部分に位置し、ガイドピン39は、溝32の上方に少し傾いた部分に位置する。
リア・ルーフ部材6を上昇位置から移動すべくモーター35aが起動されたとき、モータードリブンスプロケット35は半時計回りに回転し始める。この回転は、最初にドリブンピン38及びガイドピン39が図15で示されるようにそれぞれの第三の位置に向かってそれぞれの第一位置から後方且つ上方に移動させられるようにし、そして、リア・ルーフ部材6も、リア・ルーフ部材6と自動車1の下部車体構造との間に配置されているシールへの圧力を低減するように、後方且つ、わずかに上方へ移動する。図15から、作動サイクルのこの部分の間、ドリブンピン38及びガイドピン39がほぼ平行な軌跡に沿って動くことが判る。ドリブンピン38は第三の位置にあるときに丁度リア・アッパー・スプロケット33に噛合される状態になるよう、リア・アッパー・スプロケット33の下縁部に置かれる。
図16から図18において、次の作動フェーズが生じ、ドリブンピン38とガイドピン39が第三の位置から第四の位置に移動することを示す。ドリブンピン38は、第四の位置にあるときに丁度リア・アッパー・スプロケット33から外れ始める状態になるよう、スプロケット33の上縁部に位置される。
このフェーズの間、ドリブンピン38は、その動きが主に上方に向かうようリア・アッパー・スプロケット33の周囲を動くが、ガイドピン39は溝32によって決定されるためわずかに後方に且つ、上方に動くため、ドリブンピン38とガイドピン39とは異なる軌跡をたどる。
この移動方向の違いが、リア・ルーフ部材6の前縁がフロント・ルーフ部材5の後縁よりも下方に下がり、それによって後のフェーズにおいてリア・ルーフ部材6の前縁がフロント・ルーフ部材5の後縁の下を通過するのを可能とするように、リア・ルーフ部材6を前方に回動させる。
チェーン31が同じ方向に移動し続ける間、ドリブンピン38及びガイドピン39は、図19に示すそれぞれの第四の位置から図20に概略を示す第五の位置へ向かって、前方に移動され続ける。第五の位置においてドリブンピン38は、フロント・アッパー・スプロケット34に丁度噛合される状態になるよう、フロント・アッパー・スプロケット34の上端に置かれる。
この移動期間において、ドリブンピン38とガイドピン39は主に前方に移動するが、チェーン31及び溝32の軌跡が下方に傾いているため、いくぶん下方への動きも存在する。したがって、それぞれの動きは下方に傾いた面に沿っている。この作動フェーズは、リア・ルーフ部材6を収容位置へ下げられる準備ができる位置に定め、リア・ルーフ部材6はフロント・ルーフ部材5の後縁の下を通過する。
次のフェーズは、ドリブンピン38が図20に示す第五の位置から図21に示す第六の位置に移動すべくフロント・アッパー・スプロケット34の周りを動くときに達成される、リア・ルーフ部材6の前方への回動を完了することである。ドリブンピン38は、それが第六の位置にあるときに丁度、フロント・アッパー・スプロケット34から外れる状態になる。
この作動フェーズの間、ガイドピン39は実質的に動かないままであるが、プレート40の回転を可能にする。この位置においてガイドピン39は、溝の膝状部、又はその近傍にある。
作動の最終フェーズは、ドリブンピン38とガイドピン39のそれぞれの第六の位置から図22及び図23に示すそれぞれの第二の位置への移動である。第二の位置においてドリブンピン38はロアー・スプロケットの近傍に位置するが噛合はしていない。第二位置はリア・ルーフ部材6の収容位置に対応し、この動きは主に下向きである。しかしながら、フロント・アッパー・スプロケット34からロアー・スプロケット37に向かって動くチェーン31の経路と対応する溝32の軌跡のため、ドリブンピン38及びガイドピン39のそれぞれの第六の位置からそれぞれの第二の位置への移動は、実質的にそれぞれの垂直に傾いた面に沿う。
図23に示すように、ドリブンピン38及びガイドピン39がそれぞれの第二の位置に到達したとき、モーター35aはスイッチオフされ、リア・ルーフ部材6はその収容位置にある。ドリブンピン38及びガイドピン39がそれぞれの第二位置に到達したとき、モーター35aは一つ以上のセンサー(図示せず)によって自動的にスイッチオフされる。
センサー(複数の場合もある)は、モーター35aに供給される電流を検出するものであってもよいし、その代わりに、モーター35aのスイッチを切るために接近又は接触センサーを使用してもよい。
図24から図26に示されているドリブンピン38及びガイドピン39の位置は、リア・ルーフ部材6の移動が終了しており、フロント・ルーフ部材5の移動のみが継続しているので、図23に示されているものと同じである。
モータードリブンスプロケット35が時計回りに回転するよう、電気モーター35aに反対方向の電力を流すことにより、リア・ルーフ部材6の動きが逆転されて初期位置又は上昇位置に戻され、ドリブンピン38及びガイドピン39が図14に示される第一の位置に戻ることは理解されるであろう。
この逆方向の変形プロセスの間、リア・ルーフ部材6は最初、自動車1の乗員室内の収容位置から持ち上げられ、その後後方に移動させられ、そして、フロント・ルーフ部材5と再係合しリア・ルーフ部材6と下部車体構造との間に位置するシールを圧縮すべく最終的に前方且つ下方に戻る前に、後方へ回動させられる。
無限駆動機構の主な有利点の一つは、無限駆動部材の幅又は厚さが非常に小さいことである。これは、図28において最適に示される。
このタイプの機構の幅が狭いということは、ラム(ram)のような可能性のあるいくつかの他の形態の作動機構が容易にパッケージできない一方で、チェーン又はベルト駆動機構は自動車の中に容易にパッケージ又は配置され得ることを意味する。後側ルーフ部材は上昇位置にあるとき下部車体構造の上に載置されるので、リア・ルーフ部材は、それが載置される下部車体構造よりも広くなければならないが、リア・ルーフ部材が降下したときは、下部車体構造の中に収容されることは理解されるであろう。これは、一つにはフラップの使用によって、そして、一つには、リア・ルーフ部材が収容される位置における自動車の幅が、上昇されたリア・ルーフ部材が置かれる位置における幅よりも広くなるよう自動車にテーパーを設け、そしてリア・ルーフ部材にも、略平坦のところよりも下部車体構造に隣接するところで広くなるようにテーパーを設けることにより達成される。リア・ルーフ部材にテーパーを設けることにより、前列シートまで延びるフラップ無しでリア・ルーフ部材が前列シートの後ろに収容でき、そして、リア・ルーフ部材6が収容されるとき、リア・ルーフ部材6がフロント・ルーフ部材5の下方で且つ内側に移動できる。
しかしながら、この方法でリア・ルーフ部材を収容することには依然として大きな問題が残っており、非常にコンパクトな収容機構を使用することは、この方法の使用において特に有利である。
加えて、記載されているチェーン駆動機構は、リア・ルーフ部材6を少なくとも45度回動させるだけでなく、リア・ルーフ部材6を乗員室の中で小さなスペースを占めるように縦に傾けて下降させる手段を、簡単で且つコストをかけない方法で提供するものである。
単純なチェーン駆動機構を利用する好適な実施形態に言及して本発明を説明したが、チェーン機構をベルト駆動や歯付きベルト駆動のような別の形態の無限駆動機構に置き換えることによっても同様の利点が得られることは理解されるであろう。
更に、電気モーター35aは、油圧モーターに置き換えられることが可能であり、及び/又は、両方のチェーン駆動機構が、一つ以上の駆動軸を持つ共通のモーターや、自動車の各側において各チェーン装置を共通のモーターに連結する他の動力伝達装置によって駆動され得ることは理解されるであろう。
記載されている自動車の場合、リア・ルーフ部材がその上昇位置から収容位置に移動するため、後方に移動させられ、回動させられ、前方に移動させられ、そして下げられる必要があるが、これは必ずしも必要ではなく、それが備え付けられた自動車の構成に応じて、後方に移動させられ、回動させられ、そして、下げられることのみが必要になる場合もあることは理解されるであろう。
したがって要約すると、コンパクトで製造において経済的ながらも、ルーフ部材の展開位置と収容位置との間の複雑な回転及び移行の動きを提供できる、簡素なチェーン駆動機構が開示される。
本発明は一つ以上の好ましい実施形態に言及説明されたが、本発明はこれらの開示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸れずに種々の代替実施形態や開示された実施形態に対する修正が生じ得ることは、当業者によって理解されるであろう。
部分的に透視図とした、本発明によるツーボックス自動車の側面図である。 図1に示された本発明による自動車の、ツーボックス・スタイルからコンバーティブル・スタイルへの変形プロセスの第一工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図2の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図3の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図4の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図5の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図6の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図7の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図8の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図9の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図10の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図11の次の変形工程を示す側面図である。 本発明による自動車の、図1乃至図11における変形の最終工程である、コンバーティブルトップ・スタイルの自動車の側面図である。 図1及び図2に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図3に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図4に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図5に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図5に示す変形工程と図6に示す変形工程との間の状態に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図6に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図7に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図8に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図9に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図10に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図11に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図12に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図13に示す変形工程に対応する、本発明によるルーフ収容機構の側面図である。 図14乃至26に示すリア・ルーフ収容機構の拡大側面図である。 図14乃至26に示すリア・ルーフ収容機構の拡大背面図である。 本発明による自動車のルーフ収容機構及びその周辺部を示す斜視図である。 本発明による自動車のルーフ収容機構及びその周辺部を示す斜視図である。 本発明による自動車のルーフ収容機構及びその周辺部を示す斜視図である。 図29乃至31に示すルーフ収容機構のアクセス・フラップ及びその周辺部の拡大斜視図である。 図29乃至図31及び図32に示すアクセス・フラップ及びその周辺部分の断面図である。 本発明による自動車の、収容位置にあるフロント・ルーフ部材に物品を積載した状態を示す側面図である。 図34に示す自動車の、フロント・ルーフ部材を上昇位置にした状態を示す側面図である。 ピックアップ・スタイルに構成された本発明の自動車の側面図である。
符号の説明
5 フロント・ルーフ部材
6 リア・ルーフ部材
9 前列シート
10 後列シート
11 荷室
12 乗員室
15 ウエストライン
20 フロント・ルーフ収容機構
21 電気モーター
22 前側アーム
23 後側アーム
30 リア・ルーフ収容機構
31 チェーン
32 溝
33 リア・アッパー・スプロケット
34 フロント・アッパー・スプロケット
35 モータードリブンスプロケット
35a 電気モーター
37 ロアー・スプロケット
38 ドリブンピン
39 ガイドピン
40 プレート
50 アクセス・フラップ
55 リップ
105 フロント・ルーフ部材
106 リア・ルーフ部材
115 ウエストライン
144 荷物ラック(物品搭載装置)

Claims (8)

  1. ボディ構造体と、リア・ハード・ルーフ部材を含む少なくとも二つのルーフ部材を持つルーフ構造体とを持つ自動車のためのルーフ収容機構であって、
    上記リア・ハード・ルーフ部材は、少なくとも一つの他のルーフ部材との組合わせで上記自動車の乗員室のためのカバーを形成する上昇位置から収容位置へ、少なくとも上記リア・ルーフ部材を移動する作動が可能であり、
    被駆動部材により上記リア・ルーフ部材の一部に接続された無限駆動部材を有する無限駆動機構と、
    上記リア・ルーフ部材に固定されたガイド部材を誘導するガイド・トラックと、
    上記リア・ルーフ部材の上記上昇位置に対応する第一位置から上記リア・ルーフ部材の上記収容位置に対応する第二位置へ上記被駆動部材を移動させるように、上記無限駆動部材を選択的に移動させる駆動手段とを有し、
    上記無限駆動部材の上記移動が、上記ガイド・トラックに沿って上記第一位置から上記第二位置へと上記ガイド部材を移動させ、
    上記リア・ルーフ部材を上記上昇位置から上記収容位置へ移動するために、上記リア・ルーフ部材を前方に回転し、前方に移動し、それから鉛直に傾斜した面を降下させる作動が可能であり、
    上記第一位置から上記第二位置への上記被駆動部材の移動が、
    最初に、上記他のルーフ部材から上記リア・ルーフ部材を分離するように第三位置への後方移動であり、
    次に、上記リア・ルーフ部材の前方回転を生じるように上記第三位置からだ第四位置への主に上方への移動であり、
    それから上記第四位置から第五位置への下方へ傾斜した面に沿っての前方移動であり、
    それから上記リア・ルーフ部材の上記前方回転を完了するための上記第五位置から第六位置への主に下方への移動であり、
    そして上記第六位置から上記第二位置への移動であることを特徴とする収容機構。
  2. 上記被駆動部材が、上記第四位置から上記第二位置まで逆L字状軌跡をたどり、
    上記ガイド部材が、上記第一位置と上記第二位置との間で逆L字状軌跡をたどることを特徴とする請求項1に記載の収容機構。
  3. 上記無限駆動機構がチェーン駆動機構であり、
    上記無限駆動部材がエンドレス・チェーンであり、
    上記チェーン駆動機構が更に、フロント・アッパー・スプロケットと、リア・アッパー・スプロケットと、ロアー・スプロケットとを有し、
    上記リア・アッパー・スプロケットから上記フロント・アッパー・スプロケットへの上記エンドレス・チェーンの経路が下方へ傾斜した面に沿って前方に向いており、
    上記フロント・アッパー・スプロケットから上記ロアー・スプロケットへの上記エンドレス・チェーンの経路が鉛直方向の傾斜面に沿って主に下方に向いているように、上記の各スプロケットが配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の収容機構。
  4. 上記ガイド・トラックが、上記無限駆動部材がたどる経路の少なくも一部と実質的に平行に配置される経路をたどることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載の収容機構。
  5. 第一のシート列と、該第一のシート列の後方に位置する第二のシート列と請求項1乃至のいずれか一つに記載のルーフ収容機構とを持つ自動車であって、
    上記リア・ルーフ部材が、上記収容位置にあるとき、上記自動車の乗員室内に位置し、上記第一のシート列と上記第二のシート列との間に配置されることを特徴とする自動車。
  6. 上記ルーフ収容機構が、上記リア・ルーフ部材を上記上昇位置から上記収容位置へ移動するために、上記他のルーフ部材の一つの後縁の下で、上記リア・ルーフ部材の前縁を移動する作動を可能にすることを特徴とする請求項に記載の自動車。
  7. 上記リア・ルーフ部材が、上記収容位置にあるとき、上記第二のシート列を少なくとも部分的に覆うことを特徴とする請求項又はに記載の自動車。
  8. 上記自動車が、上記リア・ルーフ部材と、上昇位置から収容位置へ移動可能なフロント・ルーフ部材とを有するツーピース・ルーフ構造を持ち、
    上記フロント・ルーフ部材が、上記上昇位置にあるとき、上昇した上記リア・ルーフ部材との組合わせで、上記自動車の乗員室のカバーを形成し、
    上記フロント・ルーフ部材が、上記収容位置にあるとき、上記第二のシート列を少なくとも部分的に覆うように上記自動車の後部に略水平に位置することを特徴とする請求項乃至のいずれか一つに記載の自動車。
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